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高等学校におけるキャリア教育の検討 : 生徒の職業観・勤労観及び学校体制のあり方に着目して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 高等学校におけるキャリア教育の検討 : 生徒の職業観・勤労観及び学校 体制のあり方に着目して. Author(s). 川本, 賀信; 瀬戸, 健一. Citation. 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 : 教職大学院研究紀要 , 11: 59-67. Issue Date. 2021-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11679. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学大学院高度教職実践専攻研究紀要 第11号. 自由投稿論文. 高等学校におけるキャリア教育の検討 ─ 生徒の職業観・勤労観及び学校体制のあり方に着目して ─ 川本 賀信*1・瀬戸 健一*2. 要 約 本研究の目的は、生徒や教職員のキャリア教育に関する現状認識について構造を明らかにし、今後 の高等学校でのキャリア教育のあり方について検討することである。そこで本研究においては、生徒 の職業観や勤労観だけではなく、使命感や倫理観、社会観や能力観にも着目しアンケート調査を行っ た。また教職員においては、生徒の職業観や勤労観の育成や、使命感や倫理観、社会観や能力観の育 成、キャリア教育に関する認識などに着目しアンケート調査を行った。その結果、生徒の意識の中で は職業観と勤労観の結びつきがない一方で、教職員においては職業観の育成と勤労観の育成には結び つきがあると認識している点に差異が見受けられた。また、生徒は使命感や倫理観や肯定的な人生観 を育成すると、職業観や勤労観の育成に結びつくことが明らかとなった。ここから、これからのキャ リア教育は、職業体験やインターンシップ、職業ガイダンスなどで職業観を高めるだけではなく、通 常の学校生活の係活動や学校行事を通じて使命感や倫理観、肯定的な人生観を育成することにも注目 すべきであると考えている。. 1.問題と目的 日本のキャリア教育は1999年の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善につ いて(答申)」(以下、 「接続答申」 )での提言より始まった。この接続答申ではキャリア教育を「学校 教育と職業生活の円滑な接続を図るため、望ましい職業観・勤労観及び職業に関する知識や技能を身 に付けさせるとともに、自己の個性を理解し、主体的に進路を選択する能力・態度を育てる教育」と しており、いわゆる出口指導といわれる進路指導を改革しようという取り組みである。しかしながら 高等学校(以下、 「高校」 )卒業後の大学・短大・専門学校等の高等教育機関への進学率が70%を超え、 その半数以上が大学・短大希望者であることから、高等学校での進路指導が受験指導に偏りがちに なっており、自分の将来の生き方や職業選択を考えた上で進路を選択している生徒は少ないのではな いかと筆者は考えている。中村(2012)も「大学受験や受験戦争を意識した高校の場合、学ぶことを 働くことや人間としての生き方に結びつけていく学習の機会は、非常に少ないといえる。 」と述べて いる。 また、平成26年度の学校基本調査によると、 「大卒者の『就職者』のうち『正規の職員等ではない者』 と『一時的な仕事に就いた者』及び『進学も就職もしていない者』の合計は10万5千人。これらの安 ───────────────────── *1. 北海道釧路明輝高等学校 教諭(北海道教育大学教職大学院 2016年3月修了生). *2. 三重大学教職大学院. 59.

(3) 川本 賀信・瀬戸 健一. 定的な雇用についていない者の卒業者に占める割合は18.6%」と、約5人に1人が安定的な雇用につ いていないことになる。これは、学校から社会への接続がスムーズに行われていないことや、職業意 識をはっきりと持たず高校から大学へ進路選択したことなどが要因の一つと考えている。若者自立・ 挑戦戦略会議「若者自立・挑戦プラン」 (2003)においても、 「このような状況が続けば、若者の職業 能力の蓄積がなされず、中長期的な競争力・生産性の低下といった経済基盤の崩壊はもとより、不安 定就労の増大や生活基盤の欠如による所得格差の拡大、社会保障システムの脆弱化、ひいては社会不 安の増大、少子化の一層の進行等深刻な社会問題を惹起しかねない。 」と述べられている。 以上のことから、生徒が学校から社会への接続をスムーズに行うためのキャリア教育の在り方を検 討する必要があると考える。本研究では、接続を学校生活から職業生活への移行と定義をする。 筆者は現在の学校におけるキャリア教育には、職業意識を育てることや人間としての生き方につい て教えることが必要だと考える。現在、職業意識を育てる取り組みとして、インターンシップや職業 体験・職場体験、大学や短大そして専門学校の体験入学などが多くの学校で行われている。しかし、 進学実績重視の傾向が見られ、職業意識を育てる取り組みに対する効果については明らかにされてい ない。実際、学校基本調査でも大学や短大そして専門学校の中退率や、中退による日本学生支援機構 の奨学金未返還率の高い学校については公表されていない。さらに、労働政策研究・研修機構の第3 回ワークスタイル調査(2011)によると、 「高等教育中退後の正社員率は7.5%で、 アルバイト・パート、 契約・派遣等70.9%、失業・無業が15.0%」との報告がある。進学したのは良いが、本来の目的が達 成されず中退となった場合の社会のセーフティーネットは整備が行き届いていない現実もある。 先行研究では生徒達の職業観・勤労観の育成方法の研究や、キャリア教育と進路選択の関係性の研 究、キャリア教育の教育課程の位置づけなどについて研究がなされている。しかし、これまで生徒達 の職業観・勤労観以外の使命感や倫理観、社会観や人生観の育成の構造について研究したものは数少 ない。教職員に関してはキャリア教育に対する教職員の認識の構造について研究したものは数少ない。 したがって本研究の目的は、我が国の職業構造や社会構造の変化を見ながら、社会に出て行く高校 生に対し、生徒の職業観や勤労観、使命感や倫理観、能力観や社会観に関する構造を確認すると共に、 今後、どのようなキャリア教育を実施すると効果的なのかということを明らかにすることである。ま た、教職員に関しては、キャリア教育に対する教職員の認識の構造を確認すると共に、生徒との認識 に差異があるかどうか明らかにすることである。. 2.方 法 ⑴ 調査対象と調査方法 2015年8月下旬、北海道にある公立A高校に協力を依頼し、生徒対象と教職員対象のもの2種類の 質問紙調査を実施した。生徒に関しては、 調査に同意して参加した生徒294人 (男子120人、 女子165人、 不明9人)のうち有効回答が得られた生徒294名のアンケート用紙を分析対象とした。回答の不備が あった2名分については、その回答項目の平均値を代入した。回答の不備に関しては、アンケート用 紙裏面の記入漏れが主な理由である。教職員に関しては、調査に同意して参加した教職員32人(教諭 30人、管理職1人、不明1人)のうち、有効回答が得られた教職員32名分のデータを分析対象とした。 回答の不備があった2名分については、その回答項目の平均値を代入した。回答の不備に関しては、 アンケート用紙裏面の記入漏れが主な理由である。また、サンプル数が32と少ないが、キャリア教育 に力を入れている学校の教職員であること、アンケート回収率が48.5%であったことから、結果を判 60.

(4) 高等学校におけるキャリア教育の検討. 断するのに十分ではないが今後の研究の出発点となると考えた。 ⑵ 調査内容 ① 生徒にキャリア教育が、どのように認識されているのかを調査するため、以下の質問紙を構成し た。「キャリア教育に関するアンケート」 (生徒用)は、 「高校生の進路選択と時間的展望」 (都筑 2014)にある調査用紙を参考に作成した。調査項目は、①職業観、②勤労観、③使命感・倫理観、 ④社会観、⑤能力観の5つのカテゴリーから構成されている。これら5つのカテゴリーにつき、各 5項目ずつ計25項目が選択され編集した。それぞれの項目について、 「5.とてもそう思う」 から 「1. 全くそう思わない」の5件法で回答を求めた。これらについて調査を行うことにより、キャリア教 育において職業観、勤労観、使命感・倫理観、社会観、能力観がどのように認識されているのか、 各価値観の育成に相関関係があるのかなどを明らかにする。 ② 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造を調査するため、以下の質問紙を構成した。 「キャリア教育に関するアンケート」 (教職員用)についても、 「高校生の進路選択と時間的展望」 (都筑 2014)にある調査用紙を参考に作成した。調査項目は、職業観の育成、勤労観の育成、使 命感・倫理観の育成、社会観、キャリア教育についての5つのカテゴリーから構成されている。こ れら5つのカテゴリーにつき、職業観の育成については6項目、その他については各5項目ずつ計 26項目が作成され、それぞれについて、 「5.とてもそう思う」から「1.全くそう思わない」の 5件法で回答を求めた。これらについて調査を行うことにより、教職員が考えるキャリア教育と育 成したい力の構造について明らかにし、今後どのような取り組みで、高校でのキャリア教育が充実 するのかについて検討する。. 3.結 果 ⑴ 生徒のキャリア教育で育成したい力がどのように認識されているのか 生徒のキャリア教育で育成したい力の構造を明らかにするために因子分析を行った。因子分析につ いては、最尤法によってpromax回転を行い、因子の適切な解釈の可能性を検討した。その結果、ア ンケート用紙作成時に想定された5因子構造での解釈が適切であると示された。しかし、分析前に筆 者が予想し作成したアンケート用紙での分類と因子分析における質問項目の分類に差異が出たため、 因子分析による5因子解にてキャリア教育で育成する力の再構成を行った上で分析することとした。 各因子の解釈にあたっては、通常、因子負荷量の絶対値が.350以上の項目を取り上げることが一般的 とされるが、項目内容のQ7とQ15を第1因子に入れた上で分析したいと考えたため、因子負荷量の 絶対値が.320以上の項目を目安とした。各因子の項目内容とpromax回転後の因子負荷量は表1に示 した。 第1因子は、「11.自分に任された仕事は、最後まできちんとやりたいと思う」 「12.志を持って仕 事をすることは大切であると思う」など6項目で構成され、 「粘り強さ」 「社会での守るべきルール」 を想定した項目であるため、この因子を「F1 使命感・倫理観」と命名した。第2因子は、 「22.自 分にも何か良いところがあるはずだ」 「24.自分はこれからもっと成長すると思う」など4項目で構 成され「自己肯定感」 「未来への展望」を想定した項目であるため、 この因子を「F2 肯定的な人生観」 と命名した。第3因子は、 「6.お金をもらうより、 人の役に立ったことのほうが嬉しい」 「9.将来、 誰かの役に立つ仕事がしたい」など4項目で構成され、 「働くということ」 「仕事のやりがい」を想定 61.

(5) 川本 賀信・瀬戸 健一. 表1 キャリア教育で育成したい力(生徒用)の項目内容と因子負荷量 No.. 項 目 内 容. F1. F2. F3. F4. F5. 共通性. F1 使命感・倫理観 Q11.自分に任された仕事は、最後まできちんとやりたいと思う. .919. -.146. -.077. .100. -.007. .709. Q12.志を持って仕事をすることは大切であると思う. .783. .003. .073. .018. .049. .685. Q13.人として、守らなければならないルールがあると思う. .655. .026. -.004. -.036. .013. .433. Q21.学校の成績だけが人としての能力の全てではないと思う. .441. .037. -.051. .162. -.020. .252. Q7.学級活動や係活動は重要であると思う. .341. .145. .259. -.152. .068. .328. Q15.人としてしてはいけないことは、絶対にしてはならないと思う. .327. .014. .121. -.148. -.159. .192. Q24.自分はこれからもっと成長すると思う. .066. .805. -.070. .027. -.127. .726. Q22.自分にも何か良いところがあるはずだ. .012. .675. -.062. .129. .000. .527. Q16.日本は夢のある国だと思う. -.034. .374. .085. -.067. -.019. .140. Q19.努力は必ず報われる世の中であると思う. -.064. .374. .257. -.010. .046. .231. -.055. -.001. .768. .035. .070. .543. Q9.将来、誰かの役に立つ仕事がしたい. .273. -.019. .542. .119. -.059. .594. Q10.働くことは、お金が全てではないと思う. .070. .104. .425. .101. .005. .314. Q8.他の人が嫌がることでも、皆の役に立つのであれば進んでやる. .239. .040. .394. .007. .013. .334. .174. .197. -.086. -.789. .099. .567. F2 肯定的な人生観. F3 勤労観 Q6.お金をもらうより、人の役に立ったことのほうが嬉しい. F4 職業観 Q5.自分がどの職業に向いているか、良く分からない. .082. .167. -.100. .647. .086. .530. -.015. .230. .025. .642. .076. .588. .100. -.051. .113. .592. .022. .410. Q25.能力は生まれつき決まっており、努力しても無駄だと思う. -.143. -.040. .080. -.116. .671. .512. Q23.どうせ人生の先は見えていると思う. -.129. -.003. .058. .071. .605. .364. Q18.お金さえあれば、幸せな人生を送ることが出来ると思う. .063. -.052. -.017. .010. .538. .299. Q17.正直者は損をすることが多いと思う。. .325. -.108. -.230. -.029. .408. .286. Q20.自分のことだけを考えて、他人に無関心な人が多いと思う. .075. .009. .122. .108. .361. .149. .289. .225. .103. -.254. .063. .222. -.163. .123. -.236. .053. .257. .179. Q1.自分には向いている職業があると思う Q3.これから自分の職業につくことが出来ると思う Q2.自分には憧れの職業がある F5 消極的人生観. 残 余 項 目 Q4.今よりもっと様々な職業について知りたいと思う Q14.ルールや法律を破らなければ、悪いことをしても良いと思う. した項目であるため、この因子を「F3 勤労観」と命名した。第4因子は、 「1.自分には向いてい る職業があると思う」 「2.自分には憧れの職業がある」など4項目で構成され、 「職種」 「適性」を 想定した項目であるため、この因子を「F4 職業観」と命名した。第5因子は、 「23.どうせ人生の 先は見えていると思う」 「25.能力は生まれつき決まっており、努力しても無駄だと思う」など5項 目で構成され、 「能力観」 「将来展望」を想定した項目であるため、この因子を「F5 消極的人生観」 と命名した。 ⑵ 生徒のキャリア教育で育成したい力の内的一貫性の検討 キャリア教育で育成したい力の信頼性(内的一貫性)を検討するためにα係数を算出し、表2に示 した。その結果、.634~ .741と、中程度の信頼性(内的一貫性)が確認された。. 62.

(6) 高等学校におけるキャリア教育の検討. ⑶ 生徒のキャリア教育で育成したい力(再構成)の構造 キャリア教育で育成したい力(再構成)の相関について分析した結果を表3に示した。表3から、 「F1 使命感・倫理観」と「F2 肯定的人生観」については.525、 また「F1 使命感・倫理観」と「F3 勤労観」については.526と中程度の相関があることが確認された。また、 「F2 肯定的人生観」と「F3 勤労観」の間にも.441と中程度の相関があることが確認され、 「F4 職業観」と「F1 使命感・倫理観」 の間は.333、「F4 職業観」と「F2肯定的人生観」の間は.307と弱い相関が確認された。しかし、 「F3 勤労観」と「F4 職業観」との間の相関は確認できなかった。 ⑷ 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造に関する再構成 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造を明らかにするために因子分析を行った。因子 分析については、最尤法によってpromax回転を行い、因子の適切な解釈の可能性を検討した。その 結果、アンケート用紙作成時に想定された5因子構造での解釈が適切であることが示された。しかし、 分析前に筆者が予想し作成したアンケート用紙での分類と因子分析における質問項目の分類に差異が 出たため、因子分析による5因子解にてキャリア教育で育成する力の再構成を行った上で分析するこ ととした。各因子の解釈にあたっては、因子負荷量の絶対値が.350以上の項目を採用した。各因子の 項目内容とpromax回転後の因子負荷量は表4に示した。第1因子は、 「8.働くということは、お金 を稼ぐことだけが目的ではないと教えていきたい」 「20. 努力は必ず報われる世の中であると教えたい」 など8項目で構成され、「勤労観」を想定した項目であるため、この因子を「F1 勤労観の育成」と 命名した。第2因子は、 「26.今後はキャリア教育を、 職員一丸となって一層充実させたいと思う」 「22. キャリア教育に対する教職員の協力体制は必要である」 など7項目で構成され 「キャリア教育の発展」 「キャリア教育の協働性」を想定した項目であるため、この因子を「F2 キャリア教育の充実」と 命名した。第3因子は、 「3.生徒にとって、職業体験は有効であると思う」 「2.生徒は、世の中の 職業についてもっと興味を持つべきであると思う」など6項目で構成され、 「職業観」 「将来性」を想 表2 再構成されたキャリア教育で育成する力の内的一貫性. α係数. F1 使命感   倫理観. F2 肯定的な  人生観. F3 勤労観. F4 職業観. F5 消極的な  人生観. .741. .677. .727. .772. .634. 表3 再構成されたキャリア教育で育成したい力の構造. F1 使命感   倫理観 F2 肯定的な   人生観 F3 勤労観 F4 職業観 F5 消極的な   人生観. F1 使命感   倫理観. F2 肯定的な  人生観. F3 勤労観. F4 職業観. F5 消極的な  人生観. ─. .525**. .526**. .333**. -.086. ─. .441**. .307**. -.131*. ─. .059. -.060. ─. -.093 ─ **p<.01, *p<.05. 63.

(7) 川本 賀信・瀬戸 健一. 表4 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造の項目内容と因子負荷量 No.. 項 目 内 容. F1. F2. F3. F4. F5. 共通性. 1.015. -.286. .021. .041. -.188. .920. .683 .670. -.287 .156. -.205 .025. .011 -.363. .121 .061. .358 .557. .635. .089. -.026. .251. -.087. .596. .482. .099. -.021. .134. -.117. .334. .453. -.054. .078. .295. -.112. .383. .365. .120. .103. .338. .186. .510. .359. .334. -.236. .232. -.125. .397. .259. .838. -.256. -.274. .111. .844. .534. -.709. -.174. .061. .156. .489. -.121. .618. -.172. .360. .021. .508. .024. .578. -.035. .001. -.224. .367. .132. -.534. -.222. -.139. .271. .434. .286. .409. .260. .002. .169. .583. -.249. .475. -.702. .168. .190. .647. .042. .323. .681. -.247. .107. .651. .190. .257. -.675. .223. -.034. .416. -.011. .172. .537. .152. -.134. .446. .338. .181. .434. .090. .302. .734. -.123. -.023. .392. .002. .065. .137. .215. .211. .364. .215. -.084. .500. .087. .231. -.008. .736. .080. .754. .108. -.088. -.217. .695. -.043. .443. -.197. -.361. .162. .492. .486. .610. -.048. -.072. -.044. -.063. 1.005. 1.000. -0.05. -0.17. 0.04. 0.05. 0.56. 0.34. F1 勤労観の育成 Q8.働くということは、お金を稼ぐことだけが目的ではないと教 えていきたい Q5.生徒には憧れの職業を持っていて欲しいと思う Q20.努力は必ず報われる世の中であると教えたい Q15.将来、志を持って仕事に取り組めるように指導することは大 切である Q7.学級活動や係活動はキャリア教育上重要だ Q6.生徒の将来について、生徒と話す時間がもっと欲しいと思う ことがある Q10.言われたことだけをすることが、仕事ではないということを 教えたい Q17.生徒に、日本は夢のある社会だと教えたい F2 キャリア教育の充実 Q26.今後はキャリア教育を、職員一丸となって一層充実させたい と思う Q25.学校のキャリア教育の取り組みに対し、負担を感じることが ある Q22.キャリア教育に対する教職員の協力体制は必要である Q1.高等学校で生徒に、様々な職業について教えることは重要で あると思う Q4.生徒は職業について知る必要はなく、大人になれば自然と身 につくものであると思う Q9.学校で働く意義を教えることは、必要であると感じている Q23.現在、教職員はキャリア教育に対し、教職員が業務を均等に 分担して、業務を遂行していると思う F3 職業観の育成 Q3.生徒にとって、職業体験は有効であると思う Q24.現在、教職員はキャリア教育の取り組みに対し、共通理解を 持って仕事に取り組んでいると思う Q14.人として守らなければならないものは、守るべきと指導して いる Q2.生徒は、世の中の職業についてもっと興味を持つべきである と思う Q11.人が嫌がる仕事でも、自ら進んで仕事をする人になって欲し いと思う Q13.道徳性について教えることは大切である F4 使命感・倫理観の育成 Q12.学校生活で任された仕事は、最後までやり遂げるよう生徒に 指導している Q16.他者の意見に流されるのではなく、人として正しいことを主 張するよう指導している Q18.正直者は損をすることが多いと思う F5 消極的な人生観 Q19.お金さえあれば、幸せな人生を送ることが出来ると思う Q21.自分のことだけを考えて、他人に無関心な人が多いと教える べきだ. 定した項目であるため、この因子を「F3 職業観の育成」と命名した。第4因子は、 「12.学校生活 で任された仕事は、最後までやり遂げるよう生徒に指導している」 「16.他者の意見に流されるので はなく、人として正しいことを主張するよう指導している」など3項目で構成され、 「使命感」 「倫理 観」を想定した項目であるため、 この因子を「F4 使命感・倫理観の育成」と命名した。第5因子は、 「19.お金さえあれば、幸せな人生を送ることが出来ると思う」 「21.自分のことだけ考えて、他人 64.

(8) 高等学校におけるキャリア教育の検討. に無関心な人が多いと教えるべきだ」の2項目で構成され、 「社会に対する考え方」を想定した項目 であるため、この因子を「F5 消極的な人生観」と命名した。 ⑸ 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造に関する内的一貫性の検討 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造の信頼性(内的一貫性)を検討するために、α 係数を算出し表5に示した。その結果、.562~ .810と、 中程度の信頼性(内的一貫性)が確認された。 しかしながらサンプル数が32しかないため、内的一貫性の値に差異が出ている。よって、内的一貫性 については、今後の検討する課題である。 ⑹ 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力(再検討)の構造 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造の相関について分析した結果を表6に示した。 表6から、「F1 勤労観の育成」と「F3 職業観の育成」については.643と中程度の相関があること が確認された。また、「F1 勤労観の育成」と「F2 キャリア教育の充実」の間は.337、 「F2 キャ リア教育の充実」と「F3 職業観の育成」の間は.299、 「F2 キャリア教育の充実」と「F5 消極的 な人生観」の間は.305、 「F4 使命感・倫理観の育成」と「F5 消極的な人生観」の間は.416と弱い 相関が見られた。しかし、 一方で、 「F1 勤労観の育成」と「F4 使命感・倫理観の育成」の間は-.088、 「F3 職業観の育成」と「F4 使命感・倫理観の育成」の間は.158と、 相関がないことが明らかになっ た。. 4.考 察 ⑴ 生徒のキャリア教育で育成したい力の構造の検討 キャリア教育で育成したい力の構造を分析した結果、生徒の職業観と勤労観の育成の間に有意な相 関は見られなかった。ここから、インターンシップや職業ガイダンス、進路ガイダンスなどで職業観 を育成したとしても、勤労観も必ず育成されるわけではないことが明らかとなった。したがって、教 職員は、職業観は職業観、勤労観は勤労観として認識し、育成する方法を考えることが重要である。 表5 再構成された教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造の内的一貫性. α係数. F1 勤労観の育成. F2 キ ャリア教育 の充実. F3 職業観の育成. .810. .742. .732. F4 使 命感・倫理 F5 消 極的な人生 観の育成 観 .562. .723. 表6 再構成された教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造 F1 勤労観の育成 F1 勤労観の育成 F2 キ ャリア教育の 充実 F3 職業観の育成 F4 使 命 感・ 倫 理 観 の育成 F5 消極的な人生観. ─. F2 キャリア教育 F4 使命感・倫理 F5 消極的な人生 F3 職業観の育成 の充実 観の育成 観 .643** -.088 -.124 .337+ ─. .299**. .219. .305+. ─. .158. .156. ─. .416* ─ **p<.01, *p<.05, +p<.10. 65.

(9) 川本 賀信・瀬戸 健一. 勤労観と使命感・倫理観、勤労観と肯定的な人生観の間には中程度の相関が見られた。ここから勤 労観を育成するためには、普段の学校生活や部活動を通じて使命感や倫理観を育成することが有効で あることが明らかとなった。また、肯定的な人生観とも中程度の相関があったことから、普段の学校 生活や部活動中に褒めることや、未来に希望を持たせることも重要な要素だと確認された。 一方、職業観と使命感・倫理観、職業観と肯定的な人生観の間には、弱い相関が見られた。ここか ら、普段の学校生活を通じて育成することも不可能ではないが、関連性が弱く、職業観については、 特に職業を意識して育成する必要があることが分かった。また、 各項目と消極的な人生観については、 ほぼ相関が見られなかった。ここから、高等学校にてキャリア教育を実践する場合は、生徒の消極的 な考えの影響はほとんどないと考え、実践してよいことが明らかとなった。 以上のことから、教職員が生徒の職業観や勤労観を育成するためには、職業や進路について教えた り考えさせたりすることも重要であるが、 普段の学校生活や部活動を通じて使命感・倫理観の育成や、 褒めることによる肯定的な人生観の育成にも注目すべきであるということが明らかになった。 ⑵ 教職員が考えるキャリア教育と育成したい力の構造の検討 教職員のアンケートに関しては、サンプル数が32と少ないことから、はっきりと結論付けるには限 界がある。この点については、今後調査研究を継続する必要がある。その上で、教職員へのアンケー ト調査の結果から、教職員は職業観の育成と勤労観の育成について中程度の相関があると考えている ことが分かった。これは、普段の学校教育の中で、キャリア教育で大切なことは、職業観や勤労観の 育成であるという内容を教職員が耳にしているからであると筆者は判断している。 キャリア教育の充実と勤労観の育成、職業観の育成については弱い相関が確認された。教職員は、 キャリア教育を充実させると生徒の職業観や勤労観の育成に少し関連があると考えていることが明ら かとなった。強い相関が確認されなかったことを考えると、教職員がキャリア教育の効果について、 はっきりとしたものを得ることができていないと考えられる。キャリア教育の効果についての指標も 今後検討する必要がある。 一方、使命感・倫理観の育成と勤労観の育成、職業観の育成、キャリア教育の充実に関しては、相 関が見られなかった。この点が生徒の認識と最も異なる部分である。したがって、教職員は、生徒の キャリア教育に対する認識構造を正確に把握した上でキャリア教育を行うことにより、より効果的な キャリア教育の実践につながると筆者は判断している。 消極的な人生観については、使命感・倫理観の育成と中程度の相関が見られた。教職員で消極的な 人生観に分類された質問項目は、 「Q19.お金さえあれば、幸せな人生を送ることができる」と「Q 21.自分のことだけを考えて、他人に無関心な人が多いと教えるべきだ。 」など、社会を大人として 冷静な視点で見ている項目であった。ここから、教職員は使命感・倫理観の育成も重要であるが、ど こかで社会に対し冷静な視点も持つ必要があると判断していることが明らかとなった。また、同様に キャリア教育の充実と消極的な人生観との間に弱い相関が見られた。ここから、キャリア教育を充実 させることも重要であるが、その一方で教職員は厳しい社会を生き抜いていくための冷静な視点も重 要であると考えていることが明らかとなった。 ⑶ 生徒のキャリア教育で育成したい力の構造と教職員が考えるキャリア教育と育成したい力構造の 比較 生徒のキャリア教育で認識された育成したい力(再構成)の構造と教職員が考えるキャリア教育と 66.

(10) 高等学校におけるキャリア教育の検討. 育成したい力(再構成)の構造を比較すると、生徒は職業観の育成と勤労観の育成に関して相関がな いが、教職員は職業観の育成と勤労観の育成に関して相関があることが明らかとなった。この認識が 最も異なる点であった。また教職員は使命感・倫理観の育成と職業観の育成や勤労観の育成の間に相 関が確認されなかった一方で、生徒は使命感・倫理観の育成や肯定的な人生観の育成と職業観や勤労 観の育成の間に相関が確認された。この点についてキャリア教育を行う上で検討すべきである。 ⑷ 今後の高等学校におけるキャリア教育の検討 以上のことから、高等学校において効果的なキャリア教育を行うためには、普段の学校生活におい て使命感・倫理観の育成や肯定的な人生観の育成にも注目することが重要であることが明らかとなっ た。具体的には、 職業体験やインターンシップ、 校内進路ガイダンスなどに重点を置くだけではなく、 普段の学級活動や委員会活動、部活動などを通して勤労観や使命感・倫理観を育てることや、普段の 授業の中で職業観や肯定的な人生観を育てることも重要なキャリア教育の一部であると教職員が認識 することが必要である。また、生徒の職業観と勤労観が認識の中で結びついていないことから、職業 観育成の手立てとして何を行うのか、勤労観を育成する手立てとして何を行うのか、1つずつ検討し た上でキャリア教育を行うことが効果的であると本研究では結論付けた。 研究上の課題として、 今回の調査は基礎研究であり、 実践の部分で不十分な面がある。したがって、 今後学校現場にてこの調査結果を元にキャリア教育の実践を行い、その結果について調査研究を継続 する必要がある。また、 教職員のデータに関しては十分な回答数が得られず、 数的処理を行った結果、 内的一貫性の値に差異が出ている。したがって教職員に関する調査については、今後調査研究を継続 する必要がある。. 5.謝 辞 本研究は、北海道教育大学・教職大学院のマイ・オリジナルブックの一部をまとめなおした研究で ある。調査研究に協力いただいた北海道A高等学校の教職員の皆様、そして生徒の皆様に感謝申し上 げます。またご指導いただきました北海道教育大学・教職大学院の先生方に厚く御礼を申し上げます。 引用文献 中央教育審議会 1999 初等中等教育と高等教育との接続について(答申),第6章. 経済産業省 2003 若者自立・挑戦プラン「若者自立・挑戦戦略会議」,P1. 文部科学省 2014 学校基本調査─平成26年度(確定値)結果の概要─〈https://www.mext.go.jp/component/b_ menu/other/__icsFiles/afieldfile/2014/12/19/1354124_1_1.pdf〉(2020年8月28日) 中村正義 2012 「キャリア教育の今日的展開と課題」 『教育におけるアドミニストレーション』第14号(2012年3 月) ,P11. 労働政策研究・研修機構 2012 大都市の若者の就業行動と意識の展開─「第3回 若者のワークスタイル調査」 から─ 労働政策研究報告書No.148,P20. 都 筑 学 2014 「 高 校 生 の 進 路 選 択 と 時 間 的 展 望 ─ 縦 断 的 調 査 に も と づ く 検 討 ─ 」 ナ カ ニ シ ヤ 書 房,Pⅰ, P192-P220.. 67.

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参照

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