思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育
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(2) 平成 2 5{ I 8月. 北海道教育大学紀要(教育科学編)第 6 4巻 第 1号 J o u r n a lo fHokkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n( E d u c a t i o n ) Vo . l6 4,No. l. ご. August,2 0 1 3. 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健一*・古川. 知志**. 北海道教育大学教職大学院 *北海道教育大学附属札幌小学校 枠札幌市立美しが丘緑小学校. As t u d yo fm a t h e m a t i c se d u c a t i o nt of o s t e rt h ea b i l i t yt ot h i n k, t omaked e c i s i o n s,t oe x p r e s st h e m s e l v e s OKUBOKazuyoshi,SUZUKIF u j i o ,TAKAHASHIK e n i c h i *,FURUKAWA S a t o s h i料. AdvancedTeacherP r o f e s s i o n a lDevelopment ,H okkaidoU n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n n i v e r s i t yo fE d u c a t i o n * S a p p o r oE l e m e n t a r yS c h o o la t t a c h e dt ot h eF a c u l t yo fE d u c a t i o n,HokkaidoU 料. S a p p o r oU t u k u s h i g a o k a m i d o r iE l e m e n t a r yS c h o o l. 要旨 PISAや TIMSSの学力の国際比較調査等から,日本の児童生徒の学力の現状として,特に思考力・判断 力・表現力等を問う読解力や記述問題,知識・技能を活用する問題に課題があることが示された。この傾向 は全国学力・学習状況調査でも続いており,平成 24年度の調査では,算数・数学で基礎的な知識や技能の習 得を測る A問題と比べて,知識や技能の活用を測る B問題に「算数の用語を用いて事象の関係を理解したり, 適切に表現したりすること J 1"方法や理由を言葉や数を用いて記述する際,場面の状況や問題の条件に基づ いて,必要な事柄を過不足なく記述すること」に課題があることが指摘された。文部科学省ではこの問題に 対応するため,平成 20年に出された中央審議会答申において,「各教科等における言語活動の充実」を示した。 本研究では,問題解決の授業を通して児童が自分の考えを整理して発表,仲間と議論し,自分たちで創りあげ ていく主体的な授業を通して思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育の在り方について論じる。. 1.はじめに PISAの国際比較調査や全国学力・学習状況調 査等から,日本の児童生徒の課題として次のこと. ②読解力で成績分布の分散が拡大しており,その 背景には家庭での学習時間などの学習意欲,学 習習慣・生活習慣に課題 ③自分への自信の欠如や自らの将来への不安,体. が挙げられる。. 力の低下といった課題. ①思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述. これらの課題を克服するため,中央教育審議会. 問題,知識・技能を活用する問題に課題. 0 年に出さ では,平成 20年の答申において,平成 1. 2 5 1.
(3) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川 れた前回の学習指導要領と同様に「生きる力を育. 知 , む. 点が大幅に上昇するなど改善傾向が見られた。. む」ことを基本方針とし,上記のような児童・生. その一方で,各リテラシーともに,世界トップ. 徒の課題を踏まえ,基礎的・基本的な知識・技能. レベルの国々と比べると依然として成績下位層の. の確実な習得とともにそれらを活用して課題を解. 生徒の割合が多いこと,知識の活用や資料を分析. 決するための思考力・判断力・表現力等の能力の. して論理的にまとめることにおいて課題のあるこ. 育成,主体的に学習に取り組む態度を養うこと,. とも判明した。. さらに,個性を生かす教育の充実を大切にした指. また,読解力については,必要な情報を見付け. 導を求めている。([1J)思考力・判断力・表現力を. 1 情報へのアクセス・取り出 出し取り出すこと (. 育成するために,各教科において,観察・実験や. ) は得意であるものの,情報相互の関係性を しJ. レポートの作成,論述といった知識・技能を活用. 理解して解釈したり,自らの知識や経験と結び付. する学習活動を行うことが提唱された。それを受. けたりすること (1統合・解釈J 1熟考・評価 J). けて,総説の算数科改訂の基本方針の中で,数学. が苦手であることが指摘された。. 的な思考力・表現力の育成に関して,「根拠を明. さらに,数学で学ぶ内容に興味のある生徒の割. らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言. 合が国際平均値より低く,数学の学習に対する不. 葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を. 安を感じる生徒の割合が国際平均値より高かった。. 理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,. 9 9 8年告示 この調査の対象は,高校 1年生で, 1. 自分の考えを分かりやすく説明したり,互いの考. の学習指導要領(総合的な学習の時間の創設,「ゆ. えを表現し,伝え合ったりすることなどの指導を. とり教育」の始まり)による教育,完全学校週 5. 充実する。」とされている。これらのことを勘案し,. 日制による教育を体験した生徒であり,. PISA. 本稿では,算数科の授業における思考力・判断. ( 2 0 0 3 ) の結果を踏まえ,表現力,論理的思考力. 力・表現力の育成を目指し,実践を交えた研究の. 等の活用する力や態度を重視する「新学力観」に. 成果を述べる。. よる教育を受けた生徒である。 また, 2011年に IEA(国際教育到達度評価学会). 2 . 学力調査が示す算数・数学科の課題. が実施した TIMSS (国際数学・理科教育動向調 2 0 0 7 ) と比べると,算数におい 査)では,前回 (. ( 1 ) PISA (学習到達度評価), TIMSS (国際数. ては平均点が有意に上昇し,国際的にも上位に位. 学・理科教育動向調査)等の国際的な学力調査. 置している。また,習熟度の低い児童の割合が減. の結果. 少,習熟度の高い児童の割合が上昇している。数. OECD (経済協力開発機構)が実施した PISA. 学では平均得点は前回調査と同程度で,習熟度の. (学習到達度評価)調査では,義務教育修了段階 の生徒(日本は高校 1年生)が獲得した知識や技. 高い生徒の割合が増加しているという結果となっ ている。. 能の活用力を評価している。特に,「思考プロセ. 大きな課題としては,算数・数学に関する意識. スの習得,概念の理解や様々な状況でそれらを生. 調査で,算数・数学の勉強が楽しい,算数・数学. かす力を重視 J([2J)している。. の勉強が好きだ,算数・数学の勉強に自信がある. PISAの調査 ( 2 0 0 9 ) において,ここ数年低落 傾向にあった日本の子どもの学力は,読解力,科. と思う子どもの割合が国際平均値を大きく下回っ ていることが挙げられる。. 学的リテラシー,数学的リテラシーの全分野で, 2 0 0 6 ) の平均得点を上回り,国際順 前回 PISA (. ( 2 ) 全国学力テスト(全国学力・学習状況調査). 位も上昇の傾向にあることが明らかになった。こ. の結果. のうち,読解力については,前回と比べて平均得. 一方,この国際学力調査の結果を踏まえて,国. 2 5 2.
(4) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. 内においては, 2008年から全国学力・学習状況調. 度を育てる J,また,中学校では「活用したり判. 査(悉皆調査)を継続して実施したが,その中に,. 断したりしようとする態度を育てる」を掲げ,思. 「基礎的・基本的な知識・技能の活用」をみる問. 考力,判断力,表現力等の重要性を打ち出し,各. 題(小学校算数 B,中学校数学 B) を出題して,. 学校での取組を強化してきたにもかかわらず十分. 思考力,判断力,表現力などの応用力の育成の重. な成果が上がっていないことを示している。. 要性を明確にしようとした。したがって,この小. この学力テストの結果が示した学力に関する課. 学校算数 B (B問題)と中学校数学 B (B問題). 題をどのように克服するのか,多くの学校におい. は , PISAの調査も視野に入れながら質の高い問. て,一人一人の教師の積極的な学力向上への取組. 題を開発した上での全国的な学力調査となってい る。([3]). がなされ,その成果についても論議されているこ. ここで, 2012年に実施した全国学力・学習状況. その論点は,子どもの学習意欲や幅広い学習体. 調査結果(抽出調査)をもとに,日本の小学校第. 験,そして,質の高い学力(質の高い基礎的な知. 6学年の児童と中学校第 3学年の生徒の算数・数. 識や技能の獲得も含む)の育成や国内外の学力調. 学の学力について,文部科学省が全国の学校に配. 査の示す算数・数学の学力に関する課題に焦点を. 2 0 1 2年 8月) I平成 24年 度 全 国 学 力 ・ 付した (. 当てたものになっている。. 学習状況調査調査結果のポイント」に基づいて, 学力形成と学力向上に関する課題を怖服する。 まず,小学校算数における「課題等 J (全体的 な状況)の中で, B問題の課題として, -算数の用語を用いて事象の関係を理解した. とは女子ましいことである。. また,この論議の中で,課題が生じた要因の 1 っとして,論理的に思考したり,それをまとめて 記述したりする表現力の育成に不可欠な問題解決 を課題とする授業や探求型の授業の不足等につい ても指摘されている。. り,適切に表現したりすること -方法や理由を言葉や数を用いて記述する際, 場面の状況や問題の条件に基づいて,必要な事. 3 . 算数・数学教育で求められるもの. 柄を過不足なく記述することを指摘している。. 前章で国際的な学力調査や教育課程実施状況調. 次に,中学校の数学における「課題等」では,. 査の結果から算数・数学教育における課題を挙げ. ・数学的に表現したり,数学的に表現された事. た。これらの課題の解決を含めて,算数・数学教. 柄を読み取ったりすること -扇形の面積や多角形の内角の和,正多角形の. 育の目指すべき方向として次のことが考えられ る 。. 外角の性質など,図形の内容を関数の視点から. 算数・数学を学ぶことの意義や有用性,社会全. 動的な関係としてとらえることにおいて,小学. 般における数学の果たす役割についての認識を高. 校算数と同様に B問題に課題のあることを指摘. めるためには,既存の算数・数学を学ぶという児. している。. 童・生徒に取って受け身の姿勢ではなく,問題の. 以上のことから,日本の子どもの算数・数学の. 設定や学んだことの活用等,もっと算数・数学を. 学力の状況は,思考力・判断力・表現力等活用力. 他教科や日常の生活に関連づけることが必要と考. (B問題)に関して,小学校,中学校ともに,論. える。即ち,事柄や場面を数学的に解釈すること,. 述や記述によって数学的に表現したり,数学的に. 数学的な見方や考え方を生かして問題を解決する. 表現されたものを理解したりすることに課題があ. こと,自分の考えを数学的に表現する等の力を育. るととらえることができる。. てることが求められる。そのためには,算数・数. この結果は,これまで学習指導要領改訂により, 小学校の目標に「進んで生活や学習に活用する態. 学の学習では,問題解決の授業を基本とすること 2 )に述べる。) が大切と考える。 (4(. 2 5 3.
(5) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川 学習した内容を活用できる力に育てるために. 知 , む. 題解決の指導を重視する探究的な授業における表. は,算数・数学の基礎的・基本的な内容・技能の. 現力(広い意味での言語活動)育成の窓口から,. 確実な定着が必須であり,そのためには,算数・. 指摘されている日本の子どもの学力問題を克服す. 数学の内容の系統性を重視しつつ,学年間や小中. る方策を明らかにしていきたい。そのためには,. 学校間で内容の一部重複させて,発達や学年の段. 学力偏重の詰め込み教育に振り子を戻すのではな. 階に応じて,反復して学習することが効果的であ. く,自ら学び,問題を解決する能力を育成すると. る。そのためには,学校においても学年を超えた. いう,その大きな道筋を見失うことなく,克服の. 教師聞の連携,異校種間での学びを把握すること. 方策を探ることを基本的な方向とすることが大切. が必要である。. である。. PISA等の調査結果で,読解力に関して「統合・. それは,子どもが問題解決に取り組んだり,探. 解釈J 1"熟考・評価」に課題があること,また,. 究的に学習を進め,思考力や判断力,表現力の育. 全国学力・学習状況調査では,思考力・判断力・. 成が図られたりする過程で,基礎・基本に裏打ち. 表現力等活用力に関して,数学的に表現したり,. された高度で確かな学力が形成を求めるものであ. 数学的に表現されたものを理解したりすることに. る 。. 課題があることが示された。これらに関しては, 数学的な思考力・表現力は,合理的,論理的に考. ( 1 ) 思考力・判断力・表現力の歴史的変遷(学習. えを進めるとともに,互いの知的なコミュニケー. 指導要領土). ションを図るために重要な役割を果たすものであ. 思考力・判断力・表現力の歴史的変遷(指導要. り,そのため,数学的な思考力・表現力を育成す. 領土)思考力・判断力・表現力が取り上げられた. るための指導内容や活動を具体的に示すことが指. のは平成元年に改訂された学習指導要領からであ. 摘されている。特に,根拠を明らかにし筋道を立. る 。. てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,. 平成元年から学習指導要領で総則の目頭にはじめ. 表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを. て学力観が示され,「個性を生かす教育の充実」. 適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分. を目指し,. かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現 し伝え合ったりすることなどの指導を充実するこ とが求められている。 今次の学習指導要領の改訂では,基礎的・基本 的な知識・技能を確実に身に付けるとともに,数. ①社会の変化に主体的に対応できる能力の育 成 」 ②「基礎的・基本的な内容の指導の徹底」 が求められ,思考力・判断力・表現力は,①に位 置づけられた。. 学的な思考力・表現力を育て,学ぶ意欲を高める. 0年の改訂では,基本的には平成元年と同 平成 1. ことをねらいとして,小・中・高等学校を通じて,. じであるが,教育の基本方針として「生きる力の. 発達の段階に応じ,算数的活動・数学的活動を一. 育成」が掲げられ,. 層充実させることが示された。これらの目的を達. ①自ら学び自らが考える力の育成」. 成するために具体的にどのような活動を行うこと. ②「基礎的・基本的な内容の確実な定着」. が効果的かの実践とその検証が求められる。. が求められ,思考力・判断力・表現力は,①に位 置づけられた。. 4 . 算数・数学科における思考力・判断力・表 現力等の育成 本研究では,これらの問題の克服に向けて,問. 254. 0年の改訂では,「生きる力の育成」を基 平成 2. 0 年と同じだが, 本に据えていることは,平成 1 ①「基礎的・基本的な知識および技能の確実な 習得」.
(6) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. ②「これらを活用して課題を解決するために必. れらの内容が課題であり,問題解決(知識を獲得. 要な思考力,判断力,表現力等の諸能力をは. したり,深めたりする)の際の原動力である。問. ぐくむ」. 題解決は,子どもの課題をもとに,この課題を変. とあって,さらに「主体的に学習に取り組む態度. 化させながら,子どもがつないでいく学習によっ. を養う」ことが掲げられ,これらのことを実現す. て具体化する。したがって,子どもの問題解決(学. るために「言語活動の充実」と「学習習慣の確立」. び)とは,課題を変化させ続けることであるとい. が加えられた(山). える。 例えば,小学校 2学年の指導内容に長さの概念. ( 2 ) 問題解決の指導を基本的な課題とする. 算数・数学の学力に関する課題を克服し,思考 力,判断力,表現力などの活用力の育成は,子ど. と測定についての学習がある。次のように,問題 (場面)提示を工夫して,教師が「一番長いテー プはどれか」を問うこととする。. もの一人一人が自分の世界(算数・数学の世界) を広げる学びによって可能になる。この自分の世 界を広げる学びでは,「できた J I分かった」など の感情が伴い,また,子どもの可能性や創造性が 発揮される。さらには,新たな世界を創りだして いることを実感する。 子どもが自ら学び,学ぶ意欲や成就感を感得す る学びは,子どもの問題解決を中核に位置付けた 授業と子どもの問題解決を指導する教師一人一人 の力量発揮の過程でなし得るものである。 ところで,子どもの問題解決とは,「子どもの 頭の中にある知識や体験のファイルを 1ページず. 子どもたちは 3本のテープの長さ比べをする. つめくり,自分の問題解決に必要な情報を選び出. が,一部を覆い隠すことによって(問題提示の工. し,新しい知識に作り変えている学び」である。. 夫),色,太さ,材質等の属性を捨象して長さの. このような子どもの問題解決に焦点を当てた授. 概念を導き出す。また,長さの測定の基本である. 業は,問題解決の手法や手順(問題解決の方略な. 一方を揃えることの必要性にも気付く。また,こ. ど),問題解決を試みようとする積極的な態度の. の学習に長さをつなげる活動を組み込むと長さの. 育成と共に,問題解決の過程において,豊かな算. 保存性や加法性の学習にも発展する。. 数・数学の内容(数学的な考え方など)を獲得す るような指導によって実現する。 まず,問題解決を実行する上で最も重要な子ど. この活動では,子どもが自らの長さに関する ファイルを聞き,問題の内側に存在する長さの概 念を発見するという問題解決を実行する。. もの課題について明らかにする。問題解決を重視. ここで問題解決の過程であるが,多くの学校に. する授業では,一般的には教師から問題が提示さ. おいて,ポリヤの,問題の理解,計画,実行,振. れる。それは,多様な価値を内包し,子どもが働. り返る,の 4段階をイメージして実践が行われて. きかけ,感じたり,考えたりする内容である。ま. いる。とくに,子どもの主体的,能動的な学びを. た,子どもの生活経験や体験,既有の知識と結び. 引き出す上で,問題理解における「解決の見通し」. ついて,疑問や矛盾,驚きや感動く知的好奇心〉. や「解決の振り返り」に重点をかけた授業展開を. が宿っている。. 試みる実践は,算数・数学の授業改善に熱心に取. 教師が提示した問題(対象)の中に存在するこ. り組む教師の聞において共通の課題となってい. 2 5 5.
(7) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川. 知 , む. る。その教師の間では,問題解決の過程を子ども. 指導の課題としたい。この思考の多様性は,子ど. 自らが用いることができるように,繰り返し,繰. もたちによる協力的で相補的な学び合い(話し合. り返し日々の授業の中に位置づけ,その定着を. い活動)の可能性も聞き,学びの深化も期待でき. 図っている。. ることから充分に時間をかけて育てる必要があ る 。. ( 3 ) 思考の多様性に着目する. 豊かな学びは,子どもが本来持っている知的好. なお,この思考の多様性については,古藤らの 研究が,問題解決の中で多様に出てくる子どもの. 奇心や向上心などを動かし,子どもの思考(見方・. 思考(考え)を生かし,よりよい考え方にまとめ. 考え方)の多様性をひらくことによって実現する。. ていく授業提案として明らかにしている。 ([5J). 例えば,小学校算数(5学年)の学習内容に, 台形の面積を求める活動がある。子どもの思考活. ( 4 ) 思考やその過程を表現する力を育てる. 動が十分になされないまま,教師から一方的に求. 算数・数学の学習において,思考力を育てる取. 積公式を指導する実践がある。この学習を終えた. 組は,小学校の算数学習における多様な思考活動. 子どもたちに台形の求積公式を尋ねると,その多. とそれを表現する活動から始まる。子どもの持っ. くは「覚えているおそして(上底+下底×高さ. ている知識や体験をもとに自由に思考させる。そ. :2)と答える。しかし,面積を求める学習の面. して,この思考の過程で生まれた様々な見方,考. 白さや公式の持つ数学的な見事さを指摘する子ど. え方,数学的なアイデイア等を表現する。算数・. もは存在しない。. 数学特有の図や数式,去やグラフなど,広い意味. これに対して,これまでに獲得した求積に関す. での言語活動の充実を図る。比較や分類,関係づ. る知識や経験をもとに,子ども自身で工夫して公. 寅鐸的な思考 けといった思考するための技法や ,i. 式を創りだすことを大切にした指導がある。この. や帰納的な思考をはじめ,数学的な考え方を活用. 学習を経験した子どもたちは,「台形を,長方形. する活動を授業の中に積極的に取り入れることも. や三角形に分けて求めることができた J 1"この考. 重要である。. え方を使うとどんな形も面積を求めることができ. また,子どもの問題解決における思考やその過. る」・・・・など,多様な 思考を駆使して公式を作り. 程を文章で記述(表現)したり,あるいは学びの. 上げた過程を説明する。また,この学びに対する. 過程を振り帰り,それを文章で記述したりする活. 喜びゃ,「もっとやってみよう」という意欲,そ. 動も大切にしたい。さらには,それらを基に,お. して,自分の学び広げていることへの喜びも表現. 互いに説明し合い,その内容を数学的な価値に基. する。. づいて検討し深めることによって学びは確かなも. 4. この後者のような子ども自らが創りだす学習を. のになる。. 学校における授業の実践課題としたい。子どもの. このような表現力育成に向けての取り組みは小. 思考の多様性(自由性)が発揮され,思考や表現. 学校の段階から,日常の実践の中で積み上げてい. の視野を広げ,内容の豊かさも増す。その思考の. くことによって,やがては,数学の最終目標であ. 多様性や自由性は,算数・数学の本質に直結する. る高度な論理的な思考の育成につながる。. ともに,子どもの問題解決を主体的なものにする 要素を含んでいる。 そこで,子どもの思考活動が活発になされる場. ( 5 ) 小学校算数から中学校数学への接続を考慮す. る. 面(個々の解決,自力解決の場)における教師の. 高学年になると中学校を見据えて次第に具体か. 指導性を,それは,思考の多様性の中に存在する. ら抽象へと移っていき,抽象的,数学的な表現を. 独自性や価値性の発見など,適切な評価を教師の. 用いた問題解決ができるように方向を目指すこと. 2 5 6.
(8) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. S= 2x47 2+ 8x47 2. になる。 例えば,小学校では三角形の内角の和を求める 方法として,分度器で測定して和を求めたり,. 3. つの角を合わせることによって 1直線になること. 8 0度になることを理解する。一方で中学校 から 1 では,平行線と角の性質を使い,論理的に説明さ れることになる。 ピアジェの論でも,小学校高学年から中学校に かけて形式的操作が可能な時期に移っていく時期. ②台形を 2つ合わせて平行四辺形を作る. S=(2+8)X472 ③台形を等積変形によって平行四辺形を作る. S=(8+2)x(472) ④台形を長方形に変形する. S=(2+8)72X4 これらの考え方から,児童に共通していること の発見として,以下が考えられる. とされており,そのような段階で論理的な根拠を. .x4が共通しであること. もって説明する方向に移っていくことが大切であ. ・ ム 2がどの式にもあること. る。そのためには小学校から算数的活動を通した. .2+8がみえること. 根拠を元に説明できる力を付けていくことが必要. これらを用いて,台形公式. であろう。 ( 3 )とも関連させて具体的な例を挙げよう。. 0. S= (上底+下底)x高さ 72 が導かれる。. 5学年で前時までに平行四辺形や三角形の面積公. これらの学習で大切なことは,自分の考えを論. 式を求める手順を基に台形の面積公式を求める授. 理的に表現し,仲間に自分の考えを正確に伝えら. 業を考えよう。. れる力を身につけていくこと,様々な考えを仲間. 前時までの授業では,求める図形を既習の面積を. との議論を通して整理し,よりよいものにまとめ. 求められる図形に変形(等積,倍積変形)し,公. 上げていく力を育てることである。このような力. 式を求めることを行ってきている。手順としては,. を付けていくことによって,中学校に進学したと. 次のことが考えられる。. きも,より抽象的な場合でも根拠をもって論証で. ①底辺と高さを数値で与えて,その数値を用いて. きる力を身つけていくことになる。. 既習の面積を求められる図形に変形して面積を 求める。 そのときに,求める考え方を自分の言葉,図, 式などで説明できるようにすることが大事であ る 。 ②数値を言葉(用語)に置き換えて言葉の式とし て表す。 ③他の人との共通点を見いだして,面積を求める. 5 . 言語活動の充実を図る 言語活動の充実が福われた背景としては,今次. 0 0 6年に 学習指導要領の改訂の要因となった 2. PISA国際比較調査結果が公表されたことによる ところが大きい。. 2でも述べたように, 2 0 0 6年 に 実 施 さ れ た. 公式として表す。. PISA調査の結果からは,我が国の子どもたちの. 台形の面積公式を求めるに当たっては,例えば,. 学力は,全体としては国際的に上位にあるものの,. 上底,下底,高さ(用語は最初に説明)の長さを. 読解力の低い層の生徒の割合が増加したことや記. 与えて,それらの数値を使って,面積を求める。. 述式問題に課題があることなどが指摘された。具. 例えば,上底 2 cm,下底 8 cm,高さ 4 cmの. 体的には,読解力については,必要な情報を見付. 台形としよう。このとき,児童が解決するために. 1情報へのアクセス・取り け出し取り出すこと (. 考える方法としては,前時までの活動を通して,. ) は得意であるものの,情報相互の関係性 出し J. 児童の考えとして以下のようなことが考えられる。. を理解して解釈したり,自らの知識や経験と結び. ①図形を 2つの三角形に分ける. 付けたりすること (1統合・解釈J 1熟考・評価 J). 257.
(9) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川 が苦手であることが指摘された。. 知 , む. 力等の能力を育むこと,主体的に学習に取り組む. 2007 年に改正された学校教育法で学力の重要な. 態度を養うことが大切であるとしている。山口ま. 要素として次の 3つが示され,その 1っとして思. た,その際,思考力,判断力,表現力等の能力を. 考力・判断力・表現力がある。. 育むという目的を達成するための手段として,児. ①基礎的・基本的な知識・技能. 童の言語活動を充実させることが大事だとしてい. ②知識・技能を活用して課題を解決するために必. る 。. 要な思考力・判断力・表現力等 ③主体的に学習に取り組む態度 また,新学習指導要領における言語活動の充実. 言語活動による表現とは,言葉による表現だけ ではなく,算数・数学では,言葉,数式,図,表, グラフを用いて問題を解決したり,自分の考えを. に関しては,各教科等において思考力,判断力,. 分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表. 表現力等を育成する観点から,基礎的・基本的な. 現し伝え合ったりすることを意味する。. 知識及び技能の活用を図る学習活動を重視すると. また,考えを表現する過程で,そのよさや誤り. ともに,言語環境を整え,言語活動の充実を図る. に気付いたり,筋道を立てて考えを進めたり,よ. ことに配慮することが求められている。. りよい考えを作ったりすることができるようにす. 2008 年 1月の中央審議会答申「幼稚園,小学校,. ること,様々な考えを出し合い,お互いに学び、合っ. 中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要. ていくことができるようにすること,問題を解決. 領などの改善について」において,「各教科にお. したり,判断したり,推論したりする過程におい. ける言語活動の充実」が示され,『言語活動の充. て,見通しをもち,筋道を立てて考えたり表現し. 実に関する指導事例集』が作成された。この中で,. たりする力を育むことが重要であり,その際,帰. 山中丈部科学省初等中等教育局長は,「言語は知. 納的な考えや類推的な考え ,i 寅鐸的な考えを用い. 的活動(論理や思考)の基盤でもあり,豊かな心. ることができるようにする指導が大切である。. を育む上でも,言語に関する能力を高めることが. 種々の学力調査が示す学力形成及び学力向上に. 重要であり,新しい学習指導要領においては,各. 関する実践について,問題解決の指導を基本課題. 教科等において言語活動を充実することとしてい. として,思考力や判断力,表現力育成の視点から. ます。言語活動について,国語科で、培った能力を. 考察してきた。それは,教師が問題に対して疑問. 基本に,すべての教科等において充実するために,. や問いの発生,問題の理解,解決の実行,新たな. 言語活動の充実に関する基本的な考え方や言語の. 疑問や聞いの確認など一連の問題解決の流れの中. 役割を踏まえた言語活動の充実を解説するととも. で育成されるものである。. に,優れた指導事例を収録しました。」としている。 算数・数学科での言語活動の充実に関しては, 先に述べたように. P I S Aの調査結果とともに,全. 1 9 9 5年実施の TIMSS (国際数学・理科教育調 8カ国中 査)において,アメリカの学力は参加国 4 2 8 位(日本 3位)という結果が明らかになった。. 国学力・学習状況調査の結果も大きく影響してい. この結果の理由として,「米国の数学授業がきわ. る。今までの調査で,例えば,資料や情報に基づ. めて限定的であり,手順的技能という非常に狭い. いて自分の考えや感想、を明確に記述すること,日. 幅の中にほとんどが集中しているん「反復練習を. 常的な事象について,筋道を立てて考え,数学的. 通して個々ばらばらな技能の獲得のために授業時. に表現することなど,思考力・判断力・表現力等. 間の大部分を費やしている」ことを指摘し,その. といった「活用」に関する記述式問題を中心に課. 改善の方策を日本の教育に求めている。それは,. 題が見られたことを指摘していることによる。. 「日本の授業では,技能の練習をやりながらも,. 笠井は,それまでに修得した知識や技能を活用. 難しいやりがいのある問題の解決と数学概念に関. して課題を解決するために思考力,判断力,表現. する話し合いに多くの時間を使う」ことであ. 2 5 8.
(10) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. る. ( [ 6 J ). 扱ったものと同じような場面設定で構成してい. これまでの日本の算数・数学教育が創りあげて. く。子どもがイメージでき,取り組みやすい場面. きた成果を大切にしながらも,種々の学力調査が. であることが大切になる。小数のかけ算,わり算. 示す課題に対して真撃に向き合い,質の高い学力. では,. 形成を目指すことがこれからの学校や一人一人の. あたりを求める場面を扱ってきた。図や数直線を. 教師に課せられた課題である。. 活用して何とか解決しようとする子どもの取り組. 1あたりをもとに全体を求める場面や,. 1. み方は,そこでの学習と共通するものがある。そ れに子どもが気付いたとき,子ども自らが自分の. 6 . 具体的な実践例. 知識や経験と結び付けようと学び進めるのであ. 6 . 1.小学校 5年生「分数と童数のかけ算,わ. る 。 また,子どもに問題を作らせる活動を取り入れ. り算」. 6 . 1 . 1 . 授業のねらいと授業の概要. でも良い。教師が提示した式になる問題を作らせ. ( 1 ) 育てたい思考力・判断力・表現力. ることで,子どもが主体的に問題場面をイメージ 6. する。その中には,子どもがそれまでに学習した. 年生での乗数,除数が分数の場合と合わせて,数. かけ算やわり算のイメージが生かされ,子どもの. と計算領域の最後の学習となる。これまで学習し. 素朴な見方や考え方が発揮される。. 本単元「分数のかけ算,わり算」の学習は,. てきた数概念や,演算の意味,方法を生かして考. 分数ム整数の計算の学習においては,等分除の. え進めることを狙いたい学習である。そのために,. 場面,つまり,基準にする大きさを求める場面か. 3年生から学習してきたかけ算,わり算の意味に. ら扱い,計算の仕方の確実な習得を狙う。小数の. 立ち返ったり,小数の演算の学習を生かしたりす. わり算で、扱ってきた一人分を求める場面で,計算. ることを大切にして授業を構成していく。子ども. の意味にまで迫る。特に,被除数の分子がわり切. 自らの学習経験を生かし,それと関連させながら. れない場面に出会った時,子どもは図や数直線を. 新たな学習を進めていくことをねらうのである。. 活用して,分数を整数でわることの意味を見出す. 形式的に演算処理できる技能も,算数の大切な. ことになる。しかし一度計算の方法を習得して. 力である。しかし演算の意味理解こそ大切であ. しまうと,そのわかりやすさから形式的な処理ば. り,算数を学習する楽しさでもある。算数の勉強. かりに目が向き,意味を軽視しがちになってしま. が楽しい,好きだと子どもたちが意識するために. うことも考えられる。. は,本質的な意味理解を外すことはできない。本. 単元を通して,計算の意味に日を向けて学習を. 単元は比較的演算処理が容易な場面が多いがゆえ. 展開したいと考える。そこで,改めて計算の意味. に,早期に形式的なものになりがちである。その. を見直す場を設定する。包含除の場面,つまり,. ため,単元を通して,演算の意味を見つめ直す場. 割合を求める場面において,そこで出てくる余り. 面を設定する。図に立ち返って場面をしっかりと. について考える。計算した結果として出てきた分. らえ,目の前にある数とそこから考えられる図と. 数が,問題で問われている余りといえるかどうか。. を結び付けて計算の意味を考える必要性を生みた. 迷う場面に出会った子どもは,再び、図に立ち返っ. い。数や式だけでなく,図や数直線なども含めた. て考えたり,分数の意味にまで、戻って考えたりす. 様々な情報の相互の関係性を考えることを大切に. る。子どもが具体的場面から計算の意味をしっか. これこそが,この学習を通して 5年生の. り考えることで,多様な考えの中からそれらの関. する。. 子どもに獲得させたい大切な力である。. 連性を理解していくことを狙うのである。. ( 2 ) 子どもの実態に即した活動構成 単元の初めは,小数のかけ算,わり算の学習で. 2 5 9.
(11) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川. 知 , む. 算. 十J. る. μ よ. )一を 恥一欄 間一の 時一数 何一分 成一寸 構一動 動一活 活一[. と考えられる。しかし,前時までの場面とは違う ので,計算によって求められた数値が何を表して. : 1dLで 2/7rrfぬれるペンキがあります。. 1. いるのか,その意味を理解することに難しさがあ. 1 このペンキ 3dLでは何IIfぬれるでしょう。. l. る 。. 2/7X3 2/7が 3つ分 2. 2X:J. の. 7. 7. 7. -× 3 =一一一三一. 。 。. 2. 添いわ. ' 守. を導くことができ,そこから 14と 1/6J とい 活( d f ! ). 数 [活動 2 ]分数を整数でわる計算① と i u i L 二 五 工 干74U3 五五一一-i I 図. を │. 1人分は何l 沼になミでしょうれ. cげτ~I関 ・ 機 繍 吐 =2 JI 連. / 5" 0 -2. :. 4 / 5の半分. 三 三_ _ t _ _ ' ' -, I~ I 3/5k gのねん土を 2人 で 等 分 し ま す :. 演 │ 市 γご-;1 算. 1人分は怖になるでしょうれ. 3 / 5二 2. 1. の. 3 / 5の半分って? J :. J :0 -2. s. ー. 一一'. s. 憲 昧. ,. を. 2. 2. 2. fjX2. 10. 考. 2二 一 一 二 -. -二. 実際に,子どもたちは 1 2 5 / 37 2J という式. f j. え. る. [活動 3 ]分数を整数でわる計算②. う商を求めることができた。ただ,「 4と 1/6J をどうとらえるかという点で迷いが生じ,子ども の考えが分かれた。 14本できるといえるのか。」. 11/6 m 余るといってよいのだろうか。 J 1 余り は 1/3m なのではないか。」 余りを 1/6m とするのは一見正答のように見 えるが,誤答になる。計算の処理ばかりに目が向 いている子にとっては,. 1/6という数値を余り. と信じてしまいがちである。一方,問題の場面を イメージできている子にとっては,それとは違う 数値が余りになると見えている。この迷いが本時 の問題意識となり,子ども同士の相互作用につな がっていくのである。 ここで,子どもの見方や考え方をいくつかに分 けてとらえ,それらが互いに機能していけるよう な関わり方を考える。 まず,「計算の結果から,. 1/6 m を余りとし. てとらえている子ども」と 11/3m という余り. :25/3mのロープを 2 mずつ切ります。,. が見えているが,計算結果との関係を理解してい. 1 ロープは何木できて、何m余りますか。. ない子ども」と 11/3m という余りが分かり,. 2mの士本分吋m. 25/3" 0 -2 二. 31/6. 余りは116mワ 113m?. 2ii ,. り I L. i :. 宝. 1. f 桐明. JL _ _ J ' - - - - - J し _ JL a. 白山創世幽山. 1,本平本. 幽. : ! 本. I本:官. す 本 分. 商は何木分かだから、余りは1I3mfとなる!. 計算の結果との関係も理解している子ども」の 3 つ姿が表れると想定する。その中でも, 11/6 m を余りとする子ども」が多いと考え,その考. え方から取り上げて妥当性を検討していく展開を 計画する。ここではあえて誤答から取り上げて進 めていく。 1/3 m という正答についての根拠を 話すことは大切で、あるが,この段階では,. ( 3 ) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した. 学習展開 活動構成で示した[活動 3]分数を整数でわる 計 算 ② (5 6)の学習展開について考える。 本時に至るまで、に分数を整数で、わる計算につい ては学習済みであるので,問題丈からわり算の立 式ができれば,商にたどり着くことが容易である. 2 6 0. 1/6. m と解答した子どもたちがついていけないと考. えるからである。 1/6m とした自分の考えを紐 解いていくことで,自分なりの判断をもって 1/. 6m という正答に迫っていけるのである。 本時の指導案を以下に掲げる。.
(12) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. 「 ー [ 白j I 時までに]一一一一一一一一一一一一一一「 : 1あたりをぶめる場面について学習し、分数 7 性教の計算 1. 1の仕方を宵得している。わり算の立式ができたら、分母に l. i 除数をかけるという計算処理ができるようになっている。 i. しかし,たとえ余りが 1/3 m であるという正 答が見えていても,計算した結果の 1/6の意味 が分からず,自信がもてない子がたくさんいた。. ロープは何本できて、何m 余りますか。. つまり,問題場面の理解はできているが,計算に. ,ーーーーーーーーーー、 、 ,. 25 一一 ; 2ニ 3. 二. 断しようとしなかったのだと考える。. 25/3mのロープを 2 mず、つ切ります。. 式はー. I. り組んできた子どもなので,計算の処理だけで判. 1. 4 = 6. 25. ,ーーーーーーーーーー、. ,ーーーーーーーーーー、. 、 、 ' J. 25. 25. I. 一一 ; 2二 一 : 3 6. 4あまり土. 二. 6. 二. 、. よって求められた数値の意味を理解できていない. ーァ ; 2 となりそうだ。. 25. I I. --;-2 : 3. I. 25-;-6. 二. 4あまり 1. 、. 二. 2×4+J 一 日 4あまり土. , 、ーーーーーーーーー'. 、,、~ ,、~. 、ーーーーーーーー_-. 余りは. ‘ ー ー ー ー ー ー ー ー _-. τ mなのかな。何かはっきりしないぞ。 1. 子が多いという実態が分かつた。余りを 1/3 m とした多くの子は,ロープを 2 m ずつ切ってい くという場面を図に表して考えたり, 125/3 mJ を 18と 1/3 mJ として考えたりして求めてい. ; -2という式を生かして考えていなかっ た 。 25/3たのである。 一方,余りを 1/6m とする子は,立式して計 算した結果をもとに答えを導いている。目の前に. 数. と. 1 ・士って、長さなのかな. 図. 4 t が4 本あまり t mワ. 包ぴ. 1/6 m という余りについて全員で考えてみる. 含付. 廃 立. 検算すると 9mになるよ. ,. 、. 、. i・4本分で 8 mだから余りは I. 6. 塁希 亙え. 偏る. 1 ・2 mの-が余りのよ TIかなっ : 3. 、・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー'. 値. 2mの士本分担 ? m. ??::古 」一一-''----IL-一__JL-一__JI...I. 1本 立 ; 事 : J 本 生 率 こ. 1/3 m と. する子どもの声の多さに,自信をもてなくなって. ↓結. I. ま余りとしているのである。しかし,. を. 1・. 1 ・2 5-;-6ってどんな意味ワ. 4と 1/6J という商の 1/6をそのま 出てきた 1. づ. け て. く. 4. 百本分. きている。. と,子どもの様々な見方が現れてくる。. .x 2をすると 1/3になるよ。 ・ム. 2をした結果が余りでもいいの?. -ああ、. ; -2で 1/6になるからね 0 1/3-. .4と 1/6は長さなの? 2の 1/6が 1/3になるんじゃないかな。 2の 1/6って{可のこと?. 1/6 m について個々が言えることはたくさん あるが,そのままではそれぞれが関連し合わない。. 商が何本分かを表しているから. そこで,実際にテープをイメージしながら考えて. t m 余るとわかるね。. いく。図があると 2m ずつ切っていくイメージ. 4本できて. が共有でき,. 1/3 m という余りがはっきり見え. てくることになる。 2m が 4つ分で 8 mになる. 6 .1 .2 . 授業の考察 実際の授業では,「 1/6mではないけどはっ. ということが,図を介した子ども説明で全員のも のになっていくのである。. きりしない」とする子どもが多かった。計算した. すると,「 4と 1/6J は図の何を表しているの. 結果のみにとらわれることなく,分数の問題場面. かという話題になる。多くの子は,テープの真ん. をイメージできていた子が多かったととらえる。. 中を指し,そこが 4 と 1/6 m だと考えている。. 本単元までにも,分数に関わる問題作りなどに取. 商が量を表しているととらえているのだ。本時は,. 2 6 1.
(13) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川 知,む 商が割合を表しているところに難しさがある。先. 6 .2 . 1 6年生で育てたい思考力・判断力・. 程の 2 m ずつ切っていくイメージと,テープの. 表現力. 真ん中を 4と 1/6 m とするイメージとを比較し. ( 1 ) 小学校から中学校へ. ていくことで,本時の問題場面の理解が深まって. 6年生では,学習指導要領において目標とされ. いく。. る「見通しをもち筋道立てて考え,表現する能力 を育てる」ために,帰納的に考えたり,類推的に 考えたり, ~寅鐸的に考えたりすることで,これま でに学んできた根拠を明らかにしながら,一歩ず つ進めていくという考えを一層育むことが大切で ある。. 4と 1/6が量. また,算数という教科の特性である系統性を存. を表していないことをはっきりさせていった。つ. 分に意識した学びが必要となる。小学校を卒業し,. 図を介した説明の積み重ねで,. まり,. 1/6は 11/6 mJ ではなく,「 6等分」. を表していることが見えてきたのである。ここま で来て,. 中学校に入学すると「算数」から「数学」へと変 わる。小学校で、の学び、が数学にどのように影響す. 2 mずつ切っていった残りが 1/3m. るのか。さらに詳しく言うと,算数のどの単元で. 1/3と 1/6の関. 学んだ基礎的基本的な知識・技能が,数学のどの. になると考えた子にとっても,. 係をとらえることができてきた。. 学習に関連しているのかを見通した上で,教師は 学習を考えていかなければならないし,それを明. .1つ分の 1/6が余るんだ。. らかにすることで,. .2m を 6等分すると、 1/3 m になる 0. 6年生の子どもにつけたい力. がより明らかになると考える。. ・2 mの 1/6が 1/3m だ!. .1/3は長さで、 1/6はいくつを表している 0 ・この式の商は、何本を表しているんだ!. 本実践では,「 D数量関係」の ( 4 )資料の考察の 実践について述べていく。本単元は,中学校数学 では,「 D資料の活用」領域で、扱われる内容につ. 問題場面を理解して余りの 1/3 m をはっきり. ながる考え方であり,目的に応じて資料を集めた. 1/6という数値との関係. り,資料の傾向を読み取ったりする能力の素地を. させるのみではなく,. まで考えることで,問題に関わる様々な要素の関. 培うことが大切である。. 連を考えることができた。何となく答えが分かる だけでなく,意味を理解した上で,「 4本できて. 'D数量関係」領域は,中学校 では,「 C関数」と ' D資料の活用」の二つに分. 1/3 m 余る」という問題の答えにまでたどり着. かれる。 中学校 1年の 'D資料の活用」においては,. くことができたと考える。 この授業では,計算で求めた数値と図を結びつ けて考えることを狙った。子どもが分かつている ようではっきりできない場面を扱うことで, 6という数について説明するときも,. 小学校における. 1/. 1/3とい. う数について説明するときも,図を関連させなが. 目的に応じて資料を収集し,コンピュータを 用いたりするなどして去やグラフに整理し,代 表値や資料の散らばりに着目して,その資料の 傾向を読み取ることができる。. ら考える必要性が出てくる。様々な立場をはっき. が目標とされている。そこで,. りさせて説明し合うことで,子どもの見方や考え. 傾向をとらえるための代表する値が,集団の特徴. 方がつながり,数や式,図などがつながっていく。. を去す値であることを知ること,また資料の代表. このような学びを大切にしていきたい。. 値としての平均や,散らばりの様子を調べたり,. 6年生では資料の. 去す工夫を考えたりすることが大切となる。単元. 2 6 2.
(14) 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. を通じて,上記のポイントを踏まえて学習を考え. の群が存在する。また,これまでの他学年の学び. ることが必要となる。. と関連させて複数の方法で解こうとする群が存在. そうすることで,統計的な考察をしたり,表現. する。また,日常生活や素朴概念から直観的に考. したりする能力を伸ばすことにつながるのである。. えて行く群が存在する。この群に関しては,低学 年ほど表れが多くみられることが多い。どれも問. ( 2 ) 学力向上. .データから見る課題①. 題の解決に欠かせない考え方である。これらの考 え方は,高学年になるほど,抽象度が高まってい. 平成 24年度全国学力学習状況調査の調査結果に. く。数の世界での学び,つまり数学的な考え方へ. おいて北海道の状況は,国で示された推計値によ. とシフトチェンジしていくことになる。この抽象. る平均正答率で,全国平均より低いという状況が. 化されていく過程で,成績下位層の子どもは,算. 続いている。 (H24年 8月 8 日 北海道教育委員. 数という学びに困難を感じていく。. 会のコメント). 例えば,「 6年. 文字を使った式」を例に挙げ. 「思考力・判断力・表現力」の育成に直接関連. て考えてみる。今までマスキングを用いたり,口. すると思われる算数科 B問題に関しては,公立小. を用いて未知数を表現し考えていた式をふ y と. 学校における全国平均正答率が 58.9%なのに対し. いった丈字に置き換えたりするだけならば,子ど. て,北海道は 55.8%となっている。 A問題の場合,. もは困難さをさほど感じない。ただ,これが 16. 成績下位層の児童の割合が全国と比較して大きく. 年比例と反比例」の学習で,式や表,グラフと. 変わらないのに対して, B問題の場合は,正答率. いった算数における言語で表現する時になると,. が半分以下の割合が北海道の場合非常に多くみら. 少しずつ差が出始める。この時,文字に仮の数値. れる。全国に比べて,正答率が60%を下回る児童. を代入して考えてみたり,実際に具体操作を行っ. の割合が 10%程度多い。(平成 24年度全国学力・. て去と照らし合わせてみたりすることで,子ども. 学習状況調査調査結果概要[算数 B:主として. の理解は大きく異なってくる。この具体的な活動. 活用]より)平成 2 2年度と比較すると差が縮まっ. や操作は,子どもの頭と手をつなぎ,思考の手助. てきているとはいえ,大きな課題であることは間. けをしているのではと考えられる。. 違いない。. そこで,小学校段階では,学級全体の学力向上 を図る手立てとして,具体から抽象へと変化して. -データから見る課題② 本校 6年児童の場合においても,少数とはいえ,. いく過程の後に,もう一度抽象(データ)から具 体(実生活)に戻す場を授業の中に盛り込んでみ. 正答率が70%以下の児童が 23.4%を占める。算数. ることで,基礎的基本的な知識・技能の定着と,. に対して苦手意識をもっ子どもは, A問題はでき. 思考力を育成するための素地を養うことができる. ても, B問題に対しては,解決の手立てをもてず. と考える。. に困惑している子も見られる。全体の傾向を見る と ,7 7 名中正答率が81.8%。満点者の割合も 16.9% と全国平均は大きく上回るものの,下位層の子ど もをどうやって伸ばしていくかが課題となる。. -日常生活に生きる学び. P I S Aの国際比較調査の結果,子どもの課題とさ れている「方法や理由を言葉や数を用いて記述す る際,場面の状況や問題の条件に基づいて,必要. -成績下位層の底上げ、を図る. な事柄を過不足なく記述すること」は,どのよう. 算数の学習において問題を解く過程で,子ども. な授業を構築することで,解決されるのだろうか。. の思考の表れを群に分けて考えてみる。そうする. 算数という学問で学ぶべき価値を獲得させるこ. と,まず前時までの単元の既習をもとに考える子. とを重視するならば,より特徴が際立つ数値や,. 2 6 3.
(15) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川. 知 , む. 解決の違いを明らかにさせることで,価値に迫る ことが可能で、ある。小学校の最上級生である 6年 生の学びを考えた時,さらに上記の課題の克服と いうことを考えた時,教師に与えられた数値から 違いを見出す学びからもう一歩進めて授業を行い たい。実際に自分でデータを集めたり,様々な視. ( 3 ) 思考の多様性が子どもの判断を生む. 点、から見た自分の考えを,仲間と話し合うことで,. 本単元では,統計的に考察する力を高めるため. 自分の考えをさらに深めていく学び。そして,自. に,様々な事象を扱い,状況に応じて捉え方が変. 分で判断を下す場を設けた学びが効果的である。. 化するという実感を生んできている。度数分布去. 次に挙げる実践は,上記の仮説に基づき行った. や柱状グラフといった新たな表現方法を用いるこ. ものである。展開を変えて 2つの学級で行い,各々. とで,同じ平均でも散らばりが異なることや,階. 子どもの表れを分析し仮説を検証していく。. 級を変えるだけで全く異なる傾向がグラフから読 み取れることなどの見方を単元を通じて獲得させ. 6 . 2 . 2 授業のねらいと概要 ( 1 ) 思考力・判断力・表現力を育成する授業. 資料を多面的に捉え考察する力の育成を図る授 業. 本単元は,. てきている。また,「平均で、比較すれば…」とい う考えだけでは分からない場面設定や,自ら資料 を収集し,数値化した後に表現し,考察を加え発 表する場を総合的な学習と関連させてもたせる構 成を組んだ。算数の学びが,日常生活に活用され. 5年生で学習した測定値としての平. 均と 3~5 年生で学習した棒グラフ,折れ線グラ. フ,円グラフ,帯グラフといった学習を更に深め, 統計的な考察力を育成することをねらう。資料か ら考察したり,自らのねらいにあった表現方法で. るよさを感じ,将来に生きる力につながると考え たからである。 く本時の指導案〉 [前時までに]. 表したりすることは,算数に限らずこれからの社. 様々な資料を度数分布去や柱状グラフ、数直線. 会生活で何度も活用される見方や考え方である。. などに表現することで、資料の特徴や傾向をと. 様々な視点で資料を捉え,考察を加えながら,自. らえたり、目的のためにどのような表現方法が. 己判断できる力を育むことをねらう。. いいのかを考えることができるように. ( 2 ) 児童の実態 統計的な考察を通して,様々な観点から事象を 見つめ,自分なりの判断をする子ども. │札幌は温暖化が本当に進んでいるのだろうか│ 「札幌市月別最高気温の表」の提示 2012年 … 辰 年 (6年生). 平均を出すと・・・平均値… 20.4C 0. 6年生の子どもが,小学校の算数で学ぶ最後の 単元となる。これまで積み重ねてきた「既習を生 かすこと」や「自分の考えをノートに書いて表現 する」といった力を総動員して,学習に臨む姿を ねらう。既習との比較やつながりから,書いて表 現する活動を経ることで,子どもは自分の考えの 根拠をもち,判断できる。. 264.
(16) 一 一 一 一 化 │. 思考力・判断力・表現力の育成を目指した算数教育. │ 2 といっていいのだろうか. │. 平均では確かに温暖化しているけど・.• ・平均気温が上がっているから温暖化している といっていいのでは。. いう状況を子どもの「温暖化」という言葉を取り 上げ,学級内で共有し授業を展開した) 2つの資 料を見比べると, 2000年の 7 ・8月の気温がかな 1 .2月という冬の気温は 2000年の. り高いこと,. 方が高いことなどから,予想、と違うのではという 思いが生まれ,子どもは詳しく調べたくなる。. -月によって差はあるけど暑い月が多くなって きているから温E 麦イヒしているのでは。 -冬は暖かくなっているから、はっきり言えな し ミ 。. ( 2 ) 数値化し表現する 2つの年の月別最高気温を比較する際に,子ど. もはまず平均を出して考えていた。平均を出すと. -月別最低気温や平均気温でみてみると・・・. 1 2年間で 0.4C上昇している事実が見えてくる。. .他の年も調べてみるとはっきり言えない。. その結果から地球は温暖化していると捉える子が. 0. いた。また同じ平均でも 20Cとどれだけ差がある 0. 札幌から見ても地球温暖化を予測することは. かを出す仮平均を出して考える子もいた。さらに. できるけど、いろいろな見方で捉えないと判. 30C以上の月の数を調べたり,それぞれの月ごと. 断することは難しいな. に勝敗を付けたりすることで判断する子がいた。. 2060 年・・・辰年(還暦)の札幌の気温は. どうなっているのか予測してみよう。 ※実際の温暖化とは. 0. 先に述べた子は,代表値としての平均のよさを 単元で考えており,後に述べた子は,散らばり等 の違いから,平均だけで比べることができないと 考えていた。何れにしても,数値から温暖化を判. 地球全体の平均気温が急激に上がり始めている. 断していた。ここで子どもは,グラフや,去にま. 現象のこと。 過去 100年間に地球全体の平均気温. とめるなど,ノートに表現することで判断の根拠. は 0.3~0.6度と急激に上昇しており,現在のベー. を明らかにしていた。実際の授業では,もっとじっ. スで温室効果ガスが増え続けると, 2100年には平. くり資料を比較させたほうが,子どもの思考力を. 均気温が約 2度上昇すると予測されています。(環. 高めることができたのではと考える。. 境省 HPより) ( 3 ) 資料を収集し,資料を読み取る. 6 .2 . 3 授業の考察. P a dを用いて,他の年 一方の学級では,班で i. ( 1 ) 問題提示. 代を調べさせデータを自分たちで収集し,比較し. 本実践ではまず, 2012年の月別最高気温を提示. たり,相談させたりすることで,判断の根拠をよ. する。何の数値だろうと電子黒板を見詰めながら,. り確かなものにしようとした。. 既習をもとに想定していく。 )I[~ に提示していくこ. 調べたデータをもとに,グループで議論しなが. とで,自分なりに想像し思いを巡らせていた。こ. ら,様々な観点から資料を見ることで,子どもは. の資料だけでは,「意外と暑くなかったんだ」な. 統計計資料. どという声が聞こえる程度である。. の見方を身. ここで生まれた年 ( 2 0 0 0年)はどうだろうか?. に付けてい. と問うと,子どもは,他教科での学びや日々の生. くと想定し. 活と関連させ,「地球温暖化っていうくらいだか. 実践を行っ. ら今よりも気温が低いはず」という言葉が聞こえ. た。事前に. てきた。(ここでは,段々気温が上昇していると. iPadか ら. 2 6 5.
(17) 大久保和義・鈴木富士雄・高橋健会・占川. 知 , む. インターネットにつなぐとすぐに HPにf 子けるよ. 力育成に大きな影響を与えていると言えるのでは. うに設定していたが,操作牲の問題やデータの量. ないだろうか。 6年生では,資料の数値に惑わされず,様々な. が多すぎたためにどこを見ればよいのか分からな. 視点から見ることで,同じ資料から多様な特徴を. くなるなど課題が残った。 もう一方の学級では,. 1CTを用いて自分たち. でデータを集める活動を除き, 12060年になった. 捉えることができることを実感させたい。 資料は時として,説明に都合のよい部分を抜き. なら,気温はどのように変化していくだろうか」. 出し使われる。それはある立場から見ると観点が. という課題に変化させて授業を展開した。 2000年. 明らかになり,関係も見やすくなるが,他の立場. と2012年では,月別最高気温の平均が 0.4C違う. からの見方を無視し,別の関係を見難くする。様々. 。 2 C上昇する ことから, 2060年では,その 5倍. な見方から集団の特徴や傾向を把握することや,. のではといった比例関係から考える意見や,人間. 規則性を見出すことは,未来を生きる子どもに. も温暖化防止に向けた取組をするから,そんなに. とって,必要な知識・技能であり,見方・考え方. 上昇しないのではという意見が出された。前者は. である。このように情報をとらえ,考察し,判断. 算数で学んだ考え方から判断し,後者は社会科や. する力が,今後の人生にとってふるさととなる学. 理科の学習で学んだことを踏まえて判断してい. びになると考える。. 0. 0. た。子どもの 12 C上がったらどうなるのだろ 0. この論文は鈴木富士雄先生の退職をお祝いして. う?J というつぶやきが,子どもの更なる探究心 となったことは本実践の収穫といえるのではと考. 共同で執筆しました。. える。 [参考文献] [ l J 小学校学習指導要領解説算数編,え;部科学省,束 洋館山版 ( 2 0 ) [2J. 占川成夫,本当の守t 力がつく「新しい算数J ,小 ~7~ 館. ( 2 0 0 2 ) [ 3 J 全国学力・学習状況調査調査結果のポイント,文部. 6 . 2 . 4 研究のまとめ PISAの国際比較調査の結果,子どもの課題と されていることが本実践のみで改善されることは もちろんない。そして,学びを実生活に戻した時 には,算数のもつような美しさは見られないこと が多いことも事実。しかし,「自分の経験や体験,. 科学省・国ーな教育政策研究所成 ( 2 0 1 2 ). [ 4 J 算数教育のこれから(パネルデイスカッション入学 井健一,古川成夫,清水静海,新しい算数研究 No505,. pp.81-104, ( 2 0 1 3 ). [ 5 J 多様な考えの生かし方とまとめ方,宙藤怜,新潟算数 教育研究会(19 9 0 ). [ 6 J H本の算数・数学教育に学べ,ジェームス著/湊. ー. 郎訳,教育出版 ( 2 0 0 2 ). データからどう判断し自分なりの判断を下すの. [ 7 J 小学算数 6年(教育出版) ( 2 0 1 1 ). か」という授業場面を経験し,学級で仲間と「こ. 2 0 1 1 ) [ 8 J 新しい算数 6年(東京書籍) (. うではないか?J 1でも,こっちのデータが・・・」 と話し合う学びは,子どもの学ぼうとする意志を. (大久保和義教職大学院教授). 生み,論理的な思考力の育成に一役買う事になる。. (鈴木富士雄教職大学院教授). 自分が考えたことを友達に伝えようとしても分. (高橋健一附属札幌小学校教諭). かつてくれないので,言い直す。「ここが・・・」と. (古川. データを示しながら説明する。小学校におけるこ のような学びが,子どもの思考力・判断力・表現. 2 6 6. 知志札幌市立美しが正小学校教諭).
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