第19回日本放射線安全管理学会学術大会(WEB開催)
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(2) 第19回学術大会(WEB). 一般発表. 一般発表 1A. 放射線計測 自然科学研究機構. 核融合科学研究所. 佐瀬 本セッションでは,医療分野や原子力分野における放. 卓也. 廃炉作業の場において適用が期待される光ファイバーセ ンサーを用いた高線量分布測定の特性について報告が為. 射線計測をテーマとした 4 題の講演が行われた. 名古屋大学の中村悟氏らは「BeO OSL 線量計の BNCT 場適用に向けた検討と特性評価」の演題で,ホウ素中性. された. 東京医科大学の野村貴美氏らは「液体シンチレーショ. 子捕捉療法(BNCT)の場において適用が期待される BeO. ンライトガイド(LSLG)検出器の線量計への応用」の演. OSL 線量計の素子感度とエネルギー依存性,および中. 題で,歯科診療の場における被ばく線量測定に LSLG. 性子場での実測実験の結果について報告が為された.. 検出器を適用する場合の特性および利点と課題について. 九州大学の吉谷悠氏らは「プラスチックシンチレータ. の報告が為された.. 板とディジタルカメラを用いた CT 装置の線量評価の基. 録画上映形式のオンライン開催ということもあり,発. 礎検討」の演題で,CT における被ばく線量を評価する. 表者は録画発表ファイルの作成に普段以上の労力を要し. ための基本指標である CTDI の測定に,電離箱を用いる. たと思われるが,そのお陰もありスムーズにセッション. 従来法の代替として表題手法を提案する報告が為された.. が進行された.またオンラインの質疑応答は臨場感とい. 日本原子力研究開発機構の寺阪祐太氏らは「光ファイ. う観点からは若干物足りなくもあったが,コロナ禍の最. バー発光波長スペクトルのアンフォールディングによる. 中においても討論が出来る有難さ,素晴らしさも感じた. 放射線源分布測定法の開発」の演題で,原子力発電所の. セッションであった.. 一般発表 2A. 安全管理と危機管理 京都大学環境安全保健機構放射性同位元素総合センター. 角山. 雄一. 本セッションでは,緊急時における被ばく線量の測定. 頭において検査や汚染状況の特定を行う,あるいは管理. 技術に関して 1 題,非密封 RI 施設の安全管理に関して. 区域からの物品持ち出しなどについても常に使用者との. 1 題,ヒヤリハット事例に関して 2 題の報告があった.. 意思疎通に重きをおくなど,他の施設安全管理担当者に. まずは,保田浩志氏(広島大学)より,ケイ酸マグネシウ. も参考となる内容の報告であった.鈴木智和氏(大阪大. ム( MSO )の光刺激ルミネッセンス( OSL )の特性に関す. 学)からは,昨年に引き続き阪大 RCNP で発生した法令. る研究についての発表が行われた.その結果から,高線. 報告には至らない軽微な事故やトラブルについての事例. 量被ばく事故時に迅速に被ばく線量を把握し評価すると. 報告が行われた.全国の加速器関連施設でも発生し得る. いう目的において, MSO の OSL 測定が大変有効な手. 事例も含まれており,安全管理計画を立案する際の参考. 段となり得ることが示された.被ばく後の経過時間の推. となる.氏の発表は恒例となりつつあるが,さまざまな. 定については課題が残るものの,今後の研究の継続なら. トラブルに対して毎度適切かつ冷静に対応されている様. びに進展が望まれる.次いで,堀川秀昌氏(徳島大学)よ. にはいつも感心させられる.本セッションの最後には,. り,非密封放射性同位元素使用施設における安全管理に. 桧垣正吾氏(東大)より,氏が担当する非密封 RI 施設で. 関する発表が行われた.毎月の表面密度汚染検査や汚染. 発生したヒヤリハット事例についての報告があった.本. 発見時の状況調査については施設使用者の利用実態を念. 報告にあった汚染状況は他施設でも十分に発生し得るも. 11.
(3) 第19回学術大会(WEB). のであり,発生原因の究明から汚染状況の全体把握,事. った.再発防止策については聴講者との間で活発な議論. 後対応,そしてこれらの各対応が十分であったかの自己. もなされた.. 評価に至るまで,非常に綿密で参考となる発表内容であ. 一般発表 3A. 原発事故・防護理論 広島大学原爆放射線医科学研究所. 保田 本セッションでは,原子力発電所事故や放射線防護基 準に関わる 3 件の研究発表があった.. 浩志. 水が粗皮に浸み込み,これが水分の蒸発によって析出し 結晶化したものと考えられることなどが報告された.. 最初の発表( 3A 1 )では,長崎大の三浦,松田らによ. 3 番目( 3A 3 )の発表では,千代田テクノルの青山に. り,I131に対する細胞応答から原発事故後の甲状腺癌. より,二重基準に映りやすい放射線防護の線量基準に関. のリスクを考察した結果についての説明があった.ラッ. しての意見が述べられた.現在,公衆被ばくと職業被ば. ト甲状腺由来の細胞を異なる濃度の I131に曝露させる. くそれぞれに異なる線量限度や拘束値等が示されてお. 実験の結果から,甲状腺細胞内で生じた DNA 損傷は I. り,それらの定義や値が度々変更されてきたため,線量. 131を除去すると速やかに修復されること,20 mSv 程度. 基準を正確に理解することは至難となっている.これを. の甲状腺被ばくがもたらす発がんリスクは無視できるレ. 容易にするためには線量と個人への影響についての分か. ベルと考えられること等が報告された.. り易い表現が必要であることなどが具体的な事例と共に. 2 番目( 3A 2 )は,福島学院大の杉浦らによる,福島. 報告された.. のサクラ粗皮に存在する放射性セシウム粒子についての. いずれの発表においても,視聴者から多くの質問が出. 調査報告であった.福島県北部におけるサクラの粗皮を. て活発な討議が展開され,放射線事故への対応やそれに. イメージングプレート法と走査電子顕微鏡で分析した結. 関わる基準について本学会員の関心が高いことがうかが. 果に基づき,サクラ樹皮中に存在していた放射性セシウ. えた.. ム(Cs137)は,塩等になってから溶けた Cs137を含む. 一般発表 4A. 医療放射線・線量評価 国立保健医療科学院. 山口 4A1. 一郎. 「一般撮影最適化に向けた労災系グループ病院. がより大きく下がっているように見える手技があり,各. への管理部門設置の提案」. 医療機関での取り組みを踏まえた解釈にも期待したい.. 2020 年度から施行されている改正医療法施行規則で. 本発表は良好事例の共有など組織的な取り組みを目指. は,患者が受けた線量の記録と管理を求めている.ま. したことにも特徴があり,医療機関への負担が増す中. た,医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)では参. で,地域での放射線管理のネットワークとのさらなる連. 加学会の協力を得て日本の診断参考レベルを改訂した. 携によるリスクの分散による医療機関への負担軽減も期. (2020年版).. 待したい.. 本研究は放射線診療でも特徴のある取り組みが歴史的 になされてきた労災系グループでの撮影条件の最適化を. 4A2. 「ウェブブラウザ上での拡張現実を利用した散 乱放射線分布の可視化システムの開発」. 調査したものである.検出器の特性に応じた手技別の傾. PHITS で計算した結果を,拡張現実を用いて,視点. 向が観察され,その解釈に関して,会場から示唆に富ん. をインタラクティブに変化させてわかりやすく表示する. だコメントが寄せられた.会場からの指摘があったよう. システムを開発し,それが実際に使用できるか起動時間. に新しいタイプの FPD ( Flat Panel Detector )と旧来の. などを確認した結果が発表された.計算した線量はス. CR ( Computed Radiography )と異なる検出器間の比較. ケールに応じて色分けされており,発表中のデモでは,. では,ばらつきが大きく統計的に有意にはなっていない. 参加者がバーチャル体験に触れることが出来た.このシ. が,胸椎側面,腰椎,腰椎側面では CR の方が,平均値. ステムで表示するためのデータを得るための EGS を用. 12.
(4) 第19回学術大会(WEB). いた計算は 2 日程度必要なこともあるとのことで,計算. これまで医療機器の放射線安全は特に放射線に脆弱な. 結果と測定値の差異は 5以下となっており,十分な計. ものに関して事例化した後に取り組みが進められてき. 算の精度が得られていたとのことであったが,遮へいの. た.また廃炉関係で対策が進められるだけでなく,情報. 効果を確認するためさらにデータの種類を増やすには,. 関係や宇宙関係では放射線対応に関する規格整備が国際. 計算の不確かさの制御の質の向上が求められ,計算の効. 的に進んでいる.本課題は,半導体回路の高集積化が進. 率化の工夫が必要かもしれない(会場からの質問があっ. む中で,放射線診療の高度化に伴い,より機器にとって. たように特性を工夫した検出器を使わないと精度の確保. は過酷な状況での運用が必要になると考えられ,粒子線. には限界もあると考えられる) .. 治療では日本が世界をリードしていることから,医療機. 開発したシステムを,今後,医療従事者にも利用して もらい,教育効果の評価も行いたいとのことであった が,厚労省の検討会でも遮へい衝立の使い方の難しさが 扱われており1 ,会場からも意見があったように現場の スタッフが関心を持っている設定での計算も準備してお くのが有益であろう.. 器の放射線安全に関しても日本がリードして国際的な規 格整備を進めることが望まれる.. 4A 4. 「クルックス管から漏洩する X 線の線量のス クリーニング手法の開発」. クルックス管にも言及された中学校を対象にした改訂 学習指導要領は 2021 年度から本格実施されている.現. IAEA では,Artificial intelligence & virtual reality:. 在,教育用に用いられるクルックス管では,十数 keV. How to enhance radiation protection of workers and the. 程度の低エネルギー X 線を大量(実態調査ではガラス管. future of workplace safety と題したセミナーを開催して. 表面から15 cm の位置で70 mm 線量当量が 200 mSv /h を. おり2,今後の作業環境管理等への発展も期待される.. 上回る例も確認されている)に発生させるものが存在す. なお,本研究は日本放射線安全管理学会の令和 2 年度 若手奨励金も活用して実施されている.. 4A3. る3.安全性を確保するにはどうすればよいだろうか4 クルックス管で発生する X 線は,低エネルギーでパル. 「粒子線治療室内での患者位置決め用 X 線 CT. ス状であるために現場の理科教諭による計測では,見逃. 装置への中性子の線量評価」. されることがある.どのような装置で X 線の量が多く. 2019年 3 月に医政発0315第 4 号通知で,粒子線治療施. なりうるだろうか. 設でも移動用位置決め用 X 線 CT 装置が利用できるよ. この課題に対して,本研究では,プラスチック・シン. うに措置された.ただし,医療現場では作業の効率化も. チレーターを使用した簡易型のサーベイメーター. 求められ,X 線 CT 装置を操作する場所を室外に設ける. 「 Kind-mini 」を用いた X 線の線量のスクリーニング手. ことや治療ビーム照射時に X 線 CT 装置を室外に退避. 法が開発された.「Kind-mini」は,日本科学技術振興財. させることが難しい状況(粒子線治療施設は長い迷路構. 団の放射線教育支援サイト「らでぃ」より無償で貸出し. 造を持つ)にある.このため高度な放射線診療を効率的. を行っており,限界はあるものの,教育現場でのスク. に提供するために,医療安全の視点から装置の放射線影. リーニングに適しているとのことであった.会場から. 響を制御した運用とすることが求められる.. は,どの程度のスクリーニングレベルが求められるかと. 本研究では,実際の照射状況を考慮し,装置を退避さ. のご質問があり,国際的な免除レベルは超えるものの日. せる場所別のソフトエラー確率をシミュレーション計算. 本の法令だとクルックス管は X 線管にあたらないとさ. により評価し,現行の安全確保策で陽子線照射中の X. れており5 ,児童や保護者や教員の理解も得られている. 線 CT 装置の退避策が有効でリスクを十分に低減できて. ので,より高いスクリーニングレベルで問題ない旨の回. いると考えられることが検証されている.本検討は,一. 答があったが皆様は如何お感じだろうか(この課題もト. 般社団法人 日本画像医療システム工業会(JIRA)などの. レードオフに帰着する). 協力も得ているが,医療機器の放射線損傷への耐性に関. な お , 本 課 題 は , IAEA の DS470 で も 扱 わ れ6 ,. するデータの取得に関しては,JIRA では知見が無いこ. RASSC 49では日本政府からのコメントも取り上げられ. とが明らかとなり,JIRA でも今後の検討課題としたい. ており7 ,本学会でのさらなる貢献も求められているの. とのことであった.本課題は半導体回路の集積化が進む. ではないだろうか.. 中でエラー制御の技術も進歩し,企業秘密とも密接に関 わるものとなるが,医療機器の製造販売会社でも十分な 情報が得られていない状況が明らかになった.今後,こ の複雑な状況を踏まえた規格整備も必要と考えられる.. 3http://bigbird.riast.osakafu-u.ac.jp/~akiyoshi/Works/. CrookesTubeProject.htm 4http://www.jhps.or.jp/cgi-bin/info/page.cgi?id=61 5https://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/030919/09-2.pdf. 1https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000519683.pdf 2https://www.iaea.org/resources/webinar/artificial-intelligence-. virtual-reality-how-to-enhance-radiation-protection-of-workersand-the-future-of-workplace-safety. 6https://www.iaea.org/resources/draft-safety-standard/. document-preparation-profile-ds470 7https://www-ns.iaea.org/committees/rassc/default.asp?fd=. 2049&dt=0. 13.
(5) 第19回学術大会(WEB). 一般発表 5A. 放射化物とクリアランス 大阪大学放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター. 吉村 本セッションでは,放射線発生装置施設内の放射化の. 5A3. 調査についての発表があった.. 5A 1. 「陽子線治療施設の放射化調査 2. 崇 サイクロト. ロンタイプ」. 「 PET サイクロトロン本体を用いた金属鉄に. サイクロトロンタイプの治療施設では,ビームライン 途中に設置されたデグレーダによりビームを減衰させ. 対する放射化評価法の検討」. PET 用 RI 製造サイクロトロンが使用期間を終えて廃. る.この研究では,コンクリート及びビームラインの放. 止される際の廃止措置においては,施設壁床のコンク. 射化について調査をおこなった.調査を行った病院にお. リート,サイクロトロン本体の鉄は物量が大きい.この. いて,加速器室ではデグレーダを発生源として部屋全体. 研究では,サイクロトロン本体の鉄についてサーベイ. に中性子ほぼ均一に分布している様子が確認できた.治. メータを用いた放射化評価が可能かどうか検討した.そ. 療室では,加速器室よりも 2 桁小さい中性子量であっ. の結果,主要な放射性核種は. であることを確認し. た.定常運転で30年が経過した後に建屋コンクリート中. た.また,サイクロトロン本体の密着線量率の分布を測. に生成する 60Co+152Eu 放射能を見積もった結果,廃止. 定し,鉄表層の放射能濃度の分布を得た.サーベイメー. 措置時には注意を要する事がわかった.. 60Co. タで得た放射能濃度測定結果において,深度分布および. 5A4. 「医療用電子直線加速器設置施設における放射. 回り込みの影響は小さいこと確認し,サーベイメータ法. 化物の管理状況に関する全国調査結果( 2020. での鉄の放射化判定が可能なことを確認した.. 年)」. 5A2. 「陽子線治療施設の放射化調査 1. シンクロト. ロンタイプ」 この研究では,陽子シンクロトロン施設の放射化につ. 放射化物の廃棄管理状況に関するアンケート調査をお こなった結果,装置エネルギー別 1 台あたりの平均廃棄 ド ラ ム 缶 数 ( 50 L 換 算 ) は , 10 MeV ( 3.9 個 ) , 15 MeV. いて調べた.加速器本体室内のビームライン,回転ガン. ( 25.3 個), 18 MeV ( 22.7 個), 20 MeV ( 28 個)であった.. トリー及び照射室内の熱中性子フルエンス率を調べたと. 今回の調査で電子直線加速器においては,放射化物管理. ころ,出射用セプタムで最高値を示したが,全体的に著. が法令に基づいて適切に実施されていることがわかっ. しく高い地点はなかった.運転直後のビームラインサー. た.エネルギーが10 MeV を超えると廃棄量が大きいこ. ベイの結果,放射化は主にシンクロトロン出射点,スリ. とがわかった.また,部品よって線量率データに差があ. ット,ダンプで生じていた.コンクリートの平均中性子. ることやバックグラウンドレベルの部品も多いことが確. フルエンス率を求めたところ,建物の放射化は考慮する. 認された.. 必要がないレベルであることが推定された.. 14.
(6) 第19回学術大会(WEB). 企画セッション. 新型コロナウイルス感染症への放射線施設での対応 「放射線施設への影響調査」 東京大学アイソトープ総合センター. 桧垣 本セッションは,現在でも世界中で大きな社会問題と. 正吾. アンケートの回答から,本学会で今後検討を行うべき. なっている新型コロナウィルス感染症への放射線施設で. 事項として,以下の 4 点にまとめられた.. の対応に関する会員へのアンケート調査結果および実際. 1.. 教育訓練の共同開催や資料の共同利用. の対応例を紹介する企画セッションとして開催された.. 業務従事者講習会の共同オンライン開講. 筆者が座長を務めつつ,「放射線施設への影響調査」と. 多数作成された資料や動画の収集と再利用. 題して講演を行った.その後,尾上昌平氏(鹿児島大学). 全国の RI 事業所が自由に利用できる E-learning の. により「コロナ禍における放射線安全管理と研究支援」 と題した講演が行われ,全体の質疑応答・意見交換が行. コンテンツの作成および公開. 2.. 教育訓練コンテンツ. われた.なお,後者の講演のまとめは尾上昌平氏が執筆. オンラインを利用したバーチャル実習の可能性. されるため,本稿では割愛する.. オンライン講義(ビデオ講義)を一方通行の教育とな. 新型コロナウィルス感染症の拡大により,2020年 4 月. るべく感じさせない工夫,教育効果の判定手法の確 立. 7 日に初の緊急事態宣言が発出された.その影響は放射 線施設の運用にも及び,特に教育訓練や健康診断など,. 3.. 法令上必要ではあるものの,密が想定されることについ ては各施設で対応を検討せざるを得ない事態となった.. 築. このような事態への対応を学会としてまとめることで,. 学会やシンポジウムの web 参加,知りたいことを. 今後の長期化も想定される新型コロナウィルス感染症拡 大防止への放射線施設での取り組みに関する検討課題を 明らかにした.詳細は本誌前号に掲載されているた め1),以下に概要のみ示す.. 協力・連携体制 各地域内での放射線施設同士の協力・連携体制の構. 気軽に web 会議システムで議論できる場の提供. 4.. 提言 教育訓練を時間数で管理するのではなく,省略規程 を適用した理解度での管理. 緊急事態宣言解除後の 6 月10日に,会員メーリングリ. また,筆者が所属する東京大学アイソトープ総合セン. ストを利用してアンケートへの回答を依頼,回答期限は. ターでの対応として,学内向け E-learning による新規教. 4週間.. 育訓練および例年受け入れている医学部医学科の学生実. 会員数 366 名のうち,回答数は 102 ,そのうち大学. 80,企業10,研究機関 9,病院 3 約80の回答者の関わる放射線施設は,利用停止・ 利用制限を行った. 験における具体的な対応例を紹介した. 前者では,コンテンツまでは完成していたものの,全 学の従事者管理システムとの連携遅れのため延期となっ ていた E-learning による全学の新規教育訓練を,手動で. 約90の回答者の関わる放射線施設では,通常の新. の受講管理を行うことで全面的に開始した.学内のみな. 規教育訓練を実施できず,約 50 は ICT 教育に移. らず,国立大学アイソトープセンター会議の事業として. 行した. 学外にも公開した.受講希望は,大学等放射線施設協議. 再教育訓練も同様の結果であった. 会の会員 ML を利用して募り,合計で13大学の約200名. ICT 教育は受講管理が課題となるが,教育効果と. の受講があった.. 効率性には一定の評価があった 約50の回答者の関わる放射線施設では,新規健康 診断が未だ実施できなかった. 後者では,対応例を昨年と今年を比較する形で紹介し た.概要を表に示す.医学部医学科は, 1 学年で 120 名 弱の学生がおり,教員・スタッフを含めると125名ほど. 15.
(7) 第19回学術大会(WEB). の参加者がある.学部のカリキュラムの都合のため,実 習が開催できる日程は11月上旬の 2 日間のみである.さ. 表 東京大学アイソトープ総合センターで受け入れている医学 部医学科学生実験の昨年との比較. 昨. らに,講義室および実習室はいずれも 120 m2 であり, 密を回避しにくい状況にある.実習を実施する医学部の. 実習内容. を 1 人 1 班,学生を 6 グループに分けた時間差での集合. 年. RI 取扱(希釈のみ). 実習結果報告会. などによる工夫で,密を極力回避した.また,感染対策 習を行うことができた.. 今. 管 理 区 域 内 非 密 封 管 理 区 域 内 非 密 封 RI 取扱生物系実験 屋外自然放射線測定. 先生方のご提案により,実習内容を大幅に簡略,班分け. として以下のことを行うことで,感染者を発生させず実. 年. 1 回あたり の入室人数. 最大30名+スタッフ 6 最大20名+スタッフ 6 名(実験室). 名(実験室のみ). 最大60名+スタッフ 6 最大10名+スタッフ 2. 全学の方針に従い,大学キャンパス入域前に健康管 理報告および滞在キャンパスをオンライン登録 建物入館前,管理区域入域前に手のアルコール消毒 参加者はマスク+フェイスシールドの着用を必須 実験終了後,汚染検査前に手を洗ってアルコール消 毒後に HFC 測定. 班分け 学生 1 人の. 名程度(講義室集合). 一班あたり 2~3 名. 一班 1 名. 丸一日. 2 時間程度. 拘束時間 予防規程 講義. HFC 測定終了後,学生の手が触れた部分をスタッ フがアルコール消毒. 名(講義室). 実習内容の. 朝 8 時半に集合して対 通常のオンライン講義 面講義 ( zoom )の中で時間を 確保して予め実施 4回. 6回. 説明回数. 文献 1)桧垣正吾,三好弘一,伊藤茂樹,松田尚樹,中島. 覚新型. コロナウイルス感染症拡大による放射線施設への影響調査の. 取りまとめ,日本放射線安全管理学会誌, 19 ( 2 ) , 122 129 (2020).. 新型コロナウイルス感染症への放射線施設での対応 鹿児島大学研究推進機構研究支援センター. 尾上. 昌平. 本セッションでは,新型コロナウイルス感染症への放. について報告した.継続利用者の大半に対して,問診票. 射線施設での対応と題して,放射線施設に対するアン. 及び被ばく線量結果によって受診の有無を判定したこと. ケート調査の報告及びコロナ禍における現場対応の事例. で,対面受診を前年度比約45低減したこと,2021年度. 紹介が行われた.本稿では,鹿児島大学研究支援セン. 以降の方針は,国内のワクチン接種状況及びその効果で. ターアイソトープ実験施設の現場対応事例紹介である. 判断されることを報告した.. 「コロナ禍における放射線安全管理と研究支援」につい て報告する.. 最後に,現場での感染症対策,研究支援設備の稼働体 制について報告した.現場に立ち入る利用者を低減させ. はじめに,コロナ禍における教育訓練の実施体制につ. ることを目的として,Ge 検出器型ガンマ線スペクトル. いて報告した.鹿児島大学アイソトープ実験施設では,. 測定装置,メスバウア分光測定装置等は,受託分析へ変. 少人数で放射線安全管理が行われており,例年実施され. 更した.併せて,自動化されていない設備の自動化・遠. ている時期に新規教育訓練を行うことができなかったこ. 隔化を進めたことで,鹿児島大学内で集団感染が発生し. と,利用者の救済策として,東京大学アイソトープ総合. たことに伴う入構規制期間中も測定は継続され,研究支. センターの e-learning 放射線教育が活用されたことを紹. 援の停滞を防止できたことを報告した.. 介した.また,継続利用者に対する再教育訓練におい. 発表後の総合討論では,「今後の教育訓練の在り方」. て,オンライン講習会を実施したことが紹介された.こ. 及び「新しい生活様式の実践とコミュニケーションのバ. れらの対応の結果,利用学生の教育・研究に遅滞は生じ. ランス」について議論された.オンライン開催らしく,. なかった一方で,少人数管理体制ではイレギュラーな. Zoom のチャット上に積極的に意見が寄せられた.. 事象が発生したとき,対応できない事態に陥るため,. コロナ禍終息後を見据えた「今後の教育訓練の在り方」. e-learning コンテンツ等の整備が必要であることを示し. では,管理者視点,利用者視点それぞれの意見があり,. た.. e-learning 化,オンライン化を推進する意見が多数を占. 次に,対面での応対を余儀なくされた健康診断の取組. 16. めた.e-learning 化,オンライン化に取りかかりやすい.
(8) 第19回学術大会(WEB). 再教育訓練から始め,新規教育に展開していくことがス. が減少していることについて,コロナ禍の新たな課題と. ムーズな移行につながることがまとめられた.翻って,. して大阪大学の鈴木先生から提起された.これに対して,. コンテンツの改善頻度,対面による実習の実施体制が課. Web 会議システムの活用が問題解決の一助となること. 題として挙げられた.. が,東京大学の桧垣先生から提案された一方,各事業所. 放射線取扱主任者の重要な業務の一つであるマネジメ. では苦労している状況が垣間見えた.どのような状況に. ント層とのコミュニケーションが,新しい生活様式の実. あっても,マネジメント層,利用者と接点を持ち続ける. 践によって停滞していること,現場での利用者との接点. 活動の継続が重要であることが示唆された.. 17.
(9) 第19回学術大会(WEB). 令和 2 年度放射線防護アンブレラ事業. 「緊急時放射線防護ネットワークのあり方について ~緊急時環境モニタリングと避難退域時検査の支援のために~」 報告 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構. 高田. 千恵. この「緊急時放射線防護ネットワーク」は,原子力規. トワークに係る制度設計,同)中野政尚氏からは緊急時. 制委員会令和 2 年度放射線安全規制研究戦略的推進事業. モニタリングセンター( EMC )での支援活動を想定した. 費(放射線防護研究分野における課題解決型ネットワー. 環境モニタリンググループ,同)吉田忠義氏からは避難. クとアンブレラ型統合プラットフォームの形成)事業(主. 退域時検査での支援活動を想定した放射線管理グループ. 任研究者QST 神田玲子氏)の一部として,原子力機構. についての検討状況が紹介された.. の百瀬琢麿氏が分担研究者として実施しているものであ. これ以後の時間を「総合討論」とし,まず指定発言と して原子力機構)早川剛氏が,本検討において「中核機. る. 今回はこの事業が対象としている「放射線防護」分野. 関」として想定される役割を現在担っている原子力緊急. に関係する当学会の会員諸氏に対し検討状況を紹介し,. 時支援・研修センターの立場での具体的なネットワーク. 幅広く意見を募ることを目的とし,ライブ会期の 2 日目. 機能の検討状況等を報告した.討論としては,チャット. (12月10日)午後に60分間のシンポジウムとして開催され. 機能で視聴者から意見を募り,講演者等がそれに応える という形をとったが,ライブ中のコメントは 4 名,マイ. た. まず百瀬氏から,このネットワークの目的が,万一の 放射線緊急事態・原子力災害発生時に,教育研究機関,. ページ機能による後日コメントも 1 名からという,シン ポジウムとしては少々寂しいものになってしまった.. 原子力事業所等の放射線防護分野の研究者/技術者,放. 一般に実会場のシンポジウムでは,会場からの発言と. 射線管理員が,その専門性を生かして適材適所で災害支. 回答が 1 対 1 で行われるため,時間の制約などにより十. 援活動を展開するための平常時の活動であること,また. 分な数の意見をきけないことも多く,ウェビナーでは多. これまでの検討の結果,ネットワークは,常設の原子力. くの意見が集まるのではないかと期待していたが,本シ. 機構の原子力緊急時支援組織をコアとして国内の放射線. ンポジウムについては,これまでこの学会でこの事業に. 防護の関係者で防災対応に係る問題意識を共有し,改善. ついて紹介してきたことがなかったこともあってか,反. に向けた活動を提案,実践していく形を案として検討し. 応が薄く,演者からの一方通行に近かったのが残念であ. ているとの説明がされた.. った.. 次に分担研究者の原子力機構)渡邊裕貴氏からはネッ. 職業被ばくの一元化検討ネットワーク 東京大学アイソトープ総合センター. 桧垣 原子力規制委員会令和 2 年度放射線安全規制研究戦略. 正吾. ている「職業被ばくの一元化検討ネットワーク」事業に. 的推進事業費(放射線防護研究分野における課題解決型. 関するセッションとして,ライブ開催 2 日目の15時40分. ネットワークとアンブレラ型統合プラットフォームの形. から 1 時間行われた.座長の百瀬琢麿氏(JAEA)による. 成)事業の課題解決型ネットワークの一部として行われ. セッション内容や進め方の説明に引き続き,4 件の講演. 18.
(10) 第19回学術大会(WEB). た.医療従事者は人数が多く,眼の水晶体の等価線量が. が行われた. まず,吉澤道夫氏( JAEA )から,「職業被ばくの個人. 高い,また,医師の個人被ばく線量計の着用率が低い臨. 線量管理方法の検討状況」として,国家線量登録制度検. 床分野のあるため,実際の被ばく線量はもっと高いので. 討グループにおける検討状況が報告された.これまでの. はないかという実態調査の背景が説明された.調査結果. 関連活動(例えば,日本学術会議による提言)のレビュー. の概要は以下の通りであった.電離則第 2 条第 3 項の. を行うことで教訓を明らかにし,検討の基本方針を定. 「放射線業務」に従事する者のうち,従事者管理されて. 日本学術会議によ め,線量登録制度を 4 つの制度案(◯. いたのは約90.電離則第 8 条第 1 項の外部被ばく量の. 全 る提言にあった国家線量登録機関による一元管理,◯. 測定に基づく個人被ばく線量計は,本来ならば100の. 全事業者 事業者が線量登録機関を設置して一括管理,◯. 装着率でなければならないが,いかなる職種もそうなっ. 業界・分野別に線量 が線量登録機関を設置して管理,◯. てはいないため,現状の被ばく線量は,過小評価されて. 管理制度を運用)に整理したことが紹介された.それぞ. いると予想される.電離則第 8 条第 3 項の均等被ばく. の れの案を比較した結果,現実的な構築方法として,◯. (胸・腹部)の個人被ばく線量計装着率は,診療放射線技. を検討しなが 業界・分野別の線量管理制度の構築を,◯. 師が高く,一般的に被ばく線量が高いとされている医師. または◯ による一元管理を目指す方針 ら進めていき,◯. は一番低い.不均等被ばくにおける頸部の装着率は,診. が示された.. 療放射線技師が高いが 70 程度であり,その他を除け. 2 番目の講演として,伊藤敦夫氏(放射線影響協会)か ら「被ばく線量登録管理制度の現状. ―中央登録管理制. ば,医師は33で一番低い.医師の診療科別,個人被ば く線量計(胸・腹部)装着率は放射線科が一番高く,消化. 度の概要と除染登録管理制度の立ち上げの経緯―」とし. 器外科,整形外科が低い.他の診療科でも40程度しか. て,放射線影響協会が行っている原子力業務従事者,除. 装着されていない.観察場所別では,手術室における個. 染等業務従事者, RI 法放射線業務従事者の 3 つの制度. 人被ばく線量計装着率が非常に低く,放射線業務従事者. のうち,除染等業務従事者に関する設立経緯と以下に示. 登録されていない医師が散見された.医師は,主な雇用. す 5 点の成功の要因について紹介があった. 1. 被ばく. 機関に加えて地域の医療機関においても放射線業務に従. 管理について業界全体が問題意識を共有していたこと.. 事する機会や異動も多く,そのような場合にはさらに管. 2. 事業者が当事者意識をもって制度設計に積極的に参. 理が十分に実施されていない懸念もある.線量計の装着. 画したこと. 3. 厚生労働省の除染電離則ガイドライン. 徹底を含め,放射線防護管理体制の徹底が必要である.. 及び環境省の除染等工事共通仕様書に,事業者の制度へ. 総合討論として,業界・分野別の線量管理制度を構築. の参加が明記されたこと. 4. 運用開始後も参加事業者. するにあたり,次のような論点が提示されたが,時間の. が登録制度の維持について必要性を認識していること.. 都合上,システム上で質問や意見を受け付けることにな. 5. 運用開始後も参加事業者と協会との意見交換の場を. った.. 維持していること.. 人材流動性のある大学等,医療関係の複数施設を利用. 3 番目の講演では,渡部浩司氏(東北大)から「大学等 における放射線業務従事者管理の現状と課題解決への取 り組み」として講演があった.次のセッションでその詳. する者,異動がある者に対して,どのような管理制度 が合理的か. また,これらをどのように実現してゆ. けばよいか. 細が示されるため,ここでは概要のみが示された.講演. 大学等被ばく線量は低い.合理的な管理は. 中に技術的なトラブルのため中断されたこともあり,詳. 医学関係比較的高い被ばくをする者あり.複数施設. 細は当該セッション報告に譲り本稿では割愛する. 最後の講演として,欅田尚樹氏(産業医大)から「医療 従事者における個人被ばく線量管理の課題」として,労. での業務の実態は 眼の水晶体の積算管理も必要.どのような管理を実現 してゆけばよいか. 災疾病臨床研究事業研究班の調査活動の成果が報告され. 19.
(11) 第19回学術大会(WEB). 原子力規制庁放射線安全規制研究戦略的推進事業 放射線情報一元管理のためのアイソトープ総合センター 連携ネットワークの構築 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター. 渡部. 浩司. このセッションでは,原子力規制委員会・放射線安全. 必要ないという点は評価できるとのことであったが,従. 規制研究戦略的推進事業費事業「健全な放射線防護実現. 事許可をどうするか,すべての大学でうまくできるかは. のためのアイソトープ総合センターをベースとした放射. まだ議論が必要であろうとのことであった.. 線教育と安全管理ネットワーク」(20172021年度)で行 われている「大学間 RI 従事者管理システム」の開発に. そして,鳥取大学の北. 実氏から小中規模大学の現状. 紹介があった.鳥取大学は 2 つの RI 施設があるとのこ. 関連したシンポジウムが行われた.まず,事業の代表で. とであった.2 つしか施設はないが,個人管理の情報が. ある,東北大学の渡部浩司氏より,事業の概要説明があ. 共通化できるところとできないところがあった.予算的. り,開発中のシステム紹介が行われた.本システム開発. な事情,過去から慣例,事業所の実情で,共通化できる. の背景には,昨今の大学における従事者管理の複雑さが. ところ,共通化できないところが発生した.連携ネット. ある.放射線の利用形態の多様化や施設の統合・集約化. ワークに対しては,安定的な安全管理,学外施設利用時. に伴い,学内部局や他大学からの利用が増加してきてい. のスムーズ化の点で期待したいとのことであった.. る一方,施設の維持費用が高額な RI 施設の老朽化や人. 最後に東京工業大学の林o規託氏より,大規模大学の. 材不足が顕在化してきている.そこで,本事業では,放. 現状説明が行われた.東京工業大学は職員と学生合わせ. 射線作業従事者管理のための共通フォーマットを提案. ると 14000 名ほどおり,約 7 が放射線に関わっている. し,この共通フォーマットで記載された情報をネット. とのことである.当大学では,ファイルメーカーで作ら. ワークを介して,大学間でやりとりできるシステムを開. れた独自の全学放射線利用者管理システムで放射線管理. 発した.これにより,他事業所での受け入れ業務を安全. を行っている.外部と遮断された独自ネットワークでシ. にかつ効率的に行うことを目標としている.. ンクライアントシステムとして運用されているとのこと. 続いて,高エネルギー加速器研究機構( KEK )の佐波. である.最近,放射線の教育用に市販の e ラーニングシ. 俊哉氏によって共同研究機関の現状説明が行われた.. ステムを導入した.低コストで運用でき,受講者に対し. KEK は複数のプロジェクトが同時に動いており,それ. て柔軟な対応が可能とのことである.連携ネットワーク. ぞれ多くの外部ユーザーを受け入れている.. 事業については,事務手続きの軽減を期待したいとのこ. SuperKEKB の プ ロ ジ ェ ク ト で は 23 カ 国 , 700 名 の ユーザーがおり,特に外国からのユーザーが多い.. とであった.一方,個人情報管理のルール整備や事業終 了後の継続の問題を指摘していた.. Photon Factory は国内ユーザーが中心であるが 3000 人. 自由討論の時間に,クロスアポイントメントの問題,. 程度のユーザーがいる.全体で5000人以上のユーザーが. 学外の施設しか使わない従事者に対してどのような教育. いるが KEK 内での被ばくはほとんどないとのことであ. 訓練をすべきか,放射線管理システムの維持をどうして. った.従事者の登録のための様式は印鑑が必要で,郵送. いくのかなど,議論が行われた.従事者管理には,多く. してもらっているとのことであった.最近は利用方法や. の解決すべき問題があり,そのような問題が参加者間で. ユーザーの属性が多用化しており,苦労しているようで. 共有できたことは,本シンポジウムの意義であろう.. ある.この事業で開発しているシステムで印鑑や郵送が. 短寿命放射性核種の取扱の実際と教育資料の作成 長崎大学原爆後障害医療研究所. 西 本シンポジウムでは,「短寿命放射性核種の取扱の実 際と教育資料の作成」と題し,近年,喫緊の課題とされ る短寿命放射性核種の合理的な管理法および安全取り扱. 20. 弘大. い法の確立について発表と討論が行われた. 初めに,実際に短寿命 a 線放出核種を製造・使用し ている 2 施設の紹介があった..
(12) 第19回学術大会(WEB). 右近氏が所属する福島県立医科大学の先端臨床研究セ ンターは施設内に RI 病棟を有しており,RI の製造から. 事が紹介された.また,汚染対応についても養生テープ を貼ることで a 線を遮蔽できる例が挙げられた.. 基礎研究,前臨床試験,臨床試験までを網羅的に実施し. 続いて,「短寿命放射性核種の安全取扱のための教育. ている. PET 検査を実施するための小型サイクロトロ. 資料作成アドホック委員会」の委員長である久下氏か. ンの他,211 At を製造するための中型サイクロトロンが. ら,「短寿命放射性核種の取扱のための教育資料」の概. 導入されている.211 At. 要とアドホック委員会活動について紹介がなされた.. は非常に気化しやすいため,分. 離・合成の段階ではグローブボックスを使用したり遠隔. 近年,短寿命 a 線放出核種をはじめとする短寿命放. 操作を取り入れている.また,製造した放射性核種を動. 射性核種の医学応用研究が盛んに行われており,これら. 物実験施設に運び込んでイメージング研究などを行って. の核種の合理的な管理法,安全取り扱い法の確立が望ま. いる.動物の飼育にはアイソレーションゲージを用い,. れている.このような背景を受け,大阪大学の吉村氏主. 211At. が他の核種と混ざらないような工夫をしている.. 導の下で「短寿命アルファ線放出核種等の合理的安全規. 大江氏が所属する大阪大学は,放射線科学基盤機構,. 制のためのガイドライン等の作成事業」が進められてい. 核物理研究センター, RI センター,医学系研究科が共. る.本学会はこの事業の一部である短寿命放射性核種の. 同でアルファ線核医学治療の開発を進めている.研究に. 安全取扱のために必要な教育内容の精査と教育資料の作. 用いられる 211At や 225Ac は,核物理研究センターに導. 成を受託し,アドホック委員会を設け,短寿命放射性核. 入されている AVF サイクロトロンによって製造され,. 種の安全取扱のための教育資料の作成にあたっている.. RI センター内で分離精製を行っている.RI センター内. 作成する資料は,利用者だけでなく管理者にとっても有. には放射能を定量するための Ge 半導体検出器,動物飼. 用な情報を加え,また短寿命核種のみならず多くの非密. 育 設 備 , SPECT カ メ ラ が 設 置 さ れ て お り ,211 At や. 封放射性核種も網羅することを目指して作成された.さ. 225Ac. を用いた化学的研究,薬剤標識研究,動物実験が. らに特筆すべき特徴は,既存資料にはない詳細で具体的. 実施されている.また,医学系研究科付属未来医療イ. な取扱法や防護法,ヒヤリハット事例を盛り込み,講義. メージングセンターにおいても. の利用が可能な研. やプレゼンテーションに活用しやすくなっている点であ. 究環境が整っている.短寿命 a 線放出核種を取り扱う. る.これらの資料はパワーポイントファイルおよび PDF. 際の注意点として,活性炭入りマスクおよび長手袋の着. ファイルにて当学会ホームページで公開予定である.. 211At. 用によって内部被ばくと肘・袖口への汚染を防いでいる. 若手研究者による放射線に関する研究紹介 静岡大学理学部放射科学教育研究推進センター. 矢永 本セッションでは,3 名の若手研究者による放射線に 関するさまざまな分野における研究紹介が行われた.. 誠人. 2 番目の演題,志水陽一氏(京都大学)による「次世代 核医学診療に対応可能な RI 施設の構築」では,京都大. 最初の講演,山内基弘氏(長崎大学)他 2 名による「放. 学医学部附属病院における次世代核医学診療に向けた新. 射線被ばくで生じた DNA 損傷を正確に修復する分子メ. たな診療用 RI 施設の構築についての紹介があった.同. カニズム」は,DNA 二本鎖切断(DSBs)の修復に関する. 病院では,早くから院内製造による PET 診断薬を用い. 講演であった.放射線に被ばくすることにより DNA に. た先駆的な診療を行ってきたが,施設の老朽化等により. 傷が生じるが,そのうち,ヒトにもっとも大きな影響を. 新たな PET 核種の製造に対応できなくなってきたこと. 及ぼすのが DSB である.ヒトを含めた生物にはその傷. に加え,院内製造に要求される高水準の製造・品質管理. を修復する機構が備えられており,二つの方法,非相同. への対応が困難となった.そこで,新たな RI 施設が設. 末端結合修復(NHEJ )と相同組換え修復( HR )が知られ. 計・構築され,次世代の核医学診療に対応できるように. ている.しかしながら,その修復経路には不明なことが. なったとのことであった.なお,これに伴う RI 規制法. 多いことから,演者らはその修復メカニズムの解明を試. に基づく申請においては,従来と異なり,サイクロトロ. みた.ヒト線維芽細胞および網膜色素上皮細胞を材料と. ンの使用回数と使用予定核種,1 回あたりの最大放射能. して用い,ゲノム内の異なった領域で生じた DSB 同士. 量との組合せに基づく計算法を作成し,遮蔽計算等を行. のペアリングを制御することにより染色体再構成を抑制. うことにより承認を得ることができたとのことであった.. する因子を同定するとともに,HR で重要となるタンパ. 本セッション最後の演題,岩崎智之(愛媛大学)による. ク質についても同定し,その働きを解明した.. 「『放射線教育』における放射線安全管理者としての活躍. 21.
(13) 第19回学術大会(WEB). 促進を目指して」では,愛媛大学放射線教育支援室によ. の教育も行われている.県内の看護学生,教育関係者お. る放射線教育の実践の様子が紹介された.放射線教育支. よび防災関係者に対して,「看護学生のための放射線講. 援室は,学内の各 RI 施設の放射線取扱主任者といった. 習会」,「教員免許更新講習」 ,「愛媛県原子力防災研修及. 放射線安全管理に携わる者だけではなく,さまざまな形. び防災訓練」において,それぞれの目的に応じた教育が. で放射線教育に取り組んでいる各学部の教員からなる組. 行われている.なお,令和 2 年度においては,新型コロ. 織とのことであった.その活動は多岐にわたっており,. ナウィルスの影響により,出前授業や e ラーニングに. その対象も学内の学部生・院生に限らず,広く学外者へ. よる講習を行ったとのことであった.. 令和 2 年度放射線防護アンブレラ事業受託事業. 中間報告. 長崎大学原爆後障害医療研究所. 松田. 尚樹. 「放射線防護研究分野における課題解決型ネットワー. 数点の事例があり,線量評価と再発防止策も含めてさら. クとアンブレラ型統合プラットフォームの形成事業」. に精査を続けているとのことであった.最新知見の収. (アンブレラ事業)には,日本放射線安全管理学会,日本. 集,という,課題名を与えられているが,どのようにし. 放射線影響学会,日本放射線事故・災害医学会,日本保. て収集するのか,収集した知見から何を得ようとするの. 健物理学会及び放射線リスク・防護研究基盤(PLANET). か,という点がロジカルに組み立てられており,フロア. が参加している.本学会を含め,法人格を持つ団体は,. からの活発なコメントもあり筆者にとっても予想を大き. アンブレラ事業の実施代表機関である量研との間で業務. く上回る面白いセッションとなった.. 請負契約を締結し,本事業に協力している.この契約で. 続いて国内担当の桧垣グループは,放射線事故の事例. は毎年異なる業務を各団体は請け負っているが,令和 2. 28件を原子力規制庁ホームページより洗い出し,さらに. 年度は,「海外の放射線施設の放射線事故に係る最新知. 京都大で発生した火災後に見られた危険時の措置を実例. 見の収集」,及び「国内の放射線事故が発生した際の放. として加え,生じた事象を予防できそうなもの(計画外. 射線施設の緊急時対応の調査と提言」を,共通課題とし. 被ばく,所在不明,漏洩・汚染拡大)と予防できなさそ. て受託した.本学会では,企画委員会が受け皿となり,. うなもの(密封線源からの漏洩,火災など)に分け,予防. 前者の海外については角山委員,後者の国内については. できそうなものについては各委員の施設の予防方法は十. 桧垣副委員長が取りまとめ役となってワーキンググルー. 分か,予防できなさそうなものについては,現在の予防. プを構成し検討を進め,その中間状況が本セッションで. 規程や施設内マニュアルで対応できるか,という点を判. 報告された.内容はいずれも極めて興味深く,示唆に富. 断し,全体を取りまとめるという手法で検討が進められ. んだものとなった.. た.一例として, C-14 を投与されたマウスの所在不. まず海外担当の角山グループでは,2000年以降に報告. 明,これはおそらく他の動物とともに焼却された可能性. されている INES2 以上の放射線事故(総計473件)の中か. が高いが,焼却待ちの動物屍体の所持,保管に関する記. ら RI 関連事故を集め,事故体系(異常被ばく, IVR 施. 録,明示が無勝ったために生じたものであろう.この点. 術者の水晶体被ばく,紛失 RI による被ばく,作業中の. についてはほとんどの委員の施設でも実際に予防可能と. 飛散事故)により分類し,その内容を精査した.数的に. の判断であった.一方,Cs-137表示付き認証機器の所在. は日本を含むアジアは欧州,北米に次いで 3 番目になる. 不明事例では,管理手順書未整備,線源を認識できない. が,異常被ばくが多い欧州,北米に対して,アジアでは. 不確実な線源固定法など多くの問題が明らかであり,基. 線源盗取が異常被ばくと同程度報告されている.異常被. 本的に管理責任者,主任者の認識不足によるところが大. ばく(保田委員)では,Ga-68バイアル開封時の液滴飛散. きい.表示付き認証機器は取扱は,その規制が緩やかで. による角膜の汚染,及び Mo-99 による手の汚染など,. 使用制限も少ないためゆえに管理上の問題が生じやすい. IVR 施術者の被ばく(山口委員)では,イギリスでは25.8. こともあり,多くの委員も自施設でもその点が不十分で. mSv の水晶体被ばく,フランスでは 500 mSv 超の水晶. はないかとの判断であった.他に,密封線源の破損によ. 体被ばくが紹介された.また,紛失 RI による被ばく(佐. る漏洩や火災といった予想し難い事例については,前者. 瀬委員)に関しては,非破壊検査等で用いる大線源によ. では異常事態であるという認識,後者では事故後の情報. る死亡事故(2000年,エジプト)を含めて,比較的高線量. 公開について,現在の状況では対処できないのではない. の被ばくにつながる事例が多い.作業中の飛散事故で. かとする委員がおられた.このように,事故及び対処の. は,前述の Ga-68バイアル開封時の液滴飛散事故を含め. 事例を自施設の状況に照らし合わせると,弱いところが. 22.
(14) 第19回学術大会(WEB). よくわかる.グループでは,このように類型化した事故. いずれのグループとも,2 月末に納品予定のアンブレ. 事例に対する自施設の状況についての情報を会員からさ. ラ成果報告書で最終結果が報告されることとなるが,. らに集め,今回の問題点に対する予防策,対処法をまと. 2021年度以降のシンポジウム,学術大会等でも,ぜひ最. め,予防規程やマニュアルに入れるよう学会で提言する. 終版を元に議論し,各施設の安全性向上につなげたいも. 予定である.グループの調査能力を十分に発揮した報告. のである.. であった.. 令和元年度放射線防護アンブレラ事業報告 広島大学自然科学研究支援開発センター. 中島. 覚. 「放射線防護研究分野における課題解決型ネットワー. が多かった.業務内容は「放射線管理」が 4 学会平均の. クとアンブレラ型統合プラットフォームの形成事業」の. 2 倍程度の回答率であった.資格・学位に関しては,第. 令和元年度(平成31年度)の活動の一つとして,放射線防. 1 種放射線取扱主任者資格を多く有しているが,30歳代. 護アカデミアに参加している日本放射線安全管理学会,. の博士取得率が際立って低かった.発表では,4 学会平. 日本放射線影響学会,日本放射線事故・災害医学会,日. 均と比較した本学会の特徴を紹介いただくとともに,自. 本保健物理学会の会員に対して若手人材の確保・育成に. 由記述欄の紹介もあった.. 関するアンケート調査が行われた.アンケート調査結果. 放射線管理業務を行うためには博士取得は必ずしも必. の一部は日本原子力学会誌「アトムス」などにも報告さ. 要ではないが,若手が博士取得のために工夫し,努力し. れているが,本報告では日本放射線安全管理学会会員の. た結果はその後の人生に大きな影響を与えると私は考え. 回答を抽出して松田尚樹顧問が報告した.. ている.そのような日々の努力は施設内でのポストアッ. 回答者の構成年齢は40~50歳代にピークがみられて 4. プにも良い影響を与えるに違いない.放射線安全管理の. 学会平均よりも高いが,20歳代は極端に少なかった.ま. 分野で若手が学位取得できる場を本学会が提供できれば. た,回答者の大半は大学等教育機関に所属しており,4. 良いと考える.会場からも業務を行いながらの博士取得. 学会平均を大きく上回っていた.専門分野は「放射線防. に関するコメントがあった.. 護学・放射線安全管理学」と「放射線計測・線量評価」. 23.
(15) 第19回学術大会(WEB). ポスター発表. 番号 1, 4, 7, 28, 31, 34 名古屋大学. 瓜谷 P 1 では, PET 製剤作製用のサイクロトロンにおい. 章. れた.. て発生する 2 次中性子により生成される放射化物の放射. P 28 では,核セキュリティのための,中性子線源の. 能量とその減衰を, PHITS と DCHAIN を用いて評価. 迅速な検知とその位置の特定のための中性子検出器の紹. した結果が発表された.サイクロトロン本体のコンク. 介がなされた.検出器は二つのプラスチックシンチレー. リ ー ト は 1 ヶ 月 後 で 約 13.3 MBq , 5 年 後 に は 約 2.32. ターとその間に挟み込んだ中性子遮蔽体としてのポリエ. MBq になり,初期は 55Fe, 37Ar, 59Fe による寄与が大き. チレンブロックかからなり,二つのシンチレータでの反. 55Fe. 40K. の寄与が大き. 跳陽子の計数の差から中性子の飛来方向を推定するもの. くなることが明らかにされた.そのほかに,ターゲット. である.本検出器の応答の中性子入射角度依存性を. 容器,Targetfoil,Havarfoil における主要生成核種とそ. PHITS を用いて評価した結果について発表がなされた.. く,長期間(5 年以上)になると. と. の減衰について評価結果が示された.. P 31 では,原子力規制庁の委託事業として行われて. P4 では,発表者らが開発した汚染土壌などを測定対. いる ICRP 刊行物の翻訳の状況について紹介がなされ. 象とした In-situ 放射能濃度深度分布スペクトロメータ. た.これまでに Publ.125,131,132が公開済みであり,. の,深層学習用のデータセットを効率よく作成する手法. Publ.121,130,138は今年度中に公開予定とのことであ. について紹介がなされた.推定精度向上のためには,大. る.ポスター発表では, Publ.125 , 138 について概要と. 量のデータセットが必要となるが,これを PHITS を用. 要点が紹介された.. いて効率的に作成する工夫がなされている.. P 34 では,日本遮蔽技研郡山校正センターにおいて. P7 では,近畿大学の原子炉施設内ラドン濃度測定に. 行われているサーベイメーター校正受入れにおける新型. おいて,自然起因成分と施設起因成分を弁別評価するこ. コロナウイルス感染防止のための取組みについて紹介が. とを目的として,自然起因成分であるラドン濃度とラド. なされた.特徴は,効率的な除菌作業のために,除菌前. ン子孫核種濃度の測定がなされた.ラドン濃度について. 測定器保管エリア,測定器除菌作業エリア,除菌済み測. はアルファガードを,ラドン子孫核種濃度についてはダ. 定器保管エリアをそれぞれ設けることである.これらの. ストモニタを用いた測定が行われ,週の最大値のラドン. 各エリアでの具体的な作業工程について紹介がなされた.. 濃度と,気温差,相対湿度との相関について考察が行わ. 番号 2, 5, 8, 29, 32, 35 聖マリアンナ医科大学アイソトープ研究施設. 廣井. 朋子. 放射線による生体影響については,様々な数理モデル. 芽酵母を用いた実験により検証したところ,細胞の修復. が構築されているが,P2 は,これまでは考慮されてい. 能力によって修復力の定数が変化することが確認でき. なかった「修復」の効果についても加えたモデルの報告. た.計算結果と実験結果の誤差がまだ大きいことや,実. である.「 1 本鎖切断は修復されるが 2 本鎖切断は修復. 際は 2 本鎖切断後にも修復は起きることから,今後の課. されない」と仮定したモデルで,修復力を定数として生. 題としてさらなるモデルの改良や実験系の自動化を目指. 存率を表す数式を構築した.この数理モデルについて出. している.. 24.
(16) 第19回学術大会(WEB). N95 マスクは, NIOSH (米国労働安全衛生研究所)の. ~50 keV/mm)を照射して,高 LET 放射線の場合の塩基. 規格に合格した高性能マスクのことで,医療機関などに. 変異を解析した.高 LET 放射線では, DNA の 2 本鎖. おいてウイルス防御の目的で用いられている.新型コロ. 切断が誘発されやすいため,その修復時に起きる塩基の. ナウイルス感染症の流行により品薄になるという件が発. 挿入・欠失が多く観察された.また,G : C→T : A の塩. 生したため,本来は使い捨ての仕様であるが,滅菌して. 基置換はガンマ線の方が多いが,A : T→T : A の塩基置. 再利用することも試みられている.P5 は,N95マスク. 換は炭素線に多かった.これは炭素線に特徴的な塩基置. を紫外線滅菌することを想定して,UVC の透過率を,. 換である可能性がある.. ラジオクロミック線量計を用いて測定したという報告で. 新型コロナウイルス感染症の流行により,全国的にテ. ある.「 N95 マスク」の定義にあてはまるものであって. レワークが推奨されている. P 32 は,放射線管理室の. も,メーカーや種類によって UV C 透過率は様々であ. 業務についてテレワークを導入した経験の報告である.. り,内側にあるウイルスをトラップするフィルターまで. 人員配置の工夫や,メールでの対応,Web カメラ・マイ. 透過しない場合もあることがわかった.そのため,再利. ク等の整備により,ある程度は在宅管理ができるように. 用時の滅菌のために紫外線照射をする場合には,注意が. なった.普段は十分な時間をかけにくいマニュアル・様. 必要であることが示唆された.. 式・図面の整備などに取り組むことができたという利点. ある地域の空間線量率は,その土地の高度および地質. もある.一方,出勤対応が必要な業務も数多くあり,状. (土壌に含まれている放射性物質の種類・量)によって決. 況によっては休館措置をする判断が必要になる.テレ. まるが,高度および地質のいずれの寄与が大きいか,明. ワークが推奨される状況は今後も続くと予想されるため,. 確ではない.P8 は,空間線量率の高低と土地の高度お. 管理業務においてもさらなる工夫が求められている.. よび地質(40K の量)の関係を,主成分分析を用いて解析. P 35 は,労働基準監督署による放射線施設の現地確. し,それぞれの寄与率を考察したものである.市街地お. 認の事例報告である.1 週間前に候補日を提示され,都. よび山岳地において,5 千箇所以上の測定点で空間線量. 合の良い日を選ぶことができた.当日は,管理区域への. 率を測定し,解析した.その結果,高度よりも地質の影. 立ち入りはせず,施設の利用状況・放射性物質の種類・. 響の方が大きいという傾向がみられ,その傾向は山岳地. 照射装置の有無・測定器の保管場所・出入口標識につい. よりも市街地の方が強かった.放射線教育において空間. ての現状確認が行われた.帳簿のチェック等はなく,放. 線量率を理解しやすく説明するためのコンテンツとして. 射線に関する管理がしっかりされているかどうかの監視. の応用を計画している.. というよりも,放射線施設の現状について調査員が勉強. P 29 は,放射線による突然変異の誘発について,出. しに来たという印象であった.RI 法に基づく原子力規. 芽酵母を用いて実験したものである.これまではガンマ. 制委員会による立入検査とは趣と内容が多少異なる現地. 線(低 LET 放射線, LET : 0.2 keV / mm )を照射して解析. 確認事例として,大変参考になる報告である.. する研究を行ってきたが,今回は炭素線( LET : 13 keV. 番号 3, 6, 9, 30, 33, 36 山口大学大学研究推進機構総合実験センター. 坂口 今回の学術大会は Web 上で開催されたため,ポス. 修一. 行うための線量計を使用した際の精度および使用時の注. ターセッションはオンライン上でポスターを表示し,掲. 意点について調査・検討したものであった.乳房 X 線. 示板システムを介して質疑応答を行うという形式であっ. 撮影装置のターゲットと付加フィルタの組み合わせなど. た.この群では, X 線装置の品質管理 1 件,線量計開. による簡易線量計の応答評価および照射条件での補正に. 発 1 件,環境放射能測定 1 件,a 線照射装置開発 1 件,. より,簡易線量計を用いての精度よい測定が可能である. 新型コロナウィルス対応 1 件,放射線安全管理学会と保. ことが示された.. 健物理学会についてのアンケート 1 件の発表があった.. P 06. 太陽電池を用いた線量計開発における照射時. マンモグラフィ用簡易線量計を用いた低エネ. 太陽電池起電力の測定,西田真大(大阪府立大)ほか 2. ルギー X 線の半価層測定精度,中島絵梨華(茨城医療. 名.太陽電池に利用される発電素子は日光を受けて電流. P 03. 大)ほか 1 名.乳房用の X 線撮影装置であるマンモグラ. を発するが,放射線を受けても電流を発する.本発表は. フィについて定期的に行われる品質管理項目のひとつと. 原発の炉内の線量分布モニタリングに使用できるような. して半価層測定がある.本発表は,半価層測定を簡易に. 線量計として太陽電池素子を活用するための基礎研究. 25.
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