なり, 家族も自宅では見当障害なく過ごせたことに驚き, 退院を視野にいれた話がでてきたため MSW と共に面談 を実施. 在宅に対する不安が明確になった. Ⅲ : 本人, 家 族共に在宅療養希望に至った時期 明確になった不安は 通院, 患者の状態に対しての対応で, 在宅では家族で全 て介護を行うものと思っていた. 社会支援を取り入れ, 状態に合わせ介護ができることを伝え, 往診医と面談, 本人, 家族共に自ら在宅を希望し在宅療養, 在宅での看 取りとなった. 【 察・まとめ】 変化していく患者状態, その患者に自 たちは何ができるのかという不安, また 在宅療養は全て家族で行うという誤認があった. 外泊で の体験から, 家族の不安も明確にすることができ, その 不安に応え, 必要としていた情報を提供することができ たため患者, 家族共に療養の場を意思決定できたと え た. 在宅療養に限らず患者, 家族が体験を通じていく中 で生じる不安を軽減できるよう支援し, 療養生活の場を 自己決定できることが望ましい.
セッション5>
座長:笹本 肇(原町赤十字病院) 1.緩和ケアチームにおける臨床心理士の役割 ―伊勢 崎市民病院での 1 年目の取り組み― 新井麻沙美,金井 直子(伊勢崎市民病院 緩和ケアチーム 臨床心理士) 毛呂 裕臣 (同 心療内科) 【はじめに】 平成 19 年にがん対策基本法が施行され, がん医療の てん化の促進が図られている. その中で緩 和ケアの領域においては, 緩和ケアチームを構成する一 員として心理職が加えられるようになってきている. 当 病院では平成 20年 4月より,臨床心理士 (以下 CP)も緩 和ケアチームの一員として患者さん (以下 Pt) やその家 族への支援にあたっている. 本発表においては緩和ケア チームにおける CPの活動について報告し, その役割に ついて 察したい. 【当病院緩和ケアチームでのCP業 務】 ① Ptの精神症状のアセスメント…不安,抑うつ,焦 燥感, せん妄, 睡眠について聴取. 必要があれば心療内科 受診へとつなげる. ②心理面接. ③多職種カンファレン スでのスタッフとの情報 換. 【結果と 察】 ① 2008 年 12月 に CPが Pt本 人 と 面 接 し た ケース は 25件 で あった. このうち精神的支援や治療が必要と思われた ケースは 5件あり, うち 2件が心療内科受診となった. ②心療内科受診とはならなかった 3ケースについては, CPが週に 1∼ 2回の面接を継続的に行うことで精神的 な支援を行っている. 不安や病気についての思いを聞く ことは Ptを精神的に支えることに役立っていると思わ れる. また, 面接の中で Ptや家族の要望を聞くことので きたケースもあった. ③そして担当看護師を中心とする スタッフとの話し合いや多職種カンファレンス, 電子カ ルテの閲覧を通して, CPが聞き取った Ptや家族の思 い、要望などの情報を病棟スタッフが共有することがで きた.このことはスタッフが Ptや家族への理解を深める ことに役立ち、結果として有効な支援を行うことができ たのではないかと える. 【まとめ】 緩和ケアチーム における CPの役割は, ① Ptや家族のニーズや思いを把 握しスタッフ全体で共有することで理解を深めること, ② Ptと家族に精神的な支援を行うことである. 今後は CP介入の効果を明確な形で評価する方法を検討するこ とも必要と思われる. 2.緩和ケアにおける栄養士の役割 ―当院緩和ケア病 棟の活動を通して見えたもの― 勅 河原かをり( 立富岡 合病院 栄養サポートチーム 栄養士) 野田 大地 (同 外科) 石塚 裕子,津金沢理恵子 (同 看護師) 【はじめに】 緩和ケア病棟入院中の患者の多くは, 病状 の進行に伴う食欲不振があり経口摂取が困難な状況であ る. 医療者は栄養摂取に主眼を置くだけではなく, 患者 の嗜好に合わせた食事提供を行う必要がある. そこで, 緩和ケア病棟での終末期の患者・家族への介入を通して 見えた栄養士の役割について報告する. 【目 的】 緩 和ケア病棟での「食」へのケアにおける栄養士の役割を 検討する. 【事例紹介】 (1) A 氏,60歳代男性.胃癌・癌 性腹膜炎. (2) B氏, 30歳代女性. 乳がん・多発肝転移・ 骨転移.夫,子供 (2名),本人の両親の 6人暮らし 【結果 (介入内容と反応)】 (1) A 氏「食べないと体力が落ち てしまう」と話し, 食事の種類や形態への要望が多かっ た. 病状と嗜好に合わせた食事内容を相談, 時には栄養 士自身が調理し, より患者の要望に近い食事内容となる ように工夫, A 氏の意思を尊重するように努めた. 徐々 に A 氏は笑顔をみせ, 食の味を楽しむようになった. (2) B氏 傾眠傾向ながら, 夫の 生日を家族で祝いたいと 話した. 当日に, 幼い子供が喜びそうな 生日膳を え て提供. 食事を通して家族との時間を共有できるように した. B氏は「ありがとうございます.」と話した. 【 察】 A 氏の繰り返される要望の裏には, 口から食べる ことへの強い思いがあった. 食べることで 生 を実感 していたと思われる. その思いを栄養士が受け容れ, 内 容を工夫した事で信頼感を築くきっかけとなった. この 関わりにより A 氏は食への欲求を満たし, 味わう楽しみ を通して 生 を実感するようになったと思われる.B氏 の事例では, 妻として夫の 生日を祝う事で, 家族との 69触れ合いを求めていた. 生日膳を提供する事で家族団 らんの場を作ることができ, 家族の絆を再確認すること へつながった. これらのことから, 食事内容を相談する ことは患者の自律の尊重につながり, また 味わう喜び や楽しみ を増すことにつながっていると認識した. 3.疼痛緩和の大切さ 奥澤 直美,小林 剛,眞中 章弘 (独立行政法人国立病院機構 西群馬病院) 【はじめに】 がん患者の 2/3は疼痛を経験し, 疼痛は QOL を低下させる.当院で活動中の疼痛緩和チーム巡視 時に患者から「痛いと何もしたくない, えられない」と いう訴えを聞くことがある. 今回, 疼痛緩和チームで関 わった 2症例より, 疼痛緩和の大切さを再認識したので 報告する. 【症 例】 1) 50歳代,女性.乳がん.「こん なに痛いと抗がん剤治療が受けられるか心配.」と訴えが あった. オピオイドの調節, 放射線治療により, 疼痛緩和 し「治療も頑張れる.これなら外来で治療を受けたい.痛 みを聞いてもらえて気持ちが落ち着いた. 心のケアもし てもらえた.」との言葉が聞かれた. 2) 80歳代,女性.多 発性骨髄腫. オピオイドを正しく内服していなかったた め, 薬剤指導を中心に関わり, オピオイドを調節したが, 疼痛緩和せず,「痛いから寝ている. 寝ているだけなら生 きていてもしかたない.」と訴えがあった. 痛みによるつ らさを受け止め, マッサージ等を行いながら, そばにい る時間を多くもった.「痛みは止まらないけど, わかって もらえると安心.」という言葉が聞かれた. くり返し評価 後, 鎮痛補助薬を追加し, 疼痛は緩和してきている. 【結 果】 症例 1は, 疼痛が緩和し心身共に治療環境を整え ることができ, 今後どのように治療したいのかが えら れ, 外来での治療を選択することができた. 症例 2は, 疼 痛が緩和せず, 苦痛が増強した. そのつらい気持ちによ り添い, ケアを行った. くり返しアセスメント, カンファ レンスを行い, 疼痛緩和の方法を見出した. 【 察】 疼痛緩和することで, 心身共に落ち着き, 今後について えられ, 行動にも繫げることができた. 取りきれない 疼痛は, その人らしく生きることも困難にしてしまう. そのため, 疼痛緩和は大切である. 【おわりに】 医療者 は, 患者の訴えを信じ, そのつらさを理解し, 疼痛緩和に 努力する姿勢が重要と える. 4.PCAによる在宅支援の一例 須藤 祥子,浅野 友恵,小保 方馨 須藤 弥生,土屋 道代,清水 政子 岡野 幸子,田中 俊行 (前橋赤十字病院 かんわ支援チーム) 飯島 裕子,岩佐 静子,宗村美紗子 曽田 雅之,田村 教江 (同 12号病棟) 当 院 は 平 成 19 年 度 よ り PCA (Patient-Controlled-Analgesia)を導入している.今回 用した機械式の PCA 装置は, 痛みの程度にあわせて薬液量の調節が可能であ り, 投与間隔や 1時間の投与回数の制限が設定でき過量 投与を防止でき, レスキュー 用時には患者自身がボタ ンを押して投与できるという特徴がある.PCA 装置を 用し, 在宅管理が可能となった症例を経験したので報告 する. 【事例紹介】 A 氏, 40歳代女性. 子宮頸がんの再 発で骨盤内臓全摘術 (人工肛門造設も含む) を施行後が ん性腹膜炎となり, 腸閉塞と右水腎を併発した. 腸閉塞 に対してはイレウスチューブを挿入し, 右水腎に対して は尿管皮膚瘻造設を行った. 嘔気・嘔吐, 下腹部痛, 下肢 の痛み (深部静脈血栓症あり)があり,デュロテップパッ チを, レスキューはフェンタニル 0.1mg の点滴を施行し ていた. ほぼ自立しておりパートナーとの 2人暮らしで あった.A 氏は「少しでも早く自宅へ帰りたい」という希 望があったが, レスキューの投与方法で医療者は退院を 躊躇していた. チームは, 薬の自己管理が可能であるな ら在宅でもレスキューが出来る PCA を推奨した. 方法 は, 塩酸モルヒネの持続皮下注から開始し, レスキュー は同様のものを 5㎎/回を早送りとした. PCA 装置を 用し, 外泊を繰り返すことで患者と家族に自信をつけて もらうことにした. A 氏より, PCA 装置の 用に対し, 「いつでも えるから持っているだけで安心できる」と の発言があった. その後退院となり, レスキュー回数は 在宅の方が減っていた. 【 察】 A 氏は, ADL がほ ぼ自立しており, 自己管理が可能なため, PCA を導入し た. 入院中は, 看護師が指示を確認してから点滴のレス キューを用意し投与する, という過程を省略でき, 在宅 でもすぐにレスキューが施行できることで安心して う ことができた. 同時に, 患者自らが痛みの治療に参加し, 希望に った生活の実現への一助となったと思われる. 【結 語】 今後, 在 宅 治 療 を 希 望 す る 患 者 に とって, QOL が向上するためにも PCA は有効な手段の一つで あると えられる. 70 第 19 回群馬緩和医療研究会