JAIST Repository: 局在軌道表示を用いた層状物質系の電子状態の計算
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(2) 局在軌道表示を用いた層状物質系の電子状態の計算 藤田 裕司 片山研究室. はじめに 現在、次々に開発される新規ナノ材料では、局所的原子配位、表面 界面状. LDOS. LDOS. 態などが、その新奇物性の出現を促している。これら原子スケールにおける局所環境の影 響を取り入れる電子状態計算方法の一つとしてリカージョン法を挙げることができる。 本研究ではこのリカージョン法を用い、微小熱伝導素子や高密度相変化型光メモリー材 料として期待されるカルコゲン層状物質、特に
(3) ¾ ¿ 構造を持つ材料に注目し、各原子 に関する局所状態密度 の計算を行うことを目的とする。まず、完全結晶を想定し て局所状態密度の計算を行う。これにより不純物状態および非晶質状態に必要なパラメー タを計算することが可能となる。本研究では結晶内の置換型欠陥による電子状態の変化を 計算し、欠陥の局所的な影響を調べる。 計算手法、結果 強結合近似によるバンド計算を採用して、リカージョン法で使用する 飛び移り積分を決定した。その際、最近接原子と第2近接原子の影響を考慮し、孤立原 子において理論的に計算された項値、スピン軌道相互作用などを参考にして約 の ギャップが出現するようにした。それを基にリカージョン法を用いて 個の原子を考 慮する近似の範囲で層状物質の局所状態密度の計算を行った。計算対象の層状物質として
(4) ¾ ¿ 、¾ ¿ を選んだ。置換型欠陥の計算は
(5) ´½µ 、
(6) ´¾µ 、 の場合を行った。 例として図 に
(7) ¾ ¿ の局所状態密度の計算結果 を示す。価電子帯の上端をエネルギーの基準 3 3 とした。なお、結晶内での対称性の違いにより、 Te(1) Te(2) 2.5 2.5 ´½µ ´¾µ 原子を区別している 、 。各図において左 2 2 から数えて第1、第2の大きいピークは各原子のs 1.5 1.5 軌道がつくる状態密度である。p軌道は価電子状態、 1 1 および伝導状態を形成している。 にある点線付 0.5 0.5 近にバンドギャップがあるはずであるが、 個の 0 0 -15 -10 -5 0 5 [eV] -15 -10 -5 0 5 [eV] 原子を考慮する近似では、ギャップが現われなかっ 9 3 DOS 8 Bi た。価電子状態に注目すると、ギャップに近いバン 2.5 7 Bi2Te3 ド端では 原子の局所状態密度が大きいことがわ 6 2 5 かる。それとは対照的に
(8) 原子の局所状態密度は 1.5 4 3 ギャップから離れている所の方が大きい。また ´½µ 、 1 2 ´¾µ 0.5 の局所状態密度に多少の違いがあることが読 1 0 0 み取れる。
(9) 原子に注目すると、伝導帯の局所状態 -15 -10 -5 0 5 [eV] -15 -10 -5 0 5 [eV] Energy Energy 密度が大きく、価電子帯の局所状態密度が小さい。 つまり基底状態において電子密度は 原子近傍が 図
(10) ¾ ¿ における局所状態密度 高く、
(11) 原子近傍は低いことがわかる。 ! 強結合近似、局所状態密度、リカー ジョン法.
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