インターンシップ事前教育の質的向上に関する研究
── 短期大学生に対するインターンシップ意識調査より ──
A Study about Improvement in Quality
of Internship Introduction Training
──
Consciousness Research on Internship among Junior College Students ─―
滝 井 元 視
Motomi Takii
要 旨 キャリア教育の観点から、インターンシップへの参加が学生にとって有意義な経験をもたらすことは 言を俟たない。しかし、その参加姿勢に見られる温度差は、その教育的効果を考える上で無視できるも のではない。近年では単位認定型のインターンシップが増加の傾向にある。これは、教育機関としては 学生をインターンシップへ誘因するための仕掛けに他ならない。しかし、その一方で実際に参加する学 生にとっては、インターンシップへの参加が「単位取得のため」の作業となっている側面もあり、その 目的が形骸化しつつある状況は否定できない。 本稿では、本学の短期大学生を対象にインターンシップへの参加準備として既に行っている事前教育 の改革を試み、その成果を示すことができた。学生のモチベーションを高める効果的な事前教育のポイ ントを整理することができ、また今後の事前教育の更なる質的向上に向けた手掛かりを得るに至った。 〔キーワード:インターンシップ、モチベーション、事前教育、短期大学、キャリア教育〕1.はじめに
インターンシップについては、中央教育審議会(2011) 「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り 方について」(答申)においても、「キャリア教育の実 施に当たっては、社会や職業に関わる様々な現場にお ける体験的な学習活動の機会を設け、それらの体験を 通して、子供・若者に自己と社会の双方についての多 様な気付きや発見を得させることが重要である」と説 明され、キャリア教育・職業教育の具体的手法の一つ として位置づけられているところである(1) 。それに伴 い、高等教育機関において学生に対してインターン シップへの参加を促す動きが加速度的に広まってい る。また、中央教育審議会大学分科会大学教育部会短 期大学ワーキンググループ(2014)「短期大学の今後 の在り方について」(審議まとめ)の中では、短期大 学の役割・機能の一つとして「地域コミュニティの基 盤となる人材の養成」が掲げられている。そして、そ のための方策として、「授業の実施に当たっては、地 域の自治体、産業界、ボランティア団体等から講師を 起用し、現実的かつ多角的なアプローチをすると同時 に、地域の自治体や企業にインターンシップとして学 生を派遣し、学生が貴重な社会経験、就労体験を重ね ることで、豊かな人材養成の一助となる。地域社会とさまざまな形で交流することで、相互理解が醸成さ れ、地域振興と短期大学の機能強化につながることが 期待される。」として、インターンシップの推進によ る人材育成の可能性が注目されているところである。 それに伴い、近年ではインターンシップを単位認定す る大学が増加傾向にある。この点について、文部科学 省高等教育局専門教育課によって開催された全国キャ リア・就職ガイダンス「インターンシップの拡大に向 けた施策について」(2015)は、「(平成8年から平成 25年までの17年間)にインターンシップの単位化を 行っている大学数は5倍強に増加している」との調査 結果を公表している。 その一方で、同ガイダンスにおいては、インターン シップに対する学生の参加意欲の低さを一つの課題と して示している。当該課題について、後に文部科学省 が公表した「平成27年度大学等におけるインターン シップ実施状況について」(2017)によれば、単位認 定を行わないインターンシップへの参加割合は大学で 1.9%、短期大学で1.5%といった低水準にあることが わかる。かかる背景には様々な要因が混在するもので あるが、一つにはインターネットの普及等による情報 収集手段の進化、すなわち効率の良い情報収集が可能 になったことがあろう。この点について、安達(2004) は、「雑誌やインターネットで採取できる二次的情報 だけに頼らず、自ら仕事場へ赴き働く人と接すること で得られるものは少なくない」として、現場を介さな い情報収集に終始する仕方へ警鐘を鳴らし、インター ネットが普及する中においても現場に足を運ぶことで 価値のある情報を得られることを強調している。事 実、インターンシップに参加した学生の中には、イン ターネット等では知り得ない「仕事内容」や「職場の 雰囲気」等に触れることで職業観を明確にできた者 や、実際に仕事を任せられる経験を通じて自分の能力 の伸長目標を具体的にイメージできた者もいることか ら、インターンシップへの参加はその後のキャリア形 成を具体化するものとして期待することができる。ま た、 (2019)は、正課と正課外教育の対比の中で、 正課外教育のように学生の主体性を伴う活動の意義に 言及し、その教育効果を見出し、支えられる体制づく りの必要性を唱えている。本学においてインターン シップは正課に含まれるものであるが、本稿で考える 参加に対するモチベーションの観点に立てば、この主 張には強く賛同するところである。すなわち、イン ターンシップへの参加は、キャリアや仕事に関する知 識の習得に止まらず、企業の方々とのコミュニケー ションや触れ合いの中で、学内では得難い学びを得ら れる機会となり得るのである。しかしながら、教員の 目が行き届かない学外の実習現場においては、そこで 得られる学びの量や質が参加学生のモチベーションの 大小に影響されることは想像に難くない。 以下、本稿では、インターンシップへの参加促進に 向けた取り組みの在り方について、本学の短期大学生 を対象として研究を進める。というのも、筆者自身、 短期大学に籍を置くようになり、大学に通う学生に比 べより早期に自らのキャリアを考えざるを得ない彼ら の現状を目の当たりにし、その支援の在り方を再考さ せられたためである。例えば、彼らは短期大学に入学 した時点から「就職」を考え始めることとなるが、高 等学校の進路選択期に「就職」ではなく「進学」を選 択した彼らにとって、入学して早々に「就職」を自分 事として捉え、そのための準備に積極的に取り組むた めの動機を得ることは容易なことではない。事実、本 学で行われきたインターンシップガイダンス(計11 回)の出席状況は安定せず、受入企業を自ら開拓し自 主的に接触を試みようとする学生数も少なかった。な お、本学では、インターンシップへの参加を単位認定 し、しかも選択必修科目として位置づけているため、 形式面に限って見れば学生が社会との接点を持ち得る 環境は整っている。 そこで、本稿では、インターンシップへの参加に対 するモチベーションの向上を促す取り組みとして、従 来から行われてきた事前教育の改革を試み、その検証 を行う。これにより、事前教育の質を高め、高いモチ ベーションでインターンシップへの参加を考える学生 が増加することを期待するものである。
2.短期大学におけるインターンシップ支援の
課題
インターンシップへの参加支援を考えるとき、ま ず、事前教育及び事後教育の時間の捻出とその質的保 証に注目する必要がある。しかしながら、今日に至る まで、事前教育の効果や抑えるべき要点の整理につい ての充分な研究が行われてきているとは言えない。本 学においても、インターンシップに対する事前・事後 教育は行われているが、その課題は少なくなかった。特に、事前教育においては、その実施時期が大きな障 害となっているように思われる。すなわち、本学の短 期大学生を対象とした場合、就職活動の本格的なス タートを一年次の3月とするなら、その前段階として のインターンシップへの参加は、経済産業省が推奨す る長期型の場合はもとより、2週間程度の体験型のも のであったとしても夏期休暇中の参加が現実的である ため、入学して4ヶ月後にインターンシップに参加す ることになる。逆算すると、そのための準備として、 事前教育は入学直後から開始しなければならないこと になる。ところが、入学直後といえば、講義やサーク ル活動、友人関係など、学生の周囲には他に意識を向 けることが れている。こうした状況にある学生に対 してインターンシップへの参加を推奨することは、支 援する側がキャリア教育的観点からその重要性を説い たとしても、学生の立場において優先度の高い事柄と して認識するよう期待することは現実的ではない。す なわち、学科等で取得が推奨される資格試験や講義の 単位のように、明確に期限や成果が目に見える課題に 比べ、「仕事を知るため」「興味関心を明確にするた め」「キャリアビジョンを描くため」といった漠然と した遠方にある目標に対するモチベーションを高く持 つことは容易なことではないのである。 ところで、インターンシップに対して否定的な学生 の意見に注目した研究として、平尾・川端・本庄・松 坂(2015)による調査報告がある。ここでは、「イン ターンシップに参加しなかった理由」について654人 に調査を実施し、「どこに参加したらいいのかわから なかったから(44.3%)」「学業の予定があり余裕がな かったから(37.5%)」「部活・サークル・アルバイト 図1 共起ネットワーク「2018年度インターンシップガイダンスに参加した学生の声」
で忙しかったから(29.5%)」が上位を占める結果と なっている。当研究は大学において行われた実験であ るが、一般的な学生の傾向として短期大学に置き換え て解釈することもできよう。例えば、「どこに参加し たらいいのかわからなかったから」は、志望先が不明 確であることを表していると捉えることができ、これ は大学に限る課題ではない。むしろ入学して早々にイ ンターンシップを考え始めることになる短期大学生に おいてより顕著に表れる課題ともいえよう。また、 「学業の予定があり余裕がなかった」「部活・サーク ル・アルバイトが忙しかったから」は、いずれも時間 との兼ね合いの難しさが背景にあるものと考えられ る。この点についても、一週間あたりの履修科目数の 多い短期大学においては深刻に考えるべき点であると 言える。 図1は、本学において、2018年度のインターンシッ プガイダンスに参加した学生の声(インターンシップ に対する想いを「自由記述」形式で収集した)を、テ キストマイニングにより形成した共起ネットワークで ある(2) 。円と円をつなぐ線は共起関係を示しており、 円の大きさは、その中央に書かれた単語の出現数の多 さに対応している。 最も出現数の多かった「電話」は、インターンシッ プの参加準備として「相手方に電話を掛ける」ことが 表れたものである。実際に、支援の現場にいて多く寄 せられる相談の一つに「電話の掛け方」があった。支 援においては、各学生が電話を掛けようとする目的に 応じたトークスクリプトを考え、ロールプレイを行 う。しかしながら、そのようにして電話を掛けたとし ても、想定外の展開になることも少なくないため、学 生の心理的負担は大きい。したがって、学生にとって の「電話」は、インターンシップに参加する前段階に おける大きなハードルとして位置づけられていること が分かる。また、「面倒くさい」及び「後回し」も比 較的出現数の多い単語であったが、これらは本稿の テーマであるモチベーションを考える上で無視できな いものである。ガイダンスの中でインターンシップに 参加することの意義を重ねて説明しているものの、そ の重要性を学生自身が自らのキャリア形成に重ねて捉 えられるよう促すまでには至っていないことが分か る。この点は、事前教育の中で工夫していかなければ ならない。 以下では、インターンシップに参加する学生のモチ ベーション向上のため、事前教育の充実を図ることを 目的として、その焦点を当てるポイントを探索する。 その上で、短期大学生を対象とした支援の在り方を検 討していく。
3.短期大学におけるインターンシップ事前教
育の新たな試み
2019年度より、本学のインターンシップ事前教育の 取り組みの改革に着手した。既に述べた通り、本学の インターンシップは、その参加が卒業要件となってい る。したがって、全ての学生をインターンシップに参 加するよう促す形式が整っている一方で、参加者の中 に消極的な群、すなわち「やらされている」と認識し ている群が含まれることは先の調査からも明らかであ る。そこで、今回の改革においては、消極的な群を対 象として、インターンシップへの参加に対するモチ ベーションの向上を図ることに焦点を当てることとし た。 図2は改革の前後について、事前教育の取り組み内 容を比較したものである。まず、従来のインターン シップ参加支援の取り組みの中から、学生の受動的な 姿勢を促進し得る要素を可能な限り排除した。具体的 には、従来は事前教育の一環として先輩学生を招き、 参加者全員に対してインターンシップの体験談につい てプレゼンテーションをしてもらう企画を行っていた が、それを廃止した。その代わりとして、複数の教室 にそれぞれ異なる業界でインターンシップを体験した 先輩学生を配置し、同時刻に一斉にプレゼンテーショ ンを行うこととし、参加者は自らが「話を聞きたい」 と思う教室を選んで移動する形式とした。これによ り、自己選択による能動的なプレゼンテーションへの 傾聴姿勢が期待できることはもとより、教室を選ぶプ ロセスを経ることで自らの興味関心を再確認するきっ かけになるものと考えた。また、従来はインターン シップ参加者に対して大学サイドが用意した「イン ターンシップ手帳(日誌)」を配布し、各日にその記 入を求めていた。しかしながら、その記入内容の質に は学生によって大きな差があり、「学びの記録」とは ほど遠く、形式的な「作業」の域を抜け出せない状況 も少なからず見られた。そこで、今回からは「イン ターンシップ手帳」の配布を廃止し、参加者による自 作を原則とした。これにより、インターンシップ経験に期待する成長や学びの到達点を参加者自らが設定 し、その検証のためのツールを自ら作成することで、 無理なく且つ能動的に手帳に向き合うことを期待し た。さらに、インターンシップ先の選定や企業研究に おいては、従来はサンプル企業情報を配布して情報収 集の方法を指導する形式をとっていたが、今回から は、学外の企業説明会への参加を原則とした。これに より、様々な企業の存在に気づくことで視野の拡大が 図られることはもとより、企業の人事担当者のプレゼ ンテーションを聴くことでホームページをただ眺めて 得られる情報に比べより説得力のある生きた情報に触 れ得る機会となることを期待した。さらに、説明会の 会場内で他の大学生の存在を認識することでインター ンシップへの参加は「競争」であることを実感させ、 参加に向けた意識を高める効果を期待した。
4.インターンシップ事前教育改革の効果検証
①
―関連性評定質的分析を用いて―
⑴ 方法と手順 分析に用いたアンケートは、2019年のインターン シップ事前教育において、本学の短期大学生1年生 104名を対象に実施したものである。アンケート用紙 は、A5の白紙を使用し、インターンシップに対する アンケートである旨を伝えた上で、質問内容として 「今の気持ちを教えてください」とだけ記してあるシ ンプルなものとした。その意図は、学生のモチベー ションの拠り所が多岐に渡ることが想定されることか 図2 インターンシップガイダンス(事前教育)の主な変更点ら、可能な限り回答を限定しないための配慮であっ た。また、学生の本心に接近し易くするためアンケー トは無記名とした(アンケート回答時間として15分程 度設け、その後に回収した)。 アンケート回収後、得られたキーワードを分析し た。分析においては、質的研究におけるリスク、すな わち分析過程に研究者の観点が過度に反映されるリス クを防ぐため、「関連性評定質的分析(以下、KH法 とする。)」を採用することとした。この分析手法は 2008年に 西により発表されたものであり、質的分析 を行う際に「要約段階における客観性」を補うことが できるものとして注目されている。 KH法の手順に則り、アンケート結果として得られ た学生の声を要約した(3) 。まず、アンケート用紙に記 載された内容に基づき、意味的にひとまとまりと考え られる部分ごとにカード化を行った。その結果、108 枚のカードを得ることができた。次に、カードの意味 的関連性に基づきカード布置を行った。その後、グ ループごとに構成されるカードの記述全体がイメージ できるようにラベルを付した。ラベル付けにおいて、 西(2008)は、後の解釈段階において「ラベルに記 される個別的で具体的な表現が分析結果の理解に大き な意味をもつ」として、KH法においては抽象度の高 いラベル付けを避け1∼2行程度の文章としてラベル を作成することで内容の個別性と具体性を維持するも のとしている。このように、生きたメッセージを見え 難くしてしまうリスクに配慮しながら、抽象度を上げ すぎないよう慎重にカード布置を行った。残された カードとラベルについても、同様の作業を集束するま で繰り返し行った(表1 カードとラベルの対応表)。 その後、整理されたカード及びラベルについて、数量 化理論Ⅲ類により得られた軸構造及び最終ラベルを分 析した。なお、今回はカードの枚数が多いことを考慮 して、分析においては第一段階のラベルをカードとみ なして実施することとした。 ⑵ 結果 まず、カード枚数を多く含むラベルに着目する。最 も カ ー ド 枚 数 が 多 い ラ ベ ル は、L4_1(27枚 ) 及 び L3_3(27枚)であった。まず、L4_1の「実際の現場 を経験して視野を広げ、自分に向いている仕事、やり たい仕事を見つけたい」は、インターンシップガイダ ンスの初回で学生たちと共有した内容であり、イン ターンシップに参加する目的を適切に捉えていること がわかる。また、L3_3の「事前準備をしっかりして 参加し、経験を通して得られた成長を将来に活かした い」には、今後のキャリア形成のためにインターン シップ経験を活かそうとする前向きな姿勢と、そのた めに事前準備の必要性を実感している様子が表れてい る。ここからは、学生が事前教育としてインターン シップガイダンスに参加する意義を認識していること を確認することができる。次に多くのカードを含むラ ベルは、L3_1(22枚)「初めての経験なので、マナー や仕事等、インターンシップ先で上手くやっていける か不安」であった。これは、社会人と関わる機会やマ ナーの実践経験の乏しさに基づくものである。この点 は、インターンシップに限らず就職においても同様で あることから、本学ではビジネスマナーを養成する機 会を必修科目として提供しているところである。次 に、L3_3(18枚)「社会人とのコミュニケーションや 想像と異なっていた場合など、最後までやり遂げられ るか不安」からは、仕事と自分のアンマッチの可能性 やそれに伴うリスクを考えていることがわかる。しか しながら、インターンシップは本番のキャリア選択の 前段階としてこの点の確認をし得る機会でもあること から、むしろこのような不安を就職活動に持ち越さな いためにも積極的に参加すべきである。入社後のアン マッチを未然に防ぐためには、事前に深く仕事の実情 を知っておくことが大切であることは言うまでもない。 以上のように、インターンシップに関する事前教育 を受講した学生がインターンシップへの参加に対して 抱いている気持ちは、今回の改革の目的であるモチ ベーションの向上の点において、概ね期待する通りの 結果となった。すなわち、社会人とのギャップやアン マッチがもたらす影響を自分事として受け入れなが ら、参加することがキャリア形成のために有意義な機 会であると認識している状態を確認することができた。 次に、数量化理論Ⅲ類により軸構造の解釈を試み る。算定の結果、固有値の値は、軸1が0.17649(小数 点第6位以下切り捨て。以下同様)、軸2が0.13919、 軸3が0.13319、 軸4が0.09235で あ っ た。 表2に は、 軸1から軸4までの固有値、相関係数を示している。 なお、固有値は各軸の説明力を現しているものであ る。表2によれば軸4までで50%を超えていることか ら、以下では軸1から軸4までを分析対象として用い ることとした。表3には、ラベルのカテゴリースコア
表1 カードとラベルの対応表 C_ 1 どこに行くか決めるのが不安 L1_ 1 自分に合ったものがあるか 分からないため行き先を決 めることが不安 L2_ 1 やりたいことが決まってい ないため参加先を決められ るか、また自分にあった参 加先が見つかるか不安 C_ 2 自分に合ったものがあるかどうか C_ 3 やりたいことがわからないため行き先が見つかるか不安 L1_ 2 やりたいことが決まってい ないので参加先を決められ るか不安 C_ 4 やりたいことが決まっていないので参加するところを決められるか不安 C_ 5 将来が定まっていないためインターンシップ先を決められない C_ 6 将来が定まっていないからどこに行けばいいかわからない C_ 7 将来の夢がなく自主的に動けるか不安 C_ 8 参加できるか不安 L1_ 3 インターンシップに参加できるか不安 L2_ 2 自分が希望する企業のイン ターンシップへ行けるか不 安 C_ 9 インターンシップをできるか不安 C_10 インターンシップに行けるか不安 C_11 自分の行きたい企業に行けるか不安 L1_ 4 自分の行きたい企業にイン ターンシップに行けるか不 安 C_12 自分の行きたい企業にインターンシップに行けるか不安 C_13 自分の就職したいところは見つかるか不安 L1_ 5 自分にあった職業を見つけられるか不安 C_14 自分に合った職業を見つけられるか不安 C_15 現場で働いている人についていけるか不安 L1_ 6 現場で働いている人についていけるか不安 L2_ 3 インターンシップ先で働い ている人についていける か、上手くやっていけるか 不安 L3_ 1 初めての経験 な の で、 マ ナ ー や 仕 事 等、インター ンシップ先で 上手くやって いけるか不安 C_16 現場についていけなさそう C_17 上手くできるか不安 L1_ 7 インターンシップ先で上手 くやっていけるか不安 C_18 上手くやっていくことができるか不安 C_19 インターンシップ先で上手くやっていけるか不安 C_20 しっかりとインターンシップをやってこられるか不安 C_21 インターンシップ先でちゃんとやっていけるか不安 C_22 大きな失敗をしないか不安 C_23 プレッシャーがあってパニックになりそう C_24 与えられた仕事をきちんとこなせるか不安 L1_ 8 しっかりと仕事ができるか 不安 L2_ 4 仕事を覚え、しっかりと仕 事ができるか不安 C_25 自分に仕事ができるか不安 C_26 しっかり仕事ができるか不安 C_27 きちんと仕事ができるか不安 C_28 指示されたことができるか不安 C_29 仕事内容を覚えられるか不安 L1_ 9 仕事を覚えられるか不安 C_30 ちゃんと仕事を覚えられるか不安 C_31 アルバイト経験がないのでしっかりできるか不安 L1_10 初めての経験なので不安 L2_ 5 初めての経験なので、社会 のマナーを守り迷惑になら ないようにできるか不安 C_32 どのように仕事をするかわからないから不安 C_33 初めての経験なのでやりきれるか不安 C_34 インターンシップ先で迷惑とならないようにしたい L1_11 社会のマナーを守り、迷惑 にならないようにしたい C_35 社会のマナーを守れるか不安 C_36 恥をかかないようにしたい C_37 インターンシップ先でのコミュニケーションが不安 L1_12 インターンシップ先でのコミュニケーションが不安 L2_ 6 インターンシップ先での社 会人とのコミュニケーショ ン等、馴染めるかが不安 L3_ 2 社会人とのコ ミ ュ ニ ケ ー ションや想像 と異なってい た場合など、 最後までやり 遂げられるか 不安 C_38 コミュニケーションが不安 C_39 ちゃんとコミュニケーションがとれるか不安 C_40 人と話すのが苦手なのでインターンシップ先で上手く話せるか不安 C_41 人見知りしてしまうので不安 C_42 参加先の人間関係が不安 L1_13 人間関係や上下関係が不安 C_43 上下関係が不安 C_44 現場の雰囲気に慣れることができるか不安 L1_14 現場の雰囲気に馴染めるか不安 C_45 その場に馴染めるか怖い C_46 企業の方々と打ち解けられるか不安 L1_15 企業の方々と打ち解けられ るか自信がないため一緒に 働くことが不安 C_47 職場の人と関わることが不安 C_48 社会人と一緒に働くのが不安 C_49 自分がやりたいことが自分に合っているかどうか不安 L1_16 希望する仕事に自分の力を活かせるかどうか L2_ 7 自分の力を活かせない等、 想像と異なっていた場合に 最後までやり遂げられるか 不安 C_50 しっかり自分の力が使えるか C_51 長期インターンシップに参加したいが、その職場に自分が合わなかったらと思うと怖くて勇気が出ない L1_17 自分の想像と異なっていた 場合等、最後までやり遂げ られるか不安 C_52 高校の時より長期になるため不安 C_53 自分の想像した仕事と全く違っていたりするのが怖い C_54 最後までやり遂げられるか不安
C_55 ちゃんと準備が整うか不安 L1_18 参加する前に準備をしっかりしておきたい L2_ 8 事前準備をしっかり行い就 職活動に活かせるようにし たい L3_ 3 事 前 準 備 を しっかりして 参加し、経験 を通して得ら れた成長を将 来に活かした い C_56 インターンシップに行く前に何をすればよいかわからない C_57 インターンシップに向けて準備をしっかりやっていきたい C_58 事前によく調べて参加したい C_59 積極的にインターンシップに参加して就職に役立てたい L1_19 事前準備をしっかり行い、 就職活動に活かせるように したい C_60 実際の現場を見たり体験したりしたことを職業選択に活かせるようにがんばりたい C_61 就職に役立てられるよう事前準備をしっかりして落ち着いて 取り組みたい C_62 成長するチャンスなのでたくさんのことを吸収したい L1_20 経験を通して成長したい L2_ 9 インターンシップを通して 成長したい。また、働く経 験を将来に活かしたい C_63 周囲を見ていろいろなことを吸収したい C_64 C_65 経験を通して成長できるので楽しみ C_66 目上の人と話してコミュニケーション力を身につけたい C_67 インターンシップを通して人を感動させられる人に成長したい C_68 将来のために今のうちから経験を積みたい L1_21 インターンシップで働く経験をして将来に活かしたい C_69 働くことの大変さを知りたい C_70 経験したことがないことを肌で感じられるので楽しみ C_71 経験を積めるから頑張りたい C_72 社会に出ていくための良い経験になると思うので頑張りたい C_73 インターンシップで体験したことを社会に出たときに活かしたい C_74 インターンシップで学んだことを無駄にしないようにしたい C_75 インターンシップでの学びを今後に生かしたい C_76 社会に出る貴重な経験としたい C_77 得た知識を将来に役立てたい C_78 実際に仕事ができると思うと楽しみな気持ちが強い C_79 実際の働き方はどうなのか知りたい C_80 仕事に必要なことをしっかり学んでいきたい C_81 いろいろなことを経験できるよう積極的に頑張りたい C_82 実際の現場でいろいろなことを経験したい L1_22 実際の現場を経験したい L2_10 実際の現場を経験して視野 を広げたい。また社会を理 解すること等インターン シップでしか経験できない ことを学びたい L4_ 1 実際の現場を 経験して視野 を広げ、自分 に向いている 仕事、やりた い仕事を見つ けたい C_83 実際に仕事の現場を見れるから良い経験になると思う C_84 実際に体験できるのは貴重なので多くの事を学びたい C_85 仕事を直接することができるので楽しみがある C_86 沢山の事を学びたい L1_23 多くの事を学びたい C_87 多くの事を学びたい C_88 視野を広げて社会を知っていきたい L1_24 視野を広げて社会を理解したい C_89 社会を少しでも理解したい C_90 インターンシップでしか学べないことを学んできたい L1_25 インターンシップでしか経験できないことを学びたい C_91 アルバイトでは体験できないことを学びたい C_92 どんな人がその仕事に向くのか知りたい L1_26 どんな人がその仕事に向く のか、自分にどれくらいの 力があるのか知りたい L2_11 どんな人がその仕事に向く のか、自分にどれくらいの 力があるのか等確認し、自 分にあった仕事を見つけた い L3_ 4 自分に向いて いる仕事、自 分がやりたい 仕 事 に つ い て、仕事の内 容や雰囲気に 触れながら見 つけたい C_93 社会人としてやっていく力が今どれくらいあるか試したい C_94 自分の将来を明確にできるように積極的に頑張りたい L1_27 自分に合った仕事を見つけたい C_95 将来を定めたい C_96 インターンシップに参加することによって自分の将来を明確にしたい C_97 職場の雰囲気や人柄に触れて自分に合った環境の職場を見つ けたい C_98 インターンシップでやりたい仕事をみつけたい C_99 沢山参加して自分に合った仕事を見つけたい C_100 夢を見つけられるように頑張りたい C_101 自分が学びたいことを定めて仕事に取り組みたい L1_28 就きたい仕事の内容、時間 の流れ、雰囲気等、学びた いことを定めて参加し、積 極的に質問したい L2_12 就きたい仕事の内容や雰囲 気を知り、本当に自分のし たいことなのかを確認した い C_102 就きたい仕事の仕事内容や時間の流れを学びたい C_103 将来のために気になることは細かく質問していきたい C_104 職場の雰囲気を知れるから頑張りたい C_105 仕事場の雰囲気を知りたい C_106 気になる職場の雰囲気や仕事内容をインターンで知りたい C_107 その会社についてのイメージとのギャップを確認したい L1_29 イメージとのギャップを確 認し、本当に自分のしたい ことなのか確認したい C_108 その仕事が本当に自分のしたいことなのか知りたい
を示している。ここで得られた数値を基にグラフ化し た結果を、図3及び図4に示している。 軸1は、「インターンシップ先での社会人とのコ ミュニケーション等、馴染めるか不安」という内容 と、「自分に向いている仕事、自分がやりたい仕事に ついて、仕事の内容や雰囲気に触れながら見つけた い」という内容が対比されたものである。ここには、 「インターンシップ先の環境に適応することに対する 不安を感じる一方で、向いている仕事ややりたい仕事 を見つけるために仕事内容に触れることに対して前向 きな状態にある」という対比性が示唆されている。軸 2は、「初めての経験なので、マナーや仕事等、イン 表2 固有値と相関係数 固有値 相関係数 軸 1 0.17649 0.42010 軸 2 0.13919 0.37308 軸 3 0.13319 0.36495 軸 4 0.09235 0.30389 軸 5 0.07721 0.27786 軸 6 0.06479 0.25454 軸 7 0.06407 0.25311 軸 8 0.06318 0.25136 図3 数量化理論Ⅲ類による分析結果(軸1×軸2) 図4 数量化理論Ⅲ類による分析結果(軸3×軸4)
ターンシップ先で上手くやっていけるか不安」という 内容と、「インターンシップ先での社会人とのコミュ ニケーション等、馴染めるか不安」という内容が対比 されたものである。ここには、「初めて経験であるこ とからマナーや仕事に対する自信がなく、そのために インターンシップ先で上手く馴染めるか不安を抱えて いる」という推移性が示唆されている。軸3は、「事 前準備をしっかりして参加し、経験を通して得られた 成長を将来に活かしたい」という内容と、「初めての 経験なので、マナーや仕事等、インターンシップ先で 上手くやっていけるか不安」という内容が対比された ものである。ここには、「初めてのインターンシップ に対する不安があることから、事前準備をしっかりと 行って参加することで将来に活かせる成長をしたい」 という推移性が示唆されている。軸4は、「実際の現 場を経験して視野を広げたい。また社会を理解するこ と等インターンシップでしか経験できないことを学び たい」という内容と、「自分に向いている仕事、自分 がやりたい仕事について、仕事の内容や雰囲気に触れ ながら見つけたい」という内容が対比されたものであ る。ここには、「インターンシップでの経験を通して 視野を広げ将来の選択肢を増やしたいと望む一方で、 自分に向いている仕事ややりたい仕事を特定したい」 という対比性が示唆されている。以上のとおり、軸1 から軸4の構造において概ね納得し得る意味づけを得 ることができた。 ⑶ 考察 まず、軸1の「インターンシップ先の環境に適応す ることに対する不安を感じる一方で、向いている仕事 ややりたい仕事を見つけるために仕事内容に触れるこ とに対して前向きな状態にある」と軸3の「初めての インターンシップに対する不安があることから、事前 準備をしっかりと行って参加することで将来に活かせ る成長をしたい」からは、事前教育の一定の効果を確 認することができる。すなわち、自らのキャリア形成 のためにインターンシップへの参加を必要な経験とし て認識できている状態にあると言える。今年度の事前 教育の中では、自らの選択に基づいてインターンシッ プに参加した先輩のプレゼンテーションを聴講する機 会を設定したこと、また、その先輩が早期に第一志望 の企業から内定を得ているといった情報等が、イン 表3 ラベルのカテゴリースコア(軸1~軸4) 軸 1 軸 2 軸 3 軸 4 L2_ 1 -0.5571 -0.0930 -0.1603 2.0268 L2_ 2 -0.5694 -0.0961 -0.1661 2.2110 L2_ 3 -1.6130 -3.8488 2.6956 -1.3139 L2_ 4 -1.6130 -3.8488 2.6956 -1.3139 L2_ 5 -1.6130 -3.8488 2.6956 -1.3139 L2_ 6 -1.7942 4.4938 1.5098 -1.2918 L2_ 7 -1.7142 4.1950 1.4008 -1.0680 L2_ 8 -1.4007 -0.9099 -6.3374 -1.5135 L2_ 9 -1.4007 -0.9099 -6.3374 -1.5135 L2_10 2.1097 0.0208 0.0077 6.8953 L2_11 5.0673 0.1896 0.2809 -4.2568 L2_12 5.0673 0.1896 0.2809 -4.2568 L3_ 1 -1.6130 -3.8488 2.6956 -1.3139 L3_ 2 -1.7675 4.3942 1.4735 -1.2172 L3_ 3 -1.4007 -0.9099 -6.3374 -1.5135 L3_ 4 5.0673 0.1896 0.2809 -4.2568 L4_ 1 3.5885 0.1052 0.1443 1.3192
ターンシップの参加に対する前向きな動機づけを促し たものと考えられる。一方で、インターンシップへの 参加に対する不安については、この時期の短期大学生 を対象とする上で想定の範囲内と言え、モチベーショ ンの有無とは切り離して考えるべきものである。学生 の中には、既に志望業界でアルバイトを始めている者 (例えば、ブライダル等)も見られるが、大部分の学 生にとって具体的なキャリア形成をイメージした職場 体験としては、短期大学一年次の夏期インターンシッ プが初めての経験となる。したがって、ここで抱く不 安は自然な感情として理解することができ、大学とし て丁寧に対応していくべきものである。この点は、軸 2の「初めて経験であることからマナーや仕事に対す る自信がなく、そのためにインターンシップ先で上手 く馴染めるか不安を抱えている」についても、同様に 考えることができる。特に、社会人とのコミュニケー ションをとる機会やアルバイト経験が乏しい学生にお いては、このことがインターンシップへの参加を躊躇 させる要因になり得るものと考えられる。 実際に彼らを支援する現場にいると、インターン シップへの参加に対する最初のハードルとして見られ るものとして、「エントリーシートの作成」と「受け 入れ先への電話」がある。エントリーシートの重要性 の理解は早く、その作成に対する姿勢は前向きであ る。一方で、電話に対しては、実際に掛けるまでに時 間を要する学生が少なくない。近年、LINEをはじめ とするSNSの普及に伴い電話を掛ける機会そのもの が減少し、彼らが電話に不慣れであること、加えて電 話の相手方が面識のない企業の担当者であること等が 原因であると考えられる。 次に、軸4の「インターンシップでの経験を通して 視野を広げ将来の選択肢を増やしたいと望む一方で、 自分に向いている仕事ややりたい仕事を特定したい」 は、就職を考え始める時期の学生の多くが感じるジレ ンマである。確かに、将来の目標を特定することがで きれば、それだけ効率よく対策を講じることができ、 目標へも接近し易くなることは言うまでもない。ま た、将来を思い描けない不安定な状況から脱却できた という実感は、安心感を学生にもたらすものである。 しかしながら、安易にキャリアを特定することが後に 大きなリスクを伴うことは周知の通りである。した がって、まず、視野を広げること、その上で目指す方 向を絞り込んでいくことを考えていかねばならない。 この点で、1年次の夏期のインターンシップは有意義 な機会であると言える。希望の仕事が特定されている 学生は実際に職場体験をすることで理想と現実の齟齬 を確認することができ、一方で、特定できていない学 生は将来の選択肢を広げる機会として活かすことがで きるからである。後者の学生は、前者に比べて当初の モチベーションが低くなりがちな傾向にあるが、 OBOGとの関わりや合同企業説明会等で実際に企業 の声に触れていく中で、その行動にも徐々に主体性が 表れるようになっている。
5.インターンシップ事前教育改革の効果検証
②
―参加状況から―
学生がインターンシップ先を見つける方法として は、大学紹介若しくは自己開拓のいずれかを選択する 必要がある。大学紹介の場合には、大学(キャリアサ ポート室)により用意されたリストの中から企業を選 び、指定の書類を用意して参加の手続きをとる。この 場合、本学の学生同士で人数調整が必要となるケース もあるが、これまでのところ第2希望若しくは3希望 の範囲内でエントリー先を選定することができている (エントリーを行えば自動的に参加が確定する)。これ に対して、自己開拓は、学生が自らの力でインターン シップ先を見つけ、電話等で調整を行い、場合によっ ては企業の担当者による選考を経て参加の権利を勝ち 取るものである。当然のことながら、学校紹介の方が 参加のハードルは低いため、インターンシップへの参 加に対するモチベーションの低い学生が積極的に自己 開拓を選択することは考えにくい。 今回の改革の前後で、自己開拓の状況をグラフ化し たものが図5である。なお、グラフ内の「自己開拓割 合」とは、本学の短期大学生が、1年次にインターン シップに参加した全ての受入れ企業数に対して、学生 が自力で開拓した受入れ企業数の割合である。この点 に注目すると、2018年度には10.7%だったものが、改 革後の2019年度には30.1%に伸びていることがわかる (4) 。このような成果をもたらした要因として、一つに はよりインターンシップと就職を関連づけて考えられ るようになったことが挙げられよう。実際に、支援の 現場で学生と関わる中においても、「大学紹介のリス トに興味を持てる企業が見当たらない。」「リストに掲 載されている企業の数が少なすぎる。」など、不満の声が多く寄せられた。これらの声は、とりあえず与え られた情報の中から参加企業を選ぶ(単位のために機 械的に選択する)という受動的な姿勢ではなく、むし ろ、自らの進路を自分たちなりにイメージした上で、 その準備作業としてインターンシップ経験を効果的に 活用したいという姿勢の表出と言うべきものである。 結果として、こうした学生たちは、大学紹介リストに 頼ることはせず、自らの意思で受入れ企業を開拓しよ うと行動した。このように、能動的な姿勢でインター ンシップに向き合う姿が多く見られたことは、今回の 改革の大きな成果であると言えよう。 学生がインターンシップを自らのキャリア選択にお いて「必要な経験」と位置付け、能動的に行動するに 至った要因としては、自らの選択と判断で合同企業説 明会等の企業ブースに足を運び、リアルな企業の声に 触れられたところが大きい。若松・白井・浦上・安達 (2019)は、キャリア教育が目指すべき「自立」と は、「他者に対して自分を、また社会のなかに自分を 位置づけることである」と述べている。この点で、実 際に企業の声に触れ、仕事や企業の中に自分の位置づ けをイメージする機会を得られた学生は、自立に向け て確実に一歩を踏み出せたことになる。このような動 機付けを促すきっかけを数多く提示できたことが、今 回の改革の成果を導いた重要なポイントであったと考 えている。
6.おわりに
本研究は、インターンシップへ参加する学生のモチ ベーションに焦点を当て、その向上のため消極的姿勢 の軽減を試みたものである。その手法として、従来の 支援方法の中から「受け身」の姿勢を誘導し得る要因 を可能な限り排除しようとした。すなわち、「与えら れる」ものを極力少なくすることによって、能動的な 姿勢を当たり前のこととして捉えられる環境を作り上 げた、というシンプルな試みであった。結果として、 改革前と比べて学生のモチベーションの向上を確認す ることができた。 今後の課題として、モチベーションの種類に注目し た支援の工夫を考えていく必要がある。今回の改革で は、結果として前年度より参加姿勢に改善が見られた ものの、その効果が、キャリア形成全体において長期 間に及ぶものであるか、一時的なものであるか、につ いては考えられていない。言うまでもなく、インター ンシップへの参加は主体的な職業選択のための一つの 機会にすぎないのであるから、インターンシップへの 参加をゴールとした議論は適切ではない。ところで、 モチベーション理論によれば、モチベーションは「外 発的」なものと「内発的」なものとに分けられること になる。学生の自律的学習へのモチベーションを上げ る方策についての研究の中で、松尾・磯貝(2017) 図5 インターンシップ先の開拓方法の推移は、「内発的」なモチベーションは自発的、自律的な ものとして理想的であるが、「外発的」なモチベー ションで行動を促そうとすると、アンダーマイニング 効果を引き起こすこととなり、トータルでマイナスな 効果を招来するとし、安易に「外発的」モチベーショ ンに頼る支援の在り方に警鐘を鳴らす。本学のイン ターンシップ事前教育の場面においても、今後、「内 発的」モチベーションの向上に焦点を当てた支援の在 り方を探求していきたい。 本研究は、高崎商科大学2019年度教育改革研究費の 交付を受けて行われた。 注 (1) 文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの 推進に当たっての基本的考え方」(2014)によれば、インター ンシップの意義について「高い職業意識の育成」、「自主性・独 創性のある人材の育成」等を挙げており、その効果に期待され るところは大きい。 (2) 当該アンケートは、2018年度インターンシップガイダンス内 において、本学の短期大学1年生78名を対象に、インターン シップの行き先を決定する直前のタイミングで実施したもので ある。 (3) この段階で具体的に行ったことは、内容のカード化、グルー プ化、ラベル付けである(これらの過程を「カード布置」とよ ぶ。)。この段階において研究者の観点が介入することは後の分 析結果に主観的な影響を及ぼすこととなるため、KH法では、 数理的分析方法を導入する。具体的には、数量化理論Ⅲ類に基 づき、カード布置の構造、すなわちカードとグループの包含関 係を数理的に捉えるのである。その上で、得られた軸構造の 「解釈の困難さ」を判断材料として、要約段階の健全性、すな わち研究者の観点の介入を可能な限り抑制した要約を実現しよ うとするものである。 (4) インターンシップの受け入れ企業数(実際に学生がインター ンシップとしてお世話になった企業の数)も、2018年度に103 社だったものが、2019年度には188社となり、大幅な増加が見 られる。この点は、本学の入学者数の増加(2018年度78名、 2019年度105名)を遥かに上回る伸びとなっていることから、 この度の改革の成果と言えよう。 参考文献 安達智子(2004)「大学生のキャリア選択―その心理的背景と支援」 『日本労働研究雑誌』12月号(№533),pp.27 37 西俊治(2008)「関連性評定質的分析による逐語録研究―その基 本的な考え方と分析の実際―」『札幌学院大学人文学会紀要』 第83号,pp.61 100 多聞(2019)「大学生および大学における正課外活動の位置付け」 『大学教育』第16号,pp.17 24 平尾元彦・川端由美子・本庄麻美子・松坂暢浩(2015)「インター ンシップ参加学生の否定的意見―地方国立4大学合同調査に基 づく報告―」『インターンシップ研究年報』第18号,pp39 44 松尾 理・磯貝典孝(2017)「学生の自律的学習へのモチベーショ ンを上げる方策を考える」『近畿大医誌』第42巻1,2号, pp.33-39 若松養亮・白井利明・浦上昌則・安達智子(2019)「キャリアに対 する支援の課題と展望―「合格・内定指導」・「つきたい職業見 つけ」を超えて―」『教育心理学年報』第58集,pp.201 216 中央教育審議会(2011)「今後の学校におけるキャリア教育・職業 教育の在り方について」(答申),参照元「文部科学省HP: https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/ siryo/attach/1303768.htm」 中央教育審議会大学分科会大学教育部会短期大学ワーキンググルー プ(2014)「 短 期 大 学 の 今 後 の 在 り 方 に つ い て 」( 審 議 ま と め),参照元「文部科学省HP:https://www.mext.go.jp/b_menu/ shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/1351962.htm」 文部科学省高等教育局専門教育課(2015)「インターンシップの拡 大に向けた施策について」『2015年度全国キャリア就職ガイダ ンス』,pp.25 31 文部科学省(2017)「平成27年度大学等におけるインターンシップ 実施状況について」,参照元「文部科学省HP:https://www.mext. go.jp/b_menu/internship/1387145.htm」 三省合意文書:文部科学省、厚生労働省、経済産業省(2015)「イン ターンシップの推進に当たっての基本的考え方(平成27年12月 10日一部改正)」,参照元「経済産業省HP:https://www.meti. go.jp/policy/economy/jinzai/intern/sanshou_kangaekata.pdf」