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宮城キッズプログラムによる保育所におけるサッカー巡回指導に関する研究2―運動発達と社会性の発達との関連に着目して―

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(1)

宮城キッズプログラムによる保育所におけるサッカ

ー巡回指導に関する研究2―運動発達と社会性の発

達との関連に着目して―

著者

本郷 一夫, 平川 久美子, 飯島 典子, 碓井 貞治,

碓井 百合

雑誌名

東北教育心理学研究

11

ページ

11-20

発行年

2009-03-25

URL

http://hdl.handle.net/10097/00121897

(2)

宮城キッズプログラムによる保育所におけるサッカーの巡回指導に関する研究

2

一運動発達と社会性の発達との関連に着目して-本 郷 一 夫

(東北大学大学院教育学研究科)

平 川 久 美 子

飯 島 典 子

(東北大学大学院教育学研究科博士後期課程)

碓 井 貞 治

碓 井 百 合

(宮城県サッカー協会)

1

.問題と目的

本研究は、ボール遊びを通して身体を動かすことの楽し さや歓びを体験し、健全な発達を促すことを目的として宮 城県サッカー協会が実施している幼稚園・保育所などへの サッカーの巡回指導(宮城キッズプログラム)の効果を明 らかにするために、

2

0

0

5

年度から始められた。より具体的 には、サッカーの巡回指導によって、①サッカーに関わる 基礎的運動能力、サッカーのコーディネーションおよびゲー ムへの参加がどのように変化するのか、②基礎的運動能力 とコーディネーションおよびゲームへの参加とはどのよう に関連するのか、③運動的側面の変化は社会性の発達とど のように関連するのか、などの点について明らかにするこ とを目的とした。 幼児の運動発達を扱ったこれまでの研究を概観すると、 運動能力が年齢によってどのように変化するのかを横断的 に明らかにする研究がなされてきたことが分かる。その一 方で、縦断的に幼児の運動発達を検討した研究としては、 運動課題を実施した結果、幼児の基礎的な運動能力がどの ように変化したかを検討した大山・清水 (1986) の研究、 同一学年の幼児を出生月によってグルーフ。分けを行い、基 礎的な運動能力の縦断的な変化を検討した三浦・須田・太 田 (1988) の研究など非常に限られている。したがって、 幼児の運動能力の発達的変化を明らかにする上では、縦断 研究の積み重ねが必要であると考えられる。よって本研究 では、1年間のサッカーの巡回指導を通して幼児の運動およ び社会性においてどのような変化が表れるのかを縦断的に 検討することとする。 本研究ではサッカーに関わる運動発達を検討するが、幼 児の運動発達を扱ったこれまでの研究では、ボールを使つ た運動についての検討は多くはない。また、ボールを使っ た運動は「投げるJr受ける」が中心であり、サッカーのよ うに「ける」運動を扱った研究は非常に少ない。そのよう な状況の中で、われわれの

2

0

0

5

年度の研究では、サッカー の巡回指導によってコーディネーションの巧みさおよびゲー ムへの参加度がどのように変化するのかについて、縦断的 な検討を行った(本郷・飯島・杉村・太田・平川・粛藤・ 碓井・碓井,

2

0

0

6

)

。その結果、ゲームへの参加度について は時期による変化が見られなかったが、コーディネーショ ンの巧みさでは巡回指導が進むにつれて得点の上昇が見ら れた。しかしながら、分析の対象となった子どもの数は8名 と少なく、ここで得られた結果が安定的なものかどうかは 分からない。さらに、ボール運動から幼児期における調整 力(敏捷性、平衡性、巧般性、タイミング、リズム性など 様々な要素が複合している能力)を検討した立石・谷本・ 荒木・竹内 (1983) では、特に 5歳児では「ボールを足で 止める」という動きを身体で把握していく過程が見られる ことが明らかになった。以上のことから、調整力が要求さ れるサッカーのコーディネーションやゲームへの参加が時 期によってどのように変化していくのかを5歳児を対象と して検討する。さらに、本研究では

2

0

0

5

年度よりも対象児 の数を増やした上で運動発達におけるサッカーの巡回指導 の効果を明らかにすることとする。 前述のように、基礎的な運動能力については縦断的な研 究が少ない。さらに、サッカーのコーディネーションやゲー ムへの参加は基礎的な運動能力の発達を基盤としていると 考えられるが、両者の関連についてはほとんど検討がなさ れていない。したがって、基礎運動という分析測度を新た に加え、基礎的な運動能力の縦断的な変化および基礎的な 運動能力とサッカーのコーディネーションやゲームへの参 噌 l ム 4E ム

(3)

加との関連を同時に捉えることとする。 幼児の運動遊びは運動技術を習得することが主な目的で はなく、多様な動きをする、ルールを守るなど遊びに合ま れる多様な経験をするということが重要である(鈴木,2006)。 したがって、運動遊びを通して運動発達だけでなく社会性 の発達も促されると考えられるが、運動的側面と社会性と の関連についてはほとんど検討がなされていない。数少な い研究の中で、吉田・杉原・岩崎・猪俣・中村・演島(1994) は、年長男児を対象に、約1年間のサッカー教室での運動 経験がその心理的発達にどのような影響を及ぼすかについ て縦断研究を行った。その結果、「ボール技能についての有 能感」は非サッカ一群よりもサッカ一群のほうが高かった が、遊び場面での社会性については2つの群の間で有意差 は見られなかった。しかしながら、われわれの研究の2005 年度の結果からは、サッカーの巡回指導は子どもの運動発 達を促進するだけでなく、子どもの意欲やルールの理解、 親子の関係にも影響を及ぼす可能性が示唆された(本郷ら, 2006)。本研究では、保育所において集団の中で求められる 行動をとることができるかどうかを尋ねる〈集団活動〉を 設定するなど保育者用質問紙の質問項目を整理した上で、 運動的側面と社会性との関連を明らかにすることとした。

l

l

.

方 法

1

.

対象児 保育所の5歳児クラスに在籍する幼児 21名(男児 12名、 女児9名)を対象とした。ここでは、運動面のデータと質 問紙調査のデータのそろっている5歳児 17名(男児 10名、 女児7名;平均年齢5歳7か月)の結果を報告する。

スター卜

, ,

2

.

期間・手続き サッカーの巡回指導は2007年 5月、 6月、 9月、 10月、 2008年 1月、2月に保育所のホールで約 1時間実施された。 巡回指導は、宮城県サッカー協会に所属するコーチ2名 によって行われた。質問紙調査は2007年 6月、 10月、 2月 の3回実施された。保護者用質問紙は保育所を介して保護 者に配布・回収を行った。保育者用質問紙は対象児が在籍 するクラスの担当保育者に配布し、記入を求めた。 ここでは、 6月(I期)、 10月 (II期)、 2月(1ll期)の結 果を報告する。

3

.

分析測度 (1)基礎運動 基礎運動では①12mの直線走、② 1

5mの正三角形の 左回り走・右回り走を実施し、その秒数を計測した。 (2)コーディネーション コーディネーションでは、図1に示すような課題を実施 した。課題ではパーを飛び越える、くぐることに加え、コー ンの聞をジグザグに走ることが求められ、スタートからゴー ルまでの秒数を計測した。分析にあたっては、①スムーズ さ、②ミスの有無、③スピードという3つの観点から、 10 点満点からの減点法を用いて10段 階(1'" 10)で評定を行っ た。各分析測度の詳細を表1に示す。コーディネーション の得点は、一連の動作を全く行わない、保育者によって全 面的に介助されている場合、あるいは、3つの観点すべてに おいて最大に減点された場合に1点となり、スムーズで、ミ スもなくスピードも十分ある場合に10点となった。 (3)ゲーム ゲームは約5分間行われた。分析にあたっては 10秒を 1 フレームとし、その聞の参加度を

6

段階[

1

:無関連、

2

:

ゴール

'

.

1

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¥・/・¥.,/'・¥.,

.. -

b

F

'

図1 コーディネーション課題 η L 4E よ

(4)

表1 コ ー デ ィ ネ ー シ ョン の 分析 カ テ ゴ リ ー カテゴリー サブカテゴリー 点 数 具 体 的 行 動 走る、跳ぶ、くぐるなどの動作で、常に体がぐらつくなどのバランスの悪 全体的なぎこちなさ ー3 さやぎこちなさがある スピードを出しすぎて、パーを跳び越える、くぐる、コーンの周りを迂回 バランスの大きな崩れ するなどの動作に失敗する、勢いあまって全身のバランスを崩すなど 一時的なぎこちなさ ー1 一時的に上半身がふらつく、頭が揺れるなど ス ム ー ズ 0 特にぎこちなさはなく、スムーズな動き スムーズさ ミスの有無 逸 脱 内 途中からコースを離れてゴールしない、跳ぶ、くぐるなどの一連の動作 1 から著しく逸脱するなど -2 パーを落とす、コーンを倒すなど 1 パーやコーンに体の一部が触れる、コーンの周りを迂回するのをひと っとばすなど 0 コースから逸脱することなく、一連の動作を間違いなくこなす 大きいミス 小さいミス ミスなし スピード 非 常 に 遅 い -3 遅 い -2 速 い ー1 非 常 に 速 い 0 表2 ゲ ー ム の 分 析 カ テ ゴ リ ー 評定カテゴリー 具体的行動 コートの外にいたり、ゲームとは関係のない遊びをしている 無関連 攻撃・守備:応媛している他児と話をする、コートの外で知lの遊びをするなど コート肉でゲームの織子を見ている 傍観 攻撃.ゲームにあった動きをせず、コート内でじっとゲームの進行を見ているなど 守備:ゲームにあった動きをせず、ゴール付近にいてじっとゲームの進行を見ているなど ゲームにあった動きをしているが、ゲームの中,U(ボール)から'量れていたり、明確な役割を果たそうとするような動きではない 3 消極的参加 攻寧:ゲームの中心(ポール)1こ向かって走っているが、ポールを蹴ろうとはしていないなど 4 参加 守備:ゴール前にいるが、キーパーとしての役割を果たしていないなど ゲームの中心(ポール)の周辺でゲームの進行にあった動きをしている 攻撃.ポールを蹴ろうとしている、パスを待っているなど 守備キーパーの役割を果たそうとしている、ゲームの進行に関わってキーパーの人数を教える、応援するなど ポールIこ触れ積極的目こゲームに参加しているが、ゲームの展開には関与していない 5 積纏的参加 攻撃:自分が向かうべきゴールではない方向にボールを自民るなど 守備味方からポールをカットするなど ボールに触れ積極的にゲームに参加しているが、ゲームを展開させている。 6 中心的参畑 攻寧:自分が向かうべきゴールの方向にポールを蹴るなど 守備:敵からボールをカットするなど 観、 3:消極的参加、 4:参加、 5:積極的参加、 6:中 心 的 参 加 ] で 評 定 し 、 そ の 平 均 を 算 出 し た 。 分 析 は 各 時 期24フ レーム

(

4

H

乙 つ い て 行 っ た 。 各 段 階 の 詳 細 を 表

2

に示す。 (4)質 問 紙 質 問 紙 は 本 郷 ら (2006)の 結 果 に 基 づ き 、 サ ッ カ ー の 経 験 と あ ま り 関 係 の 見 ら れ な か っ た 項 目 を 削 除 し 、 保 護 者 用 質 問 紙 と 保 育 者 用 質 問 紙 に お け る 共 通 項 目 と 独 立 項 目 の 構 成を簡潔にするなど、の修正を行った。 保 護 者 用 質 問 紙 お よ び 保 育 者 用 質 問 紙 は 、

S-M

社 会 生 活能力検査(三木,1980)、社会成熟度診断検査(鈴木,1961)、 家庭教育質問用紙、親子関係診断テスト(品川・品川,1958)、 「 気 に な る 」 子 ど も の 行 動 チ ェ ッ ク リ ス ト ( 本 郷 ,2005)な ど を 参 考 に 構 成 さ れ た 。 い ず れ の 質 問 紙 も15項目からなり、 そ の う ち12項 目 は 共 通 項 目 で あ り 、3項 目 は 独 立 項 目 だ っ 円 ︿ U 唱E4

(5)

た。保護者および保育者に対して各項目について「少ない (1)Jから「多い (5)Jの5段階で評定するよう求めた。 各質問紙の項目を資料に示す。 ①共通項目 「子どもの様子J(12項目)は保護者用質問紙と保育者用 質問紙の両方に合まれており、〈ノレールの理解)(意欲・集 中)(遊び) (経験〉について各3項目から構成された。 ②独立項目 保護者用質問紙には〈興味・関心〉について3項目、保 育者用質問紙には〈集団活動〉について3項目が含まれて いた。

r

n

.

運動面の分析

1

.

基礎運動の変化 (1)直線走 時期によって直線走の速さがどのように変化するかを明 らかにするために、 3[時期 1期 .II期・皿期]

x

2 [性別 男児・女児]の2要因の分散分析を行った。その結果、時期 の主効果(F(2,30)

=

18.10, p

<

.01)および性別の主効果(F(1,l5)

=

21.64, pく.01)が有意だった。時期については、 Bonferroni の多重比較の結果、 I期よりも II'III期のほうが有意に速 いことが明らかになった。性別については、女児よりも男 児のほうが有意に速いことが明らかになった(図

2

)

。 5.0 4.6 4.2 3.8 3.4 3.0 I期 E期 E期 図2 直 線 走 の 変 化 16.0 15.5 15.34 15.0 14.5 14.0 13.5 13.62 13.0 I期 E期 E期 図

3

右 回 り 走 ・ 左 回 り 走 の 変 化 (2)右回り走・左回り走 時期によって右回り走・左回り定の速さがどのように変 化するかを明らかにするために、それぞれについて 3[時期 I期 'II期 'III期]x 2 [性別:男児・女児]の 2要因の分散 分析を行った。左回り走については、時期の主効果(F(2

30)= 5.72, p

<

.01)が有意だった。Bonferroniの多重比較の結果、 左回り走は E期よりも E期のほうが有意に速いことが明ら かになった。右回り定についても時期の主効果(F(2,30)= 8.94, pく.01)が見られ、Bonferroniの多重比較の結果、E期より も 1. III期のほうが有意に速いことが明らかになった(図 3)。 本研究において、 I期よりもE期のほうが時間がかかって いるという結果が得られたのは、主として測定の条件を変 更したことによるものだと考えられる。 2.コーディネーションの変化 時期によってコーディネーションがどのように変化する かを明らかにするために、

3

[時期

1

.

I

I

.

I

I

I

期]

x

2

[性別:男児・女児]の 2要因の分散分析を行った。その結 果、時期の主効果が有意だった (F(2

30)= 8.49

pく.01)。 Bonferroniの多重比較の結果、 I期の評定値よりも

I

I

.

I

I

I

期の評定値のほうが有意に高いことが明らかになった。図 4より、 I期からE期にかけての伸びが顕著であることが分 かる。 次に、コーディネーションにおける3つの評価の観点に ついて細かく見ていく。

(

1

)

スムーズさの変化 時期によってスムーズさがどのように変化するかを明ら かにするために、 3[時期 1期

'

I

I

期・

E

期]

x

2

[性別・ 男児・女児]の2要因の分散分析を行った。その結果、時期 の主効果が有意だった (F(2

30)= 9.34

p < .01)0 Bonferroni の多重比較の結果、

I

期の評定値よりも

I

I

'

I

I

I

期の評定値 のほうが有意に高いことが明らかになった。図5より、 I 期からE期にかけての伸びが顕著で、あることがうかがえ、 これはコーディネーション全体の変化と重なる。

(

2

)

ミスの有無の変化 時期によってミスの有無がどのように変化するかを明ら かにするために、

3

[時期:

1

.

I

I

.

I

I

I

期]

x

2

[性別 男児・女児]の2要因の分散分析を行った。その結果、有意 差は見られなかった。 (3)スピードの変化 時期によってスピードがどのように変化するかを明らか にするために、

3

[時期

1

.

I

I

.

I

I

I

期]

x

2

[性別:男 児・女児]の2要因の分散分析を行った。その結果、有意差 は見られなかった。 A せ 1 i

(6)

8.5 8.0 7.71 7.5 7.0 6.5 6.0 6.35 5.5 I期 E期 E期 図

4

コーデ、ィネーションの変化 -0.3 I期 E期 E期 -0.6 -0.82 -0.9 一1.2 ー1.5 一1.8 図

5

ス ム ー ズ さ の 変 化 3.ゲームへの参加度の変化 時期によってゲームへの参加度がどのように変化するか を明らかにするために、3[時期:1期.II期

.

r

n

期]

x

2 [性 評定段階で見ると、男児の場合は

I

期から

E

期にかけて く参加〉から〈積極的参加〉へと近づいていることが分か る。 一方、女児の場合は(消極的参加〉から(参加〉へと 近づいていることが分かる。 5.0 4.6 4.2 3.8 3.4 3.60 3.0 I期 E期 皿期 図

6

ゲ ー ム へ の 参 加 度 の 変 化

N.

質問紙の分析

1

.

保育者用質問紙 保育者用質問紙については、共通項目の〈ルールの理解〉 (意欲・集中) (遊び) (経験〉の 4領域と独立項目の〈集 団活動〉のl領域について、領域別の平均評定値を算出し た(表 3)。それらの得点に基づいて、領域ごとに 3[時期: I期・ E期

.

r

n

期]x 2 [性別:男児・女児]の2要因の分散 別:男児・女児]の2要因の分散分析を行った。その結果、 分析を行った。その結果、〈ノレールの理解〉、〈意欲・集中〉、 性別の主効果が有意だった(F(1

15)= 8.98

p < .01)。下位検 〈遊び〉、〈集団活動〉では時期の主効果が有意であり、時 定の結果、女児よりも男児のほうがゲームへの参加度が有 期を追うにつれて評定値が高くなることが分かつた。とり 意に高いことが明らかになった(図6)。 わけI期からE期にかけて変化の大きかった項目は、「ひと 表

3

保 育 者 用 質 問 紙 に お け る 領 域 別 平 均 評 定 値 の 変 化 領 域 I期 SD E期 SD E期 SD 男児 3.07 1.67 2.87 α98 3.47 1.45 ルールの理解 女児 3.76 0.85 4.10 0.71 4.57 α42 時期の主効果 (F(2,30)=7.23,p<.01) 1 'II<m 全体 3.35 1.40 3.37 1.06 3.92 1.25 男児 3.03 1.14 2.87 0.65 3.87 1.27 意欲・集中 女児 3.29 0.97 3.81 1.17 4.00 1.02 時期の主効果 (F(2,30)=10.17, pく01) 1 'II<m 全体 3.14 1.05 3.25 0.99 3.92 1.14 男児 2.80 0.96 2.90 0.70 3.37 1.20 遊ぴ 女児 3.14 0.98 3.76 0.71 3.81 0.79 時期の主効果I<II.m (F(2,30)=8.30,p<.01) 全体 2.94α95 3.25 0.81 3.55 1.05 男児 3.77 1.03 3.83 1.18 3.77 1.37 経験 女児 1.95 α62 1.57 0.25 1.52 0.50 性別の主効果女児<男児(F(1,15)=144.04, p<.01) 全体 3.02 1.26 2.90 1.46 2.84 1.56 男児 3.37 1.28 2.70 0.85 3.40 1.20 集団活動 女児 3.57 α98 3.81 α69 4.29 0.91 時期の主効果II<m (F(2,30)=5.01,p<.05) 全体 3.45 1.14 3.16 0.95 3.76 1.15 表4 I期 か ら 皿 期 に か け て 変 化 の 大 き か っ た 項 目 項目 領 域 I期 E期 差 ひとつの遊びに集中して取り組む 意欲・集中 3.4 4.3 0.9 約束を守ることができる ルールの理解 3.2 4.1 0.9 不得意なことにも取り組もうとする 意欲・集中 2.8 3.6 0.8 簡単なルール遊びをする 遊ぴ 3.2 3.9 0.8 友達と相談して遊びをすすめる 遊ぴ 2.8 3.6 0.8

15

(7)

-つの遊びに集中して取り組む」、「約束を守ることができる」、 「不得意なことにも取り組もうとするj、「簡単なルール遊 びをする」、「友達と相談して遊びを進める」だった(表4)。 また〈経験〉では性別の主効果が有意であり、女児より も男児のほうが評定値が高かった。このことから運動遊び ゃボール遊びなどの経験は女児よりも男児のほうが多いこ とがうかがえた。 2.保護者用質問紙 保護者用質問紙については、共通項目の〈ルールの理解〉 (意欲・集中> <遊び> <経験〉の 4領域と独立項目の〈興 味・関心〉の1領域について、領域別の平均評定値を算出 した(表5)。それらの得点に基づいて、領域ごとに3[時期. I期・ E期

.

m

期]x 2 [性別:男児・女児]の 2要因の分散 分析を行った。その結果、(ノレールの理解〉、〈経験〉では性 別の主効果が有意であり、。レールの理解〉では男児よりも 女児のほうが評定値が高かった。一方、〈経験〉では女児よ りも男児のほうが評定値が高く、これは保育者用質問紙の 結果と一致する。 また〈遊び〉では時期と性別の交互作用が有意で、あり、 男児においては時期による有意な差は見られなかったが、 女児においてはI期よりもE期のほうが評定値が高かった。

v

.

分析測度聞の関連の分析

1.運動面における分析測度聞の関連 (1)基礎運動とゲームとの関連 各時期において基礎運動の3つの測度とゲームの相関を 調べたところ、 E期における直線走とゲームの聞にのみ有 意な相関が見られた。相関係数は-.548であり、 5%水準で 有意だった。

(

2

)

基礎運動とコーディネーションとの関連 各時期において基礎運動の3つの測度とゲームの相関を 調べたが、有意な相関は見られなかった。 (3)ゲームとコーディネーションとの関連 各時期においてゲームとコーディネーションの相関を調 べたところ、 E期においてのみ有意な相関が見られた。相 関係数は.489であり、 5%水準で有意だった。

2

.

運動面の結果と質問紙の結果との関連 (1)基礎運動と質問紙との関連 時期ごとに、基礎運動の時間と保育者用質問紙および保 護者用質問紙の領域別評定の相関を調べた。表6には有意 な相関の見られた相関係数を示している。その結果、保育 者用質問紙、保護者用質問紙ともに〈経験〉において有意 な負の相関が見られた。このことから、身体を使ったりサッ カーをしたりする経験の多い子どもほど、直線走や右回り 走・左回り走が速いということが分かる。また、 I期の時 点では基礎運動と質問紙との聞には有意な相関の見られて いるものが多いが、 E期、 E期になるとあまり相闘が見ら れなくなっていることが分かる。 (2)ゲームおよびコーディネーションと質問紙との関連 時期ごとに、ゲームおよびコーディネーションの評定と 保育者用質問紙および保護者用質問紙の領域別評定の相関 を調べた。表7には有意な相関の見られた相関係数を示し ている。ゲームについては、保育者の〈経験〉と保護者の 〈意欲・集中> <経験〉において有意な正の相関が見られた。 コーディネーションについては、保育者用質問紙の全ての 領域において有意な相闘が見られたが、保護者用質問紙で は有意な相関が見られた領域はなかった。 表

5

保 護 者 用 質 問 紙 に お け る 領 域 別 平 均 評 定 値 の 変 化 領 域 I期

s

o

E期 男児 2.90 0.81 3.07 ルールの理解 女児 3.52 0.42 3.86 全体 3.16 0.67 3.39 男児 3.50 α82 3.50 意欲・集中 女 児 3.52 α60 3.76 全体 3.51 α72 3.61 男児 3.73 0.83 3.77 遊ぴ 女 児 3.57 1.10 3.90 全 体 3.67 0.92 3.82 男児 3.97 1.25 3.83 経 験 女児 2.71 0.73 2.57 全 体 3.45 1.22 3.31 男児 3.23 1.03 3.33 興味・関心 女児 2.10 α'88 2.19 全体 2.76 1.10 2.86

s

o

E期 0.64 3.07 0.94 3.86 α~85 3.39 α81 3.40 0.42 4.14 0.67 3.71 α72 3.57 α96 4.14 0.80 3.80 1.15 3.67 α81 2.81 1.18 3.31 0.86 2.90 α79 2.24 0.99 2.63

-16

s

o

0.62 0.81

!79 α54 0.74 0.72 0.65 1.09 0.87 1.12 1.07 1.15 1.17 1.27 1.22 性別の主効果 (F(1,15)=5.32,pく05) 男児<女児 時期と性別の交E作用 (F(1,15)=4.59,p(.05) 女児:1

<m

性別の主効果 (F(1,15)=5.82,pく.05) 女児<男児

(8)

表 6 質問紙の領域別評定と基礎運動の時間との関連 質 問 紙 保 育 者 領 域 直 線 走 E E ルールの理解 意欲・集中 遊ぴ 経 験 ー.708梅本 集団活動 ルールの理解 .546* 意欲・集中 遊ぴ 経 験 一.608本車 興味・関心 -.588* 右回り走 E 左回り走 E E E ー.546* 保 謹 者 ー.704本本 一.546本 -.490* ー.682本本 ー.496ホ ー.570* -545* ー.597* ー.607*ホ ー640*本 ー.678様車 表

7

質問紙の領域別評定とゲーム・コーディネーションの評定との関連 質問紙 領域 コーディネーション E E .609*本 .636** .493本 .633事 * .599牢 .517寧 .500牢 .515事 保育者 ルールの理解 意欲・集中 遊び 経験 集団活動 ルールの理解 意欲・集中 保護者 遊び 経験 興味・関心 .735** .581牢本 .541事

V

I

.

総合的考察

.506牢 基礎運動については時期を追うごとに伸びが見られてお り、基礎的な運動能力の発達がうかがえる。右回り走およ び左回り走で、は測定方法の変更があったため I期から E期 にかけて遅くなっているという結果であったが、直線走で はI期からE期にかけての伸びが顕著であることが分かる。 3歳から 6歳の子どもを対象に幼児期における様々な運動能 力の加齢変化について検討した郷司 (2001) によると、動 作をすばやく繰り返す能力である速度(スピード)は低い 年齢ほど変化量が大きく、発達が急激に進む。本研究にお いてI期からE期にかけて顕著な伸びが見られたのは、こ のことと関連すると考えられる。 コーディネーションについても I期からE期にかけての 伸びが顕著であり、そのような変化はスムーズさにおける 変化と同様である。このことから、 I期からE期にかけて コーディネーションがよりスムーズになっていることがう かがえる。今回の対象児のほとんどが前年度もサッカー教 室を経験しているため、 I期の時点からコーディネーショ ンの能力は比較的高かったと考えられる。そのため、ミス の有無やスピードの変化よりもむしろコーディネーション のスムーズさのようなより細かな点で伸びが見られたと考 えられる。 ゲームへの参加度については時期による違いは見られな かったものの、時期を追うごとに伸びが見られた。特に男 児においては I期の時点からゲームに参加しており、時期 を追うごとにより積極的にボールに関わるようになっていっ たと考えられる。女児においても、男児にボールを支配さ れることが多いながらもゲームには参加していることがう かがえる。また時期を追うごとに、ボールから少し離れた ところでゲームの進行に合わせて動いているというような 消極的な参加の仕方から、ボーノレを蹴ろうとするなどゲー ムの中心で、ゲームの進行に合った動きをしているというよ うな参加の仕方へと変化していることがうかがえる。 子どもの様子とクラス集団への参加状態に関する保育者 評定については 〈経験〉を除く全ての領域において、サッ カーの巡回指導が進むにつれて評定値の上昇が見られた。 とりわけ、「ひとつの遊びに集中して取り組む」、「不得意な ことにも取り組もうとする」など 〈意欲・集中〉の項目の 司 t 唱 E ム

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評定値の増加が大きかった。吉田・杉原 (2002) は幼児期 の運動遊び傾向が運動有能感を規定し、運動有能感が運動 遊びの積極性や自己主張・実現、向社会的行動という行動 傾向を規定していることを明らかにした。ここでの運動有 能感とは、運動ができるという感覚で、達成したい・学び たいなどの気持ちである。つまり、運動遊びをよくする子 どもは自分でも運動ができるという感覚や、運動ができる ようになりたい、上手になりたいなどの気持ちをより強く もっている。そして、そのような子どもは身体を活発に動 かしたり、いろいろな運動遊びに主体的・積極的に取り組 んだりする傾向が見られる。このことから、子どもはサッ カー教室での経験を通してもっとサッカーが上手になりた いなどの気持ちをもつようになり、そのことがひとつのこ とにじっくりと取り組む姿勢や苦手なことにも取り組もう とする姿勢を育んだと考えられる。また、「約束を守ること ができる」、「簡単なルール遊びをする」、「友達と相談して 遊びをすすめる」などかレールの理解〉ゃく遊び〉の項目 においても評定値が大きく増加しており、ルールを守って 遊びに参加することの楽しさも経験したと考えられる。こ のようにサッカ一教室は子どもが身体を動かしたりサッカー をしたりする場としてだけでなく、物事に取り組む姿勢や ノレールの理解などを育む場としての機能も果たしていると 考えられる。一方、子どもの様子と家族のスポーツやサッ カーに対する興味・関心に関する保護者評定については、 全ての領域において時期による評定値の差は見られなかっ た。 基礎運動と質問紙との関連については、基礎運動は I期 の時点では保育所での〈意欲・集中) <経験) <集団活動〉、 家庭での〈経験) <興味・関心〉との聞で相関が見られてい たが、 E期、皿期の時点で、はあまり相関が見られなくなっ た。一方、ゲームおよびコーディネーションと質問紙との 関連については、コーディネーションはE期の時点におい ても保育所での(意欲・集中) <遊び) <経験〉のように複 数の領域との間で相関が見られていた。このことから、基 礎運動とコーディネーションはそれぞれ異なる性質をもっ ていることがうかがえる。年度当初は基礎的な運動能力の 高い子どものほうが活動に集中して意欲的に参加したり、 運動遊びをより多く経験していたりする。しかしながら年 度の終わり頃になると、走るというような単純な動きだけ でなく、跳ぶ・くぐる、ジグザグに走るというような細か な行動調整が求められるコーディネーションをより上手に 遂行する子どものほうが、活動に集中して意欲的に参加し たり、友達とルール遊びをしたりするなどの姿が見られる ようになる。このようにサッカー教室の中で、も特にコーディ ネーション課題の遂行は、保育所での子どもの意欲・集中 を高めたり子どもたちの遊びを促したりすることに寄与す ると考えられる。このコーディネーションと保育者用質問 紙との間で関連が見られるという結果は本郷ら (2006)の結 果と一致しており、安定した結果であると言えるだろう。 保育所におけるサッカーの巡回指導に関する研究を始め て3年目になる今回は、基礎運動の測定を新たに加え、質 問紙の項目も整理し直して研究を行った。また1年目は少 なかった対象児の数も、今回は1クラスの子ども全員に増 やして検討を行った。その結果、サッカーの巡回指導は単 に運動能力の発達を促すというだけでなく、子どもの意欲・ 集中を高めたりルールの理解を促したりする可能性が示唆 された。また基礎運動とゲームおよびコーディネーション と質問紙との関連は異なること、保育者用質問紙とコーディ ネーションとの聞に関連が見られることなども明らかにな り、サッカーで求められる運動にも様々な側面があり、と りわけコーディネーションのような細かな行動調整が求め られる運動が巧みになっていくに伴って、子どもの意欲・ 集中や遊びも発達していくことが示唆された。 今後はより年齢の低い子どもを対象として実践を行い、 幼児期における運動経験が子どもの運動能力や社会性の発 達に及ぼす影響について検討していく必要があると考えら れる。その際には巡回指導のプログラムの内容だけでなく、 子どもたちへの指示の仕方や指導者の立ち位置など具体的 な進め方においても見直しが必要となるだろう。そのよう な点も踏まえながら、実践を積み重ねていくことが求めら れると考えられる。

謝 辞

本研究の遂行にあたっては、泉チェリ一保育園の子ども たち、保護者の方々、保育者の方々に多くの協力をいただ いた。ご協力いただいた全ての方々に心から感謝したい。 本研究も3年目となり、子どもたちは4歳の時に比べて身 体も随分大きくなり、日々成長していく様子を私たちにま ざまざと見せてくれた。子どもたちが楽しそうにかつ真剣 にサッカー教室に参加する姿を見ることは私たちの研究の 励みになった。

引用文献

郷司文男.

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幼児期における運動能力の加齢変化

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回大会研究論文集,全部-

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資料1 保育者用質問紙 質問項目 1 おもちゃなどを友達と順番に使ったり、貸し借りをする 2 決められた時聞を守れる 3 約束を守ることができる 領域 ルールの理解 意欲・集中 4 ひとつの遊びに集中して取り組む 5 不得意なことにも取り組もうとする 6 新しいことに積極的に取り組む 7 簡単なルール遊びをする 8 友達と相談して遊びをすすめる 9 自分で新しい遊びを考えてつくりだす 10 身体を動かす遊びをする 11 ボールを使って遊ぶ 12 サッカーをして遊ぶ 13 クラスで決められた役割(当番など)を自発的にする 14 困っている友達がいたら助ける 15 集団活動の内容に応じた行動がとれる 遊び 経験 集団活動 質問項目 資料2 保護者用質問紙 領域 1 おもちゃなどを友達と順番に使ったり、貸し借りをする 2 決められた時間を守れる 3 約束を守ることができる 4 ひとつの遊びに集中して取り組む 5 不得意なことにも取り組もうとする 6 新しいことに積極的に取り組む 7 簡単なルール遊びをする 8 友達と相談して遊びをすすめる 9 自分で新しい遊びを考えてつくりだす 10 身体を動かす遊びをする 11 ボールを使って遊ぶ 12 サッカーをして遊ぶ 13 家族はスポーツに関心がある 14 家族はサッカーに関心がある 15 家族はサッカーをする ルールの理解 意欲・集中 遊ぴ 経 験 興味・関心 n 可 d 噌 E よ

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Effect of Miyagi Kids Program for Football on Young Children in a Nursery School 2

- the Relation between the Motor Development and the Social Development

-Kazuo HONGO KumilωHlRAKAWA N oriko IIJIMA (Graduate School of Education, Tohoku University) Sadaharu USUI Yuri USUI (Miyagi Football Association)

The purpose of the present study was to examine the relation between the motor development and the social development in young children. We especially tried to clarify the effect of Miyagi Kids Program for football on young children in a nurseηT school.

Subjects were seventeen 5 years-old children( ten boys and seven girls). The coaching of football was made by two coaches of the Miyagi Football Association six times from May

2007 to February

2008. The participating score to the football game

the motor coordination score

and basic motor skill were analyzed for every child.

The parents and the nurseηT teachers were asked to fill in the questionnaire about children's social behaviors in everyday life three times within the research period.

The present study focused the results of June, 2007( 1 ,)October(

n

,)and February, 2008(

m

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)

The main results were as follows:

1.The participating score to the football game and the motor coordination score increased with time.

2. In the Questionnaire for Parents, the scores of “U nderstanding of Rule",“Volition and Concentration", and “Play of Parent and Child" increased.

3. In the Questionnaire for N ursery Teachers

the motor coordination score had significant correlations with“Volition and Concentration

"

and “Play" in Period 1 and

m

It was suggested that Miyagi Kids Program for F ootball promoted the children' s motor development

and heightened the children's volition and concentration.

Key words: Miyagi Kids Program, football, motor development, young children, nursery school

表 1 コ ー デ ィ ネ ー シ ョ ン の 分析 カ テ ゴ リ ー カテゴリー サブカテゴリー 点 数 具 体 的 行 動 走る、跳ぶ、くぐるなどの動作で、常に体がぐらつくなどのバランスの悪 全体的なぎこちなさ ー 3 さやぎこちなさがある スピードを出しすぎて、パーを跳び越える、くぐる、コーンの周りを迂回 バランスの大きな崩れ するなどの動作に失敗する、勢いあまって全身のバランスを崩すなど 一時的なぎこちなさ ー 1 一時的に上半身がふらつく、頭が揺れるなど ス ム ー ズ 0  特にぎこちなさはな
表 6 質問紙の領域別評定と基礎運動の時間との関連 質 問 紙 保 育 者 領 域 直 線 走E  E  ルールの理解 意欲・集中 遊ぴ 経 験 ー . 7 0 8 梅本 集団活動 ルールの理解

参照

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