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成人及び小児口腔バイオフィルム中の硝酸還元活性の解明と硝酸還元菌の網羅的検索

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Academic year: 2021

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(1)

成人及び小児口腔バイオフィルム中の硝酸還元活性

の解明と硝酸還元菌の網羅的検索

著者

佐藤 優理亜

52

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

歯博第883号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130037

(2)

- 23 -

論 文 内 容 要 旨

【目的】硝酸塩(NO3-)は,主に緑黄色野菜等の食物に多く含有されること,また口腔内の硝酸還 元菌によって亜硝酸塩(NO2-)へ還元されることが知られている。産生された亜硝酸塩は,口腔では 齲蝕や歯周病関連菌の増殖や代謝を抑制すること,全身では血液循環の改善を通して循環器疾患の発 生を抑制することが報告されている。しかしながら,単位湿重量あたりの口腔バイオフィルムの硝酸 還元活性や,口腔バイオフィルム菌叢に占める硝酸還元菌の割合,さらにそれらの個人差について網 羅的に検討した研究はほとんどない。また,小児におけるそれらの知見は皆無である。そこで本研究 では,成人と小児を対象に,歯垢と舌苔を採取し,その硝酸還元活性及び硝酸還元菌の種類について 網羅的な検索を行った。 【方法】成人ボランティア(22 - 43歳)及び本院小児歯科受診者(5 - 10歳)を対象に,歯垢と舌苔 の採取を行い,各試料の硝酸還元活性をGriess試薬を用いて測定した。また,同試料中の硝酸還元菌を, Griess試薬含有寒天重層法を用いて選別し,分子生物学的手法を用いて同定を行った。 【結果】歯垢,舌苔共に,成人と小児の間で,硝酸還元活性に大きな違いはなかったが,被験者間で は大きな個人差が認められた。また,舌苔と比べ歯垢の硝酸還元活性が有意に高かった。各試料中の 硝酸還元菌の割合は,成人・小児いずれにおいても舌苔よりも歯垢で高く,また硝酸還元菌の数は, 成人の歯垢を除き,嫌気培養した方が多かった。硝酸還元活性と硝酸還元菌数との相関については, 歯垢においては成人・小児共に有意な正の相関が確認され,舌苔においては,小児においてのみ,好 気の硝酸還元菌数と比較した際に有意な正の相関が確認された。同定された硝酸還元菌種は,成人・ 小児共に,好気性条件ではActinomyces属,Neisseria属が多く,嫌気性条件では,Actinomyces属, Veillonella属が多かった。成人の舌苔では,これらの菌属のうちNeisseria属の割合が高くなり,小児の 舌苔では,好気でRothia属,嫌気ではVeillonella属の割合が高くなった。 氏 名(本籍)   : 佐さ 藤とう 優ゆ り あ理亜(宮城県) 学 位 の 種 類  : 博 士  ( 歯 学 ) 学 位 記 番 号  : 歯 博 第 8 8 3 号 学位授与年月日  : 令和 2 年 3 月 25 日 学位授与の要件  : 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 ・ 専 攻  : 東北大学大学院歯学研究科(博士課程)歯科学専攻 学 位 論 文 題 目  : 成人及び小児口腔バイオフィルム中の硝酸還元活性の解明と硝酸還元菌 の網羅的検索 論 文 審 査 委 員  : (主査)教授 江 草   宏 教授 福 本   敏   教授 髙 橋 信 博

(3)

- 24 - 【結論】本研究結果より,バイオフィルム単位湿重量あたりのNO2-産生には,歯垢の寄与が高いこ とが示された。また,単位湿重量あたりの硝酸還元活性と硝酸還元菌数に正の相関が認められたこと から,口腔内の硝酸還元活性は,菌種の違いよりも,硝酸還元菌数によって規定されているものと考 えられる。また,硝酸還元菌は,成人の歯垢を除き,通性嫌気性,偏性嫌気性菌の割合が高く,主な 硝酸還元菌はActinomyces属とVeillonella属であり,さらに,成人の舌苔ではNeisseria属が,小児の舌 苔ではRothia属が多く認められた。本研究で確立した手法や,獲得した新知見は,今後,口腔内細菌 の硝酸還元活性と口腔や全身の健康状態との関連性についての研究を行うにあたり,新たな視点や基 盤技術として貢献しうることが期待される。

審 査 結 果 要 旨

硝酸塩(NO3-)は,緑黄色野菜等の食物に多く含まれており,口腔内の硝酸還元菌によって亜硝酸 塩(NO2-)へ還元される。口腔内で産生されたNO2-は,齲蝕や歯周病関連菌の増殖や代謝を抑制し, 全身では血液循環の改善を通し,循環器疾患の発生を抑制する。しかしながら,単位湿重量あたりの 口腔バイオフィルムにおける硝酸還元活性や,小児の口腔バイオフィルム菌叢に占める硝酸還元菌の 割合,さらにそれらの個人差について多角的に検討した研究はない。本論文研究では,成人および小 児の口腔内硝酸還元菌に着目し,口腔バイオフィルムの硝酸還元活性や,口腔バイオフィルム菌叢に 占める硝酸還元菌の割合,さらにそれらの個人差を検討した。 成人ボランティア(22-43歳)及び本院小児歯科受診者(5-10歳)を対象に,歯垢と舌苔の採取を行い, 各試料の硝酸還元活性をGriess試薬を用いて測定した。また,硝酸還元菌をGriess試薬含有寒天重層法 を用いて選別し,分子生物学的手法を用いて同定した。 歯垢,舌苔共に,成人と小児の間で,硝酸還元活性に大きな違いはなかったが,被験者間では大き な個人差を認めた。また,舌苔と比べ歯垢の硝酸還元活性は有意に高かった。各試料中の硝酸還元菌 の割合は,成人・小児いずれにおいても舌苔よりも歯垢で高く,また硝酸還元菌の数は,成人の歯垢 を除き,嫌気培養した方が多かった。硝酸還元活性と硝酸還元菌数との相関については,歯垢におい ては成人・小児共に有意な正の相関が確認され,舌苔においては,小児においてのみ,好気の硝酸還 元菌数と比較した際に有意な正の相関が確認された。同定された硝酸還元菌種は,成人・小児共に, 好気性条件ではActinomyces属,Neisseria属が多く,嫌気性条件では,Actinomyces属,Veillonella属 が多かった。成人の舌苔では,これらの菌属のうちNeisseria属の割合が高くなり,小児の舌苔では, 好気でRothia属,嫌気ではVeillonella属の割合が高くなった。 これらの研究結果は,バイオフィルムのNO2-産生には歯垢が大きく寄与しており,硝酸還元菌は成 人の歯垢を除き通性嫌気性,偏性嫌気性菌の割合が高く,主にActinomyces属とVeillonella属であるこ とを明らかにしている。また,成人の舌苔ではNeisseria属が,小児の舌苔ではRothia属を多く認める という新たな知見を示しており,今後,口腔内細菌の硝酸還元活性と口腔や全身の健康状態との関連 性の研究に大いに貢献しうることが期待される。したがって,本研究成果の歯学領域への学術的貢献 は高く,本論文は博士(歯学)の学位に相応しいものと判断する。

参照

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