情報科(社会と情報)学習指導案
1 単元名 第1章 情報社会と私たち 第3節 情報モラルと社会のルール 2 単元設定の理由 ○ 単元(題材)観 インターネット社会といわれている昨今において、若者の間では SNS を通じた繋がりをもつ人が 多くなっている。総務省が令和2年5月に発表した令和元年度通信利用動向調査において、10代か ら30代にかけての利用率が高く、その目的もコミュニケーションや情報を調べるといった目的が 多かった。また、個人のインターネット利用時における端末はパソコンよりもスマートフォンが上回 っている。手のひらに収まるサイズの端末を使用し世界規模での情報収集や共有、繋がりをもつこと がスタンダードとなっている。 本単元は、社会が Society5.0 を迎え情報化が加速していく中で、個人の権利や利益がどのように 守られ、個人情報がどのようにすれば保護できるか等を考察して、他者とのつながりの中で得た情報 の中にも大切な個人情報が含まれていることを理解し、情報漏洩が及ぼす危険性と向き合っていく態 度を涵養することをねらっている。 さらに、知的創作活動が知識基盤社会を支える源であることを踏まえ、その知的創作活動の中から 創出されたものに対しても個人情報同様に、権利や利益が守られなければならないことを理解させた い。知的財産権の中でも特許権、実用新案権、意匠権、商標権の産業財産権は特許庁に出願して認め てもらうことで権利や利益を守ることができるが、届け出の必要のない著作権には特に注意が必要で ある。本単元は個人情報とともに、そのことにも向き合う姿勢の涵養もねらっている。 具体的には次のことができるようにする。①積極的に個人情報を保護しようとする、②特許権や実 用新案権、商標権などを調べることができる、③著作権を侵害していないかを判断することができる。 本教材は本単元のねらいを達成するために、知識を問う内容の記述のみではなく、身近に起こりう る例を取り上げ、グループ討議を取り入れることができる例題を多く扱い、知識理解に偏ったもので はなく、思考を巡らせることにより学びを深めることに有効である。 ○ 生徒観 情報についてとメディアリテラシーについてはすでに学習済みである。個人情報や著作物につい て、普段の生活の中で触れている機会はあるが、そこに意識を向けた経験は少ないようである。事 前アンケートの結果、日頃から人との関わりの中には、個人情報が含まれているかもしれないとい うことに意識を向けている生徒はクラスの〇割弱にとどまった。SNS 上のトラブルを経験したこと がある生徒も少なからずおり、個人情報の取り扱いに対する意識は低いようにも思えるが、画像を 投稿しようとするときは相手の許可を取る。投稿して困る人がいないか考える等、自分たちの肖像 に関してクラス全体の〇割以上がきちんと考えている。一方で、著作物の利用に対しては、「Web 上 にたくさん出回っている情報だから」と、深く考えずに著作物を利用し二次配布に繋がりかねない ことを行おうとした経験のある生徒はクラスの〇〇を超え著作権に対する意識はまだ低い。 つまり、商標登録などは比較的意識をしているようであるが、著作物の利用に関して著作権の侵 害をしていないかについて気を付けている生徒は少ない。 ○ 指導観 本単元の指導に当たっては、日頃のコミュニケーションの中から得られる情報について考え、自 分自身の個人情報についての取り扱いに関心をもたせ、積極的に個人情報保護の姿勢をとることを ねらっている。また、著作物使用時や知的創作活動における創作物が他人の著作権を侵害していな いか慎重に考え判断できる力を身に付けることで、積極的に情報社会に参画する態度を養うことをねらっている。そのために、個人情報といわれるものにはどのような情報があるのか確認し、基本 四情報(氏名・住所・生年月日・性別)にふれ日頃のコミュニケーションの中で他人の個人情報を 得ていることを各自で考え確認する。さらに、撮影した写真データを送信時に気を付けることをペ アで意見交換する活動を取り入れ、加えて、インターネットを活用し特許権や商標権の登録につい て検索して調べる等、個人情報の取り扱いや産業財産権の確認を行ったのち最後に著作権につい て、それぞれの課題に対してグループもしくはペアでディスカッションを行い著作権の侵害につな がるところはないかを考える活動を取り入れる。 なお、著作権は著作物を創作した時点で、創作者に与えられる権利ではあるが、厳密にいうと文 化庁への著作権登録制度もあるので、その点についても少し触れておく必要がある。 自身のとる行動が、個人情報の漏洩につながっていないか、あるいは独自で考えたつもりのもの が他人の著作権を侵害していないかを考え意見交換し、全体に対して共有できる時間を設定するこ とで、個人情報の取り扱いや著作権に関する意識を高めていきたい。 3 単元の目標(到達目標) (1)個人情報の概念を理解し、個人情報保護に努める態度を身に付ける。 (2)情報発信時の情報の取り扱いにあたって適切な判断ができるようになる。 (3)知的財産権の体系について理解する。 (4)著作権について、侵害の事実がないかをインターネットを利用して検索することで、確かめる ことができる。 4 単元の評価規準 ア 関心・意欲・態度 イ 思考・判断・表現 ウ 技能 エ 知識・理解 ①個人情報の保護に関 心をもち、積極的に 個人情報を管理しよ うとしている。 ②知的財産権について 調べることで、著作 権を侵害しないよう に著作物の利用に注 意する態度を身に付 けている。 ①個人情報について正 しく取り扱う判断力 がある。 ②メッセージ交換を行 う際、どのように文 章をまとめるとよい か、状況に応じた適 切な表現を行うこと ができる。 ③ 著 作 権 の 侵 害 事 例 で、どの権利を侵害 しているかを適切に 判 断 で き る 力 が あ る。 ①個人情報を管理する 技能や、SNS上の メッセージ交換を正 しく行う技能が身に 付いている。 ②産業財産権(特許権 や商標権)について 検索できる技能が身 に付いている。 ①個人情報の概念や個 人情報保護について 理解している。 ②知的財産権の体系を 理解し、また、著作権 について例外規定を 含め理解している。
5 単元の指導と評価の計画 次 配当 時間 〇学習内容 ・学習活動 評価規準 評価方法 関 思 技 知 一 2 〇個人に関する情報の管理と保護 ・個人情報の概念を理解し、個人情報保護法 により個人の権利や利益が保護されてい ることを知る。また、サイバー犯罪の標的 になりやすいアカウントとは何か、フィッ シング詐欺などを調べまとめる。 ・肖像権を踏まえ画像の取り扱いについて意 見交換を行い、各自でまとめ発表する。 ① ① ① 受講シートおよびワー クシートの内容と単元 小テストから評価する。 二 2 〇情報を扱う責任とモラル ・情報社会におけるモラルについてネットワ ーク上のコミュニケーションの場面を想 定した話し合い行い、理解を深める。 ② ① 受講シートおよびワー クシートの内容から評 価する。 三 3 (本時 2/3) 〇知的創作活動による知識の創出と社会で の活用 ・知的財産権とその体系について理解し、産 業財産権のうち特許権や商標権について 特許情報プラットフォームを利用して検 索し、調べた結果をワークシートにまとめ る。 ・著作権には著作者の権利と伝達者の権利が あることを理解し、権利の侵害例を取り上 げ、身近に起こりうることはないか思考し 話し合って意見を発表する。 ・例外規定を踏まえ、創作物が他人の著作物 を侵害していていないか、その許諾の必要 性について調べ学習をする。 ② ③ ② ② ② 受講シートおよびワー クシートの内容から評 価する。 ワークシート、グループ ワークの取組様相を観 察して評価する。 受講シートおよびワー クシートの内容から評 価する。
6 本時(第三次 2時間目) (1)本時の指導目標(到達目標) 著作権の侵害事例について理解し、著作権法を守る態度を身に付ける。 【思考・判断・表現】 (2)本時の手立て ア 導入で意識付けのため身近な創作物に著作権が発生することを復習する時間を設ける。 イ 著作権にはどのような内容のものがあり、また、その内容に触れる恐れのある行動や行為を 行っていなかったかを考察させる時間を設ける。 ウ 侵害の事例を絞り、グループディスカッションが円滑に行える環境を設定する。 (3)本時の授業仮説 創作物に著作権が発生することの意識付けを行い、著作権の内容にふれ、事例についてペアや グループ活動で話し合うことによって自他の意見を共有し、共に他者の権利を侵害しないよう意 識し合うことで著作権法を遵守しようとする態度が身につくだろう。 (4)教材 ○ 教師用 : 教科書『最新 社会と情報(実教出版)』 教員用教材提示装置(プロジェクター) 学習プリント ワークシート(グループワーク含む) スライド資料 グループチャットソフト ○ 生徒用 : 教科書『最新 社会と情報(実教出版)』 学習プリント ワークシート(グループワーク含) グループチャットソフト スマートフォン・タブレット端末 付箋
(5) 学習の展開(学習指導過程) 〇学習内容・学習活動 時間 配当 学習 形態 指導上の留意点 評価規準(評価方法) 導 入 〇本時の学習内容およ びめあての確認。 〇著作物とは何か復習。 5 分 1 分 一斉 個人 〇受講シートの配布、本 時のめあてを確認させ る。 〇スライドで示す。 展 開 〇著作権のうち著作者 の権利について学ぶ。 ・学習プリントで整理し 確認する。 〇著作者権のうち伝達 者の権利について学 ぶ。 ・学習プリントに整理し 確認する。 〇著作権の権利の侵害 について学ぶ。 ・グループごとに示され た事例についてディ スカッションを行う。 付箋に意見を書き、ワ ークシート左の枠に 貼り、意見を出す。 ・ディスカッションした 内容をワークシート 右の枠にまとめる。 ・ワークシートを撮影し グループチャットソ フトにて投稿し提示 して発表する。 10 分 15 分 15 分 個人 一斉 個人 一斉 グ ル ープ グ ル ープ 〇教材提示装置を用いて 説明をする。 〇特に、著作権の種類に ついては、触れる程度 に留め、生徒の集中力 が 継 続 す る よ う に す る。 〇 詳 細 な 権 利 は 教 科 書 p.33 の 表を 用 いて 話 す。 〇4~5人の8グループ をスムーズに作れるよ う声かけを行う。 〇意見をまとめ発表する 状況にスムーズに移行 できるよう声かけをす る。 〇発表は1グループ1分 とし、計時をする。 〇ワークシート、グループ ワークの取組様相を観察 して評価する。 適 切 な 判 断 が で き て い る。 【思考・判断】 〇ワークシート、グループ ワークの取組様相を観察 して評価する。 発表時にわかりやすく伝 えているか。 【判断・表現】 ま と め ・受講シートへ記入す る。 4 分 個別 ・本時の振り返りをさせ る。 本時のめあて:著作権を理解し、他者の権利や利益を侵害しないようにしよう その場で創作したものに著作権が発生することを復習することで、著作権は特殊なもので はなく身近にもあることを意識させる。 著作権の種類に触れることで、権利にはどのような内容のものがあり、また、その内容に 触れる恐れのある行動や行為を行っていなかったかを考えさせる。 ディスカッションの事例は事例1から事例8までを用意し、比較的身近で起こりやすい内 容を提示する。 本時のまとめ:事例を自分事として身近に起こりうるものであることを認識しよう。