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攻撃的な笑いへの反応尺度による反応タイプの分類 -現代の若者のコミュニケーション支援を目指して-

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全文

(1)

 −現代の若者のコミュニケーション支援を目指し

て−

著者

二本松 直人, 若島 孔文

雑誌名

笑い学研究

25

ページ

72-89

発行年

2018-12-27

URL

http://hdl.handle.net/10097/00128210

doi: 10.18991/warai.25.0_72

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論 文

攻撃的な笑いへの反応尺度による

反応タイプの分類

―現代の若者のコミュニケーション支援を目指して―

二本松 直人・若島 孔文

要旨  本研究では、若者の特徴的なコミュニ ケーションのなかで頻繁にみられる攻撃的 な笑いの受け手の反応・対処にはどのよう な種類が存在するのかを検討した。大学 生・大学院生196名(有効回答数は183名, 男性93名, 女性88名, 性別不明2名, M=20.21, SD=2.25)を対象に質問紙調査を行った。 先行研究に基づいて収集・作成した攻撃的 な笑いへの反応項目合計25項目について因 子分析を行った結果、3因子が抽出された。 1つ目は、相手と一緒になって自分をから かうような「協調反応」(α=.86)である。 2つ目は、否定的な感情を相手に伝える「否 定・拒否反応」(α=.73)で、3つ目は肯 定とも否定とも捉えることのできない「曖 昧反応」(α=.68)である。そしてコミュ ニケーション・スキル尺度とユーモア態度 尺度によって、本尺度の併存的妥当性を確 認した。その後、本尺度を用いたクラスタ 分析を行い、「非笑い志向型(N=74)」、「真 剣切り返し型(N=35)」、「芸人型(N=23)」、 「雰囲気優先型(N=46)」の4つの具体的 な反応像を見出した。本尺度については信 頼性・妥当性の観点から修正されるべき項 目や因子はあるものの、攻撃的な笑いの反 応タイプの分類が若者に対する支援の一助 として役立つ可能性は高い。 問題と目的  私たちは日々、家族や友人とのコミュニ ケーションで笑っている。笑いを共有する ことで、雰囲気がよくなったり、会話が円 滑になったりと、ポジティブな面が多いか らである。しかし、ポジティブな面だけで はなく、いじめにつながる攻撃的な笑いな どは精神的な不健康や社会的な不適応を起 こしてしまう。そのような笑いの被害者は、 若者のコミュニケーションの中にみられや すい。被害を受けやすい精神的負荷の高い 状況下で生活せざるを得ない若者に対して どのような支援が行えるだろうか。本研究 では、このような臨床心理学的視点に加え て、若者における笑いの特質に着目し、検

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討する。 笑いとユーモアの使用効果   「笑い」と「ユーモア」は、類似概念と して捉えられている。「笑い」は「ユーモア」 よりも、幅広い概念であり、雨宮(2016) は「笑い」は笑い方や感情、社会関係など を含んでいると指摘している。一方、「ユー モア」とは「滑稽と思われたり人の笑いを 誘う行動、そのようなおかしな刺激を想像 し理解する心的過程、その刺激に対する感 情的な反応」をいう(Martin, 2007 野村・ 雨宮・丸野監訳 2011)。本研究では、笑う 人と笑われる人の二者関係に加えて、攻撃 的な内容にはユーモアとはいえない深刻で 品のないものも含まれることも考えられる ため、より幅広い概念である「笑い」とい う言葉を用いる。  日常的にみられる笑いやユーモアにはど のような効能があるのだろうか。例えば、 対人的な感情制御方略として笑い話にする ことは抑うつや不安の低減につながること が指摘されている(浦野, 2016)。さらに、 中島(2008)では、笑うことによって身体 をリラックスモードにすることができると 述べている。他に、身体的健康を促進させ る効果もあり、伊丹・昇・手嶋(1994)で は笑いによる免疫機能の上昇が確認されて いる。そして、社会的な側面としては、青 年期にユーモアを表出することで対人関係 の円滑化がみられるといわれている(浅田, 2000)。つまり、笑いやユーモアには様々 な側面において多くのポジティブな効果が みられることが指摘されている。  しかし、精神的・社会的に不健康で不適 応とされる笑いの種類があることも示唆 されている。Martin, Puhlik-Doris, Larsen, Gray & Weir (2003)はポジティブ・ユー モア/ネガティブ・ユーモアと呼んでおり、 後者には攻撃性を含む攻撃的ユーモアや自 虐的ユーモアが含まれることを指摘してい る。攻撃的ユーモアにはからかいや皮肉、 ブラックユーモアなどが含まれ、自虐的 ユーモアには自分の欠点・失敗を用いて笑 いをとるという行動が含まれる(塚脇・樋 口・深田, 2009)。ネガティブ・ユーモアの 使用はパーソナリティ障害やサイバー型い じめの加害者の特性と関連していることが 明らかとなっている(Schermer, Martin, R., Martin, N., Lynskey, Trull, & Vernon, 2015; Sari, 2016)。なかでも特に、からか いなどの他者に向く攻撃的な笑いの使用は 精神的不健康・社会的不適応と強く関連し ている。例えば攻撃的な笑いを好んで行う ことは、いじめの加害者の地位と関連があ ることが指摘されている(Proyer, Meier, Platt, Ruch, 2013; Proyer, Neukom, Platt, Ruch, 2012)。  このように、他者を攻撃する笑いは使用 を避けるべきであるにも関わらず、使用さ れている状況や理由にはどのようなものが あるのだろうか。 若者が好む他者を攻撃する笑い  他者を攻撃する笑いが用いられやすい状 況については様々な要因があるが、若者の コミュニケーションに多くみられる。本研 究における若者とは、10代〜 30代を意味

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する。瀬沼(2015)は、関西と関東の大学 生に意識調査を行って、笑うことと笑わ せることに積極的な若者像を見出してい る。また、青砥(2015)も大学生の笑いに ついて同様の意識調査を行っており、若者 にとって「いじる―いじられる」というコ ミュニケーションが身近なものであること を指摘している。いじられる、とは笑いの 対象にされることである。なかでもよくい じられることがある「いじられキャラ」は 「からかわれ、笑いものにされるというい じりの対象になっている存在であり、集団 内でピエロ的役割を演じることによってあ る種の人気を得る存在である」と説明され ている(本田, 2012)。さらに、瀬沼(2009) は若者を「楽しい教の信者たち」と例えて おり、若者のコミュニケーションのスタイ ルを、キャラを用いたノリ・コミュニケー ションと表現している。瀬沼(2009)はい じることやいじられることについて、いじ めの危険性について指摘しており、Web からいじられキャラであることに真剣に悩 んでいる事例を紹介して説明している。  発達的観点からも、若者は攻撃的な笑い を用いている。Martin et al. (2003) では、 14 〜 87歳を対象に調査をした結果、年長 者よりも年少者の方が攻撃的ユーモアを用 いることを報告している。他にも、若い人々 (17-21歳)は、中年期の人々(35-56歳) や老年期の人々(64-84歳)よりも攻撃的 ユーモアを好んでいることがわかってい る(Stanley, Lohani & Isaacowitz, 2014)。 レビュー論文でも、若者の方が高齢者より も攻撃的ユーモアを楽しんでいると報告さ れている(Greengross, 2013)。  したがって、若者は上の世代と比較して 攻撃的な笑いを用いる傾向があり、その負 の影響を受けやすい状況のなかで生活して いることがうかがえる。 攻撃的な笑いの対象になった受け手の反応  攻撃的な笑いや攻撃的ユーモアの受け手 の反応に関する研究もいくつか存在する。 Landau, Milich, Harris & Larson(2001)は、 児童間ではあるものの、からかいの受け手 が「無視する」「敵意的に反応する」「ユー モラスに応答する」という3つの反応につ いて検討している。一方、葉山・櫻井(2010) は「迎合的反応」「感情表出反応」「回避的 反応」といった冗談に対する反応項目を独 自に作成している。「迎合的反応」には愛 想笑いや傷ついた気持ちを隠すといった反 応が、「感情表出反応」には相手に対し面 白くないと伝えるといった反応が、「回避 的反応」には聞き流すといった反応がそれ ぞれ含まれる。また、桾本・山崎(2010) では対人ストレスユーモア対処尺度(以下、 HCISSと略記)を作成している。HCISSとは、 対人場面で経験されるストレスや恥への対 処としてどれくらいユーモアを用いるか、 ということを測定する尺度である。HCISS には、「人前でけなされたら、けなされた 内容にまつわるエピソードをおもしろおか しく話す」や「人にばかにされたら、気の 利いた冗談を言って切り返す」というよう な項目が含まれる。他には、PhoPhiKat-45 にみられるように、gelotophobia(笑われ 恐怖症)とgelotophilia(笑われ好き)では、

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攻撃的なユーモアや笑いを不快と感じるか、 それとも楽しむことができるか、という反 応に分かれる(Ruch & Proyer, 2009)。こ れらの研究は、攻撃的な笑いに対してどの ような反応や応答がみられるか、というこ とを明らかにしている。  攻撃的な笑いの受け手は精神的ストレ スにも曝されている。「いじられキャラ」 は、キャラを演じてその場をやりすごしな がら、仲の良い友達は自分のことを理解し てくれていないという違和感を抱きなが ら生きているということがいわれている (本田, 2012)。さらには、他者の存在に よって感情の隠蔽や擬態を行う頻度が増 えることが指摘されている(井上, 2008)。 Ledley, Storch, Coles, Heimberg, Moser & Bravata. (2006)によれば、子どもの頃に からかいを多く受けたものほど、大人に なってから他者へ親密さや信頼を感じるこ とができず、関係性における見捨てられ不 安が高いことを示している。つまり、攻撃 的な笑いの受け手は精神的負荷の高い状態 に曝され、不適応的になってしまう可能性 が高い。 本研究の目的  以上より、他者に向く攻撃的な笑いは、 その受け手に対し精神的ストレスを与えて しまったり、社会的に不適応にしてしまっ たりする危険性も存在する。なかでも、そ のような状況が頻発する若者に対し、どの ような支援を行えるかという臨床心理学的 観点から検討する。同時に、笑い学研究で 示された若者の笑いの特質(青砥, 2015; 瀬 沼, 2015)が、心理学的にも実証可能であ ることを示すことを試みる。そこで本研究 ではまず、全般的な攻撃的な笑いに対して どのような反応がみられるかということを、 主に葉山・櫻井(2010)や桾本・山崎(2010) などを参考に測定する。その後、若者への 支援を目指して、使用尺度の信頼性と妥当 性検討も含めて、攻撃的な笑いへの様々な 反応タイプについて検討する。 予測  因子分析と併存的妥当性に関する予測に ついて述べる。本研究では葉山・櫻井(2010) と桾本・山崎(2010)の冗談への反応とコー ピングに加えて、若者のコミュニケーショ ンの特徴であるノリや笑い重視、友人関係 の維持(瀬沼, 2009; 土井, 2009)を参考に 項目を作成している。「キャラ」という演 技性(本田, 2012)や「いじられることへ のおいしさ」(瀬沼, 2009)が関連している ため、HCISSにみられる反応が好意的に選 択される可能性が高い。他には、攻撃的な 笑いを向けられることで不快な感情が生起 することが考えられるが、その反応を送り 手に伝えるか、または伝えないかという反 応が予測される。つまり、不快感情表出も しくは抑圧や回避という反応が選択される こともあるだろう。以上から、大きく①肯 定的に便乗する反応、②否定的で拒否する 反応、③我慢をして葛藤を回避する曖昧な 反応の3つの反応がみられると予測できる。  妥当性を確認するために使用する尺度 は、コミュニケーション・スキル尺度であ るENDCOREsと、ユーモア態度尺度であ

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る。まず、ユーモアセンスとENDCOREs が強い関連を示していることから(矢島・ 大崎, 2015)、ユーモアを用いる人は、ユー モラスな応答をしない人と比較して、コ ミュニケーション能力が全般的に高いとい える。同時にユーモアへの態度も全般的に 肯定的である可能性が高い。  次に、攻撃的な笑いを向けられ葛藤的な 会話場面に陥ったときに選択される可能性 が高い否定的もしくは回避的な反応につい て述べる。これらの反応はENDCOREsの 自分の気持ちを伝えたり、受け入れても らったりする能力と関連すると考えられる。 自分が思っていることを伝えることができ る人は、否定的な反応を選択しやすく、伝 えることができない人は回避的反応を選択 すると予測できる。また、回避的な反応を 取りやすい人は、対人関係の維持を目的と している可能性が高い。そして、否定的も しくは回避的な反応を選択する理由として、 そもそも攻撃的な笑いが好きではない傾向 もあるだろう。  以上、攻撃的な笑いへの反応と、コミュ ニケーション・スキルおよびユーモアへの 態度との関連は表1・2のように予想され る。 方法 1)調査対象  対象は大学生・大学院生196名で有効回 答数は183名(男性93名, 女性88名, 性別不 明2名, M=20.21, SD=2.25)であった。 2)質問紙 (1)フェイスシート  性別、年齢、攻撃的な笑いを向けられた 経験の有無とその状況に関する項目であ る。攻撃的な笑いを向けられた状況につい ては、状況に対する葛藤度を「1=全然感 じなかった」〜「4=非常に感じた」の4 件法で回答を求めた後、葛藤度の理由とそ れらの笑いへの応答内容を具体的に尋ねた。 そして、記述内容に関する面白さを「1= 全然感じなかった」〜「4=非常に感じた」 で評定してもらい、その笑いの送り手と回 答者との関係性も尋ねた。自由記述に関す るデータは、「攻撃的な笑いを向けられて 表1 ENDCOREsと攻撃的な笑いへの反応尺度との関連予測 ※「+」は正の相関, 「-」は負の相関を示す 表2 ユーモア態度と攻撃的な笑いへの反応尺度との関連予測 ※「+」は正の相関, 「-」は負の相関を示す

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いる状況」を適切に想起できているかどう かを確認するものであり、一部考察に用い ている。 (2)攻撃的な笑いへの反応項目  主に冗談行動への反応(葉山・櫻井, 2010)とHCISS(桾本・山崎, 2010)を参 考に項目を作成した。加えて、いじりと いった攻撃的な笑いと関連が強いと考えら れるキャラなどを用いた若者のコミュニ ケーションに関する項目は、瀬沼(2009) や本田(2012)、望月・澤海・瀧澤・吉澤 (2017)を参考に追加し、合計25項目となっ た。項目は、「1=あてはまらない」〜「5 =あてはまる」の5件法で回答を求めた。 一方、攻撃的な笑いの経験がない回答者に は、攻撃的な笑いを向けられたと想像して 回答するように教示し、回答後に想像可否 のチェック項目を設けた。 (3)ENDCOREs(藤本・大坊, 2007)  「自己統制」「表現力」「解読力」「自己主 張」「他者受容」「関係調整」の6領域から 測定するコミュニケーション・スキル尺度 である。「自己統制」には衝動や欲求を抑 える力、「表現力」には自分の考えや気持 ちを表現する力、「解読力」には相手の気 持ちや考えを読み取る力、「自己主張」に は自分の意見や立場を受け入れてもらう力、 「他者受容」には相手を尊重して相手を受 け入れる力、「関係調整」には人間関係を 良好な状態に調整する力がそれぞれ含まれ る。各領域4項目で構成されており、合計 24項目となる。回答は「あなたの全般的な コミュニケーションについてお尋ねしま す。」という教示のもと、「1=かなり苦手 である」〜「7=かなり得意である」の7 件法で求めた。 (4)ユーモア態度尺度(上野, 1993; 宮戸・ 上野, 1996)  ユーモアに対する考え方や態度を測定す る尺度である。下位尺度は「攻撃的ユーモ ア」、「遊戯的ユーモア」、「支援的ユーモア」 の3次元であり、それぞれ8項目ずつで構 成されていて合計24項目である。「攻撃的 ユーモア」には「ブラックユーモアが好き だ」などの項目が含まれ、「遊戯的ユーモア」 には「単純で分りやすいユーモアが好きだ」 などの項目が含まれ、「支援的ユーモア」 には「人を救うユーモアが好きだ」といっ た項目が含まれる。回答は、「あなたの笑 いやユーモアに対する考え方や行動につい てお尋ねします。」という教示のもとに「1 =あてはまらない」〜「5=あてはまらない」 の5件法で求めた。 3)手続き  授業担当教員に許可をとり、講義後に配 布した。配布後、研究の目的を簡単に説明 し、同時に個人情報の管理、回答への自由 意志、心的外傷後のケア方法(臨床心理士 による対応)についても説明した。研究協 力への同意を得た後、回答を始めてもらい、 実施後約10分で回収した。 4)分析  攻撃的な笑いへの反応項目については最 尤法・プロマックス回転の因子分析を行っ た。また、ENDCOREsとユーモア態度尺 度は、攻撃的な笑い反応尺度の併存的妥当 性をみる相関分析に用いた。その後様々な 反応タイプを検討するため、因子得点を算

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出し、Ward法による階層的クラスタ分析 を行った。 表3 変数の平均値および標準偏差 結果 (1)攻撃的な笑いへの反応項目に関する 因子分析結果  攻撃的な笑いへの反応項目について、天 井効果・床効果がみられるかどうか平均値 ±1SDで検討すると、「相手に分かるよう に落ち込む」「黙り込む」「その場では隠す が、後に本音を伝える」の3項目が床効果 として除外された。一方、天井効果はみら れなかった。それらの項目を除外した22項 目について、最尤法・プロマックス回転に よる因子分析を行ったところ、3因子が抽 出された。抽出された因子のうち、「便乗 して自虐的に振る舞う」や「相手と一緒に なって自分をからかう」を含むような反応 を、笑いを受け入れ、相手と足並みを揃え 表4 攻撃的な笑いへの反応項目に関する因子分析結果

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て自分をからかうという意味で「協調反応」 と名付けた。次に「面白くない時は面白く ないと伝える」や「嫌だと思った時は怒り をあらわにする」といった項目が入った因 子は、ネガティブな感情を相手に伝えてい るという点から「否定・拒否反応」とした。 そして、「ぐっとこらえ我慢する」や「愛 想笑い」を含む反応は、肯定とも否定とも 捉えることができない反応であるため、「曖 昧反応」と命名した。クロンバックのα係 数は、「協調反応」がα=.86、「否定・拒否 反応」がα=.73、「曖昧反応」はα=.68であっ た。本研究で用いた変数の記述統計量(表 3)と、因子分析結果(表4)を記す。 (2)攻撃的な笑いへの反応尺度の妥当性 について  攻撃的な笑いへの反応尺度について、妥 当性を検討するために本尺度の下位尺度得 点と、ENDCOREs(藤本・大坊, 2007)と ユーモア態度尺度(上野, 1993; 宮戸・上野, 1996)の下位尺度得点および合計得点との 相関係数をそれぞれ算出した。  ENDCOREsとの関連をみてみると、「協 調反応」は「関係調整」と弱い正の相関 を示し(r =.204, p <.01)、「他者受容」と 「ENDCOREs合計」とも有意傾向だが弱 い正の相関関係にあった(r =.128, p <.10, r =.142, p <.10)。他方、「否定・拒否反応」 は「表現力」と「自己主張」と弱い正の相 関を示していた(r =.266, p <.001, r =.287, p <.001)。「曖昧反応」に関しては、「自己 主張」と弱い負の相関を示していた(r =-.151, p <.05)。  親和性が高いと考えられるユーモア態 度尺度得点との間で相関関係が示され た。ユーモア態度尺度の下位尺度との関 連 を み て み る と「 協 調 反 応 」 で は 全 て のユーモア得点で中程度の正の相関を 示していることがわかる(「攻撃的ユー モ ア 」:r =.358, p <.001, 「 遊 戯 的 ユ ー モ ア」:r =.321, p <.001, 「支援的ユーモア」: r =.379, p <.001, 「 ユ ー モ ア 態 度 合 計 」: r =460, p <.001)。 表5 攻撃的な笑いへの反応尺度とENDCOREsとの相関関係 表6 攻撃的な笑いへの反応尺度とユーモア態度尺度との相関関係

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 一方で、「曖昧反応」と「攻撃的ユーモア」 の間に弱い負の相関がみられた(r =-.185, p <.05)。   「否定・拒否反応」については、どのユー モア得点とも相関がみられなかった。  以上の相関分析の結果を表5と表6に示 す。 (3)因子得点を用いた階層的クラスタ分 析結果  (1)で抽出された因子構造をもとに因子 得点を算出し、その得点に欠損値がある データを除外した後、投入変数を攻撃的な 笑いへの反応尺度の3下位尺度の因子得点 として、Ward法―平方ユークリッド距離 による階層的クラスタ分析を行った。その 結果、クラスタ凝集工程の観点から4ク ラスタ解を採用した。図1に、各下位尺 度の最終クラスタ中心をクラスタごとに 示す。さらに、各クラスタの特徴を把握 するために各下位尺度の因子得点を従属 変数とし、4クラスタによる一元配置分 散分析を行った(表7)。すると、4つの 因子得点全てにおいてクラスタ間の平均 値の差が有意だった(「協調反応」:F(3, 174)=57.39, p <.001,「否定・拒否反応」:F (3, 174)=82.84, p <.001,「曖昧反応」:F(3, 174)=127.33, p <.001)。そこで、Tukey法 により多重比較を行ったところ、表7(右) のようになった。  図1と表7の結果から、クラスタ1は協 調反応であるユーモアを用いた反応が最も 低かったため、「非笑い志向型」と名付けた。 協調反応とユーモア態度得点がやや強い正 の相関にあることからも(r =460, p <.001)、 「非笑い志向型」の人々は他のタイプと比 較してユーモアに消極的である。クラスタ 2では、「曖昧反応」が最も少なく、「否定・ 拒否反応」が最も多いことから、不快だと 感じたら明確に伝える「真剣切り返し型」 と名付けた。クラスタ3は「協調反応」が 最も高く、その場を盛り上げるようなパ フォーマンス性を考慮し、「芸人型」と命 名した。先述したように、ノリや笑いを求 められている若者の間では、芸人のような いわゆる「道化」が少なくないだろう。ク ラスタ4は、「否定・拒否反応」が最も少 なく、「曖昧反応」と「協調反応」が多い ことから、拒否的に強く言えない、もしく は言わない迎合的な反応タイプである。土 井(2009)は、若者の友人関係では、いか にその場を盛り上げ、友人との関係性を維 持していくかが求められていると述べてい る。したがってクラスタ4では、関係性や 表7 因子得点を用いた一元配置分散分析結果と多重比較

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「空気を読む」ことを重視している可能性 を考慮し、「雰囲気優先型」とした。 (4)性差とからかわれ経験による違い  クラスタ分析によって分類された4つの タイプ(非笑い志向型/真剣切り返し型/ 芸人型/雰囲気優先型)について、性別 (男性/女性)による4×2のカイ二乗検 定を行った。その結果、有意差は認められ なかった(χ(3)=3.146, n.s.)。しかし、攻2 撃的な笑いへの反応尺度の下位尺度得点を 従属変数としたt検定を行ったところ、男 女間で平均値に有意差が認められた。男 性の方が女性よりも多く、「否定・拒否反 図1 因子得点を投入変数としたクラスタ分析による分類結果 表8 攻撃的な笑いへの反応における性差と平均値 表9 それぞれの反応タイプにおけるからかわれ経験の頻度の割合

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応」を行い(t =2.342, df =176, p <.05)、女 性の方が男性よりも「曖昧反応」を行って いる(t =-2.534, df =176, p <.05)ことが明 らかとなった(表8)。  次にフェイスシートで尋ねていた攻撃的 な笑いの対象になる頻度についての項目 のなかで、度数の都合上「全然ない」と 「あまりない」を回答した人を「経験の少 ない人」とし、「しばしばある」と「よくあ る」と回答した人を「経験の多い人」とし た。そして同様に、4×2(経験少/多) のカイ二乗検定を行った。すると、有意で あったため(χ(3)=9.178, p <.05)、からか2 われ経験について残差分析を行ったところ、 「非笑い志向型」にはからかわれ経験が多 い人よりも少ない人の方が有意に多かった (p <.05)。一方で、「芸人型」にはからか われ経験の少ない人よりも多い人の方が有 意に多いことが明らかとなった(p <.05)。 この結果を表9に記す。 考察 (1)攻撃的な笑いへの反応尺度について  本研究では、攻撃的な笑いへの反応につ いて、若者のコミュニケーションの特徴を 考慮して合計25項目作成した。  因子分析の結果からは、攻撃的な笑いへ の反応は3つの因子構造を持つことが明ら かとなった。1つ目の「協調反応」因子で は、HCISSの項目に含まれている笑われた タイミングで自虐的に便乗するという反応 と、演技的なキャラを用いた反応の大きく 2つ特徴がみられた。Nihonmatsu, Okuno & Wakashima (2017) では攻撃的ユーモ アに対して、自虐的ユーモアで応じること を合気道ユーモアと呼んでいる。また、協 調反応にはキャラという演技的な側面も含 まれていることから、若者のコミュニケー ションの特徴を反映しているといえる。こ れらの反応は肯定的である反面、演技性の 観点から精神的負荷が比較的高いと予想さ れる。また、コミカルな反応への周囲の期 待を高め、攻撃的な笑いを向けられる頻度 が高くなってしまう可能性が考えられる。   「否定・拒否反応」は参考にした葉山・ 櫻井(2010)の「感情表出反応」とほぼ一 致した因子構造であった。したがって、攻 撃的な笑いの受け手は面白さというよりは 不快さを感じている場合があり、その感情 を相手に伝える反応がみられるのかもしれ ない。   「曖昧反応」でも、葉山・櫻井(2010) の「回避的反応」と類似した反応がみられ た。ただし、我慢したり、軽く返して傷つ いた気持ちを隠したりする反応も含まれて いた。これらの反応は、「否定・拒否反応」 とは対極的な反応であると考えられる。瀬 沼(2009)は高校生や大学生である若者は、 ノリ・コミュニケーションを重視してお り、楽しさや面白さを維持しなければいけ ない状態にあることを指摘している。つま り、攻撃的な笑いを向けられネガティブ感 情が生じているにもかかわらず、それまで のコミュニケーションを維持しなければな らないという葛藤の結果としてこれらの反 応が選択される可能性が高い。葛藤的会話 場面になると、回避的な反応が生起しやす くなるということは、若島・生田・長谷川

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(1999)の知見とも一致する。  以上より、攻撃的な笑いへの反応は大き く3つの反応に分類されたといえる。ただ し、肯定的な反応のなかには演技的な要素 が含まれたことから、攻撃的な笑いの受け 手にとって必ずしも肯定的な応答をしてい るとはいえないだろう。 (2)尺度の信頼性と妥当性の検討  次に、尺度の信頼性と併存的妥当性を確 認した。クロンバックのα係数をみてみる と、第3因子「曖昧反応」がα=.68となっ ているが、他2因子のα係数は0.7以上で あることから信頼性は確保されているとい える。本研究では、第3因子の「曖昧反応」 の信頼性係数が低かったものの、葉山・櫻 井(2010)で報告されている因子構造に類 似していたため、分析に採用した。  妥当性検討では、自分への笑いをより増 長させるような反応が、どれくらいユーモ アを好み、使用するかということに強く関 係していた。一方で、肯定とも否定とも捉 えることができない応答をする人たちは他 者に向く攻撃的な笑いを好まないことがわ かった。  ENDCOREsに関して、一緒になって笑 う協調的な反応をする傾向にある人が必ず しも全般的なコミュニケーション能力が高 いとはいえなかった。ただし、笑いを一緒 になって増長させるような反応もしくは笑 いをとることができて満足しているような 反応をする人は、人間関係を良好に維持す ることを得意としていた。そして、攻撃的 な笑いの対象になって不快だと感じた際に その思いを伝えるという反応を選択するこ とと、自分の考えや気持ちを表現すること や自分の意見や立場を受け入れてもらうと いった能力が関係していた。一方、非主張 的で雰囲気を維持するような反応をする人 は、自分の意見や立場を受け入れてもらう ことを苦手としていることがわかったが、 表現に関する変数や関係性を良好に保つ能 力とは関連がみられなかった。  以上より、攻撃的な笑いへの反応のなか でも、笑いに関する考え方やコミュニケー ション・スキルと関連するものは一部で 表10 攻撃的な笑いへの反応とコミュニケーション・スキルとの関連結果 表11 攻撃的な笑いへの反応とユーモア態度との関連結果 ※+:正の相関, -:負の相関, 塗り潰し薄:弱い相関を示す ※+:正の相関, -:負の相関, 塗り潰し薄:弱い相関, 塗り潰し濃:やや強い相関を示す

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あったが、部分的に妥当性が確認されたも のもある(表10, 11)。ただし、中程度の相 関関係であったものが、「協調反応」と「ユー モア態度得点」との間のみ(r =.460)であっ たことを考慮すると、他2因子の妥当性に ついて再度検討する必要性がある。さらに、 曖昧な反応に関しては、信頼性係数も低く、 妥当性も高いとは判断できないため、再度 項目やサンプル数を考慮し、検討する必要 があるだろう。したがって、今後反応タイ プを分類・検討するうえで、再度攻撃的な 笑いへの反応尺度は改訂される必要性があ るだろう。 (3)様々な反応タイプについて  攻撃的な笑いへの反応尺度の3つの因子 得点より、合計178名をクラスタ分析した ところ、4つの反応タイプに分類された。 1つ目の反応タイプは「非笑い志向型」で あった。非笑い志向型の人々は、攻撃的な 笑いを受けた時に一緒になって楽しもうと する行動がみられない。一緒になって自分 をからかうような反応と、それぞれのユー モア態度が正の相関関係にあることから も、このタイプに含まれる人々は、そもそ もユーモアを好まない可能性が高い。また、 「非笑い志向型」は、攻撃的な笑いの対象 とされることが少ないため、具体的な反応 像を特定しにくい可能性もある。  2つ目の反応タイプは、攻撃的な笑いに 対し笑いを用いて反応せず、むしろ否定的 感情を伝える「真剣切り返し型」であった。 葉山・櫻井(2010)が指摘しているように、 親和的意図が伝わらずに相手を不快にさせ てしまう攻撃的な笑いを受けた人々に多く 当てはまるかもしれない。その可能性を考 慮すると、このタイプの人々はいじめの対 象となっている危険性も考慮しなければな らない。Landau et al. (2001)では、から かいに対して逆上するという反応がそのか らかいを止めさせるには効果的ではないと 評価されていることからも、コミュニケー ションの悪循環に陥りやすいタイプだと考 えられる。  3つ目のタイプは、最も笑いを増幅させ るような反応をみせる「芸人型」である。 芸人型の人々は、パフォーマンス的な面白 い切り返しをする傾向にある。このタイプ には、友人関係を良好に維持できる人たち が多く、瀬沼(2009, 2015)や青砥(2015) が述べる若者のコミュニケーションに特徴 的な反応タイプである可能性が高い。笑い を取ることができるという能力から、コ ミュニケーション至上主義(土井, 2009) といわれる若者の間では重宝されるかもし れないが、「いじられキャラ」といういじ りやからかいのスケープゴートになってし まう危険性が最も高い。  4つ目は、攻撃的な笑いを受けて内面で はぐっとこらえたり、傷つきを隠したりす る一方、その場では愛想笑いや話題転換な どで会話や雰囲気を持続させる「雰囲気優 先型」である。こういった現象は、押見 (1999, 2002)の作り笑い、井上(2008) の他者の存在による感情の隠蔽や擬態など からもうかがうことができる。受け手がネ ガティブな感情を抱いていたとしても、周 囲や関係性を考慮して笑わなければならな

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い場面が多いと予想される。さらに、土井 (2009)も若者の友人関係について、良好 な状態で維持されなければならないことを 指摘しているため、周囲の雰囲気や友人と の関係性を危惧した結果、このような反応 タイプになるのかもしれない。  以上、攻撃的な笑いに対する4つの反応 タイプについて検討してきた。本研究の結 果からは、これらの反応タイプのうち、ど のタイプの精神的負担が最も軽いかという 判断はできない。しかし、現実場面の攻撃 的な笑いの受け手像を明確に示すことがで きたという点で、今後いじりやからかいな どの対象になり、反応に困っている若者に 対し、具体的な支援の手を差し伸べるため に役に立つ知見であることは間違いない。 (4)性別やからかわれ経験による反応の 違い  性別に関して、4つの反応タイプ間で男 女差はみられなかった。日本の笑いやユー モアの性差に関する研究では、男性は女性 よりも攻撃的な笑いや攻撃的ユーモアを 好むことを示しているものがある(伊藤, 2012; 吉田, 2012)。男性の方が攻撃的な笑 いを好むならば、男性の方が肯定的な反応 を選択する可能性が高い。しかし、押見 (2002)では、女性の方が男性よりも、親 密性を維持しようとする目的、または自分 や相手の感情を操作しようとする目的を もって作り笑いをする傾向があることを明 らかにしている。本研究で性差がみられな かったのは、これらの要因が互いに打ち消 し合ったからかもしれない。ただし、反応 単体で男女間を比較した場合に、男性の方 がより主張的な応答をして、女性の方が抑 圧と回避、迎合的になることが示されたこ とは、先ほどの押見(2002)と一致すると いえるだろう。  次に、からかわれ経験頻度について、頻 度が多い人々には「芸人型」が多く、頻度 の少ない人たちには「非笑い志向型」が多 かった。Lightner, Bollmer, Harris, Milich & Scambler (2000)では、からかわれ経 験が多い子どもは、からかいへの応答とし て自分の気持ちを伝えてやめてほしいよう に伝える共感的な応答を好まないとしてい る。その研究では反対にほとんどからかわ れた経験がない子どもたちが自分の気持ち を伝える共感的な応答を好んでいる。つ まり、からかわれ経験が多い人ほどむし ろ、「私が傷つくことが分かっていたなら からかわなかったはずだ」と、伝えること が少ないと考えられる。このように、から かわれる経験頻度によって、特徴的な応答 があるといえる。本研究においては、例え ば芸人型であるからいじりの頻度が多いの か、それともいじりを多く経験した結果芸 人型になったのかという因果関係を特定す ることはできない。しかし、からかいの対 象となった経験が多いことが、その後の対 人関係で感じる親密感・信頼感・愛され感 を減らしてしまうことが指摘されているた め(Ledley et al., 2006)、芸人型が対人関 係に不適応的な問題を抱えている危険性を 考慮しなければならない。  性差やからかわれ経験を考慮すると、よ り具体的な反応像がみえてくる。それは、

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反応タイプ間の違いに加えて、男女間の性 質やコミュニケーションの違い、いじりや からかいへの慣れ・不慣れなどである。本 研究では、性差やからかわれ頻度を検討し たが、他にどのような反応や反応タイプが 精神的健康や不健康と関連するかといった 指標との関連も検討する必要があるだろう。 総合考察  本研究では、若者のコミュニケーション の特徴を踏まえたうえで、攻撃的な笑いへ の反応尺度の作成を試みた。すると、大き く3つの反応がみられた。1つ目は、攻撃 的な笑いに対し、相手と一緒になって自分 をからかって、むしろ笑いを増長・拡張さ せるような反応である。2つ目は、否定的 な感情を伝える反応である。3つ目は抑圧 しながら話を変えたり、聞き流したりする 反応である。しかし、信頼性や妥当性の観 点から尺度として若干の問題が残っている。 その後、本尺度を用いて反応タイプを分類 したところ、反応にユーモアを用いない 人々、不快感情を率直に伝える人々、笑い を取ろうと振舞う人々、不快感情を伝えず に迎合的な反応をする人々の4タイプに分 類された。  他に、本研究の限界について指摘しなけ ればならない点がある。記述による攻撃的 な笑いへの反応に関する回答を概観してみ ると、愛想笑いなど単に笑うことと、笑い ながら否定的なことを述べることは互いに 独立した因子とみなされる可能性がある。 また、笑いながら否定する反応が、笑いを 増幅させるような反応かもしくはネガティ ブ感情を伝えているかという部分は未だ境 界が曖昧である。以上より、今回作成した 攻撃的な笑いへの反応尺度についてはもう 一度項目を修正し、信頼性と妥当性を検討 する必要があるだろう。さらに、本尺度で はJones, Newman & Bautista(2005) や望 月ら(2017)によっても指摘されている友 人との関係性という要因が、未だ想定でき ていない。今後攻撃的な笑いの受け手の反 応を検討する際は、いじりやからかいにポ ジティブな影響を及ぼすことがある関係性 を度外視することはできない。  一方で、本研究による臨床的意義は大変 深いものである。なぜなら、現代の若者の 特徴、日本ならではの笑いなど、単一の尺 度では測定しきれないものも多いと考えら れる。今回の研究のように、反応尺度を用 いた反応タイプを分類して現実的な反応像 を検討することで、攻撃的な笑いによって 精神的に苦しんでいる若者に具体的な支援 の手を差し伸べることができるかもしれな い。 (にほんまつ なおと) (わかしま こうぶん) 謝辞  論文の作成にあたり、多くの方にご協力 いただきました。ありがとうございました。 質問紙にご回答いただいた調査協力者の皆 さん、ご指導やご意見くださった大学院生 の皆様、先生方に心より感謝申し上げます。

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