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特・中「もののとくちょうにあわせてどうぐをえらぼう」

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Academic year: 2021

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‐1‐ 知的障がい教育部門 中学部第〇学年 自立活動 学習指導案 1 題材名 「もののとくちょうにあわせて どうぐをえらぼう」 2 指導観 〇 実態観 対象生徒A(以下、生徒Aとする)は、特別支援学校知的障がい教育部門の一般学級に所属する中 学部〇年生である。発達性協調運動障がいを併せ有しており、姿勢の保持や箸の使用、着衣などの日 常動作に影響が見られるが、繰り返しの練習によって自分でできることが増えている。日常の場面で は、次のような様子が見られる。帰りの準備の場面では、リュックに荷物を入れる際に体操服を畳ま ずに入れたり順番を考えずに入れたりするため、リュックに荷物が入らず困っていることがある。ま た、配膳の場面では、割り当てられた役割で用いる道具を教師が手渡すまで待っていることが多い。 軽作業で2種類のひも通しを行った際には、生徒の様子に次のような違いが見られた。穴の大きさと ひもの太さが適切で、そのままひもを通せば良い場面では、スムーズにひも通しを行うことができ た。しかし、穴の大きさとひもの太さが合わない場面では、教師に言葉を掛けられるまで穴の大きさ に合わないひもを通そうとし続ける様子が見られた。これらの様子を受け、「大小」「長短」などの関 係の概念を表す言葉に関する理解度について調査を行った。生徒Aは、「大」と「小」、「長」と「短」、 「太」と「細」、「高」と「低」がそれぞれ対になることを理解し、「『大きい』の反対は。」などと対 になる言葉を尋ねると、「小さい。」などと正しくことができた。実際に、具体物を見たり触ったりし て弁別することができた関係の概念は「大小」「長短」であり、「太細」「高低」については正しく弁 別することができなかった。 〇 題材観 本題材では、提示された物を皿に注ぐことができる道具を選択肢から選ぶ活動を行う。物を皿に注 ぐという動作は、日常的に行っている動作であり、生徒Aにとって分かりやすい内容である。この活 動を通して、生徒Aが物や道具の特徴を捉え、適切な組合せを考えることができるようになることを 目指す。選択肢として準備する道具は、配膳や調理実習などで生徒Aが触れたことのある網杓子2種 類、フライ返し2種類、トング2種類の調理器具である。これらの調理器具は、複雑な操作を必要と しないことから、生徒Aの手指の巧緻性を考えると適した道具であると言える。日常生活においても 使用する場面や頻度が多いため、般化の機会もあり、継続して指導しやすいものである。 日常生活には、物と物を組み合わせる場面が無数に存在する。その際に判断材料となるのは、物と 物を比べた時に生じる差異であり、それが関係の概念である。物や道具の大きさや長さ、太さによっ ては組み合わせることができたりできなかったりすることを、事象として理解したりあらかじめ予 想したりするためには、関係の概念が形成されていることが必要である。しかし、生徒Aは、関係の 概念を表す言葉の意味とイメージとが一致していない状態にある。本題材は、①物と物を比べる活 動、②道具と道具を比べる活動、③物と道具を比べる活動、④物と道具を組み合わせた結果を視覚的 に整理する活動、⑤視覚的に整理した内容を確かめる活動を、基本的な活動の流れとしており、これ らの活動を応用的に繰り返すことによって、言葉の意味とイメージを一致させながら物と道具を組 み合わせることができるようになると考える。 特別支援学校学習指導要領自立活動編では、「4環境の把握」「(5)認知や行動の手掛かりとなる 概念の形成に関すること」の項目の説明の中で、認知について「感覚を通して得られる情報を基にし て行われる情報処理の過程であり、記憶する、思考する、判断する、決定する、推理する、イメージ を形成するなどの心理的な活動」を指すと示している。本題材は、関係の概念を捉えることが思考や 判断、決定、推理へとつながっていくように活動を工夫していることから、自立活動の内容としてふ

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‐2‐ さわしい学習であると考える。 〇 指導観 本 題材 で取 り扱 う関 係の 概念 は、「大小」「長短」「太細」とする。 これらの関係の概念を特徴として 含みもつ物同士・道具同士・物と道 具の組合せを考える中で、関係の 概念を捉えることができるように していく。また、生徒Aは言葉の意 味とイメージが一致していない様 子が見られた。そのため、「まとめ ボード」を活用して言葉の意味と イメージを視覚化し、統合的に捉 えることができるように工夫する 必要がある。「まとめボード」の構 成は、物の特徴、道具の特徴、物と 道具を組み合わせた結果が視覚的 に分かるように配置し(表1の ⑥)、関係の概念とその事象とのつ ながりを捉えることができるよう にする。 第1段階では、物同士・道具同士 を比べる活動と、物や道具の写真カードと物や道具の特徴を表す言葉カードを組み合わせる活動を 繰り返して、物同士・道具同士を比べて違いに気付き、特徴を言葉で表現することができるようにす る。関係の概念を捉えるために、物に触りながら違いを探したり、「これは『小さい』。」と関係の概 念を表す言葉を発したりしながら言葉の意味とイメージが一致するようにする。物同士を比べて違 いを確認したり(表1の①)、道具同士を比べて違いを確認したり(表1の②)した後、物と道具を 組み合わせた結果を確かめて(表1の③)、その結果を「まとめボード」に整理する(表1の④)。そ の後、道具を選んで皿に注ぐ活動(表1の⑤)と、皿に注いだ結果を「まとめボード」で確かめる活 動を行い(表1の⑥)、「まとめボード」に整理した内容が、道具を用いた結果を言葉で表したもので あることを理解できるようにしていく。 第2段階では似た物の「まとめボード」を用いて物と道具の組合せを確認し、それを基に道具を選 ぶ活動(表1の⑤)を行った後で、物と道具を組み合わせた結果を、「まとめボード」に調べたこと と照らし合わせる(表1の⑥)ことができるようにしていく。生徒Aは、パターン的な学習を得意と しているため、同じ物での反復ではなく、似た物を学習活動で取り扱い応用的に学習することは、パ ターン的に習得することを防ぎ、人や物に応じて行動する態度を育成することにもつながると考え る。 第3段階では、物の特徴に合う道具を予想した上で皿に注ぐ活動を行い、その後、「まとめボード」 を読み上げて結果と照合する(表1の⑥)活動を繰り返して、道具を選んだことが適切かどうかを自 分で判断できるようにする。結果の正否が自分で判断できることは、結果を受けて行動を修正する力 を高めることにつながると考える。そのため、単元で取り扱う物と道具の組合せについては、できた かできなかったかが明確に分かるようにし、予想したことや道具を選んだことの正否が自分で判断 できるように工夫する。 表1 「まとめボード」を基にした活動

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‐3‐ 3 目標 〇 物や道具の特徴を比べ、違いを捉えることができる。 〇 物や道具の特徴の違いを踏まえ、複数の道具の中から適切な道具を選択することができる。 〇 物や道具の特徴を踏まえ、道具を選んだ理由を答えることができる。 4 指導計画(「もののとくちょうにあわせて どうぐを えらぼう」全7時間) 第1段階 もののとくちょうにあう どうぐを しらべよう 第1時 まるいものを すくうことができる どうぐを しらべよう ………1時間 第2時 たいらなものを もちあげることができる どうぐを しらべよう ……1時間 第3時 つつのかたちのものを はさむことができる どうぐを しらべよう …1時間 第2段階 どうぐを えらんで たしかめよう 第4時 まとめボードをつかって もののとくちょうにあう どうぐを えらぼう① …1時間 第5時 まとめボードをつかって もののとくちょうにあう どうぐを えらぼう② …1時間 第3段階 もののとくちょうにあう どうぐを よそうしよう 第6時 まとめボードをつかって もののとくちょうにあう どうぐを よそうしよう① …1時間 第7時 まとめボードをつかって もののとくちょうにあう どうぐを よそうしよう② …1時間 5 本時 (1) 日時 令和○年○月○日(○) 第○校時 ○:○~○:○(於:○○教室) (2) 本時の考え方 本時は、題材「もののとくちょうにあわせて どうぐをえらぼう」の第1時に当たる。生徒Aはこれ までの学習において、道具を使って物を移動させる課題を通して、物の特徴によって適した組合せと適 さない組合せがあることを体験している。しかし、物と道具の関係から生じる特徴を捉えた上でその組 合せを考えるまでには至っていない。物と道具の関係から生じる特徴を捉えるためには、①物同士を比 べて物の特徴を捉えること、②道具同士を比べて道具の特徴を捉えること、③物と道具の特徴を比べて 物と道具を組み合わせることが必要である。本時では、「まとめボード」を基に、物の特徴に合わせて 道具を選ぶことができるようになることを目指す。 導入では、写真を用いて前時の学習内容を振り返る。転がるというボールの特徴に合わせて、高さの 違う2種類のトレーから適したトレーを選んだことを思い出した上で、本時のめあてを確認する。 展開①では、物同士や道具同士を比べることによって生じる特徴を捉えるようにする。本時で取り扱 う物は、木のボール(大きい)と木のビーズ(小さい)である。また、取り扱う道具は、網目が大きい 網杓子と網目が小さい網杓子である。初めに、木のボールと網目が大きい網杓子を提示してすくい、す くうことができることを確かめる。次に、木のビーズと網目が大きい網杓子を提示してすくい、すくう ことができないことを確かめる。この際、結果に違いがあることによって、どこが違うのかについて興 味がもてるようにする。また、物同士や道具同士の違いは、生徒Aが違いに気付くことができるように、 違いが明らかなものを準備する。 展開②では、物同士を比べて、その関係から生じる特徴を捉える。木のボールと木のビーズを比べて、 その違いについて気付いたことを発言する。大きさの違いに気付くことができない場合は、「大きさが 違うけれど、どちらが大きく、どちらが小さいですか。」と言葉を掛ける。物の写真カードと特徴を表 す言葉カードを選んで組み合わせ、「まとめボード」に貼る。道具についても、物と同じように比べた 後、道具の写真カードや特徴を表すことがカードを選んだ組み合わせ、「まとめボード」に貼る。これ らを組み合わせた結果を貼り、「まとめボード」を完成させる。 展開③では5mm のプラスチックボールを提示し、これらを皿に移すために必要な道具を、展開②で 作成した「まとめボード」を頼りにしながら選択する。道具を使って皿に移す動作を5回行う。皿に注

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‐4‐ ぐ度に道具を一度置くように指示し、道具を選んだ理由を尋ねる。「まとめボード」を読み上げること が、発問の答えとなっていることに気付くことができるようにする。 まとめでは、展開③の結果を整理するために「まとめボード」を作成する。作成した「まとめボード」 を読み上げて、展開③で皿に注いだ結果を読み上げながら、物の特徴に合った道具があること、適切な 道具を選ぶことで皿に移すことができたことを確認する。 (3) 本時の目標 〇 言葉掛けに応じて、物同士や道具同士を比べ、特徴について言葉カードを選んで「まとめボー ド」に貼ることができる。 〇 二つの道具を使って物をすくい、その結果について言葉カードを選び、「まとめボード」に貼る ことができる。 〇 「まとめボード」に貼った言葉カードを教師が指示した順に読み上げ、理由を述べることができ る。 (4) 準備するもの ①写真(前時の様子) ②2㎝の木のボール ③8mm の木のビーズ ④網目が大きい網杓子 ⑤物や道具の写真カード ⑥物や道具の特徴を端的に表した言葉カード ⑦皿 ⑧網目が小さい網杓子 ⑨「まとめボード」 ⑩5mm のプラスチックボール (5) 展開 学習 過程 学習活動・内容 指導支援・留意点(●は目標達成の観点) 教材 教具 導入 5 分 1 前時の学習内容を振り返る。 ・道具を選ぶ必要性 2 学習の流れ、めあてを読む。 めあて まるいものを すくうことができるどうぐを しらべよう ○ 前時の学習で取り扱った物や道具の組合せを 思い出せるように、写真を準備する。前時と関連 のある内容であることを確認する。 ○ 学習の流れが確認できるように、一つ一つ読み 上げながら提示する。 ① 展開 35 分 3 木のボールと木のビーズを網 目の大きな網杓子ですくい、結 果の違いを確かめる。(展開①) ・物と道具の組合せ結果 4 物同士、道具同士を比べて物 の特徴や道具の特徴を捉え、「ま とめボード」を作成する。(展開 ②) ・物の特徴 ・道具の特徴 ・「まとめボード」の貼り方 ・「まとめボード」の見方 ○ どこが違うのかについて興味がもてるように するために、結果の違いが明らかになる物と道具 の組合せを提示する。 ○ 大きさが異なる木のボールと木のビーズを準 備する。比べる点が分からない場合は、「大きさ が違うけれど、どちらが大きく、どちらが小さい ですか。」と言葉を掛ける。 ○ 網目の大きさが異なる二つの網杓子を準備す る。比べる点が分からない場合は、「網目の大き さが違うけれど、どちらが大きく、どちらが小さ いですか。」と言葉を掛ける。 ②③ ④ ②③ ④⑤ ⑥⑧ ⑨

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‐5‐ 5 5mm のプラスチックボール を皿に移す。(展開③) ・物の特徴 ・道具の特徴 ・物と道具の組合せ ○ 「まとめボード」は、写真カードや言葉カード を貼る位置が分かるように、あらかじめ線を引い ておく。 ○ どちらの道具も使ってみることで組合せによ って生じる状況に気付くようにする。 ○ 「まとめボード」を作成するときは、声に出し て読み上げながらカードを貼るように伝える。 ● 物や道具の特徴を捉えることができたかを「ま とめボード」に整理した内容や生徒Aの発言から 評価する。 ○ 展開②で作成した「まとめボード」を頼りに、 物と道具の組合せを考えるように促す。 ○ 道具を選んだ理由を答える際は、似た物の「ま とめボード」を用いて、①物の特徴、②道具の特 徴、③組み合わせた結果の順に指さしながら答え るように伝える。読み上げる順番が分からない場 合は、教師が一緒に指さしながら読み上げて、確 認する。 ④⑤ ⑥⑦ ⑧⑨ ⑩ まとめ 10 分 6 「まとめボード」を作成す る。 ・物や道具の特徴を踏まえて組 合せを考えること 7 本時を振り返る。 ・試す活動の価値付け まとめ ちいさいものは あみめがちいさいどうぐで すくうことができた。 8 次時の予告を聞く ・次の時間の見通し 〇 「まとめボード」は、写真カードや言葉カード を貼る位置が分かるように、あらかじめ線を引い ておく。 ● 「まとめボード」に整理した内容と、物と道具 を組み合わせた結果が同じであることに気付く ことができたか、生徒の発言から評価する。 ○ 物と道具の組合せ結果を思い出すことができ るように、「まとめボード」を教師と一緒に指さ ししながら読み上げるように伝える。 ○ 見通しをもつことができるように、次時の活動 内容を確認する。 ⑤ ⑥ ⑨ ⑨ (6) 本時の評価 評価の内容 評価 言葉掛けに応じて、物同士や道具同士を比べ、特徴について言葉カードを選んで 「まとめボード」に貼ることができたか。 4-3-2-1 二つの道具を使って物をすくい、その結果について言葉カードを選び、「まとめ ボード」に貼ることができたか。 4-3-2-1 「まとめボード」に貼った単語カードを教師が指示した順に読み上げて、理由を 述べることができたか。 4-3-2-1 4(自分でできた) 3(教師のヒントによりできた) 2(教師の促しによりできた) 1(教師が手を添えてできた)

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‐6‐ (7) 配置図 ホワイトボード ホワイトボード 作業台 (特徴を 調べる) 机 移動式 ホワイト ボ ー ド (まとめボードを貼る ) 入 口 作業用長机 (道具を試す) まとめボードの掲示の仕方 物と道具の配置の仕方 物と道具の配置の仕方

参照

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