Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
歯科医学教育認証評価制度と東京歯科大学の目指すもの
Author(s)
一戸, 達也
Journal
歯科学報, 114(1): 1i-1i
URL
http://hdl.handle.net/10130/3240
!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!
歯科医学教育認証評価制度と
東京歯科大学の目指すもの
学会副会長一 戸 達 也
少子高齢化が進んだ我が国は,現在,大学全入時代と言われており,大学としてどのように教育の 質を保証するかが問われています。このような中で,高等教育機関に対する認証評価制度は平成16年 4月に施行され,国公私立のすべての大学,短期大学,高等専門学校は定期的に文部科学大臣の認証 を受けた評価機関による評価を受けることになっています。東京歯科大学は大学基準協会の機関別認 証評価を7年に1回受けています。しかし,特に総合大学では,機関別評価だけではそれぞれの学部 に対する評価はどうしても内容が薄くなってしまうために,専門分野別認証評価が注目されるように なっています。専門分野別認証評価制度は,最初は法科大学院がその対象となりました。 現在,「歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」を文部科学省が設置しており,その 中で「歯学教育認証評価の試行」ということで,平成24年度から5年計画で歯科医学教育に関しても 専門分野別の認証評価の仕組みを作ることがトライアルで始まっています。東京医科歯科大学・新潟 大学・九州歯科大学・大阪歯科大学・東京歯科大学の5つが幹事校となり,認証評価項目の案が検討 されています。 歯科医学教育と比べてもっと喫緊の課題となっているのが,医学教育の認証評価制度です。アメリ カでは,国外の医学部卒業生に対してアメリカの医師国家試験の受験資格を審査する ECFMG(Educa-tional Commission for Foreign Medical Graduates)が,米国の医師国家試験については,9年後の平 成35年からアメリカ医科大学協会または世界医学教育連盟の基準によって認証を受けた医学部卒業生 以外の受験を認めないとの通知を出しています。卒業した大学によってはアメリカで医師国家試験を 受けられなくなるという可能性が出てくるため,すべての医学部が共同して急いで対応を進めていま す。 歯科の方はまだそこまでの状況ではないものの,イギリス・ドイツ・アメリカは認証評価の仕組み がありますし,マレーシア・香港などアジアの各国や地域も独自の認証評価制度を作っています。そ のような中で,日本はまだ認証評価をトライアルで行っているところですので,早急に歯科医学教育 の認証評価制度の仕組みを作っていかなければいけないところに来ているのが現状です。昨年,日本 経済新聞の朝刊に,東京工業大学の学長がカリフォルニア工科大学に行って単位互換を申し入れたと ころ断られたという記事が掲載されていました。工学系の教育は JABEE(Japan Accreditation Board for Engineering Education)という認証評価制度があり,この JABEE で認証されている東京工業大 学ですらアメリカの基準に照らして不十分であったということです。このように,世界は分野別認証 評価という第三者評価制度を極めて重要視しているのが現状です。アメリカの場合には,CODA(Commission on Dental Accreditation)という機関があります。これ はアメリカ歯科医師会の中にある機関ですが,連邦政府が認めた唯一の歯科医学教育認証評価機関で す。CODA の場合,卒業時に最も重要視するのがコンピテンシーです。コンピテンシーというの は,歯科医師の歯科医師たる資質というか,すべての能力を含んだ全体像です。高いコンピテンシー を持った歯科医師を輩出するためのプログラムを大学が責任を持って構築しているのかどうかを CODA が評価して,その大学の歯学教育プログラムを認証するという仕組みになっています。 東京歯科大学はお陰さまで,2年連続で国家試験の総合一位をとっています。コンピテンシーとい うことを考えれば,国家試験に受かるのは当然で,それだけでなく,歯科医師として高い資質を備 え,教育・研究・臨床の面で地域,日本,そして世界のリーダーになる歯科医師を輩出するのが東京 歯科大学の使命であるはずです。この精神は,高山紀齋先生,血脇守之助先生の時代から脈々と続い ている姿勢だと思いますので,われわれ教職員も学会員の皆様と一緒に一層の努力をして参りたいと 思います。 本年も一年よろしくお願いいたします。 巻 頭 言 ①