Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
正方晶ジルコニア多結晶体と前装陶材の焼付強さに及ぼ
す中間層セラミックスの影響
Author(s)
松本, 直也; 吉成, 正雄; 武本, 真治; 服部, 雅之; 河
田, 英司; 小田, 豊
Journal
歯科学報, 111(2): 233-233
URL
http://hdl.handle.net/10130/2388
Right
目的:現在,高い破壊強度と破壊靱性を持つ正方晶 ジルコニア多結晶体(TZP)をフレームワークと して使用することで,臼歯部でのクラウンやブリッ ジのオールセラミック修復が可能となってきてい る。オールセラミックスによる歯冠補綴は十分な審 美性を得ることができるが,前装陶材のチッピング の頻度が高いとの問題が指摘されている。このチッ ピングの原因の一つとして,TZP と前装陶材の焼 付強さも要因とされていることから,TZP と前装 陶材間に強度の高い中間層セラミックスを介在させ ることで,焼付強さを改善することによるチッピン グの減少が期待できる。 本研究は,中間層セラミックスとして,強度の高 い二ケイ酸リチウム含有セラミックスと従来の長石 系陶材(コントロール)を使用し,TZP と前装陶 材の焼付強さを比較検討した。 方法:直径13mm,厚さ1.5mm にカットしたTZP を鏡面研磨した。中間層セラミックスとして,二ケ イ酸リチウム含有セラミックス粉末(EP)と,ジ ルコニア用長石系陶材(SB,セラビアン ZR-SB, ノリタケ)を使用した。それぞれ直径4.0mm,厚 さ約300μm に築盛し,EPは最終焼成温度を945℃ で,SB は930℃で 焼 成 し,他 の 条 件 は SB の メ ー カー指定のプログラムで焼成した。その後,両者に ボディ陶材(セラビアン ZR-A 3,ノリタケ)を厚 さ約2.0mm になるように築盛し,メーカー指定の プログラムで焼成した。作製した試料は包埋用リン グに固定し,万能試験機(島津オートグラフ AG-I 20kN,CHS:0.5mm/min)に て せ ん 断 試 験 を 行 い,焼付強さを測定した。また試験後の試料の破断 面を光学顕微鏡にて観察した。各条件での試料数は 7個とした。 成績および考察:せん断焼付強さは,中間層セラ ミックスにEPを使用した場合で37.0±5.7MPa, SB を使用した場合で29.0±7.3MPa となり,両者 の間に有意差を認めた(t検定,p<0.05)。破断 面観察の結果,両者ともに中間層あるいは前装陶材 での凝集破壊が主であった。EP で焼付強さが大き くなった理由として,EP が SB よりも高い強度を もっているためと考えられる。以上により,二ケイ 酸リチウム含有セラミックスを中間層として用いる ことによって,TZP に対する前装陶材の焼付強さ が向上することが示唆された。 目的:ジルコニアセラミックス,特に正方晶ジルコ ニア多結晶体(TZP)は金属材料を凌駕する強度 を有するとともに高い靭性を持つことから,架工義 歯やインプラントアバットメントなど,急速にその 臨床応用が広まっている。しかし,チタン製インプ ラント体に対してジルコニア製アバットメントを, アバットメントスクリューを介して締結し機能させ た場合に,インプラント体とアバットメントの摩耗 により,スクリューの緩みなどの問題点が指摘され ている。本研究は,ジルコニアがチタンに及ぼす摩 耗特性を明らかにすることを目的として,ジルコニ ア−チタン,ジルコニア同士,およびチタン同士の 二体摩耗試験を行うとともに摩擦係数の測定を行 い,ジルコニアおよびチタンの摩耗特性について考 察を加えた。 方法:イットリア安定型 TZP,チタン(純チタン 2種および4種,チタン合金)を鏡面に仕上げ,表 面粗さ,硬さの測定を行った。摩耗試験は,曲面を 持つ上部試料と平板を呈する下部試料との蒸留水中 下における二体摩耗試験を行った。試験条件は,上 下 部 間 荷 重:10N,ス ト ロ ー ク 幅:3mm,ス ト ローク回数:5,000回および30,000回,ストローク 速度:90回/分とした。摩耗試験後の下部試料の摩 耗形状を,表面形状測定器を用いて上部試料の運動 方向に対して直角に描記させ,摩耗断面積を求め た。また,摩擦係数の測定,摩耗面の光学顕微鏡観 察および電子線マイクロアナライザー分析を行い, 摩耗機構を考察した。 成績および考察:硬さ(Hv)は TZP が1356±14と 超 硬 質 で あ っ た の に 対 し,チ タ ン(Ti-2:125± 2,Ti-4:177±4,Ti-alloy:256±14)は TZP よ りはるかに軟質であった。摩耗試験の結果,上部試 料が超硬質の TZP のとき,下部試料チタンの摩耗 断面積は下部試料 TZP のそれより大きな値を示し た。一方,上部試料が軟質のチタンのときでも,下 部試料のチタンは大きな摩耗断面積を示した。摩擦 係数は TZP とチタン間に比較し,チタンとチタン 間で大きな値を示した。以上の結果と各種分析か ら,チタンが硬質のジルコニアにより被る摩耗はア ブレシブ摩耗によるものであり,チタン同士の摩耗 は同種の材料間で生ずる凝着摩耗によるものと推察 された。以上より,チタンはジルコニアにより摩耗 を被るが,その量はチタン同士の摩耗と同程度であ ることから,数々の有用性を持つジルコニア製ア バットメントの臨床応用を否定するものではないと 考えられた。