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Title
Effect of mechanical loading on cultured osteogenic
cells derived from different stages of bone wound
healing in rats : experimental models for immediate
or early implantation
Author(s)
佐藤, 大輔
Journal
歯科学報, 111(5): 506-507
URL
http://hdl.handle.net/10130/2631
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 最近,手術回数と治療期間の短縮を目的として抜歯窩にインプラント体を埋入しさらに即時または早期に上 部構造を装着し咬合力等のメカニカルストレスを付与する術式が報告されている。しかし抜歯窩に埋入された インプラント体周囲には骨創傷治癒期の様々な細胞が存在しそれらの細胞のメカニカルストレスに対する応答 を分子生物学的に解析した研究はない。本研究は骨創傷治癒の各ステージより採取した細胞のメカニカルスト レスに対する応答を細胞増殖,ALP 活性,Bone sialoprotein(BSP),Osteopontin(OPN)の mRNA の発現量 について検討することを目的とした。 2.研 究 方 法 実験には体重約250g の Sprague-Dawley 系,雄ラット60匹を用いた。実験前にチオペンタールナトリウム による腹腔内麻酔を行い,ついで左側大腿骨外側部に皮膚切開を加え骨面を露出させたのち,歯科用ラウンド バーにて1.5mm 8mm の窩洞を形成し窩洞内の骨髄を可及的に除去した。その後窩洞部を EPTFE パッチⅡ 人工硬膜(GORE-TEX 社)により被覆し周囲筋肉および皮膚を4.0絹糸により縫合した。骨窩洞形成後,3, 5,7日目に各日20匹ずつを全身麻酔下に屠殺した。そのうち各日5匹ずつを用いて H-E 標本作製を作成し 各創傷期の組織像の評価を行った。3,5,7日目のそれぞれの骨窩洞より骨創傷治癒期の細胞を採取し a-MEM(GIBCO 社)(10%FBS,60μg/ml Gentamicin,50μg/ml Ascorbic acid,10mM β-glycerophosphate,10−8
mM dexamethasone を含む)を用い37℃,5%CO2条件下にて7日間初代培養した。なお初代培養7日目のそ
れぞれの細胞の骨への分化度をアルカリフォスファターゼ活性(ALP 活性),また Bone sialoprotein(BSP), Osteopontin(OPN)の mRNA の発現量を RT-PCR 法(Light Cycler 社)を用いて評価した。その後,細胞を継
代培養し35mm 培養皿に4×104
ずつ細胞を播種し2日間細胞の定着を待った後,約24時間毎に3500rpm(256 g/cm2
)の遠心力を1回10分間,計7回に亘り間歇的に付与した。遠心力実験開始より1,3,5および7日 目の細胞数の測定と,ALP 活性,また BSP,OPN の mRNA の発現を測定しメカニカルストレスに対する各 細胞の応答を検索した。 氏 名(本 籍) さ とう だい すけ
佐
藤
大
輔
(愛媛県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1750 号(甲第1025号) 学 位 授 与 の 日 付 平成20年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Effect of mechanical loading on cultured osteogenic cells derived from different stages of bone wound healing in rats : experimental models for immediate or early implantation 掲 載 雑 誌 名 Oral Medicine & Pathology 第14巻 143∼151頁 2010年
論 文 審 査 委 員 (主査) 井上 孝教授 (副査) 山田 了教授 柴原 孝彦教授 下野 正基教授 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 506 ― 50 ―
3.研究成績および考察 形態学的に創傷3日群は血餅の肉芽組織への置換期であり Blood Clot(BC)期とした。創傷5日群において は肉芽組織の結合組織への置換が観察され,一部に類骨の形成が見られ Granulation Tissue(GT)期とした。 また創傷7日群においては類骨の石灰化が進み形成窩洞の周囲の基盤形成がすでに始まっており Callus For-mation(CF)期とした。なおそれぞれの創傷期より採取された細胞を BC 細胞,GT 細胞,CF 細胞とした。各 骨窩洞内より採取した細胞の初代培養後の性質を検索したところ各骨関連タンパク質の発現は CF 細胞が最も 高い値を示し BC 細胞がもっとも低い値を示し,GT 細胞はその中間に位置した。それぞれの骨関連タンパク の発現より BC 細胞は未分化な間葉系細胞,GT 細胞は前骨芽細胞,骨芽細胞,CF 細胞は分化の進んだ骨芽 細胞を多く含むことが示唆された。 それぞれの細胞にメカニカルストレスを付与したところ細胞増殖において BC 細胞においては実験群の細胞 数が3,5,7日目において対照群を下回る結果となったが GT 細胞,CF 細胞においてはコントロールと変 化がなかった。創傷初期の未分化な細胞において今回のメカニカルストレスが細胞増殖を抑制することが示唆 された。ALP 活性の結果において,GT 細胞における実験群が5日目に対照群を上回る結果となり,また BSP,OPN の mRNA の発現においても GT 細胞における実験群が7日目に対照群を上回る結果となったが BC 細胞,CF 細胞においてはいずれもコントロールとの間に有意な差はみられなかった。 4.結 論 本研究において,メカニカルストレスを骨創傷期の細胞に与えた場合,各創傷期においてメカニカルストレ スに対する応答が異なり,前骨芽細胞,骨芽細胞が多く存在する時期での荷重が骨形成を促進させることが解 明された。 論 文 審 査 の 要 旨 本審査委員会は,平成19年12月19日(火曜日)に行われ,まず佐藤大輔大学院生から論文内容の説明がなされ た。次いで,1)本実験に用いたメカニカルストレスが臨床的な負荷を再現しているのか。2)培養期間中に 採取した細胞に性質の転換が生じる可能性について。3)本実験に使用したメカニカルストレスの設定の根 拠。4)本実験の結果が臨床的事象にどう反映するのかなどの質疑がなされた。 これらの質問に対して1)培養細胞にメカニカルストレスを付与する場合,臨床的な負荷を完全に再現する ことはできないが遠心力を用いることによって培養環境を変えることなく細胞に直接負荷をかけることができ る。2)初代培養後のおのおのの細胞の性質が予備実験において行った各骨窩洞内の組織の骨関連タンパク質 の発現と類似していたため7日間の初代培養においてはその細胞の性質が保たれているであろうと考えた。 3)骨系の細胞に遠心力を加える他の論文の報告より本実験に適切な値を計算式より導き出し3500rpm,256 g/cm2 と設定した。4)前骨芽細胞,骨芽細胞が多く存在する GT 細胞においてメカニカルストレスにより分 化が促進されたことより骨創傷部位にメカニカルストレスを与える抜歯窩インプラントヘの荷重において,周 囲の骨創傷部位の石灰化が開始する時期以降が適切であると考えられる,など概ね妥当な回答が得られた。そ の他,実験方法の記載の明確化,付図およびその説明の補足,参考文献の整理など修正すべき点が指摘され, 訂正が行われた。 本研究で得られた結果は,今後の歯学の進歩,発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判 定した。 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 507 ― 51 ―