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メタルの川ーン生産方式1/への対応
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G
メタルの“リーン生産方式"への対応
一日本の労働人間化への
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つの示唆-小 山 田 英 一
"Approaches t
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Lean Production
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made by IG Metll"
-Hints for Humane Working Conditions i
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ド イ ツ 自 動 車 産 業 の 日 本 方 式 へ の 関
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ドイツ金属産業労働組合〉は,
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年にその
前身が設立された,自動車産業その他の金属
関係労働者を糾合するドイツ最大の産業別労
働組合であるが,
ここ
2, 3年日本の自動車
産業の生産方式,とくにToyotismに影響さ
れている「リーン生産方式
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ぜ、い肉をそぎ落
した生産方式。を最大の関心事項の
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っとして
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nとは川まっそりした"の英語その
もので,“s
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"ともいわれる.
トヨタの生産方式が重要な先例であるが,当
初は日本の方式が著しく美化され
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つの革
命.ルネサンスとも言われた
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1冊の書物が契機であって,
それはトヨタと
G Mの合弁工場NUMMIの生
産方式を研究した,
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Womack. D. Roos.
D. Jones による
“The Machines that
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World" (
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)であっ
た.欧米の自動車産業に与えた日本の自動車
『人 間科 学 研 究』 文 教 大 学 人 間 科 学 部 第15号1993年 小 山 田英 一 産 業 の 第1の 衝 撃 波 は,日 本 に よ る 世 界 の 自 動 車 市 場 の 席 巻 で あ っ た.こ れ に 対 し て, CIM(コ ン ピ ュ ー タ統 合 生 産 シ ス テ ム)を 志 向 す る情 報 ・コ ミ ュ ニ ヶ 一 シ ョ ン ・テ ク ノ ロ ジ ー と フ レキ シ ブ ル 生 産 シ ス テ ム を も っ て 日 本 の 利 点 に 立 ち 向 うこ とが で き る と 考 え た. し か し,資 本 生 産 性 の 悪 化 等,フ レキ シ ブ ル な 技 術 と伝 統 的 な テ ー ラ ー 式 生 産 構 造 と の 組 み 合 せ は,そ う有 望 で は な か っ た.こ の 結 果, 日 本 の 概 念 を 導 入 し よ う とす る 企 業 が 現 れ, 「ゼ ネ ラ ル ・モ ー タ ー ズ:何 が 悪 い の か 」 (BusinessWeek.1987.3.10)ほ か の 研 究 が 行 わ れ た. 第2の 衝 撃 波 が 上 記 のMITの 研 究 で あ っ て,日 本 の 「最 良 」 企 業 の 生 産 性,品 質 お よ び 製 品 開 発 の 分 野 で,必 要 量 は1/2,生 産 量 は 尸 2倍 で あ る と い う,著 者 た ち の 主 張 は,大 量 生 産 の 様 式(ス ピ ー ド,ア イ テ ム あ た りの コ ス トの 低 位)・が 熟 練 労 働 生 産 の 様 式(フ レ キ シ ビ リ テ ィ,品 質)乏 一 緒 に な っ て"リ ー ン 生 産 シ ス テ ム"と い う,新 た な 生 産 概 念 を う み 出 した,と い うの で あ る. ドイ ツ の 自 動 車 産 業 の 経 営 側 ぼ か りで な く 労 働 組 合 側 も"よ り少 な い 人 員,よ り少 な い 資 本, よ り少 な い 時 間,よ り少 な い エ ネ ル ギ ー,よ り 少 な い 欠 陥,よ り少 な い 設 備'をIqi歌 して い る (前 出Die.Mitbestimmung誌).」Gメ タ ル の 会 長,FranzSteinkh erは,「 よ り多 ・く の 共 同 決 定 へ の 希 望 一IGメ タ ル か ら見 た チ ャ ン ス と リス ク ーJと 題 す る 寄 稿 文(Frankfurter Allgemeine.'93.1.13,Blickdurchden Wirtschaft)『 の 中 で,以 下 の よ う な 主 張 を 行 っ て い る. "日 本 の 成 功 と リー ン生 産 方 式 に つ い て の 実 際 的 な 議 論 は,テ}ラ ー 主 義 と官 僚 主 義 的 な 労 働 ・経 営 組 織 の 危 機 を 象 徴 す る も の で あ る.高 くi聳え る ヒ エ ラ ル ヒ ー,極 端 な コ ソ ト ロ ー ル,行 き す ぎ た 労 働 の 細 分 化 で は な く, 有 機 的 な 技 術 原 則 と 自 動 化 の 集 積 の 上 に 築 か れ た 技 術 と 人 間 の フ レキ シ ビ リテ ィ ー の あ る 結 合,そ の 最 良 の 効 率 を,リ ー ソ 生 産 方 式 は 保 証 す る.'IGメ タ ル は,長 い こ と非 人 間 的 な 労 働 過 程,労 働 者 全 体 に 押 しつ け る 細 か な 職 務 の 代 りに 労 働 現 場 に お け る 職 務 拡 大 と職 務 充 実 を 求 め て き た わ け で あ り,共 同 決 定 と 製 造 過 程 へ の 参 加,計 画 決 定 プ ロ セ ス へ の イ ニ シ ア チ ヴ と経 験 等 の 可 能 性 を 追 求 し て き た . 高 度 の 経 済 性 と人 間 化 の 結 合 へ 向 け て の ア イ デ ィ ア や コ ン セ プ トと パ イ ロ ッ ト ・プ ロ ジ ェ ク トお よ び 経 験 が ドイ ツ に は 多 数 存 在 す る が, 欠 け て い る も の は 経 営 と労 働 組 合 の'協力 関 係 で あ り,こ れ ら の 試 み は 経 営 側 の 支 配 に よ り 妨 げ ら れ て き た.IGメ タ ル は 労 働 と経 営 組 織 の 古 い 形 態 を 克 服 し な け れ ば な ら な い と考 え て お り,そ の こ と は 何 もMITの 研 究 が 発 表 さ れ た か らで は な く,我hが 労 働 の 人 間 化 の 議 論 と 実 践 と し て,経 営 上 お よ び 労 働 協 約 政 策 上 実 現 す べ く求 め て き た もの で あ る." リ ー ソ生 産 方 式 は,IGメ タ ル の 資 料 に よ る と,① 魅 力 的 な 労 働(attraktiveArbeit), ② 労 働 手 段 と し て の テ ク ニ ッ ク(Technikals Werkzeug),③ エ コ ロ ジ ー 的 生 産,環 境 調 和 的 な 生 産 物( kologischproduzieren, umweltvertr臠licheProdukte),④ 社 会 舩 正,社 会 的 責 任(sozialeGer馗htigkeit, sozialeVerantowortung),の4つ の 柱 が あ り,非 常 に 幅 の 広 い も の で あ る.後 述 す る ト ヨ タ 方 式 に 欠 け て い る も の は,③ と ④ で あ る 模 様 で あ っ て,「こ れ ら の 視 点 は 日本 の 労 働 の 人 間 化 の 議 論 自 体 に 以 前 か ら欠 落 し て い る. 1980年 代 前 半 ドイ ッ の 自 動 車 産 業 で は,市 場 競 争 の グ ロ ー バ ル 化 と 日本 の 衝 撃,フ レ キ シ ブ ル ・オ ー ト メ ー シ ョ ン と 情 報 技 術 の 加 速 度 的 発 的 を 契 機 ξ し て,Fordism,Taylorism に よ る硬 直 的 な 大 量 生 産 ゐ 社 会'・技 術 シ ス テ ム の フ レ キ シ ブ ル 化 が 最 大 の 合 理 化 課 題 で あ った.後 半 か ら脱 ベ ル トコ ソ ベ ア労 働 職 務 拡 大 ・充 実,ジ ョ ッ プ ・ロ ー テ ー シ ョ ソ を 踏 ま え た 集 団 労 働(GrupPenarbeit)やQCサ ー クル(Qualit舩szirkel)の 試 み は,既 に 経 営 側 に よ っ て 実 践 さ れ は じめ て い る.し か し, 労 働 組 合 側 は,要 員 の 連 続 的 な 切 り下 げ,高 密 度 労 働 に 対 し て は 大 い に 警 戒 的 で あ った. 労 働 組 合 に と っ て労 働 の 人 間 化 の 実 現 は 週 一30一
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Gメタルの川ーン生産方式
Hへの対応
3
5
時間労働の実現と基本賃率の上昇等となら
んで極めて重要な課題であるが,
ドイツの産
業の国際競争力の低下,近年の技術革新によ
る雇用の減少に加えて世界的な不況と東西ド
イツ統一のコストが旧西独の労使の負担とな
って失業率の増大が懸念されている中で,
リ
ーン生産方式を中心として,労働側の主張を
しつつ労使協力によって産業の国際競争力の
向上に努めなければならない事態となってい
る.東西ドイツの統一以来,旧東独の労働力
人口の1/
3は余剰であり,実勢を無視した 1
対
1
の交換レートによる通貨統合にともなう
経済的危機の中で,労使協調路線が緊急事と
なったわけで、ある.
2
.
ドイツにおける労働の人間化の特徴
リーン生産方式がわが国でも再輸入の形で
関心が払われるようになったのは
1
9
9
豆手の中
頃からであり,その
1
つの要素は労働の人間
化であった.西ドイツにおける公共政策とし
て
1
9
8
9
年から開始された「労働と技術研究開
発プログラム」では,労働と技術の同時的か
っ革新的な形成により危険な負荷やストレスを
回避・除去することと,企業の国際競争力の
強化,経済性,生産性の維持の両立を志向し
ていた.
自動化された生産様式によって労働者の自主
性と責任意識が持てないような労働は労働疎外
をもたらすが,西ドイツの労働市場・職業研究
機構と連邦職業訓練協会が共同で実施した分析
によると,新技術導入にともなう労働態様の変
化が仕事の満足度に及ぼす影響について,①
新技術の導入は労働の軽減と改善に必ずしも
結びついていない.②プログラマプルな労働
手段は精神的負荷をもたらし,ストレスを増
大させる,ことは明らかである.このような
事態に対して,個々の労働者の責任感を増す
組織形態(作業組織のフレキシプル化)と資
格の向上を促進し仕事の満足度を高めること
が必要になると,されている.
わが国の自動車産業の組立現場で、は,半熟
練労働が主体であり,また英,米,北欧にお
ける労働者の個人的・集合的抵抗(無断欠勤
やストライキ〉の軽減や産業目的一体化を目
指す労働の人間化は本来必要とされず,熟練
工を予定せず均質的なグループ労働を志向す
る.ところが,
ドイツでは,ベルトコンベア
労働にも高い職業資格の要求をしており,有
資格者のチームが志向されている.
他方,
ドイツでは
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年の新経営組織法
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の
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条により,①営業
所・事務所その他の施設の建設・変更・拡大,
②技術的組織,③作業工程と作業方法,④職
場などについての計画を適切に経営協議会に
知らせる義務と,その諸施策について相談す
る義務が経営者に課せられた.さらに,
9
1
条
では人間に合せた労働の形成と労働者の負担
を増大させないような作業環境の形成につい
ての共同決定権が労働者に与えられた.
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6
年に新共同決定法
(
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)
が制定され,共同決定制度自体の推進が労働
の人間化の前提となり,また広く共同決定の
内容に労働の人間化の視点、が含まれることに
なっている.
3
.
リーン生産方式の要素と日本との異
同
IGメタルが主張するリーン生産方式の構想
として多く利用されている,
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財団が
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9
9
2
年に刊行した資料を中心に,
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Roth
ほかによるその主要な要素と日
本への言及の要点を紹介したい.
げ
) リーン生産方式への統合的アプローチ
トヨタの生産システムから取りいれられた
リーン生産システムによって
1
つの生産概念
が開発されたが,それだけでなく,この生産概
念は新しい考え方と政策手順ならびに仕事をす
る人聞に対する価値概念の変化と相互作業概念
を前提とするものである.リーン生産方式は,
さらに販売,製品開発,生産準備,購買,最
終決定,人事管理,全組織構造を含む管理か
ら出発する各種プロセスのあらゆる組織機能
の包括的な再編成だとされている.
この生産方式の理解にとって決定的なこと
qr人 間科 学 研 究 』 文 教 大 学 人 間 科 学 部 第15号1993年 小 山 田英 一
は,成 功 と効率 が個 人 か ら導 き出 され る もの
で は な く,(付 図)に 示 す各 要 素 の 協 力 に よ
って 生 み 出 され る とい う考 え方 で あ る.
企 業 文 化 コ ソセ ンサ ス志 向 KAIZEN/KVP (組 織 的な 改善 プロセ ス) ゼ ロ欠陥の 原則 JIT/一 ぜロ ・バ ッ フ ァ タ イ ム の 原 則 チー ム ウー ク 協 力 顧客志向 効=果的な研究開発 納入業者の統合 (付図)り 一 ン生 産 方 式の 統 合 的 ア プ ロ ーチ (ロ)中 心 と して の チ ー ム ワ ー ク チ ー ム は こ の 生 産 方 式 の 中 心 に 位 置 す る も の で あ り,高 度 の 自 律 性 と責 任 を も っ た チ ー ム で あ る.そ の 目標 は 生 産 工 程 そ の も の で, 品 質 基 準 を 充 足 す る 課 題 を 負 わ さ れ て い る, .ZD生 産 で あ る.チ ー ム は お 互 い を 顧 客 と 見 た て て 次 の 顧 客 に 最 良 の 製 品 を 渡 す よ う行 動 す る.リ ー γ生 産 方 式 の 中 心 的 な 要 素 の1つ で あ るKAIZEN(KVP継 続 的 な 改 善 プ ロセ ス) を 保 障 す る の も チ ー ム で あ る.日 本 人 に と っ て 最 も悪 い こ と の1つ は,グ ル ー プ の 外 に 出 て い く こ と.つ ま り,グ ル ー プ 内 で 一 匹 狼 的 行 動 を と る こ と で あ り,グ ル ー プ か ら排 除 さ れ る の で 建 設 的 批 判 で あ っ て も望 ま し い 性 質 と して 全 く考 え ら れ な い.も う1つ の 日本 の グ ル ー プ の 特 質 と し て,日 本 で は 基 礎 的 な 資 格 が 高 水 準 で そ れ に 基 づ い て 自分 自 身 の 作 業 を 管 理 し て い る が,専 門 的 職 業 訓 練 に 欠 け て い る.ま た,職 務 範 囲 と分 担 領 域 が 固 定 し て い な い. 以 上 は,ド イ ツ側 が 見 た 観 察 で あ っ て,日 本 の よ う な 方 式 は と ら な い と い う こ と で あ る が,前 出 のSteinkh er論 文 で は 次 の よ うに 述 べ て い る."チ ー ム ・ コ ソ セ プ ト,継 続 的 な 改 善 プ ロ セ ス お よ び 新 し い 企 業 文 化 は,一 方 で は 高 度 で 増 大 す る資 本 集 約 化,他 方 で は フ レ キ シ ビ リ テ ィ ー 強 化 の 間 の ジ レ ソ マ を 解 決 し よ う とす る経 営 側 の 問 題 解 決 の 方 法 で あ る.労 働 の 強 化 だ け が 追 及 され る の で は な く, 労 働 者 の 能 力,資 格,イ ニ シ ア チ ヴ が 確 保 さ れ る の で あ れ ぽ,IGメ タ ル は 経 営 側 に 立 つ. 我 々 に と っ て ドグ マ も タ ブ ー も な く,次 の よ うな 明 白 な 原 則 と 目標 が あ る. ① 労 働 の 新 し い 分 割 で は な く,統 合 さ れ た 労 働 の コ ン セ プ ト ② 選 ぼ れ た グ ル ー プ の た め だ け で な く,す べ て の 労 働 者 に 対 す る 包 括 的 な 資 格 賦 与 ③ 労 働 条 件 と作 業 条 件 の 協 約 化 ④ 際 限 の な い 労 働 強 化 に か わ る 明 瞭 な 人 事 原 則 ⑤ 労 働 者,ホ ワ イ トカ ラ ー の 統 一 的 報 酬 ⑥ 協 約 を 基 礎 と した 参 加 と 異 議 申 し立 て 権 を 通 じ て の 日常 活 動 の民 主 化 の 課 業 統 合 の ドイ ツ で の経 験 80年 代 の 西 ドイ ツ の 自 動 車 産 業 で は こ の よ うな 生 産 方 式 を は っ き り志 向 す る も の で は な く,技 術 革 新 に よ り保 守,品 質 保 証,生 産 管 理,プ ロ グ ラ ミン グ な ど が 徐 々 に 統 合 さ れ て い っ た.職 務 範 囲 を 拡 張 し,品 質 保 証 を 生 産 工 程 に 統 合 し,ジ ョッ プ ・ロ ー テ ー シ ョ ソを 導 入 す る パ イ ロ ッ ト ・プRジ ェ ク トが 開 始 さ れ た.要 す る に,仕 事 の 内 容 を 充 実 し よ う とす る 注 意 深 い 試 み が 行 わ れ て い た. ⇔ チ ー ム ワ ー ク の 根 本 的 な 変 化 MITの 研 究 が 発 表 され て 以 来,オ ペ ル で リ ー ン生 産 方 式 の 一 部 と し て チ ー ム ワ ー ク を 広 範 に 導 入 す る ス テ ップ が と られ た が,チ ー ム ワ ー ク が 合 理 化 の1つ の ア プ ロ ー チ と な った. 初 期 の チ ー ム ワ ー ク ・プ ロ ジ ェ ク トの 背 景 と し て,① 魅 力 あ る 職 務 の 創 出,② 資 格 と 能 力 の推 進,③ 離 職 率 と 欠 勤 率 の 減 少,④ 動 機 づ け の 増 大 へ の 要 請 が あ っ た.今 日 で は,目 標 は 合 理 化 ア プ ロ ー チ の 拡 大 で あ り,ド イ ツ の 伝 統 で あ る'「有 資 格 者 チ ー ム ワ ー ク」 に 目 を 向 け る よ う に な っ て い る.そ れ に は,次 の 特 性 が あ る. ① チ ー ム ワ ー ク に よ る生 産 性 向 上 へ の 期 待, ②KAIZEN/KVP(継 続 的 な プRセ ス と し て の 生 産 性 の 増 加,品 質 の 改 善,コ ス ト削 減) の 導 入,③ チ ー ム の コ ス ト ・セ ソ タ ー へ の 統 合,④ 課 業 範 囲 の 拡 大,⑤ 生 産 性 の 見 地 か ら の 作 業 活 動 の 拡 大 と 充 実,⑥ 責 任 割 り当 て の 一32一IGメ タ ル の"リ ー ソ 生 産 方 式"へ の 対 応 高 度 化,⑦ 新 し い 価 値 を と お し て の 労 働 者 の 動 機 づ け を 高 め る試 み,⑧ 経 営 協 議 会 の 統 合 と コ ン サ ス 協 定 の 提 供, こ れ ら の 傾 向 は,ToyotismとVolvoismの 中 間 を 行 く と い う声 が 聞 か れ る が,社 会 的 統 合 と労 働 の 人 間 化 の 側 面 は 小 さ くな って きて い る. ㈱ 決 定 的 な 競 争 要 因 と し て のKAIZEN KAIZENは,日 本 の リ ー ン 生 産 方 式 概 念 の 中 心 的 要 素 で あ る.そ れ は あ ら ゆ る オ ペ レ ー シ ョナ ル な レ ベ ル で 行 わ れ る 継 続 的 な 改 善 で あ り,す べ て の 労 働 者 が 関 わ る.そ の1つ の 重 要 な 側 面 は,プ ロ セ ス の 重 視 で あ っ て,結 果 だ け を 評 価 す る欧 米 の経 営 り 最 大 の 欠 陥 は 将 来 の 達 成 に な され た 努 力 を 評 価 し な い こ と で あ る.ド イ ツ の 経 営 も こ の 点 に 着 目 し,"多 くの 小 さ な ス テ ップ の 和"と し て の 継 続 的 な 改 善 を 重 視 す る よ うに な って い る. ⑭ 西 欧 の 道,東 洋 の 道 日本 企 業 は 総 じて 小 さ な,持 続 的 な ス テ ッ プ(改 善)を 好 む が,欧 米 の 企 業 は イ ノ ベ ー シ ョ ン と い う発 展 の 大 き な 概 念 に 取 りつ か れ て い る.前 者 は ボ トム ・ア ップで 人 間 志 向 で あ り,大 規 模 な 投 資 を 必 要 と しな い.後 者 は 技 術 と投 資 コ ス トの 問 題 で あ り,ト ッ プ ・ダ ウ ン の 形 で 行 わ れ る. (r)ド イ ツ に お け るKAIZEN適 用 の 矛 盾 ドイ ツ の 自 動 車 メ ー カ ー一は 労 働 者 の 思 考 と 自己 組 織 能 力 を あ ま り信 用 し て い な い.労 働 者 に 助 け 手 を 差 し の べ,通 常,生 産 の 分 野 で 各 段 階 等 の 目標 結 果 の 決 定 に 際 して,詳 か な 命 令 を 与 え て い る. そ し て 矛 盾 の1つ ば,KAIZEN/KVPの 要 員 に 及 ぼ す 結 果 で あ り,ド イ ツ の 自 動 車 産 業 と部 品 供 給 産 業 のKVPプ ロ グ ラ ム で は 人 員 削 減 が マ ネ ジ メ ン トの もつ 重 要 な 課 題 で あ る. これ に 対 して,日 本 で は 生 産 性 の 向 上 に か か わ らず 職 務 数 を 維 持 す る が,こ れ は 生 産 量 を 増 加 し,品 質 を 改 善 し,問 題 解 決 に 必 要 な 時 間 を 拡 大 し,次 の 改 善 過 程 へ の 動 機 づ け と な っ て い る.(㈱ 後 記 の と お り,QCサ ー ク ル 活 動 が 人 員 削 減 に つ な が る場 合 が あ る こ と は 日 本 で も 同 様 で あ る.)' 紛 ジ ャ ス ト ・イ ン ・ タ イ ム 生 産 ト ヨ タ の 生 産 シ ス テ ム の 最 大 原 則 は,バ ッ フ ァ ー ・タ イ ム の 除 去 で あ る.欧 米 の 自 動 車 メ ー カ ー も 同 様 で あ る が,数 量 的 指 示 を 厳 し くす るだ け で,目 標 は 達 成 で き な い.と こ ろ が 日本 で は 生 産 自 体 の 内 部 で 機 能 す る 管 理 手 段 に よ っ て お り 「ピ ッ ク ・ア ッ プ の 原 則 」 に し た が っ て 動 く.つ ま り,次 の 生 産 工 程 で 「顧 客 」 が ピ ッ ク ・ア ッ プ す る だ け が 製 造 さ れ る.全 体 の 工 程 は 要 員 と技 術 の 極 め て フ レ キ シ ブ ル な使 用 を 特 徴 とす る各 ス テ ップ の シ ー ケ ン ス で 構 成 さ れ る.欠 陥 部 品 が あ る と,同 期 化 さ れ た,こ の 精 緻 な 生 産 過 程 は 中 断 し て し ま い,た だ ち に 他 の チ ー ム が 駆 け つ け,中 断 が 長 く続 く と 失 わ れ た 時 間 を 取 り戻 す た め に 不 平 を い わ ず に そ の 日 に(無 給 で)残 業 し な け れ ぽ な ら な い.(㈱ こ の 点 に つ い て,日 本 の 自 動 車 総 連 報 告 は,大 筋 は 正 し い が,残 業 は 無 給 で は な い と異 議 を 申 し 立 てZい る.) ドイ ツ の 自動 車 産 業 で は,何 年 に も わ た っ て 大 部 分 が 技 術 に よ っ て 決 め ら れ る 生 産 管 理 シ ス テ ムを 追 及 して き て お り,KAIZENプ ラス JITの 概 念 を 採 用 した の は ご く最 近 で あ る.
4.ド
イ ツ は 我 が 道 を 行 くの か
Steinkh erも,IGメ タ ル が こ の 高 度 に 複 雑 な テ ー マ の す べ て の 問 題 に 回 答 を も っ て い るわ け で は な い と 述 べ て お り,日 本 の 成 功 に は"光 と 影"が あ る こ と を 指 摘 し て い る.即 ち,① ハ イ テ ク と ハ イ 組 織 が 相 互 に 利 用 され て い る.②KAIZENと 過 労 死 は 裏 腹 で あ る. ③ 基 幹 労 働 者 に の み 適 用 され る 終 身 雇 用 制 と 縁 辺 労 働 者 の 惨 め な 状 況,③ チ ー ム の 自律 性 と 独 立 性 を 圧 迫 す る,集 団 圧 力 に よ る 責 任 体 制. ま た,以 下 の よ うに も指 摘 す る."日 本 の 強 い 面 を と り入 れ る た め に,我hは 賃 率 と 社 会 政 策 の 歯 車 を う し ろ 向 き に 回 さ な い よ うに, も う一 度 慎 重 に 見 て お き た い.労 働 時 間,賃 率 制 度,イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー,職 業 訓 練 な ど に つ い て 日本 は 大 き く お くれ を と っ て お り,我 々 は こ の 点 を 見 直 す べ き で あ る.r人 間科 学 研 究 』 文 教 大 学 人 間 科 学 部 第15号1993年 小 山 田英 一 他 方,企 業 は 効 率 的 で な け れ ぽ な ら な い が, も し単 に 経 済 的 な 検 約 の み を 求 め る の で あ れ ぽ,全 体 の コス ト削 減 が 社 会 的 な コ ス ト増 大 を もた ら しか ね な い.人 員 が 削 減 さ れ,納 税 者 が 街 頭 の 失 業 者 救 済 施 設 に 資 金 を 出 す の で あ れ ば 」 ミル ク しぼ りの 少 女 の 計 算 と 同 じ で あ る.し た が っ て,我hは 日 本 の 民 主 的 な 企 業 改 革 を 手 本 と して 合 理 化 原 則 に よ っ て 変 化 し な け れ ば な ら な い が,他 方 に お い て 個hの 経 済 原 則 は 経 済 全 体 の パ ー ス ペ ク テ ィ ヴ の 中 で 見 な け れ ぽ な ら な い." こ の リー ソ生 産 方 式 につ い て不 安 を 持 つ 向 き は 多 い.前 出 のDieMitbestimmung誌 の記 事 は,"減 量 だ け が 適 切 な わ け で は な い"と 結 論 ず け て い る し,IGメ タ ル の 幹 部H.J. Schabedothは 次 の よ うに 指 摘 し て い る."リ ー ン 生 産 方 式 は テ ー ラ ー 方 式 よ り も も っ と 柔 軟 で ドイ ツ に 適 した 方 式 で あ る が,こ れ に 反 対 が な い わ け で は な い..こ の 新 し い プRセ ス に つ い て 行 け な い 人hが 増 加 し て お り,高 齢 者 な ど新 しい 労 働 条 件 の も とで 働 か な け れ ば な らな い 人 達 へ の 配 慮 が 必 要 で あ る.む しろ ホ ワ イ ト カ ラ ー に 問 題 が あ り,リ ー/.・ マ ネ ジ メ ン トを 追 及 す う ζ とが 大 切 で あ る ・ 技 術 の 進 展 に よ っ て 失 業 者 が 出 る 可 能 性 が あ り,継 続 訓 練 を 行 い,雇 用 を 開 拓 す る 必 要 が あ る." ま た,・DGB(ド イ ジ労 働 総 同 盟)の 幹 部W. Mengelkampは 次 の よ う に 指 摘 して い る."合 理 化 と 関 連 し て,:リ ー ン生 産 方 式 は 社 会 に 受 け い れ ら れ な け れ ぽ な ら な い.人 間 化 の 側 面 も あ る が,実 際 に は 問 題 も あ る.『 グ ル ー プ労 働 に つ い て も経 営 側 と労 働 側 に 価 値 観 の 上 で 差 異 が あ る.労 働 側 は 作 業 ・・組 織 の 決 定 プ ロ セ ス へ の 参 加 を 要 望 し,経 営 側 は 生 産 性 向 上 と利 益 を 追 及 した い と 希 望 す る.労 働 側 は こ と に ベル ト ・コ ン ベ ア ー の ス ピ ー ドを 決 め る 上 で,経 営 側 と労 働 側 が 話 し あ う,「 共 同 決 定 権 」 の 適 用 を 望 ん で い る." Hans-Bδckler財 団 の 資 料 で は,リ ー ン 生 産 方 式 の ド・イ ツへ の 適 用 に あ た っ て,以 下 め よ う な 皮 肉 な 指 摘 を して い る.第1に,日 本 の 子 供 は 独 立 心 と批 判 的 な 態 度 を も て な い よ
うに 育 て られ て い る.第2に,日
本 では 熟 練
工 の 社会 的 地 位 な どは 存在 し な い し,生 産 性
や 社 会 的 統 合 に つ い て グル ー プの 機 能 が 第 一
の関 心 事 で あ るが,ド
イ ツで は 熟 練 労 働 は1
つ の職 業 と して確 立 してお り,ド イ ツの 道 は
特 別 の資 格 を要 す る仕 事 を機 械 と生 産 の リズ
ムか ら切 り離 す こ とで あ る.一一般 に,ド イ ツ
の 自動 車 産 業 では 適 切 な資 格 を も った 熟 練労
働 者 の地 位 の確 立 が 課 題 で あ るが,日 本 で は
そ の需 要 は少 な い.日 本的 な方 式 を追 及 すれ ぽ,
熟 練 労 働 者 資 格 が 単 価 切 り下 げ に あ う恐 れ が
あ る.
ドイ ツの生 産 の長 所 は,① 高 い水 準 に あ る
熟 練 工 資 格 に加 えて,② 研究 開 発 力 の 増 大,
③ 闘 争 と協 調 の双 方 が 可 能 な 統 一 的 な利 益,
代表 シ ス テ ム で あ り,'短 所 は ① フ レシ キブ ル
で な い職 務構 造,② 生 産 的 で,価 値創 造 的 な
労働 に対 す る軽 蔑,③ 人や 組 織ぺ の意 図 よ り
も技 術 とオ ー トメ ー シ ョンへ の関 心 が あ った.
また,日 本 の 高生 産 性 の背 後 に あ る もの は
次 の もの で あ る と して,① 長 時間 労 働
② 相
対 的 に低 い賃 金,③ 高 い レベ ル の オ ー トメー
シ ョ ンを あげ,日 本 方 式 の コ ピ ーに 警 戒 す る.
日本 の リー ン生 産 シ ス テ ムを 成立 させ る前提
は,実
に① 会 社 の 目的 に奉 仕 す る弱 体 な労 働
組 合,② 規 律 の あ る労 働者 群,③
貧 し い労働
条 件,④ 部 品 納 入 業 者 の社 会 的 条 件 の低 位,
縁 辺 労 働 者 の不 利 益,⑤ 社 会 的,エ
コ ロジ ー
的 帰 結 に対 す る関 心 の欠 如 を あげ,以 上 の 前
提 と逆 の 社 会 では リー ソ生 産 方 式 を そ の ま ま
コ ピ ーす る こ とが で きな い とい う,認 識 は 的
を射 て い る.
日本 方 式 と ドイ ツの 伝 統 を うま く統合 す る
生 産 シ ス テ ムの 創 造 が 求 め られ る こ とに な る
が,現 在 議 論 され て い る,ド イ ツの我 が 道 と
して は,次 の 方 向 が あ る と言 わ れ る.第1に,
企 業文 化 は,① 操 作 で は な く対 話 に よ って発
展 す る企 業 文 化,』② コ ミs=ケ
ー シ ョソの 透
明性,③ 参 加 者 の 自律 性 が確 保 され な けれ ば ・
な らな い.
第2に,リ7ン
生 産 方式 は,「イ ン テ リジ ェ
ン ト生 産 シ ス テ ム 」 とな らな けれ ば な らな い.
一34一IGメ タ ル の"リ 」 ソ生 産 方 式"へ の 対 応
① 効 率 的 で,② 社 会 的 に調 和 し,③ 民 主 的 で,
④ 革 新 的 で,⑤ エ コ ロ ジ ー的 に健 全 で あ り,
⑥ 社 会 的 責 任 を 担 って い る,と い うこ とで あ
る.
第3に,高
度 の 資 格 を 開 発 し,広 範 囲 にわ
た って 様 々な 専 門 職 業,社 会 的 資 格 を 開発 し
た 自主 的 な 作 業 グル ー プの創 設 で あ る.即 ち,
「有 資 格 者 の チ ー ム ワー ク」 こそ が 大 切 で あ
る.(合 理 化 ア プ ロ ーチ と して の チ ー ム ワー
クは,「労 働 組 合 の 社会 価値 や 倫 理 原 則 に合 致
しな い.)
第4に,労
使 関係 に つ い て,団 体 交 渉 を 中
核 とす る対 抗的 な産 業 別 の労 使 関 係 と,協 調
的 な企 業 別 の経 営 協 議 会 の二 重 構 造 の維 持 が,
フ レキ シ ブ ル に問 題 処 理 をす る こ と に な る.
5.ま
と め に か え て
資 料 の制 約 と情 報 収 集 能 力 の不 十 分 な こ と,
と くに リー ソ生 産 方 式 の 現 場 で の 実 情 が 把
握 で き て い な い等 の事 情 か ら十 分 に総 合 的 な
記 述 が で きた わ け で は な い.し か し,こ こ1,
2年 こ の 問題 がIGメ
タ ル で 極 め て 勢 力 的 に
採 り上 げ られ,日 本 で も一 部 で 急 に関 心 が 高
ま って い る こ と もあ っ て,極 め て 不 十 分 な ま
まに敢 え て問 題 点整 理 を行 った.
第1に,ド
イ ツで の リー ン生 産 方 式 に対 す
る関心 の 高 ま りは,経 済的 危機 た対 処 し よ う
とす る緊 密 な労 使 協 調 の現 わ れ で あ る が,労
働 組 合 の 著 し く慎重 な 姿勢 と研 究 熱 心 が 注 目
され る 。Steinkh
erは 前 記 の論 文 の 末 尾 で
「必要 と され る 日本 との討 議 」 を 掲 げ,日 本
の産 業 の 欠点 を知 りっ く しなが ら,ヨ ー ロ ッ
パ の産 業 の 国際 競 争 力 の 回復 と雇 用 の 維 持 の
た め に 日本 との実 際 的 な討 議 が 必要 で あ る と
強調 す る.実 際 に,両 国 の金 属 産 業 労働 組 合
の定 期 協議 が行 わ れ,日 本 の工 場 見 学 も盛 ん
で あ る.こ れ に比 べ て 日本 の労 使 が 他 国 の 生
産 方 式 を 積 極 的 に研 究 す る とい う状 況 は 殆 ど
見 られ な い.
第2に,労
働 の人 間 化 の視 点 で あ る.ブ ル
ー プ労働
,チ ー ム ワー クは,こ れ迄 の労 働 の
人 間 化 の 基 準 と して欠 か せ な い もの で あ った.
いわ ゆ るToyotism,ト
ヨ タ生 産 方 式 は"在
庫を ゼ ロにす る システ ム"と い う面 が 強 い し,
ス トレス と集団 圧力 に よる管理 の面 が 強い と指
摘 され て きた.QCサ
ークル活動 二 般 につ い て
も 「自主管理 」 とは いい なが らも 、
作 業 者 の ノ
ル マ を 高め るQC""要
員を減 らす よ うな …自
分 の首 を しめ る よ うなQC"が
発 生 しが ち で
あ る し指 摘 され て きた(熊 沢
誠 「
新 編 日本
の労 働 者 像」1993).ド
イ ツ側 は これ らの 点
を十 分 見 て と って い るわ け で あ る.
日本0)リ ー ソ生 産 方 式 の 枠組 み は ど うな っ
て い る か も一 応 振 り返 って お く必要 が あ る.
そ の構 成 は 以 下 の とお りで あ る.〔 作 業 者 個
h人
〕① 多能 工 化(複 数 の専 門技 術の 習得),
② チ ー ム と して の作 業 効 率 が 月 々の 給 与 に 反
映(一
部 企 業),②
改 善 提 案 に奨 励金(些 少),
③ 改 善 ・効 率 ア ップ 活 動 が 「自 己 実 現 」 体
感 の 大 き な要 素.
(チ ーム 〕① 個h人 の年休 取得 ・
作業 遅 れ ・
熟 練 不 足 を チ ー ム と して補 う,② チ ー ム と し
て の最 適 効 率 の 追求,③ 車 種 間 ・部 品 間 の生
産 業 務 に応 じ他 職 場へ の 一 時的 な応 援.
〔生 産 工 程 設計 〕① ライ ン停 止 の判 断 を個 人
に(欠 陥 品製 造 の阻 止),②
作 業 者 か らの 提
案 に基 づ き機 敏 に 設備 改 良 ・工 程 設 計 変 更,
③ 作 業 の し易 い工 程設 計,④ 多 品 種 少 量 生 産
が 可能.
〔部 品 メ ー カ ー 〕①完 成 車 メー カ ー の生 産 計
画 に合 わせた 生産体 制,納 入 体制(設 備,人
員
配置 の変 更),② 大幅 な生 産 変 動 な ど緊 急 時 に
は 企 業 を超 えた 人 員対 応.(以
上,自
動 車 総
連 事 務 局次 長報 告,1992年12月)
「い い物 を安 く大 量 に 迅 速 に 」 を 具体 化 す
る生 産 シス テ ム と しては 優 れ て い るが,終
り
の ない 改善 活 動 ・原 価 低 減 活 動 とな る.作 業
者 自身 の 「人 間 性 を 大 切 に し よ う」 とい う発
想 が 強 く,提 案 活 動 に よる経 営 参 加,ラ イ ン
停 止 の判 断 権 が 認 め られ て い る.し か し,日
本 人 の 「勤 勉 性 」「勤 労 意 欲 」 「
教 育 水 準 の高
さ ・均 一 性」 を巧 み に取 り入 れ て い る もの の,
作 業効 率 追 求 の集 団 圧 力 に よっ て,そ の歯 止
め が か けず ら く,気 が つ け ぽ 「作 業 者 自身 を
r人 間 科 学研 究 』 文 教 大 学 人 間 科 学 部 第15号1993年 小 山 田英 一
追 い込 む こ と」 に な りや す い.
以上 の よ うな 日本 の生 産 方式 を 見 て気 づ く
こ とは,個 人 の熟 練 形 成 の視 点 は な く,あ
く
迄 も"集 団 的 熟 練"で
あ り,経 営参 加 とい っ
て も提 案 活 動 ど ま りで共 同決定 の考 えは 全 く
感 じ られ な い.全 般 的 に効率 重 視 が色 濃 く,
人間 性 を尊 重 しつ つ,人
に負担 をか け る とい
う欠 陥が 露 呈 しか ね な い,こ の他,現 場 労 働
は,不
トレスの 多 い交替 制 労働,残 業 の疸 常
化 が問 題 と し て指 摘 され て い るが,近 年 日本
で も組 織 や 生 産 方 式 の フ レキ シ ビ リテ ィ ー化
は 当 初 労働 の 人 間 化 を促 進す るが,こ
の フ レ
キ シ ビ リテ ィ ー化 が 却 つ て 集団 圧 力 を高 め,
ノ ル マ体 制 も加 わ って 労 働 の非 人 間 化 を 招 く
とい う指摘 が 多 くな って い る.
ドイツの リー ン生 産方 式 で構 想 され ている 「有
資 格者 チ ーム ワー ク」 一 そ の前提 とな る職 務
概 念 の維 持 と広範 な職 業訓 練制 度,全 般 的 な ス
ペ シ ャ リス ト志 向 一 は,日 本 の集 団 圧 力 に
よ る非 人 間化 を是 正 す るた め の,重 要 な要 素
とな ろ うとい う,期 待 が あ る.環 境 保 護,交
通問 題 へ の配 慮,エ
ネ ル ギ ー消 費 の減少,ム
ダの 回 避 な ど も ドイ ツで は この シ ス テ ムの 中
に 包摂 され て お り,こ れ らの要 素 が 日本 の 生
産 方 式 の 中 に構 想 され る と き,労 働 の人 間 化
の増 進 が は か られ る もの と考 え られ よ う.
第3に,前
記 の とお り,ド イ ツで は 共 同決
定 制 度 自体 が 「
労 働 の 人 間 化」 の重 要 な前 提
で あ り,共 同 決 定 の推 進 が 必 然的 に色h%面
で 「
労 働 の 人 間 化 」 を 促 す こ とに な る.経 営
協 議会(1)は殆 どす べ ての事 業所 に設置 され,生
産 計 画や 労 働 条 件 等 に つ い て経 営側 の一 方 的
な考 え では 推 進 で きな い.委 員 で あ る者 は 勿
論,委 員 を や め た 者 も 一 方 的 解 雇 が 法 律 上 禁 止 さ れ,経 営 組 織 法 は 経 営 者 に と り"労 働 組 合 基 本 法"と し て の 性 格 を も つ と い う発 言 す ら あ る.し か し,企 業 の 「社 会 的 公 正 性 」 や 「社 会 的 責 任 」 を 確 保 す る た め に は,何 らか の,こ の よ うな 仕 組 み が 必 要 で あ る と い え よ う. 日 本 の 生 産 方 式 は 経 済 成 長 と 均 質 な 基 礎 労 働 力 の 供 給,継 続 的 な,し か も不 等 価 交 換 的 な 企 業 間 分 業 に お け る 部 品 供 給 企 業 の 下 支 え に よ っ て,成 り立 っ て き た.日 本 の 自 動 車 産 業 は 作 業 環 境 が よ い と は い え ず,逆 に ドイ ツ の リ ー ン生 産 方 式 や ス エ ー デ ン の ボ ル ボ 式 生 産 シ ス テ ム を 学 ん で い く必 要 が あ る よ うで あ る. 現 在,資 本 主 義 の 発 展 様 式 と し て,Fordism (テ ー ラ ー主 謝 か らVolvoism(2)(脱 テ ー ラ ー主 義)へ の 移 行 が 見 られ,日 本 のToyotism は,こ れ 迄 の 米 国 ・英 国 のNeo-fordismと, Volvoismの 中 間 を 行 く も の で あ る と さ れ て い るが,21世 紀 の 資 本 主 義 の 様 式 は ど う な る か 模 索 が 行 わ れ て い る の が 現 在 の 世 界 的 動 向 で あ る.こ の 意 味 で 新 し い 生 産 様 式 に 挑 戦 す る ドイ ツ の リ ー ソ 生 産 方 式 は 今 後 の 方 向 に 関 わ る も の と し て,そ の 帰 趨 の 検 討 は 日本 に お け る労 働 の 人 間 化 を 考 え る 上 で 有 意 義 で あ る と考 え られ る.参
考
文 献
olGMetall
"Gewerkschaft
zwischenTraditionund
Modernen(1993.5)
oIGMetall
注(1)ド イ ツの 経 営 組 織 法 で は,常 勤 従業 員5人 以 上 の 事 業 所 に 従 業 員 代 表委 員 会 と して の 「経 営協 議 会 」 を設 置 す る こ とをi義務 づ け て い る.「 経 営 協 議 会 」 と い っ て も,企 業 内労 働 組 合 の こ と で あ り,本 来 の 労 働 組 合 はIGメ タ ル の よ うに 企 業 の 外 に あ り,個 人 加 入 を 原 則 と して い る. ② トヨテ ィ ズ ムは ボル ボイ ズ イ ズ ム と ネ オ ・フ ォ ーデ イ ズ ム(フ レキ シ ブ ル な テ ー ラー 方 式)の 中間 を行 く もの で あ る とい わ れ る(山 田 鋭 夫 『レギ ュ ラ シオ ン理 論』,講 談 社,1993.5.).ボ ル ボ イ ズ ム は,ス ェーデ ンの ボ ル ボ 自動 車 に 由来 して お り,KahnarとUddevallaの 工場 で ベ ル トコ ソベ ア ーを 廃 し て1チ ー ム10 人 ほ どで 自動 車 が 最 初 か ら 最 後 迄 組 み 立 て る 試 み が 行 わ れ た(1989年).会 社 は 市 場 低 迷 の 中 で 両 工 場 の業 績 が 低 下 した た め,前 者 を1994年 に,後 者 を1993年 に工 場 閉鎖 す る こ とを決 定 した.し か しその 発 表 直 後か ら,品 質 の 向 上,コ ス トの 削減 等 の実 績 が 上 って い るが(C.Berggren,"Performanceversusp。wer", September1993),こ の よ うに ボ ル ボ 生 産 方 式 が 確 立 され て い るわ け で は な い. 一36一IGメ タ ル の"リ ー ン生 産 方 式"へ の 対 応