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地域の経済分析 : 経済と財政の再生に関する実証的研究

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(1)地域の経済分析 一経済と財政の再生に関する実証的研究一. 林 亮輔.

(2) 目次 目 次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 1. 序 章 地域経済を取り巻く環境変化と政策課題・・・・・・・… 5. 第1章 地域経済の将来予測を踏まえた道州制導入の財政効果 1本章の問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 12. 2 地域経済の将来予測 2.1 地域経済予測モデルの考え方・・・・・・・・・・・・・・・…. 13. 2.2 地域経済力決定要因の予測モデル・・・・・・・・・・・・・…. 16. 2.3 地域経済の将来予測結果・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 17. 3 地方財政の将来予測 3.1 地方財政予測モデルの考え方・・・・・・・・・・・・・・・…. 19. 3.2 基準財政収入額の予測モデル・・・・・・・・・・・・・・・…. 19. 3.3 基準財政需要額の予測モデル・・・・・・・・・・・・・・・…. 21. 3.4 地方財政の将来予測結果・・・・・・・・…. .…. .....21. 4 道州制導入と地方財政 4.1 地方分権社会に向けた地方税改革・・・・・・・・・・・・・…. 25. 4.2 道州制導入と地方税改革が地方財政に及ぼす効果・・・・・・…. 26. 5 むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 28. 補論 地域計量経済モデルの方程式体系・・・・・・・・・・・・・… 29 付表 変数リスト・・・・・・・・・・・・… ..’.’’’.’..32. 第2章 戦後公共投資政策の変遷と地域間格差是正の評価 一厚生水準を用いた分析一 1 本章の問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 33. 2 地域厚生水準の推計 2.1 厚生関数の特定化・・・・…. .’.’..’’’’...’.’34. 2.2 潜在厚生水準の推計方法・・・・・・・・・・・・・・・・・…. ・1・. 35.

(3) 3 潜在県内総生産と潜在民間最終消費支出の推計 3.1 生産関数の推計方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 36. 3.2 稼働率の推計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 37. 3.3 消費関数の推計方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 39. 3.4 推計結果・・・・…. .....’...’’’’.’’’...39. 4 都道府県別厚生水準の変動と公共投資の影響 4.1 厚生水準の変動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 41. 4.2 厚生水準の地域間格差と公共投資政策の影響・・・・・・・・…. 43. 5 厚生水準の変動要因 5.1 要因分解の方法・・・・・・・・・…. ............44. 5.2 限界生産性および限界民間最終消費支出の推計・・・・・・・…. 44. 5.3 変動要因の考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 46. 6 むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 48. 補論1 トランスログ型厚生関数のパラメーターの導出方法・・・・…. 49. 補論2 データの作成方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 52. 第3章 道路投資と地域経済一地域間相互関係を考慮した実証分析一 1 本章の問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 56. 2 モデルの考え方 2.1 道路整備による地域経済への影響・・・・・・・・・・・・・…. 56. 2.2 先行研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 57. 2.3 本章における実証モデルの特徴・・・・・・・・・・・・・・…. 58. 3 実証分析 3.1 相対的な所得水準を表す変数・・・・・・・・・・・・・・・…. 60. 3.2 推計式・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 62. 3.3 データ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 64. 3.4 推計結果・・’...’’’’.’.’..’..’’’’’.’’65. 4 むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. ・2・. .・・…. 68.

(4) 第4章 集積の利益と地域経済 一企業活動に関する最適空間積造のシミュレーション分析一 1本章の問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 71. 2 集積の利益の特定化. 2.1集積の利益と空間構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 72 2.2 密度勾配の推計・・・・・・・・・・・・・・・・…. ....’73. 3 実証分析 3.1 モデルと推計式・・・・・・・・・・・・・…. ........76. 3.2 データ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 77. 3.3 推計結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 78. 4 最適な空間構造(シミュレーション分析) 4.1 シミュレーション方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 80. 4.2 シミュレーション結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 81. 5 むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 83. 補論 最適空間構造の導出方法・・・・・・・・・・・・・・・・・… 84. 第5章 都市白治体の労働コスト格差と要因分析 1 本章の問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 87. 2 分析対象とする給与および職員の範囲と非裁量要因の特定化 2.1 給与および職員の範囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 88. 2.2 非裁量要因の特定化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 90. 3 給与水準格差の非裁量要因 3.1 給与水準格差と非裁量要因候補・・・・・・・・・・・・・・…. 91. 3.2 推計結果一給与水準格差と非裁量要因一・・・・・・・・・・…. 93. 4 職員数格差の非裁量要因. 4.1職員数格差と非裁量要因候補・・・・・・・・・・・・・・・… 94 4.2 合併と職員数・・・・・・…. ’’’’’’’’.’’’●’.’96. 4.3 推計結果一職員数格差と非裁量要因一・・・・・・・・・・・…. 97. 5 労働コスト格差の検証 5.1 非裁量要因による格差の調整方法・・・・・・・・・・・・…. ・3・. 102.

(5) 5.2 財政力と労働コスト格差・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 105. 6 むすび・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 107. 第6章 政策的インプリケーション・・・・・・・・・・・・・…. 108. 参考文献・資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・… 113. ・4一.

(6) 序章 地域経済を取り巻く環境変化と政策課題 地域経済は今、大きな環境変化に直面している。第1は少子高齢化による人. 口の減少である。国立社会保障・人口間題研究所の将来人口予測(2007年5 月推計)によると、2005年から2035年までの間に、日本全体では15.4%の人 口減少が予測されている。自然動態(出生と死亡の差)による都道府県別の人 口増減率をみてみると(表1参照)、沖縄県は4.4%の人口増加が予測されてい. るものの、その他の都道府県はすべて人口減少が予測されており、秋田県は 22.6%の減少、高知県は20.2%の減少、山口県は19.3%の減少と、30年間で. 人口が著しく減少する。また、首都圏に位置する地域においても、埼玉県は 11.3%の減少、千葉県は12.5%の減少、東京都は15.5%の減少、神奈川県は 11.2%の減少が予測されている。. 第2の環境変化はグローバル化の進展である。グローバル化により、企業を 始めとする様々な経済主体は、国境の垣根を越えて、経済活動を行う上で魅力 的な条件が揃っている地域に活動の場を移している。したがって、魅力的な条 件を提示できる地域は、グローバル化の進展と共に成長を遂げられるのに対し、. 提示できない地域は、工場の海外移転に伴う産業の空洞化など、衰退の一途を たどることになる。. わが国には、地形や気候といった自然条件が異なる、大小様々な地域が存在 する。各地域がグローバル化の波に対応するためには、それぞれの地域特性に 応じた発展戦略を展開することが必要となる。しかし、わが国では地域政策を 含めた政策の意思決定が中央集権的に行われており、また、国によって政策の 細部にまで規制されていることから、各地域が独自の政策を実施できない環境 となっている。. 第3の環境変化は東京一極集中である。政策の意思決定機関が東京都に集中 しているという中央集権システムの恩恵により、首都圏で生じた問題に対して. は迅速な対応が行われ、経済活動に必要なインフラが国家予算を用いて整備さ れるなど、首都圏にはグローバル化の波に対応できる環境が整っている。. 人や企業などの経済主体は、経済活動を行う上で相対的に魅力度の高い地域 に移動するわけであるが、新古典派の経済学では、市場メカニズムに委ねてお. 一5・.

(7) くことで移動は収束すると考えられている。しかし、現行の中央集権システム を前提とした地域問競争では、市場メカニズムが適正に作用せず、その結果、. わが国では、人や企業などが首都圏に集中する「東京一極集中」の問題が生じ ている。. 以上のような環境変化に直面した地域は、経済パフォーマンスを停滞させる ことになるが、それは人口動態に端的に表れることになる。人口変動は自然動 態と社会動態(転入と転出の差)の合計である。少子高齢化という自然動態に よる人口増減率は上述した通りであるが、東京一極集中という社会動態を加味 した人口増減率をみてみると(表1参照)、秋岡県は31.7%の減少、高知県は 25.1%の減少、山口県は26.1%の減少と、減少率がさらに高くなる。しかし、 首都圏に位置する地域では社会動態を加味することで、千葉県は9.2%の減少、 神奈川県は3.1%の減少と、人口減少率が低くなり、東京都では1.O%の人口増. 加となる。このように、首都圏では出生率の低下による自然減が人口減少要因 であるのに対し、他地域では自然減に加えて、東京一極集中による社会減とい う人口減少要因を抱えている。. 表1 都道府県別・動態別の人口増減率(2005年から2035年) 人口増減率 社会動態 一17.3% 一43%. 自然動態 北海道 青森県. 一17.5%. 一9.3%. 岩手県 宮城県. 一17−0%. 一7−9%. 一12.0%. 一4.0%. 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 富山県. 一22.6%. 一肌1%. 一16.8%. 一7.1%. 一12.9%. 一8.3%. 一12.7%. 一5.0%. 一124% 一1z9%. 一1.2% 一3−1%. 一11.3%. 皿0%. 一12−5%. 秋3%. 一1臥5%. 16,5%. 一11.2%. 8.1%. 一16.5%. 一6.4%. 一16.8%. 一4.0%. 人口増減率 社会動態 一1弘0% 一53%. 人口増減率 自然動態 社会動態. 自然動態. 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県. 一12.0%. 一5.7%. 一12.9%. 一3.6%. 一14.2%. 一5.2%. 一12石%. 一3−8%. 一13.0%. 一1石%. 一8−8%. 5−2%. 一13.7%. 一皿6%. 一7.1%. 42%. 一1&5%. 一0.6%. 一13−3%. 一3,0%. 一13.1%. 一L1%. 一1&9%. 一8−4%. 一18−4%. 一104%. 一146%. 一3.9%. 一18.1%. 一7.3%. 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 全国. 一13.3%. 一1.0%. 一13.5%. 一3.4%. 一19.3%. 一&8%. 一18.3%. 一49%. 一1臥3%. 一臥4%. 一17.4%. 一5,8%. 一20.2%. 一5−0%. 一12−0%. 一肌1%. 一11.0%. 一6£%. 一14,2%. 一10−3%. 一13血%. 一5−0%. 一16−3%. 一3.4%. 一13−2%. 一7.7%. 一144%. 一6−4%. 4−6%. 一02%. 一13.4%. 0.0%. 出所)国立社会保障・人口問題研究所『都道府県別将来推計人口』(2007年5月推計)よ り作成。. ・6・.

(8) 地域経済の成長は短期的には需要側の要因、中長期的には「労働力」、「民間 資本」、「社会資本」といった生産要素や、効率的な生産活動を行うために必要. な「集積の利益」といった供給側の要因によって決定される(図1参照)。し たがって、少子高齢化や東京一極集中による人口の減少は、労働力の減少を招 き、供給面から地域経済に影響を及ぼすこととなる。また、人口の減少は地域 の市場規模を縮小させ、企業の収益を悪化させる。人口の減少による労働力の 減少、そして、市場規模の縮小による企業収益の悪化は、企業を他地域に流出 させることとなり、地域経済成長に必要な民間資本への投資を減少させるとと もに、地域経済成長の重要な要因である集積の利益をも弱めることとなる。. 地域経済成長のためには、民間部門と並んで自治体が果たすべき役割は大き い。しかし、財政活動の原資である地方税は所得や消費を課税べ一スとしてい ることから、人口の減少により地域経済が縮小すると、地方税収も減少するこ ととなる。また、財政需要は人口減少に比例して小さくなるわけではなく、行. 政サービスには受益者数が多くなるにつれて人口1人当たり経費が低下すると いう規模の経済性を持つものが多いことから、人口の減少は規模の経済性が作. 用する公共サービスの効率性を低下させることによって、人口1当たり経費を 割高にする。このように、人口の減少は、歳入と歳出の両面から地方財政に影 響を及ぼすのである。. 図1 人口減少による負のスパイラル 財政活動. r一・財政力一口n ,・社会資本整備■一 1 I I I. I. ■. 民岡経済活動. 1. 1. 人 口. 動 態. 人口1人. 1. I. ■ 1. 当たり経費. ■. 1. 1. I. 生活関連型 社会資本. ■. 1. I I. ■. 集積の利益. 1. 1. I. 1. 労働. 税収. I l. I. 1. 民間資本. 一一一一・・・…. ・7・. ・. ‘. I □ ■ I 一一一・・. ■. 産業基盤型 社会資本. I ■. ・. I.. ・. 一. 一 一. 地 城 厚 生 水 準.

(9) 人口減少による地方財政の悪化は、家計や企業が経済活動を行う上で重要な、. 行政サービスの提供の廃止や、生活関連型社会資本・産業基盤型社会資本整備 の停滞に結びつき、これらがさらに企業や人口の流出を招くという「負の連鎖」. を招きかねない。これまでは、公共投資や地方交付税といった再分配を目的と した財政手段によって負の連鎖を遮断してきたが、今日の厳しい財政制約下で. は限界があるばかりか、Baumo1(1963)が「累積的衰退」と呼んだように、 再分配政策によっていったん高まった所得水準も結局は低位均衡状態に戻って しまうことも考えられる。. したがって、少子高齢化、グローバル化、東京一極集中という環境変化に直 面をしている地域の経済を発展させるには、これまで行われてきた対処療法的 な再分配政策などではなく、地域の実情に即した地域活性化策の策定と、厳し い財政制約下で地域活性化策を実施するための財源の捻出という地域発展戦略 が必要となる。本論文は以上の問題意識のもと、地域発展戦略へのヒントを提 示しようとするものである。本論文の構成は以下の通りである(図2参照)。 第1章では、供給主導型の地域経済・財政モデノレを構築し、人口減少社会に おける地域経済と地方財政の将来予測を行う。. 地域経済の将来予測は、人口の減少による①労働力人口の減少と②集積の利 益の弱体化を想定した上で行う。また、地方財政の将来予測は、①基準財政収 入額は県内総生産の将来値等から各税目の課税べ一ス(例えば法人事業税、法 人住民税法人税割については法人所得、個人住民税所得割については課税所得、. 地方消費税については民間最終消費支出等である)の将来値を推計し、そこか ら求めた税額の75%に、同じく県内総生産から予測した地方譲与税を加えて求 め、②基準財政需要額は面積と人口に加えて、将来の高齢化を考慮するために 老齢人口を用いて推計した式に、将来の数値(面積、人口、老齢人口)を当て はめることによって求める。なお、基準財政需要額は単位費用の水準に影響さ. れることから、単位費用の伸び率について3ケース(単位費用が2006年度で 固定されるケース、年率0.5%で伸びるケース、年率1.O%(全国の総生産伸ぴ 率に近い)で伸びるケース)を想定する。. 以上の想定の下、地域経済および地方財政の将来予測を行うとともに、道州 制導入に伴う制度改革が地方財政にどのような効果をもたらすかについても検. ・8・.

(10) 証を行う。. 第2章では、公共投資政策に焦点をあて、地域経済活性化策の提言を行う。 公共投資の目的は多様であるが、その主たる目的は社会資本を整備すること によって人びとの生活機能や企業の生産機能を向上させ、国民の厚生水準を高 めることにある。わが国で行われてきた公共投資政策は、その時々の経済状況 に応じて、分野間での配分を大きく変動させてきたことから、地域住民の厚生 水準や地域間格差が公共投資政策の動向によって影響を受けていると考えられ る。. そこで、本章では、①景気低迷など需要サイドの影響を取り除いた「潜在厚 生水準」を推計し、②生活関連型社会資本の直接的な厚生効果と、産業基盤型 社会資本の間接的な厚生効果をとらえることで、各地域の厚生水準を最も効果 的に高めることのできる公共投資政策のあり方について検証する。. 第3章では、公共投資政策の中でも道路投資政策に焦点をあて、地域経済活 性化策の提言を行う。. 地域は他の地域と相互に関連を持ちながら経済活動を行っていることから、. 特定地域で整備された社会資本の便益が、他地域の市場を拡大するといったス ピル・オーバー効果を発揮したり、経済力に差が存在する地域間の交通インフ ラ整備は、「ストロー効果」によって経済力の弱い地域にとってはむしろマイナ. スの影響を及ぼす可能性も考えられる。このように地域間の相互依存関係や競 合関係が強化されている今日、中長期的な地域経済活性化に資する社会資本整 備のあり方を検証するためには、複数地域間の人的、物的交流を踏まえた研究 が不可欠である。. そこで、本章では、効果が行政区域を越えて及ぶことの多い道路をとりあげ、. 白地域内の道路整備の効果だけでなく、経済力に差が存在する複数地域が道路 で結ばれた場合、民間経済活動に影響することにより道路整備の効果が地域毎 に異なる可能性について、①地域間道路によって連結される地域問に存在する 経済力格差、②地域間道路によって連結される地域数を組み込んだモデルを用 いて検証する。. 第4章では、集積の利益に焦点をあて、地域経済活性化策の提言を行う。 地域経済の成長は、中長期的には労働、資本といった要因によって決定され. ・9・.

(11) る。しかし、地域経済のパフォーマンスを考えるとき、見落とすことができな い重要な要因は、人口や企業が集積することによって生じるメリットである。 そこで、本章では、①「中心密度(地域中心部における事業所の密度)」と「密. 度勾配(中心部から遠ざかるにつれて事業所密度が低下する程度)」といった空. 間構造を表す変数を集積の利益変数として用いた生産関数を推計することによ って、集積の利益が地域経済に重要な影響を及ぼす要因であるのかを検証する とともに、②影響を及ぼすとすれば、集積の利益を高めるためにはどのような 政策が有効なのかを、シミュレーション分析によって導き出す。. 第5章では、都市自治体の労働コストに焦点をあて、自治体経営のあり方に ついて提言を行う。地方財政の制約が高まる中、行政の効率化によって地域政 策に利用可能な人的資源や財源を生み出すことが求められているためである。. 近年の地方財政危機を契機として、多くの自治体で給与水準の抑制と職員数 の削減が行われている。しかし、2008年度における政令市を含む市の一般行政. 職の給与水準(給料十期末手当)を比較すると、東京都国立市の645.07万円 から、北海道赤平市の382.71万円まで、自治体間の差は非常に大きい。人口 千人当たり職員数についても、最多の北海道歌志内市が13.21人、最少の大阪 府和泉市が2.59人と、大きな差がある。こうした格差は、行政サービスの供給. に関する自治体間の効率性格差の存在を予想させる。しかし、人件費(労働コ スト)の格差には、例えば、規模の経済性によって人口規模が大きい自治体ほ ど人口当たり職員数が少なくなるなど、各白治体が置かれている環境の相違に よって発生した部分もあり、格差のすべてを効率性の大小に帰属させるわけに はいかない。. そこで、本章では、自治体間に生じている労働コスト格差を、「給与水準格差」. と「職員数格差」の両方から把握するとともに、それぞれの格差を生じさせて いる要因を、①自治体が置かれている環境の違いに左右される部分と、②行政 運営における自治体の効率性の違いによって生じる部分に分解し、検証する。. 最後に、第6章では、以上の検証から得られた結果を踏まえて、地域発展戦 略の提言を行う。. 一10・.

(12) 図2 本論文のフローチャート. 序章:地域経済・地方財政を取り巻く環境の把握。 Key Word8:少子高齢化、グローバル化、東京一極集中. ・地方財政の将来予測. 第1章:地域経済と地方財政の将来を予測。 Key Words:供給主導型地域成長モデル、財政力指数、道州制、地方税改革. 地域発展戦略の方向性 ・地域活性化策 ・財源の捻出. 発展戦 型幽璽………’...…’....’.’’’’’’’’’’’..’’’’.’’’’.’.’.’’.’……….’’..’.…’.’’’’’’.’’’’’...……’……’…’’’…. 第2章:公共投資政策が厚生水準に及ぼす影響を検証。 Key Wordg:公共投資政策、厚生水準. 第3章:地域間の相互依存関係を考慮した上で、道路投資政策の効果を検証。 Key W㎝dg:道路投資、ストロー効果 第4章:地域経済における集積の利益を検証。 Key Words:集積の利益、中心密度、密度勾配、空間構造 財源の捻出一…・・・……・・・…一’’.’.’’’..’’’’’. 第5章:都市行政の効率性を労働コストの面から検証。 Key Wordg:労働コスト、地域特性、裁貴要因・非裁量要因、財政力指数. 第6章:政策的インプリケーション. ・11一.

(13) 第1章 地域経済の将来予測を踏まえた道州制導入の財政効果 1本章の問題意言哉 労働力人口は少子化による生産年齢人口の減少と、生産年齢人口が他地域に 転出することの影響を受ける。高度経済成長期に起こった地方から大都市への 人口移動は、農業の労働生産性の上昇によって余剰となった人びとが中心であ った。つまり、若年者の地方からの流出が地方経済にダメージを与えることは 比較的少なかったのである。ところが今日の人口移動は、地域の生産活動にと って不可欠な若者の流出であり、地方経済は労働力の減少を通じて供給面から 打撃を受けることが予想される。. 道府県税および市町村税の税収弾性値(道府県税または市町村税の変化率÷. 県内総生産の変化率)を2006年度の道府県べ一スで計算すると、道府県税は 1.05、市町村税は1.09となり、地方税収の変動は経済の変動よりも大きい1)。. したがって、労働力人口の減少によって生じる地域経済成長率の差は、現在す でに存在する地方税収の地域間格差をさらに拡大することになる。とくに経済 成長率がマイナスになると、税収の落ち込みは大きい2)。. 一方、行政サービスには受益者数が大きくなるにつれて人口1人当たり経費 が低下するという規模の経済性を持つものが多く、人口減少によって人口1人 当たり経費が割高になることから、この傾向は地域間の財政力格差をさらに拡 大させる。. そこで、本章では、全国の都道府県を対象として地域別の経済を予測し、そ れが地方財政にどのような影響を及ぼすかについて予測する。そして、道州制 の導入は、規模の経済性による行政効率の改善につながると考えられることか ら、道州制の導入とそれに伴う地方税改革が、地方財政にどのような効果をも たらすかについても検証を試みる。. 1)税収弾性値は、1〃=α十α舳RPを2006年度の道府県別データで推計し、αとして求め ている。なお、’ηは自然対数、τは税収、6RPは県内総生産である。. 2)以下の県は予測期問中に経済成長率がマイナスになる。括弧内は成長率がマイナスに転 じる年度である。青森県(2029)、岩手県(2033)、秋田県(2023)、福島県(2034)、茨 城県(2035)、新潟県(2034)、富山県(2033)、大阪府(2033)、和歌山県(2027)、島 根県(2034)、徳島県(2028)、山口県(2028)、香川県(2034)、愛媛県(2033)、高知 県(2035)、長崎県(2033)。. ・12・.

(14) 本章の特徴として、以下の2点があげられる。第1は、将来の地域の姿を踏 まえた上で、制度改革の効果を検証している点である。制度改革が地方財政に 与える影響のシミュレーション分析はこれまでにも多く行われているものの、. それらは、過去の実績をべ一スに制度改正の影響を見ているにすぎない。しか し、東京一極集中がさらに進行し、地方経済のいっそうの衰退が予想される現 在、制度改革の効果は将来の地域の姿を踏まえたものでなくてはならない。. 第2は、地域の構造変化と、それによって影響される地域経済のポテンシャ ルを踏まえた上で、地方財政の予測を行うことを目的としていることから、供 給主導型のモデルを想定している点である。その際、集積の利益や技術進歩と いった、地域経済に影響を及ぼすと考えられる要因を内生化したうえで、モデ ルに組み込んでいる。. 本章の構成は以下の通りである。第2節では、地域経済予測モデルを構築す るとともに、人口動態を考慮した地域経済の将来予測を行う。第3節では、地 方財政予測モデルを構築するとともに、第2節で行った地域経済の将来予測を 踏まえ、地方財政の将来予測を行う。第4節では、道州制の導入と地方税改革 が地方財政にもたらす効果について検証を行う。. 2 地域経済の将来予測 2.1 地域経済予測モデルの考え方. 地域経済の将来を予測する方法として、生産関数アプローチがあげられる。. 生産関数アプローチとは、ある期の生産量が他の何らかの変数によって決定さ れると仮定し、その変数の動態から生産量の変動を推計する方法である。この 方法によって、今後の人口動態を考慮した上で、将来の地域経済を予測するこ とが可能になる。. 地域経済のポテンシャルは、図1・1が示すように、①労働力、②民間資本ス トック、③集積の利益をはじめとしたその他の要因によって決定される。した がって、本章では生産関数を、. 昨・一λ。κ、糾・γt. _(1). ・13・.

(15) 図1−1 供給量視地域経済予測のフローチャート. 地域要因. 全国要因 ■・・…. 人口移動(社会動態) 出生率・死亡率(自然動態) ●●●●○ :. :. ..・・.・..・・・・・・…. ●●1産業構造1. ■、・・・・・・・… ....・・■.・..■. 産業基盤型 社会資本 集積の利益. 技 術 進 歩. ●. 民間資本ストック. 労働力. その他の要因. :. :. ○●●●●●●●●●●○○●○●●. 地域経済力. 財政力. と特定化し、(1)式の両辺を対数変換した、. 1η昨t=αr+α刈ηκρ、t+β刈ηL沌十γれ. _(2). を用いてパラメーターの推計を行う。(2)式におけるγは実質県内総生産、∼は. 民間資本ストック、Lは労働力、rは地域である。なお、(2)式ではタイムトレ. ンド(t)を用いることにより、全国共通の生産性上昇要因が全期間に渡り一 定であると仮定している。. 推計には、47都道府県×26ヵ年(1980年度から2005年度まで)からなる 1,222のパネルデータを用いる。実質県内総生産および労働力(就業者数)は 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算年報』、民間資本ストックは内閣府経. 済社会総合研究所『民間企業資本ストック年報』における実質民間企業資本ス トック(取付べ一ス)の増分を、『県民経済計算年報』の各都道府県の県内総資. 本形成(民間企業設備)で按分することによって算出する。表1・1には推計に 使用するデータの基本統計量が示されている。. (2)式の推計結果が表1・2に示されている。全ての変数のパラメーターが 有意になった。なお、プーリング推計と固定効果モデルの選択に関するF検定、. ・14・.

(16) 固定効果モデルとランダム効果モデルの選択に関するHausman検定を行った 結果、固定効果モデルが選択されたことから、(2)式における叫ば地域ごとに. 異なる値をとる地域要因である。民間資本と労働の係数の合計がO.821と1を 下回っているが、これは、集積の利益を含む地域要因(叫)を明示的にモデル に組み込んだことによると考えられる。. 地域経済の将来予測は、以下で推計される労働力、民間資本ストック、その 他の要因の将来値を(2)式に代入することで求められる。. 表1−1 基本統計量 県内総生産 i1oo万円). 民間資本ストック. 就業者数. @ (100万円). @(人). 最大. 97,346,601. 172,836,353. 8,796,240. 最小. 1,249,283. 1,126,843. 308,257. 平均. 9,332,529. 15,710,419. 1,324,495. 標準偏差. 12,653,082. 20,910,㏄9. 1,396,548. 標本数. 1,222. 1,222. 1,222. 出所)内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算年報』、『民間企業資本ストック年報』よ り作成。. 表1−2 推計結果 係数 O.395※※※. 民間資本ストック. i23.36). O.426※※※. 労働力. i13.26). O.005※※※. タイムトレンド. i10.44). ・djR2. O.998. F検定. 0. Hausman検定. O. N. 1222. 注)1)括弧内はt値、adjR2は自由度修正済決定係数、Nは観測値数、F検定、Hausman 検定の値はP値を表す。 2)※は10%、※※は5%、※※※は1%有意水準で有意であることを示している。. ・15・.

(17) 2.2 地域経済力決定要因の予測モデル. 労働力(Zれ)は、総務省統計局『労働力調査年報』に掲載されている2007 年度の年齢階級別労働力率(=年齢階級別労働力人口/年齢階級別人口:全国 値)が将来も続くと考え、国立社会保障・人口間題研究所『都道府県別年齢階 級別将来人口』に乗じることで求める3)。. 上述の方法で推計した都道府県別労働力人口の将来値が、表1・3に示されて いる。人口減少率が31.7%であった秋田県は、同期間中に労働力人口は42.9%. もの減少となる。和歌山県も38.5%減、青森県38.0%減等、30%以上の労働. 力人口の減少が予測されるところは18道県、20%以上30%未満の減少が予測. 表1−3 都道府県別労働力人口の将来予測(増減率). 単位:%. 北海道. 東北. 北関東. 南関東. 労働力人口 増減率. 労働力人口 増減率. 2005∼2035. 2005∼2035. 北海道. 一33.2. 青森県. 一38.0. 岩手県. 一34.8. 宮城県. 一26.0. 秋田県. 一42.9. 山形県. 一32.3. 労働力人口 増減率 2005∼2035. 富山県. 一30.8. 石川県. 一27.9. 福井県. 一26.5. 長野県. 一27.9. 徳島県. 一32.4. 岐阜県. 一25.7. 香川県. 一30.8. 静岡県. 一25.4. 愛媛県. 一32.9. 福島県. 一30.5. 愛知県. 一12.5. 高知県. 一33.6. 新潟県. 一32.3. 三重県. 一22.9. 福岡県. 一21.6. 茨城県. 一29.0. 滋賀県. 一10.9. 佐賀県. 一26.2. 栃木県. 一24.O. 京都府. 一23.3. 長崎県. 一344. 群馬県. 箏25.9. 大阪府. 一27.2. 熊本県. 一27.2. 山梨県. 一25.7. 兵庫県. 一24.8. 大分県. 一28.8. 埼玉県. 一24.2. 奈良県. 一33.9. 宮崎県. 一31.7. 千葉県. 一22.6. 和歌山県. 一38.5. 鹿児島県. 一29.4. 東京都. 一9,1. 鳥取県. 一25.9. 沖縄県. 島根県. 一33.1. 神奈川県. 北陸. 中部. 近畿. 中国. 一14.7. 中国. 四国. 九州 ・沖縄. 岡山県. 一22.5. 広島県. 一26.6. 山口県. 一35.7. 全国. 一2.8. 一23.5. 出所)国立社会保障・人口問題研究所『都道府県別将来推計人口』(2007年5月推計)よ り作成。. 注)増減率は2005年度の理論値との比較。 3)『労働力調査年報』では高齢者に関しては、65∼69歳、70歳以上に区分している。65 ∼69歳人口の労働力率は長期的に低下傾向にあるが、最近の上昇傾向および年金支給開始 年齢の引き上げを考慮して、2007年度の36.7%(全国平均)がそのまま続くと仮定した。 女性の年齢階級別労働力率は、30歳から39歳までが低くなるM字型となっているが、今 後、少子化対策によってM字型が改善される可能性も考えられる。しかしながら本章では、 その点については考慮していない。. 一16・.

(18) されるところは24府県に達する。このような大幅な労働力人口の減少は地域 の生産力を停滞させることになる。. 将来の民間資本ストック、その他の要因の推計式は、補論の方程式体系に示 されているが、ここで簡単に説明しておく。なお、データの出所は付表に示さ れている。. 民間資本ストック(∼、、)は、①現在の生産規模から見た望ましい資本スト ックと前期ストックとの差額の一定割合が投資になるという「ストック調整型」 投資関数を想定し、1期前の民間資本ストック(∼、、.、)と、生産活動の規模. を表す変数である1期前の県内総生産(昨ト1)とで推計する。②推計式に1期 前の民間資本ストックおよび1期前の県内総生産の将来値を代入することで、 民間資本ストックの将来値を予測する。. 生産能力に影響を与える地域要因(吟t)は、①集積の利益を表す「県内就 業者数(L舳)/可住地面積(〃所)(就業者密度)」と産業基盤型社会資本スト ック(∼、,)によって変化すると考える4)。就業者密度は労働力人口の減少に. よって低下することになる。とくに、地方圏においては低下傾向が著しい。生. 産に影響する産業基盤型社会資本ストックについては、ここでは2006年度の 水準のままで推移すると仮定する。また、産業基盤型社会資本は民間資本スト ック(∼、、)を通じて間接的に地域の生産活動に影響すると考え、「産業基盤型. 社会資本ストック×民間資本ストック」を説明変数とする。②推計式に各説明 変数の将来値を代入することで、地域要因の将来値を予測する。. 全国に同じ影響を与えるその他の要因として技術進歩を想定し、タイム・ト レンドを用いて予測する。. 2.3 地域経済の将来予測結果. 地域経済の将来予測を行った結果が表1−4に示されている。2005年度から 2035年度までの年平均成長率は、南関東が1.29%であるのに対して、北陸は 0.53%、中国は0.54%、四国は0.55%、東北は0.56%と、南関東を大きく下 回っている。また、大都市圏である近畿は0.79%、東海は0.91%と予測された。. 図1・2は労働力人口の年平均減少率(2005年度から2035年度)と年平均経 4)産業基盤型社会資本には、道路、港湾、航空、工業用水が含まれる。. ・17・.

(19) 済成長率(同)の関係を都道府県別に見たものである。労働力人口の減少が大 きい地域ほど経済成長率が低くなっている。. 表1−4 地域ブロック別経済成長率予測 単位:%. 年平均成長率 2005∼2020. 2020∼2035. 2005∼2035. 北海道. 1.53. O.49. 1.01. 東北. O.93. O.18. 0.56. 北関東. 1.27. O.48. O−87. 南関東. 1.71. O.88. 129. 北陸. O.87. O.20. 0.53. 東海. 1.21. α62. 0.91. 近畿. 1.22. 0.37. O.79. 中国. α81. 0.28. O.54. 四国. O.91. O.19. O.55. 九州・沖縄. 1.42. 0.59. 1.00. 全国. 1.33. O.57. 0刃5. 注)1)地域区分は第28次地方制度調査会「道州制のあり方に関する答申」(2006年2月). の区域例2の11道州によっている。ただしここでは、別区域とされた沖縄は九州 に含めた。 2)t年間の年平均成長率は、4=(1+κ)㌧%のκの値である。. 図1−2 労働力の減少と経済成長の関係 2.5 経 ◆ 済 成 2 長 ◆ 率 ♂ 1.5甲 ooα ◆◆ 年 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 1 平 ◆ 均. 。㌦・伽 ◆ 1単. ◆ ・ r一 一2. 1㏄隻. 一. 〇 ・1.5. −1. −0.5. 労働力人口減少率(05−35年平均 単位:%). ・18・. O.

(20) 3 地方財政の将来予測 3.1 地方財政予測モデルの考え方. 地方財政の将来予測は、基本的に計量経済学的手法を用いて行う。予測は、. 財政収入と財政支出を一定の仮定に基づいて伸ばすという「積上げ方式」によ って行うこともできるが、この方式は短期予測に適しており、本章のような中 長期の予測には適さない。したがって、可能な限り計量経済学的手法を用い、 必要に応じて積上げ方式で補完するという方法を採用する。. 計量経済学的手法は、過去の財政変数とそれを決定する要因との関係が、将 来(予測期間)においても維持されるという前提をおいて予測するものであり、. ①財政変数の動きを最も忠実に説明できる要因を過去のデータから検出し、そ の要因によって財政変数の推計式を推計した上で、②要因の将来値を推計式に 代入することによって財政変数の将来値を予測する。. 財政変数に影響を及ぼす要因の将来値のうち、人口(人口数、年齢別人口) に関しては国立社会保障・人口間題研究所『都道府県別年齢階級別将来人口』. の推計値を用い、その他の経済変数(県内総生産)に関しては第2節で推計し た数値を用いる。しかしながら、第2節で推計された県内総生産は実質値であ るのに対して、財政変数は名目値をべ一スとしている5)。そこで、名目県内総 生産の伸び率が実質値の伸び率と同じであるとみなし(物価上昇率はゼロ)、名 目値を予測することとする。. 3.2 基準財政収入額の予測モデル. 基準財政収入額は県内総生産などの将来値から、各都道府県税(個人住民税 所得割、法人住民税法人税割、利子割、法人事業税、その他の都道府県税)の 課税べ一ス(例えば法人事業税、法人住民税法人税割については法人所得、個 人住民税所得割については課税所得、地方消費税については民間最終消費支出 等)の将来値を推計し、そこから求めた税額の75%に、同じく県内総生産から 予測した地方譲与税を加えて求める6)。各税目の算出方法は以下の通りである。 5)実質県内総生産が増加したとしても、それが物価下落によるものであり、名目県内総生 産が増加していなければ、税収は増加しない。 6)東京都の基準財政収入額には特別区の税収分が含まれるが、将来予測の関係上、他の道 府県と同様、税収および地方譲与税は部分のみで推計を打つだ。 ・19・.

(21) なお、各推計式は補論の方程式体系に示されており、データの出所は付表に示 されている。. 個人住民税所得割(τx肌叫6)は、①課税所得(τ〃。t)を1期前の名目県内. 総生産(γ咋ト1)で推計し、名目県内総生産の将来値から課税所得の将来値を 予測する。②個人住民税所得割(τXPム叫t)を課税所得(τX7γt)で推計し、課. 税所得の将来値を代入することで、個人住民税所得割の将来値を予測する。 法人事業税(TX肌耐)ならびに法人住民税法人税割(τXCL耐)は、それぞれ. の税目を名目県内総生産(γ㌦)で推計し、名目県内総生産の将来値を代入す ることによって、法人事業税ならびに法人住民税法人税割の将来値を予測する 7)。. 利子割(rx肌れ)は、家計受取利子と法人受取利子に対して課税される。① 家計受取利子は『県民経済計算年報』から直接入手する。②法人受取利子は『県. 民経済計算年報』の法人所得に、内閣府経済社会総合研究所『国民経済計算年 報』から取得する「非金融企業法人の受取利子/非金融企業法人の所得」を乗 じることによってデータを作成する8)。③受取利子(家計受取利子十法人受取 利子)(〃耳t)を名目県内総生産(γ㌦)で推計するが、受取利子は預金金利. 水準(〃τR)に影響されることから、「預金金利X名目県内総生産」を説明変 数に加えて推計する9)。⑤受取利子の推計式に名目県内総生産の将来値を代入. することで、受取利子の将来値を予測する。⑥利子割(π肌沌)を受取利子 (〃耳ε)で推計し、受取利子の将来値を推計式に代入することで利子割の将来. 値を予測する。なお、基準財政収入額の算定においては、市町村への交付金(利 子割の3/5)は除かれる。. 地方消費税(τC〃Z竹)は、①課税べ一スに近い民間最終消費支出(C㌦)を. 名目県内総生産(叫t)で推計し、名目県内総生産の将来値を代入することで. 7)2009年度から地方税収の地域的偏在を是正する目的で、法人事業税の税率を引き下げる とともに、新たに地方法人特別税(国税)を創設し、各都道府県が賦課徴収した収入額を 国が人口及び従業者数に応じて、各都道府県に譲与することとなった。しかし、この措置 は地方税の抜本改革までの暫定的なものとされていることから、本章では組み込んでいな い。. 8)受取利子の法人所得に占める割合は全国共通であると仮定している。. 9)預金金利は1997年1月から2009年11月までの銀行定期預金300万円未満の平均値 0,202%とし、全国共通とする。. ・20・.

(22) 民間最終消費支出の将来値を予測する。②地方消費税(τα肌、t)を民間最終消. 費支出(C㌦)で推計し、民間最終消費支出の将来値を代入することで、地方 消費税の将来値を予測する。. その他の地方税(〃0ん所)ならびに地方譲与税(πム、t)は、それぞれを名. 目県内総生産(γ㌦)によって推計し、名目県内総生産の将来値を代入するこ とで、その他の地方税ならびに地方譲与税の将来値を予測する。. 3.3 基準財政需要額の予測モデル. 基準財政需要額(〃戸D沌)は、面積(〃亙仙)と人口(戸0㌦)に加えて、 将来の高齢化の進行を考慮するために老齢人口(65歳以上人口)(飢P0㌦)を 用いて推計し、推計式に各説明変数の将来値を代入することによって求める。. なお、推計式は1996年度から2007年度の都道府県フーリングデータを用いて 導出する。ここで固定効果分析を採用しなかったのは、基準財政需要額は「単 位費用×測定単位」に補正係数を適用するという制度式によって求められるた め、都道府県間の相違はほとんどが測定単位の差によって決定されると考えら れるためである。. 基準財政需要額は単位費用の水準に影響されることから、ここでは単位費用. の伸び率について3つのケース(単位費用が2006年度で固定されるケース、 年率O.5%で仲びるケース、年率1.O%(全国の総生産伸び率に近い)で伸びる ケース)を想定する。. 推計式に単位費用の伸び率を考慮する方法であるが、各説明変数のパラメー ターが単位費用にあたると考えられることから、年率0.5%、1.O%で伸びるケ. ースでは、定数項および各説明変数のパラメーターの数値にそれぞれの伸び率 を適用することによって調整する。. 3.4 地方財政の将来予測結果. 労働力滅少率が最小の東京都と最大の秋岡県における、基準財政収入額と基 準財政需要額の将来予測が図1’3に示されている。東京都の場合、①財政需要. を決定づける人口がむしろ増加する(2005年度から2035年度にかけて人口は 0.9%増加)こと、②高齢化が進み、老齢人口が多くなり財政需要の増加を加速. ・21・.

(23) 基準財政需要額と基準財政収入額の予測. 図1−3. 東京都 億円 35,000. 基準財政収入額の伸び:1.32倍(2035/2006) 30,000. 30,064 26,281. 25,000. 23,036. 22.758 19,694. 20,000. 則㍗’ 基準財政需要額の仲び:1.55倍(単位費用件ぴ1.0%、2035/2006). 10,000. 5,000. 0 08. 2006. 10. 12. 14. 16. 18. 20. 22. 24. 26. 30. 34. 32. _基準財政需要額(単位費用伸び率:ゼロ) _基準財政需要額(単位費用件ぴ率:1.0%). _基準財政収入額 ___. 28. 譓?熕ュ需要額(単位費用伸び率:0.5%). 秋岡県 億円 4,000. 3.489. 3,500. @ 3,021冊1……11蝸”一一一、’”舳. 3,000. 2,874. 由__一、吐、一_一一一一州舳一州……冊………舳…舳舳…‘舳㎜…舳……脚…舳…. @ ....。.一、^。■・一・・州・」」出I’}. @ 2,614 2,500. 2,000. 基準財政需要額の伸ぴ:1.21倍(単位費用件ぴ1.0%、2035/2006). 1,500. 基準財政収入額の仲び:1.05倍(2035/2006) 1,000. 918. 878. 500 0. 20㏄. 08. 10. 12. 14. 16. 18. 20. 22. 24. 一基準財政収入額 __. 譓?熕ュ需要額(単位費用件ぴ率:0.5%). 26. 28. 30. 32. 34. _基準財政需要額(単位費用伸び率:ゼロ) _基準財政需要額(単位費用件ぴ率:1.0%). ・22・.

(24) させることによって、基準財政需要額は単位費用の伸びがゼロの場合でも2035. 年度には2006年度の1.16倍に増加する。また、単位費用の伸び率が1.0%の 場合には基準財政需要額は1.55倍に増加する。しかし、基準財政収入額が同期 間中に1.32倍になり、基準財政需要額の増加を受けとめることができる。. 一方、秋田県の場合は、①人口が大きく減少するため、財政需要が(比例的 ではないにせよ)減少すること、②すでに高齢化が進んでおり、老齢人口の増 加はそれほど多くないことによって、基準財政需要額は、単位費用が1.0%で. 伸びることを想定した場合には2006年度から2035年度にかけて1.21倍に、 単位費用の伸びがゼロの場合にはO.91倍にまで減少する。しかし、経済成長率. の伸びが低く、予測期間後半にはマイナス成長に転じることもあって、基準財 政収入額は同期間中に1.05倍にしか増加しないため、財源不足はそのまま残る ことになる。. 基準財政収入額と基準財政需要額の予測から財政力指数(単年度)の予測値 を示したものが、図1・4である1o)。東京都は、2006年度の1.36から、単位費 用の伸びがゼロの場合には1.53にまで上昇し、1.O%の単位費用の伸びを見込 んだ場合には財政力指数は低下するが、それでも1.14と、不交付団体の位置を 維持している。. 秋田県については、単位費用の伸びがゼロの場合には、基準財政需要額が減. 少するのに対して基準財政収入額が増加するため、財政力指数は2035年度に はO.35にまでわずかではあるが上昇する。しかし、財政力がきわめて弱いこと には変わりはない。また、1.O%の単位費用の伸びを想定すると、財政力指数は 0.26にまで低下する。. 経済成長率の高い東京都も、単位費用の伸び率次第では、高齢化の急速な進 行によって財政は悪化することが予想される。しかし、秋田県の将来予測から も明らかなように、労働力が大きく減少し、経済がますます厳しくなる地方圏 においては、現行制度がそのまま維持されると想定すると、財政力はさらに弱 くなる。地方分権の推進と国家財政の悪化によって、国からの財源移転に多く. を頼ることができなくなることを考慮するなら、財政力強化のための方策を講 じることが不可欠である。 10)財政力指数=基準財政収入額÷基準財政需要額。. ・23・.

(25) 財政カ指数の予測. 図1−4. 東京都 1.60. 1.53 1.50. 財1−40 政 力1.30. 1.36. 1.32. ‘㌔. \“. 坤㌔“. \一一一__一_____∼. 指. 舳“㎞㌔㌔伽軸一1.14 \市、. 数1.20 単1.10 年 度 ) 1.00. 0.90. 0.80. 2006. 08. 10. 12. 14. 16. 20. 18. _基準財政需要額(単位費用伸び率:ゼロ). __. 22. 24. 26. 28. 30. 32. 34. _基準財政需要額(単位費用件ぴ率:0.5%). 譓?熕ュ需要額(単位費用件ぴ率:1.0%). 秋田県 0.40. 財 政 力0.35. 0.35. 指 数 0.31. 030. 単似30. 榊舳軸舳軸㎏榊“. 年 度. ㎞舳. g一舳“. ㌔帥 ㌔ \軸}軸悼㎞軸 ㌔ ㌔坤. 0,26. 0.25. 0.20. 2006. 08. 10. 12. 14. 16. 18. 20. 22. 24. _基準財政需要額(単位費用件ぴ率:ゼロ). 一一. 26. 28. 30. 32. 34. _基準財政需要額(単位費用件ぴ率:0.5%). 譓?熕ュ需要額(単位費用伸び率:1.0%). ・24・.

(26) 2006年2月28目、第28回地方制度調査会が「道州制のあり方に関する答 申」において、「国と地方双方の政府の仕組みを再構築し、わが国の「新しい政. 府像」を確立する見地に立てば、道州制の導入が適当である」との見解を示し. た。道州制の導入は、規模の経済が働くことによって人口1人当たり経費を引 き下げる効果を持つことから、人口減少時代における財政力強化のための方策 としてとらえることができるだろう11)。. 現在、地方は国からの財源移転を受けて財政運営を行っているが、このこと が地方財政における受益と負担を乖離させ、地方財政運営における自主性と自 立性を損なっている。したがって、道州制の導入と同時に、受益と負担の連動 を強化し、偏在の少ない地方税体系を設計することが、財政力強化のためにも 重要である。そこで、次節では、道州制の導入と、林・21世紀政策研究所(2009). において提言されている、①現在の法人住民税を地方消費税に振り替え、②法 人事業税を完全外形標準課税化するという地方税改革が、地方財政にもたらす 効果を検証する。. 4 道州制導入と地方財政 4.1地方分権社会に向けた地方税改革 現行の都道府県税制の特徴の1つは、企業課税(法人事業税、法人住民税) のウェイトが大きいことである。企業課税の第1の問題は、最終的な帰着先が 不明確であることから住民の負担感が小さく、住民の地方財政支出に対する要. 求を大きくすることである。第2の問題は、大企業が集積する大都市部と、企 業活動が少ない地方との税収格差が大きくなることである。国税はどの地域で. 集められようと、すべてが国庫という1つの財布に集められて支出される。し たがって、地域間で税収が偏在していても問題はない。ところが、地方税の場 合は、経済力の地域間格差が地方税収入の格差、ひいては財政力格差に直結す る。. 現行の地方法人2税のうち法人事業税は、企業が行政サービスから利益を受 11)道州制は、国の事務・事業の受け皿という地方分権と、現行の行政区域を越えた取組 みを実現するための広域自治体の改革として提案されているが、制度設計は明らかではな い。したがって本章では、財政効果として、規模の経済を通じた人口1人当たり経費の引 き下げ効果にのみ焦点を当てている。. 一25・.

(27) けていることに注目した応益税であり、所得課税ではなく外形標準課税が望ま. しい。いま1つの地方法人税である法人住民税(法人税割)は、国税の法人税 と同様に、個人所得税と一体となって負担の公平を確保するものであり、応益 課税とは言えない。. 法人事業税と法人住民税の課税根拠の違いを考慮せず、格差是正の観点から 両税を国に逆移譲すべきと主張するのは問題である。法人事業税について重要. なことは、現在4分の1にとどまっている外形基準(残りの4分の3は所得基 準)を完全実施し、応益課税としての性格をより強化することなのである。そ の上で、負担水準の適正化を図る必要がある。そして、法人住民税は国に移譲 し、消費税との交換を行うことが、地域間格差を是正するとともに、地方税収 の安定化に貢献する。. 4.2 道州制導入と地方税改革が地方財政に及ぼす効果. 道州制導入と同時に、①現在の法人住民税を地方消費税に振り替え、②法人 事業税を完全外形標準課税化するという地方税改革を行った場合、財政力指数. 表1−5 道州制導入前後の財政カ指数 2010. 2020. 2030. 2035. 改革前. 改革後. 改革前. 改革後. 改革前. 改革後. 改革前. 改革後. 北海道. 0−41. 0−49. 0−41. 0.49. 0−40. 0.49. 0−39. 0−48. 東北. α39. 0−57. α37. 0−55. 0.36. 0−53. 0−35. 0−52. 北関東. α63. 0−72. 0.61. 0−69. 0.59. 0−68. 0−58. 0.67. 南関東. 1.05. O.96. 1.O1. O−94. 1.oo. 0−94. α97. O−91. 北陸. 0−43. O−64. 0−41. 0−61. O−40. 0−60. 0−39. 0−59. 東海. O.78. 0−83. 0.74. O−79. 0.73. 0.78. 0−71. 0.76. 近畿. 0.62. 0.75. 0.60. 0−72. 0.58. 0−71. 0−57. α69. 中国. 0.47. O.62. 0.45. α59. 0.43. 0−58. 0−42. 0−57. 四国. 0−37. 0.53. 0.35. 0−52. 0.34. 0.50. 0.33. 0−50. 九州. 0−42. 0.63. 0−41. O.61. 0.40. 0−61. 0.39. 0.60. 沖縄. 0−32. 0−37. 0.34. 0.40. 0.36. 0−41. 0.36. 0−42. 変動係数. 0.41. α25. 0.40. 0.24. 0,40. 0.24. 0.40. 0−23. 注)1)基準財政需要額は単位費用1.0%伸びのケース。. 2)財政力指数は単年度の基準財政収入額÷基準財政需要額。. ・26・.

(28) がどのように変化するかを地域ブロック別に示したものが表1・5である12)。な. お、基準財政需要額は単位費用の伸びを1.O%と想定したケースである。改革 前は各都道府県の基準財政収入額の地域ブロック毎の集計値を基準財政需要額 の集計値で除した値である。南関東は、東京都以外は基準財政需要額が基準財 政収入額を上回る交付団体であるが、東京都が基準財政収入額が多いために、 地域ブロックとしては1を超えている。. 地方税改革によって税収が大きく減少する南関東では財政力指数は低下する が、それ以外のすべてのブロックで財政カ指数は上昇している。表の最下行に は財政力指数の格差を変動係数で示した13)。値が大きいほど格差は大きい。改. 革前は約O.4であるが、改革後には値は小さくなっている。このように、制度 改革によって地域間の財政力格差、とくに南関東との格差は縮小するのである。. 表1・6は道州制導入・地方税改革によって財源不足額がどの程度縮減される かを示したものである。基準財政需要額は単位費用1.0%伸びのケースである。. 単独州とした北海道と沖縄は地方税改革のみの効果であり、2035年度時点でそ れぞれ13.8%、8.8%の縮減となる。南関東は改革前は約3,680億円(2010年. 表1−6 道州制導入前後の財源不足類 2010. 単位:10億円. @. % 北海道 東北. 2020. 2035. 改革後. 734.2. 633.3. 13.7. 825.9. 709.O. 14.1. 891.5. 765.4. 141. 928.4. 800.O. 13.8. 1308.1. 727.8. 44.4. 1479.9. 脳4.2. 43.O. 1621.4. 927,9. 42.8. 1690.6. 967.5. 42.8 28.5. 削減率. 改革前. 2030. 改革前. 改革後. 削減率. 改革前. 改革後. 削減率. 改革前. 改革後. 削減率. 北関東. 950.O. 642.3. 32.4. 1162.3. 827,1. 2a8. 1296.1. 921.7. 28.9. 1385.4. 990.7. 南関東. 367.8. 159.5. 56.6. 437.3. 271.2. 38.0. 481.1. 312.2. 35,1. 557.8. 462.3. 17.1. 北陸. 1704.7. 338.1. 52.O. 811.6. 407.3. 49,8. 890.4. 448.6. 49.6. 932.4. 471.8. 49.4. 東海. 510.4. 372.O. 27,1. 684.7. 522.3. 23.7. 790.4. 595.1. 24.7. 869.9. 657.6. 244. 近識. 1246.3. 722.7. 42.O. 1520.4. 915.8. 39.8. 1678.4. 1003.1. 40.2. 1795,4. 1087,9. 39,4. 中国. 851.6. 481.0. 43.5. 989.5. 58313. 4工.1. 1082.2. 632.2. 41,6. 1132.2. 棚.7. 41.8. 四国. 617.2. 339.2. 45.0. 699.6. 392.2. 43.9. 761.4. 421.4. 44.7. 792.8. 435.7. 45.0. 九州. 1551.4. 75218. 51.5. 1773.3. 885,1. 50.1. 1933.O. 957.8. 50.5. 2009.3. 991.O. 50.7. 漁網. 201.1. 186.4. 7.3. 228.3. 208.6. 8.6. 幽.3. 231.5. 9.O. 268.4. 幽4.6. 8.8. 全国. 90〃.8. 5355.2. 40.8. 1O,612.7. 6566.2. 38.1. 11680.2. 7,216.9. 38.2. 12362.6. 7767.8. 37.2. 12)道州制の地域区分は、第28次地方制度調査会「通州制のあり方に関する答申」(2006 年2月28目)の区域例2の11道州にしたがっている。なお、『北海道」には北海道、「東 北」には青森県、岩手県、秋田県、山形県、宮城県、福島県、「北関東」には茨城県、栃 木県、群馬県、埼玉県、長野県、「南関東」には千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、「北 陸」には新潟県、富山県、石川県、福井県、「東海」には岐阜県、静岡県、愛知県、三重 県、「近畿」には滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、「中国」には鳥取 県、島根県、岡山県、広島県、山口県、「四国」には徳島県、香川県、愛媛県、高知県、「九 州」には福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、r沖縄」には沖 縄県が含まれる。. 13)変動係数は標準偏差を平均で除した値である。. ・27・.

(29) 度時点)の財源不足額となっているが、これは東京都以外の県において財源不 足額が計上されているからである。南関東は地方税改革によって東京都、神奈 川県において地方税が減少し、基準財政収入額は減少するものの、通州制導入 による基準財政需要額の効率化効果と、東京都の超過額と他県の不足額が相殺 されるため、財源不足額は縮減される。このように全国各地域ブロックはすべ て通州制導入と地方税改革とによって財源不足額が大きく減少する。これらの. 結果、全国べ一スで見た財源不足額の減少率は2035年度時点で37.2%に達す る。. 以上のように、地方税改革を同時に行った通州制導入は、財政力の地域間格 差を縮小し、財源不足額を大きく減少させるのである。. 5 むすび 労働力人口の減少は地方経済に影響を及ぼし、地域間の財政力格差をさらに 拡大させる。そこで本章では、地域経済の将来像を予測し、地方財政にどのよ うな影響を及ぼすかについて検証した。また、道州制の導入と地方税改革は、. 規模の経済性による行政効率の改善と、地方税収の増加につながると考えられ ることから、これらの地方税財政制度の改革が地方財政にどのような効果をも たらすかについても検証した。. 地域経済と地方財政の将来予測を行った結果、①2005年度から2035年度ま での年平均成長率は、北海道は1.O1%、東北は0.56%、北関東はO.87%、南 関東は1.29%、北陸は0.53%、東海はO.91%、近畿は0.79%、中国はO.54%、. 四国は0.55%、九州・沖縄は1.00%と、1975年度から2005年度までに比べ て大きく鈍化するとともに、地域間格差が拡大する。②労働力人口の年平均減 少率と年平均経済成長率の関係を都道府県別に見た結果、労働力人口の減少が 大きい地方ほど経済成長率が低くなっている。③労働力減少率が最大の秋日ヨ県. では、財政力指数が2006年度の0.31から、2035年度には0.26にまで低下す るように、経済がますます厳しくなる地方圏においては、現行地方税財政制度 を維持するなら、財政力はさらに弱くなることが明らかになった。. 道州制とそれに伴う地方税改革を行った場合の効果について検証を行った結 果、①地方税改革によって税収が大きく減少する南関東では財政力指数は低下. 一28・.

(30) するが、それ以外のすべてのブロックで財政力指数は上昇する。②財政力指数 の格差を変動係数で示した結果、改革前は約O.4であるが、改革後には約O.23. と値が小さくなっており、制度改革によって地域間の財政力格差、とくに南関 東との格差は縮小する。③全国各地域ブロックはすべて、道州制導入と地方税 改革とによって財源不足額が大きく減少し、全国べ一スで見た財源不足額の減 少率は2035年度時点で37.2%に達することが明らかになった。. これらの検証結果は、今後、人口減少によって、地域経済と地方財政が悪化 することを示しており、地方財政状況の悪化を抑制するために、①経済成長を 高めることが不可欠であること、②地方行政の効率化によって財政支出を抑え ること、③道州制をはじめとする地方税財政制度の改革を行う必要性があるこ とが明らかとなった。. 補論 地域計量経済モデルの方程式体系 地域計量経済モデルの方程式体系が以下に示されている。なお、係数下の括. 弧内の数値はt値、adjR2は自由度修正済み決定係数、FとHausmanはF検 定とHausman検定を行った際のP値を表している。 [1]民間資本ストック(データ:1980∼2005年度×47都道府県・パネノレ) ∼、。=α・十0361叫、。一。十〇・395仏一・. (252.32). (38.48). F=0,000Hausman=0.OOO adjR2=0.998. [2]地域別の生産性上昇要因(データ:2005年度・クロスセクション) 炉一皿・・…舳・・・・・・・…(レ・/叫・)・α・・・・・・…(怜、刈㌦、) (一5.46). (10.46). (7.76). [3]個人住民税所得割. 課税所得(データ:1996∼2007年度×47都道府県・パネル) τX7沌=αr+0,270*γ叫t_1. (16.46). F=O.000Hausman=O.000 adjR2:0.998. ・29・. adjR2=0.913.

(31) 個人住民税所得割(データ:2007年度・クロスセクション) τXPZ叫t:一8406095+25,992*τX∫れ (・6.35) (126.07). adjR2=0.997. [4コ法人事業税(データ:1996∼2007年度x47都道府県) こπτX月ム市=0,275+1,107*一ηγ昨t+O.234*Dτoκro (1.34)(84.49). (3.15). adjR2=0,943. Dm〃。:東京都を1、その他をOとするダミー変数. [5]法人住民税法人税割(データ:1996∼2007年度×47都道府県) TXC工れ=一1,802+1,124*(1+0.00398*D9600)*γ咋t+0,285*Dτoκγo (・9.74)(95.53). (3.62). (4.28). adjR2=0,955. D9600:1996∼2000年度を1、その他を0とするダミー変数 Dτo附。:東京都を1、その他を0とするダミー変数. [6コ利子割. 受取利子(データ:1996∼2007年度X47都道府県) 〃V7㍍=一6443+0.0273*(1−O.0135ホD0107)*γ咋t+0.0371*(〃VrR*γ咋t) (・1.13)(29.85) (・19.26). (11.94). adjR2=0,945. D0107:2001∼2007年度を1、その他を0とするダミー変数. 利子割(データ:1996∼2006年度x47都道府県・パネル) τXRL沌=αγ十16,973*7〃T÷t+O.669*Doo01. (20.61). (63.06) F:O.000HausmaI1:0,000ad.jR2=O.964. Doo01:2000∼2001年度を1、その他を0とするダミー変数. [7]地方消費税. 民間最終消費支出(データ:1997∼2006年度×47都道府県・パネル) CP←t=ατ十0,443*γ咋t. (1g.34). F:O.000Hausman:0,000ad.jR2=O.999. ・30一.

(32) 地方消費税(データ:1998∼2006年度X47都道府県・パネル) τC7γL沌:α7+13,216*Cみt. (1O.36). F=0.O00 Hausman=0,000 adjR2=O.988. [8]その他の地方税(データ:1996∼2006年度×47都道府県・パネル) τX0工κ=αr−5,232*γ咋t. (一3.43). F=0,000HausmaI1=0,000adjR2=0,979. [9]地方譲与税(データ:1996∼2007年度X47都道府県) 1πτTL性=8,522+0,394ホ(1+O.0217)*一πγ咋t+1,127*D〃。κκ〃D0−0,854*Dτoκγo (40.59)(59.43). (19.04). (18.21). (一12.29). 一〇.682}’)κλ〃λcλw八十〇.480*D〃〃■Tλ十〇.279*D〃λ6λ〃。−0,587*Dκγ0T0 (’1O.71). (7.97). (4.64). (一9.73). 十〇。227*Dκoc〃∫十〇.342*Dκλ60∫〃7〃λ一1,049*」Do〃〃λ〃λ (3.68). (5.69). (一17.30). ad.jR2=0,838. D:添字の都道府県を1、その他を0とするダミー変数. [1O]基準財政需要額(データ:1996∼2007年度X47都道府県) λB戸D耐=63154544+70,154*P0みt+177,146*亙LP0みt+7361,636*λR亙λ沌 (31.78) (185.30). (9.81). (15.16). 十57024011*’)9602−111732944*D〃。κκ〃D0+326577996*DT0κγo (17.62). (’2.92). (26.50). adjR2:0,987. D9602:1996∼2002年度を1、その他を0とするダミー変数 D:添字の都道を1、その他を0とするダミー変数. ・31・.

(33) 付表 変数リスト 変数名. ラベル. 出所・備考. α. 地域別の生産性上昇要因. 独自推計. λ3FD. 基準財政需要額. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. λR亙λ. 面積. 東洋経済新報杜『地域経済総覧』. CP. 民間最終消費支出. 亙ZPOP. 老齢人口. 〃r. 受取利子. 〃τR. 預金金利水準. 日本銀行調査統計局『金融経済統計月報』. ∼. 産業基盤型社会資本ストック. 内閣府政策統括官『日本の社会資本2007』. ∼. 民間資本ストック. ム. 県内就業者数. 総務省統計局『労働力調査年報』. 〃. 可住地面積. 東洋経済新報杜『地域経済総覧』. POP. 人口. 総務省統計局『国勢調査』. τα肌. 地方消費税. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. τ肌. 地方譲与税. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. τXCZ. 法人住民税法人税割. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. rX肌. 法人事業税. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. τ〃. 課税所得. 東洋経済新報杜『地域経済総覧』. rX0ム. その他の地方税. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. τxPzw. 個人住民税所得割. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. τx肌. 利子割. 総務省自治財政局『都道府県決算状況調』. γ. 実質県内総生産. γγ. 名目県内総生産. 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算 N報』 総務省統計局『国勢調査』. 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算 N報』、『国民経済計算年報』. 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算 N報』. 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算 N報』. 内閣府経済社会総合研究所『県民経済計算 N報』. 注)各変数ラベルの末尾に付くγは地域、tは年度を表す。. ・32・.

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