〃一3 〃 〃 〃 時間
注)職員数は人口千人当たり職員数を表す。
2年間の削減を経た職員数、D市は1年間の削減を経た職員数となり、合併後 の年数が経つにつれて、徐々に合併後白治体の人口規模に見合った職員数にな
る。
つまり、市町村合併を経験した自治体の合併直後の職員数は、行政運営の非 効率性によって職員数が多くなっているのではなく、また、分析対象年度時点 における合併後経過年数の違いによって、自治体間の職員数に格差が生じる。
以上のことから、市町村合併後の経過年数は職員数格差を生じさせる非裁量要 因であると考えられる。
4.3 推計結果一職員数格差と非裁量要因一
職員数格差の非裁量要因として、「人口規模」、「人口増減率」、「可住地面積」、
「市町村合併後の経過年数」をあげたが、実際にこれらの要因によって自治体 間の職員数格差が生じているのだろうか。「職員数(w〃)」を被説明変数、職 員数と人口規模のU字型の関係を捉えるための「人口規模(〃0P、(〃0ρ)2)」、
「人口増減率(Mπ)」、「可住地面積(1η〃酬)」、「合併後経過年数ダミー
(Dσ〃γ。 ∫)」を説明変数とした、
・97・
〃σ〃 :γ十θ1* πP0耳十θ2*(ユηPOPと)2+θ3*Rλτ耳十θ4ホ 汕R亙^
8
十Σμブ〃〃μ、、 一(・)
ト0
を推計し検証を行う。なお、「合併後経過年数ダミー(Dσ〃μ。∫)」については、
合併後の経過年数が1年未満をノ=0,1年以上2年未満をノ=1,2年以上3年 未満をノ:2,3年以上4年未満をノ=3,4年以上5年未満をノ=4,5年以上6 年未満をノ=5,6年以上7年未満をノ=6,7年以上8年未満をノ=7,8年以上
をノ=8とし、添字二は自治体を表す。
職員数は、『地方公務員給与の実態』の一般行政職員数を、人口規模は、総務 省自治行政局『市町村別決算状況調』から住民基本台帳登載人口のデータを用 いる70)。人口増減率は、『市町村別決算状況調』から、分析対象年度とその5 年前の住民基本台帳登載人口のデータを用いて算出する。可住地面積は、総務 省統計局『統計でみる市区町村のすがた』からデータを用いる71)。合併後経過 年数ダミーは、『市町村合併資料集』を参照し、条件に該当する自治体に1を、
それ以外の自治体にOをとるダミー変数とする。
各年度のクロスセクションデータを用いて回帰分析を行った結果が表5・5に 示されている。推計結果から明らかになった点は、以下の通りである。
①人口規模は(〃0P、(1πPOP)2ともに)、いずれの年度においても有意な結 果が得られており、人口規模が大きくなるにつれて規模の経済性により職員数 が減少するが、一定の人口規模を超えると職員数が増えるという関係が示され ている。したがって、人口規模の違いによって、職員数格差が生じていると言
える。
70)本章で用いる『地方公務員給与の実態』の職員数は年度初め(4月1日)のデータで あり、『市町村別決算状況調』は前年度末(3月31目)のデータである。したがって、4 月1目に市町村合併をした自治体は、人口規模が合併前のデータであるにも関わらず、職 員数が合併後のデータとなることから、人口規模に対する職員数の数が過大になる。そこ で本章では、4月1日に合併をした白治体に関しては、3月31目時点での合併前自治体の 人口数を足し合わせて、合併後自治体の人口数とした。なお、2003年4月1日に合併を した自治体は、山梨県アルプス市、岐阜県山県市、静岡県静岡市、広島県呉市、香川県東 かかわ市、愛媛県新居浜市、福岡県宗像市、2008年4月1日に合併をした自治体は、新 潟県村上市、静岡県島田市である。
71)『統計でみる市区町村のすがた』では、山梨県甲府市の可住地面積のデータが得られ なかったことから、山梨県甲府市に関しては『地域経済総覧』よりデータを使用した。
表5−5 職員教と非裁量要因の推計結果 2003 2007 2008
定数項 79−237※※※
i22.26)
55,896※※※
i12.36)
54,307※※※
i12.38)
1n人口 一11,789※※※
i一19.54)
一7,977※※※
i一1α43)
一τ756※※※
i一10.47)
人口規模
伍人口)2 0,454※※※
i17.71)
α288※※※
i8.91)
0,281※※※
i8.96)
人口増減率 一α094※※※
i一8.99)
一α125※※※
i一9.65)
一0,125※※※
i一10.13)
h可住地面積 皿229※※※
i5.26)
α533※※※
i9.20)
0,524※※※
i9.33)
1年未満 i1.60)0,387 iO−32)0,098 1,167※※※
i3.19)
1年以上 Q年未満
0,209
iO−48)
O,588※※※
i5.70)
0,097
iO.33)
2年以上 R年未満
0,385
iO.88)
O.680※※※
i6.40)
0,543※※※
i5.38)
3年以上 S年未満
3,224※※※
i4.26)
1,190※※※
i5.84)
0,616※※※
i5.95)
4年以上 T年未満
■一 0,308
iO.70)
1,065※※※
i5.38)
5年以上 U年未満
・ 一〇.161
i一0−23)
O.289 iα67)
6年以上 V年未満
一 0,471
iO−68)
一〇.119 i一0.18)
7年以上 W年未満
一■ 1,604
i1.63)
0,476 iα71)
8年以上 一i 一i iO.72)0,687
2≠р鰍q 0.776 O.715 O.724
N
677 781 782注)1)括弧内はt値、adjR2は自由度修正済決定係数、Nは観測値数を表す。
2)※は10%、※※は5%、※※※は1%有意水準で有意であることを示している。
・99一
②人口増減率は、いずれの年度においてもマイナスに有意な結果が得られた。
この結果は、人口急減自治体は、人口規模に対する職員数が大きく算出され、
人口急増自治体は小さく算出されることを表しており、人口の急激な変化によ って、職員数格差が生じていることを示している。
③可住地面積は、いずれの年度においてもプラスに有意な結果が得られてい ることから、可住地面積が広い自治体ほど職員数が多いことが示されており、
職員数格差を生じさせる非裁量要因であると言える。
④合併後経過年数ダミーは、2003年度については「3年以上4年未満ダミー」、
2007年度については「1年以上2年未満ダミー」、「2年以上3年未満ダミー」、
「3年以上4年未満ダミー」、2008年度については「2年以上3年未満ダミー」、
「3年以上4年未満ダミー」、「4年以上5年未満ダミー」がプラスに有意な結
果となった。
図5−2に示されていたように、合併後の年数が経つにつれて合併効果が現れ るなら、合併後経過年数の短いダミーほど、合併後間もないことから係数が大 きくなり、合併後経過年数の長いダミーほど、人口規模に見合った職員数に近 づいていることから、小さな係数になると考えられる。
しかしながら、2007年度において有意になった「1年以上2年未満ダミー」、
「2年以上3年未満ダミー」、「3年以上4年未満ダミー」の係数を見てみると、
「1年以上2年未満ダミー」では0,588、「2年以上3年未満ダミー」では0,680、
「3年以上4年未満ダミー」では1,190と、経過年数の大きなダミーほど係数 が大きくなっている。
その理由として、図5・3に示されているように、合併時期による合併直後に おける職員数の違いがあげられる。つまり、近年の行政改革による職員数の全 国的な減少傾向は、合併年度の古い自治体ほど合併直後の職員数が多く、合併 年度の新しい自治体ほど合併直後の職員数が少ないという現象を生じさせてい る。図5・2と同様、合併を経験していないA市、分析対象年度(〃期)の3年 前に合併をしたB市、2年前に合併をしたC市、1年前に合併をしたD市があ り、合併後経過年数以外の職員数に影響を及ぼす要因が同じであると仮定する。
D市では合併前にすでに職員数の削減が行われていたとすると、合併後間もな いD市が最も早くA市と同じ職員数となり、合併後経過年数が一番長いB市
図5−3 合併時期による職員教の遺い 職員数
B市の合併前職員数 B市
B市(合併後3年目)の職員数 C市の合併前職員数
C市
C市(合併後2年目)の職員数
D市の合併前職員数
D市
D市(合併後1年目)の職員数 A市か3 〃・2 C・ノ 〃 時間
注)職員数は人1コ千人当たり職員数を表す。
が最後にA市と同じ職員数になる。回帰分析結果において、合併後経過年数ダ ミーにかかる係数が経過年数の大きなものほど大きくなっているのは、このよ うな状態を表していると考えられる。
つまり、合併後経過年数が職員数格差を生じさせている非裁量要因であるか どうかは、合併直後に職員数が大きく算定され、その後、合併効果で年数が経 つにつれて職員数が減少しているのかを検証しなければならないのである。
⑤2007年度において「1年以上2年未満」の合併後経過年数ダミーに属して いた自治体は、2008年度には「2年以上3年未満」に属するというように、2007 年度と2008年度とでは、属する合併後経過年数ダミーが1つずつずれる。こ のことを踏まえて、2007年度と2008年度の合併後経過年数ダミーを比較する と、2007年度の「1年以上2年未満」の係数がO.588であるのに対し、2008 年度の「2年以上3年未満」の係数が0,543.2007年度の「2年以上3年未満」
の係数が0,680であるのに対し、2008年度の「3年以上4年未満」の係数が 0,616.2007年度の「3年以上4年未満」の係数が1,190であるのに対し、2008 年度の「4年以上5年未満」の係数が1,065となっており、合併後の年数が経
・101・
つにつれて、職員数が減少していることが例える。つまり、合併時期の違いに よって、合併直後の職員数が違うとしても、市町村合併を経験した自治体は、
合併直後に職員数が多くなり、その後、合併による効率効果で年数が経つにつ れて職員数が減少していく。
以上の検証結果から、自治体間の職員数格差は、自治体問における人口規模、
人口増減率、可住地面積の違いや、市町村合併後の経過年数の違いといった非 裁量要因によって生じている部分があることが明らかになった。
5 労働コスト格差の検証
5.1 非裁量要因による格差の調整方法
第3節、第4節では、自治体間における給与水準格差と職員数格差を生じさ せている非裁量要因についての検証を行った。第5節では、これらの非裁量要 因を取り除いた「給与水準」および「職員数」を算出し、これらのデータを用 いて労働コストの自治体間格差を推計し、格差の背景にある要因を検証する。
給与水準は「職員の年齢構成」と「新設合併の有無」という非裁量要因に影 響を受けることから、これらの非裁量要因を調整した給与水準を算出する。具 体的には、①各自治体の「給与水準の理論値(∫〃肋。)」から、「全市の給与水 準の平均値(∫〃ω。)」を引き、非裁量要因による給与増加部分を算出する。② 各自治体の「給与水準の現実値(∫〃)」から、非裁量要因による給与増加部分 を引くことによって、非裁量要因を調整した「給与水準の調整値(∫〃吻)」が 求められる。上述の手順を数式化したものが
∫〃刺 、=∫〃ザ(∫〃肋・二、一∫〃ω・二、)
=∫〃ザ{(αε十βぺ〃臥十β。。州舳、伽、蛇)一(α。十βぺ柵α、。。)}…(4)
である72)。αいβ1ボβ2tには表5・3に示されている係数を、「給与水準の現実 値(∫〃)」、「職員の年齢構成(〃亙)」、「新設合併ダミー(〃〃舳π)」には各
72)「全市の職員年齢の平均値」と同じ平均年齢をもつ自治体が存在した場合、その自治 体には非裁量要因部分が存在しないことになるが、本章では「全市の職員年齢の平均値」
を非裁量要因部分を調整するための基準値として用いているだけであり、非裁量要因が存 在しないと考えているわけではない。