組織変革の概念と適応不全の論理
18
0
0
全文
(2) 2. 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). (364). て,組織変革を通じた経営成果を実現するため. 2.動態的な組織のマネジメント. に,組織変革のあり方自体を変革することの意. 上記のように,組織が成立するためには,共. 義を主張する.くわえて,組織の認知的側面に. 通目的,協働意欲,コミュニケーションという. 注目しながら,特に不連続な環境変化の下で求. 3 つの要素が必要とされる(Barnard[1938]).. められる組織変革タイプを実践することの難し. つまり,この 3 つの要素によって,人々の提供. さとジレンマについて指摘する.. する活動がバラバラではなく体系立てられてい. 以下では,まず組織と組織変革の理論的な捉. る状態を組織と定義づけることができる.この. え方を整理したうえで,上記の問題点について. ような組織の捉え方が優れているのは,組織と. 考察していこう.. いう存在を動態的に捉えられる点にある.組織. Ⅰ 組織の捉え方. といえば,ピラミッド型の組織構造や,その構 造のなかに設計された上下関係(命令と服従). 1.組織の成立条件. や分業体制(役割と責任)などを私たちは一般. 組織とは,複数の人々から提供された多様な. に想像しがちである.しかし,あたかも高層ビ. 活動を,共通目的を達成するために調整しあう. ルのように「設計される構造物(カタチ) 」と. 協働のシステムである(Barnard[1938] ) .共. して組織を捉えるのではなく,複数の人々が共. 通の目的を何ら持たない人々の集まりは,組織. 通の目的を達成するために互いの活動を調整し. というよりもむしろ「人々の群れ」と呼ぶほう. あい働く動態的な場として,この定義では組織. が適切であるし,もし共通の目的が存在したと. を捉えている.. しても,その実現に向けて人々の活動が有効に. それでは,このように組織を静態的ではなく. 調整されなければ,それは組織というよりも,. 動態的に捉えることは,組織の経営者や管理者. まとまりを欠いた「活動の集まり」といったほ. にとって,どのような意味をもつのだろうか.. うがいいだろう.その意味では,組織が成り立. 動態的な組織の捉え方から示唆されることと. つためには,追求すべき共通の目的や,その実. は,組織とは本来,参加者から活動が提供され. 現に向けて人々の活動を有効に調整するための. ている限りにおいて成り立つ一時的で流動的な. コミュニケーションが必要であるといえる.. 状態に過ぎないということである.そして,こ. くわえて,共通の目的の実現に向けて,複数. のことは,組織を長期にわたり存続させること. の人々が働いているとするならば,それは,そ. が,経営者や管理者の果たすべき重要な役割で. れらの人々が自ら活動を提供することに何かし. あることを示唆している.以下では,その役割. ら主体的なメリットを感じているからと考えら. の具体的な内容についてみていこう.. れる.言い換えれば,活動を提供したいという. まず,協働の場である組織に参加する人々の. 動機が何らなければ,強制労働への動員でもな. 協働意欲は必ずしも一定ではない.彼らの協働. いかぎり,人々が活動を提供することはなく,. 意欲には個人間でバラツキがあり,また個人レ. そこに組織が成り立つこともない.このように. ベルでも日々変動している.この場合,活動の. 考えると,組織が成り立つためには,共通の目. 提供者である組織の参加者の協働意欲をいかに. 的やコミュニケーションだけではなく,それら. 維持するかが,組織を維持し崩壊させないため. が機能するための前提として,共通目的の実現. に経営者や管理者が克服すべき課題となる.. に向けて協力し合いながら活動することに何ら. また,外部環境は日々変化しているが,環境. かの魅力を感じる人々の主体的な動機や意欲が. 上の変化などが原因で,組織の共通目的が実現. 必要であるといえる.. 困難になった場合には,その共通目的を再定義 することも,組織を維持するためには必要にな.
(3) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (365). 3. る.というのは,共通目的が達成できなければ,. 合,組織変革はどのように捉えることができる. 組織は目的達成に伴う利益を得ることができ. だろうか.以下では,3 つの次元に基づいた組. ず,その利益を組織の参加者に還元することが. 織変革の捉え方を提示する.3 つの次元とは,. できないからである.そして,参加者に利益を. 第一に,組織における活動内容の次元,第二に,. 十分に還元できなければ,彼らの協働意欲を維. 多様な活動を調整する次元,第三に,組織の共. 持することは困難となり,その結果として,組. 通目的を定義する次元である.. 織は崩壊の危機に直面することになる.それゆ えに,組織崩壊の危機を回避するため,組織の. 1.「活動内容の変革」としての組織変革. 経営者や管理者には,外部環境の変化などに応. 動態的な組織観に基づく組織変革の一つめの. じて,組織の共通目的を絶えず再定義すること. 捉え方とは,組織の参加者によって提供される. が求められる.. 活動内容を変革するという次元での捉え方であ. くわえて,組織の共通目的が十分に達成され. る.. たにもかかわらず,それに伴って獲得された利. 組織とは,その参加者から提供された活動に. 益が参加者に適切に還元されない場合,組織の. よって成り立っている.それらの活動が共通目. 参加者の協働意欲を維持することは難しくな. 的の実現に貢献することで,組織は経営成果を. る.というのは,利益配分に対する参加者の不. あげることができる.また,その経営成果を参. 満が大きくなりすぎると,その参加者は協働意. 加者に各種の報酬として還元することで,組織. 欲を失って組織を去ることもありえるからであ. は共通目的の実現に必要な一連の活動を参加者. る.また,それとは逆に,共通目的が十分に達. から引き出すことができる.. 成されていないにもかかわらず,組織の参加者. しかしながら,外部環境が変化したり,組織. への利益還元が不釣り合いに大きすぎる場合,. の規模が大きくなったりするのに伴って,組織. 参加者の協働意欲は維持できたとしても,組織. の共通目的を実現するために必要な活動内容が. としての活動を引き出すための原資が近い将来. 変化することがある.たとえば,企業組織に. 不足することになるだろう.それゆえ,組織を. とっては,顧客のニーズに応じた付加価値を創. 維持するためには,共通目的の実現度合いと参. 造し提供することが,組織の共通目的を実現す. 加者の満足度合いの両者をバランスさせること. るための手段となる.この場合,組織の創造す. が求められる.この両者をバランスさせる均衡. る付加価値に対する顧客ニーズが高度化したな. 点は必ずしも一定ではない.組織の共通目的の. らば,より高い付加価値を提供するための新た. 達成度や, 従業員の求める満足レベルに応じて,. な活動に取り組むことが組織には求められるだ. アンバランスになりがちな両者を絶えずバラン. ろう.たとえば,輸送サービスの提供を共通目. スさせることが,組織の経営者や管理者には求. 的とする鉄道会社では,電車の乗り心地や安全. められる.. 性,利便性,スピードなど,高度化する多様な Ⅱ 組織変革の捉え方. ニーズに応えるために,新型車両の開発や車内 サービスの充実,運行ダイヤの改善に取り組ん. 以上では,ピラミッド型の組織構造に象徴さ. でいる.. れる構造物としての組織観ではなく,共通目的. こ こ で 重要 な の は,組織 の 共通目的(例 え. と協働意欲,コミュニケーションによって成り. ば,輸送サービスの提供)は従来から変わらな. 立つ動態的な組織観に基づいて,組織を維持す. いとしても,それを実現するための手段である. るために経営者や管理者に求められる役割を説. 活動内容が,外部環境の変化や組織の成長段階. 明した.それでは,動態的な組織観に基づく場. に応じて変化するという点である.特に組織の.
(4) 4. (366). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). 外部環境が不連続に変化した場合には,組織の. る諸々の活動は,組織の共通目的の実現に向け. 共通目的を達成するために,従来から有効とさ. て,意識的に調整される必要がある.組織の参. れてきた活動が十分な経営成果を生めなくなっ. 加者から提供される活動が共通目的の実現に向. たり,逆に従来は軽視されてきた活動が重要な. けて意識的に調整されることで,それらの諸活. 役割を果たすようになったりする.. 動は組織としてのまとまりを維持している.こ. このことが示唆するのは,組織が環境変化に. の調整が有効に行われなければ,組織の参加者. うまく適応して共通目的を継続的に実現するた. の活動を共通目的の達成に向けて結集させるこ. めには,参加者から提供される活動の内容を絶. とができない.. えず変革していかなければならないということ. ここで,「活動を束ねる」とは,組織の参加. である.たとえば,成果主義的なインセンティ. 者から提供される多様な活動が,共通目的の実. ブ制度を新たに導入することによって,具体的. 現に有効に結びつくように,組織構造や組織プ. な業績につながりやすい活動を参加者に強く促. ロセス,組織文化,あるいは管理者による公式. したり,社内起業プログラムを新たに導入し,. 権限の行使やリーダーシップなどを通して,意. 各種の人材トレーニングを施すことによって,. 識的に調整され統制されることを意味する.繰. 事業創造につながる挑戦的な活動を社員に促し. り返しになるが,組織の経営者や管理者には,. たりするような事例は,この種の組織変革にあ. 個々の参加者から提供された活動を,共通目的. たる.あるいは,人材の採用活動において,事. の実現に向けて有効に束ねることが求められ. 業創造へのモチベーションが高い人材を新たに. る.それらの力を組織として結集させることで,. 採用することで,起業家的な活動を組織に取り. 個々の力では達成できなかった大きな共通目的. 込むことも,組織の活動内容の変革として捉え. を組織は達成することができるようになる.逆. ることができるだろう.. に言えば,個々の参加者が強い協働意欲をもっ て業務に取り組んだとしても,それらの個々の. 2.「活動の束ね方の変革」としての組織変革. 活動を有効に調整することができなければ,そ. 動態的な組織観に基づく組織変革の二つめの. の組織が個人の成果の総和を上回る大きな成果. 捉え方とは,組織における活動の「束ね方」を. をあげることはできないだろう.. 変革するという次元での捉え方である.. ここで重要な論点とは,参加者の活動内容そ. ⑴ 活動の束ね方の変革とは. れ自体よりも,むしろ活動の束ね方によって組. 組織の参加者は協働意欲をもって,組織に参. 織の成果が大きく左右されるという論点であ. 加している.しかしながら,その協働意欲は,. る.とりわけ,組織の内部環境や外部環境が大. 必ずしも共通目的の達成に直接向けられるわ. きく変化した場合,共通目的を達成するため. けではない.協働意欲の具体的な内容とは,あ. に,従来から利用できた束ね方が利用できなく. る参加者にとっては「仕事を通じて金銭的な報. なったり,逆に従来は利用できなかった束ね方. 酬を得たい」ということかもしれないし,他の. が新たに利用できるようになったりすることが. 参加者にとっては「仕事を通じて高い社会的ス. ある.以下では,束ね方の変革について,特に. テータスを得たい」ということかもしれない.. 活動を束ねるためのロジックと,活動を束ねる. 彼らはいずれも組織で協働するための個人的な. ための技術に注目して議論を進めることにしよ. 動機や主体的な意欲をもっているが,彼らから. う.. 提供される活動が,組織の共通目的の実現に自. ⑵ 活動を束ねるためのロジック. ずと向けられるとは限らない.. かつて日本的経営の象徴とされた終身雇用制. それゆえに,協働意欲をもつ参加者が提供す. や年功序列的な人事処遇などの経営制度は,組.
(5) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (367). 5. 織や集団に対する長期的な帰属意識や,運命共. のような経緯を考慮すると,もはや上記の運命. 同体としての意識を組織内に醸成する役割を果. 共同体的なロジックに,個々の社員の活動を強. たしてきた.他方で,日本独自の文化的特性か. 力に束ねる力を期待することは難しいと考えら. ら日本的経営を捉える議論もある.すなわち,. れる.. 日本人が組織と関係をもつにあたっては,その. それでは,現代の日本企業にとって,組織の. 国民的な心理特性である集団主義や集団への定. 共通目的の実現に向けて,個々の参加者の活動. 着志向を背景として,永続的で調和的な関係性. を束ねるための新たな手段とは何だろうか.そ. を志向する傾向が強く見られ,その志向性に適. の手段とは,経営者が熱く語る将来ビジョンだ. 合するかたちで,終身雇用制や年功序列的な経. ろうか.それとも,企業業績に対する個人やチー. 営制度が歴史的に形成されてきたとする議論で. ムの貢献度を厳密に測定する業績評価制度を開. ある(岩田[1977] ) .上記の考え方を統合する. 発し運用することだろうか.他方,個々の活動. ならば,国の文化や国民の心理特性(集団主義). を束ねる強さは,従来からどのように変化させ. が,それに適合的な経営制度(終身雇用制)を. るべきだろうか.個々の参加者の活動をより緊. 形成し,そのように形成された経営制度が,組. 密に共通目的と関連づけることで,効率的に組. 織の参加者の心理特性(組織への長期的な帰属. 織の共通目的を達成することを目指すべきだろ. 意識)を強化するという相互作用の存在が想定. うか.それとも,あえて緩めに個々人の活動を. できる.. 束ねることで,そこに参加者の創造性や創発性. 長期的な帰属意識や運命共同体としての意識. が生まれる余地を残すべきだろうか(Knight. が社員間で共有された組織では, 「会社の発展. [1967]).「活動の束ね方」をいかに変革するか. が自らの幸福につながる」という考え方が支配. という次元から捉える組織変革では,このよう. 的となりやすい.そのような共存共栄の考え方. な論点が重要な意味をもつといえる.. に根ざした企業文化が,多くの社員の活動を束. ⑶ 活動を束ねるための技術. ねるための有効なロジックとして日本企業では. 活動の束ね方を変革するという次元で組織変. 機能してきた.つまり, 「会社の発展が自らの. 革を捉える場合,束ねるための技術も重要な. 幸福につながる」という共同体的な意識や価値. テーマ と な る(Davenport and Short[1990],. 観が多くの社員間で共有され,そのような共存. Davenport[ 1993 ] , Hammer and Champy. 共栄の組織文化の下で,個々の社員の活動が企. [1993]).というのは,諸々の活動を束ねるた. 業の成長という共通目的に向けて有効に束ねら. めの新たな技術が開発されることで,従来より. れてきたことが,かつての日本企業の組織的な. も有効な束ね方を共通目的の達成に向けて用い. 強さを説明するひとつの要素であったといえる. ることができるようになるからである.. だろう.. たとえば,個別の部門の壁を越えて,複数の. しかしながら,1990 年代以降の日本経済の. 部門が相互に連携しながら,共通のプロジェク. 不況期において,多くの企業で大規模な人員整. トテーマに取り組むクロスファンクショナル・. 理が行われたことや,その後に業績回復局面を. チームでは,異なる部門から参加するチームメ. 迎えても,多くの社員にその利益が必ずしも十. ンバーの活動をチーム目標に向けて有効に束ね. 分には還元されなかったこと,また雇用形態が. られるかどうかによって,チームのパフォー. 多様化して短期雇用の労働者の割合が社内で増. マンスが大きく左右される(Ford & Randolph. 加したことなどを背景として,日本企業におけ. [1992]).具体的には,異なる部門のメンバー. る社員と組織との関係性は質的に変化したと言. が同時に走りながら共通のプロジェクトテーマ. えるだろう(山岡[2006a] ,山岡[2006b] ) .こ. に取り組むにあたっては,プロジェクトにおい.
(6) 6. (368). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). て新たに解決すべき課題や,課題解決に利用で. ⑷ 束ね方の技術革新と組織の境界. きる手段,解決までに許される時間など,メン. ①組織の境界の革新. バー間で常に多くの最新情報を共有し,部門間. 以上では,活動の束ね方の変革の重要性につ. で連携しながら多様な課題に同時進行で取り組. いて指摘したが,活動の束ね方の技術革新は,. む必要がある.. 組織が意識的に束ねることのできる活動の範. 従来は,異なる部門のメンバー間で十分な情. 囲,言い換えれば,組織の境界の革新を意味し. 報共有を図るための手段や技術が限られていた. ている.なぜならば,従来は束ねきれなかった. ため,このような仕事の進め方はあまり現実的. 活動を,束ね方の技術革新によって新たに束ね. ではなかった.しかし,今日では情報技術の革. られるようになったということは,組織の範囲. 新によって,上記のような仕事の進め方はむし. がその分だけ拡張されたことを意味するからで. ろ一般的となっている.このことが示唆してい. ある.このように,活動の束ね方の技術革新は,. るのは,活動を束ねるための情報技術の革新に. 組織が束ねることのできる活動の範囲の革新を. よって, 組織で同時に束ねられる活動の範囲が,. 意味し,組織の境界を再定義することを意味し. 部門や企業の壁を越えて飛躍的に拡大したとい. ている.. うことである.. 繰り返しになるが, 「活動を束ねる」とは,. クロスファンクショナル・チームや,2 方向. 組織の参加者から提供される活動が,共通目的. の命令系統を同時に組織内に組み込むマトリッ. の実現に貢献するように,組織構造や組織プロ. クス組織,複数の部門が同時に連携するかたち. セス,組織文化,管理者による公式権限の行使,. で開発プロセスを進めるコンカレント・エンジ. リーダーシップなどを通して,意識的に調整さ. ニアリングなど,複数の部門が同時に連携し. れ統制されることを指す.. ながら共通の経営課題に取り組むことによっ. しかしながら,近年の情報技術の革新によっ. て,従来よりも大きな付加価値を生み出すこと. て,従来型 の 組織構造 や 組織文化,ヒ エ ラ ル. が,現代の組織には求められている(Galbraith. キーなどに依らなくても,革新的なコミュニ. [1973] ) .. ケーション技術を用いて,従来は組織の外部に. 他方,企業の境界を越えて,複数の企業が共. いた関係者の活動を広く緩やかに束ねた新た. 同で技術開発に取り組むなど,組織間で戦略的. なタイプの組織が登場しつつある.たとえば,. な提携関係を結ぶことの重要性が増しつつある. ネットワーク組織やヴァーチャル企業と呼ばれ. (山倉[1993] ) .このような戦略的な技術提携. る 組織 が こ れ に あ た る(今井・金子[1988],. の背景には,技術の高度化とそれに伴う開発費. Galbraith[ 2002]). ヴァーチャル 企 業 で は,. 用の膨張,経営リスクの増大といった要因にい. 自社が最も強みをもつ活動だけに経営資源を集. かに対処できるかが,現代企業の生き残りを左. 中的に投下し,その他の活動は社外の企業に多. 右する決定的な要因となっていることがある.. くを外注し,同時に社内外の活動を統合するこ. これらの動きが強く示唆することとは,変革. とで,大きな付加価値の創造を実現している.. に取り組む組織にとって,組織の参加者から提. これは,企業という境界を越えて,組織の境界. 供される活動内容の変革に取り組むだけではな. が拡張された一例といえるだろう.. く,彼らから提供される活動をいかに相互に調. ②外部環境の定義の革新. 整して結合させるのかという「束ね方の変革」. ところで,組織にとっての外部環境とは,ど. のもつ意味が,組織の生き残りにとって重要性. のように定義できるだろうか.定義づけのひと. を増しつつあるということである.. つの方法として,「その組織が含まれない領域」 として,その組織の外部環境を定義することが.
(7) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (369). 7. できる.つまり,全体の領域から,その組織が. 的を再定義するにあたっては,どのような課題. 意識的に束ねられる活動の領域を差し引いた余. を克服することが求められるだろうか.. りの領域として,外部環境を捉える定義方法で. 組織とは,その参加者から提供される活動に. ある.この定義に従うならば,組織の外部環境. よって成り立つ以上,活動の提供者である人間. とは,組織構造や組織文化,あるいは管理者に. の感情や心理,相互作用を無視して,組織の共. よる公式権限の行使や組織のヒエラルキーなど. 通目的を議論することはできない.他方,組織. を通して,活動を意識的に調整し統制すること. が限られた経営資源を効率的に活用して,共通. ができない領域として捉えることができる(桑. 目的の実現を図るためには,技術的な観点から. 田・田尾[1998] ) .. 合理的に諸活動を束ねる内部プロセスを構築す. 仮に,外部環境を上記のように組織の残余概. ることが必要とされる.このように,組織とは. 念として捉えるならば,組織における活動の束. 社会的側面と技術的側面の両面を合わせ持つシ. ね方の技術革新は,組織の境界を変革するだけ. ステムである(Emery and Trist[1965]).そ. ではなく,組織の外部環境を再定義することを. れゆえ,組織において共通目的を設定したり,. も同時に意味することが理解できる.つまり,. その達成度を評価したりする際には,組織の技. 組織のウチとソトの境界線を変えることは,ウ. 術的な側面だけではなく,組織の価値的な側. チの領域を改めることであると同時に,ソトの 領域を新たに決めることでもあるからである.. 面も視野に入れて検討がなされる必要がある (Quinn and Rohrbaugh[1983]).. このように,組織における活動の束ね方の技. それゆえ,以下では,組織の両側面を前提と. 術革新は,組織境界の変革を通じて,従来は外. して,組織の共通目的の設定について考察しよ. 部環境の領域にあった活動を組織内部に取り込. う.なお,結論から述べると,組織の共通目的. んだり,あるいはその逆の動きを見せたりする. を再定義するにあたっては,経営者や組織の参. ことで,従来は生み出せなかった新たな付加価. 加者間で従来から支配的だった分析や解釈のフ. 値を組織が創出することを可能にしている.こ. レームワークを変革することが求められるとい. のように考えると,外部環境の変化にさらされ. うことを以下では指摘する.. ている組織にとって,組織の境界を変える「活. ⑴ 共通目的の決定. 動の束ね方」の革新が,組織変革の決定的な要. 組織でなされる意思決定では,経営者や組織. 素であることが理解できる.. の参加者がもつ価値観や信念などの価値的な前 提と,彼らが選べる選択肢の数や,各々の選択. 3.「共通目的の再定義」としての組織変革. 肢がもたらす利益の大きさなどの事実前提と. 動態的な組織観に基づく組織変革の三つめの. いう 2 種類の決定前提の影響を受ける(Simon. 捉え方とは,組織の共通目的を再定義するとい. [1947]).それゆえ,組織における共通目的の. う次元での捉え方である. 既に説明したとおり,. 決定においても,その価値的側面と技術的側面. 共通目的とは組織が成立するための必要条件の. に注目しながら議論を進めることにしよう.. ひとつである.それゆえに,環境変化によって. ①共通目的の価値的側面. 組織の共通目的が実現困難になった場合や,た. まず最初に,組織の共通目的を創設する(つ. とえ共通目的を実現できたとしても,組織の参. まり,新たに組織を生み出す)場合に取り組む. 加者が期待するだけの十分な利益を得られなく. べき課題とは何かについて考えてみよう.そこ. なった場合には,外部環境の変化に応じて,そ. での課題とは,第一に,組織として社会で果た. の共通目的を再定義することが,組織を維持す. すべき使命や役割とは何か,社会に対してどの. るために求められる.それでは,組織の共通目. よ う な 付加価値 を 提供 し た い か,5 年後 や 10.
(8) 8. (370). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). 年後にどのような存在になりたいかといった,. といった,目的の実現可能性や制約条件に関す. 「~~べきか?」や「~~したいか?」という. る技術的な問いに自ら答えを出すことである.. 価値的な問いに対して,経営者や組織の参加者. というのは,組織を長期的に維持するために. が自ら答えを出すことである.. は,共通目的を有効に達成し,そこから利益を. 確かに,組織の参加者たちの個々の利害が偶. 得ることが求められるからである.実現するこ. 然に共通することで,自然発生的に共通目的が. とがまったく期待できない使命や理想は,組織. 生まれる組織もあるかもしれないが, とりわけ,. を崩壊の危機に直面させることは,既に述べた. 長期的に存続することを前提として,多様な利. とおりである.. 害関係者を巻き込むかたちで設立される企業組. それゆえ,組織の目的を定義するにあたって. 織では,経営者が長期的な視野に立って,自ら. は,「~~べ き か?」や「~~し た い か?」と. の組織が社会で果たすべき役割( 「何を行うべ. いう価値判断とともに,その目的の実現可能性. きか」 )や目指すべき将来像( 「どのような存在. や制約条件が技術的な観点から検討される必要. になりたいのか」 )といった組織の目指すべき. がある.具体的には,上記の問いに取り組むに. 方向性,すなわち組織の共通目的を定義する必. あたって,社会的使命や将来の理想像を追求す. 要がある.そして,このように定義された目的. るうえで影響を及ぼしそうな外部環境の制約条. が,複数の個人から共通目的として同意される. 件を分析したり,あるいは自らが利用できる経. ことが, 組織が成り立つための必要条件となる.. 営資源の潜在的な価値を分析したりすること. ここで重要なのは,組織の目的を定義するた. で,その使命や理想像を追求することが現実的. めの上記の問いに客観的な正答はないというこ. で妥当な判断かどうかを検討する必要がある.. とである.社会環境が複雑化し,価値観が多様. このように,組織の経営者の信念や価値観か. 化する現代社会において,それぞれの組織が. ら導き出される社会的使命や理想の将来像と. 果たすべき社会的な役割や目指すべき将来像. いった価値前提と,外部環境や経営資源の合理. は,当然のことながら,ひとつではない.多様. 的な分析から導き出される実現可能性や制約条. な問題が山積しているなかで,どの問題に取り. 件などの事実前提を統合して検討することで,. 組むのか,何を自らの社会的使命とするか,ど. 組織の共通目的は決定されるといえる.. のような将来像を理想とするかは,合理的な分. ⑵ 共通目的の再定義. 析プロセスだけで必ずしも導き出せるものでは. それでは,外部環境の変化に伴って,既存の. ない.むしろ,組織の経営者に内在する普遍的. 共通目的を再定義する場合はどうだろうか.と. な信念や価値観を反映させた共通目的を設定. りわけ不連続な外部環境下で,経営者や組織の. し,組織の参加者の感情に訴えかけることで,. 参加者が共通目的を再定義する場合,今まで組. 参加者の主体的な協働意欲を引き出すこと,換. 織内で共有されてきた既存の価値観や技術的視. 言すれば,組織に価値を注入することが,経営. 点を抜本的に変革することが,共通目的を再定. 者やリーダーの重要な責務のひとつといえる. 義するための前提として求められる.というの. (Selznick[1957] ) .. は,組織の共通目的は,既に説明したとおり,. ②共通目的の技術的側面. 組織の社会的使命や理想といった価値的な視点. 他方,組織の共通目的を創設する場合に取り. と,実現可能性や制約条件の分析という技術的. 組むべき第二の課題とは,どの領域であれば,. な視点とを統合するかたちで形成されているか. 自らの社会的使命を有効に達成でき,将来の理. らである.. 想像を実現できそうか,また他社との競争を優. 外部環境が不連続に変化しているにもかかわ. 位に制しつつ大きな付加価値を生み出せそうか. らず,組織内で従来から支配的だった価値観や.
(9) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (371). 9. 技術的な視点に基づいて,従来の共通目的の延. 組織の解釈枠組みとして広く組織に根づいてい. 長線上に新たな目的を設定しても,新たな外部. る場合がある.ここで言う解釈枠組みとは,「モ. 環境に対して組織が有効に適応するのは困難だ. ノの見方」や「コトの捉え方」を指す.たとえ. ろう.とりわけ,不連続に変化する外部環境に. ば,何を「当たり前」と見なし,何を「例外」. さらされている組織が,その共通目的を新たに. と見なすのか,何を重要と捉え,何を些末と捉. 定義するにあたっては,前提となる上記の価値. えるのか,そのような「モノの見方」や「コト. 観と技術的視点の双方(あるいはいずれか)を. の捉え方」が解釈枠組みにあたる.. 抜本的に見直すことが求められる.. 同じ出来事を経験したとしても,その出来事. しかしながら,組織で既に支配的となってい. の見方や捉え方が個人によって異なるのと同様. る価値的な視点や技術的な視点を抜本的に変革. に,同じ外部環境の変化に直面したとしても,. することは,容易なことではない.外部環境の. その変化に対する意味づけは組織によって異な. 変化や組織の成長段階に応じて,共通目的を柔. る.これは,組織が固有の解釈枠組みをもつた. 軟に変革することは,多くの組織にとって困難. めである(Weick[1979]).. な取り組みとなる.そして,この取り組みに失. 個人や組織は多様な経験から学習を積んで,. 敗した組織は,持続的な経営成果をあげること. 固有の解釈枠組みを体系化し,それは組織文化. ができず,崩壊の危機に直面することになる.. として組織の参加者に内面化されていく.ここ. 以下では,組織で共有されている価値的視点と. で重要な論点とは,固有の解釈枠組みが組織文. 技術的視点を抜本的に変革することがなぜ困難. 化として広く浸透すればするほど,その解釈枠. なのか,その根拠について考察しよう.. 組みを正当化する圧力が組織内で作用しやすく. ①解釈の枠組みの硬直化. なるという論点である.というのは,固有の解. 組織の共通目的を再定義することが困難な第. 釈枠組みが組織文化として浸透するということ. 一の根拠として,組織において共有されている. は,組織の参加者の一体感を助長し,組織内の. 価値観や信念が,一般的に抽象的で言葉として. コンフリクトを回避して円滑なコミュニケー. 具体的に表現しづらい性質をもつため,変革の. ションを促進することに貢献するからである.. 対象として認識しづらいという点が挙げられ. 逆に言えば,組織文化として浸透している解釈. る.また,組織のなかで広く共有されている価. 枠組みを否定するような革新的な「モノの見方」. 値観は,経営者や組織の参加者にとって,自ら. や「コトの捉え方」は,既存の組織文化への挑. 判断したり行動したりする際の基本的前提をな. 戦を意味し,組織から排除すべき対象と見なさ. している(Schein[1985] ) .それゆえ,日常的. れやすい.. にあまり強く意識されることなく,共通の価値. しかしながら,不連続な環境変化は,従来の. 観が共有されている場合も多いと考えられる.. 見方や捉え方では捉えきれない要素を含む場合. この場合,経営者や組織の参加者が,自分たち. が多いと考えれる.このことは,組織文化とし. の価値的な視点を変革しようにも,その存在を. て根づいた固有の解釈枠組みが硬直化すること. 自覚することすら難しくなる.その存在を自覚. で,外部環境における変化を組織が柔軟に認識. することができなければ,当然のことながら,. できなくなることを意味しており,その結果と. 変革の対象にすることはできない.. して,新たな外部環境には適合しない従来の共. また,仮に自分たちのもつ価値観を自覚でき. 通目的が組織に温存される恐れがあることを示. たとしても,ひとたび内面化され共有された価. 唆している.. 値観を変えようとする試みは容易ではない.と. ②分析枠組みの硬直化. りわけ,組織で深く共有されている価値観は,. 組織の共通目的を再定義することが困難な第.
(10) 10. (372). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). 二の根拠としては,組織における分析枠組みの. れない.しかしながら,少なくとも,従来の分. 硬直化が挙げられる.ここで言う分析枠組みと. 析枠組みによって描かれる外部環境を「現実」. は,注目すべき分析対象は何か,その対象を分. として認識する現状の組織にとって,自分たち. 析するための切り口や手法は何か,そこから得. の認識のどこに「ヌケ」があるのか,それを具. られた分析結果をどのような基準で評価するの. 体的に認識するのは困難である.それゆえに,. かといった分析対象の選択や分析手法,分析結. 自らの分析枠組みを変革する必要性を認識する. 果の評価基準などの枠組みを意味する.. ことも困難となる.このことは,外部環境の新. 組織の共通目的の達成に向けて,それぞれの. たな変化をうまく捉えられないにもかかわら. 部門が多様な活動を積み重ねるなかで,その成. ず,組織が従来からの分析枠組みに固執する理. 功や失敗からの経験学習を通じて,組織におけ. 由を部分的に説明している.. る分析枠組 み は 徐々に体系化される.とりわ. これらの結果として,外部環境における新た. け,安定的な外部環境の下では,組織に独自の. な変化の兆候は見落とされ,組織の分析枠組み. 分析枠組みができあがるにつれて,組織の経営. は硬直化しやすくなる.具体的には,不連続な. 者や参加者は,その分析枠組みに基づいて,対. 外部環境にさらされているにもかかわらず,い. 象の分析や評価をある程度パターン化して効率. つも同じ特定の環境要因にしか注目しなかった. 的に行えるようになる.このように,分業と学. り,環境要因を分析するための切り口がいつも. 習を通して,組織は個々の参加者の情報処理能. 同じだったり,分析結果をいつも同じロジック. 力や分析能力の限界を補完し,組織全体として. で評価しようとしたりするといった事態が生じ. の合理的能力の強化を図っている(March and. かねない.. Simon[1958] ) .. ⑶ 共通目的の再定義とジレンマ. しかしながら,上記のように分析枠組みがパ. それでは,不連続に変化する外部環境下にお. ターン化するということは,その弊害として,. いて,組織の解釈や分析の枠組みが硬直化する. 変則的な環境変化が分析の対象から除外された. ことは,組織の共通目的を再定義する場合に,. り,新たに観察された現象への分析手法が従来. どのような弊害を及ぼすのだろうか.また,そ. と同じだったり,従来の基準でうまく評価でき. の際に組織が直面する自己革新のジレンマとは. ない分析結果が無視されたりする恐れがあるこ. 何かについて,以下では考察しよう.. とを示唆している.このような事態は,今まで. ①新たな制約条件を認識できない. 安定的な外部環境の下で,自らの分析能力に磨. 一つめの弊害とは,外部環境の不連続な変化. きをかけてきた組織が,外部環境に生じた不連. やその変化がもたらす制約条件を,組織が有効. 続な変化を必ずしもうまく分析できない理由を. に察知できなくなるという弊害である.型には. 説明している.. まった分析や解釈の枠組みが導き出す外部環境. この問題が深刻な意味合いをもつのは,上記. の像とは,その枠組みが「分析できた」要因だ. の組織が環境変化をうまく分析できないためと. けを対象として,「解釈できた」結果だけを反. いうよりも,環境変化をうまく分析できていな. 映した外部環境の像である.逆に言えば,分析. いことをこの組織が自覚しづらいためである.. から除外された新たな環境要因や,解釈されな. この組織にとっては,従来からの分析枠組みに. かった新たな制約条件を,私たちはその像のな. よって描かれた外部環境こそが, 「現実」とし. かに認識することはできない.. て認識される外部環境といえる.確かに,分析. ②「認識できていないこと」を認識できない. 枠組みを一新することによって,この組織は環. さらに問題なのは,組織の分析・解釈枠組み. 境変化の明確な兆候を新たに捉えられるかもし. で拾えなかった新たな情報や,解釈できなかっ.
(11) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (373). 11. た新たなロジックが存在するということより. あくまで従来の外部環境や組織を効率的に分析. も,むしろ認識の「ヌケ」が存在するという可. し解釈するための枠組みだからである.このこ. 能性に組織が無自覚であるという点である.す. とは,とりわけ外部環境が不連続に変化する場. なわち,組織の分析・解釈枠組みという切り口. 合,新たな共通目的を再定義するために,外部. で映し出された「現実像」のなかに,部分的に. 環境や組織内部の要因を分析し解釈する枠組み. 抜け落ちた視野があるにもかかわらず,そのこ. を抜本的に変革する必要性があるということを. とを組織が認識できない恐れがあるということ. 示唆している.. である.言い換えれば,自らが無知であるとい うこと自体に自ら気づいていない状態とも言え. Ⅲ 組織変革のあり方を変革する必要性. るだろう.. 以上の議論では,組織変革を 3 つの次元から. 組織がこのような状態に陥った場合,外部環. 理論的に捉え直すことで,それぞれの組織変革. 境の不連続な変化を組織が柔軟に察知できなく. の意義や困難さについて考察してきた.以下で. なるということを,このことは示唆している.. は,組織変革の三つのタイプと外部環境との関. さらに,不連続な環境変化の察知の遅れは,組. 係性について考察したうえで,組織変革の取り. 織の共通目的が有効なタイミングで再定義され. 組みが経営成果をあげるうえで克服すべき課題. ない事態を招き,その結果として,組織を深刻. を明らかにする.. な環境不適応に陥れる恐れがある. ③新たな共通目的の価値を評価できない. 1.組織変革のコンティンジェンシー仮説. 組織の分析・解釈枠組みの硬直化が,組織の. 組織における活動内容の変革,提供される諸. 共通目的の再定義にもたらす三つめの弊害と. 活動の束ね方の変革,組織の共通目的の再定義. は,新たな共通目的を決定するにあたって,そ. という三つの次元から,以上では組織変革を捉. の実現可能性や制約条件を評価することが困難. えてきた.それでは,それぞれのタイプの組織. になるということである.. 変革が生み出す経営成果には,どのような特徴. 既に説明したとおり,外部環境の変化に伴っ. があるのだろうか.以下では,外部環境との関. て,共通目的を再定義する場合,組織の社会的. 係に注目しながら,それぞれの組織変革タイプ. 使命や理想の将来像の実現に影響を及ぼしそう. の体系的な位置づけについて考察しよう.. な外部環境の要因を分析したり,あるいは自ら. ⑴ 共通目的の再定義. が今後利用できる経営資源の潜在価値を解釈し. 組織の共通目的の再定義が求められる場合と. たりすることで,新たな共通目的を再定義する. は,既に述べたとおり,経営者や組織の参加者. 必要がある.. が既存の共通目的を追求しても,彼らの求める. しかしながら,仮に組織が外部環境の変化を. 十分な利益をそこから獲得することができなく. 察知できたとしても,組織の分析・解釈枠組み. なった場合である.ここで,既存の共通目的か. が従来のままであるならば,新たな共通目的. ら十分な利益が得られなくなる主な理由として. の実現に影響を及ぼしそうな新たな外部環境の. は,外部環境の変化や組織の硬直化などが考え. 要因を有効に察知できない恐れがある.あるい. られる.. は,新たな共通目的の達成に貢献できそうな組. ただし,仮に外部環境が変化したり,組織が. 織の経営資源の潜在価値を解釈することもでき. 硬直化したりしたとしても,組織の参加者から. ない.というのは,既存の分析・解釈枠組みは,. 提供される活動内容を変革したり,活動の束ね. 不連続に変化した新たな外部環境や組織内部の. 方を変革することで,既存の共通目的から得ら. 要因を分析・解釈するための枠組みではなく,. れる利益を改善できる場合もあるだろう.その.
(12) 12. (374). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). 意味では,共通目的を再定義するという組織変. に注目して,この組織変革タイプがもたらす経. 革は,組織の存在意義を見直すための変革であ. 営成果の特徴と,その変革タイプの実践が必要. り,他の変革タイプと比べて,組織に最も根本. とされる外部環境の特徴について明らかにす. 的な変革を迫る変革タイプといえる.. る.. このような根本的な組織変革が求められるの. ①高付加価値を生み出す組織能力. は,とりわけ外部環境が不連続に変化する場合. 組織における活動の束ね方を再編することに. である.というのは,仮に外部環境が過去から. よって得られる変革の成果とは,従来よりも高. の延長線上で連続的に変化しているのであれ. い付加価値を生み出す組織能力を獲得できるこ. ば,そのような状況下で組織の経営成果に何ら. とである.この付加価値の内容とは,製品やサー. かの問題がある場合,その問題は共通目的を実. ビスの開発スピードであったり,独自のブラン. 現するための手段である活動内容やその束ね方. ド・イメージであったり,卓越した品質であっ. に起因している可能性が高いと一般的に考えら. たり,あるいはそれらすべてであったりする.. れるからである.. 組織は,高度な分業体制によって,部門や個. たとえば,製品の品質をとりわけ重視する顧. 人の専門的な能力を高めることを通して,個人. 客が多い業界において,従来よりもさらに高度. では実現できない高い付加価値を創造してい. な品質を求める顧客が多くなったのであれば,. る.しかしながら,組織が高い付加価値を実現. 社内で従来から取り組んできた品質改善のため. するためには,高度な分業を徹底するだけでは. の活動をより強化したり,営業部門と開発部門. 十分ではない.分業化された多様な活動が,共. の活動の束ね方を見直し,顧客ニーズの変化に. 通目的の実現に向けて,互いに有効に結合し連. マッチした新たな品質コンセプトを創造したり. 携することで,組織はより大きな付加価値を創. することで,この環境変化に対応できるだろう.. 造できるようになる.. つまり,外部環境の連続的な変化に対して,組. ②外部環境への適応能力としての組織能力. 織の存在意義である共通目的を変革する必要性. 活動の束ね方を再編することで獲得できるも. は低いと一般的に考えられる.. う一つの成果とは,外部環境の変化に対して,. 共通目的の再定義を求められる場合とは,上. 組織としての適応能力を高められる点にある.. 記のような活動内容の変革や活動の束ね方の変. 組織は,分業を高度化することで,個人レベ. 革では,経営成果の改善を見込めないような場. ルで到達できない経営成果をあげていることは. 合である.たとえば,自らの組織が今まで提供. 既に述べた.高度に分業化された部門や個人が,. してきた製品やサービスに関して,ある技術革. それぞれに割り当てられた外部環境(たとえば,. 新を契機として,顧客ニーズを満たす代替的な. 財務部門ならば経済的環境,開発部門ならば技. 製品やサービスが他の業界から提供されるよう. 術的環境)と向き合って,それぞれが専門的な. になったり,そもそも当該分野の製品やサービ. 課題に対処することで,結果として,組織全体. スに対する社会的なニーズ自体が消滅したりす. としての経営成果を高めている.. るような場合である.このような危機的な状況. ここで,仮に外部環境が安定的であれば,個々. 下では,既存の共通目的を温存したままで組織. の部門や個人の活動の成果を高めることと,組. の活動内容を見直したり活動の束ね方を見直し. 織全体としての経営成果を高めることとの整合. たりしても,組織が危機的状況を回避すること. 性は安定的に担保しやすい.両者を整合させる. はできない.. ためには,専門化された部門活動の成果を最大. ⑵ 活動の束ね方の変革. 化させる部分最適化と,組織全体の経営成果を. 以下では,組織における活動の束ね方の変革. 最大化させる全体最適化との間のつながりを整.
(13) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (375). 13. 合させる必要があるが,外部環境が安定的であ. ここで強調すべき論点とは,とりわけ外部環. れば,両者(つまり部分と全体)のつながりを,. 境の変化が激しい状況下にある組織では,固定. 業務上のルールや経営の基本方針を策定するこ. 的なルールや基本方針を通じて,部門の活動と. とで,ある程度安定的に担保できるからである.. 全体の利益との整合性を担保することが困難で. たとえば,企業組織の営業部門は,売上を最. あるという論点である.この場合,組織構造や. 大化することを一般的な部門目標としており,. 組織プロセスを柔軟に再編したり,経営者や変. その目標を達成するためには,顧客に提案でき. 革リーダーが将来ビジョンを周知徹底したりし. る製品の種類が多岐にわたるほうが有利といえ. て,個人や部門の活動の束ね方を柔軟に変革す. る.他方,生産部門では生産効率を最大化する. ることで,組織全体として外部環境への適応能. ことを部門目標としており,その目標を達成す. 力を高めることが求められる.. るためには,製品の種類をできるだけ絞り込ん. 以上の議論をまとめると,活動の束ね方の変. で,限られた製品ラインナップを大量生産する. 革とは,組織における部分と全体とのつながり. ほうが有利といえる.両部門とも,企業の全体. 方を再編することを通して,外部環境に対する. 目標である利益最大化を実現するために,専門. 組織の適応能力を高めるための組織変革である. 的な部門目標を策定しているが,ある部門の目. といえる.外部環境の変化が激しく,より高い. 標を最大限に追求することが他の部門の目標達. 付加価値の創造が求められる現代の組織にとっ. 成を阻害するかたちとなり,結果として,部分. て,活動の束ね方の変革がもつ意義は非常に大. と全体とのつながりが不明確になっている.. きい.. ここで,この企業がさらされている外部環境. ⑶ 提供される活動内容の変革. が安定的で,たとえば,顧客が製品に求める機. 組織の参加者から提供される活動によって組. 能や品質が従来から安定しており,顧客が購入. 織が成り立つことは,繰り返し述べてきたとこ. する製品の数量にも大きな変動がないならば,. ろである.共通目的の実現に向けて,必要な活. 例年の販売実績データに基づいて,製品ライン. 動が参加者から提供されることが,組織が経営. ナップの幅と生産量を経営の基本方針として安. 成果をあげる前提となる.また,仮に共通目的. 定的に定めることができる.また,その基本方. が従来から同じであったとしても,外部環境の. 針を公式に定めることで,各部門の部門目標と. 変化に伴って,組織における活動内容を変化さ. 全体の企業目標との整合性を,基本方針の枠内. せる必要が生じる場合がある.. で安定的に担保することができるようになる.. 他方,組織における多様な活動の束ね方を具. 他方,仮にこの企業の外部環境の変化が激し. 体化した組織構造や組織プロセスが従来から不. く,たとえば,顧客が製品に求める機能や品質. 変であったとしても,その束ね方の下でより大. が状況によって非常に変わりやすく,顧客が. きな経営成果をあげるために,個々の参加者か. 購入する製品の数量にも短期的に大きな変動が. ら提供される活動内容を変革することが求めら. あるならばどうだろうか.この場合,この企業. れる場合がある.たとえば,営業パーソンがよ. が取り扱う製品ラインナップの幅や生産量を固. り大きな売上を達成できるように,営業研修制. 定的な方針として定めることはできない.生産. 度を新たに設けることで,個々の営業パーソン. 部門と営業部門は流動的な市場環境に適応する. に営業活動の変革を促すケースがこれにあた. ために,常に最新の市場情報を共有し合い,緊. る.このケースでは,複数の営業パーソンの営. 密に連携して相互の活動を柔軟に調整すること. 業活動の束ね方や,営業部門と他部門との連携. で,組織全体として外部環境の変化に適応する. のあり方を見直すのではなく,個々の営業パー. ことが必要になる.. ソンのレベルでの行動変革を追求している点.
(14) 14. (376). 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). 表 1 組織変革のコンティンジェンシー仮説 連続的な環境変化. 活動内容の変革. 不連続な環境変化. 漸進. 急速. ○. ○. ○. ○. ○. 活動の束ね方の変革 共通目的の再定義. ○. で,活動の束ね方の変革というよりも,活動内. 外部環境が不連続に変化する場合は,共通目的. 容の変革にあたる.. の再定義という最も根本的な組織変革を行い,. その意味では,上記で議論した「活動の束ね. それに付随するかたちで,活動の束ね方や活動. 方」の変革が,とりわけ外部環境の変化が激し. 内容の変革を行う必要がある.表 1 の示すとお. い状況下で必要とされる変革タイプであるのに. り,直面する外部環境の特徴に応じて,組織変. 対して,活動内容の変革は,変化の激しい外部. 革タイプを重層的に変化させることが経営者や. 環境下だけではなく,安定的な環境変化の下で. 変革リーダーには求められるというのが本論の. も必要とされる最も普遍的な組織変革タイプで. 主張である.. あるといえる.換言すれば,活動内容の変革は,. また,外部環境の変化の質が高度化するにつ. 共通目的を再定義した場合や,活動の束ね方を. れて,組織変革を主導する当事者が異なること. 変革した場合に,それらの組織変革に伴うかた. を表 1 は示唆している.環境変化が緩やかな場. ちで必要とされる変革タイプであるが,そのよ. 合に求められる「活動内容の変革」は,個々の. うな場合だけではなく,既存の共通目的の下に. 部門のマネジャークラスが変革主導の担い手で. おいて,あるいは従来からの組織構造や組織プ. あるのに対して,環境変化が激しい場合に求め. ロセスにおいて,より大きな経営成果を達成す. られる「束ね方の変革」では,部門を超えた連. るための手段としても必要とされる変革タイプ. 携の構築が求められるため,複数の部門を統括. である.. するシニア・マネジャーが変革主導の主導者と. ⑷ 変革のコンティンジェンシー仮説. なる必要がある.さらに,不連続な環境変化に. 以上の議論に基づいて,組織がさらされてい. 組織が適応するために, 「組織の共通目的の再. る外部環境の特徴と,そこで求められる組織変. 定義」を行う場合は,組織全体の存在意義を抜. 革タイプとの関係を図式化したもの表 1 であ. 本的に再検討する必要があるため,経営トップ. る.それぞれの外部環境の下で必要とされる変. 層の組織変革への関与が不可欠となる.. 革タイプが○印で示されている. 環境変化が緩やかな場合は,活動内容の変革. 2.組織変革における適応不全の 3 パターン. だけで経営成果の改善が期待できるのに対し. 本論の冒頭で提起した問題意識として,多く. て,環境変化が激しく,より高度な付加価値の. の組織で変革の取り組みが繰り返されているに. 創造を組織が求められる場合は,活動内容の変. もかかわらず,当初期待されただけの十分な成. 革にくわえて,活動の束ね方の変革が不可欠と. 果が得られていないとするならば,その理由は. なる.そこでは,部分と全体とのつながりの再. 何かという問いがあった.その問いに対する一. 編を通じて,外部環境に対する組織の適応能力. 般的な答えとしては,たとえば,経営者の示す. を高めることが組織変革の目標となる.他方,. 将来ビジョンが曖昧で,組織の参加者に十分に.
(15) 組織変革の概念と適応不全の論理(山岡). (377). 15. 浸透していないのではないかといった指摘や,. 注力しているパターン,これらが本論の想定す. 変革プロセスを牽引するリーダーシップやマネ. る組織変革の適応不全パターンである.とりわ. ジメントが有効に機能していないのではないか. け,上記の第二と第三のパターンでは,組織変. といった変革リーダーシップに関する議論があ. 革の取り組みに努力が注がれているにもかかわ. る(Kotter[1996] ) .. らず,変革タイプと外部環境との間の不調和に. しかしながら,そのような議論に欠ける視点. よって,変革の成果が必ずしも十分には得られ. とは,組織や組織変革の概念を理論的にいかに. ないパターンである.. 捉えるのかという視点と,外部環境との関係に おいて組織変革の内容をいかに捉えのるかとい. 3.組織変革に適応不全をもたらす諸要因. う視点であるように本論では考える.確かに,. それでは,このような組織変革の適応不全が. 将来ビジョンや変革プロセスを牽引する変革. なぜ起こるのだろうか.上記の第一の適応不全. リーダーシップは,組織変革のプロセスを前進. パターンの原因としては,外部環境の緩やかな. させるにあたって,極めて重要な要素ではある. 変化を組織が認識できない場合や,従来の外部. が,組織の共通目的や多様な活動をどのように. 環境下で経営成果をあげてきた組織の活動に固. 再編するのか,あるいはどのような外部環境の. 執して,活動内容の変革に取り組まない場合な. 下ではどのような組織変革の内容が求められる. どが考えられる.前者の場合は,そもそも組織. のかといった問いには,必ずしも十分には答え. 変革の必要性すら認識できないケースであり,. ていないのではないだろうか.. 後者の場合は,過去の成功体験に固執して,組. そして,多くの組織において組織変革が繰り. 織の活動内容が従来のままでも引き続き経営成. 返されているにもかかわらず,期待されるだけ. 果をあげられると考え,緩やかな環境変化が. の成果が必ずしも達成されない理由のひとつ. 及ぼしつつある負の影響を軽視するケースであ. が,上記の問題提起と関係しているのではない. る.. かと本論では考える.すなわち,組織が直面し. また,第二の適応不全パターンでは,外部環. ている外部環境と,その組織で取り組まれてい. 境の急激な変化のなかで,組織に対して新たに. る組織変革タイプとの間に生じているミスマッ. 求められている高度な付加価値の内容を把握で. チが,組織変革の成果を限定的にしている要因. きず,従来からの付加価値に固執して,時代の. の 1 つではないかというのが本論の主張であ. 流れから組織が取り残される場合や,組織に新. る.. たに求められている付加価値の重要性を理解し. 具体的には,第一に,外部環境が緩やかに変. たとしても,それを実現するための部門間連携. 化しているにもかかわらず,組織における活動. がうまくとれない場合などが考えられる.とり. 内容の見直しを行っていないパターン, 第二に,. わけ,後者の部門間のつながりを再編する場合. 外部環境の変化が以前よりも激しくなり,より. は,シニア・マネジャーや経営トップ層による. 高度な付加価値の創造が外部環境から求められ. 変革 リーダーシップ が 決定的 な 役割 を 果 た す. ているにもかかわらず,組織変革の内容が部門. が,彼らにその認識や変革能力が乏しい場合,. や個人の「活動内容の変革」ばかりに終始する. 組織変革は部門単位での活動内容の変革という. パターン,第三に,技術革新などによって外部. 次元に留まる恐れがある.その結果として,組. 環境が不連続に変化し,他の業界による代替的. 織全体として高度な付加価値を新たに創造でき. な製品やサービスが自社の市場を徐々に奪いつ. ず,環境不適応に陥るパターンである.. つあるにもかかわらず,依然として,既存の事. 最後に,第三の適応不全パターンとは,前節. 業プロセスのなかで「活動の束ね方の変革」に. で既に説明したとおり,不連続な環境変化に直.
(16) 16. 横浜国際社会科学研究 第 17 巻第 3 号(2012 年 9 月). (378). 面しているにも関わらず,組織の分析枠組みや. 多くの組織が変革の適応不全状態に陥り,存続. 解釈枠組みが硬直化することで,組織の共通目. の危機に立たされるのではないかという推論を. 的の再定義を図れないパターンである.この場. 本論の最後に提示した.. 合,既存の分析枠組みや解釈枠組みから脱却で. また,第Ⅱ節で議論したとおり,外部環境が. きず,従来の共通目的に固執することで,組織. 不連続に変化するなかで,組織の共通目的を再. は存続の危機に立たされると考えられる.技術. 定義するためには,現状の組織が「見えていな. 革新などを契機として,外部環境の不連続な変. いモノ」や「捉えられていないコト」を自覚す. 化が従来よりも頻繁に生じつつある今日,組織. ることが求められる.本来,個人や組織にとっ. 変革に取り組んでも経営成果をあげられない. て,自らが見えていない視野を見たり,自らに. という変革の適応不全のパターンは,今後この. 聞こえていない音を聞いたりすることは不可能. 第三のパターンが相対的に増加するのではない. である.しかしながら,不連続な環境変化の下. かと本論では考える.とりわけ,活動内容やそ. で組織が自己革新によって生き残りを図るため. の束ね方の変革を通じて,過去に大きな経営成. には,そのような矛盾やジレンマを克服できる. 果をあげた組織ほど,その次元での組織変革に. 自己革新能力が求められるのではないかという. 固執することで,不連続な環境変化が生じた際. のが本論の最後の問題提起である.. に,第三の適応不全パターンに陥りやすいとい える.その意味で,現代の組織には組織変革の あり方自体を変革することが求められている. むすび 本論では,動態的な組織観に基づいて,組織 変革を 3 つの次元から概念化した.その次元と は,組織における活動内容の次元,多様な活動 の調整という次元,そして共通目的の定義とい う次元である.これらの次元に基づいて,組織 変革の 3 タイプを概念化し,外部環境と組織変 革タイプとのコンティンジェンシー仮説を提示 した.また,多くの組織が変革の取り組みを繰 り返しているにもかかわらず,十分な変革成果 が実現されない理由として,外部環境と組織変 革タイプとのミスマッチから生じる適応不全の パターンを指摘した. とりわけ,外部環境の不連続な変化に直面す る組織が生き残るために求められる共通目的の 再定義では,その前提として,組織の解釈枠組 みや分析枠組みを根本的に見直す必要がある. 技術革新などを契機として,外部環境の不連続 な変化がさらに今後増加すると予想するなら ば,組織の解釈枠組みや分析枠組みを根本的に 見直すことの困難さとあいまって,従来以上に. 参考文献 Barnard, C. I. (1938), The Functions of the Executive, Harvard University Press.(山 本 安次郎・田杉競・飯野春樹訳, 『新訳 経営 者の役割』 ,ダイヤモンド社,1968 年) Davenport, T. H. and Short, J.(1990),“The New Industrial Engineering: Information Technology and Business Process R e d e s i g n ”, S l o a n M a n a g e m e n t R e v i e w , Summer, 11─27. Davenport, T. H.(1993), Process Innovation: Reengineering Work through Information Technology, Ernst & Youmg.(卜 部 正 夫・伊 東俊彦・杉野周・松島桂樹訳, 『プ ロ セ ス・ イ ノ ベーション』 ,日経BP出版 セ ン ター, 1994 年) Emery, F. E. and Trist, E. L.(1965) ,“The Casual Texture of Organizational Environment”, Human Relations, 18, 21─32. Ford, R. C. and Randolph, W. A.(1992) ,“CrossFunctional Structures: A Review and Integration of Matrix Organization and Project Management”, Journal of Management, 18, 267─ 294. Galbraith, J. K.(1967), The New Industrial State, Houghton: Mifflin Company.(都留重人監訳, 『新しい産業国家』 ,河出書房新社,1968 年) Galbraith, J. R. (1973), Designing Complex Organizations, MA: Addison-Wesley.(梅津祐 良訳, 『横断組織の設計』 ,ダイヤモンド社, 1980 年).
関連したドキュメント
うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、
不変量 意味論 何らかの構造を保存する関手を与えること..
修正 Taylor-Wiles 系を適用する際, Galois 表現を局所体の Galois 群に 制限すると絶対既約でないことも起こり, その時には普遍変形環は存在しないので普遍枠
特に、その応用として、 Donaldson不変量とSeiberg-Witten不変量が等しいというWittenの予想を代数
実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる
ASTM E2500-07 ISPE は、2005 年初頭、FDA から奨励され、設備や施設が意図された使用に適しているこ
わかりやすい解説により、今言われているデジタル化の変革と
1989 年に市民社会組織の設立が開始、2017 年は 54,000 の組織が教会を背景としたいくつ かの強力な組織が活動している。資金構成:公共