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教師のポジティブな信念・かかわりが教育活動に及ぼす影響 : 公立高校の教師・生徒・保護者を対象とした調査結果から

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(1)平成14年度学位論文 教師のポジティブな信念・かかわりが. 教育活動に及ぼす影響 一公立高校の教師・生徒・保護者を対象とした調査結果から一. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科. 学校教育専攻 教育臨床コース. MO10931. 福本 いく子.

(2) 次. 目 第1章. 問題と目的一一一一一一一一一一一一一._.._一一__一一一一_一_.一一一一_.一一4. 第1節. はじめに一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一_一一一一一一一一一一一一一一4. 第2節. 教師のポジティブなかかわりと教師期待行動一…一一一…6. 第3節. 教師のポジティブな信念と認知行動論的アプローチ…10. 第4節. 本研究の目的一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一15. 第2章. 教師の生徒に対するポジティブな信念の測定(研究1)一一…16. 第1節. 目的一一一一一一一一一_一_一一一一一一。一一一,一一一一一一一一一一一一一一一16. 第2節. ポジティブな信念尺度の項目収集…一…………一一一一16. 第3節. ポジティブな信念尺度の作成…一一一一一一一…一一一一一一一一一17. 第4節. 「ポジティブな信念尺度」、「ストレス反応尺度」 および「イラショナル・ビリーフ尺度」の実施一一一一一一…18. 第5節. 結果一…一…一…一一一一一一一一一一一…一一……一一一一一一一…一一一21. 1)ポジティブな信念尺度の項目収集一一一一一一一一一一一一一一一一一一21. 2)ポジティブな信念尺度の作成一…一一一一一一一一一一一一一一一一…一23. 3)イラショナル・ビリーフ尺度の因子分析……一一一一…一…25 4)ポジティブな信念尺度、ストレス反応尺度、イラショナル・. ビリーフ尺度の平均、標準偏差、相関係数一……一一一一26 5)性差(t検定)……一一一一一一一一一一一一一一一一一…一一一…一一一一一一一28. 6)年齢との相関一一…一一一……一一一一一一一一一…一…一一一一一一一一一一29. 7)イラショナル性の高い項目…一一一一一一…一一…一一一一…一一…一一.2g 第6節. 考察一一一一一一一一……一一一一一一一一一一一一…一一…一一一…一一一一31. 1)ポジティブな信念尺度の因子について一一一一一一一…一一一一…一一31. 2)イラショナル・ビリーフ尺度の因子について…一…一一…一一一一31. 3)ポジティブな信念、ストレス反応および イラショナル・ビリーフの相関について一…一…一一一一一一32 4)性差と年齢差について…一一一一一一一一一一一一……一一一一一一一…32. 5)イラショナル性の高い項目について一一一一一一……一一一一一…一33 1.

(3) 6)まとめ一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一34. 第3章教師のポジティブな信念・かかわりと生徒・保護者の認知(研究2) _一一一__一一一一一_一一_.一_一一一一_一一一一_一_一.一_.一一_.一_一__一35. 第1節. 目的一…一…一一一…一……一一…一一一一一一一…一一一一一一一一35. 第2節. 方法一一…一一一………一一一一一一一……一一…一…一一…一一…36. 1)被調査者一一…………一一一一一…一一一一一一一一一一一…一一一一…一一一一一36. 2)質問紙の内容一……一一一一一……一一一一…一一一一…一一一一一一…一一36 3)調査時期および手続き一…一…一一一一一一一一一一一一一一………一…一一一37 4)分析方法一一…一一………一…一一……一一一一一一…一一一…一一一一一一一一38. 第3節. 結果一一…一一………一一一一…一…一…一一…一一……一一一42. 1)ポジティブな信念尺度…一一一一一一…一一一一一一一………一……一42 1.教師における因子分析一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一42. 2.保護者における因子分析一一一一一一一一一…一一一一一一一一一一43. 3.ポジティブな信念尺度の因子分析一…一…一一一一一一一一一44 4.得点とヒストグラムー…一一一一…一一…一一一一一一一一一一一一…一一45. 5.教師における性差(t検定)一一…一一…一……一一一一一一…一…45 6.教師・保護者間の比較(t検定)一…一一一一一…一一一…一一一一46 7.年齢との相関一一一…一……一一一一一一一…一…一………一一一一46 2)教師の行動尺度一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一47. 1.項目の選定とヒストグラム…一一………一一一一一一一一…47 2.性差・年齢差一一…一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一47. 3.ポジティブな信念尺度との相関…一一一一一一一一…一一…一一48 3)「教師の信念」に対する認知尺度一一一一一一……一一一一一一一一…一一一49. 1.項目の選定とヒストグラム…一…一一…一一…一…一一一一49 2.保護者・生徒間の比較(t検定)一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一49. 3.保護者のポジティブな信念との相関…一…一一一一…一一一一49 4)心理的ストレス反応尺度一一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一50. 1.ストレス反応得点とヒストグラム…一一一一………一一一一一一一50. 2.教師・生徒・保護者間の比較(1要因分散分析)一一一51 2.

(4) 3.ポジティブな信念尺度との相関一一…一一…一…一…一一51 4.「教師の信念」に対する認知尺度との相関一一一一一一一一52 5)教師の行動PM尺度一一一…一…一一一…一一一一一一一一…一一一一一一一一一一一一一一一一53. 1.項目の選定と因子分析一一一…一…一一一…一一一一一一一一一一一53. 2.PM行動得点とヒストグラム…一一……一…一…一一一…一54. 3.「教師の信念」に対する認知尺度との相関一一一一一一54. 4.認知群・性による比較(2要因分散分析)…一…一…54 6)教師からの強化得点一…一…一一一一…一…一一一一一一………一一…一55 1.平均とヒストグラムー一一一一∵一一一一一一…一…一……一一一一…55. 2.認知群・性による比較(2要因分散分析)一一…一一一…56. 3.強化4得点間の相関一一一…………一……一…一…一一57 4.注目上位群・下位群の比較(t検定)一一一一一一一一一一一一一一58. 第4節. 考察一一…一一一一一……一一一一一…一…一一一一一一一…一一一一一一59. 1)教師のポジティブな信念について………一……一一一一一一一一一一59 2)教師のポジティブな信念と行動について一一一一……一一一一一一一一61. 3)生徒のストレスと「教師の信念・行動」に対する認知について 一一一__一一_一一一一一一一一一一一一一一一一62. 4)注目をはじめとする教師からの強化について…一一一一……一…64 第4章 総合考察……一一一…一一一一一…一一一………………一一一一…一66 1)教師の信念一生徒の存在の捉え方一一一一…一一一一一一一一一一一一一66. 2)教育活動における強化一生徒へのかかわり方一一_一_一_一一67 3)今後の課題一一一一一一一一一一一一一一一一一一……一一一一…一一一一………69. 要約一一一_一一._一.一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一70. 引用文献一一一一一一……一一一一_.一_一一_一一._一一_一一_一._一一___一_73 謝辞…一一一一一一一_……一一_一一一__一__.一一一一____._一一一一一一一.75. 付録・資料一一一一一一…一一……一…一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一76. 3.

(5) 第1章. 問 題 と 目 的. 1−1 はじめに 昨今、学校が生徒にとって「学ぶ喜びの場」とは言えなくなってきた。不. 登校、高校中退、学習活動からの逃避と教育現場の課題は依然として 大きいものがある。ちなみに、平成14年8月に文部科学省が発表した「平. 成13年度の生徒指導上の諸問題の現状」によると前年度に比べ暴力行 為やいじめは減少傾向にあるにもかかわらず、不登校だけは3.3%増と増. え続けている。30日以上欠席した国・公・私立の小・中学生は138,696人 に上り、全小学校の44.8%、全中学校の85.9%に不登校児童生徒が在籍 していることがわかった。また、公・私立高等学校中途退学者は104,904. 人、主な中退理由として学校生活・学業不適応が38.2%、進路変更が 36.3%、学業不振が6.4%であるが、4.月在籍者数の2.6%という中退率は. 前年度と同じだった。これらの結果から、不登校や高校中退を減少させに くい要因は児童・生徒にばかりあるのではなく、学習活動を提供している 学校や教師側にも存在するように思われる。. 学習活動を回避iしがちな児童・生徒・学生の現状からは当然のことな. がら学力の低下が憂慮されている。佐藤(2002)は、中学2年生の学習時. 間ゼロが43%になってしまった1998年の東京都生活文化局の調査などか ら、少なく見積もっても7∼8割の子どもたちが「学びから逃走」している現象 を警告している。. 2002年度からは学校週5日制となり、総合的学習の時間をはじめさまざ まな新しい対応が模索されてはいるが、学校教育がどんなに変わろうとも、. 生徒にとって教師が大きな環境要因であることは間違いない。. 下図(1999)によると、日本の学校教育における教師は、心理教育的 援助サービスを職業的な役割として行っていく複合的ヘルパーであると位 置づけている。すなわち教師は、専門的ヘルパーであるスクールカウンセラ ーとは異なり、指導サービスと援助サービスをバランスよく行う複合的な教. 育活動の専門家であると定義している。 4.

(6) しかし従来教師は生徒の問題行動に焦点を当て、説諭や説教、罰、 注意、監視、励ましなどを用いて対処してきた。その背景には、長い間受. け継がれてきた教職の特性に根ざす管理的傾向をもった職業文化があり、 そのため教師一人一人の日々の教育実践は管理的になりがちであること を河村(2000)は指摘している。. 国立教育政策研究所(2002)の「学習意欲に関する調査研究」による と、教師が児童・生徒をほめたり励ましたりする効果は大きく、わかる授業・. おもしろい授業で学習に対する意欲が高まることが明らかになった。学習ノ. ートに教師が返事を書いてくれたとき、小学生で9割以上、中学生・高校 生でも7割以上がやる気になると回答し、授業がおもしろいと小・中・高校. 生を通じて9割以上がとやる気になると回答している結果から、教師の適. 切な関わり方が多くなれば、児童・生徒は学習意欲を高めるものと思われ る。学習活動に対する「ほめる」「励ます」という特発的な動機づけを進めて いく中で「分かる」「おもしろい」「楽しい」という内発的動機づけも行われる. のである。これらのことから教育活動においていかに教師による『強化』が児. 童・生徒の適切な行動を促進するために重要であるかよくわかる。 一方児童・生徒が夢や希望をもって学ぶことが難しく、働くことや努力 すること、ものづくりの技術や専門性等が軽んじられる現在(国立教育政. 策研究所、2002)は教師にとっても今までの経験だけに基づく指導では困 難を感じることが多くなってきている。. このような中で、教師は毎日どのように子どもたちを見ているのであろうか。. 教師は基本的に「子どもが好き」なのだろうか。教師の信念の中でも児童・ 生徒に対してどのようなポジティブな子ども観を持っているのか。ストレスの. 多いといわれる教師生活の中で年々そのポジティブな信念は変化していく のだろうか。子どもの幸せを第一に願う保護者の信念と比較することはでき ないだろうか。そこで教師の生徒に対するポジティブさについて、信念と『強 化』というかかわりに焦点を当てた研究を進めることにした。. 5.

(7) 1−2教師のポジティブなかかわりと教師期待行動 1)教師のポジティブなかかわり. 教師によるポジティブなかかわりは生徒の自尊感情を高め、自己効力 感に大きく影響するものである。. 阿久根(1979)は児童に対し教師から積極的で肯定的な関心を焦点化 (Positive Focus)することによって、また浜名・北山(1988)は教師に受容. 的・共感的な指導行動をとるような示唆を与え実施させることによって、児 童の学級適応感が上昇したことを示している。これらはロジャース(1957)に. よる無条件の肯定的配慮などを教師に求め、教師行動を2∼3ヶ月間、 実験的・意図的に変化させるアプローチを試みたものである。 河村・田上(1998)はエリス(1973)による論理療法の技法を取り入れ、. 「教師特有のビリーフ介入プログラム」を作成した。そして管理的傾向の強. い教師特有のビリーフに気づかせ、それを修正する書き換えの実習を通し. 支持的・共感的な指導行動・態度への変容を試みた。 また有門(2001)は、解決焦点化アプローチと家族療法のシステムズアプ ローチの考え方を基に、より簡素化したポジティブカウンセリングを学校現 場に勧めている。ほめること(ポジティブメッセージ)で悪循環に陥っていた. 今までのシステムを変え、叱られ続けてきた子どもの自己有能感を高める. のである。教師にとっては専門的知識を必要とせず、日常の子どもの観察 から出発できるので無理なく誰でもできる。しかも個人のみを対象にするの. ではなく学級や学校全体に応用していくことができるなど、その利点を強調 している。. 2)教師期待効果 一方、社会心理学の分野では教師の児童・生徒に対する期待や願い が学業達成を規定するという教師期待に関する研究が多く見られる。 蘭(1988)の紹介によると、ローゼンソーら(1968)は、アメリカ西海岸のオ. ーク・スクールで教師が児童・生徒の学業達成についてある期待を抱くと、. その期待が実現するようなやり方で教師に行動させるという自己成就予言 6.

(8) が働き、結果的にそれが児童の学力結果に現れるという仮説を実験で証 明し、この“教師期待効果”を“ピグマリオン効果”と名づけた。. またわが国においては、高期待児に対するより多くのほほえみやうなずき、. 体をのり出すような支持的・友好的な行動など、非言語的な変数に教師. の行動差が顕著に見出されている。それらは教師の職業意識・役割意識 から離れ、無意識的・無意図研に表出(石井ら、1979)するからであろう。. さらに教師の効力感(自分の努力しだいで子どもは変わるという信念・自. 信を表す)を取り上げ、効力感の高い教師の方が、低い教師より高い期待 を持つことも見出した研究もある(溝i口ら、1985)。. 3)肯定的なフィードバック. 高期待児と低期待児に対する教師行動の違いを賞賛や叱責の割合 で比較したブロフィーとグッド(1974)は、高期待児はその期待を反映して、. 低期待児に比べより肯定的なフィードバックを多く受けていることを明らか にした。. 以下、1974年にブロフィーとグッドが出版し、日本では1985年に全訳さ. れた『教師と生徒の人間関係』の中で紹介されている研究の中から被験 者が高校生、大学生の研究を取り上げる。1丁目はムーアら(1973)の実. 験で、学力が低い高校生43名を被験者に10日間教師による期待の言語 的表明(高い、中立的、低い)とフィードバック(肯定的、否定的)を組み. 合わせた条件で作業結果を比べた。結果は期待条件にもフィードバック. 条件にも有意な主効果はなく、2つの要因問に有意な交互作用が認めら れた。低い期待を表明されたが、その後肯定的なフィードバックを受けた生. 徒たちの作業結果が1番高く、高い期待を表明されたがその後否定的な フィードバックを受けた生徒の結果が2位であった。つまり努力するように最. も刺激され、さらにその努力に対して最も強化されたのはこの2つの群だっ. た。教師の注目はそれだけでは生徒の努力や結果に影響しにくいが、承 認やその他の肯定的なフィードバックを示すことで、期待と努力の双方を. 高め、その効果は教師が生徒によい結果を期待していることを明確に述 べなくても現れたのである(ブロフィーら、1974)。 7.

(9) 2つ目のサービンら(1968)の研究では大学生に教授が肯定的な強化と 否定的な強化を与えることによって、集団討議での発言など参加度につ いて吟味された。4回のベースラインで収集されたデータから最も参加率の. 低い2名の学生の発言が肯定的に強化され、参加率の最も高かった2名 の学生の発言が否定的に強化された。すなわち肯定的な強化としては、 注目を払う、頭をふってうなつく、学生の発言に同意する、否定的な強化 としては学生の発言を無視する、聞いている問に退屈なようすを示すという. 体系的な強化を4回分の討議で行った後、強化を与えない討議が4回も たれ、参加率に関して分析した。その結果参加率の低かった学生は強化 期間を通して参加率を高め、強化がなくなっても持続させており、参加率. の高かった学生は否定的な強化期間ではその参加率が非常に低下した が、その後強化がなくなると最初の高いレベルに戻っていた。参加率の低. かった学生に認められた肯定的な結果は、教師の側で関心や注目を示 すことによってそうした学生の参加率を高めることができることを示している (ブロフィーら、1974)。. もちろんブロフィーとグッド(1974)の原著は行動分析の専門書でない。. しかし事項索引の中に『強化』の項目があり24の該当箇所が示されている とともに、『強化』は叱責、賞賛の項目からも参考にすべき関連項目として. 記載されている。一方原著をもとにして一般の教師も読みやすいように、日. 本における研究も含めその概要を紹介した『教師が変われば子どもも変わ る』(浜名ら、1988)では、索引の中に賞賛、叱責はあっても『強化』は見. 当たらない。日本では注目や関心を生徒に示す肯定的なフィードバックと しての『強化』は障害児教育以外ではほとんど重視されなかったと考えられ る。. しかし実際多くの行動分析家が行動変容の目的で強化の原理を応用 しているが、『強化』は彼らの発明ではなく日常生活の中にごく自然な形で. 含まれているものであり、行動論に立つ人々はそれを慎重に系統立てて応 用しているだけである(アルバートとトルートマン、1986)。. アルバートとトルートマン(1986)は日常生活で展開する出来事をよく観. 察すると、行動が持続するのは、その行動に特定の結果や効果が伴うから 8.

(10) であり、いつも行動に好ましい結果が伴っていると、その経験は行動の持 続を動機づける力として働くと述べている。そして『強化』とは行動(観察可. 能な行為)と結果(その行為の結果)との機能的な関係を表す言葉であり、 ある行動に、その行動を増加させるような結果が伴っていれば(正の)『強 化』というのである。. さらにグッドとブロフィー(1974)は、教師への肯定的なフィードバックが. 生徒への肯定的なフィードバックを促進することも示した。観察データを. もとに、教師が気づかなかったある児童との相互作用に関する情報を. 個々の教師との面接で与えたのである。すなわち接触が非常に少なか. った児童と非常に多かった児童、および、失敗状況で教師の対応が 非常に不足していた児童とよく対応できていた児童をペアにして教師に 示し、教師行動の違いに気づかせ、適切にできていた児童を示しながら 同じようなかかわり方をしてみようと助言した。このようなフィードバックは. 自分の行動レパートリーの中にある適切な行動がモデルであるため、教. 師の自尊心を傷つけずに受け入れやすく、さらに今後のかかわり方まで 明らかに示すことができる。その結果、教師の行動は大きく変化し、児. 童たちの行動も全体的には肯定的な方向に変化することが認められて いる。. 以上さまざまな教師によるポジティブなかかわりの中から障害の有無、. 生徒の年齢にかかわらず、教師からの注目、肯定的なフィードバックを 含む『強化』に焦点を当て検討していくことにする。. 9.

(11) 1−3教師のポジティブな信念と 認知行動論的アプローチ 1)教師の信念体系 ブロフィーら(1974)によると、教師期待行動やその効果性に影響を及 ぼす教師の個人差の中にはリーダーシップ・スタイル、教師の暖かさや熱 意とともに信念体系が含まれている。ブロフィーら(1974)の引用によるとハ. ーベイら(1961)は学級にとって特に重要だと思われる教師の個人差の変. 数は、教師の信念体系もしくは概念レベルであるとし、具体的信念体系の. 教師は抽象的信念体系の教師に比べて極端に絶対的になる傾向があり、 考え方や態度に融通性がないことを見出した。そして幼稚園と第1学年の 教師とその学級の生徒を2時間ずつ観察し、属性のそれぞれを評定し、具. 体的信念体系の教師は抽象的信念体系の教師よりも機知的ではなく、 独裁的で懲戒的であり、生徒とのかかわりにおいて権威主義的リーダーシ ップをとり、暖かさに欠ける傾向があること、また教師の機知は肯定的な生. 徒行動因子と正の相関を示し、望ましくない生徒行動因子と負の相関が あることを示した(ハーベイら、1968)。. ブロフィーとグッド(1974)は、期待はどこにでも存在するもので、他者につ いての観察に基づく推論であり、それ自体よくも悪くもないことを指摘した。. そして期待される内容より重要なことはその正確さと特に柔軟さ(新しい証. 拠を考慮に入れる開放性)の程度であり、教師期待の自己成就予言効 果は、教師の期待が不正確で柔軟性に欠ける場合に最も生じやすいこと を強調した。. 吉田(1985)は否定的な期待効果をもたらす望ましくない教師像の共通. 点として、幅広い多次元的な視点から児童・生徒を理解できない単純な 認知構造を指摘している。児童・生徒を理解する視点を多くもっためには、. 認知面での柔軟性や融通性、多面的な捉え方を可能とするような教師 個人の信念が必要と思われる。. 一方、教師の信念体系については、教師教育研究の中でも重要視さ れっつある。中原ら(2000)が教師教育を目的にしたCSCL(コンピュータを 10.

(12) 用いた一協調学習支援)環境をどのようにデザインするか論じた中でも、教. 師の信念体系を概観した研究を引用している。すなわち教師の実践を変 容させようとするときには、結局その教師の教育観や知能観に強い影響を 受けることから、そのもとになっている信念を考慮しなければならない。さらに. 教師の信念は強固に維持される傾向にあり、教師の態度や価値を変えね ばならないような新しい営みや教育改革などに立ち向かう際には、必ず抵 抗が起こるということである(Pajares,1992)。. 2)わが国における先行研究. 教師のビリーフを扱った先行研究については1980年から1996年まで の「心理学研究」「教育心理学研究」「実験社会心理学研究」「カウンセ リング研究」の各研究誌を調査しても該当する研究はなかった(河村、 2000)ほど、新しい研究分野である。教師のビリーフの構造に関して、斎 藤(1998)は教師が保持することによって、教育効果を高めることができる 有効なビリーフと、強く持ちすぎると教育効果を低めてしまう有効ではない ビリーフを明らかにし、小、中学校教師の有効なビリーフとして“学習指導. 積極型指導観”、有効ではないビリーフとして“規則遵守型指導観”“生. 活指導規格型指導観”“学習指導下一型指導観”を示した。 また池田(2000)は、教育課程経営の改善に意欲的に取り組む小学 校教師から「教師は子どもをじっくり待って育てなければならない」「よい点 をほめることで子どもは育てなければならない」などの信念を導き出し、さら. にその小学校には「子どものためならば新しいものに進んで取り組まなけれ ばならない」「協力をして子どもを育てなければならない」などの信念が教職. 員に共有されていることを参与観察と面接調査で導き出している。そして 「教え込み主義」の学校観から、「学校は子どものためにある」「子ども一人. 一人のペースを大事にする学校」「その子なりの努力を認める学校」と教. 職員の信念である学校観の変容を解明した。. ll.

(13) 3)心理療法における信念 一方心理療法における信念とは論理療法のエリス(Ellis,A)によるビリ ーフ、認知療法のペック(Beck,A.T)によるスキーマに相当する概念である。. 論理療法ではABC理論として、すべての結果・感情・行動 (consequence:C)は、出来事(activating event:A)から直接もたらされる のではなく、ビリーフ(belief system:B)を経てもたらされると考える。エリス. によるとクライエントの多くが、悩み(C)をもたらすものは、ネガティブな出来. 事(A)そのものであると信じているが、実際は悩み(C)を生むのは出来事 に対する受けとり方(B)なのであって、出来事(A)は変えられなくても、不. 合理な信念(B)を変えれば、悩みや抑うつ(C)は消えるという。. その理論的枠組みで河村ら(1996)は小学校教師を対象に、土井ら (2000)は中学校教師を対象にイラショナル・ビリーフの存在を示し、教師 の「∼ねばならない型」思考が生徒を管理しようと強迫的になるほど、生徒. のスクール・モラールや教師自身の精神的健康を損なうことを指摘した(河 村ら,1997;土井ら、2000)。そして、「教師特有の指導行動を生むイラシ ョナル・ビリーフ尺度」(河村ら、1996)を作成し、管理的な指導行動を生. む教師の不合理な信念を測定した。さらに「教師特有のビリーフ介入プロ グラム」(河村ら、1998)を作成し、管理的傾向の強い教師特有のビリーフ. の修正を通し、指導行動・態度の変容を試みている。. なお、論理療法、認知療法は認知や信念を単に説明概念として用い るだけではなく操作可能なものとして捉えるという行動療法の発想と結びつ. き、独自の治療法を体系化する際に積極的に行動療法の理論と技法を 取り入れ、今日の認知行動療法の発展に大きな弾みをつけることになった (坂野、1995)。. 4)ポジティブな信念. 井上(2000)は、スキーマ(信念)を、中核的信念、条件的信念、道具的 (自己教示的)信念と階層的に理解できることを示している。教師にとって. 自己教示的に活用できるポジティブな信念が強ければ強いほど、それらは 多様な生徒を指導・援助する新たなスキルとなり、よりポジティブなかかわり 12.

(14) も可能になると思われる。. 蘭(1991)は、人は対人認知において「他者を好意的にそして肯定的に 認知する傾向」があることを実証的に示し、それをPositivityと定義した。そ. して教師によるPositivityが高い学級においては学業成績の上昇児が有 意に多く、低い学級においては下降児が有意に多いことを見出している。 そこで本研究では、教師のポジティブなかかわりを支える『教師のポジテ ィブな信念』に注目した。それはどんな生徒をも理解できる融通性・柔軟. 性を持った多面的で肯定的な生徒観、教育観を生み出す個人の反応ス タイル、認知的構えを意味している。. 5)認知行動論的アプローチ 栗原(2001)は学校カウンセリングの条件を満たす既存モデルとして時間 制限カウンセリング、解決志向アプローチとともに、認知行動カウンセリング をあげ、これらを統合、再構成して「短期学校カウンセリングモデル」を開発. した。その中で認知行動モデルについて、背景理論である学習理論や認 知理論は「学校の共通語」となりうる比較的わかりやすい実用的な理論で. あること、自己コントロール理論や自己効力理論は問題解決過程を説明 する上で有効性が高いこと、「無意識」ではなく「認知」や「行動」に着目し、. 教育的な発想も教師にはなじみやすいと述べている。一方来談者中心モ デルについて栗原(2001)は、シンプルな方法論や支持的態度が学校カウ ンセリングに受け入れられ易かった反面、「変化が起こるまで待つ」という基. 本姿勢は時間的制約の大きい学校にはなじみにくく、また「生徒を変化させ る」ことを役割とする教師にとって内的葛藤をも引き起こすので学校モデル には難しい面があると言及している。. 行動分析学は教育と呼ばれるものについて極めて多くのものを知ってお り、常に教育について更なる知識を生み出してさえいる(ロザレスールイスと ペアー,1996)。またエッツェルら(1996)が引用しているように、応用的な観. 点から見れば、行動分析学は教育者に、全く制御不可能な子どもの内 的過程をとがめる事を止め、子どもを目的に沿って教育する機会をもたら すものである(Sidman&Stoddard,1966)。 13.

(15) エッツェルら(1996)はウィークスとゲイロードーロス(1981)が困難な教科. の課題と逸脱行動の相関関係を、無誤課題と逸脱行動がないことに対 比して指摘したことを通し、カリキュラムの修正を通して先行刺激を操作し、. 生徒の誤りを減少させることで不適応行動を減少させるという研究の必要 性を同様に考察している。さらにエッツェルら(1996)はパッカーとワイズバー. グ(1982)の研究を通し、行動分析家の研究領域は今まで児童・生徒の 行動修正のための強化に関する研究が主だったが、長い間行われてこな. かった先行刺激に関する研究や先行刺激と教科学習のスキルに関する 研究も将来の方向であるべきであると示唆した。. そこで本研究では教師の信念と行動について、行動科学的なアプロー チにも注目し、認知行動論的な枠組みで考察を進めることにする。. 14.

(16) 1−4本研究の目的 本研究では、教育効果を高めると思われる教師の信念の中から『生徒 に対するポジティブな信念』と、教師のポジティブなかかわりの中から肯定 的なフィードバックである『強化』に焦点を当てる。そしてそれらの関連を明. らかにすることで、認知行動論的な視点から教師に有効なスキルや知見を 検討するとともに、生徒に対するポジティブな教師のかかわり・行動が推進 されるための考察を行うことを目的とする。. 具体的にはまず、『生徒に対するポジティブな信念』を測定できる尺度 を作成し、メンタルヘルスの尺度である『心理的ストレス反応』、教師特有 の生徒を管理しようとする『イラショナル・ビリーフ』との関係性を調べることを. 目的に研究を進める(研究1)。. 次に①教師のポジティブな信念の構造を明らかにし、②教育活動を行う. 教師自身の行動にどのような影響を及ぼしているか、信念と行動の一致 について分析し、③教師のポジティブな信念や行動を生徒・保護者はどの ように認知しているのか、それぞれのストレス反応との関連を分析する。さら. に④生徒における「教師の信念」に対する認知と「教師のPM行動」との関 連、および「教師からの強化」との関連について検討を行う(研究2)。. 15.

(17) 第2章 教師の生徒に対するポジティブな信念の 測定(研究1). 2−1 目. 的. 『教師の生徒に対するポジティブな信念尺度』を作成し、測定した結果 を教師のメンタルヘルスの指標となる『心理的ストレス反応』や、管理的な 指導行動を生む『教師特有のイラショナル・ビリーフ』との関係に注目しな がら分析し、以下の仮説を検証することを目的とする。. 仮説1.ポジティブな信念が強ければ強いほど、不合理な信念であるイラ ショナル・ビリーフは弱く、教師のメンタルヘルスも損なわれずにスト. レス反応も少ないであろう。. 2−2ポジティブな信念尺度の項目収集 1)目的. 『教師の生徒に対するポジティブな信念尺度』の質問項目を収集する。 2)方法. 対象者:高校・中学校・小学校・養護学校における教職経験をもつ大学. 院生。回答があった50名は男性27名、女性23名、平均年齢は40.7 歳であった。. 予備調査の被調査者 男性. 女性 10. 計. 中学校. 8. 6. 小学校. 10. 養護学校. 2. 5 2. 17 14 15 4. 23. 50. 高校. 全体. 7. 27. 16. 年齢平均と標準偏差 39.8. (4.6). 37.8. (2.5). 43.8. (6.8). 42.3. (15.6). 40.7. (5.8).

(18) 調査時期=2002年2月上旬 手続き=心理学の集中講義に参加していた大学院生に午前中の講義終 了後、調査用紙を配布し、協力を依頼した。「今まで、それぞれの学校、 教員生活を通し、児童・生徒というものは、どのようなものだと考えてきた かを、思い起こして書き出してください。」という質問に対し、無記名、自. 由記述方式で回答を求め午後の講義終了後、研究者が指定した回 収場所に提出してもらった。. 分析方法=50名から得られた203項目を、KJ法(川喜多、1967)の手法を. 用いて、本研究者ともう1名の教職経験を持つ大学院生が独立して分 類を行った後、両者に共通する児童・生徒観を抽出した。. 2−3ポジティブな信念尺度の作成 1)目的. 『教師の生徒に対するポジティブな信念尺度』を作成する。. 2)方法. 対象者=高校・中学校・小学校・養護学校における教職経験をもつ心理. 学専攻の大学院生20名と、公立高校3校の教師130名に回答を求め、 77名から回答を得た。回収率は51.3%であった。このうち高校教師68. 名分の回答を分析した。回答者の属性は男性39名、女性29名、年齢 の平均は42.7歳、標準偏差は7.4であった。. 調査時期=2002年4月下旬∼5月中旬 手続き=KJ法の手法を用いた分類により得られた21項目の児童・生徒 観に対し、「それぞれの文章は、あなたの考え方にどのくらい当てはまり 17.

(19) ますか。最も当てはまる数字に○をつけてください。」と教示後、6件法で 回答:を求めた。選択肢は、「1:まったくそう思わない∼6:まったくそう思う」. とし、得点が高いほどポジティブな側面を測定できるようにした。無記名. で校種、性別、年齢を問うフェイスシートをつけた質問紙を用いて、A高. 校の教師と大学院生には研究者が調査用紙を個々に配布しながら 協力を依頼し、後日研究者が指定した回収場所に提出してもらった。. B高校、C高校には研究者からそれぞれ1名の教師に説明し、他の教 師への回答依頼・回収を一任した。後日まとまった学校ごとの回収分 を郵送または直接受け取った。. 分析方法=IT相関係数を求め項目分析を行った後、残りの項目で因子 分析を行った。初期の固有値が1以上かっ固有値落差を基準として因 子数を決定し、主因子法、バリマックス回転による因子分析を行った。. 複数の因子に.40以上の因子負荷量のある項目を除外し再度同様の 手続きで、因子分析を繰り返した。. 2−4「ポジティブな信念尺度」、「ストレス反応尺度」 および「イラショナル・ビリーフ尺度」の実施 1)目的. 作成した『教師の生徒に対するポジティブな信念尺度』と教師のメンタ ルヘルスの指標となる『心理的ストレス反応尺度』、および教師特有の管 理的な指導行動を生む『イラショナル・ビリーフ尺度』から高校教師の傾向 を把握するとともに、3尺平間の相関関係を調べることを目的とする。. 2)方法. 対象者=高校教師68名(男性39名、女性29名)、年齢の平均は42.7歳、 標準偏差は7.4であった。. 18.

(20) 調査時期:2002年4,月下旬∼5月中旬. 手続き=質問紙は以下に示す3尺度で構成した。 ①教師の児童・生徒に対するポジティブな信念尺度 21項目の児童・生徒観に対し、「1:まったくそう思わない∼6:まったく. そう思う」の6件法で評定を求めた。. ②改訂版教師の児童・生徒に対するイラショナル・ビリーフ尺度 河村ら(1996)の「教師特有の指導行動を生むイラショナル・ビリーフ. 尺度」64項目の申から、児童・生徒に関する21項目で構成される短縮 版を本研究では使用する。また、本音の出にくい教師に対する配慮の あまり、果たしてイラショナル性が測れるのかという疑問を持つ表現もある ため、「… が必要である」という表現を「…すべきである」に変え、また回. 答の選択肢も4件法から6件法に増やし、「6:全くそう思う∼1:全くそう. 思わない」の6段階で評定を求めた。得点が高いほどイラショナルな 側面を測定できるようにした。. ③心理的ストレス反応尺度SRS−18(鈴木ら、1995). 「以下の質問はあなたの2,3日の気持ちや行動の状態にどのくらい 当てはまりますか」と教示後、4件法(0:全くちがう∼3:その通り)で評. 定を求め、高い方から3点∼0点を与える尺度である。高校生から一 般成人を対象に標準化されており、心理的ストレス反応を簡便に多面 的に測定できる。. 以上3尺度、計60項目からなる質問紙に、校種、性別、年齢を問う フェイスシートをつけて、A高校の教師と大学院生には研究者が個々 に依頼し、後日提出してもらった。B高校、C高校については研究者か らそれぞれ1名の教師に説明し、実施・回収を一任した。後日、学校ご とにまとまった回収分を郵送または直接受け取った。. 19.

(21) 分析方法: (1)上記の『イラショナル・ビリーフ尺度』については内的整合性を高. めるためにIT相関係数を求め項目分析を行い、その後残りの項目を用. いて因子分析を行った。初期の固有値が1以上かつ固有値落差を基 準として因子数を決定し、主因子法、バリマックス回転による因子分析. を行った。複数の因子に.40以上の因子負荷量のある項目を除外し再 度同様の手続きで、因子分析を繰り返した。 (2)『ポジティブな信念尺度』および『イラショナル・ビリーフ尺度』の全体. 尺度得点、各因子得点は、それぞれを構成する項目の得点合計を項 回数で割った値とし、対象者ごとに算出した。それぞれの尺度得点と因. 子得点の問の相関関係を示すPearsonの相関係数を算出した。 『ストレス反応尺度』の全体尺度得点、各因子得点は、それぞれを構成 する項目の合計得点の値とし、対象者ごとに算出した。. (3)使用した3尺度間の相関関係を示すPearsonの相関係数を求 めた。. (4)使用した3尺度それぞれの得点については男、女、全体で平均と 標準偏差を求めた。. 各尺度得点、因子得点について、男女間の差についてt検定を行った。 『ポジティブな信念尺度』および『イラショナル・ビリーフ尺度』については. 質問項目ごとに男女別の平均を求め、男女間の差についてt検定を行 つた。. (5)『ストレス反応尺度』については、鈴木ら(1995)の標準得点と比較 するため1サンプルのt検定を行った。. (6)対象者の年齢と各因子得点、および全体尺度得点との間の相関 関係を示すPearsonの相関係数を算出した。 (7)『イラショナル・ビリーフ尺度』については、イラショナル性が高い項. 目の特徴を調べるために各項目の平均と全尺度得点の平均との差 についてt検定を行い、有意に高い項目と低い項目を抽出した。. 20.

(22) 2−5 結. 果. のポジティブな信念尺度の項目収集 大学院生50名から得られた203項目(付録・資料)を、KJ法(川喜多、. 1967)の手法を用いて、本研究者が分類した結果、21項目の児童・生徒 観を抽出した(図0−1)。. 一人一人 違うもの. 伸闇を大 かわいいもの. 成長する. 可能性. 元気をく 宝である. 劔にする. 注解、声を. 嘩)かけてもらい. れる. ポジティブな面や行動. 純粋ゆえに. 変化す よく見. るもの. 素直で. 悩み多い. 正直. 抜く鋭さ. 面白い いろいろ教え てくれる. 話せばわか ってくれる. 図0−1 K“法を用いたポジティブな信念尺度の項目分類(1). 21. わかうても らいたい・.

(23) 続いてもう1名の大学院生が独立して分類した結果、22項目の児童・ 生徒観を抽出した(図0−2)。以上2名による分類結果から、共通の 21項目を抽出し(表1)、尺度を構成する項目とした。. 個性的、尊ば れる存在. 仲闘を求め かけがえの. 成長する. ないもの. 可能性. ている. 大人・環境の よくわからな. 教師の支え. 影響を受ける. い.. ポジティブな見方. 中澗釣な見方. 純粋. 自由奔放. 従順. 信頼できる夫. 努力し ている. 人・教師を求. 力強い 大人をよく. かわいい. 愛されたい. 欲求がある. ている. 話ぜばわか ってくれる. 面白い. 図0−2KJ法を用いたポジティブな信念尺度の項目分類(2). 22.

(24) 表1教師の児童生徒に対するポジティブな信念尺度21項目 成長する可能性 1.. いろいろ教えてくれる教師の鏡 元気をくれる教師の支え. 2. 3.. 4.. 弱くて未熟・・…・・・・・・… ……・…*. 5.. かけがえのない宝. 6.. かわいい・おもしろい 純粋・従順・正直・素直. 7.. 自己中心的… …・…・・…・…・…*. 8.. 大人をよく見ている 話せばわかってくれる. 9.. 10. 11.. 自由奔放. 12.. 感情的になりやすい…・・…………*. 13.. 努力している 愛されたい・わかってもらいたい 一人一人違うもの 自主性がない・・…・……・…・…・・* 変化するもの 環境に影響される 仲間を求めている. 14. 15. 16. 17. 18. 19.. 邪悪な面がある………・… …・… * 注目されたい *は逆転項目. 20. 21、. 2)ポジティブな信念尺度の作成 ポジティブな信念尺度21質問項目(皿1∼皿21)の中から、IT相関係数 が.40未満の項目(皿4、皿20、皿12、皿8)を除外していった結果、17項目 表2ポジティブな信念尺度項目間の相関係数. 皿1 皿2 皿3 皿5 皿6皿7 皿9皿10皿11皿:13皿14皿15r16皿儀7皿18皿19皿21P得点 皿1 皿2 皿3. tOO .45 tOO .33. .45 1.00. 1【15. .34 .42 .45 1.00. 1皿6. .39. .46. .43 .56 tOO. 皿7 .26 .31 .31 .55 .571.00 1II 9. .26. .41. 」6. 1旺10. .43. .26. .15. 1旺11. .28. .41. .15. .壌9. .41. .17 1.00. .35. .49. .40. .39. .41. .43 1.00. .47. .34. .50 tOO. I匠13 ,34 .37 .31. .30. .48. .34. ,16. .31. .50 1,00. 1江14 .19 .25 .25. .22. .46. .22. .34. .43. .27. .29 1.00. 皿15 .34 .30 .19 .23 .34 ,20 .42 .47 。34 .09 .491.00 r16. .33. .34. 」2. 」5. .23. .08. .准3. .23. 」2. .17. .39. .26 tOO. 皿17 .10 .26 .01 .16 .36 39 .22 .22 .34 .17 」4 .36 .221.00 皿18. .16 .37 ,11. .26. .20. .23. .33. .36. .43. .07. .准5. .29. .24. .58 LOO. 皿19 .27 .17 」5 .28 .28 .31 .16 .37 ,48 .29 .40 」4 ,22 .28 .441.00 皿2董. ,33 .48 」8. .24. .46. .28. .39. .41. .42. .27. .67. .55. .43. .39. .32. .35 1.00. P得点 .58 .68 .52 .65 .76 .64 .51 .65 .68 .57 .57 .54 .46 .49 .53 .54 .671.00. 23.

(25) が残った。各項目得点(皿1∼皿21)および全体得点(P得点)間の相関 行列を、表2に示した。. 残り17項目を用いて因子分析を行った結果、3因子17項目(内反転 項目1項目)が抽出された(表3)。第1因子は7項目で分散の%が17.3%、. Cronbachのα係数は.82、第■因子は6項目で分散の%が15.7%、α ニ.77、第皿因子は4項目で分散の%が12.0%、α=.74であった。以上の3 因子の累積寄与率は、45.0%で、尺度全体ではα=.88という値を得た。さ. らに、各因子得点と尺度全体得点との相関係数を算出したところ、第1 因子で.90、第II因子で.81、感心因子で.75という値が得られた(いずれも P〈.01)。. 表3ポジティブな信念尺度因子分析結果 因子. 項目. I. I. 皿 共通性. 1ポジティブな生徒観(α=.82) 5.児童・生徒はかけがえのないr宝」のような存在である. .69. .08. .20. .52. 6.児童・生徒はおもしろく、かわいいところがあるものだ. .69. .35. .19. .64. 7.児童・生徒は純粋で正直なものである. .61. .04. .36. .50. 3.児童・生徒は教師にとって元気をわけてくれる支えのような存在である. .58. .16. 一.07. .37. 13.児童・生徒は勉強などいろいろ努力しているものである. .54. 」7. 」2. .33. 2.児童・生徒からはいろいろ教えられることが多く、教師にとっては鏡の ような存在である. .49. ,35. .21. .41. 1.児童・生徒はみんな成長する可能性を秘めている. .45. .33. .08. .32. 」9. .77. .27. .70. .21. .73. .05. .58. 15.児童・生徒は一人一人違っていて当たり前である. 」4. .61. 16.児童・生徒は自主性がなく自分の考えをもっていないものだ. .11. 一.46. 10.児童・生徒は誠実に話せばわかってくれるものだ. .36. 9.児童・生徒は教師や大人をよく見ているものである. .21. 18、児童・生徒は教師をはじめまわりの環境に影響されるものだ 17.児童・生徒は常に変化していくものである. Hポジティブなかかわり(α=.77) 21.児童・生徒は注目されたり、声をかけてほしいと思っているものだ 14.児童・生徒は大人から愛されたい、自分のことをわかってもらいたい という欲求をもっている. .24. .45. .11. .24. .43. .34. .43. .43. .25. .29. .06. .20. .76. .61. .09. 」9. .65. .47. 」1.児童・生徒は自由奔放な力をもっている. .43. .22. .52. .51. 19.児童・生徒は仲間を求め大事にするものだ. .25. .24. .41. .29. 皿変化への期待(α=.74). 合計 分散の% 累積%. 24. 2.94. 2.66. 2.05. 17.3. 15.7. 12.0. 17.3. 32.9. 45,0.

(26) 3)イラショナル・ビリーフ尺度の因子分析. 項目分析を行った結果、21質問項目中、IT相関係数が.40未満の2 項目を除外した。残りの19項目を用いて因子分析を行った結果、4因子 18項目が抽出された(表4)。 表4イラショナル・ビリーフ尺度因子分析結果 項. 因子. 目. 共通性. 1. 1. .88. .02. .00. .87. .07. ,31. 6.児童・生徒は授業や学校での活動には自分から進ん で参加していかなければならない. .65. .16. 1. 児童・生徒は学校行事と授業とを、気持ちの切り替 えをしっかりしてテキパキとこなさなければならない. 。63. .20. .27. .19. .54. .61. .33. .24. .37. .67. .58. 」9. .51. .32. .17. .78. .21. .29. .69. .16. .26. .66. .02. .65. 」5 .30. .54. .29. ,57. .49. .20. .69. .42. .44. .23. .17. .45. 皿. 1規律・全体重視(α=.88) 5.児童・生徒は自分のことだけではなく、学級全体のこ とをよく考えて行動すべきである 7.児童・生徒は学校や学級のきまりを守り、まわりと協 調していくべきである. 9.児童・生徒は全校単位や学年全体の活動では、より 規律ある行動をすべきである 10.児童・生徒は学校からの連絡、テストや成績表など をしっかり保護者に届けなければならない 2. 児童・生徒は学校生活を通して、集団のきまり・社 会のきまりを身につけなければならない. .83. .21. 」9. .86. .06. .50. 」5. 」3 一.15. .07. .42. .39. .07. 豆 指導への信頼(α=β5) 12.児童・生徒は学校では担任の教師を親代りとして接 していかねばならない 11.児童・生徒は学校生活上で大事なことは、まず担任. の教師に話すべきである 19.問題のある児童・生徒の所属する学年や学級はベ テランの教師が担当すべきである 18、教師の指導に素直に従う心がけが、児童・生徒に とっては大きな教育効果を生むはずである 20.児童・生徒は明るく元気に、学校生活を送らなけれ ばならない. .07. .69. 皿生徒管理(α=.78) 8.児童・生徒は担任の教師の指導を、素直に聞かなけ ればならない. .32. .33. .85. 」9. .96. 3.児童・生徒はどの教師の言うことも、素直に聞くべき である. .36. .31. .62. 」9. .65. ∴02 .10. .49. .39. .40. 14.児童・生徒は教師に対して、面と向かって愛称や ニックネームで呼ぶべきではない. W授業中の態度(αニ.78) 15.児童・生徒は授業中、規律のある態度で挙手や発 セを行わなければならない P6.児童・生徒は授業中のノートの取り方など、教師の. w示通りに行わなければならない P7.児童・生徒は思ったこと・考えたことをしっかり発言し. スり、態度や行動で示さなければならない. .25. 」5. .26. .73. .69. D20. D30. D12. D72. D66. D24. D38. v5. D44. D42. 合計. 4.09. 2.83. 分散の%. 22.7. 15.7. 11.9. 10.9. 累積%. 22.7. 38.4. 50.3. 61.2. 25. 2.14. t96.

(27) 第1因子は7項目で分散の%は22.7%で、Cronbachのα係数は.88、 第II因子は5項目で分散の%は15.7%でα=.85、第皿:因子は3項目で分 散の%が11.9%でα=.78、第IV因子は3項目で分散の%が10.9%でα =.78、全体ではα=.92という値を得た。以上の4因子の累積寄与率は、. 61.2%であった。さらに、各因子得点と合計得点との間の相関係数を算出 したところ、第1因子で.84、第H因子で.87、第皿因子で.78、第IV因子 で.78という値が得られた(いずれもp〈.01)。. 4)ポジティブな信念尺度、ストレス反応尺度、イラショナル・ビリーフ尺度. の平均、標準偏差、相関係数. 使用した3尺度の平均、標準偏差を表5にまとめ、尺度間の相関係数 を表6に示した。各尺度得点の間にはほとんど相関は見られなかった。 さらにポジティブな信念尺度の3因子とイラショナル・ビリーフ尺度の4因. 子間の相関係数を求め、表7にまとめた。ポジティブな生徒観因子と規 律・全体重視の因子間に正の弱い相関(r=.26、p<.05)が認められた ほかはいずれも有意な相関ではなかった。. 表5各尺度得点. 表6各尺度間の相関係数 S得点 1得点 P得点. S得点注1)1得点注2)P得点注3) 平均 標準誤差 標準偏差 最大 最小. 1t56. 3.64. 4.76. S得点. 1.00. 1.28. 0.10. 0.07. 1得点. 一〇.05. α56. P得点. 10.58. 0.81. 48 0. 5.94. 5.82. t94. 3.24. 1.00. 一〇.08. 0」3. 1.00. 注1)ストレス反応尺度得点 2)イラショナル・ビリーフ尺度得点. 3)ポジティブな信念尺度得点. 表7ポジティブな信念尺度とイラショナル・ビリーフ尺度の因子間の相関係数. 因子1 因子五. 因子1 因子2 因子3 因子4 イラショナル全体 .02 .15 一.12 .19 .26 .04 一.08 .00 D5 』2. 因子皿. .18. ポジティブ全体 .24. .11. .02. .16. 一.09. 一.06. 」0 」3. 一.01. 注)因子1:ポジティブな生徒観、因子H:ポジティブなかかわり、因子1冠=変化への期待. 26. 注). 因子1=規律・全体重視. 因子2:指導への信頼 因子3:生徒管理 因子4:授業中の態度.

(28) (1)ポジティブな信念尺度について. 個人得点の最大値は5.82、最小値は3.24、平均値は4.76(±0.07)、 標準偏差は0.56であった。その得点分布を図1に示した。 30 25 人20 数術 10. 3. 津暇. 簸・. 5 0. @酒m D即. 3翌1. i. 痒諦. ノノ・. h雷害綜、㌧匁縁触. 図1ポジティブな信念尺度得点. (2)心理的ストレス反応尺度について 個人得点の最大値は48、最小値は0、平均値は11.56(±1.28)、標準偏 差は10.58であった。その得点分布を図2に示した。 20 15 人 10 数. 5 0. 鱒 Cppl. P『.. P. モ垂v @ P津P. 求uP「. 浴F ゼ篭」{ 1. 1。,. i蓑. 卜r. 攣. h. 。㌔鴛気繍調斎るる轟 図2ストレス反応尺度得点. (3)イラショナル・ビリーフ尺度について. 個人得点の最大値は5.94、最小値は1.94、平均値は3.64(±0.10)、 標準偏差は0.81で、図3のように分布していた。 20 15. 読 .餌. 人. 踊. 10. S.. 数. 5 0. 翻憩》. 窄. @. ロ. 用. 怯為詐嘉幽幽許嘉識あ. 図3イラショナル・ビリーフ尺度得点. 27.

(29) 5)性差(t検定) (1)ポジティブな信念尺度について. 各因子得点、および全体尺度得点について平均と標準偏差を表8に示 した。. 表8ポジティブな信念尺度3因子得点の平均と標準偏差 第五因子 壁皿因子 第1因子. 全体得点. 男性Nニ39 4.55 (0.77) 5.21(0.56) 4.93 (0.62) 4.87 (0.54) 女性Nニ29 4.28 (0.76) 5.04 (0.54) 4.58 (0.69) 4.62 (0.56) 全体N=68 4.43 (0.77) 5.14 (0.55) 4.78 (0.67) 4.76 (0.56). t検定では男女間に有意な差は見られなかった。また項目ごとに、t 検定を行ったところ、「生徒からはいろいろ教えられることが多く、教師に とっては鏡のような存在だ」(tニ2.37,df−66, p<.05)、「生徒は自由奔 放なカをもっているものだ」(t=2.67,df=66,p<.05)の2項目については男. 性の方が有意に高かった。. (2)ストレス反応尺度について. 男女別に整理した結果をそれぞれの標準得点(鈴木ら、1995)とともに. 表9に示した。まず男女間の得点差についてt検定を行った結果、有意な 差は認められなかった。. なお、成人男女の標準得点を検定値とした1サンプルのt検定の結果、男 性の全体尺度得点(t=3.13,df=38)、下位尺度の「抑うつ・不安」(t=3.72 df=38)、「不機嫌・怒り」(t=3.64,df=38)得点では、標準得点より有意に 低かった(ともにp〈.01)。. 表9心理的ストレス反応尺度の平均と標準偏差 抑うつ・不安. 不機嫌・怒り. 全体. 無気力. SD 男性N=39 2.54 (2.95) 3.46 男性標準得点 4.30 (4.35) 5.56 女性N=29 4.21 (4.54) 4.62. (4.64). 女性標準得点 5.79 (4.54) 5.31. (5.31). (3.60). (4.80). 28. 3.92 3.86 4.93. 4.48. (3.41). 9.92. (4.01) (4.69). 13.73. 13.76. (4.48). (7.66) (1t79) (灌3.40). 15.81. (11」2).

(30) (3)イラショナル・ビリーフ尺度について. 男女別の平均値求め、t検定を行ったが、有意な差は存在しなかった (男性M=3.68,SD=0.93;女性M=3.60, SD=0.65)。質問項目の中で. 男女間の得点差が大きかったのは「児童・生徒は学校生活を通して、 集団のきまり・社会のきまりを身につけなければならない」という項目で有 意に男性が女性よりも高かった(t=2.05,df=66,p〈.05)。. 6)年齢との相関 被調査者の年齢と3尺度得点、および各下位尺度得点、各因子得点 との相関係数を算出したところ、以下のようにいずれも有意な相関は得ら れなかった。. (1)ポジティブな信念尺度得点:r=.05. (第1因子:r=一.09;第H因子:r=.14;第皿因子:r=.19) (2)ストレス反応得点:r=.16 (抑うつ・不安:r=.17;不機嫌・怒り:r;.16;無気力:r=.09) (3)イラショナル・ビリーフ尺度:rニ.08. (第1因子:r=.02;第H因子:r=.10;第皿因子:r=.05; 第IV因子:r=.10). 7)イラショナル性の高い項目 全尺度得点の平均値(3.64)とそれぞれにt検定を行い有意(p〈.01)に イラショナル性が高かった6項目を抽出し、表10−1にまとめた。 表10−1イラショナル性の高かった質問項目(〈.01、N=68) 項. 目. 10.児童・生徒は学校からの連絡、テストや成績表などをしっかり保護者 4.59 (1.04) に届けなければならない 2.児童・生徒は学校生活を通して、集団のきまり・社会のきまりを身に 4.51 (1.13) つけなければならない 7.児童・生徒は学校や学級のきまりを守り、まわりと協調していくべきで 4.37 (1.09) ある 9.児童・生徒は全校単位や学年全体の活動では、より規律ある行動をすべ 4.31 (1.12) きである 5.児童・生徒は自分のことだけではなく、学級全体のことをよく考えて行 4.28 (0.97) 動ずべきである. 1.児童・生徒は学校行事と授業とを、気持ちの切り替えをしっかりして 4.22 (t30) テキパキとこなさなければならない 29. M. SD.

(31) 同様に有意(p〈.01)にイラショナル性の低い項目5項目も抽出し、表10 −2にまとめた。. 表10−2イラショナル性の低かった質問項目(〈.01、N=68) 目 項. 18.教師の指導に素直に従う心がけが、児童・生徒にとっては大きな教育 効果を生むはずである 11.児童・生徒は学校生活上で大事なことは、まず担任の教師に話すべき. M. SD. 3.18 (t27). 2.76 (1.27). である. 16.児童・生徒は授業中のノートの取り方など、教師の指示通りに行わな ければならない 19.問題のある児童・生徒の所属する学年や学級はベテランの教師が担当. 2.76 (t33). 2.72 (1.47). すべきである. 12.児童・生徒は学校では担任の教師を親代りとして接していかねばなら ない. 30. 2」8 (1.15).

(32) 2−6 考. 察. 1)ポジティブな信念尺度の因子について. 第1因子に高い因子負荷量を示した項目は、「生徒はかけがえのない 『宝』のような存在だ」「生徒はおもしろく、かわいいところがあるものだ」「生徒. は、純粋で正直なものである」などであることから、第1因子は「ポジティブな. 生徒観」に関する因子であると解釈された。. 第H因子に高い因子負荷量を示した項目は、「生徒は注目されたり、 声をかけてほしいと思っているものだ」「生徒は大人から愛されたい、自分の ことをわかってもらいたいという欲求をもっているものだ」「生徒は一人一人. 違っていて当たり前だ」などであることから、第H因子は「ポジティブなかかわ り」に関する因子であると解釈された。. また、第皿因子に高い負荷量を示した項目は、「生徒は教師をはじめま わりの環境に影響されるものだ」「生徒は常に変化していくものだ」などであ. ることから、第m因子は「変化への期待」に関する因子であると解釈された。. 2)イラショナル・ビリーフ尺度の因子について. 第1因子に高い因子負荷量を示した項目は、「児童・生徒は自分の ことだけではなく、学級全体のことをよく考えて行動すべきである」、「児. 童・生徒は学校や学級のきまりを守り、まわりと協調していくべきである」、. 「児童・生徒は全校単位や学年全体の活動では、より規律ある行動を すべきである」などであることから、第1因子は「規律・全体重視」に関す る因子であると解釈された。. 第H因子に高い因子負荷量を示した項目は、「児童・生徒は学校で は担任の教師を親代りとして接していかねばならない」、「問題のある児. 童・生徒の所属する学年や学級はベテランの教師が担当すべきであ る」、「児童・生徒は学校生活上で大事なことは、まず担任の教師に話 すべきである」などであることから、第II因子は「指導への信頼」に関する 因子であると解釈された。. また、第皿:因子に高い負荷量を示した項目は、「児童・生徒は担任の 31.

(33) 教師の指導を、素直に聞かなければならない」、「児童・生徒はどの教 師の言うことも、素直に聞くべきである」などであることから、第III因子は. 「生徒管理」に関する因子であると解釈された。. さらに第IV因子に高い負荷量を示した項目は、「児童・生徒は授業中、 規律のある態度で挙手や発言を行わなければならない」、「児童・生徒 は授業中のノートの取り方など、教師の指示通りに行わなければならな い」などであることから、第IV因子は「授業中の態度」に関する因子である と解釈された。. 3)ポジティブな信念、ストレス反応および. イラショナル・ビリーフの相関について. 今回の被調査者の高校教師たちは、自分にストレス反応があっても なくてもポジティブに、不合理な信念が強くても弱くてもポジティブに生 徒たちを見ようとしていることがわかった。. ストレス反応尺度とイラショナル・ビリーフ尺度、ストレス反応尺度とポ. ジティブな信念尺度の問に高い相関が見られなかったことから、本研究 の仮説1.「ポジティブな信念が強ければ強いほど、不合理な信念であるイ ラショナル・ビリーフは弱く、教師のメンタルヘルスも損なわれずにストレス反. 応も少ないであろう。」は検証されなかった。その理由として、教師のビリ. ーフや信念が永続的、安定的概念であるのに対し、今回用いたストレ ス反応尺度は、2,3日の気持ちや行動の状態を問う、教師の一時的、 不安定なストレス反応のデータであったために、関係性が確認できなか ったという可能性が考えられる。. さらにポジティブな信念尺度とイラショナル・ビリーフ尺度の間に全体. 得点だけでなく、各因子間においても高い相関が認められなかったこと からこれらの教師特有の信念は互いに独立していると考えられる。. 4)性差と年齢差について. 今回実施した3尺習いずれも男女間には有意な差は存在しなかった。 高校教師における男女間の性差が今回の調査では認められなかった。 32.

(34) また3尺度ともに年齢との間に高い相関が見られなかったことから、教 師のポジティブな信念、ストレス反応やイラショナル・ビリーフは年齢や教. 職経験年数には関係ないことが確かめられた。このことは河村ら(1996) が小学校教師のイラショナル・ビリーフを扱った研究結果、すなわち教. 師の性別、年齢、教職経験年数、勤務経験学校数、勤務地区の5 つの属性には無関係であったという結果と一致している。また土井ら (2000)による、中学校教師に認められたイラショナル・ビリーフの一因. 子「教師が理想とする生徒像」は、男女の性差が有意ではなかったとい う研究とも一致した。. 5)イラショナル性の高い項目について. 河村ら(1996)の小学校教師の高得点7項目と比較をしたところ、 「児童・生徒は学校からの連絡、テストや成績表などをしっかり保護者 に届けなければならない」「児童・生徒は学校生活を通して、集団のき まり・社会のきまりを身につけなければならない」「児童・生徒は学校や 学級のきまりを守り、まわりと協調していくべきである」の3項目が一致し. ていた。河村ら(1996)の小学校教師のイラショナル・ビリーフ高得点. 項目としては「児童・生徒は授業や学校での活動には自分から進んで 参加していかなければならない」「児童・生徒は担任の教師の指導を、 素直に闘かなければならない」「児童・生徒は思ったこと・考えたことをし. っかり発言したり、態度や行動で示さなければならない」「児童・生徒は 明るく元気に、学校生活を送らなければならない」があがっているが、高. 校教師は、思春期の生徒にそれらを期待せず、学校という集団生活を 維持・機能させていく上で必要と思われる項目が多かった。これらには 80%以上の教師が6:まったくそう思う∼4:ややそう思うと回答している。. 当然ながら小学校と高校という発達段階の違いが、教師の期待の差と して現れていると思われる結果である。すなわち高校教師は生徒たちに 対し、より全体を考えて規律ある行動をするよう期待しているとともに、さ. まざまな個性の生徒像を認めつつ、教師の手を離れ生徒自らが自分 で全体を考えた行動ができればよいと考えていると思われる。それを裏 33.

(35) 付けるように低得点項目は、クラス担任が生徒に直接関わる割合が少 ないという高校現場の実状を反映している項目が目立ち、担任が親と 同じような役割を担うことに対して1:まったくそう思わない∼3:ややそう. 思わないという回答が80%を超えていた。. 6)まとめ. 今回の調査結果から高校教師たちは「教師は、生徒に対してポジテ ィブでありたい、またあらねばならない」という一つの信念を強くもっている. 可能性が示唆された。特にポジティブな信念尺度の3因子の中でも、ポ ジティブな『生徒観因子』よりも『かかわり因子』の得点が高かったことか. ら、教師の多くは目の前にいる生徒たちの現実を受け入れながらもポジ ティブに日常的なかかわりをもとうとしていると考えられる。. しかし教師の側にポジティブな信念が強くても、また生徒一人一人に 対しては、受容的にポジティブに接していきたい願いがあっても、学級や. 学校全体に対する指導を意識したときには、従来の教師文化で培わ れた管理的な傾向を帯びてしまうかかわりにならざるを得ない場合もある. ように思われる。そのため教師のポジティブな認知は生徒たちには必ずし も、ポジティブには届いていないことも考えられるので、この教師のポジテ. ィブな見方を生徒たちがどう認知しているのか、研究2では生徒からも資 料を収集して明らかにし、比較・分析する。. 34.

(36) 第3章 教師のポジティブな信念・かかわりと 生徒の認知(研究2) 3−1 目. 的. 研究1では高校教師は生徒に対してポジティブな信念を強く持っている ことがわかった。しかし、現実の生徒とかかわる場面では、果たしてそのポジ. ティブな信念どおりに行動しているのかどうか、教師自身の認知を調査す ることを目的とする。また生徒やその保護者は教師のポジティブな信念をど う認知しているのか調査し、比較分析するとともに、生徒や保護者のストレ. ス反応の強さも測定し、教師に対する認知にどの程度影響を及ぼしてい るのか分析し、以下の仮説を検証することを目的とする。. 仮説2−L教師のポジティブな信念が強くてもその行動はポジティブで ない場合も多いだろう。. 仮説2−2.生徒の「教師のポジティブな信念」に対する認知が強いほ ど、ストレス反応は少ないであろう。. 仮説2−3.生徒の「教師のポジティブな信念」に対する認知が強いほ ど、教師のリーダーシップ行動や強化に対する認知は強い であろう。. 仮説2−4.信頼する教師からの注EIが強いほど、生徒は教師から ポジティブに見られていると認知するだろう。. 35.

参照

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