社 会 系 教 科 教 育 学 会『 社 会系 教科 教育 学 研 究 』 第 9号 1997 (pp.55-62)
グ ロ ー バ ル 視 点 に 基 づ く 社 会 科 カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 原 理 ―W.M.Kneip の社会科カリキュラムをてがかりにして−
Construction Principles of the Social Studies Curriculum from the Global Perspective: Through 七he Social Studies Curriculum Developed by W.M.Kneip
田 鎬 潤 ( 兵 庫 教 育 大 学 大 学 院) I はじめに 現代 の政治・ 経済・ 社会・ 文化等 の国際的 諸関 係 が 強 ま っ て い く 中 で, 世 界 的 諸 問 題 が 生 じ て い る。 さ ら に , 各 国 の 独 自 的 主 権 と 伝 統 を 保 つ た め の ナ シ ョ ナ リ ズ ムと , 人 類 の生 存 に 大 きな 影 響 を 及 ん で い る 食 糧 ・ 人 権 ・ 環 境 ・平 和 等 の グ ロ ー バ ル 問 題 等 が 日 増 し に深 刻 化 し て い る。 そ こ で, 世 界 各 国 は, 独 自 的 文 化 の 価 値 尊 重 と , 人 類 共 同 の 問 題 を 正 し く認 識 し 解 決 す る方 法 と し て , 多 様 な 形 態 の国 際 理 解 教 育 の活 動 に取 り 組 ん で い る Oこ の よ う な 教 育 活 動 にお い て は, 独 自 的 な 研 究 理 論 と実 践 の 特 徴 を 持 つ 平 和 教 育 ・ 開 発 教 育 ・ 環 境 教 育 と , ユ ネ ス コ の 国 際 理 解 教 育 等 が 代表 的 で あ る。 そ れ らの 中 で, 中 心 的 役 割 を 担 っ て き た ユ ネ ス コ は, 設 立 当 時 か ら 国 際 理 解 教 育 の た め に 協 同 実 験 学 校 を 推 進 して き た。 そし て,協 同実 験 学 校 の 研 究 主 題 と し て,「 国 連 の 研究 」「 他 国 ・ 他 文 化 の 研 究 」 「 人 権 の研 究」 厂人 間 と環 境」を 設定 し, 国 際 理 解 と 国 際 協 力 に 重点 を 置い た教 育 活動 を し て き て い る 。 こ の よ う な 国 際 理 解 の た め の 諸 教 育 活 動 の 研 究 内 容 と 方 法 を , 永 井 滋 郎 氏 は 歴 史 的 ・ 地 理 的 条 件 及 び価 値 の相対 吐を 重 視 す る文 化 理解 的 アプ ロ ー チ と, 人 類 が 直 面 す る問 題 を 共 通 的 相 互 認 識 を 通 し て 解 決 す る 問 題 解 決 的 アプ ロ ー チ に よ っ て 取 ら え て い る。O こ れ ら 2つ の ア プ ロ ー チ は , 社 会 事 象 に 対 す る 各 個 体 の 多 様 な 特 性 を 理 解 し , 人 類 が 直 面 す る問 題 を 解 決 す る こ と に重点 を 置い て い る。 し か し , 相 互 関 係 が 強 ま っ て い く 未 来 社 会 に対 処 す る た め に は, こ れ ら の ア プ ロ ー チ で は 研 究 の 限 界 が あ る。 そ の 為 , 地 球 全 体 を ひ と つ の シ ス テ ム と し て 認 識 し, 社 会 事 象 の 相 互 依 存 的 関 連 を 把 握 す る グ ロ ー バ ル 教 育 の 必 要 性 が 提 起 さ れ, 1970 年 代 初 期 か ら ア メ リ カ に お い て グ ロ ー バ ル 教 育 活 動 が 取 り 組 ま れ て き た 。
特 に, 1979 年NCSS (National Council for the Social Studies) の 「 社 会 科 カ リ キ ュ ラ ム の ガ イ ド ラ イ ン 」2) と, 1987 年 民 間 教 育 団 体 で あ る GPE( GlobaI Perspectives in Education) の 「 グ ロ ー バ ル 教 育 の 強 化 の た め の 提 案 」 の 発 表 を き っ か け に 各 州 レ ベ ル の 段 階 で 多 様 な プ ロ ジ ェ ク ト が 実 施 さ れ て い る 。3) そ こ で , 本 稿 で は 小 ・ 中 ・ 高 の 一 貫 性 の あ る カ リ キ ュ ラ ム 案 を 提 示 し たW.M.Kneip のK-12 案 o を 手 が か り に し て , グ ロ ー バ ル 教 育 の 目 標 ・ 内 容 ・ 方 法 に つ い て の カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 原 理 を 分 析 し よ う と す る 。 こ の 分 析 に あ た っ て は , 次 の2 点 に つ い て 解 明 す る 。 ① グ ロ ー バ ル 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム 構 成 視 点 と 目 標 及 び 内 容 は ど の よ う に 構 成 さ れ て い る か 。 ② グ ロ ー バ ル 教 育 の カ リ キ ュ ラ ム に お け る シ ー ク エ ン ス と ス コ ー プ の 特 徴 及 び 構 成 原 理 は ど の よ う に な っ て い る か 。 H W.M.Kneip の 社 会 科 カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 1 社 会 科 カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 の 視 点 ア メ リ カ の 社 会 科 教 育 の 基 本 目 標 は ,「 学 生 た ち に 相 互 依 存 性 が 深 く な る世 界 に人 間 的 で, 合 理 的 に 社 会 に 参 加 す る 有 能 な 市 民 を 育 て る 」5) と し て, 市 民 性 教 育 を 社 会 科 教 育 の 中 心 目 標 に 位 置 づ け て い る。 グ ロ ー バ ル教 育 は, こ の よ う な 市 民 性 の意 味 と視 点 を 地 域 社 会 や 国 家 次 元 だ けで はな く, グロ ーバ ル 社 会 ま で 拡 大 し て 社 会 事 象 を 認 識 し, ― 55 ―
人類
共通
的
問題
解
決に
参
加す
る
ことに
重
点
を置
い
て
いる
。
この
グ
ロー
バル
市
民性の
視
点
を設
けた
こ
とは
,現
代社
会の
政治
・経
済
的発
達による次の
2つの
事
実
に基
づ
いて
いる
。6
)
ひ
とつは
,人
間は
地域
・国家
と
い
う単
純
な世界
だ
けでは
な
く
,地球
全体
の
すべ
ての
人
々た
ちの
間
に相
互
影響
を及ぶ
よ
うな組織
的で
,
多様
な
世界
で
住
ん
で
い
る
こと
で
ある
o他の
ひ
とつは
,人間
の
生
活が
国
家
的次
元だ
けでは
解
決す
る
ことが
で
きな
い
問題
,す
なわ
ち
,環
境汚
染
・飢餓
・国際テ
ロ
・核
兵
器
等に
よっ
て脅
威
を
受
けて
いる
こ
とで
あ
る
。
そ
して,
W.M.Kneip
は
,グ
ローバル
視
点に基
づ
く社
会
科教
育の
カ
リキ
ュ
ラム
構
成に
つい
ての
基本
的視
点
を次の
よ
うに提
示
した
。7
)
教
育
目標
は
,相
互依
存
と
変化の
特
徴
をも
っ
て
い
る現
代社
会
に
学
生た
ちが
よ
く適応
し
,参
加
し,責
任
をも
っ
て
生き
て
い
く民
主的
市
民
を育て
る
こ
とに
置
くべ
き
で
ある
。特
に
,ア
メ
リカの
文化
・経
済
等
の
国際
的支
配は
,全
世界の
国
家
と国
民に影
響
をあ
た
えて
いるの
で
,
この
責任
を尽
くす
ことが
で
き
る
市
民性
教
育が
ア
メ
リカの
社
会
科
に
明確
に反
映
しな
けれ
ば
な
らな
い
。
教
育内
容は
,主に
歴
史
・社
会科
学
・人文
分野
か
ら抽
出
して構
成
され
る
が
,
自然科
学
・開発教
育
・
環
境
教
育等
か
らの
教
育
的成
果
も取
り入れ
るべ
きで
ある
。特に
多様
性
・相
互依
存性
・葛藤
と変
化に
対
す
る
重要
な
国
家的
・国際
的
実際
を解
明
し,統
合
的
思
考が
要
求
され
る未
来社
会に
備
える総
合
的
内容
に
しな
けれ
ば
な
らな
い
。
教
育方法
は
,学
習者の
経
験
と発
達
を基に
して
,
学
生た
ちが
学
習過
程
に
能動
的
で
,相
互作
用
的
に学
習に
参
加す
るべ
きで
ある
。
これ
は
学
生た
ちが
社
会
現象
に
直接
参
加す
る
ことか
らグ
ロ
ー
バ
ル
シス
テム
の
多様
な関係
を把
握
し
,相
互依
存の
重要
性
を認
識
す
る
ことが
で
き
るか
ら
であ
る
。
この
よ
うな視
点
を
踏
ま
えてW.M.Kneip
の
カ
リキ
ュラム
の
目標
と内
容
を考
察
す
る
と
,次
の
よ
うで
ある
。
2
社
会科
カ
リキ
ュ
ラム
の
目標
グ
ロ
ー
バル
視
点に
基
づ
く社
会
科
カ
リキ
ュラム
の
教
育
目標
は
,知識・
能
力・
価値
・社
会参
加の
4領域
に
分
け
られ
て
いる
。一般
教科
学
習の
目標
に社
会参
加
を加
えて
いる
ことが
特徴
で
あ
る
。そ
して
,これ
らの
4つの
目標
は
,相
互
関連
性が
強
くて
,
4
日標
が
相
互補
完
的に機
能
す
る
よ
う設定
され
てい
る
。
剛
知
識
NCSS
の
社
会
科
カ
リキ
ュラ
ム
ガ
イ
ドラ
イ
ン
に
よ
っ
て提
示
され
た
知識
目標
を基
に
して,
W.M Kniep
は
次の
よ
うに
3つの
知識
目標
を設
定
して
いる
。8
)
①
歴史
的視
点の
認
識
一普
遍
的
人間価
値
と独特
な世界
観の
展開
に
つ
いての
理
解
,現
代グ
ロー
バル
シス
テム
の
歴史
的
発展
に
つ
いての
理
解
,そ
して
,
今
日の
グ
ロー
バル
問題
とイ
シ
ュー
の
前提
条
件
・原
因の
理解
を図る
。
②
シス
テム
認
識
一全地
球
上に
拡
散
され
て
いる
経済
的
,政
治的
,生
態
学
的
,技術
的
シス
テム
の
中
で
生活す
る行
為者
と
しての
認
識
を基
に
して
,
自
己・
地域・
国
家に
つい
て相
互関
連
性の
理解
を図
る
。
’
③
社会
参
加の
た
めの
基礎
知識の
認識
―社
会参
加
に
つ
いての
基礎
的
知識
と
して歴
史
的視
点認
識
と
シス
テム
認
識だ
け
では
な
く
,現
代の
大
き
な
問題
と
イ
シ
ュー
に
つ
いての
原
因
・影
響
・解
決
方法の
理解
を図
(2
る
)能
。
力
能
力
目標
と
しては
,社
会
事
象に
つ
い
ての
因果
関
係
・関係
性
・多様
な
問題
解
決
方法
を知
って
,明確
な視
点を持
つ
,次の
よ
うな
能
力
を育
てる
こ
と
を設
定
して
いる
。9
)
①
学
生た
ちは
,既存
知
識
を基
に
して
判
断す
る
批
判
的
思考
能
力を持
って
い
る
。
した
が
っ
て
,子供
の
時か
ら関係
性
の
理解
と分析
,新
しい状
況への
情
報
応
用
,
多様
な
資
料か
ら情
報
を総合
して
批判
的
思考
能
力
を育
てる
。
②
学
生た
ちは
,社
会科
学者や歴史学者
によっ
てモ
デル
化
した
科
学
的調
査
方法
を活用
す
る技
術
を
学習す
る
。
これ
は観
察
,イ
ン
タ
ビュー
,調査
,
読
書
を通
してデ
ー
タ
を収
集
し,チャー
ト,地
図
,
モ
デル
等の
道具
を使
用
す
るデ
ー
タ
組織
化
,
多様
な
方法
で学
習す
る
内容
に
つ
いての
コミ
ュニ
ケー
シ
ョ
ンの
能
力を育
て
る
。
(3)価
値
教
授
と
学習過
程
,社
会
的
・自然
的環
境構
造
に
含
まれ
て
いる価
値
は
,学習
目標
に
よ
って選
択
され
な
けれ
ば
な
らな
い
。社
会
科の
主要
目標は
,学生た
ち
−56−が相互依存的世界で民主的市民としての役割を尽 くすよう,次のように目標を設定している。10) ①視点一他人との関係性の理解を図る。 ②関心一生命,個人の責任,人権,生態学的 バランスについての関心を身につける。 ③傾向性一参加,協調,多様性の収容,葛藤 の平和的解決についての態度をもたせる。 ④規範一公正,平等,自己決定,個人の自由, 人間の尊厳等についての価値認識をもたせる。 (4)社会参加 社会科教育は学生たちに彼らの生活に関連する すべてのシステムに責任を持って,有能に組織に 参加することを助けることである。それはグ゛ロー バル問題やイシューに対する問題解決の代案を合 理的・創造的に表現し,思考し,直接社会事象に 参加する手段と機会を提供することで,次のよう な社会参加目標を設定している。11) ①学生たちは社会参加に伴う権利と責任を充 分に自覚し,民主的制度がどうして・なぜ機能 するのかを正しく認識して社会活動に参加する。 ②学生たちは,世界の人々が相互依存し,影 響を及ぶことを知て,個人的・社会的利益を極大 化する経済的意思決定をする。 ③社会的,生態学的利益と損失を考慮し,個 人的満足と幸福に貢献する生活様式を決定する。 以上のようにグローバル視点に基づく社会科教 育目標においては,人間価値とグローバル史及び グローバルシステムについての社会事象を理解し, システムの中で相互依存性を分析・判断する能力 を習得し,価値認識の内面化の形成に重点を置い ている。また,現代グローバル問題についての原 因を科学的に分析し,解決方法を探究して,社会 活動に能動的に参加する民主的市民を育成する目 標を置いている。 3 社会科カリキュラムの内容 W.M.Kniepは,初等学校から中等学校までの一 般学校で適用することができるグローバル視点に 基づく社会科のカリキュラムーを提案している。こ れは,学生の学習及び発達段階に基づいて初等学 校カリキュラム<表1>と中等学校カリキュラム <表2>のように構成されている。s 初等学校カリキュラムは,各学年ごとに社会事 象を示すテーマ学習が単元名で設定されている。 さらに,この単元に関連づけてグローバル問題の 学習を行うことが特徴である。中等学校カリキュ ラムでは,グローバルシステムの相互依存的認識 を通じて社会問題解決と社会参加能力の育成に重 点を置いていることが特徴である。これらのカリ キュラムの重要な内容は次のようである。 初等学校段階では,1学年は,子供だちと関わっ ている身のまわりの人々と環境との関係とモノ (物)の大事さを通じて希少性と相互依存性の概 念を理解する。2学年は,子供と環境どの関係・ 世界の子供たちの生活様子を調べて,変化性と多 様な文化が存在することを理解し,3学年は,地 域経済活動の行為者として相互依存性と葛藤の原 因及び解決方法を明らかにする。4学年は,州に ついての地理学習を,5学年は,アメリカの歴史 学習,6学年は,開発途上国についての地理・歴 史学習を通して,人間と環境,各国家と民族の間 の相互依存性及び文化と変化,そして資源の希少 性による葛藤等の概念を学習する。 中学校段階では,7学年は,世界をシステムと して認識する視点で諸社会事象を学習し,8学年 は,人間の基本的価値(文化・風習・言語等)を 探究する。9学年は,グローバル史として,文明 の発展の過程で相互依存と変化・葛藤等の歴史的 概観を学習する。 高等学校段階では,10学年は,アメリカ史をグ ローバル史に関連して独自性を強調し,11学甲は, 近代グローバル史の重要事件及び影響を及ぼした 人物について探究する。 12学年は,現代グローバ ル問題の原因と解決方法を探究し,地域活動の主 体者として社会に参加する能力を育てる内容で構 成されているO
Ⅲ W.M.Kniep
の
社
会
科
カ
リキ
ュ
ラム
の
構
成
原
理
1
シー
ク
エ
ンス
の
特
徴
カ
リキ
ュ
ラム
内容
を学
習
目標
,学習
内
容
,学
習
方法の
視
点で
分析
す
る
と次の
よ
うなシー
ク
エ
ンス
の
特
徴が
見
られ
る
。
学習
目標
視
点に
おい
ては
,学
生た
ちが
社会
事
象
に
対す
る知
識
と能
力形
成か
らの
価
値
と社
会参
加の
−57−< 表 1> 初 等 学 校 カ リ キ ュ ラ ム 学年 学 習 テ ーマ 学 習 内 容 関 連 概 念 グ ロ ーバ ル 問 題 1 相 互 依 存性 希 少 性 ・ 子 供 た ち の探 究 は人 々 と の 関 連 哇, 彼 ら の活 動 場 で の役 割 に焦 点 を 置 く。 ・ 自然 環 境 の中 で 生 物 ・無 生 物 の 間 の 相 互 依 存 関 係 を 理 解 す る。 ・ 単 純 な機 械 的 , 生 物 的 シ ス テ ム が と も に 技 能 す る よ う 構 成 要 素 を ど う 作 る べ きか を 学 習 す る。 ・ 欲望 と必 要 と の差 異 を 理 解 す る。 ・ 機 会費 用 に 関 す る 経 済 原 理 に よ っ て 経 済 活 動 ・ 意 思 決 定 を 分 析 す る。 相 互 依 存 性 希 少 性 環 境 一 学 校 と 地 域 社 会 の 中 で 汚 染 や 浪 費 の 事 例 と 原 因 を 知 り , こ れ の 解 決 方 法 を 模 索 す る。 2 変 化 文 化 ・ 学 生 自身 の変 化 に対 す る 連 続 性 を 明 確 に 理 解 す る。 ・ 記 録 文 書 を 使 用 して 地域 社 会 や 環 境 の 変 化 を 理 解 す る 。 ・ 学 生 自身 や学 校文 化 及 び 世 界 の 子 供 た ち の 文 化 を 調 査 し て 文 化 の 普 遍 的 な 特 徴 を 理 解 す る。 変 化 文 化 開 発 一 世 界 各 地 域 に あ る 飢 餓 や 貧 困 問 題 を 理 解 し責 任 を と る 。 3 葛 藤 ・ 葛 藤 状 況 とそ の原 因 を理 解 して , 共 同 で 問 題 解 決 の た め の 技 術 を 開 発 す る。 ・ 事 象 的 テ ー マ と して 経 済 シ ステ ム の 中 で 地 域 行 為 者 を 学 習 す る。 ・ 地 域 企 業 , 市 場 等 で の共 同 的 な 側面 と 需 要・ 供 給 の 相 互 依 存 性 を 明 か に す る。 葛 藤 相互 依 存 性 平 和 と 安 全 一 世 界 の 平 和 と 安 全 を 脅 か す 葛 藤 の 原 因 と 解 決 の 方 法を 模索 す る。 4 州 ・ 文 化 の概 念 を 使 用 して 州 の 発 展 に貢 献 し た 色 々 の グ ル ープ を 分 析 す る。 ・ 「 現 代 生 活 の学 習 」 で は州 と 他 の国 家 , 世 界 の 経 済 的 ・ 政 治 的 ・ 文 化 的 ・ 技 術 的 関 連 性 を 明 らか に す る。 文 化 相互 依 存 性 環 境 一 州 の 環 境 問 題 (地 域 ・ 河 川・ 森 林 ・ 都 市等) を 調 査 す る。 5 アメ リカ 史 ( 主 題 別) ・ 他 の 国 と 区 別 さ れ る ア メ リ カ の 独特 な要 素 や 価 値 に 重 点 を 置 い て ア メ リ カ の 発 展 に 対 す る 理 解 を 図 る。 ・ 概 念 学 習 は, 世 界 と の相 互 関係 ・ 国 家 発 展 に お いて 葛 藤 の 役 割 ・ ア メ リ カ の 経 済 発 展 等 を 歴 史 的 ・ 現 代 的 視 点 で 分 析 す る。 ・ ア メ リカ 憲 法 ・ 連 邦 制 ・ 大 統 領 制等 国 家 と して の ア メ リ カ の 独 自 性 に 寄 与 す る 構 成 要 素 を 学 習 す る。 相 互 依 存 性 葛 藤 希 少 性 人 権 − す べ て の 市 民 に 公 正 ・ 平 等 ・ 自 由 の 基 本 的 価 値 を 付 与 し た過 程 を 調 査 す る 。 6 ラテンアメリカ ア メ リ カ ア ジ ア ・ 変 化 ・ 文 化 ・ 葛 藤 ・ 相 互 依 存 の 概念 を ふ まえ て 歴史 的, 現 代 的 視 点 で 各 大 陸 につ い て 学 習 する 。 変 化 ・ 文 化 葛 藤 ・ 相 互 依存 性 開 発 ∼ ア メ リ カ と 開 発 途 上 国 と の 関 係 性 を 調 査 す る。 < 表 2> 中 等 学 校 カ リ キ ュラ ム 学 年 学 習 テ ーマ 学 習 内 容 7 グ ロ ーバ ル シ ス テ ム ・ グロ ー バ ル経 済 シ ス テ ム と ア メ リ カ 経 済 を 初 め グロ ーバ ル経 済 の相 互 依存 性 を 分 析 す る。 ・ 生 態 的 ・ 技 術 的 シ ス テ ム に 焦点 を 置 い て 綜 合 的 に 学 習 す る 。 ・ 主 に, 社 会科 学 と 自 然 科 学 を利 用 す る。 8 人 間 価 値 の 研 究 ・ アメ リ カ にお け る 自 由・ 権利 ・ 労 働 倫 理 ・ 多 数 決 原 理 ・ 平 等 の よ う な 基 本 的 価イ直を 初 め, 人 間 価 値 の 領 域 を 分 析 す る。 ・ 西 欧 文 明 を 形 成 し た 著 作物 や運 動 よ り 人 間 価 値 の 変 遷 過 程 を 探 究 す る 。 ・ 非 西 欧 的 伝 統 を お な じ方 法で 探 究 し, 特 に主 要 行 為 者 に 対 し て 重 点 を 置 く。 9 グ ロ ー バ ル 史 ・ 過 去2000 年 間 の文 明 が 相 互 依 存 性 を 持 っ て い か に 発 展 し て きた か のプ ロ セ スを 探 究 す る。 ・ 初 期 文 明 にお いて 情 報 的 ・ 物 的 ・ 芸術 的 交 流 の 結 果, 移 住, 技 術 , 輸 出 , 戦 争 等 を 探 究 す る。 ・ 目 標 は現 代 の国 際 関 係 を 解 明 す る た め の 広 い 歴 史 的 概 観 を 提 供 す る 。 10 ア メ リカ 史( 年 代 順) ・ 概 念 的 テ ーマ を 利 用 し, グ ロ ー バ ル史 と ア メ リ カ 史 の 関 係 性 を 強 調 す る 。 ・ 国 内 的 ・ 国 際 的 領 域 の側 面 で グ ロ ー バ ル 問題 に つ い て の, ア メ リ カ の ア プ ロ ー チ の独 自性 を 強調 す る。 11 近 代 グロ ー バル 史 の 主 要 行 為 者 ・ グロ ー バ ル政 治 ・ 経 済 的 領 域 にお け る 行 為者 と し て の 国 家 に 焦 点 を 置 く。 ・ 選 定 さ れた 国 家 が , 永 続 的 問 題 を 解決 す る ア プ ロ ー チ を 比 較 す る。 ・ 基 本 的 な 社 会 的 ・ 政 治 的 価 値 を 分 析 す る。 ・UN, NGO, 多 国 籍 企 業 , 労 働組 合 や グ ロ ー バ ル団 体 の 役 割 を 分 析 す る 。 12 現 代 グロ ー バ ル問 題 ・ 概 念 的 テ ーマ を 利 用 す る探 究 プ ロ ジ ェ ク ト に お いて , デ ー タ収 集 や 分 析 , 結 論 の導 き出 し , 解 決 方 法を 探 究 す る。 ・ 民 主 社 会 市 民 とし て の役 割 を 経 験 す る た め, 地 域 機 関 ・非 営 利 組 織 等 と 協 力 して 地 域 プ ロ ジ ェ クト に参 加 す る 。
* W.M.Kniep,「Social Studies Within A Global Education」, Social Education, V50, 1986, pp.540-5410 より作成
態度
を育
てる
よ
うに
配列
され
てい
る
こ
とが
特
徴
で
ある
O初等
学校
段
階
では
,主に
社
会事
象の
概
念
を
理
解
し
,
これ
らの
相互
関
連
性
を分析
す
る
能
力
を高
め
るの
に重
点
を置
い
て
いる
。
中等
学校
段
階
では
,
社
会
事
象の
シ不
テム
的視
点と人
間の
普
遍
的価
値
等
を
内面
化
し
,現
代グ
ロー
バ
ル
問
題の
解
決の
ため
に
社
会
活
動に
能
動的
に参
加
す
る
民主
的市
民を育
て
る
よ
うに構
成
され
て
いる
。
学
習
内容
視
点に
おいては
,学
習領
域は
,
家庭
・
学校
・地域か
ら州
・国家
・世
界
で
学習
経験
を広
げ
る伝統
的な
カ
リキ
ュラム
の
順
次
性
を基
に
しなが
ら
も
,グ
ロー
バ
ル
問題
を低
学
年か
らテー
マ
学習
で
取
り上
げ
て
いる
こ
とが特
徴
で
ある
。即
ち
,初等
学校
では
,1
学年か
らグ
ロー
バ
ル
問題
を単元
で提
示
し
てグ
ロ
ー
バル
視
点
を重視
し,
中等
学校
では
,テー
マ
学
習が
相
互
密接
に
関連
づ
けて
綜
合的
に探
究
す
る
よ
うに構
成
され
てい
る
。また
,学
習
内容の
知
識の
構
成は
,単
純概
念の
認識
か
ら総
合概
念の
認識
に
配
列
され
て
いる
こ
とが
特徴
で
ある
。初等
学校
段階
で
は
,学習
すべ
き
中心概
念
テー
マ
を決め
て
提
示
した
が
,教
育
内容は
教
師が
子
供た
ちの
状況
に
合
う題材
を選
択
して構
成す
る
。
しか
し,
4学年
か
らは
内
容
が
特
殊
化
・総
合
化
され
レ地
理
・歴
史
を
中心
とす
る
学習
過程
で
,社
会
事
象に
つい
ての
科
学的
社会
認
識
を意
図
してい
る
。
中等
学校
段階
で
は
,テー
マ
が
主
題
学習
に
含まれ
る総
合
的な概
念
と
して抽
象
的事
象
を探
究す
るよ
うに構
成
され
て
いる
。
学習
方法
視
点に
おい
ては
,社
会
機能
の
理解
か
ら
社
会
問
題解
決
とい
う配
列が
特徴
で
ある
。初
等学校
段階
では
,ま
だ社
会
事
象に対する
問題意
識が
発
達
して
い
な
いの
で
,子供
が
自分
の
身の
まわ
りの
環
境
を
中心
と
して
いか
に社
会
事
象
を理解
し
,適応
す
るか
に
重
点
を置
い
てい
る
。
中等
学校
段階
では
,グ
ロ
ー
バル
問題の
分析
を通
じてグ
ロー
バル
シス
テム
の
相
互
関連哇
を把握
し
,こ
こで
生
じる葛藤
の
原
因
と解
決
方
法
を知
っ
て
,積
極
的
に社
会
問題
に参
加
す
る
よ
うに構
成
され
てい
る
。また
,学
習
形態
と
して
は
,受動
的
・一方
的学
習
活動か
ら能
動
的
・相互
作
用
的
活動
とい
う特徴
が
あ
る
。初
等
学校
段階
では
,
社
会事
象
に
対す
る
理解
を中心
と
して教
師の
指
導に
よる
受動的
な
学習
活
動が
行われ
る
。
中等
学校
段階
では
,グ
ロー
バル
教
育の
重要
目標
で
ある社
会
参加
の
機
会
を提
供
し
,学生
が
主体
に
な
ってグ
ロー
バ
ル
問題
を解
決す
る
能
力を
身に
つけ
て
民主
的市
民と
し
ての
能
動
的
な役
割
を尽
くす
よ
う構
成
され
て
いる
O
この
よ
うな学
習
目標
・内
容
・方法
をシー
クエ
ン
ス
の
特
徴
に
基
づい
て
図で
示す
と
<図
1>の
よ
う
で
ある
。
‥
目標 学習 内容 学習 知 能 識力 家庭,学校, 地 域 単純概念 認 識 二 社会機能 理 解的
的
動
方
受一
価 値 社会参加州 世 国家, 界 総合概念 認 識 二 社会問題 解 決 二 能 動的 相互作用的 <図1> シークエンスの構造図 初等学校段階では,学生の身のまわりを中心と して社会事象に対する単純な知識習得と社会機能 を理解し,システム的相互関連性を把握する能力 を形成するように配列されている。 中等学校段階では,学習内容が国家・世界に拡 大されて,社会事象をそれぞれ切り離して捉える 事ではなく,相互関連性を総合的に分析して能動 的に社会に参加し,社会問題を解決する態度を形 成するように配列2 スコープの特徴されている。 多元主義,相互依存生変化の特徴を持つグロー バル社会の現在及び過去の歴史的実際から,グロー バル教育の基本的学習領域として,人間価値,グ ローバルシステム,グローバル史,グローバル問 題を取り上げている。13)これは,グローバル教育 のプログラム開発に利用される多くの先行研究の 教育内容を分析して一番必須的な4つの学習要素 を選定しているが,1‘)その内容は次のようである。 出 人間価値の学習 これは普遍的であり,多様な人間価値が,相互 に違う環境の中で独特に形成・発展してきたこと を理解し,受容する態度を育てる学習である。普 ― 59遍的価値は,グループの独自性を超越した人類の 価値として人間の平等・正義・自由等である。多 様な価値は,哲学的・宗教的・国家的伝統の多様 性を基にして独特な形態で発展してきた言語・価 値・信念・慣習等である。その内容としては,各 学年ごとに文化の領域が学習主題に総合的に含まっ て学習されているOたとえば,2学年では,自分 の文化の特徴を中心として世界の子供たちの文化 との類似性を理解する。8学年では,自由・平等・ 宗教・言論の自由等の市民的・政治的権利をはじ め,人間の基本生活に必要不可欠な健康・衣食住・ 老後保障等の社会的・経済的権利に対する価値認 識と,これらのための人間の努力を学習するよう に構成されている。 (2)グローバルシステムの学習 これは,経済的・政治的・生態学的・技術的シ ステムの相互関連性を把握して,諸社会事象を全 体的システムとして取られて綜合的認識を育てる 学習であるO学生たちは,自分が生きていく世界 の社会現象が相互作用していることを理解し,グ ローバルシステムの基本要素である行為者と構成 要素,そして,これらの相互関連と影響などの規 則を探究する。たとえば,4学年では,州を中心 とするして人間と事物の関係で相互関連性及び構 成要素の役割を学習する。特に,7学年では,学 生たちがグローバルな経済的・政治的・生態学的・ 技術的システムの本質を理解し,このシステムの 行為者として責任を持って効果的に社会活動に参 加することができる内容が重点的に構成されてい る。 (3)グロLバル史の学習 これは歴史的・現代的実際を基にして,普遍的 であり,多様な人間価値の発展,現代グローバル システムの歴史的発展,グローバル問題の前提条 件と原因を歴史的視点で探究する学習である。こ のグローバル史の学習は,小学校5学年から州・ 国家・世界という領域で拡大させながら歴史学習 を重視している。特に,人間価値とグローバルシ ステムの相互関連性・変化のプロセス及び世界発 展に役に立った行為者について集中的に探究する よう構成され(4)グローバルている。問題の学習 これは,今日の人類を脅かし,国家・民族間の 紛争を起こすグローバル問題とイシューについて 学生たちがこの問題の原因を理解し,解決能力を 育てる学習である。このグローバル問題学習は初 等学校では昌各学年ごとに学習単元と関連する問 題テーマを提示して学習するように構成されてい る。中等学校では,学生たちが民主社会に参加す る有能な市民の資質を持たせるため,総合的なグ ローバル問題の学習を重点的に取り上げている。 このように4つの学習領域は別々の領域ではな く,相互密接に関連づけて構成されている。これ は,学習者が社会事象の本質的要素である人間価 値の現象を分析して,多様であり,普遍的な人間 価値を探究することにもっとも魚点を置いている。 そして,この人間価値の探究方法において,社会 的機能の相互関連性を把握するグローバルシ'ステ ムと,これらの発展過程を歴史的に考察するグロー バル史の学習に結び付けて探究する。また,これ をふまえて学生たちが未来のグローバル問題を解 決できるように学習内容を選定して構成している ととが特徴である。 3 カリキュラムの構成原理 W.M.Kneipは,社会諸事象を全体的なシステ ムとして認識して,グローバル問題の解決を重視 するシークエンスとスコープに基づいて学習テー マモデルを提示している。学生たちの思考活動を 組織し,関心を集中させるための学習原理として 次の3つのテーマを取り上げている。 (1)概念的テーマ 概念的テーマは,人間・事物・事件がいかに相 互関連し,役割をするかを認識する知識の構造で ある。これは,各学習領域の多様な知識を体系化 するため中心概念を設定し,グローバル視点を開 発する一番基本的な要素として文化・相互依存・ 変化・希少性・葛藤の5つの中心概念を学習内容 で提示している。 文化の概念は,グローバル社会には√普遍的で 多様な人間価値が柤互違う環境の中で独特に形成・ 発展してきたことを理解し,受容することである。 相互依存性の概念はの中でひとつに統合,社会事象の全体が相互された全体的システムとして関連 −60−
機
能
す
る
こ
とを認
識
する
こ
とであ
る
。変
化の
概
念
は
,社会
事
象が
時間
と空
間
を超
越
し,常
に
変化
し
つ
つあ
る
こ
とと
して
人間
と
自然
を普遍
的
に
認識す
る
こ
とで
ある
。希
少哇
の
概
念
は
,
資
源
の
不
足
に
よ
っ
て
い
ろい
ろの
問題
が
生
じるの
で
,
これ
をいか
に
配
分す
るか
をグ
ロ
ー
バ
ル
経
済
的視
点で探
究す
る
こ
と
で
ある
。葛藤
の
概
念
は
,
現
代
グ
ロー
バ
ル
問
題
に
よ
っ
て
生
じる
葛藤の
原
因と解
決
方法
を探
究す
る
こ
とで
あ
る
。
この
よ
う
な概
念
的テ
ー
マ
学習は
,初等
学校3
学
年
まで
は
学習
単
元
で設
定
して提
示
す
る
こ
とに
よっ
て
子供の
と
きか
らグ
ロー
バル
認識
を
しっか
り育
て
る
(2
よ
う構
)事
成
され
象的テー
て
いる
マ
。
この
事
象
的テ
ー
マ
は
,
多様
な概
念
的テー
マ学
習
の
理解
を図
るの
ため
,学習
の
対象
で選
定
され
た
社
会
事
象
の
基本
要
素
で
ある
。
これ
は
人
間の
文
化
と価
値
,グ
ロー
バ
ル
シス
テム
での
重要
な
役割
をす
る行
為者
(特殊
な
民族
・宗
教
・文化
団体
)
と構
成
要素
(地域
・地形
・重要
文書
)
,そ
して
,重
要事
件
で構成
され
ている
。こ
の
よ
うな事
象
的要
素は
国家や
民族
によ
っ
てそれ
ぞ
れ
多様
な特
徴
を持
っ
て
いるの
で
,学生
た
ちが
経験
す
る社
会
認
識
も
多様
で
ある
。それ
で
,学
生た
ちは
自分
が属
して
いる
事
象
的要
素に
対す
る
明確
な理解
が
必要
で
ある
。た
と
えば
,3
学年では
,経済
主体
で
ある
地域
行
為者
を探究
す
る
。
4学年
では
,州の
自然
・環境
等の
事
物
に
つ
いて探
究
し,11
学
年
で
は
,
グ
ロー
バ
ル
行
為者
に
つ
いての
問題
を探
求す
る
こ
と
で
ある
。
(3
)永
続
的
な
問題の
テ
ー
マ
永
続
的
な
問題の
テ
ー
マ
は
,社
会
事
象の
要素
で
あ
る
行為
者
と構
成
要素の
か
かわ
りで
絶
えな
く発
生
す
る
人類
共
同の
問
題に
つ
い
ての
原
因
と解
決
方
法
を探
究
する
こ
とで
ある
。
学
生た
ちは
永続
的な
問題
の
学習
を通
じてグ
ロ
ー
バル
シス
テム
の
相
互依
存性
の
本
質
を
明確
に
理
解
し
,
そ
の
問題
に
多様
な
行為
者が
相
互影
響
を及ぼ
し合
う
こ
とを
認識す
る
ことが
で
きる
。そ
して
,この
よ
う
な問
題の
解
決
方法
と
しては
,
多様
な文
化
的特
性
と
独
自性
を持
っ
て
いる世
界
をひ
とつの
シス
テム
と
し
て認
識
し,その
問題の
解
決過
程
を歴史
的視
点で探
−
究することである。 たとえば,初等学校では, グローバル問題を学年ごとに単元で設定している。 中学校では,各学習内容にグローバル問題が含ま れて綜合的学習ができるように構成されている。 これらの3つのテーマ学習が,カリキュラムの 構成において次のような重要な役割を有している。 概念的テーマは,5つの中心概念を設定して4つ の学習領域と関連づけて提示している。文化の概 念は,人間価値の学習から普遍的であり多様な人 間価値の特徴を把握することである。相互依存性 の概念は,グローバルシステム学習から諸社会事 象の相互関連性を把握することである。変化の概 念は,グローバル史から人間価値・グローバルシ ステム・グローバル問題等がどう変化しつつある かを歴史的視点で分析することである。希少性の 概念は,グローバル問題の学習から資源の不足と これの効果的な分配方法を把握することである。 そして,葛藤の概念は,グローバル問題の学習か ら諸社会事象で生じる葛藤・紛争等の原因と解決 方法を把握することである。 事象的テーマは,概念的テーマに基づく学習対 象の事象的要素である行為者・構成要素・事件が システムの中でどのような役割をするかを学習す ることに関連づけている。永続的テーマは,概念 的テーマの学習内容を基にして事象的テーマの要 素的関連から生じる人類共同のグローバル問題に ついて解決方法を学習することに関連する。 このように3つのテーマに基づく学習原理がグ ローバル教育の目標・内容・方法に貫らぬく機能 を尽くしていることが,W.M.Kneipのカリキュ ラムの構成原理であると考えられるこれを図で示すと次の<図2>のようである。。IVおわ
りに
ア
メ
リカにおいてグ
ロ
ー
バル
教
育の
展開は
,
1979
年のNCS
Sの
社
会
科
カ
リキ
ュラム
ガイ
ドラ
イ
ン
が
提
示
され
た
後
,い
ろい
ろな
研究
実
践活
動が
おこなわ
れ
て
い
る
。その
中で
,初
等学校
か
ら高
等
学校
ま
で
一貫
性の
ある
カ
リキ
ュラム
を提
示
した
W.
M.Kneip
の
カ
リキ
ュラム
案
を考
察
した
。
ここ
で明
らか
依
存
と
に
変化
な
った
して
グ
ロ
い
くグ
ーバ
ロー
ル
教
バル
育は
,学
社
会
を正
生た
しく理
ちが
相
互
解
61−
人 間 価 値 ス テ ム グロ ー バ ル シ −−−−一一一−−−一一一−−−一一− | グ ロ ー バ ル 史 題 グ ロ 1 ノ マ ル 問  ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄ ̄  ̄  ̄ ̄  ̄ ̄1 二 九 概 念 的 テ ー マ 文 化 相 互 依存性 変 化 希少性 葛 藤
/
事 象 的 テ ー マ 行 為 者 構 成 要 素 事 件 永 続 的 テ ーマ 平 和 と安 全, 開 発 , 環 境, 人 権 V.43, 1979, pp.261-780 社 会 科 教 育 目 標 と し て 知 識 ・ 能 力 ・ 価 値 外 に 社 会 参 加 の 目 標 を 提 示 し て グ ロ ー バ ル な 相 互 依 存 性 を 強 調 し た 。 3) W.M.Kneip “Global Education : The RoadAhead ”, Social Education, V.50. 1986. p.455. 4 ) W.M.kniep ” Social Studies Within A Global
Ed ucation ”, Social Education, V.50, 1986. pp. 536-410 魚 住 忠 久 は [ グ ロ ー バ ル 教 育 の 理 論 と 展 開 −21 世 紀 を 開 く 社 会 科 教 育 ] で, W.M. Kneip の カ リ キ ュ ラ ム を 紹 介 し た が , グ ロ ー バ ル 視 点 を一高 め る 目 標 , 内 容 , 中 心 概 念 を 貫 く 体 系 的 な 分 析 が 不 備 で あ る 。 5) NCSS, op.cit., p. 262 6) W.M.Kniep, op.cit. p. 536 7) Ibid, p.536 8) Ibid, p.536 9) Ibid, p.537 10 )lbid ,p.537 11) Ibid, p.537 12) Ibid, pp.540-41
13) W.M.Kneip. “Defining A Global Education By Its Content ”, Social Education, V.50, 1986. p.437
14) Jaimie P. Cloud and Lynn Parisi バDefining Global Education : A Resource List ”, Social Education, V.50. 1986. p.448 j I F I │_____________________________________ < 図 2 > カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 原 理 構 造 図 し, グ ロ ー バ ル 問 題 を 解 決 す る 能 力 を 備 え て 社 会 活 動 に 参 加 す る 民 主 的 市 民 を 育 て る こ と に 重 点 を 置 い て い る。 そ して , カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 原 理 と し て は, 3つ の テ ーマ モ デ ルを 提 示 し て い る。 社 会 事 象 の認 識 内 容 と し て 概 念 的 テ ーマを 取 り上 げ, 認 識 対 象 と し て は事 象 的 テ ー マ で 限 定 し, そ れ ら の役 割 を 把 握 す る。 そ し て, 人 類 共 同 の グロ ーバ ル問 題 を 永 続 的 テ ーマ で 提 示 し て い る。 こ の よ う なW.M.Kniep の 社 会 科 カ リ キ ュ ラ ム は ア メ リ カ と い う多 民 族・ 多 文 化 の 特 性 を ふ ま え て 作 成 さ れ て い る た め, 他 の国 にそ の ま ま適 用 す る こ と は 限 界 が あ る と思 わ れ る。 し か し , ア メ リ カ の多 民 族 ・ 多 文 化 そ の も の が, 全 世 界 を ひ と つ に 縮 小 し た シ ス テ ム と し て 取 らえ るこ と はで きる。 し た が っ て, W.M.Kneip の カ リ キ ュ ラ ム 案 は, グロ ー バ ル視 点 を 高 め る 教 育 内 容 の 選 定 と 構 成 原 理 を 提 示 し た面 で , 今 後 の グ ロ ー バ ル教 育 に お い て, カ リ キ ュ ラ ム の 構 成 に対 す る基 本 方 向 を 提 示 し た こ と に価 値 が あ る と 思 わ れ る。 < 註> 1 ) 永 井 滋 郎 『 国 際 理 解 教 育一 地 球 的 な 協 力 の だ め に 』, 第 一 学 習 社, 1989, p. 144 2) NCSS, “Revision Of NCSS Social Studies Curriculum GuidelinesでSocial Education 。