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ビジュアルフィードバックを用いた口唇閉鎖力トレーニングによる口唇機能の変化

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Academic year: 2021

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〔学位論文要旨〕

松本歯学 44:₉4~₉5,2018

ビジュアルフィードバックを用いた

口唇閉鎖力トレーニングによる口唇機能の変化

長井 健

松本歯科大学 大学院独立研究科 顎口腔機能制御学講座 (主指導教員:増田 裕次 教授) 松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文

Change of lip function by lip–closing training using visual feedback

T

AKESHI

NAGAI

Department of Oral and Maxillofacial Biology, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Professor Yuji Masuda)

The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph.D. (in Dentistry) 【目的】  近年,口腔機能の低下から低栄養へとつながる オーラルフレイルが問題視されており,負のスパ イラルから要介護状態へつながってゆく危険性が ある.オーラルフレイルは,健康と機能障害の中 間にあり,可逆的であることが特徴の一つであ る.プレフレイルやフレイル状態で,口腔機能を 維持・向上する必要性があるが,口腔機能を効率 よくトレーニングする方法が確立されていないの が現状である.  多方位口唇閉鎖力測定装置を用いて,口唇閉鎖 の調節能力を見ることによって,口唇機能を評価 する方法が報告されている.口唇閉鎖の随意的な 調節運動は口唇のみならず,口腔全体の運動機能 を賦活する可能性がある.さらに,口唇運動は口 腔機能の中でもトレーニングしやすく,評価しや すい運動と考えられるので,多方位口唇閉鎖力測 定装置をもとに,口唇閉鎖力をディスプレイ上に 表示して,ビジュアルフィードバックを用いた的 あてゲームを新しく開発した.  そこで,本研究では開発したゲームを繰り返し 行うトレーニングが,口唇閉鎖力や口唇閉鎖調節 能力に与える影響を明らかにすることを目的とし た. 【方法】  本研究では,ビジュアルフィードバックを用い た的あてゲームとして多方位口唇閉鎖力測定装置 とディスプレイを用いた.ディスプレイ上にラン ダムな方向に現れる的に対して,その方向の口唇 閉鎖力を維持するように口唇に力を入れ,0.2秒 維持されると到達音とともに的は消え,新たな的 が表示される.このゲームを 2 分間行った.素早 く的に到達すると的あて回数が増えることにな る.実験 1 として,新しく開発したトレーニング により口輪筋に負荷がかかっているかどうかを検 証し,実験 2 としてこのトレーニングを一定期間

(2)

松本歯学 44⑵ 2018 95 行うことにより,口唇機能がどのように変化する かを調べた.  実験 1 では健常成人女性 5 名を対象とし,口輪 筋の筋電図を記録するために,上唇に電極を貼付 した.2 分間のトレーニング前後において,20秒 間の最大努力での口唇閉鎖中に筋電図を記録し た.筋疲労の有無を評価するために,筋電図を周 波数分析し,周波数帯域を中間周波数を用いて比 較した.  実験 2 では,健常成人トレーニング群13名(男 性 7 名,女性 6 名)と健常成人非トレーニング群 5 名(男性 1 名,女性 4 名)を被験者とした.ト レーニング群では,新しく開発したゲーム感覚の トレーニングを 一 日 2 回,週 3 回 を 4 週 間 行っ た.以下の 3 項目について,週ごとに評価し,ト レーニングによる経時的な変化を調べた. ⑴ 最大口唇閉鎖力: 3 秒間での最大努力での口唇 閉鎖力を測定した. ⑵ 口唇閉鎖調節能力:上,右上,右下,下,左下, 左上の方向ごとに, 6 秒間現れる的に対して, 口唇閉鎖力を調節して的内(目標値± 8 %)に 維持できた割合を調べた. ⑶ 的あて回数:上記の 2 分間のゲームを行い,的 あて回数を調べた.  混合線形モデルを用いて,トレーニング群での トレーニングによる変化の有意性を検定した.  非 レーニング 群 では,トレーニングを 行 わず に,最初と 4 週間後の 2 回の計測のみを行った. トレーニング群と非トレーニング群の比較は,最 初の測定値から 4 週間後の測定値の差に相違があ るかどうかを,t– 検定を用い, 6 方向別の相違 に関しては,Holm の方法により修正した.二群 間の比較は,混合線形モデルを用いて実験前後の 値の増加量を比較した. 【結果】  実験 1 :トレーニング中に得られた口輪筋筋電 図活動のパワースペクトル分析より,口輪筋に疲 労が認められた.つまり,トレーニングにより, 口輪筋に負荷がかかっていることが分かった.  実験 2 :トレーニング群において,最大口唇閉 鎖力の総合力はトレーニングにより有意な増加が 認められた.方向別に検討すると,下方向,右下 方向の力に有意な増加が認められた.一方,正確 率においては,全方向で有意な増加が認められ, トレーニングにより,口唇閉鎖調節能力の向上が 認められた.的あて回数にも,有意な増加が認め られた.  最大口唇閉鎖力(総合力と下,右下),正確率 (上と左上)および的あて回数において,トレー ニング群の変化と非トレーニング群との変化に有 意な相違が認められた. 【結論】  本研究結果から,今回の口唇閉鎖トレーニング 法は一定の口腔機能向上を促すことが示唆され た.今後,このようなゲーム感覚でのトレーニン グが口腔機能向上の一助となることが期待できる.

参照

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