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都市におけるコミュニティと行政に関する一考察 : 東京都のコミュニティ行政を事例として

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都市 にお け るコ ミュニテ ィと行政 に関す る一考察

Community and Administration in Urbanized Society:

A C a s e S t u d y o f t h e T o k y o M e t r o p o l i t a n

Government's Community Administration

要 旨 コ ミュニテ ィの概念を、唐 浮 の 「生 活 包 括 集 団」 とい う規定に従い、①境界性 の認識、②集 団 性 の維持、③ 行動規範 の3点で整理 し、その上 で、 筆者 の見解 として都市成立 の要件を、(彰地域意識 の喪失、(参集団か らの単独化、③行動規範 の一時 性 と考 えて、両者 (コ ミュニテ ィと都市化)を対 極に置いて整理 した。次に、倉沢 の 「村落的生活 様式」 と 「都市的生活様式」 の対比を参考 に、生 産 ・消費関係 と地域 内 ・外関係 とい う2つの関係 で都市的生活様式の特徴を整理 した。そ して、子 供を育 て ること、身近 な人 の世話をす るとい う、 生活 の根本的な課題を地域外部 の専門的機関のサ ー ビスに委ね るとい う点 で、教育 ・医療 の発達 も コ ミュニテ ィの消滅に結 びついてお り、行政サ ー ビスの拡大 もコ ミュニテ ィの弱体化に繋 が ってい ることを強調 した。 また、 コ ミュニテ ィ ・スペ ー ス (コ ミュニテ ィ領域)をパ ブ 1)ック ・スペ ース (公的領域) とプライベ ー ト・スペ ース (私的領 域) の中間的空間 (領域) に位置づけ、公的領域 にあ る行政は、生活 と地域 と人間を結 ぶ全面 的な 関係を もつ コ ミュニテ ィに とって、常に部分約 ・ 一面的に しか機能 しない危険 性 を 指 摘 した。次 に、東京都 の コ ミュニテ ィ行政 の現状 について、 ① コ ミュニテ ィ施設建設費 の補助、(参情報化 ・国 際化 ・高齢化-の対応、を中心 に概観 し、今後行 政が とるべ き方 向性 について、 3次元のベ ク トル

Hisamitsu lhara

図を提示 しなが ら試論を展開 した。 目 次 は じめに 1. コ ミュニテ ィに関す る国、 東京都、 お よ び コ ミュニテ ィ問題研究会 の考 え方 2.都市化 とコミュニテ ィ 1)対立概念 としての都市化 とコ ミュニテ ィ (プラス ・マイナスに よる整理 を も とに) 2)都市的生活様式 3.行政 とコ ミュニテ ィ 4.東京都 におけ る コ ミュニテ ィ行政 の現状 1) コ ミュニテ ィ施設 の建設費補助 2)情報化- の対応 と情報 システム 「とみ んず」 3)国際化- の対応 4)高齢化 とコ ミュニテ ィ政策

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コ ミュニテ ィに関す る図式化の試み 1)情報化 のベ ク トル 2)国際化 のベ ク トル 3)高齢化 のベ ク トル 6.コ ミュニテ ィ行政 の方 向性 につ いて は じめに 筆者は、平成3年 (1991年) よ り第5期東京都 コ ミュニテ ィ問題研究会 のメ ンバ ー として、東京 都 コ ミュニテ ィ問題に関す る調査や討議 に参加す 1

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-174 長野大学紀要 第16巻第4号 1995 る機会を得た. この研究会は、東京都におけ るコ ミュニテ ィの実態を調査 ・検討 し、 コ ミュニテ ィ 行政の基本的事項を検討す るために東京都に よっ て設置 された もので、学識経験者、都民の代表、 東京都の行政担当者、お よび区市の コ ミュニテ ィ 行政担当者、合計16名で構成1)された今回の第

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期研究会は、 コ ミュニテ ィ施設 の あ り方 を 中 心 に、情報化 ・高齢化 (人 口変動 と福 祉 社 会)・国 際化-の コ ミュニテ ィ行政 の対応な どについて討 議を重ね、都 内の コ ミュニテ ィ施設2)の視察 も行 ったo筆者は、研究会の副座長を務め る一方、主 に民間部門のサ ービス活動やマーケティング活動 の視点か ら、 コ ミュニテ ィ行政におけ る公共サー ビス と組織運営、 コミュニテ ィ需要の予測な どの あ り方について助言を行 ってきた。 この提言につ いては、第5期東京都 コ ミュニテ ィ問題研究会報 告書 「21世紀を展望 した コミュニテ ィ施設のあ り 方について」 (東京都生活文化局、 1994年10月) にまとめたが、 こうした体験を通 じて、都市にお け るコミュニテ ィをめ ぐる最近の動向 とコ ミュニ テ ィ行政の現状を概観す る機会を得たので、本稿 で コミュニテ ィと都市化及び行政 の関係について 整理 してみたい。 また、将来行政機関が地域 の コ ミュニテ ィ活動に どの ように関与 してい くべ きか について図式化を試みたので、 ここに試案を提示 したい。

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.コ ミュニテ ィに関する国、東京都、お

よびコ ミュ=テ ィ問題研究会の考え方

国民生活審議会の調査部会 コミュニテ ィ問題小 委員会は、「生活の場において、市民 とし て の 自 主性 と責任を 自覚 した個人お よび家庭を構成主体 として、地域性 と各種 の共通 目標を もった、開放 的でしか も構成員相互に信頼感のあ る集 団」3)を コ ミュニテ ィと定義 している。 この概念は、 「従 来の古い地域の共同体 とは異な り、住民の自主性 と責任性に基づいて、多様化す る各種 の住民要求 と創意を実現す る集団」を コ ミュニテ ィとした も のであ り、近代的市民社会の進展や個人の自主性 を前提 とした多 くの機 能 集 団 (コミュニテ ィ組 織)を生成 させ る基盤 としての コミュニテ ィの定 義 といえる。 また、東京都は 「マイタウン構想」 の一環 とし て コ ミュニテ ィを 「人 々の参加 とふれあいに支 え られた地域社会」4)と定義 してい る。す な わ ち、 「一定の地域的ひろが り」 の中で、「共同 目標」や 「共通の問題」があ り、「人 々の主体的な参加が活 発に行われてい ること」や 「人 々の心のふれあい が存在す ること」を前提 として

「いきいきとし た地域 の魅力が創 り出され てい る」 ことが コ ミュ ニテ ィの基本認識にな ってい る。 このマイ タウン構想の 目標は 「安心 して暮 らせ るまち、いきいき暮 らせ るまち」 をつ くることに あるが、それを実現す る過程や手段 として 「自分 の手がす こしでも加わ ってまちづ くりが進め られ てい る」 とい う住民参加の実感 と地域住民の共同 経験が重要 であ り、その過程 (手段)そのものが 目標 の一部である と され て い る。そのために、 「都市構造の改善や都市施設の整備が重要」であ ると同時に、 「まちに生命を吹 きこむ もの」 とし て コミュニテ ィの形成 と発展が必要不可欠 と考 え られたわけである。 この ような基本構想に基づいて、第1期 コ ミュ ニテ ィ問題研究会は、東京都の コミュニテ ィ行政 の推進方策について報告書を まとめ、① (行赦 の あ らゆ る施策を コミュニテ ィの視点か ら見直す) 行政 の コ ミュニテ ィ化、(参コ ミュニテ ィ ・カレッ ジ構想、(参集住の しくみの構築、④ コ ミュニテ ィ 情報 システムの開発、⑤ コ ミュニテ ィ ・シンボル の創造、⑥地域産業の コ ミュニテ ィ化、⑦ コミュ ニテ ィ生活 システムの創造 の7つの政策設計を提 案 してい る5)O さらに、第2期 コ ミュニテ ィ問 題 研究会においてほ、「情報 とコミュニテ ィ」を研究 課題 として、報告書をまとめ、① コミュニテ ィ ・ データ ・ベースの設置、(卦諸媒体 の ネ ッ トワ ー ク化の推進、③ コ ミュニテ ィ ・ア ドバイザーの設 置、④ コミュニテ ィ研究セ ンターの設置を提言 し た。 (情報化に対す る東京都の具体的取 り組みの 1つ としての、情報 ネ ッ トワーク 「とみんず」 の 例については後述3項の 2)を参照方) こうした国や東京都の コ ミュニテ ィに関す る基 本的な認識を受けなが ら、筆者の参加 した第5期 コ ミュニテ ィ問題研究会報告書では、 コ ミュニテ ィの概念を政策的有効性を含めて用い、 コ ミュニ テ ィを 「生活包括集団」 と規定 した。 この生活包 括集団 としての コミュニテ ィは、第5期 コ ミュニ

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テ ィ問題研究会 の座長を務めた唐津和義 の定義6) に従 うものであ るが、それは以下3点の特色を も つ。 す なわち、 唐浮に よると、 「第1は、 居住者に 共有 され てい る地域認識 (特定地域独 自の 自然を 知覚 してい る)があ り、他の地域 と異な る居住地 域 の空間感覚を もち、 それは居住地域 の境界性を 認識 させ る。 第2は、生活空間が居住者 の間で重 な り合 ってい る。 この ことは、買物 で出会 う、行 事 の集いで出会 う、 また散歩 の道 で出会 う等、地 域 内に居住す る人 々の接触率が高 まる。その こと はパ - ソナル ネ ッ トワー クを形成 す る こ とに な り、地域 内の居住者 の集 団性を高 め る こ とに な る。第3には、居住者 の問に共有 され てい る生活 のルールがあ る。 それは、居住地域 のなかで有効 性の高い地域 内道徳 ともい うべ き、世代間の継承 を求め る行動基準であ る。 それは、居 住者が地域 で生活す る知恵 の集積 であ り、子供達に伝承 され てい くO以上、 ① 境界性 の認識、 ②集 団 性 の 維 持、③ 行動基準 の伝承があ るのが、生活包括集 団 即 ち コ ミュニテ ィと考 え る。換言すれば、生活 の 完結性がみ られ る居住者 のネ ッ トワー クの範 囲が コ ミュニテ ィであ る

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したが って、 ここでい うコ ミュニテ ィとは、市 民社会 の進展に よって覚醒 された個人 とその 自主 性を前提 として、個 々人 の 目的が共鳴 し合 って成 立 した機能集 団のみで もな く、都市整備を支 え る 下部構造や行政情報 の伝達 回路 として用 い られ て い る地域組織 (た とえば、町 内会 ・ア ソシエ ーシ ョン)を指 してい るので もない。 もちろん、 コ ミ ュニテ ィは、地域全体で解決 しなければな らない 問題が生 じた場合には明確 な 目標や問題意識が も つ ことで住民組織 (ア ソシエ ーシ ョン)を形成す る基盤で もあ るし、行政 と個人を結ぶ情報 の伝達 回路に もな りうるが、通常は 目的志向的な機能集 団ではな く、 日常 のつなが りの中で生活の快適性 を 自然に作 り出 そ う とす るェ コシステム (eco・ system) といえ よう。8) また、 日常的な用語 としての 「コ ミュニテ ィ」 は、時 として職場や趣味サ ー クルな どにおけ る仲 間やイ ンフ ォーマル ・グル ープまで含め ることも あ るし、実際に、P.ドラッカーは、 plantc om-munityとい う用語を用いて 「職場 コ ミュニテ ィ」 を表現 してい るが、 これはF.∫.レス リスバ ーガ ーやG.E.メ-ヨー らの informalorganization の延長 として位置づけ られ ると言わ れ る9)。 しか し、上述 の よ うな 「ェ コシステム としての コ ミュ ニテ ィ」 の観点 に立 てば、工場 に接近 した社宅 で 職場 のほ とん どの人 々が生活を共有 してい るよ う な場合を除いて、生活 の共有や地域 との密着性 の ない こ うした職場や趣味サ ー クルの グル ープは コ ミュニテ ィと呼ぶ ことはで きない。 また、唐洋が 言 うよ うに、概念規定上 もこ うした集 団に対 して 「必ず しも< コ ミュニテ ィ>概念 を 用 い な くて も、<職場集 団><仲間集 団><非公式集 団> の 概念 で とらえて も何 ら不都合 もない10)」 わけであ るO もちろん、 コ ミュニテ ィを特定 の地域 の もの と す るかについては議論 の分かれ る と こ ろ で も あ り、事実、 日常 の用語 としてほ多様 な意味11)に使 われ てい るO 周知 の通 り、

R.

M.

マ ッキ -ヴァ-は、「コ ミュニテ ィとい う語を、 村 とか町、 あ る いは地方や国 とか もっと広い範 囲の共同生活 のい ずれかの領域を指す のに用い12)」 てお り、必ず し も地域社会 に特定 していない. しか し、 マ ッキー ヴァ-が 「コ ミュニテ ィの最 も完全な類型 は国で あ るl

S

)」 とい う時の コ ミュニテ ィとは 「●●●●共 同生活 の相互行為を十分に保証す るよ うな共 同関心が、 その成員に よって認め られ てい るところの社会的 統一体

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)

」 であ って、個別的充足 のために求め ら●●● れ る分立的関心に よって成立す るア ソシエーシ ョ ソと対をなす概念 として定義 され てい る (傍点 は 筆者).す なわち、 マ ッキー ヴァ-は、 コ ミュニ テ ィの概念に 「関心 の類型化」を用い る15)ことに よって、一般意志や 自然法、 主権、 国家 とい った 政治学 の問題 に まで言及 してい るわけであ る。確 かに、 コ ミュニテ ィを こ うした共 同関心 の全体系 で とらえれば、 コ ミュニテ ィの範 囲は特定 の地域 を超 えて拡張が可能 であ り、 その ことは社会を ど の ように とらえ るか とい う社会学的なテーマ とし て極めて重要 ではあ るが、都市 におけ るコ ミュニ テ ィ行政 のあ り方 を問 う本論 では、 こ うした 「大 コ ミュニテ ィ」諭 に立たず に、一般的な地域社会 学や都市社会学 で言われ るよ うに、 「わが まち」 としての広が りや一体感、 あ るいは地域 的な境界 性を もつ もの として理解 したい。 3

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-176 長野大学紀要 第16巻第4号 1995

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都 市 化 と コ ミュニ テ ィ 1)対立概念 と しての都市化 とコ ミュニテ ィ (プ ラス ・マイナ スによる整理 を もとに) 都市社会学 の分野 では、 「地域におけ る新 しい 共同の座標軸 として、 コ ミュニテ ィのモデル化が 進め られ」松原治郎 (1969)の 自治意識構造 モデ ル16)や奥 田道大 (1983)の 「コ ミュニテ ィ」 モデ ル17)をは じめ として、 「コ ミュニテ ィ ・モ ラール (鈴木広)、 コ ミュニテ ィネス (斉藤吉雄) な ど、 その他 さまざまな試 み」 があ った18)とされ るが、 奥 田が1983年 のモデルを書 き換 えて 「地域性」 を 軸 に プ ラス ・マイナス極 で整理 したモデルの例19) を ヒン トに、筆者は、 図1に示す よ うに、 唐津 (1991年) の コ ミュニテ ィの定義にあ った①境界 性 の認識、②集 団性 の維持、③ 行動基準 の3点20) を座標軸 として、 マイナス極を設定 した。 す なわち、唐浮が コ ミュニテ ィの特徴 とした① 境界性 の認識、②集団性の維持、③行動基準 の3 点を3次元の座標軸 の図の プラス方 向に表せば、 その正反対 のマイナス極に、 それぞれ(む地域意識 の喪失、(参集 団 (あ るいは固定的 な人間関係) か らの単独化

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)

、③ 行動規範 の一時性、 とい った も のが想定 で きる。 筆者 の図式に従えば、都市化は コ ミュニテ ィの 対立概念 として整理す ることがで きる。都市 に住 む人 々は、一般 に、特定 の地域や 共 同 体 的 な 集 団、煩わ しい人間関係、 あ るいはそ こにあ る因習 や伝統 とい った行動規範 とい った束縛 か ら解放 さ れたい と願 って都市に流入 して来た人 々が多い。 (∋土地 と②特定 の集 団 と(勤道徳か らの 自由が都市 を成立 させた とい って も過言 ではあ るまい。 た しかに、 中世 イ タ リアや ドイ ツの商業都市22) か ら現代 の都市 虹至 る ま で 都 市 に は 「自由な空 気」 があ り匿名性 の魅 力があ る。都市 には、 い っ たん街に出れば、 シ ョッピングを して も食事を し て も映画や劇 を見 て も誰に も干渉 されないStreet lifeがあ り、 それが家庭や職場におけ る home・ OLRcelifeを補完す るもの として 約 束 され て い る。 都市の も う一つ の魅力であ る快適性 についてみ ると、それは高度に整備 されたイ ンフラス トラク チ ュア、発達 した交通網、豊富 な物資、 多様 で迅 く一・・) (地 域 意地 の喪 失 ) (井原作図) 図1 コミュニテ ィと都市の成立要件 速 なサ ー ビス、余暇活動や美的芸術的体験へのア クセスの容易 さ、 な どに裏打ち され てい るが、 そ うした快適環境が保証 され る都市 生 活 に お い て ほ、生活 のほ とん どすべ てを地域 か ら独立 して行 うことも可能 であ り、 わず らわ しい人間関係に拘 束 され ることもなければ、法 に触れ ない限 り特定 の行動基準に縛 られ ることもな く生活が維持 で き る。 実際、現代 の都市生活においてほ、地域 で暮 ら し、 そ この人 々 と交流 し、 その地域 の伝統的な行 動様式を引 き継 いでい くとい う典型的な コ ミュニ テ ィの姿は消滅 しつつ あ る と言 っ て も よい。 ま ず、地域 との繋 が りについては、職住分離が当た り前 の都市生活においては、地域居住 の意味は、 「住む」 ことか ら 「寝 る」 こと-変質 しつつあ り、 通勤時間 ・距離の拡大に よって、住民票 のあ る町 は 「寝 る町 -ベ ッ ドタウソ」 とな りつつあ る。 次に、地域 での暮 らしが失われ て、集団性 の質 も変わ ってきてい る。す なわ ち、地域 におけ る人 間関係は、 「全人格的」 な関係か ら 「表層的」 あ るいは冠婚葬祭 な どに限 られた 「最小限」 のお付 き合い、利害関係を主体 とした 「功利的

「ギブ・ アソ ド・テイ ク的」 関係- と変質 しつつあ る。 あ るいは、 生活を媒介に した昼夜 ・公私 の別 の少 な い全般的 で直接的 な関係か ら、仕事 ・趣味な どを 媒介 とした職場 ・組織 ・仲間 とい う部分的で間接 的な関係- と変貌 しつつあ ると言 って もよいだろ う。 第 3の行動規範 も変質 してい るO流動的な都市 生活にあ ってほ、 「昔か らこの辺 の者は こ うした ものだ」 とい う地域 内道徳 は伝承 されに くく、 ど 4

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-の地域で も受け入れ られ易い冠婚 葬 祭 の し きた り・挨拶 ・礼儀だけが最大公約数的に残 り、人 々 の生活で必要な最小限の行動規範にな りつ つ あ る。そのために葬儀サー ビスに見 られ るような 日 常生活におけ る諸行事の外部委託が増加す る債向 にある。それは、生活上 の トラブル処理について も同様で、直接 「自分たちのルール」 で解決す る のではな く、外部に仲介を求めて間接的に処理す る関係にな りつつある。 この ことは、近代市民意 識 ・契約概念 の浸透 とも結びつ くが、 「隣の柿の 木の枝を切 る」 ことす ら法的に第三者に処理を委 ね ようとす る傾向が見 られ る。 しか し、 この ように都市を コミュニテ ィと対立 的な概念 と捉えて しま うと、都市 とコ ミュニテ ィ は両立 しない ことになって しま う。そ して、 まる で都市には コ ミュニテ ィが成立 し得ない ような ロ ジ ックの落 し穴に陥 って しま う。それは、現実に は農村が都市化 していて農村的共同体が農村の中 になかった り、逆に都市の中に も村落共同体的な 下町の生活があって、それが当た り前の世界を、 農村 と都市、第一次集団 と第二次集 団、あるいは ゲマイ ンシャフ トとゲゼル シャフ トの ように図式 化す ることで2分 して しま うことの危険性 と同様 である。

2)

都市的生活様式 事実、 コ ミュニテ ィの崩壊を論 じるな らば、そ れは都市 とい う特定の地域だけの問題ではない こ とが明白にな りつつあるO周知の通 り、L.ワ-ス は、「生活様式 としてのアーバニズム」28)において 都市化を 「都市的生活様式」 と捉え直 したが、倉 沢進は、 ソローキ ン、 ワース、 ジンメル、 福武 直、鈴木栄太郎 らの業績を まとめなが ら、都市的 生活様式を、(∋自給 自足の観点 と、②相互扶助処 理一専門機関依存処理、 とい う2つの観点か ら規 定 してい る。 すなわち、倉沢は、 「村落 と都市の生活様式上 の差異 とは、第1に、村落におけ る個人的 自給 自 足性の高 さ、逆にいえば都市におけ る個人的 自給 自足性の低 さを指摘すべ き」24)としてお り、「非専 門家 ・住民の相互扶助 システムを原則 とす る 共 通 ・共同問題 の共同処理に代わ って、専門家 ・専 門機関の専業 ・分業 システムを共同処理の原則 と す ることこそ、都市的生活様式 と村落のそれを区 表1 村落的生活様式と都市的生活様式 (その 1) 村落的生活様式 l都市的生活様式 生産 ・消費関係 自給自足的 生産と消費の

ラ ンス 貨幣と購買 消費のみの生活 地域内 ・外関係 一一 三 一 二 (倉沢の定義を参考に井原が作表) 別す る、 第2の、 よ り重要なポイ ン ト」25)と述べ てい る。 そ こで、 これ らの論点をふ まえて、筆者な りに 村落的生活様式 と都市的生活様式を対 比 し な が ら、都市化 とコ ミュニテ ィの関係を再度整理 して みたい。 まず、表1ほ、倉沢の指摘す る村落的生 活様式 と都市的生活様式の2つの主要 な差異につ いて、それ らを生産 ・消費関係 と地域 内 ・外関係 の2つの関係 として整理 してみた ものである。 第1の生産 ・消費関係か ら村落的生活様式 と都 市的生活様式を比較す ると、村落的な生活様式に おいてほ、 自給 自足的で生産 と消費のバ ランスが 保たれてい る状態 と言え よう。 これに対 して,都 市的生活様式は貨幣に よって暮 らしに必要な もの を購買す る生活様式であ り、生産 と消費 のバ ラン スか ら見 ると、消費が主体の生活 と言 え よう。 こ の ように してみ ると、 この2つの生活様式は、単 に、村落一都市 とい う構図で示 され る の で は な く、産業革命以前の生活様式 と大量消費社会 のそ れを比較 した ものであ ることが一層明確にな って くる。現代社会は、大量消費社会26)であ る。少な くとも先進国社会では、都市に住 もうと農村に住 もうと、生活の多 くを大量生産 システムの成果に 依存 しなければな らな くな ってい る。衣食住の う ち、 「家を作 る」 ことが 「家を買 う」 ことに置 き 換え られ て久 しいが 「服を作 る」よ り「服 を買 う」 ことが都市にあっても地方にあって も当然 のこと として一般化 してお り、 さまざまな食 事 サ ー ビ ス乞7)に よって 「食事 も買 う」時代にな りつ つ あ る。 こうした衣食住の一切を市場 で貨幣 とい う対 価を支払いなが ら購入す ることが都市的生活様式 の第1の特徴 であ るが、それはまさに大量消費社 会の生活様式 と言え よう。 第2の特徴は、既述 の ように倉沢 の定義 では、 5

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-178 長野大学紀要 第16巻第 4号 1995 非専門一専門、 あ るいは 相 互 扶 助 システムー専 門 ・分業 システム とい う関係で捉 え ら れ て い る が、筆者 の理解す るところでは、 これを地域 内 ・ 外 の関係に置 き換 え ることも可能 と思え るOそれ は、非専門家であ る住民が共同 して問題解決 にあ た るような相互扶助 システムは、 あ る程度 自己完 結的 な 「自分たちの世界」 を前提 に してい るはず であ り、 その意味 で地域的 な範 囲を もってい ると 思われ るか らであ る。すなわち、村落的生活様 式 が個人や家族 内で処理 で きない問題 を地域 内で解●●●● 決 しようとす るのに対 して、地域外部の専門機 関 に依存 して解決 してい く生活 の形態が都市的生活 様式 と考 え られ る。 もちろん、 この 「地域」 とは 相対的概念 で、 山や川、鉄道 ・道路 ・行政区分 で 隔て られた空間で も良い し、身 内 ・よそ者 の住む 境界 で区切 られた空間で も良い。 明確 な境界線 が な くとも、文 化 ・習慣 ・言葉 (方言)な どの違 い で隔た りを感 じる世界 であ った り、「住み慣れた」 土地、「顔見知 りの人 々の住む」地域 としての 「わ が まち」 を意識す るものであ って も良い。 ここで は地域範囲を特定す ることが 目的なのではな く、 そ うゆ う 「自分たちの世界」 の存在 を意識 で きる か ど うか、す なわ ち、直接的に協 力 して生活 して い る人 々 との関係が見 え る (感 じる)28)地 理 的 範 囲があ るか ど うかが重要 なのであ る。 この ように整理 してみ ると、倉沢のい う都市的 生活様式 の2つの特徴は表裏一体 のものであ るこ とが分か る。 自ら生産 し消費す る生活が失われた とい うことは、人 々が直接的に相互扶助 しなが ら 生活す る機会が大幅に減少 した ことを意味す る。 人 々は、専業的な職業につ き、 その職業を通 じて 不特定多数 の人 々に 自らの労働 の成果を提供 し、 自らも不特定多数 の人 々の労働 の成果か ら得 られ る製品やサ ー ビスを媒 介 として生活を成立 させ て い る。いわばデ ュル ケ-ムのい う 「有機的連帯」 の関係 であ るが、 この、 自己 と他人 の不特定多数 のための労働 の成果 を媒介 とした匿名的相互依存 生活 こそ、倉沢 の言 う都市的生活様式 の根源的な 意味であ り、 その意味で今 日のわが国の現状 はほ ぼ例外な く都市的生活様式が普及 した状況 と言 え よう。 そ して、 この状況を、 「自分たちの世界」 とい う感覚 (す なわち地域意識) と結び付 け て 地 域 内 ・外関係 として見 ると、都市 (あ るいは現代社 会) におけ る コ ミュニテ ィ崩壊 の要因が一層明確 にな る。す なわち、生産 ・消費関係において生産 と消費のバ ランスを失 って もっぱ ら消費的にな っ た都市的生活様式においてほ、市場 とい う外部 の メカニズムに依存 した状態 であ るわけで、常に外 部 の専門機関に依存 した生活を行 って い る た め に、地域意識 は無限に拡張 して 「世 の中」 とす る か、そ の無限の拡張のなかで実感 として相互扶助 的 な地域 の範 囲を意識す ることができず消滅 して しま うのであ る29)O その ことは、 また、生活 の時間的 ・空間的な分 断 と結 びついて、地域におけ る生活を消滅 させ て い る。人 々は専業的な職業に就 くことに よって勤 め先に 「通勤」す ることにな り、 生活時間の多 く を 「職場」 とい う特定 の空間 で過 ごす ことにな る か らであ る。 いわゆ る職住 の分離 であ るが、 その 「出稼 ぎ」 の結果、地域 に残 され るのは老人 ・専 業主婦 ・子供 に限 られ て しまってお り、核家族 化 と共稼 ぎの増加で昼間は誰 もいない家庭や地域 も 増加 してい る。 もちろん、現実 に人 の姿が見 えな くな るだけ ではない。仕事 とともに労働活動 ・社 会活動が地域か ら消滅 して、家庭 生活その ものが 「寝 る所

「暇 な時間

「ごろ寝 してテ レビ」 の よ うに狭め られ空疎化 して、結果的に地域 か ら活気 が失われつつあ る。 この よ うに、生産 ・消費関係におけ る分業化 ・ 専業化に よって、地域 内 ・外関係におけ る外部委 託が行われ、それに従い、地域意識が消滅 して コ ミュニテ ィが崩壊 してい くわけ で あ る が、分業 化 ・専業化に よる地域外部委託 とい う第2の関係 は、生産 ・消費関係のみの ことではない。倉沢 の 「第2の、よ り重要なポイ ン ト」 とい う指 摘 もあ るが、その意味 で、 (す なまっち、外部委託 とい う ことが一層広 い社会関係に及んでい るとい う意味 で) この地域 内 ・外関係は、都市的生活様式を特 徴づけ る重要 な関係 と言 え よ う。 た とえば、 「働 く親 の姿が子供たちの前か ら消 えて久 しい 」30)と言われ るが、 子供 たちの姿 も地 域 の生活か ら見 えに くくな ってい る。 日本の現状 では、 どこに住 も うと、学齢期 に達 し た 子 供 は 「学校」 とい う教育専門機関にか よあせ ることに な ってお り、子供たちは少 な くとも

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年近 く、 家

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庭や地域 の共同生活か ら分断 されて特定 の時間を 専門的施設 であ る学校 で過 ごす ことに な っ て い る。 さらに、受験競争 の激化 と学習塾 ・進学塾 の 浸透は、 この 「囲い込み」時間を増大 させ、 「受 験勉強」 を第1とす る考 え方が、地域生活 ・地域 行事か ら子供たちを遠 ざけてい る。 加 えて、子供たちの成長 の結果 (教育の成果) は、地域 と若者 の一層の分断を まねいてい る。す なわち、現代の高等教育機関は、専門職業的知識 を教授す ることに よって多 くの若者 を地域 か ら切 り離 してい ると言え よ う。 こ うした ことは、教育 の分野 だけの ことではな い。病院出産が一般化 し、 高度 に発達 した医療サ - ビスが受け られ るよ うにな った現代社会 では、 家庭や地域 の中で 「生 まれ、病み、亡 くな る」 と い うことが少 な くな りつつあ る。福祉 の分野 で も 福祉施設を利用 した り専門機 関に よる介護サ ー ビ スを受け るケースが増 えて きてお り、 ここで も家 庭や地域 の中で解決 しよ うとす る (倉沢 の言 う) 「村落的生活様式」 は崩壊 しつつあ る。 さらに、 かつ ては地域 内の一大行事 であ った結婚や葬儀 な どの冠婚葬祭 も、地域外部 の専門業者 であ るホテ ル ・結婚式場 ・葬儀サ ー ビス業に よって、代替 さ れつつ あ る。 これ まで地域 内 ・外関係を中心に見たが、 これ を唐津 の 「生活包括集 団」 としての コ ミュニテ ィ 概念を参考 に3つの特徴 で見てみ ると、①地域 と の繋 が りだけでな く、②集 団 との繋が り、③行動 規範 との繋 が りも変化 してい ることが一層明確に な る。 す なわ ち、第2の集団 との繋 が りで言えば、地 域 がな くな るのであ るか ら、 1つの地域集団-の 帰属が消滅 して、 多重 な地域外集 団- の帰属が可 能にな る。 また、 直接 「見 え る

「感 じる」相互 扶助の範 囲がな くな るために一次的 ・人格的な関 係が薄れて、 2次的でた とえば 「功利的な関係」 「最小限のおつ きあ

い」

「年賀状 をや り取 りす るだ け」 の よ うに部分的な人間関係が生 じて くる。 あ るいは 「名前だけの会員」 の よ うに、形式的に集 団に所属す る場合 もあろ う。 こ うした 繋 が りは 「匿名的な繋 が り」 と呼ぶ こともできよ う。 同様 に、 第3の行動規範 との繋 が りに お い て も、 同 じ地域 で共同生活を営むための規範 がな く 表2 村落的生活様式と都市的生活様式 (その2) 村落的生活様可 都市的生活様式 地域との繋が り 地域意識の存在 連続的な生活時 間 ・空間 地域意識の消滅 分断された生活時 間 ・空間 集団との繋が り 行動規範 との繋 が り 1つの地域集団 への帰属 1次的 ・人格的 繋が り 多重な地域外集団 への帰属 2次的 ・匿名的繋 が り 同質的 ・単一性 継承的 ・安定的 (普通 ・不変) 異質的 ・多様性 一時的 ・不安定 (多様 ・変化) (唐津のコミュニティ定義を参考に井原が作表) な るわけだか ら、 生活の一部 で一時的に必要 な行 動規範 に従えば、 その他は画一的 で最 小限の規範 を守 るだけで良 くな る。 た とえば、役職や地位 に 相応 しい行動 と組織 を離れた ときの行動、 あ るい は、制服を着 てい る ときの行動 と普段着 でい ると きの行動に差異が生 じていて も、それが法に触れ ない限 り決 して非常識 とは言 えな くな りつ つ あ るO コ ミュニテ ィが崩壊 し、 同一 の ものが永 く継 承 され る (普遍 ・不変 の)安定的価値 観 が 消 滅 し、異質 な ものが絶 えず 変 化 す る (多様 ・変化 の)流動的な価値観 に左右 され ると、人 々は、多 面 的な人格を演 じた り、他人に対 して無関心に な った り、 さらに内的な行動基準 を失 ってア ノ ミー 的精神状態に置かれ ることが多い。 以上 の論点を改めて整理 したの が 表2で あ る が、 ここで、 この両者 の対比を村落的生活様式 と 都市的生活様式 としたのほ、 あ くまで便宜的な も のに過 ぎない。それは、両者を区分す る原因が表1 で示 した よ うな生産 ・消費関係 の変化 と地域 内 ・ 外関係 の変化 (専業化 ・分業化に よる地域意識 の 消滅) に起 因す る と考 え られ、 それ らの相違 を倉 沢 の定義に従 って村落的生活様式 と都市的生活様 式 と表現 したか らであ る。 しか し、 その結果 とし て見 られ る表2の よ うな●●●■2つ の生活様 式 の 違 い は、村落 と都市 とい う地域格差 の問題 ではな く、●●●● 産業社会 の到来に よって生 じた時代格差 の問題 と 言 って良いだろ うOす なわち、村落的一都市的 と■●●●●● い う分け方 は、 いわば過去におけ る村落 の生活様●■●■ 式をモデル とし、それを現代社会 の都市に典型的 7

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-180 長野大学紀要 第16巻第 4号 1995 な生活様式 と比較 したに過 ぎないO (もちろん、 都市的生活様式には、 さま ざまな類型があ り81)、 地域 ・集 団 ・規範 の面か らのみ把握 で きるもので はないので、 その意味で も図2は便宜的な整理 と 言 え る。) この よ うに、 現代社会においてほ、都市 ・農村 に限 らず、社会 の全般的な都市化あ るいは都市的 生活様式の一般化が顕著にな りつつ あ る。 い うま で もな く、 「ゆたかな社会」 の実情、す なわ ち多 様 で高品質 の製品が手軽に安価に入手 で き る と か、便利 で行 き届 いたサ ー ビスが迅速に受け られ る とい った生活の内実は、 コ ミュニテ ィ内で 自己 完結的に処理 できた事柄を、市場 な どの メカニズ ムを通 じて、外部の 専 門 機 関 (ア ソシエーシ ョ ン) に委託 した見返 りにはかな らない。そ して、 この生産 ・消費関係におけ る消費-の傾斜」 あ る いは地域 内 ・外関係におけ る外部化は、個人や個 々の家庭 の生活を、村落共同体的な束縛か ら解放 したか も知れ ないが、 しか し、 それは必ず しも真 の 自立32)を意味す ることにはな らないO人 々の生 活は、社会的に もっとスケールの大 きな外部 メカ ニズムに一 層の依存す るよ うにな り、それが個人 や家族 の 「地域 ・集 団 ・規範」 か らの単独化に繋 が り、 コ ミュニテ ィの消減 を促 してい るよ うに思 え る。 この よ うに現代社会が全般的に都市化 し、 都市的生活様式が普遍化す る状況にあって、多 く の社会学者が指摘す るよ うに、 「都市におけ る コ ミュニテ ィの問題」 は極め て重要 な課題 を内包す るよ うにな りつつあ ると言 え よ う.

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行政 とコ ミュニテ ィ コ ミュニテ ィの実体概念は、 アメ リカ合衆国の 植民地当時 の開拓者集住地区の共同生活に もとめ ることがで きる88)。 「植民地時代のアメ 1)カに上 陸 し、 開拓に従事 した人 々は、外敵 ・野獣か ら家 族 ・家畜 を守 るために園地 を作 り、集任 した。 そ こは、行政 ・商業 の中心 であ る町か ら遠 く離れ、 時 々行商人 が訪れ るだけの孤立 した地域 であ る。」 そ こには互助組織があ り、 「問題が起 きれば、 園 地 の集落 の四辻にあ る教会に仕事 を終 えた夜分に 集 まって、 ロウ ソクの灯 の もとに額 を寄せ て、 同 等の資格 で、平等 の発言権 の もとに、各 々の意見 を述べて、最善 の方策を探 るタウン ・ミーテ ィン グを行 った」 と言われ る84)。 しか し、 これ らの コ ミュニテ ィも、やがて代議 員が選 出 され国家や地方 自治体 の もとに多 くを解 決す る政治 システム と納税 の見返 りに フル タイ ム の行政担 当者が公共サ ー ビスを捷供す る行政 シス テムに組み込 まれ てい く。 もちろん、 概 念 的 に は、 マ ッキーヴァ-がい うよ うに、 これ ら国家や 行政体 とい うア ソシエーシ ョンは、 「コ ミュニテ ィの器官」 ではあ るが、 「ひ とたび国家が確立 さ れ ると、国家は時には制限や抑圧 の 権 力 に よっ て、他 のすべ ての社会意志 の発現 を支 配 す る」35) こともあ るし、 「ア ソシエ ーシ Eンの一般 的方策 を決定す るものは決 して全体 ではな く、 ほ とん ど の場合、 多数者 であ る」36)ように、 こ うした ア ソ シエーシ ョンは必ず しもコ ミュニテ ィの意志 を反 映せずに、 コ ミュニテ ィの外にあ って コ ミュニテ ィの意志 と対立す ることもあ る。 よ り実態的に見 ると、現実 の生活のなか では 「ロウソクの灯 の も とに額 を寄せ て」討議す るタウン ミーテ ィングの よ うな コ ミュニテ ィの原風景はす でにほ とん ど消 滅 してお り、政治 ・行政 システムの拡大は、 コ ミ ュニテ ィの 自治能力の低下 を通 じて、 あたか もそ の中に コ ミュニテ ィを包括す る ような状況を作 り だ してい る。 ここに行政 とコ ミュニテ ィの一つの矛盾が内在 してい るO行政は国家や 自治体 とい う、広範 囲な 場所 を対象 としてい るのに対 し、 コ ミュニテ ィが 「地域」 とい う比較的狭 い場所に限定 され るとい う点 で物理的に行政 が コ ミュニテ ィを包括 して、 あたか も全体か ら部分を見 てい るよ うに コ ミュニ テ ィ行政 にあた る (行政 > コ ミュニテ ィ) の関係 が出来上 が る。 ところが、行政サ ー ビス とい う棟 能面か ら見 る と、行政 は ア ソシエーシ ョンとして しか機能 しないわけだか ら、 生活全般にわた って 全体的社会関係を もつ コ ミュニテ ィに対 しては、 部分的に しか関与 し え な い (行政 < コ ミュニテ ィ) とい う関係が成 り立つ。筆者 の参加 した研究 会 では、都民 の代表委員か ら 「金太郎飴的な行政 が どの地域 で も見 られ、地域 の特徴が 生 か せ な い」 とい う発言があ ったが、全体意志を反映す る 行政は、常に コ ミュニテ ィの外部か ら見 る た め に、画一的なサ ー ビスしか提供 で きず、それが コ ミュニテ ィか らみ ると一面的 とな ってしま うので

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(井原作図) 図2 コミュニテ ィスペース (コミュニテ ィ領域) の位置づけ あ る。 た とえば、 コ ミュニテ ィは、 図2の模式に示す よ うにパ ブ リック ・スペ ース(あ るいは公的領域) とプライベ ー ト・スペ ース (私的領域) の中間に 位置す る空 間/領域 (コ ミュニテ ィ ・スペ ース/ コ ミュニテ ィ簡域) を もってい るものであ る。 コ ミュニテ ィは、全 く見ず知 らず の人 々 と 「よ おおやけ そ行 き」 の気構 えで接す る 公 (パ ブ リック) の 場所 ではないが、 同様 に、家庭 の ように本当に身 わたし 近 な人間同士が作 る 私 (プライベー ト) の空間で もない。 いわば、慣れ親 しんだ地域に住む人 々 と 「ふだん着」 の気分 で付 き合 え るよ うな地域的な 広が りを もってい るもので、 この中間的空 間を コ ミュニテ ィスペ ース と呼ぶ ことが で き よ う. 普 た、それは、物理 的空間ばか りを指すわけではな い。た とえば、法律や規則に基づいて事務的に処 理す る世界 を公的領域 と し、愛情 (夫婦)・血縁 (親子) な どで結ばれ てい る世界を私的領域 とす ると、 コ ミュニテ ィはその両者 の中間的領域 を も ってい るものであ る。伝承 された地域 内規範 の よ うな柔 らかなルール と

○ さんだか ら」 とい う 顔見知 りの関係がつ くる相互扶助 の領域 とも言 え るもので、 この領域を コ ミュニテ ィ領域 と呼ぶ こ とがで きよ う。 こ うした点か ら見 ると、現代 の都市生活におい ては、 この中間的な空 間が消滅 しつつ あ り、人 々 は、仕事 でパ ブ リックスペ ースに出かけ るか、休 息 のために プライベー トスペ ースに閉 じ篭 る傾 向 にあ り、仕事以外の余暇時間です らレジャーや シ ョッピングとい う形 で商業主義的に ア レンジされ た 「よそ行 き」 の空間で過 ごす ことが多 く、 日常 生活の延長 としての中間的な生活空間が希薄にな りつつあ る。 そ こで、 この中間的な コ ミュニテ ィ スペ ースの再構築が必要 であ り、 「自分 の家 の延 長 として、 しか も自分 の家 でで きない ことが実現 で きる」場 を作 り上げ るよ うに しなければな らな い。 ところが、行政 はあ くまでア ソシエーシ ョンで あ るため、公的領域 か らデス クワー クとして コ ミ ュニテ ィ行政にあた ることにな り、作 られ る公的 集会施設は、公民館、 スポ- ツ施設、 図書館、福 祉施設 とい った部分的な ものにな りがちであ り、 本来 な ら老人 も子供 も利用 で きるよ うな施設 であ るべ きなのに、児童館、老人会館 の よ うに対象者 を絞 って 「囲い込む」結果にな って しまいがちで あ る。 また、 作 られ るコ ミュニテ ィ施設は、 「行 政」 とい うパ ブ リックな立場 か ら考 え られた もの であ るため、 -- ドとしての設計は、 パ ブ リック スペ ース的 でデザイ ンも堅苦 し く、 規模 を誇 るだ けの冷たい コンク リー トのかた ま りにな って しま うことが多い。運営 な どの ソフ ト面 で も、公的生 活 の領域 で考 え られ るために、寛 ぎの場所 であ る べ き施設 で 「周囲に迷惑 をかけない」規則や責任 が押 しつけ られ て 「自分 の家の延長」 とい うイ メ ージか らは程遠 い もの とな りがちであ る。利用時 間は行政側 のパ ブ リックな勤務時間内に限 られ地 域住民に とって本当に利用 したい夜間や週末は利 用 できない とか、利用手続 きや職 員の対応が事 務 的であ った りす る。 因みに、平成4年に東京都が調査 した 「公的集 会施設 の不満 な点」87)に よる と、「利用手続 きが面 倒」が最 も多 く、 (設備面 の不満 を除 くと)開館 時間に関す る不満、職 員の対応に対す る不満 の順 に続 く。何か月 も前か ら利用 申請 を出 さな くては な らない、 (施設が空 いてい るのに)利用回数や 利用時間が限定 され る、抽選 のために窓 口まで出 向かなければな らない、何事 も文書主義 で待 ち時 間が長 い、受付窓 口な どで不親切 で高圧的な態度 が見 られ る、 な どであ る。 もちろん、 この よ うな背景には、行政 の管理 ・ 教条主義、前例 を踏襲す る保守的安全主義、予算 主義 あ るいは予算消化的な運営、 隣の 自治体 でや ってい るか らとい う横並び意識 な ど官僚的組織 の 弊害か ら生 じてい るもの も含 まれ るであろ うが、 筆者が、 コ ミュニテ ィ研究会を通 じて行政担 当者 か らヒア リングした ところに よると各担 当者 はそ 9

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-182 長野大学紀要 第16巻第4号 1995 れぞれの立場 で最大限の努力をしていると言 って 良い。三鷹市の担当者は,狭 くて高い都会の土地 を有効利用 して、予算 と時間 と住民の 要 求 の 中 で、 より良い施設を作 り運営 していこ うと考 え、 開館時間 も夜間 まで延長 して利用規則 も簡素化 し たが、夜間にバ ン ド演奏が周囲に漏れて逆に苦情 処理に苦労 した、 とい う。 行政担 当者は最大限の努力をしているのに住民 に とってほ使いに くい施設や運営になってしま う のは、行政側はあ くまで 「仕事」 として 「管理 ・ 運営」にあた り、住民か ら の 要 求 は 「処理 ・調 整」す るものだか らである。 また、そ の 施 設 は 「担当す る施設」ではあ っても自ら住民 として使 うのではないため 「自分の施設には成 りえない」。 他方、住民の側か らす ると、その施設は 「作 られ た行政 の施設」 であ り、規則や手続 き方法 は 「決 め られた もの」 でしかない。施設建設や運営につ いては住民参加 の方法があるが、その場合です ら 「行政か ら預か った」施設 となってしまい、 ここ で も 「自分の施設に成 りえない」 とい う状況があ る。 これは、既述の ように、 コミュニティ施設が パ ブ 1)ック ・スペース (公的領域) とプライベー ト・スペ ース (私的領域)の中間的な空間 (ある いは領域)にあるに もかかわ らず、行政が これを 建設 し管理 ・運営 しなければな らない とい う難 し さにある。 行政の こ うした限界を端的に表現 し て い る の は、本来中間的な空間であ るはずの コ ミュニテ ィ●● 施設を行政は、 「公的集会施設」 としか位置づけ ることが出来ない とい う点である。火の不始末が あれば、 「責任」 を とらねばな らないのが行政 で ある。料金 も 「無料」 を原則 とす るのほ、「公平」 の原則があるか らである。 「中立」 の原則 も同様●● である。た とえば、 どの公的集会 施 設 に あって も、「政治 ・宗教 ・営利」に施設が利用 され ること には慎重であるが、それはその施設はあ くまで公 的な場 として位置づけているか らである。極端な 話、地域 の人 々が集 う場合で も、それが 「ク リス マス会」 と称す る場合、宗教的な意味を問 うのが 行政の本来のや り方 であ り、 リサイ クルのための 不用品バザ ーで もその販売の 目的 と利益配分の行 方 を確かめ るのが行政 の立場 である。そ して、そ の狭間に立 って、いつ も難 しい判断に悩むのは、 他な らぬ行政の最先端にいる担当者 と言え よ う。 この点を表1で整理 した、①生産 ・消費関係、 ②地域 内 ・外関係で見 ると、行政サー ビスは主に、 ① の生産 ・消費関係ではな く② の地域内 ・外関係 で表 され るとい う特徴があ る。すなわち、 コ ミュ ニティ側か ら言えば、地域 内で処理 していた事柄 を行政 とい う外部の専門機関に委託 して処理す る とい うかたちであ り、それを行政 の立場か ら見 る と、パ ブ リック ・スペース(公的領域)か らコ ミュ ニテ ィにアプローチす ることにな る。 ところが、 これが(丑の生産 ・消費関係の ように市場 を通 じて 購買す る関係でないために、上記で見た ような、 「公平

「無料

「中立」 とい った原則に繋 が って しま うのであ り、それが コ ミュニテ ィの問題解決 能力に徽妙な影響を及ぼ しているように思え る。 市場 を通 じた購買の関係な らば、受け るサー ビ スが対価に見合 うものか即座に判断できるし、必 要ない もの (あるいは高価 と思われ るもの)は止 め ることができる。 当然、市場には競争があ り、 購 買す る側か らすれば選択 の幅があるo Lか し、 行政サー ビスを受け る場合は、 「適度」 なサービ スで中止 した り、 「最適」 なサー ビスを捜す こと が難 しいだけでな く、納税者の権利意識 も手伝 っ て不必要にサー ビスを求めてい く可能性がある。 ここに行政の肥大化 とコ ミュニティの弱体化 の問 題が生 じる一因があ るのではないだろ うか。 た とえば、蓮見音彦 (1993)は、幼児の保育や 高齢者 の介護 といった生活上 の必要を公共サー ビ スに委ね るとその依存が一般化 し、 いったん保育 所な どの施設や介護サー ビスを 「利用す る形 で生 活のパ ターンを作 り上げ ると、それ らの利用を欠 いて生活を維持 してい くことは困難な もの と」 な り、 「その結果徐 々に家族 は家族機能を縮小 し、 公共サ- ビスを当然に前提す ることなしには生活 を維持 してい くことができない もの と な っ て い く

」 と述べている88)。 そ こには コ ミュニテ ィ行 政 の拡充 と、その結果生 じる公共サー ビスの肥大 化 と家庭や コ ミュニテ ィの弱体化、 とい うジ レン マが端的に表 され ている。実際の 日常生活を振 り 返 って も、道に水た ま りや穴が出来た場合、近所 の人 々が集 まって一緒になって手直 し す る よ り も、たいていの場合、電話で行政 当局に補修を依 療す る方が一般的になってい るはずである。

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この ように行政 とコ ミュニテ ィの間には困難が 課題が内包 されている。 コ ミュニテ ィの重要性が 繰 り返 し強調 されなが ら、それが形だけの掛け声 になってしまった り、選挙のための政策であった り、 ス ローガン的に とらえ られ る89)ことが多いの は、現実の問題 としてそれ と取 り組む と、矛盾が 次 々と生 じて くるか らで もある。 しか し、 コミュニテ ィの問題は、 と りわけ地方 行政に とってほ、その根幹を左右す る問題を含ん でいる。 なぜな らば、 もしコ ミュニテ ィが地域に 密着 して存在 しないな らば、 そ こには地方行政を 必要 とす る基盤がない ことにな り、地方行政は単 なる国家の従属検閲にな ってしま うか らである。 マ ヅキーヴァ-が 「あ らゆ るア ソ シ エ ー シ ョン は、 ア ソシエーシ ョンの意志に発行 し、それ よ り もより基礎的な社会意志に よって創造 され、維持 され る」40)と述べているように、 行政は厳密には コ ミュニテ ィの存在を前提にしては じめて成立す るのである。 この ように、 内的矛盾を含みなが ら、それ と真 剣に取 り組 んでいかなければな らないのが、行政 とコミュニテ ィの関係であ り、 ここに コ ミュニテ ィの問題 の重要性があるといえ ようO以上、概観 した都市化 とコミュニテ ィ、 あるいは行政 とコミ ュニテ ィの問題 の重要性を踏 まえなが ら、東京都 の具体的な取 り組みについて述べてみたい。

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東京都におけるコ ミュニテ ィ行政の 現状 コ ミュニテ ィ行政は、広義の意味では、地域住 民が安心 Lで匪適に暮 らせ る 「生活環境 の整備」 に関わ る行政 も含まれ る。それは、-た とえば、 警察 ・消防な どの治安、医療 ・保健衛生、下水 ・ 排水 ・廃棄物 の処理、住宅の供給、道路 ・交通手 段の整備、学校な どの教育棟閑の充実、体育 ・文 化振興、福祉施設 ・サ - ビスの充実、 こ うした諸 機能を含めた都市計画な ど一広範囲かつ多岐にわ た るが、 こ うしたイ ンフラス トラクチ ュア関連の 行政は、 コミュニテ ィ形成 のための前提条件であ る基礎的環境の整備を主に担当す るものであ り、 その上 で、行政は、 コ ミュニテ ィ形成を一層横極 的に支援す る仕事 を行 ってい る。それは、地域 の 活動を促進す る場や人的交流の場 を提供す ること であ り、具体的には- コ ミュニテ ィ施設の整備、 行事 ・祭 り・催 し物 の支援、人的交流を促進す る コ ミュニテ ィ活動や ネ ッ トワー ク ・情 報 網 の 支 援 ・育成、 「つなげ屋」的な役割を果たす コ ミュ ニテ ィ ・リ-ダーの養成、 「わが町」 と呼べ るよ うな町づ くりの支援-な どである。 これ らの行政 は、前者を広義 の コミュニテ ィ行政 とす ると、狭 義 の コミュニテ ィ行政 と呼ぶべ きもの で あ ろ う が、本論においてほ、 この後者 の行政を 「コ ミュ ニテ ィ行政」 として、概観 してい きたい。 東京都 では、既述 の通 り 「マイ タウン構想」 を 重要 な政策の一つ として掲げているが、 マイ タウ ン構想を実施 してい くために毎年だ さ れ て い る 「東京都総合実施計画」に よると、①多様な コ ミ ュニテ ィ活動を支援 し、豊かな地域社会を実現す る。②地域活動 の需要に対応 した コ ミュニテ ィ施 設を確保す る。③人び との参加 とふれあいに支 え られた地域社会形成のため、 コミュニテ ィを考 え たまちづ くりを推進す るな ど41)を長期 目標にかか げ、図3に示す ようTi:施策を行 ってい るo こ うした東京都の コミュニテ ィ行政 の取 り纏め を行 っているのほ、生活文化局であるが、平成6 年版 の生活文化局事業概要に よると、 「東京都は 地域の活性化を図るために、 コ ミュニテ ィ活動を よ り一層活発化す る必要があると考え、 コ ミュニ テ ィ行政 の推進において、<人材の育成> として コ ミュニテ ィ ・リ-ダーの養成、<施設の整備> として コ ミュニテ ィ ・セ ンター建設費助成、<情 報 の提供> として<ゆ りか もめ>42)の発行等各種 施策を展開 してい る43)。」 となっている. しか し、東京都は約1,200万人 の人 口を抱 える 「超」広域行政体であるため、住民の生活に直結 した具体的な コ ミュニテ ィ行政は区市町村が主体 とな らざるを得ず44)、東京都 (生活文化局)は、 ①東京都 コ ミュニテ ィ ・文化行政推進会議設置要 綱 な ど45)を根拠法令 とした企画調整事業、② コミ ュニテ ィ行政に関す る広報誌 である「ゆ りか もめ」 の発行な どを通 じた普及啓発事業、③外部の シン クタンクな どを活用 した コミュニテ ィ 関 連 の 調 査 ・研究、④市町村の建設す るコミュニテ ィ ・ス ポーツ ・レク1)エーシ ョソ施設 の建設助成 (詳細 は後述)、(参養成講座や経験交流集会 の 企 画 ・実 施を通 じた コミュニテ ィ ・1)-ダーの養成な ど46) - ll

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-184 長野大学紀要 第16巻第 4号 1995 - コミュニティ活動への支援-一都政情報センターの充実・・・---- -.・・・・情報連絡室 - コミュニティ・カレッジ構想の推進--・-・教育庁 (教育委員会) - とみん情報システムの充実・.・・・---・・・・・・・.情報連絡室 一地域情報化の推造=‥----・--・‥‥--・・情報連絡室 -ボランティア活動の推連--=---- ・--・福祉局 - コミュニティ・リーダーの養成‥=-・-・・-生活文化局 --生活文化局 - ミユニティ施設の確保

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= …;三三三二讐 冨警 霊霊完 表蒜 .生活文化局 コミュニティを考えた まちづ くり 一魅力ある商店街づ くり- - ・-.・--・・・・-・.・・労働経済局 一福祉のまちづ くりの推進-- - --福祉局 一外国人にも暮らしやすいまちづ くり-・--生活文化局国際部 一都民交流の場の充実- 亡霊霊冨覧 三三二7;三害悪富.:-.I.二 :.I1.:II◆---生活文化局‥…胡 文化局 「東京都総合実施計画 '93」(東京都資料)p.316の図に筆者が主担当部署を加えて作成 図3 東京都コミュ=テ ィ関連施策の体系 を主に行 ってい るとい うのが現状 であ る。 この うち、 生活文化局の行 ってい る企画調整事 業は、(1)知事 ・副知事 ・庁議構成局長 な どで構成 され る東京都 コ ミュニテ ィ ・文化行政推進会議 や 東京都お よび区市町村 の コ ミュニテ ィ ・文化行政 担 当課長 らが出席す る都 ・区 市 町 村 コ ミュニテ ィ ・文化行政連絡会議 の開催 を通 じて、 コ ミュニ テ ィ行政につ いて関連部署等 の意志疎通 をはか る こと、(p)職 員の意識の高揚 と啓発 を図 るため、学 識経験者等 の参加 を得 て、文化行政 シンポジウム を開催す ること、(・l)コ ミュニテ ィ問題研究会を通 じて コ ミュニテ ィ行政 のあ り方 な どを検討す るこ とであ る。因みに筆者が参加 したのが この コ ミュ ニテ ィ問題研究会 である。 以上が東京都におけ る コ ミュニテ ィ行政 の概観 であ るが、 この うち、都民 の生活に直結す るもの として市町村が建設す る コ ミュニテ ィ ・スポー ツ レク 1)エ ーシ ョン施設 の建設費助成があげ られ る ので、 これについて、やや詳 し く概況を述べてみ たい。 また、 コ ミュニテ ィ問題研究会 で もたびた び取 り上げ られた、情報化 ・高齢化 ・国際化な ど に対す る行政 の対応 な どについて、 その内容 と課 題 を要約 して整理 してみたい。 1) コ ミュニテ ィ施設の建設費補助 東京都 は、 -- ドの行政施策 として、 コ ミュニ テ ィの形成 ・発展 を支援 してい くために、 「コ ミ ュニテ ィ形成 の中核 とな るとともに、地域住民が 行 う各種 の コ ミュニテ ィ活動 の拠点 とな る」施設 を コ ミュニテ ィ施設 と定義 し、 それを さらに コ ミ ュニテ ィ主施設 (コ ミュニテ ィ ・セ ンター、公会 堂、 公民館 な ど多 目的 コ ミュニテ ィ施設)、 コ ミ ュニテ ィ併設施設 (コ ミュニテ ィ主施設に消費 セ ンター、 図書館 な ど単一 目的 コ ミュニテ ィ施設 を 併設 した施設)及びスポーツ ・レク リエーシ ョン 施設 (体育館、 プールな ど) に分けて、市町村が こ うした施設 を建設す る際にその建設費 の一部を 補助 してきた47)。その結果、 その補助実績は、制 度が発足 した昭和56年度以来、対象件数 で 712ヶ 所、補助金 の累積総額 で約124億5千万 円に達 し てお り、市町村に よって多少 のバ ラツキはあ るも のの、全体 としてほ、昭和57年に一応 の基準 とし た1中学校区に3ヶ所 の コ ミュニテ ィ施設 を建設 す るとい う当初の 目標 に近づ きつつ ある。 しか し、 中身をみ ると十分 とは言 いがたい現状 が明 らかに な って くる。 まず、現在の 「1中学校 区に3ヶ所 の公的集会施設 の設置」 とい う設置基 準が必ず しも適 当でない ことは明 らかにな りつつ ある。 「1中学校区に3ヶ所 の公的集会施設 の設 置」 とい う設置基準は、 1中学校区に2- 3の小 学校区を合わせ てい ることを考 えれば、 1小学校 区に少 な くとも1つの公的集会施設が必要 とい う 基準48)に読み変 え られ る。 ところが、現在 では、 学齢人 口の急激 な減少や都心 の ドーナ ッツ化現象 に よって小学校 の統廃合が進 んでお り、 「歩 いて

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いけ る地域密着型」 の施設 とい う観点か らも、 こ れ までの基準 の見直 しが必要 とな っ て い る。 ま た、東京都は、各地 で再開発や道路 の整備が進 ん でお り、大 きな ビルや道路が生活地域 (コミュニ テ ィの範囲) を変 えてお り、 旧来 の中学校 区に よ る基準 のままでは、実態に即 した コ ミュニテ ィ施 設 の設置や適切な配置が行われな い 可 能 性 が あ る49)

また、対象 とな る施設 の定義や制度 の運用につ いて も、 さまざまな問題が指摘 で きる。東京都 で は、 これ まで もコ ミュニテ ィ施設及び スポ-ツレ ク リエ ーシ ョン施設建設費補助要綱に基づ きなが らこれを弾力的に運用 してきたOた とえば、 コ ミ ュニテ ィ主施設は、要綱 ではおおむね 330平方 メ ー トル とされ ているが、土地価格 の高騰や用地確 保 の難 しさを考慮 して、 330平方 メー トル以下 で も認めて きた し、補助対象 となる 「建設」 につ い て も、新築 だけではな く、増築、改築、 改修、 ま たは買収 も対象 としてきた。 しか し、最近 は対象施設 の範 囲が拡 大 し て お り、 今後は さらに柔軟 で弾力的な運用 が 望 ま れ る。 た とえば、住民 の コ ミュニテ ィ施設 に対す る ニーズが多様化 してお り、 (これ まで コ ミュニテ ィ施設 として認め られ て い な か った) ギ ャラ リ ー、博物館 な ど新 しい種煩 の施設に対す る建設要 望があ る。 また、複合施設 の増加に より、 コ ミュ ニテ ィ施設 の範囲の確定 (線引 き)が困難にな っ てきてお り、女性 セ ンターな どコ ミュニテ ィ併施 設の拡大要望 もあ るo Lたが って、現 在 の よ う に、併設施設 の一部を コ ミュニテ ィ施設 とす るの ではな く、融合施設その ものを補助対象 としてい く必要があ る。 さ らに、 どの ような施設 を コ ミュニテ ィ施設 と す るかに関 して、国や他府県 と比較す ると、東京 都 の認めていない施設を他府県が コ ミュニテ ィ施 設 としてい る例 もある。 (添付 の東京都生活文化 局作成 の資料 を参照方)た とえば、東京都 では交 通関係施設 とされ てい る歩行者 専 用 道 路 (線歩 追) もベ ンチや休憩所 の設置で コ ミュニテ ィの憩 いの場 とす ることもできるし、文化施設 とな って いる郷土資料館、保健施設 である健康 セ ンター、 社会福祉施設 である老人 ホーム、 な どもコ ミュニ テ ィ施設 として位置づけ ることがで きると思われ る。 次 に、制度が発足 した昭和56年度以来、補助額 は一件 あた り5千万 円を超 えない もの とな ってお り、 その限度額が据 え置かれ てい る。 しか し、 こ の間、地価、建設費等が大幅に値上が り し て お り、市長会、町村会長等か らは限度額 の増額要望 が出 され てい る50)0 2)情報化への対応 と情報 システム 「とみ んず」 第2期 コ ミュニテ ィ問題研究会 では、 「コ ミュ ニテ ィと情報」 とい うテーマの もとに コ ミュニテ ィ行政に関す る情報化の現状 と課題につ いて検討 し、①情報 の果たす役割が コ ミュニテ ィ ・アイデ ンテ ィテ ィ (地域 についての共通 のイ メ-ジ、価 値観、居 住者同士 の コンセ ンサ スな ど) の形成 の ために大 きい こと、② 住民 の ニーズの把握 や行政 の情報提供 な どコ ミュニテ ィの形成 ・発展 に、 印 刷 ・電波 ・施設媒体等 の コ ミュニテ ィ ・メデ ィア が、大 きな役割を担 ってい ること、(9コ ミュニテ ィ情報 (生活に必要 な事柄 の大半 を地域 内で充足 す るための情報) は生活 を豊かにす るばか りでな く、地域 に共通す る事柄へ の関心を高め、人 々の 接触 の機会を増大 させ て、 パ ー ソナル ・ネ ッ トワ ーキ ングを拡充 しなが らコ ミュニテ ィの形成 ・発 展に貢献す ること等が主張 された。 そ こで、 コ ミュニテ ィ情報が豊富に ス トックさ れ、居住者が必要な情報 を容易に取得 で きるよ う な システ ムの構築が必要 であ り、①行政側 の コ ミ ュニテ ィ関連情報や生活な どに必要 な コ ミュニテ ィ情報 を加 えた コ ミュニテ ィ ・データベ ースを構 築 して コ ミュニテ ィ施設 な どに設置す ること、② 自治体、民間媒体、住民 のそれぞれにス トックさ れ てい る情報を必要に応 じて取得 し うる よ うに、 諸媒体 のネ ッ トワー ク化を推進す ること、③ コ ミ ュニテ ィ施設には居住者や コ ミュニテ ィ ・リーダ ーに適時適切 な助言を行い、 また、行政機関に も 照会 ・連絡 を行 え る コ ミュニテ ィ ・ア ドバイザ ー が置かれ ていること、④ コ ミュニテ ィ ・1 )-ダ-の育成 な どのため コ ミュニテ ィ研究 セ ンターを設 置す ること、 が具体的に提言 された。 こ うした提言を受けて、東京都 では 「都庁舎 の 中央 コンピュータと都庁LANや専用 回線 を通 じ てネ ッ トワー クされた情報端末を利用 して、都民 や職員が必要 な情報 を気軽に迅速に、検索す るこ - 13

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-186 長野大学紀要 第16巻第4号 1995 とができる情報提供 システムである」51)と衣 ん 情 報 システム (愛称 「とみんず」)を構築 している。 ところが、 これを、 コミュニテ ィの観点か ら見 直す と、必ず しも①必要な情報を②気軽に③迅速 に検索 できるとい う、 システム構築 の主 旨通 りに は出来ていないのが実情である。 まず、 「必要 な情報」 とい う点では、現在提供 してい る情報が施設 ガイ ド、催 し物 ・講座情報な ど公共情報が中心 で、それ も内容のあ ま り な い 「案内情報」 であるため、利用者に とっては 「知 りたい情報がない」のが実情 である。本来の コ ミ ュニテ ィ情報は、地域に密着 した生活関連情報 で あ り、 どこの歯医者が評判が良い といった 「有色 情報」 であることを考慮す ると、「とみんず」 が、 区市町村 レベルのさらに小 さな地域 ごとの コンピ ュータ ・ネ ッ トワー クと連結 され てい くことが望 ましいが、現状 では区市町村 レベルの コンピュー タ ・ネ ッ トワー クとの接続は行われていない5宅). た とえば、板橋区では区独 自で

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「ヒューネ ッ トいたば し」 とい うコンピュータ ・ネ ッ トワー クを平成3年 より開局 し、公衆端末が区役所、 出 張所、 コミュニテ ィ施設な ど

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ヶ所に設置 され て いる他、区民に通信機器を無料 で貸 し出す モニタ ー制度や 自宅の コンピュータか らも電話回線を通 じて24時間ア クセス可能なシステム作 りを行 って いる.生涯学習情報、区刊行物 ガイ ド、 ニュース 速報、地域 ・レジャー情報、健康 ・医療情報 な ど のデータベースもあ り、 現在、 1,200人 のユーザ ー会員がいて1か月あた り6,000件の利用がある と言われている58). しか し、 こ うした区市町村 レベルの コンピュー タ ・ネ ッ トワークと東京都のネ ッ トワークである 「とみんず」 は接続 され てお らず、現実に知 りた い 「身近な情報」 を得 ることは難 しいのが現状 で あ る。 第2に、 「気軽に」 とい う点か ら見 ると、 まず は端末の数が絶対的に少ない ことが 「とみんず」 を気軽に利用す る上 で支障になっているO現在約 150台の端末が稼働中であるが、 その内、 都庁外 にある端末はわずか70台程度で東京都 の人 口に鑑 みて極めて不十分な状態であるO加 えて、その多 くが出張所な どの施設内にあ り、気軽に使える町 中の端末 としては、 「とみんず」広場 として新宿 駅構内に見 られ る程度である。 また、 コンピュー タ ・ア レルギーを排除 して 「とみんず」 を気軽に 利用 してもらうために も、 システムの操作上の説 明を した り、 システムで検索 した 「案内情報」に 追加的な意味づけをす ることのできる相談員を配 置す ることが望 ましいが、そ うした配慮はなされ ていない. さらに、板橋 区の

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「ヒューネ ッ ト いたは し」 の場合 では一般 の家庭 の コンピュータ か らも電話回線を通 じてア クセス可能であるが、 「とみんず」 の場合は、設置 された専用端末か ら しか利用で きない状態であ り、 こ うした システム 上 の問題 もア クセス ・ポイ ン トの制約につなが っ ている54)O 第3に, 「迅速に」 とい う点か ら見 ると、現在 のシステムは、 メニュー方式 であるため、大項 目 か ら小項 目へ順次 ファイルを開いていかなければ な らず、 目的の情報に到達す るまでに数多 くの操 作を繰 り返す必要があ り、必ず しも迅速な検索が できない状態にある。単刀直入に 「この情報が欲 しい」 とい う要求に対 して迅速に対応できるよう な ソフ トの開発が必要 であ り、現在の 「タッチパ ネル」方式以外に音声対応やペ ソ入力な ど新 しい 技術の導入 も積極的に検討 され るべ きであろ う。 さらに、 「とみんず」 は、行政 の用意 したデータ ベースを検索 して引 き出すだけのシステムである ので、電子掲示板や電子会議室-の自由な書 き込 みができないため、利用者相互 の自由な情報交換 が行えない現状 である55)0 3)国際化への対応 東京都では、在京外国人、海外諸都市、都民 と い う対象別に、 「外国人 も暮 らしやすいまちづ く り」、「世界に貢献す る東京づ くり」、「都民の国際 性を育む環境づ くり」 の3つの分野を設定 して体 系化を図 っている。 た とえば、「外国人 も暮 らしやすいまちづ くり」 においては

「iマーク窓 口」 の設置や

CATV

な どに よる情報提供、 ローマ字併記や絵表示サイ ン に よるまちの表示 の改善、外国人相談窓 口のネ ッ トワーク化な どが推進 され てお り、 「世界に貢献 す る東京づ くり」においては、姉妹 ・友好都市 と の交流拡充、世界大都市サ ミッ トな ど国際会議の 企画や参加 な どが推進 され ている

「都民の国際 性を育む環境づ くり」においては、市民交流の促

参照

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