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幼児の文の理解における行為と意味の関係について

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(1)Title. 幼児の文の理解における行為と意味の関係について. Author(s). 奥野, 正義. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 29(1): 79-89. Issue Date. 1978-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4768. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 幼児の女の 理解における行為と意味の関係について. 奥. 野. 正. 義. 日常場面での話の理解は, 言語的およ び, 非言語的な手がかりの組みあわせによっ て達成される. 特に, 幼児の場合, 話の理解は, ことば以外の具体的場面の手 がかりに依存していることが多い,. 日常場面において, まだしっ かり, ことばを文法的に 理解していない幼児でさえ表面的には, すべ ての話を理解しているかのように行動する, これは, 日常場面そのものが, 幼児にとっ て, 話の内 容と一致した情報を常に提供しているからと考えられる.. 初期の言語発達において, 重要な転換の一つは, このよう なことばの状況的な把握から, ことば の意味だけにもとづく文脈的な把握への移行である. 幼児が, 本当に言語的教示 (「文」 によっ て与 えられる) を理解しているかどうかは, 言語的教示が, 具体的状況とは対立するよう な課題を与え る こ と に よ っ て 明 ら か に なる と 考 え ら れ る.. この種類の研究は,「言語的教示にしたがう能力の発達」 というテーマでなされてきた. 発達段階. の 低 い も の か ら 順 に ま とめ て お こ う.. i R 1956 Lu ( )は, 幼児が, 他者から与えられる言語的教示によっ て, 自分の行動を どの程度正 r a , ,A. i l on)」 の 問 題 を 扱 っ て い る. 確に調整できるかという 「言語調整 ( at anguageregul Lu i 「 4才頃の幼児に 玩具の魚を呈示し r aは,1-1 . , 魚をとっ て ごらん.」 と教示した. この場合 ,. には, 幼児に指示どおりの行為をさせることは容易 である. しかし, 次に, 玩具の魚を幼児から遠 ざけ, もっ と色彩のあ ざやかな子どもの目をひくネコの玩具を, 幼児と魚との間において, 前と同 じ言語教示「魚をとっ てごらん.」 をしてみる. すると, 幼児は, はじめ魚の方へひきつけられるが, 途中で方向を変え, ネコをつかんでしまうのである, 1 , 2才の幼児の言語理解は, 外的や非言語的 環境条件によっ て大きく影響され, 言語的刺激の効果は, 非言語的刺激によっ て妨げられる. ia は, 3才 の幼 児に, 「赤 い 光 がつ い た ら, ボタ ン を押 し, 青 い 光 が つ い た ら 決 し て ボ タ 次に Lur. ンを押してはならない.」 という言語教示を与えた. さらに, テスト前に, この教示の意味が幼児に 充分理解されていることを確認し, この教示を反復暗詞させた. それにもかかわらず, 結果におい. て, 幼 児の反応は, 赤い光ばかり でなく, 青い光に対してもボタンを押してしまっ たの である. このように, 反応制止のための言語教示が反応を制止せず, かえっ て反 応を喚起してしてしまう i 現象を Lur aは,言語の「衝動的性質」と呼んだ.この選択反応が適切に遂行されるようになるのは,. i 4 a は 示 して い る. , 5 才 に な っ て か ら であ る こ と を Lur. i Lu r aが扱っ たのは, 言語による行為の調整がほとん どできない段階であった. 天野 (1968)は, 言語教示にしたがっ て行為の調整は できるが, 外的な言語外の環境条件に影響されやすい段階につ. いて3 ,4 , 5才の幼児を対象として, 次のような実験を行なっ た. 幼児の前に, 袋と箱がおかれて いる. 課題は実験者の言語教示にしたがって, 箱を袋の中に入れるか, 又は, 袋を箱の中に入れる かである. 言語教示 「箱を袋の中に入れて下さい.」 に対して, 外的な言語外の環境条件である袋と 箱の状態には, 次の3種類がある.. .. 79.

(3) . 奥. 野. 正. 義. (i) 中立状況:2つに折っ た袋のとなりにふたをした箱をおく。このように,袋も箱も口を閉じ た状態 では, いずれか一方が入れられるという示唆は, 視覚的には与えられない, この状況は, 言 語教示が最も純粋な形で作用する状況と考えられる, i) 対立状況:ふたをとっ た箱のとなりに小さくまるめた袋をおく. この場合, 袋を箱の中に (i 入れるという行為が, 状況から示唆され, 促がされると考えられる. そこ で, 知覚的状況と言語教. 示とを, 行為について逆の方向に作用させるために,「箱を袋の中に入れて下さい.」と教示すれば, 対立状況がつくられる. i i) (i. 一致状況:ふたをした箱のとなりに, 口が大きくあいた袋をおく. 袋の中に箱を入れると. いう行為 が知覚的状況から示唆され, 促がされる. 「箱を袋の中に入れて下さい.」 という教示を与 えるなら, 目前の状況から促がされる行為と言語教示によっ て指示される行為とは完全に一致し, 袋の中に箱を入れる行為は生起しやすくなると考えられる. 天 野は, こ れ ら 3種類の状況を どの被験児についても中立状況→対立状況→ 一致状況の順で与え. た, これらの課題に対する反応の様式にしたがっ て, 3 つの発達段階が設け られた. 段階1 「を」「に」 の意味が識別 できない段階. 「を」「に」 の意味の識別は できるが, その意味と対立している場合は, 状況にひきずら れてしまう段階 段階1 1. 1 段階1 1 どんな状況でも, 「を」 「に」 の言語的 (文法的) 意味にしたがう段階 結果は,3才 児で段階工が80%, 段階口が20%で大部分の幼児が「を」 と「に」 の識別ができなっ. た.4 才 児 では, 段 階 工 が37%, 段 階1 1が 26%, 段 階1 1 1が 37% で あ っ た.5 才 児 では, 段 階 工 が14%,. エが38%, 段階1 段階エ 1 1が4 8% であっ て, 5才 児でも, まだ状況にひきずられてしまうものが半数以. 上を占めている. 天野は, ことばの理解が知覚的状況によ っ て大きく影響されることを示した. こ の段階では, 課 題として与えられる文の意味のとおり に行為すれば, 正しい反応となる. そこ で, 次の段階として, 言語的教示にしたがうために, 教示文の意味内容と知覚的状況を協応させる操作を行う段階が予想 さ れる.. Bever ,T.G. は こ の 点 に 関 し て, 一 つ の仮 説 を提 出 して いる. す な わ ち, 文 の 主 語 - 述 語 - 目 的 語. を, 行為における行為者一被行為者に対応させて, 文の意味は理解される. 行為する者 (行為者) が, ある者 (被行為者) に対して, 何かをする (行為) ということが, 文として主語-述語-目的 語の順に表現されると, その文は理解されやすい, 反対に, それが, 目的語-述語-主語の順に表 現されると, 文は理解されにくい. この点を検討することが, 本論の目的 である, 実. 目. 験. 1. 的. ( 1 )比較級を含む文において, 発達差があるか どうかを調べる,. ( 2 )教示文において, 主語が行為者と一致する場合と, 目的語が行為者と一致する場合と では, 理 解に差があるか どうかを調べる. 3 ( )形 容 詞 〈大 き い〉 - 〈小さ い〉 に よ っ て, 教 示 文 の 理 解 に 差 が あ る か どう か を 調 べ る.. 方. 法. 被験児:都下立川市T幼稚園の4 ,5 , 6才 児男女各8名ずつ, 計48名 80.

(4) . 幼児の文の理解における行為と意味の関係について. 実験材料:たて9cm X横 12,5cm の 白 い 紙 カ ー ドに 半 径 1.5cm の 円 が描 か れ て い る. 円 の 色 は 赤と黒の 二通り である. 幼児に与える色鉛筆も二通りの赤と黒がある, たとえば, 幼 児が赤鉛筆を. もっている時は, 黒色の円の描かれたカー ドが与えられ, 黒鉛筆をもっ ている時は, 赤色の円が描 かれたカー ドが与えられる. 1) 教示文の型: 二通りある. (1)教示文の主語が, 幼児の円を描く行為と一致している場合, (1 ′となっている場合で その反対に 一致しない場合. すなわち, 教示文の目的語が幼児の円を描く行為 l ある. 用いられた教示文は Tab elに示してある.〔a〕 , 〔b〕 の相違は, 使用されている形容詞が 〈大きい> か く小さい〉 かである. 各被験児は, 8ヶの教示文をラン ダムに与えられた. Tab l el. 教示 文の型. ロ) 幼児が黒鉛筆をもつ場合. イ) 幼児が赤鉛筆をもつ場合 1- a. 赤 い丸は黒い丸より大きい. 1- a. 黒い丸は赤い丸より大きい 黒い丸は赤い丸より小さい. 1-b. 赤い丸は黒い丸より小さ い. 1-b. 1 1-a. 黒い丸は赤い丸より大きい. 1 1- a. 赤い丸は黒い丸より大きい. 1 1-b. 黒い丸は赤い丸よ り小さい. 1 1-b. 赤い丸は黒い丸より小さい. 課題は, す でにカー ドに描かれている黒色の丸 (又は赤色の丸) に対して, 実験者によっ て読ま れる教示文にあうように, 自分のもっ ている色鉛筆で (カー ドが黒色の丸のときは赤鉛筆で, カー. ドが赤色の丸のときは黒鉛筆) , カー ドの丸よりも大きく, 又は小さく描くことである, 実験手続き:幼稚園の一室を借り, 個別的に行なわれた, 被験児は, まず名前, 年令などをたず. ねられたのち, 幼児の前にカー ドが配られ, 又, カー ドの円の色とは異なる色鉛筆が与えられた. 指示が次のとおりに与えられた,. 「これから丸を描くお遊びをします. 私が赤い丸や黒い丸についてお話をしますから, あなたの もっている色鉛筆で, カー ドの上に, 私の言うとおりに丸を描いて下さい, 私のお話をよく聞いて,. わかっ たらすく に 描 い て 下 さ い.」 本テストの前に, 練習問題を2題与えて, 指示の理解を徹底させた. 各反応後, 被験児に, 今, 自分が描いたカー ドについて, 赤い丸と黒い丸との関係を述べさせた. 実験者は, 被験児の反応に対し, 常に中立的であり, 是認も否認も与えなかっ た, ストッ プウォッ チで各反応潜時が測定された. すなわち, 実験者が教示文を読み終っ た時から, 被験児がカー ドの 上に鉛筆を置く までの時間が測定された, 教示文は, 原則として,1回だけゆっくりと実験者によっ て読まれた, 幼児を観察していて, 明ら かに聞き落しと判断された場合にの み, もう一度繰りかえして読まれた. この場合の反応時間は, 結果の処理の際, 除外される. Tab l e2. 文型につ いての年令別 の正反応率(%). 1ーa. 1-b. 1 1一 a. 1 1- b. 4才. 72. 91. 38. 31. 5才. 88. 94. 44. 47. 6才. 94. 97. 75. 69. 81.

(5) . 奥. 野. 正. 義. △\\ \、\△ 6才. 」 ′ /X5才. 1-a. l-b. l l- b. l 1一 a. 文型. Fi g .1 文型についての年齢別 の正 反応率. 結. 果. l i 各文型についての正反応率を Tab e2と F g .1に示す. 4才→5才→6才と年令が高くなるにつ れて正反応率は高くなっ ている.いずれの年令においても, 成績が良いのは文型〔1-a〕 , ロ ーb〕 1〕 の間に大きな差があるので, 1-a〕 1-b〕 であった. また文型 〔1〕-〔1 で, 悪いのは 〔1 , 〔1. こ れに つ い て ま と め た の が Fig .2 で あ る.. 1 00. 正反 応 率 %. 50. X 0. 5才 4才. (文型). Fi g .2 被実験者 の描く円 が, 教示文の主語と一 致する場合 (1) 1)の正反 応率 と一 致しない場合 (工. 82.

(6) . 幼児の文の理解における行為と意味の関係について igned ‐ l coxon s 1〕 よ り も 正 反 応率 が高 か っ た. Wi す べ て の 年 令 に お い て, 文 型 〔1〕 の 方 が 〔工. 1〕 の差は, 4 文型 〔工〕 と 〔1 , 6才のすべての年令において1%水準 で有 ,5 意であった,すなわち,幼 児の円を描く行為が教示の主語と一致している場合の方が, そう でない場 合よりも理解されやすいことを示している.たとえば,幼 児が赤 鉛筆を持っ ていて, 教示文〔エーa〕 「赤い丸は, 黒い丸より, 大きい」 が与えられたとする. この時, 幼児の持つ鉛筆の色 (赤) と教 示文の主語となっ ている丸の色 (赤) が一致している, 幼児は, 教示文の主語にしたがっ て赤い丸 1‐a〕「黒い丸は」 「赤い丸より大きい」 が与え を描く行為をすればよい. それに対し, 教示文 〔1 られた場合, 幼 児の持つ鉛筆の色 (赤) は, 教示文の主語ではなく, 目的語と一致している. 結果 1-b〕 は 〔エーb〕 よりも, 理解されにくく, 1-a〕 は 〔1一a〕 よりも, 〔1 の示すとおり, 〔1 したがっ て, 行為をすることも困難になっている.. tによれば, ranksTe s. 正 反 応率. 才 X ′ ′ -X 5 O ー 一 4 オ ′ ←′. %. 大きい. 小さい. Fi g ,3 形容詞別にみた正反応率 次に, 形 容 詞 に よ る 違 い に つ い て 調 べ た の が Fig .3 であ る.形容 詞 に お い て も, 年 令 が 上 がる に つ. れて正反応率は高く なっ ている. 形容詞の差については,4才 でのみ形容詞 〈小さい〉 の方が〈大き l tで2. 5%水準 で有意) い〉 よ り も正 反 応 率 が 高く(Wi coxonsigned‐ranks Te s ,5 ,6才 では差を検 定 でき な か っ た,. l 次に, 反応 潜 時 に つ い て 調 べ た の が, Tab e3 と Fig .4 であ る. 反 応 潜 時 は, 正 反応 に つ い て の み. 処理を行なっ た. 各文型ごとの反応潜時をみると, 文型〔エーb〕 の教示にしたがう場合が一番短かい. すなわち, 行為者が教示文の主語と一致していて, かつ, 形容詞として く小さい〉 を用いた教示文に対する反 応潜時が一番短かい, 又, 平均値でみると,4才が一番短か・ 次に 6才, そ して 5 才 が 一 番長 い. i 1〕 とに分けて, F これを, 教示文の主語が行為者と一致する場合 〔1〕 と一致しない場合 〔工 g .5 一致しない場合の方が に示す, 平均値では, いずれの年令においても, 教示文の主語が行為者と , 一致している場合よりも反応潜時は長い, しかし, し ずれの場合においても統計的な有意な差はみ ら れ な か っ た.. 83.

(7) . 奥 野 正 義. Tab . e3. 文 型に ついての年令別の反応潜時(秒). 1ーa. 1 -b. 1 1一 a. 4才. 5.14. 4.75. 5.22. 6.48. 5才. 4.20. 8.01. 6才. 6.44 5.24. 9.29. 4.42. 6.49. 9.00. 1-a. l-b. l l- a. l l- b. 1 1- b. 反. Fig .4 文型についての年齢別の 反応潜時. o l ×. 6才. 反 応潜 時. (秒). 5才. 4. 1 1. (文型). Fi g .5 被実験 の描く 円 が, 教示文の主語と 一致する場合 (1) と一致 しない場 合(n) の 反応潜時. 84.

(8) . 幼児の文の理解における行為と意味の関係について. 考. 察. 目的で述べた順番に考察する. 本実験 で用いられた課題の文は,日本語における比較を示す最も基本な構造 をもつものであっ た,. すなわち, A > B と いう 2つのものの比較を, 文として表現するためには, 少なくとも, 主語, 目 的語, 形容詞の3つの要素が必要 である,「Aが大きい」 という表現は, 潜在的に比較を意味するも. のと考えられるが, 比較の意味を明示するために は,2つ以上のものの関係を問題としたほう がよい と考えられる, このような, 比較の意味を含めた文の理解は, 普通の状況では, ほぼ理解されていると考えてよ い だ ろう. す べ て の 年 令 に お い て, 文 型 〔1 - b〕 の 理 解 は, 90% を 越 え て い る. しか し, こ の 年. 令段階においては, まだ, ことば以外の状況的な情報に依存していることは, 文型 〔1〕 と 〔1 1〕 の間にかなり差があることからも明らかである.. l 文型 〔1 1〕 の間で正反応率, 反応潜時ともに差があっ たのは, Hu t t 68a) の結果と en o ch r (19 e 一致する. 彼女は, 文型 〔1 1〕 が文型 〔1〕 よりもその理解が困難なことについて, 与えられた知. 覚状況に教示文の意味があうように, 目的語と主語をいれかえるという文の変換が行なわれる段階 が存在するためと解釈している. 本実験についていえば, 被験児に赤い鉛筆を持たせて円を描く行. 為をさせ, 目的語と一致している文型 〔工〕「黒い丸は 赤い丸よりも大きい」 が与えられると, 被 験児が教示文にしたがうためには,「赤い丸は 黒い丸より 小さい」 と変換してから, 行為を遂行 しなければならない. このような変換操作が介入するために, 文型 〔1 1〕 は課題として困難になっ たと考えられる. 教示文に用いられた形容詞 〈大きい〉〈小さい〉 については, 正反応率をみると, 5才 児と6才児 では理解に差がなかった, しかし, 4才児では, 形容詞 〈小さい〉 の方が 〈大きい〉 よりも, 正反応. 率が高く, 〈小さい〉 が理解されやすいことを示した. Dona l ds 1 970 ( )は, 無標性の形容詞が, 有標性の形容詞よりも発達的に早く獲得されることを明 on. らかにした. 本研究の場合, 形容詞 〈大きい〉 が無標性 であり, 〈小さい〉 が有標性 であるの で, Dona l ds 1 97 0 ( )の結果とは一致しない, これは, 材料として用いられた円の大きさと関係があるか on もしれない. 幼児にとっ て, 半径1. 5cm の円は大きすぎたため, それよりも 〈大きい〉 円を描く行 為が困難になっ たと考えられる. また, このような比較語の意味の獲得についての研究は少ないの で, 無標性-有標性という次元 で考えるためには, さらに, 他の比較をあらわすこと ば, たとえば, 〈多 い 一 少 な い〉 , 〈高 い - 低 い〉 に つ い て調 べ る 必 要 が あ る と 思われる, 実. 目. 験. 1 1. 的. 実験1において, 主語と行為者の一致している教示文 にしたがう方が, 目的語と行為者が一致し ている教示文にしたがうよりもやさしいことが示された, 実験工で用いられた教示文は, たとえば, 「赤い丸は. 黒い丸よりも. 大きい」 のようなものであっ た, 日本語において, 主語であることを 示すのは, 「は」 又は 「が」 という 格助詞である. したがっ て, 「黒い丸より 赤い丸は 大きい」. のような主語と目的語の順序をいれかえた教示文は可能 である, 英語においては, 主語であること を決定するのは語順 であり (Beve 970 i l r ,1 ,McNe ,1970) , 日本語の場合のように主語と目的語の順. 序をいれかえることはできない, 主語と目的語の順序をいれかえた場合の文の理解を検討するのが, 実験1 1の目的である,. 85.

(9) . 奥. 野. 正. 義. 方. 法 被験児:都内港区M幼稚園の4, 5, 6才 児. 各年令とも男女8 人ずつ, 計48人, 材 料:実験1と同 じ. 手続き:実験1と 同じ.. 教示文の型:実験1とくらべて, 主語と目的語の位置がいれかわる. たとえば,「赤い丸は 丸より 大きい」 は, 「黒い丸より 赤い丸は 大きい」 となる. l ) (Tab e4. l Tab e4. 教示文の 型 ロ) 幼児が黒鉛筆をもっとき. 児が赤鉛筆をもっとき イ) 幼児が赤鉛筆をもっと. m-a 赤い丸より黒い丸は大きい m-b 赤い丸より黒い丸は小さい r-a 黒い丸より赤い丸は大きい N r-b 黒い丸より赤い丸は小さい N. m-a 黒い丸より赤い丸は大きい 1 1 1-b 黒い丸より赤い丸は小さい W-a 赤い丸より黒い丸は大きい W-b 赤い丸より黒い丸は小さい. Tab - e5. 文型についての年令別の反 応率(%) N-b. 1 貫一 a. m-b. ~一a. 4才. 93. 86. 77. 75. 5才. 97. 91. 69. 84. 6才. 97. 94. 88. 94. 100. X - O\℃ 、. △ 6才. △. ×\. △. × 5才. 正 反応. 0. 4才. 率. (%). 50. m -a. m-b. v-a l. w-b. Fig .6 文型について の年齢別 の正反応率. 86. (文 型). 黒い.

(10) . 幼児の文の理解における行為と意 味の関係について. △. 正反. . 応 率 %. (文型) Fi 1) g ,7 被実験者の描く 円 が, 教示文 の 主語と一致する場合 (1 と一致 しない場合 (W)の正反応率. 結果と考察 l i 各文型についての正 反応率を Tab e5と F g .6 に示す. 文型間, 年令間ともにほとんど差がない.. しかも正反応率は, ほとんどの文型で75%を越えている. これは, これらの型の教示文が, 幼児に とって, 理解しやすく, そして教示にしたがっ た行為をとりやすかったことを示している.. i 幼児の描く円(行為者) が, 教示文の主語と一致する場合と一致しない場合に分けたのが, F g .7. であ る.. Wi l igned‐ tに よ れ ば, 文 型 〔m〕 と〔W〕 と の 差 は, 4, 5才 で2.5% 水 準 で 有 意 で coxons ranks Tes. あった, つまり幼児の円を描く行為が教示文の主語と一致している場合 〔 1 1 1 〕 の方が, 一致 してい ない場合〔N〕よりも理解しやすいことを示している,これは, 実験1で得られた結果と同じである, ところで, 実験1 工で用いられた文型 〔ロ ー 〕 1〕 よりも正反応率は , 〔W〕 は実験1の文型 〔工〕 , 〔1 J 高かっ た. 特に, 幼児の描く行為が, 教示文の主語と一致していな い文型 〔1 1〕 と 〔 w l 〕 を比較す. ると, 4才児の文型 〔1 1〕 での正反応率は, 3 5%であるのに対し, 文型 〔W〕 では7 6% であっ た. 文型 〔1 1〕 では, 「赤い丸は 黒い丸より 大きい」 というように, 主語と述語の間に目的語が入る ため, 記憶に負担を与え, 直接的ではないの で理解されにくかっ たと考えられる, l igned 次に, 形容詞による違いを検討したの がF t に よ れ ば, i coxons ‐ ranks Tes g .8 であ る. Wi. 5才児でのみ形容詞 〈小さい〉 の方が, 〈大きい〉 よりも正反応率が1%水準 で有意に高かっ た.. l 反 応 潜 時 に つ い て ま と め た の が, Tab e 6, Fig .9 であ る. こ れか ら わ か るよ う に, 文 型 〔m - b〕. かつ年令差もほとんどない. これは, 被験児の描く行為が教示文の主語 と一致していて, かつ形容詞として 〈小さい> を用いた教示文 で, 反応潜時が一番短か いことを示 している, また, 年令の高い方が潜時が短かいという傾向はあるが, 統計的な有意差はなかっ た. で反応潜時が一番短か. 実験1と1 1を通して, 教示にしたがっ て行為を遂行するという課題において幼児の文の理解を調 べた. 教示文にしたがっ て行為をするためには, 文の意味的内容を自分が行なう行為との関係 で現 解しなければならない, すなわち, 文法的な知識である主語-述語-目的語の主語が, 行為者と- 致する時, その教示文の意味は理解されやすい. 反対に, 教示文の主語と行為とが一致しない場合. には, 教示文は理解されにくい. 教示文の主語と行為者が一致せず, 目的語が行為者となっ ている場合には, 幼児は, 主語と行為 87.

(11) . 奥 野 正 義. 者が一致するように, 主語と目的語を入れかえる文の変換をする ことが必要 である. このように, 複雑な変換が必要な教示文に対して, 幼 児がどのように するかをみることにより, 幼児の言語能力 をより明らかに することができる であろう.. 正反 応 率 %. 小さい. 大きい. Fi g.8 形容詞別にみた正反応率 l Tab e6. 文型についての年令別 の反応潜時(秒). 1 貫一 a. m-b. r- a W. 3.64 3.62. 6,21. 4.53. 5才. 4.72 3.62. 3.60. 6才. 3.48. 3.69. 4.39. 5,86 3.39. 4才. N-b. 10. 8. 反 応. 潜 時. 6 0. (秒) 4. o. △. 盃. 臭. ×. m-a. m-b. w -a. 4才. △ 6才. 2. w -b. Fi g .9 文型についての年 齢別の反応潜時 (秒). 88.

(12) . 幼児の文の理解における行為と意味の関係について Ref e r ence. 2回大会発表論文集 ) (1 968 , 就学前児童の言語的コミュニケーション能力, 日本心理学会3 f l i i i i l l R H d hedeve l h b i C i i T C i i t t T G Beve t ) 1 9 7 0 r n n r n s( e ( ) a s s o s cu v e s a a e onandt opment e o n v e r g y g , , , ogn , , , , 天野 清. l 279 fl ‐ ey o agnage ,269 ,wi 1 iona 1t R・( i i i fsomer i l dson t J Dona 1 t t 1 970 ed) ) ono e a ermsJn Hayes son e s ・ , ,Cogn .( ,M & Wa ,R,J ,on亡heacquis. l he Deve l andt opmentofl anguage ey ,wi ,235一269 1 i i ioni ibes 1968a ionands 日ut 1 ta t t t tde )Compr t t on亡 o亡hes ehens ement sr e a ua scr en ocher . . ,S・( ,J ,J ,andStrauss. ヲhav 530 b Ver ‐ ,7 .& Verb ,Learn ,BE ,527 S( i l i ivedact E i b k S 1968b)Compr ica l 日ut t tweenpe t t J & r s e n e r r aus s ehens on: Re a onbe ece orandl og enl ocher g ,, ,, , b L V b B h 2 5 3 0 V 7 5 7 t j J r e a r n e r e a v ‐ sub ec e . . . ,, ,. i l i iono MCNe fLanguage 1 t 97 0 )The ACquis r & Row ,Harpe ,D,( i 1 95 6 Lu )松野, 関口 (訳) 言語と精神発達 明治図書 r a .( ,A.R 村田 孝次 (1 ) 幼稚園期の言語発達 培風館 9 7 2. (本学助 手 ・ 函 館分校). 89.

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