中国の貿易制度改革と外貨留保制
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(2) 枠あるいは輸出外貨の留保権を認める(従来,. と地方との相対的見直しがおこなわれ. また縦. 輸出して得た外貨は中央が統 一的に管理し, 各. •横の行政指尊による分散管理の不合理と非効. ――. 外貨使用申請が. 率を集中指甜·統 一管理することで経済効率の. あってはじめて 決済用 外貨の 使用が 認められ. 向上をはかろうとする局面が生まれた。むろん. た),. (3)従来の専業輸出入公司以外にも 貿易権. このことは, 貿易の行政管理権の集中を意図し. 限を与えるなどの措置がとられた。これらは在. たもので. 分権化の変革を求めるものではなか. 地方・企業からの輸入申請. 来の通常貿易に加えて委託加工. ・. 補償貿易など. った。したがって対外貿易の受け皿として, ま. 各種 貿易方式の採用, 合弁企業・ 合作経営企. た外資導入の窓口として期待されている沿海港. 業・100%外資企業(以上「三資企業」という). 湾都市には. むしろ 一 層広範囲な貿易権限の委. の推進, 技術導入つきハ ー ドウェア買い付け,. 譲が用意されていた。. ソフトウェアの導入, 工場改造, 技術指導, ノ ウハウ移転, 対外工事請負・国際労務協力など さまざまな方式のなかでとられた必然的な措置 であった。. 1980年代前半の貿易制度の改革においては, 以上のように対外開放政策に見合って地方. 企 業への貿易自主権の拡大が実施されてきたので あったが. しかしそこには. 分権化と集権化が. 対外経済 ・ 貿易関係を展開する受け皿として. 繰り返されたことで (2) . まだ依然として限界が. 地方それぞれに新しい組織体制がつぎつ. 中央. ・. ぎに築かれた。まず従来の専業輸出入公司以外. あり. 権限の分離化政策は定着したものとはい えなかった。それが14の沿海港湾都市の対外開. の企業にも貿易権限が与えられた。すなわち生. 放によって 一 気に分権化の方向へすすみ, 84年. 産部門である 国務院の 関係 主管部門(各工業. 後半からは対外経済貿易関係の中核機関である. 部)に産業分類別の輸出入公司が設置された。. 対外経済貿易部そのものに大胆なメスが入れら. また生産企業と貿易に従事している企業との連. れた。. 合があらわれ, あるいは各種の企業が連合して 公司をつくり貿易業務をおこなうケ ー スもあら. II. われた。中央の動きに連動して地方・省市にも 対外貿易総公司や部門別の貿易公司が設立され た。地方行政機関や企業の外貨使用枠あるいは 輸出外貨の留保権が認められたこともあって, これらの機関, 各種単位は, 一定の枠内での自 主的な輸出入業務を遂行することができるよう になった。 しかしこうした新しい機構の設立は, 地方自 主権の発揮, 生産部門の自主権獲得などの活発 な動きのなかですすめられた試験的な改革であ り, 組織体制が完全に固まったわけではなかっ た。むしろ地方 ・ 企業の経験不足という言葉に 集約されるように, 中央財政の悪化と相まって 1982年からふたたび部分的な集権化の諸措置が 採られるようになった。集権化への動きは, こ れまでの地方分権化による混乱――改革にとも なう中央と地方• 企業との足並みの乱れのため であった。貿易管理制度の整備という形で中央. -2. 貿易制度改革の加速と深化. 1985年から86年までが貿易制度改革の加速・ 深化段階である。85年初頭からの貿易制度改革 はドラスティックな形でおこなわれた。その特 徴は, 行政と企業の蹴責分離, 工貿結合•技貿 結合. 外国貿易経営での輸出入業務代理制の3 点にある (3) 0 行政・企業の職責分離は, 行政管理部門と企 業経営部門という異なる機能が一 体化している (2) Hua Xiaoyu & Mo Xiu. edit., China's For eign Trade Corporations and Organisations, Department of Public Relations: China Coun cil for the Promotion of International Trade, 1988. pp. 9-11. (3) 「国務院批轄対外経済貿易部関於外資体制改革 意見的報告(摘要)」1984年8月14日。『中国対外 経済貿易年鑑 1985年」29-32頁。拙稿「対外開 放と経済体制改革」『中国の経済体制改革の動向」 日中経済協会, 1986年4月, 169-174頁。 C 90)-.
(3) 従来の弊害を改めようとするものであった (4) 0. 部傘下の 貿易公司 (6) とその地方分公司, (3)一. まず対外経済貿易部および省·市・自治区の対. 級行政区と直轄都市の地方貿易公司,(4)広東,. 外経済貿易庁(局・委員会) は, 日常の貿易業. 福建両省と 5 つの経済特区所属の貿易公司,(5). 務の許認可をふくめて対外貿易を 一元的に管理. 14沿海港湾都市の対外経済技術貿易公司,(6)貿. ・運営する 従来の 制度を ここにきて完全に改. 易経営権を取得している生産性企業と企業連合. め,各種の貿易公司の行政指導・管理を専門に. 体であり, それぞれ経営自主権をもつ独立した. おこなうことになった。 同部の権限は,(1)政府. 経営実体となった(そのほか外資• 技術導入を. 間貿易協定や契約の調印,(2)対外経済関係の法. 促す体制として国務院所管下に国際信託投資公. 律・規約の制定と実施状況の監督,(3)長期貿易. 司, それに対外工事請負・対外労務提供の諸機 関が中央・地方に設けられた)。. 計画. 年度輸出入商品指標の作成. 執行状況の 監督, 貿易統計業務の所管. (4)国内貿易公司の. これら貿易公司の設立条件としてつぎの内容. 経営指導・設立認可. 外国企業事務所の認可と. が定められた (7) 。(1)新たに認可, 設立される対. 管理,(5)輸出入許可証の審査発給, 統 一経営の. 外貿易公司は既存の公司と競合し, 新製品と新. 輸出入商品リストの制定と調整,(6)関税, 為替. 市場の 開拓を主とした 業務活動を おこなうこ. 相場など対外経済貿易調整措置の研究• 制定へ. と。(2)納税の義務を負い, 独立採算, 損益自己. の参加,(7)国際市場の調査などに限定された。. 負担を実行すること。(3)安定した売れ行きのよ. つぎに地方の対外経済貿易庁(局·委員会). い輸出商品供給源と輸出)レ ー トをもつかあるい. の任務は,(1)地方政府および対外経済貿易部の. は 一定の輸入注文先と輸入)レ ー トをもつこと。. 指導下での中央の制定した関係法規, 条例の管. (4)国の輸出入任務をうけもつこと。(5)取扱い規. 監督,(2)輸入の統一管理,(3)地方の対外貿. 模に対応した資金を保有すること。(6)有能な指. 易企業の管理,(4)対外経済貿易部から付与され. 導者と対外貿易, 外国語, 財務, 計画, 統計,. た権限内での輸出入商品許可証の審査・批准·. 保管• 輸送の専門家を配し, 一定の営業能力を 備えること。(7)対外貿易のコンサルティングに. 理. ・. 発給,(5)対外経済貿易部の通知に基づく輸出商 品の管理である。 なお第1図に示す対外経済貿 易部特派員弁事処は, 対外経済貿易部の派出機 構であり,つぎの任務を有する。(1)対外経済貿 一. 易部の付与した権限内での 部の輸出入商品の 許可証の審査·批准•発給,(2)所在港湾と内陸 のバランスのとれた関係樹立,(3)輸出入管理の 強化と対外貿易体制の調査研究,(4)対外経済貿 易部より委任された事項の処理。 行政上の改革と並行して中央, 地方省・市の 貿易公司は, すべて従属していた行政部門から 独立して輸出入業務を営むことになった。 中国 の貿易公司は,(1)対外経済貿易部所属の専業輸 出入総公司 (5) とその分公司, (2)国務院各工業 (4) 哀文棋「外貿体制改革是提高外資経済効益和拡 大出口的根本途径」「国際貿易」 (中国対外経済貿 易部国際貿易研究所) 1984年第8期,34頁。 (5) 中国糧油食品,土産畜産,紡織品,軽工業品, 工芸品,化工,機械,五金鉱産,医薬保健品,技 術の10進出口(輸出入)総公司。. -3. 従事する公司は経済貿易情報源と必要なサ ー ビ ス手段を備えていること。 これらの内容をもつ 貿易公司の経営業務に行政部門は干渉しない。 従来の行政的統制が多すぎ, 貿易公司に自主権 がなく,責任の所在も不明確であるーという点を 改善したもので, 企業の自主権拡大をテコに貿 易業務の活性化をはかり貿易に競争原理を導入 しようとするものであった。 工貿結合は, 中国国内の工業生産部門と貿易 部門が協力して輸出拡大をはかろうというもの で, 両部門共同による海外市場の調査, 生産・ 輸出計画の策定, 対外商談, 工業企業の輸出入 (6) 中国絲網進出口,機械設備進出口,航空技術進 出口,電子進出口,北方工業,精密機械進出口, 船舶工業貿易, 科学器材, 冶金進出口, 長城工 業,科学儀器進出口,建築工程,化工建設,煤炭 進出口,汽車工業進出口,石油化工,有色金属進 出口の各(総)公司o (7) 「中国データファィル' 90」JETRO, 1990年 6 月,192-193頁。 (91)-.
(4) 言 [. l |j. 司部 査 易 政行 検 貿財 銀 品 .民商. 霜 人入. 畑E ●i. 甚嗜. 外 工 局 ( 済 各理. 詈. 外 国 政府 、 国. J 央. [[ 二尋. 〈中. ・農 家 轄 暉帽 盟. 鵠. 〈経営業務権(実務担当)〉. レ. 中国国際貿易促進委員会(中国国際商会) ピ際経済貿易仲裁委員会 事仲裁委員会. ル. 際 金 融 織 関. 峠. I. 讀象. 鰭 虹翡. ヽ. 連酌 弁 j大 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 9 99 9 9 9 l: ' , ‘ ‘ f. i. [. ● 頌. 津 発. -5a. 外 国 の商 社 ・ メ ー カ ー ・ 金 融 機 関. 立 心 韮炉 勿 会 〉↑ — |. _ _. 紅. ... ●ぷ. i. i. i. i. 海 技 上 済 .( ほ 処 �事 市 弁 都. i ". 頌 い. ル. 丁↓. _. ー. ;. ===. ベ. • i J. .. レ. 海. 〈広 州 交 易 会 〉 I ... 商 談 会 〉▲一. 対外 工 事 請 負 • 国 際 〈 ‘↑ ーー 労務協力統轄. 管. 〈 地. 理. ー ↓ 〈投資 •. ・. 三. 統. 〗 ` ―. �. E. 対外貿易管理司 出入司—— 国投資管理 国借款管理司 外経済協力百 術輪出入司 対台湾経貿易関係司 その他11の管理司. ベ. 方. 第1図 中国の対外経済・貿易関係の組織体制. 〈香港 公司〉. •対外経済貿易部所属公司の駐香港公司 •国務院各工業部の駐香港公司 •地方省•市の駐香港公司 •国際信託投資公司香港分公司 •中国銀行香港分行 • その他. 出所:拙著「中国と世界経済一対外開放体制の発展戦略ー」(中央経済社,1990年,152-153頁), 拙稿「中国における貿易体制改革の進展」(「商経学叢」近畿大学商経学会,第35巻第 3号, 58頁)を修正。 効に機能させることがエ貿結合・技貿結合のね 公司設立などを指す。技貿結合は,技術移転と 製品輸入のリンク制,すなわち中国側が外国企 業から製品・部品を輸入する際に外国企業が製. 業が双方の行政上の従属関係, 買い付け制, 財. 造技術を無償ないし低価で提供することを条件. 務謁係を変えず, 双方が業務, 生産, 商談,海. とする方式である (8) 。 生産と貿易との連繋を有 (8) 王紹熙•王寿椿• 許燈主編『中国対外貿易概 論J対外貿易教育出版社,1989年,240頁。. -4. らいである。対外貿易公司と工業部門, 生産企. 外販売促進を共同しておこないまた貿易の輸 出価格を工業部門に. 工業の生産原価を貿易部 門にそれぞれ公開することで(「四共同二公開」 C 92)-.
(5) という)(9', 貿易面のひとつの 弊害を除去しよ うとするものであった。代表的企業として中国. させ, 企業に留保する 利潤を 変動させたこと で, 国の財政収入は安定的に拡大し, 一方の企. 船舶工業 公司, 中国絲網(シルク) などがあ. 業は経営管理を改善して経済効率を向上させる. る。. のである。経営権の企業への委譲, 企業による. 外国貿易経営での輸出入業務代理制は, 貿易. 生産, 分配, 交換, 流通などの経済活動は, 「両. 公司が対外貿易経営権を持たない中国国内の企. 権分離」の基礎の上に築かれた新方式であった. ミッションを受け取って. といえる。この方式は中国の貿易企業にも当然. 輸出入 業務を 代行 するものである。 すなわち. 適用 されるものであった。 1987年 から 試行さ. 「外貨を有しており, 主管部門の 認可を得て,. れ, 88年から90年までの 3年間に本格的に実施. 業から委託を受け,. コ. ある種の商品を輸入できる企業, またはある種. された貿易企業の請負経営責任制は, 貿易制度. の輸出でき商品を有する国内企業が外貿公司と. 改革のひとつの転機をなすものである。貿易制. 契約を締結し, 外貿公司に商品の輸出入を委託. 度改革は, 対外開放 以後, 対外貿易 経営権の. し, その後に外貿公司が自己の名義で外国商人. "下放 , 貿易)レ ー トの拡大, 生産・販売連携の. ”. と売買契約を締結する」(10) ものである。損益の. 推進, マクロ的コントロ ー ルの改善等をめぐっ. 責任は委託者すなわち輸出では生産企業, 輸入. て基礎的改革がすすめられてきた。しかしその. ではユ. ー. ザ. ー. が負う。従来, 輸出については,. 貿易公司が生産企業から買い上げ, あらためて 外国 バイヤ. ー. ヘ売るというように, 売り手と買. い手, 国内価格と国際価格が. ". 水際. ”. で分離さ. れていたがこれが直結することになった。 この. 改革は, 実質的には主に外貨の分配, 貿易機構 の増設に集中,. ゜. 部経営権の委譲も実行された. が, 貿易計画・経営管理の権限は依然として中 央の経営部門が握り, 貿易専業公司が統一的経 営をおこなっていた。. 方式が 1985年から 貿易経営の 基本形態となっ t�(11). 一. 対外貿易企業が生みだす損益は, 国家財政当 局がすべて負担・吸収するという管理方式をと っていたので実質的変化はみられなかったとい. 皿. 貿易企業の請負経営責任制. ってよい。そのためさまざまな経済体制改革が. 請負経営責任制は, 1979年から試験的に実施 したうえで87年から大中型国営企業で全面的に 実施された。中国の請負経営責任制は, 生産手 段の国有制を変化させることなく, 企業の生産. すすめられるなかで貿易制度改革との調和がと れず, 単に輸出拡大を強凋するあまり, 財政. ・. 金融上のバランスを欠くものであった。対外貿 易の安定した発展という基本方針からすれば, 貿易制度の改革と国民経済管理体制の改革とは. 経営と収入の分配について国の主管部門と企業 ――請負者とが経営請負契約を結び, 企業を請. 密接に推進されなければならないことが認識さ れた。つまり国内経済活性化のための経済改革. 負者に渡して経営管理され, 国は資産所有権に. と貿易制度改革の実行は, 中国がめざす経済近. よって安定的に収入を得るという所有権と経営. 代化の柱であり, 両者は表裏 一 体をなし不可分. 権の両権を分離する方式である。企業を自主的. なのである。そこで1987年, 国務院の決定で中. な独立経営体とし損益に自ら責任を負う経済的. 央の対外貿易に対する直接的計画管理を改め,. 実体にさせることを指す。請負制を実施するこ. 一. とでたとえば, 国に上納する利潤と税金を固定. 取り扱われる以外は, 貿易の経営権を実質的に. (9) 同上書, 234頁。 UO) 梶田 幸雄 「外貿代理制の争点」「 中国 経済j JETRO, 1991年3月, 62頁。 Ul) 「経済日報J社論「逐次遂行進出口代理制」1984 年10月24日。. -5. 部伝統商品や重要商品が専業総公司によって. 地方へ委譲し, 農村改革, 都市改革で推進され た経験に基づき, 対外貿易企業における請負経 営責任制を実施することになった (12) 0 U2l 童書興・ 華暁紅「論外貿承包経営責任制」『国 C 93)-.
(6) 中 国政府 は 輸 出 拡 大を さ ら に は か る た め , 沿 海地区経済発展戦略 と. 一. 的 な つ ぎ の 基本的 内 容. 体 と な っ た , よ り 具体. (13). 貿易企業の損益 自 己責 任制の試行 と 請負経営責 任 制 の 実施, 外貨 留保制 の 改善, 生産 ・ 貿易部. を も つ体制改革 に 着. 門 の 連携強化, 輸 出 入代理制 の推進で あ る 。 請. 手 し た の で あ る 。 ( 1)各省 ・ 自 治 区 ・ 直 轄市 お よ. 負責任制の実施の ね ら い は , (1)在庫の圧縮, 資. び計画単列都市 (所属 す る 省 か ら 切 り 離 し 省 と. 金 回 転の加速化, 諸経費 の 引 き 下 げ, (2)損失の. 同 ク ラ ス の 計画単位 と み な し て 経済管理権限 が. 大 き い 商 品 の 輸 出 抑 制, 利益を生む商 品 の 輸 出. 与 え ら れ る 都市) は , 輸 出 に よ る 外貨収入, 中. 増加, (3)原料輸入用 の外貨 を有効利用 し , 加工. 央 へ の 外貨 上納任務, 経営収益 目 標の 3 項 目 の. 貿易 , 委託加工を発 展 さ せ る な ど に あ る 。 こ う. 指 標 を 請 け 負 う 。 (2)少数 の 輸 出入商品 は対外貿. し て 従来 の 貿易経営 に お け る 「親方五星紅旗」. 的に. 的 な 統 一 収支制 を 独立採算制 に 改 め た の で あ. 取 り 扱 い 請負経営を実施す る 。 (3)国 家が統一的 に 管理す る 輸 出 入商 品 を 減 ら し , マ ク ロ の 指導. る 。 「 自 己負担, 自 主経営, 自 我発展, 自 我約 束」 (14) の " 四 自 方針 ” が 貿易 体制改革の 基本. と 調整 を 強化 す る 。 (4)大多数 の 輸 出 入商 品 は ,. 目 標 に な っ た。. 易輸 出 入総公司 と エ貿 輸 出 入総公司が統. 一. 各地方 の 貿 易 輸 出 入公 司 , 工貿輸 出 入公 司 お よ. 貿 易企業 の損益 自 己責任制の試行 と 請負経営. び取 り 扱 い 能力 が あ る 生産企業 の 自 主経 営 に ま. 責 任 制 の 実 施 に よ っ て , 輸 出 入商品の取 り 扱 い. かせ る 。 (5)輸 出 入商 品 の う ち 輸 出 割 り 当 て 制 と. も 大 き く 改革 さ れ た 。 輸 出 面で は , 輸 出 し た 商. 輸 出入許可証 制の 商 品 に つ い て は , 対外経済貿. 品 に 対す る 産 品税, 増値税 (付加価値税) お よ. 易部の 関係規定 に韮づ き 処理す る 。 (6)各地方 ・. び営業税 を 中 央財政か ら 全而的 に 遠付 さ れ る 。. 部 門, 国 営企業, 集団所有制企業, 外資系企業. 少数商 品 の 統 一 管理が強化 さ れ る 半面, 大部分 の 商 品 の 分散経営が は じ ま っ た 。 ま ず輸 出 商 品. の 留保外貨 は , 外 国 為替管理部門が設置 し た 外 貨調整 セ ン タ (同セ ン タ. ー. ー. で 取 り 引 き す る こ と を 認め る. 設置で 相 当 最 の 外貨 の 需給が市場. は以下の 3 類 に 分 け ら れ る 。. 第 1 類 は 重要 な 資源 的 品 目 , 国 際市場 に お い. に お い て 調 整 さ れ, そ れ に よ り 輸入 の 抑制, 外. て 独 占 性 が 強 い 商 品 で 国 家指定 の 貿 易公 司 が統. 貨 不足 の 緩和 , 外貨獲得企業 の 経営 お よ び融資. ー し て 取 り 引 き す る 。 21品 目 あ り う ち 1 5 品 目. カ の 向 上がす す め ら れ, 同 時 に企業の 経営環境. (米,. も 改善 さ れ る ) 。 (7)貿易輸 出 入 総公司 と 一 部 の 工貿輸 出入総公 司 の 地方分支機構 は , そ の 大部 分が地方人民政府 の指導下で 独立 し た 経 営体 に な り , 国 の 統一 政策 に よ り 管理 さ れ る 。 各種形 態 の 経済連合 の 設立を許可 す る 。 以 上を集約すれば, 「損益 自 己負担, 制緩和 , 工貿結合,. 経営統. 代理推行制」, す な わ ち ,. 際貿易J 1990年第 2 期, 9 -12頁。 伝 自 應 「外貿 承包経営責任制的 回顧和展望」 「国際貿易問題J (対外経済貿易大学) 1989年第 4 期, 17-19頁。 陳欣 「試論外貿承包経営責任制的双重属制」 『国 際貿易」 1989年第 3 期, 15-16頁。 張松渚 「中国 外貿体制改革及其与外国客商的関係」 『国際貿易」 1989年第 5 期, 35-36頁。 a3l 張松濤 「関於我国外貿体制改革問題」 『国際貿 易 問題」 1989年第 5 期, 19-20頁。 王紹熙 「十年 外貿体制改革的評価」 「国際貿易問題J 1989年12 月 , 7 頁。. -6. 大豆,. 花, レ. ー. と う も ろ こ し , 大豆粕, 茶葉, 綿. ス , 真珠, ダ イ ア モ ン ド , 製品油, 原. 油 , 煙草 の 葉 , 石炭 , タ ン グ ス テ ン 砂 , ア ン チ モ ニ ー ) は 貿易総公司, 工貿総公司 が統 一 的 に 取 り 扱 い , そ の他 は専 門 の 総公司 お よ び分公司 が共同 し て お こ な う 。 指令性計画品 目 で あ る 。 第 2 類 は 国 際市 場に敏 感 に反応 し , 市場競争の 激 し い 品 目 で 該 当 商 品91 品 目 (豚 肉 , え び, 兎 毛, カ シ ミ ア , 薬材の 一 部, 鋼材, 非鉄金属 の 一. 部 な ど) の経営権を 持つ 貿易公司が 取 り 扱. う 。 指令性計画品 目 で あ る 。 第 3 類 は 第 1 , 2 類以外 の 各種商 品 で 輸 出 経営権 を獲得 し た 企業 に よ っ て 自 由 経営で き る 。 指導性品 目 で あ る 。 輸入商 品 も 3 つ に 分類 さ れ る 。 第 1 類 は 大 口 (14) 劉 山在 ・ 暫建軍 「外貿体制改革的根本 目 標与承 包制」 『国際商報」 (中 国対外経済貿易部) 1988年 1 月 30 日 。. C 94 ) -.
(7) で市場に敏 感な重要商品である。 食糧, 砂糖,. で価格のつり上げや低価格競争などの問題をひ. 鋼材, 化学肥料, 原油, 石 油 製品, ゴム, 木. きお こ し, 新しい貿易公司の乱立もあ っ て 経営. 材, ポ リ エ ス テ ル. ・. ア ク リ ル化 繊, た ば こ 製. 品, 農薬, 農業用 フ ィ ルムおよび その原料, 綿 花で原則として専門総公司が. 一. 括輸入し経営の. 秩序の混乱に 陥 っ たのである。 そ こ で1980年代後半の経験に依拠しつつ, さ らに 踏み込ん だ貿易制度改革の諸措置 を推進す. 自由化はしない。 第 2 類は共同取り引きする商. る こ とが課題とな っ た。 それは 一言でいえば,. 品で国内で不足し価格が敏 感に変動する羊毛,. 公正な競争条件下での対外貿易企業の独立採算. 木材パルプ, プ ラ ウ ン 管など 8 品 目 。 第 3 類は. 制の確立にある。 すなわち人民幣為替 レ ー ト の. 第1.. 調整 (17) を基礎に, 自負盈fJ, 統一政策, 平等. 2 類以外のどの公司でも自由に取り扱 う. こ とが可能な商品である。. 競争, 自主経営, 工貿結合, 推行代理制すなわ. 3 つに分類された以上の輸出入商品は, 経営. ち損益 自 己負担制の確立, 貿易の統 一的政策,. の分業化 を 意味して はいるものの, 行政管理の. 平等な競争, 自主経営, 工業と貿易の結合, 輸. 面からは, 計画, 割り 当 て , ラ イ セ ンスによる. 出入業務代理制の推進を確実に発展軌道に乗せ. 管理が依然として残されて いる こ とになる。 し. る こ とである (18) 。 具体的には 対外経済 貿易部. かし貿易制度改革の進展で こ れら管理商品の数. がつ ぎの 5 つの措置 を発表した. はしだいに減少していく こ とになる だ ろ う。. (1. 9) 0. 第 1 は外貨留保制度の改革である。 地 区 ごと. 1987年から試行開始され, 88年に全国的に広. に外貨留保比率が異なる現状を改め, 商品別に. が っ た請負経営責任制は, 従来の外国貿易権の. 統 一された留保制度 を実施する (具体的には後. 地方, 企業への分散, 計画貿易制度の改変, 分 散経営体制の マ ク ロ 管理の確立, エ貿 • 技貿結. 述する)。 第 2 は輸出経営の請負いである。 各省 ・ 市 ・. 合の強化, 企業の自主責任制の推進など, 地方. 自治区およ び計画単列都市の政府, 各種の対外. の各級政府や各部門の貿易への積極性 を引き出. 貿易専業輸出入総公司, 工業貿易専業輸出入総. した。 しかし 一方で地方の保護貿易主義 を拾頭 させ, 全国の統一的商品市場を分割させ, 商品 の合理的流れを改変させ, 価格のつり上げや低 価格競争の問題, さらには新しい貿易公司の乱 立が起 こ り , 経営秩序の混乱をもたらした (15) IV (1). 貿易制度改革の現段階と方 向 性 損益 自 己責任制 の全面実施. 1979年には じ ま っ た中国の貿易制度改革は, 80年代をとおして 多大の成果 をあげて きた。 と く に88年から開始された対外貿易の請負経営責 任制は90年で期限終了 とな っ たが, (服装, 軽 工, 工芸の 3 系列公司によ っ て 3 年間実験され て きた) (16) そ こ では 地方の 各級政府, 各部 門 の租極性を引き出す こ とにな っ た。 しかし 一 方 U5l 童書興 ・ 華瞭紅, 前掲論文, 10- 1 1頁。 US) 洪志華 「我国 留成 外 泄制度的 建立与発展」 『 国 際商報J1990年10月2 7 日 。 -7. 公司および その他の対外貿易企業等は, 国から 輸出経営を請負い, 輸出総額, 輸出による外貨 獲得額, 外貨上納額の任務を果たす。 請負い額 は第 8 次 5 カ 年計画と実際の貿易状況に基づい 閻 人民元の対米 ド ル レ ー ト は1989年12月に 1 ド ル 1 か ら さ らに5 .2 元に 3 . 7元 か ら4 . 7元に, 90年1 月 切り下げ ら れて いる。 人民幣の為替政策と為替 レ ー ト については. 河地重蔵 • 藤本 昭 • 上野秀夫 「アジアの中の中国経済J 世界思想社, 199 1年, 209 -2 14頁を参照さ れたい。 08) 張光華 ・ 郭友 「加強出 口 収雁管理, 防止国家 外 泄流失」 『中国金融』 (中国金融出版社) 199 1年第 3 期, 39頁。 挑済奇 「穏歩発展 外 泄信貸業務在治 理整頓中」 『中国金融J199 1年第4 期, 42頁。 張 松渚 「中国 外 貿体制的進一歩 ・ 改革和完善」 『中 国対外貿易J (中国対外 貿易雑誌社) 199 1年第 5 期. 7頁。 李嵐清 「 外貿新体制 実施情 況良好」 『金融 時報」(中国 人民 銀行総行) 199 1年4月 1 日。 09) 「 外 貿体制改革 新方案 出台, 在人民幣泄率調整 基礎上建立 外 貿企業自負盈鹿 機制」 「人民 日 報」 199 1年 1 月24 日 。 『中国通信J 199 1年 1月29 日 。 『 国際貿易」 199 1年2月 5 日 。 ( 95 ) -.
(8) の よ う な 対外経済貿易部 と し て の指導方針を示. て 年 ご と に 決め る 。 第 3 に は , 国 務 院の 重 な る 要求 に 基づ き 引 き. し て い る (20) 。 (1)輸 出 業 務 を. 続 き 対外貿易公 司 の 整理整頓を お こ な う 。 輸 出. 方 向 へ転換 し. ". ". 品質で勝負 す る. 品質第 一 , 信用 第 一. ”. ”. の概念を. 経営条件を も つ 大中 型企業や集 中 度 の 高 い 生産. 確立す る 。 (2)輸 出商 品構成を調整, 最適化 し ,. 企 業 グ ) レ ー プ に は , 対外経済貿 易部が審査 し 輸. 売れ行 き の よ い 品質 を 増 や す。 (3)各種形式 の エ. 出 入権 限 を 与 え る 。 各対外 貿易専業輸 出 入公司. 業 と 貿 易 の 結 合 (各種貿易取扱 い企業の連合を. と 各輸 出 入商会 は 貿 易商 品 に 対す る 協調管理を 強化 し経営秩序を確立す る 。. 促 進 し エ貿結合を軸 に し た 多 機能の企業 グ )レ ー. 第 4 は 外貨調整 シ ス テ ム の 改善で あ る 。 外貨. 引 き 下 げ る 。 (5)投資環境 を 改善 し 外資利用 水準. 調 節 を活発化 し , 国 へ の 上納 と 国 の 買 い 上 げを. を 高 め る 。 (6)対外経済協カ プ ロ ジ ェ ク ト の 質 と. 保証 し た 後の 留保外貨枠 に つ い て は , す べ て 調. 効 率 の 向 上 を す す め る 。 1991年以降の こ う し た. 整市場で の 売 買交換を許可 す る 。 各省都 に 外貨. 体制改革の 具体的 展開 の な かで , と く に注 目 さ. 調 整 セ ン タ ー を 設 け . 省 を ま た い で の外貨調節. プ の 発展)。 (4)経営管理 を 強化 し 輸 出 コ ス ト を. れ る の は外貨 留保制度 の 一 層 の 改善で あ る 。 同. を可能 と す る 。 各地政府, 部 門 が行政手段 で 外 貨資金の流通 に 干渉す る こ と を禁止す る 。. 類商 品 の 全国統 一 の 留保比率, 外貨調 整 シ ス テ. 第 5 は輸入商 品 の 構造を合理的 に 調整す る 。. が講 じ ら れ た 。 こ こ に は 市 場 メ カ ニ ズ ム を 強化. 輸入商 品 の 経営管理方法 の 基 本 は 変 え ず, 適度 の 輸入規模を保証す る 。 ま た外 国投資企業の輸 出 拡 大を 引 き 続 き 奨励, 助成す る 。 以上の 改革措置 に よ っ て , (1)貿易企業 は独立 採算制 に基づ い て 活動可能 と な り , (2)計画経済 と 市場経済の 結 合 の 原 則 の 下 に , 外貨 の 殆 ど が 市 場調節 に か け ら れ, (3)為替 レ ー ト や 関税 な ど の 経済手段 に よ る 貿易活動の調整が 一 屈 重視 さ れ, (4)外 国商 品 に と っ て 中 国市協へ の 進 出 の 機 会が増 え , 貿易企業の 輸 入 自 主権が拡 大 し , さ ら に 外貨調整市場の 活発化 も 輸入企業 に 有 利 に 働 く よ う に な り , (5)輸 出 奨励政策 と 貿易 管理措 寵 の 相対的 な安定性 と 連続性を保つ こ と がで き る よ う に な っ た 。 1991年か ら は , 人民元の レ ー ト 調整 を ベ ー ス に 対外貿易企業 に た い す る 国 の 輸 出 補填が廃止 さ れ, 名実 と も に 独立採算が導 入 さ れ た 。 そ の 改革措置 は 市場 メ カ ニ ズ ム の 等入を 一 尼 お し す す め , 公 正 な 競争条件下で の 地方の積極性を 引 き 出 す点 に あ る 。 ま た ガ ッ ト が要求 し て い る 国 際 貿 易 の 規範 に さ ら に 適応 さ せ, 国 際 的 に 通用 す る 方 向 へ と 発 展す る こ と に な っ た。 李嵐清対外経済貿易部長 は 第 7 期全人代常務 委第20回会議 (1991年 6 月 ) に お い て ,. 「対外. 経済貿易活動 に 関 す る 報告」 を お こ な い , つ ぎ -8. ム の 改善 な ど 貿 易体制 の よ り 具体的 な 改革措置 し , 公正な 競争条件下で の 地方 の 積 極性 を よ び お こ そ う と す る 意図 が あ る 。 (2). 貿 易 公 司 の 統廃合. 貿易権限が地方 の 省 • 市 に 移譲 さ れ, 企 業 に も 独 自 の 貿易権が与え ら れ た こ と で , 対外貿易 を 扱 う 企 業 は2 , 000社以 上 に も 達 し た 。 し か し 多 く の公司 は 固定 し た 商 品供給源 と 販 売) レ ー ト を も たず,. ま た 国 内 各地 に お け る 取 り 引 き も. 外 国 企業 と の 間 に さ ま ざ ま な 混乱を引 き 起 こ し た 。 こ う し た 状況の な かで , 1988年10月 国 務 院 は 各種対外経済貿易公 司 の 整理 · 整頓に 関 す る 決定 を お こ な い (21) , 対外経済 貿易部 も 貿易環 境整 備 と 貿易 秩序整頓の 5 項 目 措置 を 発 表 し た (22) 。 (1)対外 貿易企業の整理, 整頓 (経営方 針, 経営姿勢が不明確で経営資金等の 条件 を 備 え な い 貿易企業が 取 り 扱 い 範 囲 を調整す る ) 。 (2)輸 出 商 品 の 買付 け 秩序の整頓。 (3)計画, 割 り 当 て 額, 許可証, 税 関 監視 の 綜合管理 の 強化。 (4) 一 部 の 輸 出 奨励策 の見直 し と 公平 な 輸 出 環境 (20) 「 中国通信」 1991年 6 月 28 日 。 (21) 「国務院 関於清理整頓各類 対外経済 貿易公司的 通知 (1989年 2 月 20 日 ) 」 『中華人民共和国務院公 報J 1989年 4 月 10 日 (第 5 号), 193-195頁。 位) 『人民 日 報」 1988年10月 18 日 。 ( 96 ) -.
(9) 中 央の各工業部に所属する貿易公司の整理整. の整備。 (5)輸入管理の強化。 1989年 8月に国務院はふたたび 「公司の整理. 頓 · 統廃合では, 49の部門の826社の うち711の. を 一歩す すめる決定」を出し. 公司の廃止 ・統合. 存続を認可し, 1 15社(対外経済貿易部所属の49. (23). 。 国務院はさ ら に同 年11月 . 対外. 社を含む) を統廃合した。 経済特区の対外貿易. 経済貿易部の 「各種対外経済貿易公司の 一 層の. 企業(約 1 , 000社) については, 国務院の規定に. を推進した. 整頓に関 する意見」 を承認した。 こ こ で. 基づき特区自体が整理整頓をはじめている。 中. は中 国銀行や その他の国家外国為替管理局指定. 央, 地方 レ ベルの対外貿易企業の整理整頓 · 統. の銀行で外貨 決済をお こ なわず. 外貨を不法所. 廃合はさ ら に引き続きおしす すめ, 輸出商品の. 持している公司, 外国企業が 中 国 内 で 輸出商品. 買い付け「戦争」の防止, 輸出入許可証管理など. 整理. ・. を直接購入または輸出業務をお こ な うのを援助. 貿易管理の強化がはか ら れる こ とになる (27) 0. し. その外貨不法所持を援助した公司. 同 一 部. V. 門または同 一地 区 で 主管業務が同じかまた は 類. 外貨留保制の改革. 似しており, 重複設置された公司. 対外営業条 件がないかまたは輸出Jレ ー ト をもたず. 主に他 ・. 公司に輸出委託している公司などは, 整理 整 頓. 1 979年までの 中 国の貿易体制は, 以上みてき た よ うに 中 央政府に集中された統制型の単一 体. の対象となった (24) 。 その後国務院は , 90年12月. 系 で あり, それは外貨配分においても中 央政府. に全人民所有制公司設立の審査, 許可権限に関. への集中度の高いものであった。 外貨収入はす. する通達をお こ ない, 各級の対外経済貿易専業. べ て, 唯一 の外 国為替銀行であった 中 国銀行を. 公司については. 対外経済貿易部の責任に よ り. 通じて中 央に帰属し, 中 央政府は外貨使用計画. 審査 ・ 認可をお こ な う こ とが明 確化された. (25). 0. 対外経済貿易部は上述のよ うに, 1988年以来. に沿って各行政部門に統一的に配分してきた。 したがって生産企業が外国か ら の先進技術 · 設. 36の省 · 自治 区 ・ 直 轄都市およ び計画単列都市. 備の 導入を 必要とする 場合も, 対外貿易総公. に所属する対外貿易企業(貿易経営権を持つ生. 司, 中 国銀行いずれか ら も外貨資金を入手する. 産企業を含む) の整理整頓・統廃合を審査して. こ とができなかった。 外貨を使用する権限はす. きたが, 91 年 6月, 2, 140社の うち1 , 208社の存. べ て 中 央政府に帰属していたか ら である。 その. 続を 認可し, 932社の 貿易 経営権を 取り 消し. 結果, 中 国の輸出競争力は極端に低下し, 地方. た. (. ). 26. 。 整理整頓された 貿易公司は 主として.. 政府の輸出意欲も そがれていた。. トを. 対外経済開放, 国 内 経済改革への転換は, 厳. 持たない,(2)国際商慣習に未熟で契約 義務. 商. 格に規制された外貨資金の配分体制を見直さざ. 品の品質管理に 問題が多い. ( 3)投機取り引きと. るを得な く なった。 1 979年 8 月, 国務院は外貨. 外貨の不法所持. 脱税が 目 立つ。. 留保制度の導入を正式に 決定した。 こ れは翌80. (1)営業条件を備 えず営業の人材や 輸出Jレ. ー. (23) 『人民 日 報」1989年8月28 日 。 「中共中央, 国務 院関於進一歩 • 清理整頓公司 的決定 (1989年8月 1 7 日)」 「中華人民共和国務院公報J 1989年9月 12 日 (第15号), 5 79 -583頁。 (24) 「国務院批轄経貿部 《意見》, 進 一歩清理整頓各 類経貿公司」「人民 日 報J1989年1 月 1 1 1 日。 凶 「国務院発出関 於設立全民所有制 公 司審批権限 通知」 『人民 日 報J 1990年12月23 日 。 (26) 全国人民代表大会常務委第20 回会議全体会議で の李嵐清 ・ 対外経済貿易部長に よ る 「対外経済貿 易活動に関する報告」 (『中国通信」189 1年 6月28 日 ) 。 なお輸出 入権を も つ 生産企業は9 1年9月末 時点で43 1 社 (「中国通信」199 1年1 月 0 1 日 )。 -9. 年12月国務院公布の 「外国為替管理暫定条例 」 に よ って追認された。 すなわち同条例 第 2 章第 5 条は, 「 国家は 領 内機構(国営企業 位等) が規定に よ り. 一. ・. 事業単. 部の留保外貨を所持する. こ とを許可する」 と明記されている。 こ れに よ って中 国の外貨管理制度は, 79年以降 中 央政府 が直接管理する外貨割 当 制度と地方政府な どの 外貨留保制度の二重体系となった (28) 。 (Z7) 「中国通信」199 1年6月28 日 。 (28) 慮 埠 「中国の 外貨留保制度 C I ) 」 「 ア ジア経 C 97 ) -.
(10) 経済改革, 対外開放政策が採 ら れて 以来. 中 国 の 貿易制度改革 は 一定の成果を あ げて き た 。 中 央政府の. 一. 元的管理に あ っ た 貿 易経営権 は 除. 行 に よ り 代行管理 さ れて い る も の で あ る 。 同 総 局 の 主要機能 は . 外貨管理 に 関 す る 法規. 制度 を 制定 し , 国 家の 外 国 為 替 を 統 一 的 に 管理 し .. 々 に 地方 ・ 企 業 に 委 譲 さ れて き た し 各種 の 対外. す べ て の 外 国為替収支 に 対 し て 検査 と 監督 を お. 貿易公司 の 設立 も 認 め ら れ た 。 行政 ・ 企業 の 職. こ な い , そ の 収支計画 の 総合的バ ラ ン ス を保持. 責分離. 工貿結合 • 技貿結合. 外 国 貿易経営で の 輸 出 入業務代理制, 経済特 区 や 各省 • 市. ・. 自. す る 業務 に 責 任 を 持 ち . 人民幣の外貨 に対す る 為 替 相 場を公示 し . 外貨管理制度 に 違反す る 事. 治 区 で の 外貨留保制度の 実施, 外貨調整セ ン タ ー の 設置 な ど の 改革 に 着手 さ れ た 。 そ し て 貿 易. 銀行が 委託 し た そ の 他 の 業 務 を 処理す る (30) 0. 企業の請負経営責 任制が実行 さ れ る よ う に な っ. む ろ ん外貨使用 を審査. 件を摘発. 処 罰 し , 国 家が委譲 ま た は 中 国 人民 ・. 認可 す る 機関 は . 限定. た 。 貿易企業の 整理整頓. 統廃合 も 実 行 さ れ. つ き な が ら 財政部, 対外経済 貿 易 部 に も あ り ,. た 。 こ の結果 は 対外貿 易 の 拡 大 に 大い に 寄与す. 外貨業務 を お こ な う 金融機関 は , 外 国 為替銀行. る と こ ろ と な っ た。. で あ る 中 国銀行の ほ か. こ れ も 限定つ き な が ら. し か し そ の 一方で 国家全体 の 貿易 計 画 に 狂 い. 中 国人民建設銀行, 中 国 工商銀行. 中 国交通銀. が生 じ , 輸 出 入業務 に 混乱 が 生 じ は じ め た 。. 行. 中 国農業銀行, 中 国 国 内 の 外 国 銀行. 1991 年 に 入 っ て か ら の 貿易 制度改革 の 重 点 は ,. 銀行 に も 業務権限が付与 さ れて い る 。. ・. 合弁. 損益 自 己責任制の対外貿易企業へ の 全面的実施. こ の よ う な外貨収支 の 集 中 管理制度を い わ ば. と 外貨 留保制 の 変 更で あ る 。 膨大な財政赤. 「指令性」 外貨管理制度 と す る な ら ば, 1979年. (. ). 29. 字 を 抱 え る 中 央政府 は , 貿 易専業公司 に つ い て. か ら 実施 さ れて い る 「指導性」 外貨管理制度が. は 補 助 金支給の停止, 外貨留保率 の 調 整 (地区. 外貨留保制度 と い う こ と に な る 。 「指令性」 外. ご と の 異 な る 外貨留保制 を 改 め て, 商 品 大分類. 貨 管理制度 は 外 国為替管理手段 と し て の外貨割. 一. 的 留保制への 変更) を実施 し て , 独. 当 制度で あ る 。 企 業 は 承認 さ れ た 輸入計画 に 基. 立採算制へ の 道 を 歩 め る よ う に す る な ど貿易体. づ き 外貨 割 当 申 請を お こ な い , 認可後. 国 家外. 制 の 大改革が は じ ま っ た 。 従 来 国 家補助 で 成 り. 国為替管理局 に 外 貨 割 当 口 座 を 設 け . 必 要 に 応. 立 っ て い た 貿 易公司を 独立採算制 の メ カ ニ ズ ム. じ て 外貨 を購入す る こ と がで き る 。. ご と の統. に 転 換す る と 同 時 に , 伝統的 な 大 口 商 品 に つ い て は 厳格 な マ ク ロ コ ン ト ロ. ー. ル を 強 化 す る 措置. を と ろ う と す る も の で あ っ た 。 91年 1 月 に 発 表 さ れ た 対外貿易体制 改 革 に 関 す る 新 た な 措置. 「指導性」 外貨管理制度で あ り 輸 出 奨励 策 の ひ と つ と し て つ く ら れ た 外貨留保 制 は . 「輸 出 貢献企業 に 対 し て 優先的 に 生産用 資金が提供 さ れ る と 同 時 に , 輸 出 で 得た外貨の う ち 一定比率. は , こ う し た 独立採算制 を すべて の 貿易公 司 に. を手元に残せ る よ う に す る 制度」 (31) で あ る 。 す. 適用 し よ う と す る も の で , 企業 に 柔軟性 を あ た. な わ ち 外貨 を獲得 し , 中 央 ( 中 国銀行) に 売 却. え 公 正 な 条件下で の 競争 に よ っ て 積極性 を 促 そ. し た 地方政府 ・ 企業 は , 一定比率 に 基づ い て 留. う と す る も の で あ る 。 そ の 中 心 を な す の が外貨. 保外貨割 当 を得 る こ と が で き る 。 地方政府 ・ 企. 留保制の 改革, 外貨調整 シ ス テ ム の 改善で あ っ. 業 は 中 国銀行 に 留保外貨 割 当 口 座 (限定額 口 座). た。 中 国 の外貨管理の 主管部門 は , 中 国 人民銀行 総 行 に 所 属 す る 国 家外 国 為替 管理総局で あ る 。 つ ま り 同 総 局 は 国務院の直属機構で 中 国人民銀 済」 ア ジ ア経済研究所, 1990年12月 , 41頁。 凶 李嵐清 「外貿新体制実施情況良好」 「金融時報J 1991年 4 月 1 日 。 -10. を 開 設 し (32) , 必要時 に そ の 限度 内 で 中 央 か ら. 外貨を賭入す る こ と がで き る 。 使用 す る 際 は エ 閲 拙稿 「中 国 に お け る 銀行管理体制の 改革」 「鹿 経学叢」 第28巻第 3 号, 1982年 3 月 , 38頁。 (31) 小島末夫 「貿易管理体制の改革」 (小島麗逸編 著) 「中国 の経済改革」 勁草害房, 1988年, 261頁。 (32) 林荊州主編 「対外経済基礎知識」 福建人民出版 社, 1988年, 281頁。 C 98 ) -.
(11) 場, 公可および主管区, 県, 局ならびに主管委 員会の認可が必要である. (33). 業総公司等) がほぽ75%. 地方が25% C地方政. 。. したがって外貨留保制度の内容を大まか につ ぎのよう に まとめる こ とが できる. は, 国 (中央の財政・貿易部門, 中央の貿易専. (34). 。 (1)外貨. 府12. 5%と商品委託した企業12 . 5%) に配分さ れてきた (37) 。 配分と いって も 外貨その も のを. 留保機関とその比率は, 国務院または対外経済. 持つというのではな く , 外貨枠がそれぞれ配分. 貿易部が審査・認可する。留保比率は一定期間. されるという方法で実際に使用する場合は中央. 変動しない。(2)留保外貨は一般 に企業と地方政. 政府の認可 に よる引 き出しとなった。. 府が折半しているが, 独 自 の規定を実施してい. 地方の25%というの も 一率ではない。加工製. る地方 も 多い。(3)地方企業は 自 らの意志で留保. 品の輸出奨励のための外貨留保方式の改善では,. 外貨を使い, 技術, 設備, 原材料や科学研究,. 業種別 に 加工度に応じた外貨留保比率が設定さ. 医療, 教育などで必要な計測器, 資料などを購. れたが, 加工製品の留保比率は高 く , 一次産品. 入することができる。(4)留保外貨を使用するに. の留保比率は低 く 設定された。一般機械• 電気. あたっては,. 製品は50%, 工芸品·軽工業品・紡織品の3 業. 自 らの主管機関の 認可を 受けた. 後, その用途などを記入した申請表を提出し,. 種は70%, 精密加工製品を扱う企業の 一部たと. 最終的 に外国為替管理局の認可が下りれば使用 可能となる。(5)留保外貨はその額 に 関係な く ,. えば電子工業, 自 動車工業の輸出企業グル ー プ. 外貨調整センタ. ー. で調節することができる。. 外貨留保制度 に関する法制 も 「輸出商品外貨 留成 (留保) 試行規則」 (1979年 8 月 ),. は 100%それぞれ 留保できた。留保した外貨の 配分は, 70%の場合, 貿易企業が45%, 地方省 • 市が12 . 5%, 生産企業が12. 5%であった (38) 0. 「非貿. また経済特 区や沿海港湾都市では他地域より多. 易外貨留成試行規則」 ( 79年 8 月 ), 「外貨留保. く 留保できた <39> c経済特区は100%, 広東省70. 額の調整 に 関する 暫定規則」 ( 81年, 国家外国. %などの高比率)。少数民族辺境地域 も 優遇 (40). 為替管理局), 「輸出商品外貨留成試行規則改正. された。. 通知」( 1982年3 月 ), 「輸出商品外貨留成規則」 (85年3 月 ) など順次整備されている (35) 。 それでは輸出 に よる獲得外貨の留保比率はど の く らいか。輸出 による外貨収入の各部門, 地 方, 企業の配分比率は1980年以来たびたび調整 されてきた。地方の商品輸出 に応じて割当され る留保の割合は, 国務院通達によりその時期に 応じて 改定されながら すすめられてきた。「省 ベ ー スの地方政府に残された留保額は省政府が 自 ら使用する分を確保したうえ, さら に 輸出企 業, 輸出を指等する県政府および関連貿易公司 に細か く 配分」(3 6) されてきたのである。 従来は地域別 に異なる輸出猥得外貨留保率で あり, 大まか に ,. 一. 般の地域での輸出獲得外貨. 図 石 造 「中国外貿制度透明度解答」 「国際商報J 1988年1月12日- 5月3 1日。 (34) 『中国経済速報J 1991年2月 4 日。 (お) 洪志華 「我国留成外泄制度的 建 立与発展」「国 際商報」 1990年10月27日。 閲 慮 琉, 前掲 論 文, 45頁。 -11. そのため留保率の高い地域の公司が低い地区 で輸出用商品を高値で買いためるなど不公正な 競争関係が生じ, 貿易秩序が混乱していた。こ れを改め1991年から全国統 一 に商品の大分類別 に外貨留保比率を定めた。そして人民元切り下 げ, 貿易収支の好転, 公司の統廃合に伴って同 年 1 月 から上述したように , 貿易公司に対する 輸出補助金制度 も 全廃された。輸出補助金の廃 止は, 輸出拡大, 産業構造・商品構 造の調整を促 進し, 企業の経済効率の向上を 目 的とし, 貿易 (3'7) 小島末夫, 前掲 論 文, 261-263頁。 洪志華, 前 掲 論 文。 閲 「採取多種政策 措施推進外貿体制改革 ー一対外 経済貿易部 副部 長李嵐清答記者間」 『人民 日報」 1987年10月16日。 李嵐清 「中国 外貿体制 改革」 『中国対外貿易」 1988年第1期, 6 - 7頁。. (39) Margaret M. Pearson, Joint Ventures in the People's Republic of China —The Control of Foreign Direct Investment under Socialism -―, Prins ton, 199 1 , p . 15 7 .. (40) 洪志華, 前掲 論 文。 C 99 ) -.
(12) 第2 図 一 般商品輸出の留保比率 1990年以前 ( 中 央 配 分) (地方配分). 4. ’ , . .. ( 経済特区及 び精密加 工 • 自動車工業な ど ). '>. 45 12 . 5 ) 12 . 5. `| ゜. 外貿易鑓. 10 ( 対 生産 企業 地方政府. .. 30. 50 う ち有償上納30 対外 貿: 業2 0 [ 生産企業10 l. 地 `. i l. 50. 9|. ( 広東省及 び軽工業 ・ ) 工芸 • 紡織な ど. 50. 対. ). 25 業 10 50呼 止 緬 外 方. ( 機械 • 電気 ・ プ ラ ン ト など. i. 75. (一般商品輸出). 1991年 以後 単位 : % (中 央 配 分) (地 方 配 分). 100. 出所) 「国際商報』 『経済導報』 「北京週報J 『中国通信」 な ど中国側資料に基づき 作成。 一. 体制を計画経済と市場経済の結合の方 向にお し. 央の 国際収支 改善策の. すすめ, ま た企業の国際市場進 出 とい う而で意. る。 し か し この制限措置は一方において 企業の. 義をもつものの, 貿易企業が完全な 自 主経営,. 輸 出 意欲を低下させる。 そ こで外貨留保の使用. 環であ っ たからで あ. 独立採算制を実行する こ との困難さ, 不合理な. 制限枠を 緩和 し そ の比率を 高める こ とにな っ. 価格体系, 企業の経済効率の停 滞などの面から. た。 問 題は90年代に入 っ て から到来 した対外債. 新措置推進には大きな障害が存在 している。. 務返済である。 中 国の対外債務残高は急速に増. 留保外貨の比率は一定期間 固定されるが, こ. し, 90年末で 450億 ド ルを上回 っ た。 そ のため. れが同類商品であれば全国統一 の留保率とな っ. 外貨管理はきび し く なり, 外貨留保額の使用制. た。 一般商品の場合, 獲得外貨の50%を国 (中. 限枠も今後議論されて こ よ う。. 央) に, 1096を地方政府に上納する。 地方配分 の40�るが対外貿易企業の留保分である。 国の50 形の う ち有償上納が30% C対外貿易企業2096, 生産企業10%) である。 委託加工貿易は加工賃 の 109'るを国に上 納し, 90%留保する。 機械電気 製品輸 出による外貨収入は有償で30;lる上納する (対外貿易企業に 2096,. 生産企業に1096) <41 ) 。. 企業に留保された外貨は外貨調整 セ ン タ. ー. で売. 却するか自主輸入に使用できる (42) 。 輸 出 奨励のための地方, 企業の外貨留保率の. さらに指摘できる問題点がある。 たとえば外 貨留保率の引き上 げは, た し かに輸 出の奨励に 拍車をかけるものであり効力 をもつものとい え るが, 直 接的には関税など税制面での優遇措置 がより輸 出 の拡大につながるであ ろ うとい う点 である。 また留保制の実施にもかかわらず, 獲 得外貨の使用手続きが煩雑である こ と, さらに は留保外貨が小 口 分散化 し て いる点などい く つ かの課題が残されて いる。. 引き上げで国の取り分が減り貿易公司の取り分. VI. が増 えるための貿易経営に積極性ができてきた ことはた し かである。 とい っ て も1980年代には 地方ベ ー スの外貨留保に対 し て は, 年間使用制. 外貨調 整 シ ス テ ム の改善. 対外 開 放の. 一. 屈の 深化 • 発展と 対外 貿易業. 限枠を設定 し, 外貨の対外支払いにきび し い措. 務の 拡大につれて 外貨調整 業務は 大きな役割. 置をと っ て きた。 外貨準備高の減少に対する中. を果たすことにな っ た。 1 979年に輸 出 企業に外. (41) 「中国の 外貨管理制度」 「中国経済」 JETRO, 199 1年10 月 ,52頁。 (42) 張松満 「中国 外 貿 体制的進一歩 改革 和完善」 「中国対外貿易」 199 1年5 月 , 7頁。「中国通信」 199 1年 1 月29 日 。. 貨留保制度枠の保有が認められた直後に, 企業 間 の外貨 バ ラ ンスの 過不足が 生 じる 事態とな っ た。 外貨調整のための取り引き市場が必要と な っ た。 外貨調整業務が開始されたのは1980年. -12 ( 100 ) -.
(13) 10月であったが (43) , 明 文化されたのは, 「外国. タ. ー. 間および中央政府各省庁間の外貨額と現金. 企業の投資奨励に関する規定」 (1986年10月 国. 為替の調節業務を処理 し て おり, また各地区の. 務院公布) および地方省・市 レ ベルの 「投資奨. 外貨調整 セ ン タ. 励規定」 で, 外国投資企業は外貨の過不足を相. 貨の調 整をおこなっている。 調整セ ン タ. 互に調整することができると規定さ れた。 こ れ. 営利機関であり それ自体 外貨の 売買は できな. ー. は 当 然 , 主に 当 該地域 内の外 ー. は非. は中国側が外資系企業の外貨バ ラ ンス 問 題への. ぃ。. 配慮 (44) とともに 外貨過不足の企業間での外貨. り, たとえば深訓の調整セ ン タ. と人民元との交換を承認した こ とになる。 外貨. 行深訓支店, 珠海市では市政府の直属機構, 福. 不足を きたした 外資系企業に 対して 管理当 局. 建省は外国為替管理局所管下の独立機構となっ. は, 個別に余剰外貨を保有する企業との間で調. て いる (4 9) 。. 整 し, 一方で企業自身, たとえば ホテルなど投. その行政機構は 各地域により 異なって お. 上海の外貨調整 セ ン タ. ー. ー. は中国人民銀. は中国交通銀行上海. 資 回 収の早い 企業は, 外貨を 中国銀行に 預金. 分行に 設置されている。 また 中国銀行 上海分. し, 必要に応じて公定 レ ー トで人民元に交換す. 行, 中国エ商銀行などに専門両替場を設け個人. る業務をはじめたのである (45). 外貨調整業務を代理処理されている。 1990年の. 中国の外貨調整セ ン タ. ー. (「外罹調剤中心」). 上海 セ ン タ. ー. での取り引き価格の最高は 1 ド )レ. は国営企業が留保外貨枠を需給に応じて 交 換す. 5 . 93元, 最低は 1 ド ル 5 . 49元であった。 年間調. る場として 創設された。 まず1985年末には経済. 整取り引き額も 89年の 全国の 外貨調整額 85億. 特区 ・ 深訓で外国企業同士の外貨交換がはじめ. 6 , 600万 ド ルの うち12億 9 , 000万 ド )レ, 90年 には. て 認められた (46) のを皮切りに , 1986年11月上. 全国の 外貨調整額 131億6, 400万 ド ルの うち,. 海で外資系企業の外貨バ ラ ンス問題を解決する. 14 . 1形の 18億 6 , 000万 ド ルを 占 めて 各省 • 直 轄. が設立された。 その. 都市のな かで 最も多い (50) 。 購入した 外貨は主. 後全国の各省 • 自治区, 直 轄都市にも設立され. と し て 生産原料, 補助原料. 先進的技術設備の. ため上海外貨調整セ ン タ. ー. た(90年末の全国の外貨調整セ ン タ 所である) (. 4 ) 7. ー. は90余 力. 。 86年12月からは 外国投資企業と. 国営企業との外貨交換も認められるよ うになっ た。 個 人の外貨交換業務も開始された. (48). 。 省・. 導入と科学教育衛生事業などに使用される (51) 。 外貨調整 セ ン タ. ー. の取り引き 内 容は外貨留保. 額が主であるが, 当 初地方政府. 国営企業, 民 営企業および外資系企業に限られていたのが,. 市以外の計画単列都市, 経済特区および沿海地. 個 人の参加も認められるよ うになった。 外資系. 域にも外貨調整代行事務所が設立され, 88年,. 企業の保有外貨および国家外国為替管理局の許. 北京には全国外貨調整セ ン タ. ー. が設けられた。. 可を得た 他の外貨も 売買されている (52) 。 外貨. 北京の全国外貨調整セ ン タ. ー. は, 各地域 セ ン. 調整セ ン タ. (43) 劉志平 「我国 外 泄 調剤市場存在的主要問題及対 策」「中国金融J199 1年 1月, 45頁。 (44) 国家 外 泄管理局 「 外 泄 管理体系 及有関政策」 『国際経済合作」 (中国対外経済貿易部国際経済合 作研究所)1990年11月 , 2 6-2 7頁。 (45) 池上隆介 「上海の外 為市場」 『 日中経済協会会 報」 1988年5 月 , 39頁。 (46) 国家 外 泄管理局, 前掲論文,2 7頁。 (4り 「北京週報」 199 1年5月 14 日 , 3 1頁。 (48) 個人所有の外 貨推定総額は約40 億 ド ル。 公定為 替 レ ー ト と 外貨調整セ ン タ ー の成約 レ ー ト 間に は 価格差 があることか ら . 個 人 外 貨が参入すると調 整市場に よ り多 く の 「供給源」 を もたら すことに なった( 「北京週報」 199 1年5月14 日。 3 1頁)。 -13. ー. はまた, 外資系企業の外貨資金の. 相 互融通を促進する こ とを 目 的のひとつとして おり, 「外資系企業が 輸出 • 国 内 販売で得た外 貨, 出資 し た外貨資本, 国 内外の銀行から借り 入れた外貨および他の外国為替管理部門の認可 を得た外貨はすべ て調整 セ ン タ. ー. に登録し売る. (49) 慮 琉 「中国の 外 貨 留保制度 ( II ) 」 『アジア経 済J 199 1年 1 月 , 44頁。 (;il) 張光華 「 外 泄 調剤市場与外 貿体制改革」 「 国際 貿易」 1991年8 期, 40頁。 (51) 「上海 外 国為替 調整市場」『北京週報J 199 0年11 月 13 日 , 3 1頁。 (52) 慮 埠, 前掲論文 ( II ) , 44頁。 ( 101 ) -.
(14) こ と がで き る 」 (53) と し , こ う し た 調整機能 は 外 国為替市場の先駆的形態 と 位置づ け ら れ た 。 な. さ れて い る (54) 0 外貨調整 セ ン タ. ー. は , 以 上論 じ て き た よ う に. ぉ , 外貨調整高 の 増 大 に伴 っ て , 外貨取 り 引 き. 相 当 量 の外貨の 需給が市場 に お い て 調整 さ れ.. を さ ら に 開 放的 な 方式 に 改 め る 必要 か ら , 1988. そ れ に よ り 輸入 の 抑制, 外貨不足 の 緩和 , 外貨. 年 9 月 か ら 外貨誨整公 開市場の 開設が 相 次 い. 獲得企業 の 経営 お よ び融資力 の 向 上がすす め ら. だ。 外貨調整 セ ン タ. れ, 同 時 に外資企業の 経営環境 の 改善 に も 役立. ー. と 区別 さ れて お り ,. 上. 海, 夏門, 福 州 , 深訓, 海 口 , 杭州 な ど に 形成. つ もの と なろ う 。. (53) 『 中国通信J 1986年11月 4 日 。 (54) 「 中 国通信」 1991年 5 月 9 日 。. -14. ( 102 ) -.
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