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臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ質量分析計を用いた臭気原因物質の特定手法

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Academic year: 2021

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(1)第89巻 第6号(第 1029 号). 臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ質量分析計を用いた 臭気原因物質の特定手法              . 森内、市川、橘高 大瀬、吉澤、宮川. 「技術メモ」. 臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ 質量分析計を用いた臭気原因物質の特定手法 森  内  裕  香. 市  川     豊. 橘  高  雷  太. 大  瀬  俊  之. 吉  澤  健  一. 宮  川     修. 東京都水道局          研修・開発センター開発課. 東京都水道局          朝霞浄水管理事務所三園浄水場. 東京都水道局          多摩水道改革推進本部      調整部水質管理担当課長. 東京都水道局          東村山浄水管理事務所玉川浄水場. 東京都水道局          水質センター検査課. 東京都水道局          水質センター検査課長. 要旨:東京都水道局では、水道水の臭気異常への対応力強化を目的として、臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグ ラフ質量分析計を導入し、臭気原因物質の特定手法の開発を目指している。手法開発の手始めとして、当局にお いて過去に甚大な被害を受けた玉ねぎ腐敗臭の原因物質をターゲットとして、分析条件の検討、MS スペクトル による構造解析を踏まえ、原因物質の特定に至る手法を明らかにした。 キーワード:臭気物質、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS) 、塩素消毒 分 類 項 目:機器分析(120205)、消毒副生成物(121003). 1. はじめに. 出口に分岐装置を有し、カラム分離後の試料が. 東京都水道局では、従来から実施している水源 から蛇口までの水質管理に加え、近年のライフス. MS 部と臭い嗅ぎポート部の2方向へ分岐される ことで、目的とする化合物の MS スペクトルと人. タイル変化に伴う水道水質に対するお客さまニー. の鼻で嗅いだ臭気情報が同時に取得できる装置で. ズの高まりに応えるため、平成16年度に、カルキ. ある(図 -1、図 -2) 。このため、実際に臭気を感. 臭の指標の残留塩素、トリクロラミン、かび臭原 因物質、有機物等8項目について、国が定めた水 質基準より高いレベルで、 「おいしさに関する水. 知した時の MS スペクトルから化合物を探索する. ことができ、通常の臭い嗅ぎがない GC/MS より. も効率良く臭気原因物質の特定が可能となる。. 質目標値」を独自に設定している1)。 当局はこうした取り組みにより安全でおいしい 水の供給に努めてきているところであるが、お客 さまからの水道水の臭気に関する問い合わせは少 なくない。また、臭気に係る水質事故の発生も危 惧され、水道水の臭気への対策の強化が必要であ る。このため、当局では、臭い嗅ぎ機能付きガスク ロマトグラフ質量分析計(以下「Sniffing-GC/MS」 という。)を導入し、臭気原因物質の特定手法の 開発を進めている。本機器は、GC 分析カラムの (  ) 11. 図 -1 Sniffing-GC/MS.

(2) 第89巻 第6号(第 1029 号). 水  道  協  会  雑  誌. 令和2.6. 表 -1 分析機器の測定条件 Sniffing-GC/MS 臭い嗅ぎ部 GC. 図 -2 Sniffing-GC/MS 概略図. Gerstel ODP3. GC-MS/MS −. Agilent 7890B GC System. 試料導入方法. 液体注入. インサートライナー. Restek sky ライナー  シングルグースネッ クライナー. 注入モード. パルスドスプリット レス. 注入量. 0.5μL. 注入口温度. 40℃. パルス圧. 75psi, 0.5分. カラム. Agilent HP-5ms UI. オーブン. 40℃(3.5分) → 10℃ / 分 → 160℃(0分) → 20℃ / 分 → 280℃(5分). MS. Agilent 5977A MSD. Agilent 7010 GC/MS Triple Quad. が経っているにも係らず未だに臭気原因化合物と. イオン源温度. 230℃. 320℃. して特定されていないため選定した。. イオン化法. EI+. イオン化電源. 70eV. ペクトルによる構造解析など臭気原因物質の特定. インターフェース温度. 250℃. 手法を明らかにし、シクロヘキシルアミンの塩素 反応によって生成する玉ねぎ腐敗臭物質は、N, N-. 測定モード. スキャン(33−350). 図 -3 玉ねぎ腐敗臭化合物の生成. Sniffing-GC/MS を活用した臭気原因物質の特. 定手法の開発に向け、まず、過去に当局や周辺の 水道事業体に甚大な被害をもたらした異臭事故で あるシクロヘキシルアミンの塩素処理により発生 する玉ねぎ腐敗臭の原因物質をターゲットにし. た2−6) (図 -3)。この物質は、出発化合物が分かっ ているため検討しやすく、事故発生から長い時間. Sniffing-GC/MS 等を用いた分析の結果、MS ス. ジクロロシクロヘキシルアミンであることを特定 した。. また、N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンで. 分解性及び残留塩素除去操作に留意しないと、無 臭の化合物に分解してしまうことが明らかになっ たので報告する。. 左と同一. オートサンプラー付7890B GC システム)を使用 した。それぞれの分析機器の測定条件は表 -1に 示した。 2.2 試薬. あることを特定するにあたり、分析条件として、 注入口条件及び分析カラムの分岐装置並びに水中. 左と同一. シクロヘキシルアミン(特級)及びシクロヘキ. シル -d11- アミン(98 atom% D)は関東化学社製. を 使 用 し た。N- ク ロ ロ シ ク ロ ヘ キ サ ン イ ミ ン (98.6% GC)及び N, N- ジクロロシクロヘキシル アミン(98.8% GC)の標準品は、国内の試薬メー. 2. 調査方法 2.1 分析機器. カーでの通常販売がなかったため、和光純薬工業. シクロヘキシルアミン塩素反応生成物及び標. (現:富士フイルム和光純薬)へ委託合成するこ. 準品の分析は、Sniffing-GC/MS(Gerstel 社製 臭い. とにより入手した。次亜塩素酸ナトリウム溶液. 嗅ぎシステム ODP3及び Agilent 社製 7890B GC、 5977A MSD)及び GC-MS/MS(Agilent 社製 PAL3. (有効塩素5.0%以上)は関東化学社製を使用した。 メタノール(LC/MS 用)及びジクロロメタン(残. (  ) 12.

(3) 第89巻 第6号(第 1029 号). 臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ質量分析計を用いた 臭気原因物質の特定手法              . 森内、市川、橘高 大瀬、吉澤、宮川. 留農薬・PCB 試験用)は和光純薬工業(現:富 士フイルム和光純薬)社製を使用した。超純水は、 Milli-Q Integral 5で製造したものを使用した。. シクロヘキシルアミン、シクロヘキシル -d11アミン、N- クロロシクロヘキサンイミン及び N,. N- ジクロロシクロヘキシルアミンは、1,000mg/L のメタノール溶液を調製し、各実験の目的の濃度 となるように添加して使用した。 2.3 分析方法. 図 -4 シクロヘキシルアミン塩素反応生成物の TIC. 2.3.1 臭気原因物質の構造の推定 玉ねぎ腐敗臭原因物質は、シクロヘキシルアミ ン20mg/L、次亜塩素酸ナトリウム50mg/L となる ように調整した溶液を1時間静置し発生させた。 この水溶液10mL をジクロロメタン4mL で抽 出した後、無水硫酸ナトリウムで脱水し、GCMS/MS 及び Sniffing-GC/MS で分析した。. 塩素置換部位を特定するため、基本骨格である. シクロヘキシル環が重水素化されたシクロヘキシ. ル -d11- アミンを用い、上記と同様の操作を行い、. 得られた MS スペクトルを比較することで、塩素. 化された部位を含め、反応生成物の構造を推定し た。 2.3.2 臭気原因物質の特定 2.3.1で玉ねぎ腐敗臭原因物質として推定された 化合物について標準品を入手し、官能試験法によ る臭気確認及び GC-MS/MS、Sniffing-GC/MS の 分析を行った。. 標準溶液は1,000mg/L メタノール溶液として調 製した。官能試験法による臭気確認には、1mg/L となるよう標準溶液を超純水で希釈したものを使. 図 -5 シクロヘキシルアミン塩素反応生成物の MS スペクトル. 標準溶液をジクロロメタンで希釈して100mg/L. 相対強度比9:6:1で検出された(図 -5) 。. 用し、GC-MS/MS 及び Sniffing-GC/MS 分析には、 としたものを使用した。. 塩素の同位体存在比から、化合物 A は分子内. に塩素原子が1つ、化合物 B は塩素原子が分子. 3. 結果及び考察 3.1 臭気原因物質の構造の推定. 玉ねぎ腐敗臭原因物質を GC-MS/MS で分析し、. 得られた TIC を図 -4に示す。保持時間が早い順. に化合物 A 及び B が検出された。これらの化合. 物は、高質量側に検出されるピークに特徴的な同 位体ピークを有し、化合物 A は m/z=131に対し. て+2の133に相対強度比3:1で、化合物 B は m/z=167に対して+2の169及び+4である171に. 内に2つ存在することが示唆された。さらに、シ. クロヘキシルアミンの分子量(C6H13N=99)から、. そ れ ぞ れ の 化 合 物 の 組 成 式 は、 化 合 物 A が. C6H10ClN、化合物 B が C6H11Cl2N であると推定さ れた。. このとき、Sniffing-GC/MS 分析の結果、それ. ぞれの化合物の臭気は、化合物 A がジクロロエ タン様の溶剤臭、化合物 B が玉ねぎ腐敗臭であっ. (  ) 13.

(4) 第89巻 第6号(第 1029 号). 水  道  協  会  雑  誌. た。 続いて、基本構造を推定するため不飽和度を計 算した。それぞれの化合物の組成式から不飽和度 を計算すると、反応前のシクロヘキシルアミンは 環状構造を示す1、反応生成物である化合物 A. は環状構造と二重結合を示す2、化合物 B は環. 令和2.6. が、化合物 A は化合物 A と比較して10、化合物 B は化合物 B と比較して11増加していた。この. 結果から、化合物 A はシクロヘキシル環の重水 素が1つ脱離し、化合物 B はシクロヘキシル環. の全ての重水素が保持されていると考えられた。. 以上の結果から、化合物 A 及び B の塩素置換. はシクロヘキシル環様構造にイミン結合を有する. 位置はアミン水素であり、化合物 A がイミン結 合を持つことが示唆され、化合物 A は N- クロロ. 持つ可能性が考えられた。. ロシクロヘキシルアミンであると推定された。. 状構造を示す1となった。この結果、化合物 A. 可能性が、化合物 B はシクロヘキシル環構造を. シクロヘキサンイミン、化合物 B は N, N- ジクロ 3.2 臭気原因物質の特定. 次に、塩素置換部位を特定するため、基本構造 であるシクロヘキシル環が重水素化されたシクロ. 3.1で推定した化合物を確定するため、標準品. ヘキシル -d11- アミンを用い分析を行った。得ら. を入手し GC-MS/MS で分析を行った。得られた. MS スペクトルを図 -6に示す。. に示す。分析の結果、シクロヘキシルアミン塩素. れ た 塩 素 反 応 生 成 物 の GC-MS/MS 分 析 に よ る. TIC 及び MS スペクトルをそれぞれ図 -7、図 -8. れば、シクロヘキシル環上の重水素11個分の11、. 反応生成物中の化合物 A はジクロロエタン様の 溶剤臭である N- クロロシクロヘキサンイミン、. シクロヘキシル環の1か所から脱離があれば重水 素10個分の10増加した m/z が検出されると考えら. B は玉ねぎ腐敗臭である N, N- ジクロロシクロヘ キシルアミンであることが判明した(表 -2) 。. 高質量側に検出されたピークとその同位体ピーク. ヘキサンイミン標準品がジクロロエタン様の溶剤 臭、N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン標準品. 塩素反応後もシクロヘキシル環構造が保持され. Sniffing-GC/MS での臭気は、N- クロロシクロ. れる。図 -5と比較すると、それぞれの化合物の. が 玉 ね ぎ 腐 敗 臭 で あ り、 そ れ ぞ れ の 標 準 品 の. Sniffing-GC/MS における臭気は水溶液の臭気と. 図 -6 シクロヘキシル -d11- アミン塩素反応生成物の MS スペクトル. 図 -7 N- クロロシクロヘキサンイミン標準品の TIC 及び MS スペクトル. (  ) 14.

(5) 第89巻 第6号(第 1029 号). 臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ質量分析計を用いた 臭気原因物質の特定手法              . 森内、市川、橘高 大瀬、吉澤、宮川. 留意しないと、分解してしまうことが明らかに なった。 3.3.1 注入口条件 注入口での N, N- ジクロロシクロヘキシルアミ ンの分解は、不活性でない注入口部品やインサー トライナーにウールを使用した場合、注入口温度 が高い場合、サンプル注入速度が遅い場合に起 こった。特に、インサートライナー底部にウール が入っている場合に分解しやすかった。底部に ウールが入ったインサートライナーを用い、注入 口温度180℃、スプリットレスモードの SniffingGC/MS で N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン. 標準品を測定したとき、N, N- ジクロロシクロヘ キシルアミンは不検出となるまで分解し、化合物 C 及び N- クロロシクロヘキサンイミンが検出さ れた(図 -9参照。GC 流量設定が異なるため図 -4 図 -8 N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン標準品の TIC 及び MS スペクトル 表 -2 シクロヘキシルアミンの塩素反応生成物とし て同定された化合物. 一致していた。 以上の結果より、シクロヘキシルアミン塩素化 反応生成物中の玉ねぎ腐敗臭は N, N- ジクロロシ. の保持時間とは一致しない。それ以外の測定条件 は表 -1と同じ)。. 化合物 C は、N- クロロシクロヘキサンイミン 及び N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンよりも さらに早い保持時間に検出され、MS スペクトル から N- クロロシクロヘキシルアミン(C6H12ClN). 図 -9 N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン標準品の 注入口分解生成物(TIC). クロヘキシルアミンによるものであることが示さ れた。 3.3 臭気原因物質の特定における分析条件の 留意点 分析条件の検討過程で、N, N- ジクロロシクロ ヘキシルアミンであることを特定するにあたり、 分析条件として、Sniffing-GC/MS の注入口条件 及び分岐装置、並びに N, N- ジクロロシクロヘキ シルアミンの水中分解性及び残留塩素除去操作に (  ) 15. 図 -10 化合物 C の MS スペクトル.

(6) 第89巻 第6号(第 1029 号). 水  道  協  会  雑  誌. 令和2.6. と推定された(図 -10) 。この化合物 C は SniffingGC/MS 分析で臭気が感じられなかったことか ら、無臭である可能性がある。. 続いて、注入口温度の影響を検証した。本調査. で使用した Sniffing-GC/MS には、加熱脱着装置. が付いた注入口がある。この装置では、SBSE(ス ターバー抽出)法で前処理を行ったツイスターを 直接注入口へ挿入し、加熱脱着することができ る。この装置を使用して、シクロヘキシルアミン 塩素反応溶液を分析した場合、加熱脱着温度が低. 図 -11 N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン標準品の 金属表面での分解(抽出イオンクロマトグラム). 温と高温の場合では検出される化合物が異なっ た。160℃では N, N- ジクロロシクロヘキシルア ミン、N- クロロシクロヘキシルアミン及び N- ク. ロロシクロヘキサンイミンが検出されるのに対し て、260℃では160℃で検出されていた3化合物の うち2化合物は分解し、N- クロロシクロヘキサ ンイミンのみとなり、他にシクロヘキサノン等の シクロヘキシル環を持つ化合物が多数検出され た。. 図 -12 化合物 D の MS スペクトル. この結果、図 -9のように注入口条件によって は N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンが全く検. 半分にあたる m/z=96に相対強度が強いピークが. 出されなくなるまで分解してしまうこと、さら. あることから、シクロヘキシルアミンの基本構造. に、注入口温度を高くしていくと、分解生成物で ある化合物 C も分解して N- クロロシクロヘキサ. 基本骨格を確認するため、シクロヘキシル環が重. ンイミンとなることがわかった。. 3.3.2 Sniffing-GC/MS の分岐装置. 次に Sniffing-GC/MS の分岐装置が N, N- ジク. を2つ有する可能性が考えられた。さらに D の 水素化されたシクロヘキシル -d11- アミンを用い. て、同様に塩素反応による分解生成物を分析し た。. ロロシクロヘキシルアミン(標準品)の分解に及. シクロヘキシル環構造が保持されれば、シクロ. ぼす影響を調査した結果、分岐装置内金属製流路. ヘキシルアミンの場合、シクロヘキシル環1つに. が長いものほど分解生成物の割合が高いことがわ. 対して環上の重水素11個分の11、シクロヘキシル. かった。このとき分解生成物として化合物 D が 検出された。この分解生成物 D は、N, N- ジクロ. ロシクロヘキシルアミンとほぼ同じ保持時間に検 出されるため、N, N- ジクロロシクロヘキシルア. 環が2つであれば、環上の重水素22個分の22増加 した m/z が検出される。 分析の結果、高質量側に検出されたピークは D. ミンに対する D の生成量が多い場合は臭気を感. の m/z=192に対してシクロヘキシル -d11- アミン の塩素反応による分解生成物では20増加した m/z. クロヘキシルアミンは m/z=167、D は m/z=192. 後もシクロヘキシル環の基本骨格は保持するが、. のイオンをそれぞれ抽出) ) 。. 一部は二重結合化したシクロヘキサンイミン様の. じることができなかった(例として抽出イオンク ロマトグラムを図 -11に示す(N, N- ジクロロシ. ここで、分解生成物 D の MS スペクトルを図 -12に示す。D は、高質量側に検出された m/z= 192のピークを分子イオンピークとすると、192の. =212となった。. 以上を考慮すると、分解生成物 D は塩素反応. 構造を持ち、さらにそれらが2量体のような結合 構造を有する、図 -13に示すシクロヘキサノンア. ジン(C12H20N2、分子量192)のような構造を有す. (  ) 16.

(7) 第89巻 第6号(第 1029 号). 臭い嗅ぎ機能付きガスクロマトグラフ質量分析計を用いた 臭気原因物質の特定手法              . 森内、市川、橘高 大瀬、吉澤、宮川. クロロアミン構造を持つ化合物は、同様の性質を 持つと考えられ、本調査で使用した分析条件や対 処方法を適用できる可能性がある。 4. まとめ 臭気原因物質特定手法の確立を目指し、玉ねぎ. 図 -13 シクロヘキサノンアジン. 腐敗臭原因物質をターゲットとして調査を行っ た。その結果、MS スペクトル等を用いた構造解. る可能性が考えられた。 3.3.3 水中分解性及び残留塩素除去操作によ る消失 N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンの性質と して水中分解性及び残留塩素除去操作による消失. が挙げられる。水中では HCl 脱離により分解す. る こ と が 報 告 さ れ て い る が 、 本 調 査 で も、 7). 20mg/L となるようにリン酸緩衝液(pH 7)で調 整した N, N- ジクロロシクロヘキシルアミン溶液 において、1時間静置後、N, N- ジクロロシクロ ヘキシルアミンに加えて N- クロロシクロヘキサ ンイミンのピークが生じた。このとき、官能試験 による水溶液の臭気は玉ねぎ腐敗臭のままであ り、N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンの一部 が水中で分解したと考えられた。. 析手法に関する知見を得た。. また、Sniffing-GC/MS 及び GC-MS/MS を用い た構造解析の結果、原因物質は N, N- ジクロロシ クロヘキシルアミンであることを特定した。 さらに、この特定の過程における分析条件の留 意点についても明らかにした。 参 考 文 献  1)東京都水道局 HP、おいしさに関する水質目標. https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/suigen/s_mokuhyo. html.  2)東 京 都 水 道 局、 昭 和45年 度 水 質 年 報1-2、pp.373-377、 pp.383-385、1970  3)東京都水道局、利根川系水道水臭気発生事故報告.東京都 水道局調査資料 No.32、pp.1-15、1972. 残留塩素除去操作による消失は、過剰量のアス コルビン酸ナトリウムまたはチオ硫酸ナトリウム 添加によって確認され、数分程度で玉ねぎ腐敗臭 は消失し、水溶液の臭気はジクロロエタン様の溶 剤臭へ変化した。この溶液をさらに1時間静置 し、GC-MS で分析した結果、N, N- ジクロロシク.  4)東京都水道局、昭和54年度水質年報、pp.328-329、1979  5)東京都水道局、昭和58年度水質年報、pp.354-355、pp.509517、1983  6)加藤龍夫、石黒智彦、朝霞浄水場異臭水の原因解明:環境 研究における GC-MS 適用事例、横浜国立大学環境科学研 究センター紀要、4(1)、pp.13-23、1978  7)Zoltan Takats, Kimberly. J. Koch and R. Graham Cooks; Organic chloramine analysis and free chlorine quantification by electro-. ロヘキシルアミンのピークは消失し、N- クロロ. spray and atmospheric pressure chemical ionization tandem mass. シクロヘキサンイミン及びシクロヘキサノンの ピークが検出された。 N, N- ジクロロシクロヘキシルアミンと同様に. (  ) 17. spectrometry. Anal. Chem., 73, pp.4522-4529, 2001. . (令和元年6月24日受付).

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