アドベンチャーカウンセリングの授業 実 践に関 する研 究 ②
授 業 を 通 じ ての 学 生 の ソ ー シ ャル スキ ル と 行 動 変 化 に つ い て I 。 問 題 と 目 的小 西 浩 嗣・ 深 田 幸 嗣
本 学 心 理 福 祉 学 部 心 理 学 科 で は、2004 年 学 部 学 科 開設 と と も に心 理 実 習 室 に 屋 内型 の ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グ の 専 用 コ ー スを 設 置 し 、 以 来 ア ド ベ ン チ ャ ーカ ウ ン セ リ ン グ を 取 り 入 れ た 学 部 生 教 育 を 行 っ て い る 。 本 来、 ア ド ベ ン チ ャ ー 教育 と は、 ダ イ ナ ミ ッ ク な 自然 環 境 の 中で の活 動 を 通 し て 個 人 ・ グ ル ー プ が 学 び成 長 す る た め の 教 育 手 法 で あ る。 そ の 発 祥 は1941 年 イ ギ リ スで 生 ま れ た「 ア ウ ト ワ ー ド ・ バ ウ ン ド ・ ス ク ー ル(Outward Bound School ; OBS)」 で あ る。 登 山、 ロ ッ ク ク ラ イ ミ ン グ、 沢 登 り な ど 、 さ ま ざ ま な 冒 険(野 外)活 動 を 通 し て 自 己 の可 能 性 や あ り方 、 ま た他 人 を 思 い や る 心 な ど、 豊 か な人 間 性 を 育 む こ と を 目 的 に し て い る( 日本 ア ウ ト ワ ー ド ・ バ ウ ン ド 協 会)。 ま た、 プ ロ ジ ェ ク ト アド ベ ン チ ャ ー(Project Adventure ; PA)は1960 年代 後半 に、 ア メ リカ ・ マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 の 高 等 学 校 で 実 験 的 に ス タ ー ト し た 、 OBSの 考 え 方 と 手 法 を 既 存 の 学 校 教育 や 社 会 教 育 に取 り 入 れ た プ ロ グ ラ ム であ り、 自 己 概 念 や 社 会 性を 向 上 さ せ る と さ れ て い る。 そ の 一 方 で、 病 院 や 療 養 施 設 等 医 療 機 関 で の 治 療 プ ロ グ ラ ム、 さ ら に は犯 罪 を 犯 し た 青 少 年 の 更 生 プ ロ グ ラ ム等 、 多 様 な 分 野 に お い て 導 入 さ れて い る(Schoel, Proudy & Radcliffe, 1989) 。 日 本 に お い て は1995 年 に プ ロ ジ ェ ク ト ア ド ベ ン チ ャ ー ジ ャ パ ン(PAJ)が 設 立 さ れPA の 手 法 普 及 お よ び指 導 が 始 ま っ て い る( 難 波 、2006) 。 徐 々 に 広 が り を 見 せ て い る と はい え 、 日 本 に お け るPA、 ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グ の 実 践 事 例 や 研 究 は少 数 で あ り 、 特 に 大 学 の 授業 カ リ キ ュ ラ ム に お け る 研 究 で は 、 徳 山 ら(2002) が 野 外 活 動 実 習 の一 環 と し て 2 泊 3日 の合 宿 形 式 で 実 施 し た 受 容 環 境 に つ い て や 中 島 ら(2001) が 日 白2 日 で 実 施 し た 内 発 的 動 饑 づ け に関 す る 研 究 は あ る が 、 い ず れ も短 期 間 の も の で あ る 。 半 年 か ら一 年 に 渡 る 授業 カ リ キ ュ ラ ム にお け る アド ベ ン チ ャ ー グ ル ープ カ ウ ン セ リ ン グ の 実 証 研 究 はま だ な さ れて い な い 。 帝 塚 山 大 学 に お け る ア ド ベ ンチ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グ導 入 の ね ら い は 新 入 生 の 新 し い 社 会(大 学 生 活) で の 適 応 と対 人 関 係 の 向 上 で あ る 。 授 業 内 容 はフ ル バ リ ュ ー コ ン ト ラ ク ト由 の 4 つ の 約 東 に 基 づ き 、 適 切 な ア クテ ィ ビ テ ィ の 組 み合 わせ に よ って 授 業 が 組 み 立 て ら れ る(Table D 。 ― 83 ―アドベンチャーカウンセリングの授業実践に関する研究(2) 特 に 初 期 段 階 に お い て は、 ア イ ス ブ レ イ ク と 呼 ば れる ゲ ー ム的 な楽 し さ の要 素 を 強 調 し た ア ク テ ィ ビ テ ィ に よ り 学 生 の 緊 張 を ほ ぐ し 居 心 地 の よ い 環 境 、 失 敗 し て も非 難 さ れ な い 受 容 的 環 境 が形 成 さ れ て い く 。 次 の 段 階 で は一 人 で は 困難 な 課 題 や グ ル ープ で の 課 題 解 決 ア ク テ ィ ビ テ ィ が 課 さ れ る こ と に よ り、 自 然 と他 者 へ の思 い や り や 言 葉 か け 、 さ ら に は 協 力 行 動 な ど や 対 人 関 係 を 円 滑 に は こ ぶ た め の ス キ ル や 行 動 が 得 ら れ る と 予 想 し て い る。 そ こ で 本 研 究 で は、 半 期 に 渡 る ア ド ベ ン チ ャー カ ウ ン セ リ ン グ の 授 業 を 受 講 し た 学 生 の ソ ー シ ャル ス キ ル と 行 動 の 変 化 に つ い て取 り上 げ 、 検討 す るこ とを 目 的 と し た。 その 中 で以 下 の 仮 説 に つい て 検 討 す る こ とと し た。 ・ ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グプ ロ グラ ムを 実 施 す る こ と で ソ ー シ ャ ル ス キ ル の 上 昇 に つ な が る ・ ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グプ ロ グラ ムを 実 施 す る こ と で 向 社 会 的 行 動 の増 加 に つ な が る Table l 授 業 内 容 授業週 テーマ アクティビティ内容(タイプ)とねらい 第1 週 アドベンチャーの 導 入と相 互理解 キャッチ(IB)集中と緩和、エラーを楽しむ 手 の ひ らを 上 に 向 け. もう一 方 の 手 の 人 差 し 指を 立 て て 真 ん 中 に 乗 せる 。 ″キ ャッチ,,の か け声 で 人 差し 指 を掴 み、 掴 ま れ な い ように 逃 げる ことを 同 時 に 行 う イン パ ル ス(IB) 集 中とコミュニ ケ ー ション、 エ ラー を楽し む 、ウ オー ム アップ 右 の 人 か らき た の と同じ 動 作を 左 の 人 へ 送 って いく。 動 作 が 変 わ る 。 次 は 逆( 左 か ら 右 へ) 、さら に は 同 時 に
Have you ever?(IB) 情 報 収 集( 自 己 と他 者) 、共 通 点 、多 様 性 へ の
気 づ き 質 問 に 該 当 す る 人 は 場 所 チェンジ( イス 取 りゲ ー ム で はな い) 自己紹介シート作成&3分間自己紹介(CO) ネー ム ホ イップ(IB&CO) 名 前 の 確 認 名 前 の 紹 介 、呼 ば れ た い 名 前 を 自 分 が 決 め る( 自 分を 含 め た全 員を 尊 重 す る) マイ ク代 わ り の おもち や のブ タを 回し て全 員 の 名 前 を 紹 介 して い< 。 次 の バ ー ジョン は、 名 乗 った 後 に 他 の メン バ ー 全 員 で 名 前 を呼 ん で あ げ る ネー ムトス(CO) 知ら な い 人 の 名 前 を覚 える 、名 前を 呼 ぶ、 呼 ん で も らう、 相 互 理 解、 エラ ー を気 にしな い 自 分 の 名 前を 言 っ て 毛 糸 の ボ ー ル を パ スす る。 受 け取 っ た 大 は「 あ り がとう○ ○」 と相 手 の 名 前 とお 礼 を言 っ て 同じよ うに 別 の 大 に パ ス する。 徐 々 に ボ ー ル の 数 が 増 え ていく。 次 の ス テップ は、 両 隣 の 2人 の 名 前 を 覚 え て場 所 チェン ジし、 そ の2 人 と だけト スしあう。 次 に4 大、6 人、 8人 … と左 右 の 大 を 覚 えて そ の 大 に そ れ ぞ れ ボ ー ルを 送 っ てい く 第2 週 コミュニケーション 人との かか わり方 に気 づ< ノンバーバルラインナツプ(IB&.CO)相互理解 言葉を使わずに睡眠時間の順に並ぶ ワ ム サ ム サ ム(DI) リス クを 受 け 入 れ る、 一 日 の ス タート の 儀 式 お まじ な い の ような ユ ニ ー ク な か け 声 に 合 わ せ て 動 作を す る フライングペーパー(IB/CO) 手 の 甲 を 上 に 向 け 名 刺 サ イズ の 紙 を乗 せ る。 押さ え たりせ ず に 他 の 人 の 紙 を 落とし に 行く。 使 え る の は 紙 の 乗 っ てい る 方 の 手 だ け。 紙 が 落ち たら そ の 場 に へた り込 ん でしま う。 第 2回 戦. 紙 が 落 ちた 大 も ま だ落 ち て いな い 大 に 助 け を求 め て、 乗 せ てもら え れ ば 復 活 で きる Zip Zap(DI)恥ずかしさを脱却 真 ん 中 の 人 が 誰 か を 指しな がら「Zip」 と言 うと、 指 され た 人 は しゃ が み 両 隣 の 人 が「Zap」 とい っ て 手を 出し て カバ ー す る。 失 敗し たり 、関 係 の な い 人 が つら れ た りす るとチ ェンジ す る トータグ(IB)ウォームアップ、足の準備運動 円 にな っ て全 員 で 手 をつ な ぎ 、自 分 の つま 先 で 他 の メン バ ー の つま先を タッチ す る ムーンボール(IN)目標設定と協力 グループで決めた回数、ビーチボールをつく 第3 週 チャレンジとチー ムビル ディング 自 分なりのチャレ ンジを! 肩たたき(IB)ウォームアップ、エラーと楽しさの確立 左8 右8 左4 右4 左2 右2 左1 右1 、数 えな が ら 肩 をた たく。 最 後 に 手拍 子。8・4・2・1 の ときも 手 拍 子 を 順 番 に 入 れ ていく エルボータッチ・ニータッチ(IB)準備運動、ウォームアップ お互いの肘と膝ををタッチする エルボータグ(1B&.CO)発想の転換、楽しさ。 追 い か け 手と 逃 げ 手 以 外 は2 人 で 腕を 組 ん で デ ート 中. 逃 げ 手 は タッチ され そ うに な った ら 、そ ば の カップ ル に 勝 手 に 連 結 でき る。 連 結 さ れ た 逆 側 の 人 は、 腕 をほ どい て 新し い 逃 げ 手 とな る。 タッチさ れ た ら そ の 場 で 追 い か け 手 と逃 げ 手 が 役 割 交 代 し てオ ニゴ ッコ を再 開 す る オールアボード(LO)支えあい、信頼 メンバー全員が70∼90cm四方の台の上に5秒間乘る ニトロクロッシング(LO)目標に向かう.協力 タ ー ザン ロー プ につ か ま り、全 員 が ス タート 地 点 から 離 れ た ステッ プに渡 る 課 題 解 決 ― 84 ―
ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グ の 授 業 実 践 に 関 す る 研 究 (2 )
H。 方 法
1。 調 査 時 期 2007 年 4 月 ∼ 7月 。 2. 調 査 対 象 帝 塚 山大 学 心 理 福 祉 学 部 心 理 学 科 の必 修 授 業 匚基 礎 演 習 」 を 履 修 し て い る ↓ 回生103 名( 男 性40 名 、 女 性63 名 ) 3. 実 施 方 法 講 義 開 始 前 の 4月 初 回 の 講 義 時 点( プ レ 調 査 )お よ び、 週 2 コ マ × 6週 を 終 了 し た 時 点( ポ ス ト 調 査)の 計 2 回、 質 問 紙 法 を 用 い て 調 査 を 行 っ た。 4. 使 用 尺 度 ① 向 社 会 的 行 動 尺 度( 菊 池 、1988): こ の 尺 度 は ↓ 要 因20 項 目 か ら な る 尺 度 で、 援 助 行 動 や 親 切 行 動 な ど の 向 社 会 的 行 動 を ど の 程 度 行 っ て い る か を 、 行 動 経 験 を 自 己 報 告 か ら 測 定 す る 尺 度 で あ る。 回 答 は 「 し た こ と が な い 」 か ら 冂 度 だ け し た 」、「 数 回 し た こ と が あ る 」、 匚し ば し は し た 」、「 い つ もし た 」 の 5 件 法 で 実 施 し、 そ の 得 点 を 単 純 加 算 し て 用 い た。 ②kiss-18 (菊 池 、1988): こ の尺 度 は18 項 目 か ら な る 尺 度 で 、 社 会 的 ス キ ル を 身 につ け て い る 程 度 を 測 定 す る も の で あ る。 こ こ で 社 会 的 ス キ ル と は 匚対 人 関 係 を 円滑 に 運 ぶ た め に 役 立 つ ス キ ル 」 と 定 義 す る も の で あ る 。 回 答 は 匚い つ もそ う で は な い 」 か ら にい つ も そ う だ 」 の 5 件 法 で 行 い 、 合 計 点 を 算 出 し て 用 い た。 ③ フ ェ イ ス シ ー ト : 年 齢 、 性 別 、 学 籍 番 号 を 記 入 す る こ と と し た。Ⅲ. 結 果 と考 察
今回の 調査対象103名 のうちデ ータに欠損 があ るものを 除いた結果、 有効デ ータ数は70名(男 性28名、 女性42名)であ った。以 下 の分析 において はす べてこの70名の デー タに基づい て行 っ たものであ る。 調査結果 につ いて 菊池(1998)によ れば向社会的行 動尺度 には男 女差 が存在し、女 性の方 が有 意に高い 傾向にあ ると 述べ ている。 そこで 今回 の調査 結果 につい て菊 池 によ る先 行研 究 の結果 と比 較を 行っ た (Table 2)。 Table 2 先 行研 究と の平均 値 の比 較 菊池(1998) 本調 査 向 社 会 的 行 動 尺 度 53.1 kiss― 18 56.4 56.9 58.4 ― 85 ― 48.6 55.5 54.6 52.3アドベンチャーカウンセリングの授業実践に関する研究(2) 全 体 と し て 菊 池 の 先 行 研 究 に 比 べ て 低 い 値 が 見 ら れ た。 し か し、 菊 池 の先 行 研 究 同 様 に 向 社 会 行 動 尺 度 に つ い て は女 性 の 方 が 有 意 に 高 い と い う 結 果 が 得 ら れ た(t (69) = ― 2.77, f、<。05)。 こ の こ と か ら、 今 回 の デ ー タ は 先 行 研 究 と 同 様 の 傾 向 を 示 し て い る と 考 え ら れ る。 プ ロ グ ラ ム 前 後 の 尺 度 得 点 の 変 化 につ い て プ ロ グ ラ ム 実 施 前 の値 を 基 準 に、 実 施 後 の変 化 率 を 算 出 し 、 そ れ ぞ れ の尺 度 に つ い て 減 少 、 増 加 の 2つ の カ テ ゴ リ ー に 分 類 し た 結 果 以 下 の よ う な 分 布 が 見 ら れ た(Table 3 )。 Table 3 各 尺 度得点 の 増減状 況 ( クロ ス集 計表 ) 向 社 会的 行動 尺度 減少 向 社 会的 行動 尺度 増加 0 6 r a Q ︶ 4 n / ﹄ 1 4 35 35 こ の 結 果 か らプ ロ グ ラ ム を 実 施 す る こ と で ソ ー シ ャル ス キ ル の増 加 傾 向 を 示 す デ ー タ が多 く、 一 方 で 向 社 会 的 尺 度 につ い て は デ ー タ 数 に 差 が 見 ら れ な い と い う 結 果 が 得 ら れ た。 上 記 の 結 果 を 踏 ま え て 、 向 社 会 的 行 動 尺 度 お よ びKiss-18 に つ い て 、 ア ド ベ ン チ ャー カ ウ ン セ リ ン グ プ ロ グ ラ ム実 施 の 前 後 の 変 化 を み る た め に 、 対 応 の あ る サ ン プ ル の t 検 定 を 行 っ た (Table 4 )。 Table 4 プ ログ ラム 前後 にお ける 尺度 得点 の比 較 向 社 会 的 行 動 尺 度 52.61(11.80) kiss ― 18 52.50(1 1.33) 52.77(1 1.87) -.16 54.24(10.81) -2.35* O 内 はSD *ρ<.05 その結 果kiss-18の値 にプロ グ ラムの前 後で有 意な 差 が見 られ、 ソー シ ャルスキ ル得点 の増 加が見ら れた。 この結果 からプロ グラ ムを実 施するこ とによって 参加者の対人 関係 にお ける能 力 の向上 が見 られた と考 えるこ とができる。 しかし、一方 で向社 会的行動尺 度について は変 化 が見 ら れな かったこ とから、 スキルとして の向上は見 られて も、 それを実 際に行動 に移 す段階 には至ってい なかった ものと考え られる。
IV. 総 合考 察
上 記に もあ るよう に、 本研究 においては向 社会的行動 の増加 は見 られな かったもの の、 ソ ー シャルス キルの得点 の増 加が見 られた。こ のことか ら今 回帝塚 山大 学で授業 カリキ ュラムとし て取 り入 れているアドベ ンチ ャーカウ ンセ リングプロ グラ ムが対人 関係 スキルを育て ることに つな がっ たと考えら れる。 しかし、 スキル として持 ち合 わせてい ても、 実 際に行動す るという −86 −アド ベンチャーカウンセリ ングの授業実践に関する研究(2) レ ベ ル に は至 っ て い な か っ た と考 え ら れ る。 技 術 、 知 識 的 な 獲 得 に 比 べ て、 実 際 に 行 動 に 移 す こ と が で き る と い う こ と は さ ら に もう 1 ス テ ッ プ 上 のレ ベ ル に あ る と 考 え ら れ る。 現 在 、 本学 で ア ド ベ ン チ ャ ー カ ウ ン セ リ ン グ を 履 修 す る 際 は 、 必 修 、 選択 の 科 目を 合 わせ て 最 大 で 2年 半 の 授 業 の 履 修 が 可 能 で あ り 、 科 目 ご と に段 階 的 な 授業 目 標 を 設 け て 行 っ て い る 。 今 回 は そ の中 で も必 修 科 目 で あ る基 礎 演 習 の う ち 、 半 年 分 の デ ー タを 収 集 し 、 調 査 を 行 っ た が、 今 回 取 り 上 げ た カ リ キ ュ ラ ム で は、 徳 山 ら の 先 行 研 究 に 比 べ総 時 間 は 多 く て も、 そ の 時 間 的 集 中、 あ る い は 密 度 とい っ た も の は む し ろ 少 な い 。 こ の こ と か ら も、 今 後 の 課 題 と し て さ ら に 長 期 的 スパ ン で の 研 究 が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る 。 現 在 は 1 回 生 が必 修 と し て い る 基礎 演 習 は 年 間 通 し て の 科 目 で あ る こ と か ら、 最 低 1年 と い う 期 間を 設 け て 調 査 を 行 う こ と が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る。 ま た 、 今 後 は 毎 年 の デ ー タを 蓄 積 し て い き 、 量 的 デ ー タ の蓄 積 を も と に ア ド ベ ン チ ャ ーカ ウ ン セ リ ン グ の 持 つ 効 果 に つ い て 検 討 し て い く こ と が 必 要 で あ る と 考 え ら れ る。
注)フ ル バ リ ュ ー コ ント ラ クト(Full Value Contract) と はP A の 基 本 的 な 考え 方 であ り、 グ ル ープ メ ンバ ー 全 員 を 最 大 限 に 尊重 す る とい う 意 味 で あ り、 具体 的 には [ 自 分 を 含 め メ ンバ ーを け な し た り、 軽 ん し た り し な い ] 匚お 互 い の 心 の安 全 と身 体 の 安 全 を 守 る] 匚ネガ テ ィ ブ な こ と に こ だ わら な い] 等、 相 互 に尊 重 し 合 い な が ら活 動 す る た め の 約東 で あ る。 約 東を 守 りな が ら活 動、 挑 戦 して い くこ と に よ り、 初 めて 人 は 相 手 に 心 を 開 く こ と が で き る か ら で あ る。 理 解 し や す い 表 現 と し て 、 学 校 の 授 業 等 で は 「『Play Hard 一 生 懸 命 に 』 『Play Safe 安 全 に』『Play Fair 公 正 に』『Have F un楽 し く』 活動 す る」と 示 す 場 合 も あ る。 また 、 ア クテ ィ
ビ テ ィ ヘ の 挑 戦 は 他 人 に 強 制 さ れ て で は な く 、 自 分 の 意 志 で 決 定 し 行 動 す る チ ャ レ ン ジ バ イ チ ョ イ ス (Challenge by Choice) もお 互い を 尊 重 す るこ と か らFull Value Contract に 含 ま れ る概 念 であ る。
参 考 文 献
Schoel, J. Prouty, D. & Radcliffe, P. (1989):Islands of healing. Hamilton, MA : Project Adventure, Inc. (伊 藤 稔 監 ・ プ ロ ジ ェ クト ア ド ベ ン チ ャ ー ジ ャパ ン訳1997 : ア ド ベ ンチ ャー カ ウ ン セ リ ン グ の実 践 ) み く に出 版 菊池 章 夫(1988): 「 思 い や りを 科 学 する」 川 島書 店 菊池 章 夫(1998): [ ま た∠ 思い や りを 科 学 す る] 川 島 書店 小 西浩 嗣(2009): ア ド ベ ンチ ャ ーカ ウ ン セ リ ン グ の授 業 実 践 に 関 す る研 究 一授 業 を 通 じ て の学 生 の 意 識 と 行 動 の変 化 につ い て の 事 例検 討 一 帝 塚 山大 学 心理 福 祉 学部 紀 要 第 5号 39-48. 小 西浩 嗣(2007): ア ド ベ ンチ ャー カ ウ ン セ リ ン グ の実 践 と 転 用 につ い て 帝 塚 山 大 学 心 理 福祉 学部 紀 要 第 3 号 31-40 松 岡有 季 , 小 西 浩 嗣(2006 ): 基 礎 演 習 に お け る アド ベ ンチ ャー カ ウ ン セ リ ン グの 実 践 帝 塚 山大 学 心 理 福 祉 学 部 紀 要 第 2号 9-25
難波 克 己(2001): プ・ ジ ェ クト ア ドペ ンチ ャーを 理 解 して い ただ く た めに PAJ Official Paper
難波 克 己(2006): 動 き 出 し た心 の 教育 玉 川 ア ド ベ ンチ ャ ー教育 の取 り 組 み 玉 川 大 学 学術 研 究 所 紀 要 第12 号 107-114
日 本ア ウ ト ワ ー ド・ バ ウ ンド 協 会(2006): ア ド ベ ン チ ャ ープ ロ グ ラ ムコ ー スガ イ ド 日 本 アウ ト ワ ー ド・ バ ウ ン ド協 会Official Paper
ア ドベ ン チ ャ ーカ ウ ン セ リ ング の 授業 実 践 に 関 する 研 究(2) 徳 山 美 知 代, 田 辺 肇(2002): プ ロ ジ ェ クト アド ベ ンチ ャー を 用い たプ ロ グラ ム に お け る受 容 的 環 境 と チ ャ レ ン ジ 教育 相 談 研 究 第40号 卜12 徳 山 美 知 代, 田 辺 肇, 徳 山郁 夫(2002): プ ロ ジ ェ クト ア ド ベ ン チ ャ ー(P A) に よ る 信 頼 と 自己 概 念 の 肯定 的変 化 千 葉大 学 教育 実践 研 究 第 9号 185-195 〈付 記 〉 本 研 究 は 第一著者 の修 士 論 文 の一部を 修 正 ・ 加 筆 し た も ので あ る。 本 研 究 に ご 協力 を い た だい た 帝 塚 山 大 学 学 生 の 皆 様な ら び に 教職 員 の 皆 様 に深 く 感 謝い た し ま す。 −88 −