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国際通貨制度と金融政策の一考察 : 金融政策の波及過程を中心として (経済学特集)

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Academic year: 2021

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国際 通貨 制度 と金 融 政 策 の一 考 察

一 金融政策 の波及過程を 中心 として一

有   馬   敏   則

1  は   じ  め  に   金 融 政 策 の 方 式,目 標,作 用 径 路,金 融 標 的 に つ い て の考 え方 は,国 際 通 貨 制 度 の 変 遷 と と もに 変 化 して きて い る。 歴 史 上,最 初 に成 立 した 国際 通 貨 制 度 は 国 際 金 本位 制 度 で あ った。 国 際 金 本 位 制 度 は ポ ン ド ・ス タ ー リン グを 国 際 通 貨 と し,金 を 国際 間 に 自由 に移 動 させ て国 際 物 価 水 準 を 平 準 化 させ,世 界 貨 幣 金 を 各 国 の流 通 必 要 量:を満 足 させ る よ うに国 際 的 に分 配 し,国 際 均 衡 達 成 を 目 標 と して いた 。 そ れ は 各 国 の 経 済 を統 一 的 に と らえ る 通 貨 制 度 で あ り,ポ ン ド ・ス タ ー リン グ を唯 一 の基 軸 通 貨 あ るい は 準 備 通 貨 と し,そ の 他 通 貨 との 関       り 係 は,金 を共 通 の尺 度 とす る固 定 為 替 相 場 を 設 定 す る もの で あ った 。 国 際 金 本 位 制 度 の もとに おけ る金 融 政 策 の基 本 的 目標 は,国 際 収 支 の 均 衡 に より固定 為 替 相 場 の安 定 を 維 持 す る こ とで あ り,そ の た め に 金 準 備 を 一 定 水 準 に維 持 す る ことで あ った 。 そ のた め の イギ リス の 方 策 は 金 利 政 策 が も っ と も重 要 で有 効 で あ った 。 これ は イ ギ リス経 済 の 強 大 さ と ロ ン ドンが 唯一 の 国 際金 融 市 場 で あ っ た こ とが 大 き く寄 与 した と い って よい だ ろ う。 国 際 金 本 位制 度 下 の 金 融 政 策 は,い わ ゆ る 「金 本 位 制 の 自動 調 節 作用 」 を前 提 とし,こ れ に依 存 しつ つ,そ の作用 を 促 進 す る とい う運 営 を 行 った 。   こ の金 融 政 策 の 黄 金 時 代 と もい うべ き時 代 も,1914年7月 に勃 発 した 第1次 大 戦 に よ って 金 本 位 制 度 を 停 止 せ ざ るを え な くな り,第1次 大 戦 後 に 設 立 され 1)  藤 田正 寛 「国際 通 貨 制 度 と金 融 政 策 」(矢 尾 ・川 口編 『金融 政 策 入 門 』 有斐 閣,1977 年),小 泉 ・山下 編 『金 融論 』 青 林 書 院 新社,1978年,第1章 参 照?

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 86 た 再 建 金 本 位 制 度 も,1929年 の 大 恐 慌 勃発 と と もに,そ の 自動 調 節 機 能 が 消 失 しは じめ,各 国 経 済 を 混 乱 させ,金 融 制度 を 弱 体 化 し,1931年,イ ギ リスが 再 建 金 本 位 制 度 か ら離 脱 せ ざ るを え な くな った 。 そ して,イ ギ リス 自治 領 や 植 民 地 諸 国,北 欧 諸 国,ロ ン ドンに 短 期 資 本 を 保 有 して い た 諸 国 が あ いつ いで 金 本 位 制 度 か ら離 脱 し,1936年 まで に 主 要 各 国 は 金 本 位 制度 を停 止 し,い わ ゆ る管 理 通 貨 制 度 の段 階 に入 り,今 日に い た って い る。 そ して両 大 戦 間 に お い て は, 投 資 の利 子非 弾 力性 につ い ての 実 証 的 研 究 と理 論 的 裏 付 け,1930年 代 の低 金利 政 策,第2次 大 戦 中 の利 子 釘 付 政 策 等 々に よ り,金 融政 策 の 効果 は否 定 的 とな り,財 政 政策(赤 字 財 政 に よる公 共 投 資)の 優 位 が 主 張 され る よ うに な った。   しか し,第2次 大 戦 後 イ ン フ レー シ ョンの 国 際 的 進 行 に対 す る財政 政 策 の抑 制 効 果 に 対す る失 望 が拡 大 し,1950年 代 に 入 って イ ン フ レ ー シ ョン克 服手 段 と して の 金 融政 策 の効 果 と重 要 性 の再 認 識,景 気 循 環 に 対 す る弾 力 的 金 融政 策 の 運用 の 必 要 が生 じ,「 金融 政 策 の復 活 」 の時 期 を 迎 えた 。   と ころ で,管 理 通 貨 制 度 に お い て は,国 際 金 本 位 制 度 下 で み られ た 金 の 増 減 に よ り機 械 的 に貨 幣数 量 を増 減 させ よ うとす る 自動 的 機 構 か ら解 放 され る。 な ぜ な ら,管 理 通貨 制 度 の本 質 は金 本 位 制 度 の 中核 で あ る金 と貨 幣 の 等 価 関 係 維          持 機 構 の 自動 性 や機 械 性 を排 除す る と ころに あ るか らで あ る。 した が って,中 央 銀 行 は 自動 的機 構 に 代 わ って,一 定 の 目標 の も とに,そ の 自 由裁 量 に よ り, 通 貨 数 量 を管 理 ・調整 す る こ とに な る。 管 理 通 貨 制 度 の も とに お け る金 融 政 策 の 究 極 の 目的 は,物 価 水 準 の安 定 を維 持 しな が ら,国 内 均 衡(完 全 雇 用 と適 度 の経 済 成 長)と 国 際 均 衡(国 際 収支 均 衡)を 達 成 す る ことで あ る。 しか し,管 理 通 貨 制 度 の も とで 固 定 為替 相 場制 度 を維 持 す るた めに は,国 際 収 支 均 衡 達 成 のた めに 国 内 総 需 要 を 調 整 す る とい う,い わ ゆ る,金 融 節 度 が 求 め られ,中 央 銀 行 の金 融 政 策 運 営 に 国 際経 済側 面 か らの制 約 を受 け る こ とに な る。 も し管 理 通 貨 制 度 の も とで 完 全 な 自 由変 動 為 替相 場 制 度 が採 用 され る場 合・ 国 際 収 支 調 整 は 為 替 相 場 の変 動 に まか せ る こ とが で き・ 固定 為替 相 場 制 度 の とき よ りも 中 央 銀 行 の 国内 的 な 金 融 政 策 の 自 由裁 量 の 余地 は大 き くな る とい え るで あ ろ う。 2)矢 尾 次郎 「金 融 政 策 観 の展 開」,前 掲 書.p.24.

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      国際通貨制度 と金融政策の一考察  87 しか し,変 動 為替 相 場 制度 を採 用 す るこ とに よ り,国 際 通 貨 不 安 を 除去 す るた め の 各 国 の相 互 依 存 関 係 もまた 強 ま り,そ の 観 点 か らの 金 融 政 策 の 国際 的協 調 も要 請 され る とい え る だ ろ う。   第2次 大 戦 後 設 立 され たIMF体 制 は,金 と当 時 の 国 際経 済 に お い て 巨大 で 圧 倒 的 な支 配 力 を 持 って い た ア メ リカの ドル を 中心 と した 国際 通 貨 体 制 で あ っ た 。 しか し,金 の 生 産 は急 速 に 拡 大 す る 国際 流動 性 の需 要 を まか な うほ どに は 増 大 せ ず,も っぱ ら ア メ リカの 国 内通 貨 で あ る ドル の発 行 に よ って 国 際 流 動 性 が 供給 され て きた 。 す なわ ち ア メ リカは 基 軸 通 貨 を 発 行 す る特 権,い い か え れ       きう ば 国際 通 貨 発 行 特 権 を保 持 し続 け て きた の で あ る。   しか し,ア メ リカは そ の 特 権 を 自 由に 使 い,国 内 の経 済政 策 を 優 先 させ,金 融 節 度 を顧 慮 す る こ とな く,国 際 収 支 赤 字 を継 続 して き た。 そ の結 果 「ドル過 剰 」 の状 態 を まね き,国 際 的 イ ン フ レー シ ョン を激 化 させ,そ して国 際 通 貨 不 安 を 増 大 させ て,国 際 金 為替 本 位 制 度 た るIMF体 制 は1968年3月,金 の 二 重 価 格 制 度 に 移 行 した。 さ らに1971年8月 の ドル の金 交 換 性 停 止 で 名 目的 に も実 質 的 に も国際 金 為 替 本 位 制 度 は 終 止 す る こ とに な った。 そ して1973年 か ら主 要 国 は管 理 され た 変 動 為 替 相 場 制 度 に 移 行 し,各 国 の 金融 政 策 も新 た な対 応 をせ ま られ て きた 。   こ の よ うに し て管 理 通 貨 制 度 の も とに お け る金融 政 策 は,金 利 政 策,公 開 市 場 政 策,支 払 準 備 率 政 策,選 択 的 金融 政 策 だ け に限 定 され る こと な く,広 義 の 金 融 政 策,つ ま り,為 替政 策(先 物 政 策 を含 む),投 資 政 策,各 種 金 融 機 関 政 策,金 管理 政 策,貿 易政 策等 々 も含 む よ うに な って きた 。   管理 通 貨 制度 の も とで の金 融 政 策 の国 際 的 波 及 は 国 際 収支 調整 政 策,国 際 流 動 性供 給 政 策,国 際 金 融 市 場 政 策 を 通 じて生 ず る。 しか し,こ れ らを 統 一 的 に 考 察 した論 稿 は あ ま りみ あ た らな い 。 した が って本 稿 で は,ま ず マ ネ タ リー ・ ア プ ロー チ分 析 の先 駆 者 の 一 人 で あ るマ ソデ ル の所 説 に よっ て固 定 為 替 相 場 制 度 と変 動 為 替 相 場 制 度 に お け る金 融 財政 政 策 の:再検 討 を 行 い,次 に 国 際 的 に マ 3)  詳 し くは,拙 著 『国際 通 貨 発 行 特 権 と 国 際通 貨 制 度 』 滋 賀大 学 研究 叢 書 第5号 ,   1979年 を 参照 の こ とg

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88 ネ ー ・サ プ ラ イ 重 視 の 金 融 政 策 が と られ る に つ れ て ク ロー ズ ・』ア ッ プ さ れ て き た マ ネ タ リ ー ・ア プ ロ ー チ の 検 討 を し,さ らに ア メ リ カ の 国 際 収 支 赤 字 に と も な う国 際 的 イ ン フ レ ー シ ョン の 波 及 過 程 の 考 察 と,各 国 が,イ ン フ レ ー シ ョ ン に よ っ て 指 標 と し て の 信 頼 性 を 失 な った 名 目金 利 水 準 に 代 わ っ て,マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 重 視 し,い か に そ の コ ン ト ロ ー ル を 行 っ て い る か の 概 観 を し,最 後 に 国 際 金 融 市 場 と く に ユ ー ロ ・ダ ラ ー 市 場 が 各 国 に 与 え る影 響 と そ の 相 互 依 存 関 係 に つ い て 考 察 し て い く こ と に す る 。 皿  国際収支調整と金融政策   国際 収 支 調 整 政 策 に は,① 金 融 財 政 政 策 を 使 った 国 内経 済活 動 水 準 の調 整, ② 為 替 相 場 調 整 政 策,③ 長期 資 本 移動 調整 政 策,④ 直 接 的 統 制 等 が あ げ られ る。 こ こで は ① と② に 焦 点 を あ て て考 察 して い く こ とにす る。   1.マ ソ デル ・モ デ ルに お け る金 融財 政政 策       リ   マ ン デル(R.A.  Mundell)に よれ ば,為 替 相 場 変 更は 国際 収 支 調整 策 と し て,・一時 的 有 効 性 を 持 つ が 万 能 で は な く,金 融 財政 政 策 を主 体 と した景 気 調 整 作 用 を もつ た ポ リシ ー ・ミ ックス が 必要 で あ り,国 際 収 支 も経 常 収 支 に 資 本 収 支 を 加 えた 考 察 が 必 要 で あ る とす る。   そ こで 彼 は,小 国 で,す べ て の証 券 は 完全 代 替 で,為 替 相 場 に対 す る期 待 は 一 定 で あ り,直 物 相 場 と先 物 相 場 は 等 しい と仮定 す る こ とに よ り,国 内 利 子 率 は 外 国 利 子 率 に等 し く与 件 で あ る と し,さ らに不 完 全 雇 用,貨 幣 賃 金 一 定,収 穫 一 定 の仮 定 を お い て,固 定 為 替相 場制 度 と変 動 為 替 相 場 制 度 の も とに おけ る 金 融 財 政 政 策 の効 果 を 分 析す る。 そ して,固 定 為 替 相 場 制 度 の も とで 金 融 政 策 は,経 常 収 支 で は 貨 幣 供 給 量 縮 小(拡 大)→ 利 子率 上昇(下 落)→ 財 貨 ・ 用 役 に 対 す る支 出 抑 制(刺 激)→ 国 民所 得 ・物 価 水 準 引 き下 げ(引 き上 げ) → 輸 入 減 少(増 大)→ 国 際 収支 改善(悪 化)と な る。 また 資 本 収 支 で は, 利 子 率 上 昇(低 下)'一 → 短 期 資 本流 入(流 出)→ 国 際 収 支 改 善(悪 化)と な

4)  R.A.  Mundell.  International  Economics,  Macmillan,1968,  chap.17.18(渡 辺 。   箱 木 ・井 川 訳 『国 際 経 済 学 』 ダ イ ヤ モ ン ド社21971年)p

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      国際通貨制度 と金融政策の一考察  89 る。 さ らに 財 政 政 策 は 財政 支 出 削 減(増 加)・ 増 税(減 税)一 一〉有 効需 要 低下 (上 昇)→ 国 民所 得 低下(上 昇)一 → 輸 入 減 少(増 大)→ 国 際 収支 改善 と な る とす る。   また 固 定 為 替相 場制 度 の も とで,短 期 資 本 移 動 が 金 利 の 変 化 に 弾 力的 な場 合 は,金 融 政 策 は短 期 資 本 を移 動 させ る効 果 が あ る ので,財 政 政 策 よ り も国際 均 衡 政 策 と して す ぐれ て い る。 したが っ て,金 融 政 策 を 国 際 均 衡 政策 に,財 政 政 策 を 国 内 均 衡政 策 に割 り当 て る ポ リシ ー ・ ミック スが 国 内 ・国 際均 衡達 成 の た め に は 有 効 で あ る とす る。   変 動 為 替相 場制 度 の もと で,金 融 政 策 は 貨 幣 供 給 増 大 → 利 子率 低 下 → 短 期 資 本 流 出 ・投 資 増大 ・有 効 需 要 増 大 → 外 貨 需 要 増 大 一→ 利 子率 上 昇 ・為 替 相 場 下 落 一→ 輸 出増 大 ・輸 入 減 少 → 所 得 増 大 ・外貨 供 給 増 大 → 為 替 相 場 上 昇 とな り,国 民 所 得 は 増 大 し,'金 融 政 策 の効 果 が あ らわれ る。 財 政 政 策 は 財 政 支 出増 大 一→ 有 効 需 要 増 大 → 国 民 所 得 増大 一→ 利 子 率 上 昇 一→ 短 期 資 本 流 入 → 外 貨 供 給 増 大 一 一〉貨 幣 供 給 増 大 一→ 利 子率 低 下 ・為 替 相 場 上 昇 一 → 輸 入 増 大 ・輸 出減 少 → 有 効 需 要 減 少 ・外 貨 需 要 増 大一 → 為 替 相 場 下 落 とな り,国 民 所 得 が 低 下 す る結 果,財 政 政 策 は 有 効 で な い とされ る。 彼 は 図 と説 明 に よ り明 解 に これ を示 して い る。   しか し,こ の 結論 は小 国仮 定 で あ り,外 国 か らの 反 作用 が考 慮 され て お らず, さ らに 一 般 化 が 要 求 され る。 そ こで,資 本 移 動 が 完 全 な場 合 で,固 定 為 替相 場 制 度 と変 動 為 替相 場制 度 の両 方 を含 む彼 の二 国 モ デル に よ って 国 際 的 な 金融 財          政 政 策 の 反作 用 を 考 え て み る こ とに し よ う。 モ デル は 次 の よ うに示 され る。    1(つ+ノ ー5(ッ)+B(ツ,ッ*,の=0      (1)    1*(r)一5*(ツ*)一B(ツ,ツ*,の=0                  (2)    M=L(プ,ツ)                       (3)    M*=L*(r,ツ*)                      (4)    M=D十R      (5)    M*=D*十R*                             ⑥

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90     1イ/=R十R*         (7)   こ こ で ッ(ッ*)=自 国(外 国)所 得,1(1*)=投 壷,1=投 質 表 内 の 自 律 的 要 因 を 表 す パ ラ メ ー タ ー,5(3*)=貯 蓄,B=貿 易 収 支, M(M*)=貨 幣 供 給, L (L*)=貨 幣 需 要,R(R*)=外 国 為 替 準 備,プ=利 子 率,8=邦 貨 建 外 国 為 替 相 場 (初 期 は8=1),W」 世 界 全 体 の 準 備 水 準(一 定 と 仮 定),δ(わ*)=中 央 銀 行 保 有 の 国 内 資 産 と し,投 資 と貯 蓄 の 中 に 政 府 支 出 と 課 税 を 含 め る も の とす る 。   こ こ で,(1),(2)式 は 各 国 の 財 市 場 均 衡 式,偶,(4),(5),(6)式 は 各 国 の 貨 幣 市 場 均 衡 条 件 を 示 す 。'   ま ず,固 定 為 替 相 場 制 度 の も と に お い て は,M,  M*,お よ びR*を 体 系 か ら 消 去 し(方 程 式 ㈲ ∼(7)を 落 と す こ と が で き る),為 替 相 場 は 固 定 さ れ て い る       6) の で,漉=0と し て(1)∼(4)式 を 微 分 す る と ,つ ぎの よ うに な る。

マ ヤ 矧網

6)  マ ンデ ル に よ って 提示 され た 表 は次 の よ うな もの で あ る。       第1褒

政 府 民 間 外 国 銀 行 財 証   券 貨   幣 国際準備 T-G十 政 府 借 入 十 政 府 の 負 の 保蔵 十    '1  ロ0   十       十      十      十       十 S-1十 民 間 借 入 十 民 間 の 負 の 保蔵 十    。2  -0   十       十      十      十       十 M-X'+資 本 流 出+    。3    +準 備 増 加 一 〇   十       十      十      十       十 号4    公 開 市 場 売 り 十 貨 幣 的 拡 張 十'外 国為 替 売 却 置0   11          11              11             H       11   0   十      〇      十       〇      十       〇    =0 曾無 視 し うる ,あ るい は 無視 した項 目。(1)は財 務 省 保有 の外 国 為替 に,② は銀 行 以 外 の 民 間 保 有 の 外 国 為 替 に,(3)は 外 国 人保 有 の 国 内 通 貨(国 内通 貨は 「基 軸」 通 貨 で は な い)に,そ して(4)は財勘 定 へ の 銀行 組 織 の純 貢献 分 にそ れ ぞ れ か か わ る もの で あ る。 分 析 で は,政 府 の 負 の 保蔵 もまた ゼ ロで あ る と仮 定 して い る。 記 入項 目を事 前 的 ま た は計 画 され た 大 き さ と定 義 す れ ば,縦 お よび 横 の 合計 が ゼ ロ とな る こ とが 均 衡 条 件 と な る が,そ れ らを 事 後 的 また は 実 現 され た 大 き さ と定 義 す れ ば,合 計 が ・ピ ロ とな る こ とは恒 等式 で あ る とい うこ とに注 意 しな け れ ば な らな い 。 また,家 計 と企 業,商 業 銀 行 と中央 銀 行 等 々を と くに 区捌 して,横 欄 を 各 個 別 支 出 単 位 に ま で 分 割 す る こ と もで き れ ば,財,貨 幣 お よび 証 券 を それ ぞ れ 区 分 して, 縦 欄 の 数 を ふや す こ と もで き る こ とは 注 意す べ き で あ る。 ここ でG=政 府 支 出,:τ' 一 税 金  M-X=貿 易収 支 の赤 字 で あ るgR . A. Mundell,  ibid., p.252,

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      国際通貨制度 と金融政策の一考察  91   こ こで5,5*,9)Z,と が は 自国 と外 国 の 限 界貯 蓄性 向 と限 界 輸 入 性 向 で あ る。 また ろ,登,Ly,・ 硫, L.と 瑳 は,添 字 に 示 され て い る変 数 に 関 す る投 贅 と 貨 幣 需 要 の偏 微 分 で あ る。 また4∫*=dD*=0と 仮 定 で き るで あ ろ う。   と こ ろで,金 融 政 策 は証 券 の公 開 市場 操 作 の形 を と り,財 政 政 策 は公 債 の発 行 に よ って まか な わ れ た政 府 支 出 の増 減(自 国 財 に 対 す る)の 形 を とる と仮 定 す る。 した が って 金 融 当局 が 為 替 市 場 に 介 入 しな い と きは 変 動 為替 相 場 制 度 を,介 入 して 固定 価 格 で国 際 準 備 を売 買 す る と きは 固 定 為替 相 場 制度 を意 味 す る こ とに な る。   と ころ で,固 定 為 替 相 場 制 度 の も とに お い て 自国 と外 国 の均 衡 所 得 水 準 に対 す る投 資(ま た は 政 府 支 出)の 変 化(認)と 公 開 市 場操 作 の効 果(dD)は,つ ぎ の よ うにな る。     エ ツ._(∫*+〃 診*)(L,+L*)+1*L*     41       △1     4竺_"z(五.+珍)一 均 鯵     4∫      △1     必L_〃z*(1汁1萎)+5*1.     4z)一       △1     聖 ㌔ 解(1.+1牽)+・1言     dD          △1   こ こで         一(5+〃 の      π*      17  0       那       一(5*十77z*)    1誉   0     △ 1=       <O       L y        O       L.一1       0        L営    群   1   そ して,5>0,刀 》0,Ly>0,4<0等 の仮 定 を す れ ば     4ツ       4ツ*r         の*       4ツ       41ミ0・ 万>0・ 万>0     万 アー>0・ とな り,投 資 や政 府 支 出 が増 大 す る と自国 の所 得 は 増 大 す るが,外 国 の所 得 は 増 加 す る と き も減 少す る こと もあ る こ とに な る。 また,自 国 で公 開市 場 買 いが 行 わ れ る と,自 国 と外 国 の所 得 は と もに 増 大 す る。 す な わ ち,固 定 為 替 相 場 制 度 の も とで は,自 国 の金 融 政 策 は 両 国 に 有 効 で あ るが,自 国 の財 政 政 策 は 他 国

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  92 の所 得 を減 少 させ る可 能 性 が あ る こ とを 意 味 して い る。   つ ぎに,変 動 為 替 相 場 制 度 の も とに お け る金 融 財政 政 策 の効 果 を検 討 し よ う。 (1)∼(7)式か ら,MとM*を 消 去 し, D*,  RとR*を 一 定(所 与)と す れ ば, 微 分 す る こ とに よ って 次式 がで て くる。

「ギ ・

愛・

婦 〕

  こ こで,B.は 自 国 通 貨 上 昇 に よ る 自 国 の 貿 易 収 支 の 変 化 で あ り,輸 入 需 要 の 弾 力 性 の 和 が1よ り大 で あ れ ぽ,こ の 項 は 負 と な る 。,   と こ ろ で,金 融 ・財 政 政 策 の 効 果 に つ い て は,     ay   L*L.  4ツ*  LyL*     dl    △2,  dl    △2     dy   ∫*L*十L*(1.十 驚)     dD      △2     の*    一 ∫五≠     dD      △2   こ こ で       一(5十 辮)      規*     17  疏     △・一一肯   Z一(∫*♂'η*)登 書 く・       O       Lv    L*  0   よ って       4ツ*     の       4ツ*        dy     ヨ ア>0・       41>0・dD>0∫4Dく0   とな り,変 動為 替 相 場制 度 の も とで は 自国 の 財 政 政 策 は 両 国 に 有 効 で あ る が,金 融 政 策 は外 国 の所 得 を減 少 させ る こと を意 味 し てい る。   マ ソ デ ル の 分 析 は,1国 に お け る 好 況 は 固 定 為 替 相 場 制 度 の も とで は,通 常,国 際 的 乗 数 を 通 じて 外 国へ 伝 達 され る,変 動 為 替 相 場 制 度 の も とで は1国 の投 資 ブ ー ムは 外 国 に 伝 わ らな い とい う伝 統 的理 論 とは,異 な って い る。   彼 の結 果 は変 動 為 替 相 場 制 度 の も とに おい て も,資 本 が 移 動 性 を もつ と きに は波 及す る メ カ ニ ズ ム が あ る こ とを 示 し てい る。 す な わ ち1国 の 景 気上 昇 は 輸

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      国際通貨制度 と金融政策の一考察  93 入 増 加 と為 替 相 場 の下 落 を 生 じ させ るが,貿 易 収支 は変 化 させ な い とい う伝 統 的理 論 は,資 本 の移 動 性 が な い とい う仮 定 に依 存 して い る。 しか し,資 本 の移 動 性,通 貨 制 度 を考 慮 す る と,投 資 拡 大 に よ り金 融 市 場 や 資 本市 場 に圧 力 が か か り,利 子 率 の上 昇 一→ 資 本 流 入 → 為 替 相 場 上 昇 とな り,1国 は外 国 か らの 景 気 循 環 的 攪 乱 か ら自動 的 に 隔 離 され る もの で は な い とい うこ とに な り,変 動 為 替 相 場 制 度 の 隔 離 効果 に疑 問 が あ る とい う考 えが 一 般 的 に な りつ つ あ るだ け に,彼 の モ デ ル を再 評 価 すべ き で あ ると い え る だ ろ う。   しか し,マ ンデ ル ・モ デル の問 題 点 と して 外 貨 を 民 間 が保 有 しな い ため に, 外 国 為替 市場 は つ ね に均 衡 し,外 国 為 替 市 場 を 無 視 で き る と解 釈 され るが,民 間 が外 貨 を持 つ よ うに な る と,彼 の 二 国 モ デ ル で 自国 で は外 貨 と証 券 の持 ちか え,外 国 では 自 国通 貨 と証 券 の もち か え が 瞬時 的 に大 量 に生 じ,各 時 点 の 各 国 通 貨 の ス トッ クは 所 与 とは な ら な くな る。 さ らに,変 動 為 替 相 場 制度 の も と に おい て も,証 券 の 完 全 代 替 の 仮 定 に よ り,自 国金 利 が 外 国 金 利 に等 し く所 与 と な っ てい るが,証 券 の 売却 時期 は不 定 で あ り,あ らか じめ,証 券購 入 の と き 先 物 相 場 で 売 る こ とが で きな い た め に,証 券 購 入 の とき,両 国 証 券 の 完全 代替 を 予 想 して も,結 果 的 に 為替 相 場 変動 に よる キ ャ ピタル ・ゲイ ン分 だ け収 益 率 わ の 差 が で る。 また,変 動為 替 相 場 制 度 下 で 完 全 代 替 を 仮 定 す る こ とは,あ ま り 合 理 的 で は な い し,資 本 の移 動 性 に対 す る疑 問 とい う問 題 点 も残 され て い る。   2.為 替 相 場 調 整 政 策   国際 収 支 均 衡 化 の ため の金 融 政 策 手 段 と して の為 替相 場 の 調整 措 置 に は,次 の4手 段 が あげ られ る。 す な わ ち,① 平 価 変 更 ア プ ロー チ,② 為 替 平 衡 操 作, ③ ア ブ ソー プ シ ョン ・ア プ ロ ーチ,④ マ ネ タ リー ・ア プ ロー チで あ る。   と こ ろ で,ケ イ ン ズ 革 命 以 前 の 国 際 収 支 問 題 の 考 え 方 は,ヒ ュー ム(D. Hume)に 代 表 され る 「正 貨 移 動 と 物 価 の メ カ ニ ズ ム」 が 中 心 的 な もの で あ っ た 。つ ま り,金 本 位 制 度 の も とで は 国 際 間 の金 の移 動 に よる貨 幣 供 給 の変 化 と, 7)須 田 美矢 子 「国際 収 支理 論 の マ ネ タ リー ・ア プ ロ ーチ」『季 刊現 代 経 済』34号,Spring,   1979年 。 小 泉 ・白 倉 「変 動 為 替 相場 制度 と経 済安 定 」 『大 蔵 省大 臣 官 房 調 査企 画 課 調 室症季 ヰ艮』 1979'1=311。

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  94 そ れ に基 づ く輸 出財,輸 入 財 の相 対 価 格 の変 化 に よ り,国 際収 支 均 衡 は 自動 的 に達 成 され るとい うもの で あ る。 しか し,ケ イ ンズ革 命 以 降 は,こ の よ うな 考 え方 に 代 わ って 国 際 収 支 問 題 は,「 弾 力 性 ア プ ローチ」 や 「ア ブ ソー プシ ョン ・ ア プ ロー チ」 に 代 表 され る よ うに,マ ネ タ リー な面 に はあ ま り注 意 を払 わ な い 部 分 均 衡 分 析 が 中 心 とな った。   しか し,1960年 代後 半 か ら1970年 代 に か け て の 国 際 通貨 制度 の動 揺 と世 界 的 な イ ン フ レ ー シ ョン の進 行 に と もな って,従 来 の 国 際 収支 分 析 とは異 な って, 「国 際 収支 は貨 幣 的 現 象 で あ る」 とい う基 本 的 視 角 を も った マ ネ タ リー ・ア プ ロー チが 生 まれ て きた 。 最 近 の 為替 相 場 決定 に 関す る マ ネ タ リー ・ア フ.ローチ に基 づ く理 論 的 ・実 証 的 研 究 は,一 方 で は一 般均 衡 体系 の もとで の為 替相 場 の 決 定 過 程 を 明 らか に し,他 方 で は ヒ ュー ム以 来 の 「正 貨 移 動 と物 価 の メ カ ニ ズ       き  ム 」 を 現 代 的 に 再 生 さ せ た と い わ れ て い る 。   1971年12月 の ス ミ ソ ニ ア ン合 意 以 降 の 主 要 国 の 対 米 ドル 為 替 相 場 の 推 移 を み る と,各 国 通 貨 と も,短 期 的 に は か な りの 変 動 を 示 し て は い る も の の,対 外 的 通 貨 価 値 が,ほ ぼ 継 続 し て 上 昇 し て い る も の に,円,ス イ ス ・フ ラ ン,ド ィ ッ ・ マ ル クが あ り,ほ ぼ 継 続 し て 下 落 し て い る も の に,ポ ン ド ・ス タ ー リン グ,イ タ リ ア ・ リ ラ 等 が あ る 。 特 定 通 貨 の 一 方 方 向 へ の 変 動 あ る い は 恒 常 的 国 際 収 支 の 黒 字 や 赤 字 と い う現 象 は,い ま ま で 「価 格 競 争 力 」 や 「非 価 格 競 争 力 」  「石 油 赤 字 」  「輸 出 指 向 の 産 業 構 造 」 等 々 ど ち ら か と い え ば 実 物 面 か ら説 明 さ れ る こ と が 多 か っ た よ うで あ る。   こ れ を マ ネ タ リ ー ・ア プ ロ ー チ の 観 点 か らみ れ ば,各 国 の 金 融 政 策 ス タ ン ス          の差 と して 説 明 さ れ る。 第1図 は主 要 国通 貨 の 対 米 ドル 直 物 為 替 相 場 の変 化 率 (1977年 末/1971年 末)と 金 融 政 策 の ス タ ン ス(1971∼77年 の マ ネ ー サ プ ライ 増 加 率/同 期 間 中 の実 質GNP成 長 率)の 関 係 を み た もの で あ る が,相 対 的 に 引締 的 な金 融 政 策 を と った 国 ほ ど,為 替 相 場 の 上 昇 は 大 き く,逆 に拡 張 的 な金 8)岩 田 一 政,「 為 替 レ ー トは 何 で 決 ま る か 」 『ESP』197811:10月 号,p.25, 9)  白 川 方 明 「マ ネ タ リ ー ・ア プ ロ ー チ に よ る 国 際 収 支,為 替 レ ー トの 実 証 分 析 」 『金   融 研 究 資 料 』 第3号,目 木 銀 行 特 別 研 究 室,1979{卜s/1。

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      国際 通 貨 制 度 と金 融 政 策 の 一考 察    95 第1図   マ ネ ー サ プ ライ,経 済 成 長,対 米 ドル 為 替 相場 の関 係   (1971∼77年) 為 替相 場 変 化率(%) 100 '     、'軸● 、

1 、ス ィ ズ \ 、        、 、        、 対 外価値 \    ・'オー ス ト リ ア の上 昇 、      \ 、      、 、        、 50 、 。西 独      \ 、      、 、  オ ラ ン ダ 、 、        ●  、 対 外価 値 の下 落 \ ・ベ ル ギー        、'日本        、\ 、 、        の       、 、 、  デ ン マ ー ク       、、亀 、     .フ ラ ン ス 、 0       、 ._一_一 一 一一___一_ま ろユ と=τ ≧L_.       、.オ ー ス ト ラ リ ア         \、 ・カナダ \       、      、       、 、        、 一30 、       、 \ ・英 国  }   、     \ 、    3イ タ リア         、、 一9' 50              100% 引 締 的   拡 大 的 唱 一一一一一一一一一一一       一          金融 政 策  金 融政 策 横 軸 ・ マ ネー サ プ ラ イ(h42)増 加率              (%表 示) 実 質経 済 成 長卒 縦 軸 … 対 米 ドル 為'警 相 場 変fけ{=(96,IAir方 式)     川所:白 川 論文,p.28, 融 政 策 を と っ た 国 ほ ど 為 替 相 場 の 低 下 は 大 き い と い う関 係 が み ら れ,貨 幣 要 因 に 分 析 の 焦 点 を あ て る こ と に よ り,国 際 収 支 や 為 替 相 場 の 動 き を 統r的 に 理 解 し よ う と す る マ ネ タ リ ー ・ア プ ロ ー チ は か な り の 説 得 力 を も っ て い る よ う に 思 わ れ て い る 。   そ こ で,マ ネ タ リー ・ア プ ロ ー チ の 基 本 的 特 徴 を,ド ー ン ブ ッ シ ュ(R.Dor・       エの nbush)の2国1財 モ デ ル に よ っ て 検 討 す る こ と に し よ う 。

10)  R.Dornbush,"Devaluation,  Money  and  Nontraded  Goods,"American  Economic   R⑳'oτ σ,vol  63.  Dec.1973,一,``The  Theory  of Flexible  Exchange  Rate  Regimes   and  Macroeconomic  Policジ,  Scandinavian  Journal  of Economics,  May,1976.

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96   L=琢,ゐL*=々*jP*5}      (1)     1)=1)*6                                    (2)   1レτ=13=H=一UPI*=:=一eM*         (3)   Z=琢 一H,Z*=P*夕*一H*                  』  (4)     H=π(L-M)=H(P,M)       (5)   H*=π*(L*一M*)=H*(P*,M*)   こ こ で 蔚は,マ ン デ ル ・モ デ ル の と き と 同 様 に 外 国 の 変 数 で あ る こ と を 示 し て い る 。 記 号 は 奴 ゐ*)=マ ー シ ャ ル の ゐ,夕(フ*)=実 質 産 出 高,.P(P*)=自 国 通 貨 で 測 っ た 財 の 貨 幣 価 格,θ=為 替 相 場,L(五*)=名 目貨 幣 需 要, IM(ル1*)= 名 目貨 幣 残 高,β=自 国 通 貨 で 測 っ た 貿 易 収 支 黒 字,Z(Z*)=所 望 名 目支 出 ・ H(H*)=貨 幣 に 対 す る フ ロ ー の 需 要,π(π*)=貨 幣 需 給 の 調 整 率 とす る。 ドー ン ブ ッ シ ュ ・モ デ ル で は,長 期(定 常 的)均 衡 が(1),(2)式 で,動 学 的 調 整 過 程 が(3)∼ ⑤ 式 で 定 式 化 さ れ て い る 。(1)式 で は 実 質 産 出 量 が 常 に 完 全 雇 用 水 準 に あ り,外 生 的 に 決 定 さ れ,す べ て の 価 格 が 伸 縮 的 で,貨 幣 錯 覚 は 存 在 せ ず, 貨 幣 は 中 立 的 で あ る こ と を 意 味 し,貨 幣 需 要 関 数 は 利 子 非 弾 力 的 で か つ 安 定 的 で あ る と 仮 定 さ れ て い る 。   (2)式か ら財 の 取 引 が 完 全 に 自 由 で あ れ ば,世 界 市 場 で 「一 物 一 価 の 法 則 」 が 成 立 す る 。 財 の 完 全 な 代 替 性 や 商 品 間 の 相 対 価 格 不 変 と い う 暗 黙 の 仮 定 に よ り,単 一 商 品 の 世 界 で 分 析 を 行 う こ と が で き,交 易 条 件 の 変 化 を 捨 象 す る こ と に な る 。      ,   ㈲ 式 は,各 国 の 名 目 貨 幣 残 高 は 当 初 与 え られ て お り,政 府 は 為 替 相 場 を 維 持 す る 必 要 以 外 に は,国 内 貨 幣 供 給 を 変 化 さ せ な い 。 し た が っ て,国 内 貨 幣 供 給 の 増 加 率 は 貿 易 収 支 黒 字 に よ っ て 与 え られ る こ と に な る 。(固 定 相 場 を 仮 定)   (4)式は 実 質 残 高 効 果 を 示 し,こ れ は ⑤ 式 に 示 さ れ る 貨 幣 の フ ロ ー の 需 要 を も た らす 。 こ の 需 要 は 所 望 貨 幣 残 高 と実 際 の 貨 幣 残 高 の 差 と し て 表 さ れ,実 際 の 貨 幣 残 高 が 所 望 貨 幣 残 高 へ 調 整 さ れ る 過 程 で 発 生 す る 。 こ の(4),⑤ 式 は マ ネ タ リー ・ア プ ロ ー チ の 自 動 調 整 メ カ ニ ズ ム を 示 し て い る 。 た と え ば 為 替 相 場 の 切 下 げ 一 → 国 内 物 価 水 準 上 昇 一一 〉貨 幣 需 要 増 加 → 貨 幣 保 蔵 の 増 加 → 国 際 収 支

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      国際 通 貨 制 度 と金 融 政 策 の 一考 察    97 改 善 と な り,為 替 相 場 切 下 げ 国 へ 世 界 の 貨 幣 供 給 を 再 分 配 す る こ と に な る。 (1),㈲ 式 を ⑤ 式 に 代 入 す る と,自 国 は     H=n(差 塚 一M) と な り,dH/dP>0で あ る 。 ま た 外 国 で はH=一eH*で あ る こ とか ら     H=z*(一 ゐ*琢*+eM*). と な り ゴ研 ♂P<0と な る 。 こ れ は 第2図 で あ ら わ さ れ る 。 ・ ・て・ 夢 ・・夕(。轟1.,。)・ ・ とな り,為 替相 場切 下 げ は 一eH*を 上 方 に シ フ トさせ, OBの 黒字 を もた ら す 。 しか し世 界 の貨 幣残 高 が 再 配 分 され るに つ れ て,五 一Mは ゼ ロに 近 づ き, Bも ゼ ロに近 づ き,一eH*も 下 方 に シフ トし,貨 幣 市 場 でL=Mが 達 成 され る と,貿 易 収 支 は 再 び ゼ ロとな り,為 替相 場 切 下げ の効 果 は 一 時 的 な もの に す ぎ な い ことに な る。       第2図       P \ 、   、   、     、 、 、 Pi F 、 、   、     、       、         、 、   、 H(P,M) 、   、 、

/フ  

_eOH* 0 B H,    一eH*   と こ ろ で,マ ネ タ リ ー ・ア プ ロ ー チ で は 前 述 の モ デ ル の よ うに,完 全 雇 用 状 態 が 翁 析 の 対 象 と さ れ る こ と が 多 い 。 そ れ は 不 完 全 雇 用 状 態 は 一 時 的 現 象 で,

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 98 長 期 的 に は 完全 雇 用 状 態 が達 成 で き る と考 え られ て い るか らで あ る。 した が っ て,国 際 収 支 不均 衡 も一 時 的 な もの で,長 期 的 に は 均 衡 に 向 か うと考 え られ て い る。 つ ま り,国 際収 支不 均 衡 は資 産 保 有 調 整 過 程 で 発 生 す る一 時 的 現 象 で あ る とみ な され て い る。 した が って,貨 幣 的 変 数 の変 化 は長 期 的 に は 完 全 に 中 立 的 に な り,経 済 の 実 物 的 変 数 に 影 響 を及 ぼ さ な い こ とに な る。 そ して 開 放 経 済 に お い て 貨 幣 供 給 は 内 生変 数 とな り,通 貨 当局 は 国際 収 支 が 貨 幣 供 給 に 与 え る 効 果 を 中 立 化 す る こ とが で き な い と考 え られ てい る よ うで あ る。   伝 統 的 考 え 方 と して 金 融 財 政 政 策 は 国内 の 経 済 活動 水 準 を 調 整 す る 主 要 な 手 段 で あ り,為 替 政 策 は 国 際 収 支 改 善 の重 要 な手 段 で あ る と され て きた 。 しか し;マ ネ タ リー ・ア プ ロ ーチ に お い て は,貨 幣供 給 の 国 内的 要 因 を変 化 させ て 国 内経 済 目標 を 達 成 す る こ とは,対 外 準 備 フ ロー を通 じる貨 幣 供 給 の対 外 的 要 因 の変 化 に よって,国 内 的 要 因 の 変 化 は相 殺 さ れ,究 極 的 に は無 力 であ る。 ま た,為 替 相 場 の 変 更 は 貨 幣 の 超 過 需 要 の程 度 を変 化 させ る意 味 に お い て,国 際 収 支 に影 響 を与 え る ことが で き るが,貨 幣 市 場 均 衡 が 回復 され る ま で の一 時 的 な もの にす ぎな い と され11)oし た が って,貨 幣 の 内生 的性 格 を考 慮 し な い金 融 政 策 に よっ て国 際 収 支 の不 均 衡 が もた らさ れ た場 合,為 替 相 場 変 更 に よ り是 正 し よ う と して も,再 び不 均 衡 に 陥 る こ とに な るの で,望 ま しい 貨 幣 供給 量 を決 定 す る場 合,単 に 国 内 の価 格 水 準,景 気 回 復 の 動 きだ け で な く,為 替相 場 に 与 え る効 果 を 同時 に考 慮 す る必 要 が あ る こ とを 示 唆 して い る。   この よ うな マ ネ タ リー ・ア プ ロー チに 対 して,カ ー リー(D.Currie),ベ イ        ラ ン と ト ン プ ソ ン(H,Vane&J.  Thompson)は 次 の よ う な 批 判 を し て い る 。 す な わ ち,固 定 価 格 と 不 完 全 雇 用 で 分 析 さ れ る ケ イ ン ズ 的 均 衡 で は,財 政 政 策,関 税,輸 入 割 当,平 価 切 下 げ は 国 際 収 支 の 長 期 的 均 衡 を 変 化 さ せ る こ と が で き, 通 常 の 非 貨 幣 的 手 段 に よ る 国 際 収 支 是 正 は 有 効 で あ る 。 ま た 国 内 信 用 は,そ の 11)丹 羽 昇 「国 際 収 支 理 論 の マ ネ タ リ ー ・ ア プ ロ ー チ 」 『富 山 大 学 日本 海 経 営 研 究 所 年   報 』4巻,1979年3月 。

12)  D.Currie,"Some  Criticisms  of the Monetacy  Analysis  of Balance  of Payments   Correction,  Economic  Journal,  Sept.1976.  H. Vane&J。  Thompson,  Monetarism,   Martin  Robertson,1979.

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      国際通貨制度 と金融政策の一考察  99 額 に相 当す る民 間 部 門 に 保 有 され る 資 産 の 変 化 が な くて も 変 化 す る こ とが で き,長 期 的 に は 貨 幣 残 高 と国 内 信用 の関 係 は 主 に 実 物 的 要 因 に よ り決定 され る 内 生 的 性 格 の もの と 考 え るべ きで あ る とい う もの で あ る。 また 完 全 雇 用 の 仮 定,長 期 で考 え る のか,短 期 で 考 え るの か,中 立 性 の 問題 に も批 判 があ る。 こ の よ うに,マ ネ タ リー ・ア プ ローチ に は 諸前 提 の 妥 当性 を は じめ残 され た 問 題 も少 な くない 。 こ の諸 前 提 の 現 実 へ の妥 当性 の い か ん に よ って,こ れ か らの評 価 が 決 ま って くる とい え るで あ ろ う。 皿 国際流動性供給 と金融政策   国 際 流 動 性 は,通 常,対 外 債 務 の 決 済 能 力 と 定 義 さ れ,具 体 的 に は 金,外 貨, SDR,IMFリ ザ ー ブ ・ポ ジ シ ョ ン な ど が そ れ で あ る 。 こ の うち, IMFで コ ン ト ロ ー ル す る こ と が で き,与 件 と し て 明 白 に 認 識 で き る も の と し て,IMF 保 有 の 金,SDR,IMFリ ザ ー ブ ・ポ ジ シ ョ ン が あ げ られ る 。 他 方, IMFの コ ン トロ ー ル が き か な い も の と して,中 央 銀 行 ス ワ ッ プ 網 拡 大,BISを 媒 介 し た 各 種 中 央 銀 行 借 款,ア メ リ カ の 国 際 収 支 赤 字,ユ ー ロ市 場 拡 大 と い っ たIM Fの 枠 外 に 形 成 さ れ る もの が あ る 。 こ れ らの 中 で,国 際 流 動 性 急 増 と し て 問 題 に さ れ て い る の は,基 軸 通 貨 圏 ア メ リ カ の 国 際 収 支 赤 字 と ユ ー ロ市 場 で あ る 。   1.  イ ン フ レ ー シ ョ ン の 国 際 的 波 及 過 程   世 界 的 な イ ン フ レ ー シ ョ ン論 は,い ま まで は 輸 入 イ ン フ レ ー シ ョ ン 論 に よ っ て 代 表 さ れ て き た 。 輸 入 イ ン フ レ ー シ ョ ン が ク ロ ー ズ ・ア ッ プ さ れ て き た の は,1960年 代 後 半,世 界 経 済 が 高 度 成 長 期 に は い っ て か ら の こ と で あ る 。1960 年 代 の 西 欧 諸 国 の イ ン フ レ ー シ ョ ン は 高 度 成 長 が 国 際 競 争 力 を 強 化 す る こ と に よ り,国 際 収 支 の 黒 字 → 外 貨 準 備 増 大 一→ 国 内 信 用 拡 大 に よ っ て も た ら さ れ た 「過 剰 流 動 性 イ ン フ レ ー シ ョ ン 論 」 で あ っ た 。 こ れ は イ ン フ レ輸 出 国 ア メ リ カ の 国 際 収 支 節 度 の 喪 失 に よ り,イ ン フ レ輸 入 国 の 国 際 収 支 黒 字 が 自 国 内 に お い て 過 剰 流 動 性 を 生 み 出 す と い う も の で あ っ た 。 そ し て1973年 秋 の 石 油 危 機 以 来,輸 入 イ ン フ レ ー シ ョ ン の 現 象 に 石 油 価 格 上 昇 を は じ め とす る 輸 入 財 価 格 上 昇 と い う,よ り直 接 的 な 要 因 が 加 わ っ た 。 こ の よ うな 諸 要 因 を も と に 国 際 的 イ

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100 ン フ レ ー シ ョン の 構 造 を 示 し た の が 第3図 で あ る 。       第3図 国際 的 イ ン フ レー シ ョンの構 造 ( イ ン フ レ 輸 出 国 ) 国 際 的 イ ン フ レー シ ョ ンの基 本 的 形 成 要 因 1.寡 占企 体 体 制 の形   成 2.有 効 需 要 政 策 の 推   進 3.一 次 産 品 の交 易 条   件変 化 4.賃 金 上 昇 圧 力 5.マ ネ ー ・サ プ ライ   の増 加

国 際 的 イ ン フ レー シ ョン の国 際 的 波 及 ・増 幅 機 構 1.国 際 流 動 性効 果   輸 出 増 加 → 国際 収 支 黒   字 → 国 内 貨 幣供 給 増 加 2.国 際 的 需 要 効果   外 需 圧 力 →乗 数効 果 →   GNP拡 大 3.国 際 的 価 格効 果   (1)輸入 価 格 → コス ト ・ブ       ツシ ュ   (2)国際 価 格 上 昇→ 輸 出価   格 上 昇 →(D国 内 価 格 上       昇         (ii)輸出 部 門 の       賃 金 上 昇 4.外 国 為 替 相 場 の変 動 効 果

国 際 的 イ ン フ レー シ ョン の基 本 的 形 成 要 因 1.寡 占企 業 体 制 の   形成 2.有 効需 要政 策 の   推 進 3.一 次 産 品 の交 易   条 件変 化 4.賃 金上 昇圧 力 5,マ 不 一 ・サ フ フ   イ の 増加 ( イ ン フ レ 再 輸 出 国 ) ( イ ン フ レ 輸 入 国 )   出所:土 屋 ・倉 科 著 『世 界 イ ン フ レーシ ョン』 新 評 論,1978年,p.93.よ り作 成 。   1970年 代 の 各 国 の イ ン フ レ ー シ ョ ン を 国 際 的 な イ ン フ レ ー シ ョ ン の 波 及 と い う観 点 か ら 整 理 す る と,イ ン フ レ輸 出 国 と し て ア メ リ カ と イ ギ リス を あ げ る こ と が で き る 。 両 国 は1960年 代 に 発 生 し た デ ィ マ ン ド ・プ ル ・イ ン フ レ ー シ ョ ン を 是 正 す べ き適 切 な 対 策 を と ら な か っ た た め に,1960年 代 後 半 か ら70年 代 初 頭 に な っ て,賃 金 コ ス ト ・イ ン フ レ ー シ ョ ン が 定 着 し,イ ギ リス に お い て は そ れ が い っ そ う強 め られ た 。 こ の 両 国 の 国 際 収 支 赤 字 に よ り,流 動 性 効 果 や 所 得 効 果 を 通 じ て,輸 出 依 存 度 が 高 く,為 替 管 理 が ゆ る や か な 西 ドイ ツ や ス イ ス 等 に そ れ が 輸 出 され た 。 ま た 輸 入 価 格 上 昇 の コ ス ト効 果 を 中 心 と し て,原 材 料 輸 入 比 率 の 高 い 日本,イ タ リヤ,さ らに 世 界 の 輸 出 価 格 上 昇 を 通 じ て,輸 出 産 業 の       ユの 特 化 が すす ん で い る オ ー ス トラ リア,北 欧 諸 国 等 へ 輸 出 され る こ とに な った 。   と ころ で,1970年 代 の イ ン フ レ率 が 著 し く高 くな り,し か も各 国 が 同時 に イ ン フ レー シ ョン の高 進 を経 験 した 要 因 は,1970年 代 以 降 金 との交 換 性 を停 止 し た ドル が過 剰 に散 布 され た こ とに 起 因 す る各 国 の外 貨 準 備急 増 や,1973年 の変 動 相 場 制度 移 行 に よ っ て,各 国 が 金融 緩 和 ・財 政 拡 大 政 策 を と った こ とで あ る。 13)  『日 本 銀 行 調 査 月 報 』1975年211.P.9↓,1978年9月 。

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      国際通 貨制度 と金融政策の一考察   101 増 加 した 外 貨 準 備 を 売 りオ ペ レー シ ョ ン等 を通 じて不 胎 化 しな か った 理 由 と し て は,① 為 替 相 場 切 上 げ 回 避 が,国 内経 済 の拡 大 に よ り行 わ れ る こ とに な り, そ のた め に は 金 融 ・財 政 政 策 と もに 拡 大す る方 が 都 合が よか った,② マ ネ ー ・ サ プ ラ イの 持 つ イ ン フ レ効 果 に対 す る認 識 が 弱 か った こ と等 が あげ られ る。   2.マ ネ ー ・サ プ ライ重 視 の 金融 政 策   欧 米 諸 国 に お い て は 金融 政 策 の指 標 とし て従 来 の マ ネ ー ・マ ー ケ ッ ト金 利 に 注 目す る姿 勢 か ら,最 近数 年 間,マ ネ ー ・サ プ ライ に代 表 され る量 的 金 融 指 標 を よ り重 視 す る よ うに な って きた。 この最 大 の理 由 と して は 上 述 した イ ン フ レ          一 シ ョ ソ の 高 進 が あ げ られ る   欧 米 主 要 国 に お け る マ ネ ー サ プ ラ イ ・ コ ン ト ロ ー ル の 方 法 に つ い て 考 察 す る と,各 国 は,各 種 政 策 手 段 の 組 合 せ に よ り,短 期 金 融 市 場(money  market)の 金 利 と 銀 行 の 支 払 準 備 を 変 動 さ せ 流 動 性 効 果 と コ ス ト効 果 に よ っ て 銀 行 の 与 信 態 度 に 影 響 を 与 え,そ の 目的 を 達 成 し よ う と し て い る 。 し か し,短 期 金 融 市 場 が 銀 行 以 外 の 企 業 等 も参 加 で き る 公 開 市 場(open  market)か,そ れ と も 銀 行 の み 参 加 す る市 場(inter-bank  market)か,預 貸 金 金 利 が 自 由 化 さ れ て い る か 規 fi}Uされ て い る か に よ っ て 次 の よ うに 分 類 で き る 。 す な わ ちmoney  marketが openで あ る場 合(A,  B),  money  marketがinter-bankで あ る場 合(C,          の D)で あ る 。 前 者 の 場 合 に はmoney  marketが 直 接,企 業 等 の 金 融 の 一 環 と し て 参 加 し,企 業 等 はmoney  market金 利 と 貸 出 金 利 と の 間 で 直 接 裁 定 を 行 う こ と が で き る 。 後 者 の 場 合 は,金 融 取 引 の 場 がmoney  marketと 企 業 等 の 金 融 の 場 と に 分 断 さ れ,money  marketの 金 利 は 銀 行 の コ ス ト要 因 と し て,企       第2表

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  制 な ・ 陣{肪

open  market A B inter-bank  market C D 14)拙 稿 「金 融 制度 と金 融 政 策 に つ い て の一 考 察 」『彦 根論 叢』 第193号,1979年2月 。 15)  黒 田厳 「わ が 国 に おけ る貸 出 金利 の決 定 に つ い て」 『金融 研究 資 料 』 第2号,日 本   銀 行特 別 研 究 室,1979年4月g

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 102 業 金融 に 間接 的 な影 響 を持 つ にす ぎな い 。   またopen  marketが 存 在 す る場 合 に は,中 央 銀 行 が 公 開 市 場 に お い て行 う 公 開 市 場 操 作 に よ り,銀 行 の顧 客 で あ る企 業 等 が 保 有 す る短 期 市 場 証 券(例, TB)の 量 も変 動 す る ので,マ ネ ー ・サ プ ライ に 即 時 的,直 接 的 な 影 響 を 与 え る とい う点 で,inter-bank  marketの 場 合 と異 な る。 また 預 貸 金 金 利 が 自由 化 され て い る場 合 は,貸 出 金利 が大 幅 に変 動 す る こ とに よ り,資 金 需 要 が 左 右 さ れ,需 要 面 か ら もマ ネ ー ・サ プ ライ に大 き な影 響 が 及 ぶ とい う点 で 金 利 が 規 制 され て い る場 合 とは 異 な って い る。   第4図 米国 ・英国における金融政 策の効果波及径路(売 オペの場 合)…A型 に相当 出所' 中 央 銀 行 ① ② 一 二 一 一 「         1 r一 一 (短期 金融市場) 一   一  一   一  一  一  一  一  一    一 1③ 企業等 の市場 取引態 度 銀行準備 短期 金融市場 金利 L__ 一 一  卿  減 少一   一   一  一   一  一 一

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短期 資産買 入積極化 ④ ⑤         ﹁ l l I l 一   銀 行 の 与 信 態 度       ⑦    慎 重 化 「 一一  一 一 一 一 一 一一 一 一 「       (貸 出       〈起 債 〉   貸 出 金 利    債 券 金 利  上昇 一  一  一 ⑥ 金利)l     l    3       _」 (債券市場)     ⑧       上 昇 」 __   _____       ⑨ 哺____1 ⑨ ⑭ 企 業等 の資 金需要 減退 マ ネー サ プ ラ イ 減少 『日銀 言周査 月 報 』1976{F4月g

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第5図  西 ドイ ツにおけ る金融政 策の効       果波及径 路(準 備率引上 げの揚       合)…C型 に相当   中 央 銀 行     ①       一 一一 一一 一 一一 一 一 『一 『}一 一 一 一 一「r一一 一 9      (短 期 金 罷…虫下↑∫場)       l l      l

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。 ②     劉

      _____」 」___    __一______一_一   ③      ④       銀行 の与 信態 度          「、し ・-⑤ 慎重 化   . 貸出(起 債)金 利 ⑥ 上 昇 企業 等 の資 金需要 減 退 \  .亀, ⑦   マ ネーサ プ ライ 減 少 国 際 通貨 制 度 と金融 政 策 の一 考 察   '103 第6図 預 貸 金 金利 自由化 以 前 の西 ドイ         ツ お よび現 在 の フ ラ ンス,日 本         に おけ る金 融政 策 の効果 波 及径        路(準 備 率 引上 げ の場 合)…D       型 に 相 当 中央 銀行 ① 一 G 邸 翻 }     ﹁ 一     騨 ﹁ 1 一 一 ー ー 1 ﹂ 行 銀 ③ 金 利 規制 等 マ緬 翻 希葛5一一一一一一 1銀 行準 備     短期 金融 市場 金利1         ②     減 少       上昇1       ______」       ④ ① 預 貸金 金利 ⑪ 銀行 の与信 態度 企業等 の資 金需 要   慎重化 ⑤ (信 用割 当) l o 脾 ﹁ ﹂         一 マ ネーサ プ ライ       減 少 出 刃7:  『日銀 調 査 月 報 』19.761r4月 よ     り作 成 。 出 所:『 日 銀 調i査i月報 』1976年4月 。   公 開 市場 が発 達 して い る ア メ リカ お よび イギ リス は 第2表 のAに 相 当 し,公 開 市場 に お け る債 券 ・手 形 売 買 操 作 を 中 心 的 手 段 と して 活 用 して い る。 これ に 対 し,そ の よ うな公 開 市 場 が 存 在 しな い 西 ドイ ツで は,債 券,手 形 売 買 操 作 の 役 割 は低 く,海 外 短 資 の流 出入 寺 に 対 して 準 備 率 操 作 の活 用 に よ り対 拠 し て お り,ま た貸 出政 策 に も重 点 を お い て い る。 第4図 は 米 国 ・英 国 に お け る金 融 政 '策 の効 果 波 及 径 路 を 示 し,第5図 は 西 ドイ ツに お け る 金 融 政 策 の 効 果 波 及 径 路,第6図 は 金 利 自 由化 以 前 の西 ドイ ツ,現 在 の フ ラン ス お よび 日本 の金 融 政 策 の効 果 波 及 径 路 で あ る。   また 各 国 の貸 出政 策 を み る と英 国 で は,公 定 歩 合(最 低 貸 出歩 合)を 罰 則 金 利(penal  rate・原 則 と してTB入 札 レー トの去 高)と す る こ とに よ り返 済 圧

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  104' 力 を か け る が,ア メ リ カ、と 西 ドイ ツ で は 緩 和 期 に は,イ ギ リス と 同 様,公 定 歩 合 を 短 期 金 融 市 場 金 利 よ り も 高 め に し て 返 済 圧 力 を か け て い る も の の,引 締 め 期 に な る と,中 央 銀 行 貸 出 を 量 的 に 厳 し く抑 制 し,直 接 回 収 圧 力 を か け る の が 普 通 の よ うで あ る 。 現 実 の マ ネ ー ・サ プ ラ イ の 動 向 は 各 国 と も 短 期 的 に は 必 ず し も,政 策 当 局 の 意 図 通 りに コ ン ト ロ ー ル さ れ て い る と は い い 難 く,し た が っ て ど の 型 が も っ と もす ぐれ て い る と は 一 概 に い え な い よ うで あ る 。 た と え ば, イ ギ リ ス,西 ドイ ツ に お い て は,短 期 金 融 市 場 の 金 利 を 変 動 さ せ る と,そ の 効 果 を 相 殺 す る よ う な 方 向 に 海 外 短 資 の 流 出 入 が 生 じ,そ の 面 か ら マ ネ ー ・サ プ ラ イ を 変 動 さ せ る こ と が あ る と か,ア メ リ カ の よ うに 市 場 参 加 者 の 期 待 形 成 の 変 化 に よ り,短 期 金 融 市 場 の 金 利 変 動 か ら,マ ネ ー ・サ プ ラ イ 増 減 に い た る過 程 で 攪 乱 的 影 響 を 生 じ,短 期 的 な が ら,マ ネ ー ・サ プ ライ の コ γ ト ロ ー ル が 困 難 化 す る 場 合 も あ る よ うで あ る。 し か し各 国 と も市 場 メ カ ニ ズ ム を 尊 重 す る 方        の 向に あ り,次 々 と規 制 を 重 ね るや り方 は 極 力避 け て い る よ うで あ る。 た と えば 前 述 の短 資流 出入 に つ いて も,為 替 政 策 等 を 活用 して 金融 政 策 を弾 力的 に運 営 す る 自由裁 量 度 を 確 保 す る よ うに 努 め て お り,こ れ は 運 営 目標 と して の マ ネ ー ・サ プ ライを 重 視 す るた め に は ,金 融政策の効果波及径路 におけ る金利機 能 の 活用 が 重要 で あ る εい うこ とで あ り,両 者 は い わ ば 車 の 両 輪 の よ うに 相 互 に 依 存 しな が ら推 進 され て い る とい うこ とが で き る で あ ろ う。       W  国 際 金 融市 場 と金 融 政 策   1978年 末 に お け る ユ ー ロ市 場 の 規 模 は,グ ロ ス ・ベ ー ス で8600億 ドル,銀 行         間 預 金 を 除 く ネ ッ ト ・ベ ー ス で は4800億 ドル に 達 し た 。 ユ ー ロ市 場 に は ユ ー ロ ・カ レ ン シ ー 市 場 と ユ ー ロ ・ボ ン ド市 場 が あ る が,こ こ で 国 際 金 融 市 場 あ る い は 国 際 金 利 を 考 え る場 合,主 と し て ユ ー ロ ・カ レ ン シ ー 市 場 と くに ユ ー ロ ・ ダ ラ ー 市 場 と ユ ー ロ ・ダ ラ ー 金 利 を 念 頭 に お く も の と す る 。 ユ ー ロ ・ダ ラ ー 市 16)  『日本 銀 行 調 査 月 報 』1975年4月 。1979年,9月 。 17)  『三 井 銀 行 調 査 月 報 』1979午7月 ・P44・

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      .     国際通貨制度 と金融政策の一考察  105         場 の 発 生 要 因 に つ い て は 別 稿 に 譲 り,こ こ で は ユ ー ロ ・ダ ラ ー 市 場 と金 融 政 策 の 関 係 に つ い て 考 察 し て い く こ と に す る 。   まず 金 融 当 局 に よ る 金 融 制 度 の コ ン ト ロ ー ル は ユ ー ロ ・ダ ラ ー市 場 や 他 種 の        の 外 貨 預 金市 場 の発 達 に よ り,次 の よ うな 径 路 で 弱 め られ る傾 向 が あ る。   (1)金 融 当局 の 自 国金 融 市 場 の流 動 性 資 産 量 に 対 す る統 制 力 が 弱 ま る。   (2)金 融 当局 の 自国経 済 に向 け る こ とが で き る信 用 供 与 に対 す る統 制 力 が 弱     ま る。   (3)金 融 当局 の 国 内 金利 体系 に対 す る統 制 力 が 弱 ま る。   (4)輸 入 金 融 に対 す る統 制 力 が弱 ま る。   ⑤   短 期 資 金 の 流 出 入 に対 す る統 制 力が 弱 ま る。   (6)為 替 管 理 の 残存 規定 に対 す る抜 け穴 が 容 易 に な る。   (7)保 蔵 や 投 機 目的 の た め の 金 買 入 れ が容 易 と な る。   ⑧   ユ ー ロ ・ダ ラ ー市場 が投 機 資 金 の調 達 を容 易 に す るの で 国 際 通 貨 不 安 が 生 じや す くな る。   この よ うに して,ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 に よ る取 引 が,金 融 政 策 の 目的 に逆 行 す る よ うな方 向 へ経 済 に対 す る 信用 供 与 可 能 量 を 動 か す こ とが よ くあ る。 また 国 際 資 本 移 動 の活 発 化 に よ り,公 定 歩 合 の変 更 の 国 内 金利 体 系 に対 す る影 響 力. は 従 来 よ りも弱 くな りが ち で あ り,高 金利 政 策 や 低 金 利 政 策 が 挫 折 させ られ や す い 。 と ころ で ユ ー ロ ・ダ ラー 市場 の経 済 的 効 果 と して は 次 ρ よ うな 点 を あ げ る こ とが で き るで あ ろ う。   (1)ユ ー ロ ・ダ ラー 市場 は 国 内 金利 体系 と区 別 され,か っ これ とは か な り独 立 した 国 際 金 利 体 系 を 発 生 させ た。   (2)そ れ は 国 際 資 金 の い っそ う平 均 化 した 国際 配 分 を 推 進 す る。   ㈲   そ れ は 各 国 の 国 内金 利 水 準 の格 差 を縮 め る役 割 を す る。 18)拙 稿 「多 国 籍 企 業 と 国 際 金 融 資 木 市 場 」 『彦 根 論 叢 』 第177号,1976年1月 。 19)P.Einzig,  The  Eurodollar  System,1964,(塩 野 谷 ・大 海 訳 『ユ ー ロ ・ダ ラ ー 』 東   洋 経 済 新 報 社,1965年)C.D・f・y&1.  H・Giddy,  The  lnternati・nal M・ney  Market,   Prentice  Hall,1978.

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  106   (4)正 常 な状 態 の も とで は,国 際流 動 性 不 足 を補 足 す る役 割 を もつ 。   ⑤'技 術 的 に は 国 際 的 に短 期 貸 借 を 容易 にす る。   ⑥  各 国 の国 内金 利 水 準 が い っそ う国 際 的 な影 響 力 を受 け,そ れ だ け 相 互 依 存 的 な もの に な った 。   (7)金 利 裁 定 を通 じて資 金 の 国 際 的移 動 に 追 加 的 誘 因 を 与 え る こ とに な っ た 。   ⑧  国際 金融 協 力 を盛 んに す る傾 向 が あ る。   (9)金 融 当局 に対 し,資 金 の国 際 的 流 出 入 を 調 整 す るた め の新 しい手 段 を与 え る。   ⑳'異 な った 金 利 平 価 の種 類 を 広 げ る こ とに よ って,先 物 為替 と全 種 類 の金 利 平 価 との 間 に均 衡 を導 き また これ を 維 持 す る可 能 性 を 少 な くす る。   (10各 国経 済 を 急 激 で 大 規 模 な 信用 引揚 げ の 危 険 に さ らす こ とに な った 。   ⑫  金 融 当局 が 正 統 的 な金 融 政 策 を 効果 的 に 遂 行 す るの を 困難 にす る。   と ころ で ユ ー ロ ・ダ ラ ー市 場 は,専 門 家 と政 府 関 係者 に各 国 の 金融 政 策 の相 互 依 存 関 係 を認 識 させ る有 力 な 手 が か りを 提供 す る。 現在 で は各 国 の金 融 政 策 は 相 互 に作 用 しあ う傾 向 が あ り,し た が って そ の 調 整 が各 国 に と って有 益 な も の で あ る こ とが 広 く認 識 され て い る。 ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 は 国際 金 融 協 力 の手 段 と と もに,そ の誘 因 を 与 え る もの で あ る とい え るだ ろ う。   ユ ー ロ ・ダ ラ ー市 場 は,IMF体 制 の も とで ア メ リカが 国際 収 支 赤 字 を 続 け た こ とや,国 際 流 動 性 調 達 の 手 段 と して 近 年 ます ます そ の 規 模 を 拡 大 し てい るが,各 国 金融 政 策 の 国 際的 波及 過 程 で大 き な役 割 を果 た し てい る こ とは,ま ぎれ もな い 事実 で あ る。 変動 相場 制 度 の も とに お い て,近 年 マ ネ ー ・サ プ ライ 重 視 の金 融 政 策 が と られ て い るが,ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 に お い て もそ の国 際 的 管 理 が と りあ げ られ,多 くの 議論 を よん で い る こ とは周 知 の とお りで あ る。 将 来 どの よ うな管 理 が 課 され るか は と もか くと して,現 在 の変 動 相 場 制 度 が,ど の よ うな 国際 通 貨 制 度 に 移 行 し よ うと も,金 融 政策 の相 互 依 存 関 係 を媒 介 す る もの と して,ユ ー ロ ・ダ ラー市 場 を は じめ とす る国 際 金融 市 場 が機 能 す る のは 疑 い の な い とこ ろで あ ろ う。 した が って全 世 界 的 な 観 点 か ら,各 国 の金 融 協 力

(23)

       国 際通 貨 制 度 と金 融 政 策 の一 考察 が え られ る よ うな 地 盤 造 りが 必 要 で あ ろ う。

107

〔本 稿 は,昭 和54年 度 文部 省 科 学 研 究 費助 成 に よ る研 究 の1部 で あ る〕

          〔参 考 文 献 〕

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02)      ,1吻7α'∼on  and'加 ル 頚伽6如 プist Controversy,  chap,3,  North  Holland,1972. ⑬       ,"The  Monetery  Approach  to  the  Balance  of  Payments;ANontechnical   Guide,"Journalげ 」lnternational  Economic∫,  Aug.1977.

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⑯   J.F.  Kyle,  The  BalanceげPayment∫ 勿aMonetary  Economy,  Princeton  Univ.   Press,1976.

(24)

108

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参照

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