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思春期からのエストロゲン欠乏が女性の健康に与える影響についての研究

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Academic year: 2021

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(1)

思春期からのエストロゲン欠乏が女性の健康に与え

る影響についての研究

著者名(日)

甲村 弘子

雑誌名

大阪樟蔭女子大学研究紀要

4

ページ

239

発行年

2014-01-31

URL

http://id.nii.ac.jp/1072/00003891/

BY-NC-ND

(2)

1、は じ め に 小児期の悪性腫瘍に対する造血幹細胞移植(HSCT) の成績が良好となり、長期生存者が増えている現在、 晩期的な障害が問題となっている。様々な晩期障害の 中で性腺機能不全があげられる。性腺機能不全によっ て、二次性徴の遅延、エストロゲン欠乏症状(無月経 など)が生じ、女性ホルモン補充療法(HRT)が必 要となる。晩期障害として、骨量減少も問題とされて おり 、性腺機能不全(女性ホルモンの低下)は骨量 減少の重要な因子であると考えられる。さらに、抗が ん剤およびステロイドの使用、成長ホルモン分泌不全、 長期の入院生活、活動性低下といった因子は、いずれ も骨量減少のリスク因子である。治療の為の放射線治 療では、8~23%に骨減少症が生じるといわれている。 性腺機能不全が生じた場合には、peak bone mass の 獲得が不可能となり、若年のうちから後世にわたって 骨粗鬆症の危険が生じる可能性がある。閉経期におい て、HRT は骨粗鬆症の治療薬として非常に有効であ る事から、HSCT 後の骨量減少に対しても改善がみ こまれる。本研究では、HSCT 後性腺機能不全を呈 するものに対しHRT を行った症例で、骨密度増加が 可能であるかどうかを後方視的に検討することを目的 とした。 さらにHSCT 後の性腺機能不全(女性ホルモンの 低下)は早発卵巣不全(POF)を生ずることが知られ ている。POF からの回復は極めてまれであるとされ、 集学的な報告は本邦では殆どなされていない。本研究 ではHSCT 後の卵巣機能の回復についても検討した。 2、研究計画とその方法 まずHRT による骨密度増加に関しては、無月経と FSH 高値にて受診した 25 例を対象とした。これらの 症例に対してHRT を行った。HRT 継続が不可能で あった症例、転院等でfollow up 不可能であった症例 は除外した。腰椎L2 4 の平均値を Hologic 社 QDR 4500 にて 1 年毎に測定した。骨代謝マーカーとして、 オステオカルシン(OC)、尿中 NTX を測定した。骨 密度の増減については、z score が-2 以下で、減少 した症例を反応不良群とし、それ以外の症例を増加群 とした。 卵巣機能の回復に関しては、白血病などでHSCT の既往があり、月経異常を主訴に受診した28 名を対 象とした。初診時年齢は17.9±3.3 歳である。無月経 に対してカウフマン療法を継続して経過観察を行った。 月経回復の背景因子を検討するため病歴を後方視的に 解析した 3、結果 HRT 開始時の平均骨密度は、z score -2.84 と低 値であった。z score -2 以上は 6 例で、-2 以下は 16 例(61.5%)であった。z score 0 以上の症例は認 めなかった。 移植時年齢10 歳以上の場合、z socre -2 以下を 11/12 例に認め、10 歳未満の 5/10 例に対 して、有意に多かった。HRT により 22 例(88%)で 骨密度増加を認め、z score -2 以下は 12 例(48%) と減少した。移植時年齢10 歳未満の症例、全身放射 線照射が行われていない症例では、全例増加を認めた。 骨密度維持にとどまった3 例のうち、1 例には慢性 GVHD があり、2 例は頭蓋照射を受けた既往があっ た。治療前のNTX 高値は 13/17(76.5%)に認めら れ、HRT により減少傾向はあるが、正常化したのは 1 例のみであった。OC 高値は 8/17 例(53%)から 3/17 例(18%)に減少した。 POF と診断された 21 名中 2 名が POF から回復し 正常月経周期となった(HSCT 後 4~8 年)。アルキ ル化剤は全例に使用され、放射線照射は78%で行わ れていた。回復群と非回復群の比較では、治療時年齢、 アルキル化剤使用の有無、照射の有無、E2 値、FSH 値のいずれも有意差を認めなかったが、非回復群には 照射を受けた症例が多い傾向があった。 4、考察・結論 骨密度に関する検討では、HSCT 後において HSCT 時年齢が10 歳未満の症例の腰椎骨密度は HSCT によ る影響を受けにくい可能性があるものの、HRT 継続 により腰椎骨密度は増加した。その背景には、エスト ロゲンによる骨吸収抑制効果が示唆された。POF に 関する検討では、若年がん患者で化学療法、放射線療 法後のPOF 症例においても、その後卵巣機能が回復 し妊娠に至る症例がみられた。回復症例の背景因子の 解析では有意差の出た検討項目はなく、今後この点に 関してさらなる症例の集積が必要である。 -239 - 大阪樟蔭女子大学研究紀要第4 巻(2014)

思春期からのエストロゲン欠乏が女性の健康に与える影響につい

ての研究

児童学部 児童学科/大学院人間科学研究科 人間栄養学専攻 甲村 弘子

参照

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