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動的家族画における被虐待児の描画特徴 : 印象評定を用いた分析

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(1)

動的家族画における被虐待児の描画特徴 : 印象評

定を用いた分析

著者

大和田 攝子, 阪 永子

雑誌名

研究紀要. 人文科学・自然科学篇

48

ページ

1-15

発行年

2007-03-10

URL

http://doi.org/10.14946/00001536

(2)

動 的家族 画 にお ける被虐待児 の描 画特徴

印象 評定 を用 い た分析

大和 田  撮   子 ・阪

永 子

問 題 と 目的 】

  虐 待 を受 け 、 児 童 養 護 施 設 に入 所 す る子 ど もの 数 が 増 え る につ れ 、 虐 待 が 及 ぼ す 心 理 的影 響 や 症 状 に 関 す る多 くの研 究 が 報 告 さ れ て い る。 そ れ に伴 い 、 虐 待 を受 け た子 ど もた ちへ の心 理 的 援 助 と して 、 プ レイ セ ラ ピー や 箱 庭 療 法 、 グ ル ー プ ワ ー ク な どそ の 実 践 報 告 も年 々増 え て お り、 被 虐 待 児 へ の 有 効 な援 助 の 方 策 が模 索 されつ つ あ る 。   虐 待 を受 け た 子 ど もた ちへ の援 助 を行 う際 に まず 必 要 とな るの は 、 子 ど もの 心 理 的特 徴 を把 握 す る こ とで あ る 。 特 に 、 人格 形 成 上 きわ め て重 要 な 意 味 を も つ 人 生 早 期 に 、愛 着 を形 成 す る場 と して の 「家 庭 」、 保 護 され るべ き 「家 族 」 か ら虐 待 を受 け た 子 ど もた ち が 、 加 害 者 と して の 「家 族 」 を どの よ うに 認 知 して い る の か な ど、 被 虐 待 児 特 有 の 世 界 の見 方 を知 る こ とは 臨 床 上 大 きな助 け とな るだ ろ う。   この よ う な被 虐 待 児 に お け る家 族 内 の 精 神 力 動 を把 握 す る手 が か りと して 、 Veltman&Browne(2000,2001,2003)は 動 的家 族 画(Kinetic  Family Drawing:

KFD)が 被 虐 待 児 の アセ ス メ ン トに有 効 な手 段 とな り得 る こ とを示 唆 して い る。 KFDと はBums&Kaufman(1972)が 確 立 した投 影 描 画 法 で あ り、 「あ な た の家 族 全 員 が何 か して い る と ころ」 とい う教 示 か ら も分 か る よ う に、 描 か れ る人 物 像 が行 為 ・動作 を伴 う とい う点 で従 来 の 家 族 画 とは大 き く異 な る。 そ れ ゆ え に、 被 験 者 の と らえ た 各 家 族 成 員 が 示 す 対 人 態 度 と、 全 体 と して 彼 の 目に 映 る家 族 力 動 を読 み取 る こ とを可 能 にす る の で あ る(日 比,1986)。   一 般 児 童 と被 虐 待 児 のKFDを 比 較 し、 形 式 分 析 と内 容 分 析 を行 っ た大 和 田 ・

(3)

阪(2004,2005)は 、 被 虐 待 児 の描 画特 徴 と して、 家族 像 の 省 略 、 食 事 場 面 の 少 な さや攻 撃 的 内 容 の 描 写 な どい くつ か の 点 を挙 げ て い る 。 しか し、 この よ う な 形 式 的 ・内容 的特 徴 だ け で な く、 「明 る い」 「和 や か な」 「不 気 味 な」 とい っ た 印 象 も、KFDの 特 徴 を記 述 す る上 で 重 要 な指 標 に な る と思 われ る。   対 象 の さ ま ざ ま な 印 象 や 情 緒 的 意 味 を測 定 す る方 法 と して 、Osgood,  Suci,& Tannenbaum(1957)が 考 案 したsemantic differential法(以 下 、 SD法 とす る)で は、 複 数 の 形 容 詞 対 尺 度 が 印 象 の 測 定 に使 用 され る。 本 研 究 で は 、 まずKFDの 印 象 を客 観 的 に測 定す る た め に 、SD法 を用 い た 印 象 評 定 尺 度 を作 成 す る。 そ し て 、 これ を用 い て 一 般 児 童 と被 虐 待 児 に よ っ て描 か れ たKFDの 全 体 的 印象 を比 較 し、 印象 面 にお け る被 虐 待 児 の描 画特 徴 を 明 らか にす る こ とを 目的 とす る。

方 法 】

1.描 画 の 収 集 (1)作 成 者   印 象 評 定 の 対 象 と な るKFDを 作 成 し た の は 、 過 去 に 虐 待 の 被 害 を 受 け 児 童 養 護 施 設 に 入 所 し て い る 児 童25名(男 児15名 、 女 児10名)と 一 般 児 童25名(男 児 10名 、 女 児15名)の 計50名 で あ る 。 対 象 児 の 基 本 的 属 性 を 表1に 示 す 。 対 象 児 の 性 別 は 被 虐 待 児 群 が 男 児15名(so.o%)、 女 児10名(40.0%)、 一 般 児 童 群 が 男 児10名(40.0%)、 女 児15名(60.0%)で 、 両 群 に有 意 な 差 は 認 め られ な か っ た 。 ま た 、 対 象 児 の 平 均 年 齢 は 被 虐 待 児 群 が10.5歳(SD=2.06)、 一 般 児 童 群 が9.7歳 (SD=1.49)で 両 群 に 有 意 な 差 は 認 め られ な か っ た 。 被 虐 待 児 群 に お け る 被 害 の 内 訳 は 、 身 体 的 虐 待 が11名(44.0%)、 ネ グ レ ク トが13名(52.0%)、 心 理 的 虐 待 が4名(16.0%)で あ っ た 。

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表1  描 画作 成者 の基本 的属性

被 虐 待 児 群(n=25)  一 般 児 童 群(n=25) Mean      SD Mean      SD

性別

年齢

虐待 の種類2)

  身体 的虐待

  ネグ レク ト

   性 的虐待

  心 理的虐待

15     (60.0%) 10     (40.0%) 10.5    {2.06) 11     (44.0%} 13     (52.0%) 0    (0.0%) 4(16.0%) 1.0    (40.0%) 15     (60.0%) 9.7    (x.49) 検 定1)   ns ns 1〕性 別 は κ2検定 、年齢 は分散 分析 に よって比較 した。 2L人 で 複 数 の種 類 の 虐 待 を経 験 して い る 場 合 もあ る 。 (2)材 料 A4判 の 白 い 画 用 紙 、 HB鉛 筆 、 消 し ゴ ム を 人 数 分 用 意 し た 。 (3)手 続 き 被 虐 待 児 群 は0市 内 、H県 内 、 S県 内 の児 童 養 護 施 設 に入 所 中 の児 童59名 を対 象 に描 画 の 収 集 を行 っ た 。 各 施 設 と も描 画 の 実 施 中 は 筆 者 お よび本 学 心 理 学 科 学 生 を含 め約10名 の ス タ ッ フが 児 童 一 人 一 人 の そ ば に寄 り添 い、 励 ま した り質 問 に答 え る な ど可 能 な 限 り個 別 に対 応 した(個 別 法)。 一 方 、 一 般 児 童 群 はS県 内 の 公 立 小 学 校 に通 う児 童103名 を対 象 に、授 業 の一 環 と して 実 施 した(集 団法)。   描 画 の教 示 は、 いず れ の 場合 もBums&Kaufman(1972)に 従 い、 「あ な た も含 め て、 あ な た の 家 族 の 人 た ちが 何 か して い る と ころ の 絵 を描 い て くだ さい 」 と した 。 描 画 を終 え た 児 童 か ら順 に、 描 画 に描 か れ た 人 物(誰 か ・何 を して い る か)や 描 い た感 想 な ど、 ス タ ッフが 個 別 に聞 き取 りを行 っ た。 2.描 画 の評 定 描 画 の 印象 評 定 に はSD法 を用 い た。評 定 の た め の 形 容 詞 対 は井 上 ・小 林(1985) や 今 村(2004)な ど を参 考 に 、60対 を収 集 した 。 筆 者 らを含 む 複 数 の 臨 床 心 理

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士 に よ り選 定 を 行 っ た 結 果 、35項 目 をKFD印 象 評 定 尺 度(Kinetic  Family

Drawing  lmpression  Scoring Scale)と し た 。

  描 画 の 評 定 は 、 投 影 描 画 法 の 経 験 を 有 し臨 床 歴30年 以 上 の ベ テ ラ ン の 臨 床 心 理 士3名 に よ っ て 行 わ れ た 。 本 研 究 で は 、 描 画 の 拒 否 や デ ー タ に 不 備 の あ る 児 童 な ど を 除 い た 計136枚(被 虐 待 児 群50枚 、 一 般 児 童 群86枚)の 描 画 の 中 か ら計 50枚(被 虐 待 児 群25枚 、 一 般 児 童 群25枚)を 無 作 為 に 抽 出 し、 分 析 の 対 象 と し た 。 描 画 は 被 虐 待 児 、 一 般 児 童 と い っ た 属 性 が 分 か ら な い よ う に ラ ン ダ ム に 配 列 さ れ 、 「描 画 番 号 ・年 齢 ・性 別 」 を 印 字 した 紙 を 描 画 に貼 っ た 。3名 の 評 定 者 は そ れ ぞ れ50枚 の 描 画 に 対 し て 、7件 法 で 印 象 評 定 を行 っ た 。

結 果 】

1.KFD印 象 評 定 尺 度 の 因子 構 造 と信 頼性 の 検 討   評 定 され た35項 目に つ い て 、 因子 分 析(主 成 分 解 、 バ リマ ック ス 回 転)を 行 った と ころ、 固有 値1.0以 上 の 基 準 で3因 子 が抽 出 され た 。 因子 の信 頼 性 を著 し く下 げ る項 目 を削 除 し、 再 度 因子 数 を3に 指 定 し因子 解 を求 め た 。 そ の 結 果 、 最 終 的 に3因 子34項 目が 採 用 され た 。 表2は 、 抽 出 され た各 因 子 とそ れ に含 ま れ る項 目、 お よ び 因子 負 荷 量 、 各 因子 の寄 与 率 を示 した もの で あ る。   第1因 子 は12項 目か ら構 成 され て お り、 「丁 寧 な」 「ま と まっ た」 「バ ラ ンス の よい 」 な ど全 体 的 な安 定 感 や 統.__.性に 関 す る項 目 に高 い 負 荷 が み られ る。 した が っ て、 第1因 子 は 「安 定 ・統 合 性 」 と命 名 した 。 第2因 子 は11項 目か ら構 成 され て お り、 「動 的 な」 「強 い 」 「生 き生 き した 」 な ど活 動 性 に 関す る項 目や 「情 感 の こ も った 」 「表 情 の あ る」 な ど感 情 表 出 に 関 す る項 目が多 く含 ま れ て い る。 した が っ て 、 第2因 子 は 「活 動 ・表 出性 」 と命 名 した 。 第3因 子 は11項 目か ら 構 成 され て お り、 「くつ ろ い だ」 「和 や か な」 「親 密 な」 な ど描 か れ た家 族 の 親 和 ・親 密 性 に 関す る項 目が 多 く含 まれ て い る。 した が っ て 、 第3因 子 は 「親密 性 」 と命 名 した 。   評 定者 別 に各 因 子 の α係 数 を求 め た と こ ろ、 「安 定 ・統 合 性 」 は.96∼.98、 「活 動 ・表 出性 」 は.85∼.99、 「親 密性 」 は.97∼.99で あ り、 印象 評 定尺 度 と して 十分 に高 い信 頼 性 が 確 認 され た 。

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表2  KFD印 象評定 尺度の因子分析結果

項 昌内容    因 子 負 荷 量 1      】王      班   1.安 定 ・統 合 牲 21.丁 寧 な 一 粗 雑 な(※) 15。 ま とま った_...ばら ば らな(※) 14.抽 象 的 な 一 翼 体 的 な 19.荒 々 しい...繊細 な 34.バ ラ ン ス の 悪 い 一 バ ラ ン ス の よ い 26.調 箱 した...,.不調 和 な(※> 3.現 実 的 な 一一 空 想 的 な(※) 29.わ か りに くい 一 わ か りや す い 鴇.蛍 定 感 の な い 一 安 定 感 の あ る 16.不 完 全 な 一 完 全 な 22.攻 撃 的 な 一 攻 撃 的 で な い 31.落 ち 着 き の な い 一 落 ち 漕 き の あ る 、34 -.43 .25 .04 .34 -,34 -、15 .4薯 .51 .49 -.02 .46 胤23 -,24 ,27 .44 .43 -.49 -.5葉 46 .38 .35 .59 .35   π.活 動 ・衷 出 性 23。 動 的 な 一 静 的 な(※) 8.弱 い 一 強 い 13、 構 惑 の こ もって い な い ・一 惰 感 の こもっ た 12.小 さい 一 大 き い 17、 生 き 生 き した 一 生 気 の な い(※) 9.ス ト__..リー一の あ る 一 ス トー リー の な い(※> 5.つ ま らな い 一 面 白 い 質.に ぎ や か な 一 さび しい(※) 24.表 憺 の な い 一 表 糖 の あ る 6.閉 鎖 的 な...._.開放 的 な 30.豊 か な...貧弱 な(※) .02 .33 .27 .葉6 -.29 餓 お .4◎ 慌25 .41 .39 九52 一.2"3」 ,09 .19 ,28 -、39 戦03 .34 .so .42   rJ' 一 .52   班.親 密 性 2.緊 張 した 一 くつ ろ い だ 4.冷 た い 一 あ た た か い 重.明 る い 一 ・暗 い(※) 27.不 気 瞭 な 一 不 気 味 で な い 25.楽 しい 一 苦 しい く※) 1◎.和 や か な 一 和 や か で な い(※) 35.穏 や か な 一 激 しい(※) 33.親 しみ や す い 一 親 しみ に 〈い(※> Z8.空 虚 な 一一 充 実 した 2a.親 密 な 一 親 密 で な い(※> 32.の び の び した 一 窮 属 な(※) .38 .44 慌42 .57 -.4fr "_.フ.63 -,57 .53 焦49 覧37 .33 .44 門45 24 戦42 _' . 一 .◎5 -,42 .48 、4◎ .." .52 固有 値 寄 与率(%) 累積寄 与率(%〉 9.79 28.79 28.7 $.92 25.23 55.03 8.52 25.◎5 8α ◎8 (※)は 逆転 項 目

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2.被 虐 待 児 群 と一 般 児 童 群 の 比 較   各 項 目の 評 定 値 は 、3人 の 評 定 者 に よ る評 定値 の平 均 値 と した 。 各 因 子 の評 定 値 の 合 計 を項 目数 で 除 した 値 を群 別 に算 出 し、 被 虐 待 児 群 と1  児 童 群 の描 画 印象 を比 較 した 。 表3は 各 因 子 に お け る群 別 平 均 値 お よび標 準 偏 差 を示 した も の で あ る。各 因子 の評 定 値 は、得 点 が 高 い ほ ど 「安 定 ・統 合 性 」「活 動 ・表 出性 」 「親密 性 」 が 高 い とい う こ とを示 して い る。   t検 定 の結 果 、 「安 定 ・統 合 性 」 「活 動 ・表 出性 」 「親 密 性 」 の す べ て の 因子 に お い て 、 一 般 児 童 群 の 方 が 被 虐 待 児 群 よ りも評 定 値 が 有 意 に高 い こ とが 示 され た。         表3  各 因子 の群 別 平 均値 お よび 標 準 偏 差

一 般児童群

被虐待児群

平 均 値(SD) 平 均 値(SD) t値 安 定 ・統 合 性     5.18(0.91) 活 動 ・表 出 性     5.03(1.07) 親 密 性       5.28(1.05) 3.25  (1.18)     11.19*** 3.36  (1.24)      8.80*** 2.95  (1.17}     12.86*** *輯 P<.001 3.各 描 画 のパ ター ン別 分 類   そ れ ぞ れ の 因 子 が 意 味 す る印 象 が 、 実 際 に ど の よ う な描 画 に基 づ い て い る の か を検 討 す るた め 、 各 描 画 をパ ター ン別 に分 類 した。 各 因子 の 平 均 値 を基 準 に、 そ れ よ り得 点 が 高 い 描 画 を高 群 、 得 点 が 低 い 描 画 を低 群 と した 。 各 因 子 が 高 群 ・低 群 の い ず れ か に分 け られ る こ とか ら、 理 論 上 は23=8通 りの パ ター ンに分 類 され る こ とに な る。 これ らの方 法 に よ り描 画 を分 類 した 結 果 、 計6通 りのパ ター ンが 見 られ た。 パ ター ン別 の 人 数 を表4に 示 す 。   一 般 児 童 群 で 最 も多 か っ た の は、 「高安 定 ・統 合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 の18枚 で 、 全 体 の7割 以 上 を 占 め て い た 。 一 方 、 被 虐 待 児 群 で は 「低 安 定 ・統 合 性 」 「低 活 動 ・表 出性 」 「低 親 密 性 」 が19枚(76.0%)と 最 も多 か っ た。

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表4  各描画のパ ター ン別分 類

安定 ・統合性

活動 ・表 出性

親密性

一 般 児 童 群     (%) 1.8    3     2     1     0     1 (72.0)    (12.0)    (8.0)     (4.0)     (0.0)     (4.0)

被 虐待児群

   C%}

  3      0      1      0      2      19 (12.0)    (0.0)   (4.0)     (0.0)    (8。0)   (76.0)   こ こで 、 各 描 画 パ ター ンの 例 を描 画1∼6に 示 す 。 な お 、 そ れ ぞ れ の描 画 パ ター ンに お い て 、 一 蝦 児 童 群 の 方 が 出 現 率 が 高 い もの は一 般 児 童 群 の 描 画 を提 示 し、 被 虐 待 児群 の 方 が 出現 率 が 高 い もの は被 虐 待 児 群 の描 画 を提 示 した。 描 画1  「高安 定 ・統合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 の例   作 成 者 は 一 般 児 童 の11歳 女 児 で あ る。 家 族 全 員 が 決 ま っ た 席 で食 事 を して い る。 表 情 が 豊 か で あ り、 食 卓 の描 写 に も臨場 感 が あ る 。 現 代 家 族 に ふ さ わ し く テ レ ビが 描 か れ て い るが 、対 話 中心 の食 卓風 景 で あ る。 描 画2  「高 安 定 ・統 合 性 」 「低 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 の例   作 成 者 は一 般 児 童 の11歳 男 児 で あ る。 家 族 が 集 ま っ て 食 事 を して い る場 面 が 描 か れ て い るが 、 どの人 物 像 も画.__.的で あ ま り動 きが 感 じ られ な い。 描 画3  「高 安 定 ・統 合 性 」 「低 活 動 ・表 出性 」 「低 親 密 性 」 の例   作 成 者 は一般 児 童 の11歳 男 児 で あ る。 家 族 そ ろ っ て野 球 の 番 組 を見 て い るが 、 全 員 後 ろ 向 きで 顔 が 描 か れ て い な い 。 描 画4  「低 安 定 ・統 合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 の例   作 成 者 は一 般 児 童 の9歳 男 児 で あ る。 粗 雑 な タ ッチ で は あ るが 、 躍 動 感 が あ り楽 しい 雰 囲 気 の描 画 で あ る。 調 理 を して い る母 親 の横 で電 子 レ ンジ の音 が 鳴 り、 食 卓 で は料 理 が で きるの を待 つ 光 景 が よ く表 され て い る。

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描 画5  「低 安 定 ・統 合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「低 親 密性 」 の 例   作 成 者 は被 虐 待 児(身 体 的 虐 待 、ネ グ レク ト、心 理 的虐 待)の14歳 男 児 で あ る。 「ドラ え もん 」 の キ ャ ラ ク ター を登 場 させ て 、 家 族 の惨 劇 を戯 画 化 す る な どの一・ 種 の加 工 が用 い られ て い る。 攻 撃 的 で グ ロ テ ス ク な描 画 で あ る。 描 画6  「低 安 定 ・統 合 性 」 「低 活 動 ・表 出性 」 「低 親 密 性 」 の例   作 成 者 は被 虐 待 児(心 理 的虐 待)の10歳 男 児 で あ る 。 ソ フ ァに描 か れ て い る 人物 像 は 、 一 番 左 か ら 自分 、 兄 、 弟 、 姉 、 父 親 、 母 親 の 順 で 、 本 児 は両 親 か ら   iw離れ た 場 所 に い る 。 テ レビが 詳 細 に描 か れ て い る が 、 人物 像 は す べ て後 ろ 向 きで顔 が な く棒 状 に描 か れ て い る。 極 め て 貧 弱 な描 画 で あ る。

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、 匿 描 画1 ∼ 描画2

/

、 、

(11)

' '" 描 画3 ' 、 繍'舞       '       欝_一,     鷺嚢     嚢角 、 、 ◆ 、

  .   . ., 描画4 ◆ ' 川 ' 、 、 9 ○ '    、、"

(12)

描 画5

餌勘

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考 察 】

1.KFD印 象 評 定 尺 度 の 因 子構 造   本研 究 の 目的 は 、KFDの 印象 を評 定 す る 尺 度 を作 成 し、 被 虐 待 児 が 描 くKFD の 印 象 面 にお け る特 徴 を明 らか にす る こ とで あ った 。 まず 、 評 定 の た め の形 容 詞 対 を収 集 し、35項 目か らな るKFD印 象 評 定 尺 度 を作 成 した上 で 、50枚 の描 画 に対 して3名 の 評 定 者 が 評 定 を行 っ た 。 主 成 分 分 析 の 結 果 、 「安 定 ・統 合 性 」 「活 動 ・表 出性 」 「親 密 性 」 の3つ の 因 子 か ら構成 され て い る こ とが 明 らか に な った 。   「安 定 ・統 合 性 」 は 「丁 寧 な」 「ま と ま っ た」 「バ ラ ンス の よい 」 な どの項 目 を 中心 に 、 「具 体 的 な」 「わ か りや す い 」 とい っ た 具 体 性 に 関 す る項 目 も含 ま れ て お り、 全 体 的 な安 定 感 や 統 一 性 に 関 す る 因子 で あ る と考 え られ る。 次 に、 「活 動 ・表 出性 」 は 「動 的 な」 「強 い 」 「生 き生 き した 」 な ど活 動 性 に 関 す る項 目 と 同時 に、 「情 感 の こ もっ た」 「表 情 の あ る」 な ど感 情 表 出 に 関 す る項 目か ら構 成 され て お り、 活 動 性 や 表 出性 に 関 す る 因子 で あ る と考 え られ る。 最 後 の 「親 密 性 」 は 「くつ ろ い だ」 「和 や か な」 「親 密 な」 とい っ た描 か れ た家 族 の 親 密 性 を 示 す 項 目を 中心 に 、 「親 しみ や す い 」 な ど親和 性 に 関す る項 目 も含 まれ て い る こ とか ら、 親密 性 や 親和 性 に 関 す る因子 で あ る と考 え られ る。   今村(2004)は コ ラー ジ ュ作 品 の 印 象 評 定尺 度 を作 成 し、 「安 定 性 」 「表 出性 」 「創 造 性 」 の3因 子 を見 出 して い る。 「安 定 性 」 は 「落 ち着 きの あ る」 「安 定 感 の あ る」 な ど全 体 的 な ま と ま りや 落 ち着 き を表 す 因 子 と な っ て お り、 本 研 究 に お け る 「安 定 ・統 合 性 」 に相 当 す る と思 わ れ る。 しか し、 今 村 の 「安 定 性 」 に含 ま れ て い る柔 らか さや 女 性 ら し さ を示 す 項 目は 、 本 研 究 の 「安 定 ・統 合 性 」 に は ない 。 また、 今 村 の 「表 出性 」 は 「地 味 な(逆 転 項 目)」 「に ぎや か な」 「色 数 の 多 い 」 な どの 項 目か ら構 成 され て い るが 、 本 研 究 に お け る 「活 動 ・表 出 性 」 は、 「あ なた の 家 族 全 員 が 何 か して い る とこ ろ」 とい う教 示 が 示 して い る よ うに 描 か れ た 人 物 像 の 動 作 や 表 情 な ど動 的 な様 相 が項 目内容 に 反 映 され て お り、 今 村 の そ れ とは意 味 合 いが 多 少 異 な る。 さ らに、 本 研 究 の 「親密 性 」 に含 まれ る 項 目は今 村 の尺 度 に は ほ とん どな い こ とか ら、 家 族 の力 動 が 投 影 され るKFDに

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お い て は 、 全 体 的 な 印 象 を評 定 す る の に 必 要 な要 素 と して認 識 され た の か も し れ ない 。 2.印 象 評 定 にお け る被 虐 待 児 の描 画特 徴   次 に、 本 研 究 で作 成 した 印象 評 定 尺 度 を用 い て 被 虐 待 児 と一 般 児 童 の 描 画 印 象 を比 較 した 。 そ の結 果 、 「安 定 ・統 合 性 」 「活 動 ・表 出性 」 「親 密 性 」 の すべ て の 因子 に お い て、 一 般 児 童 と被 虐 待 児 の評 定 値 に有 意 な差 が 認 め られ た。 す な わ ち、 被 虐 待 児 が 描 くKFDは 一 般 児 童 のKFDに 比 べ 、 「全 体 的 に安 定 感 や ま とま りが な く、 躍 動 感 や 情 緒 的 表 現 に乏 し く、 ま た描 か れ た 家 族 像 か らは 親 密 で和 や か な雰 囲気 が感 じ られ な い」 とい う特 徴 を もつ とい え よ う。   しか しな が ら、 す べ て の 被 虐 待 児 の描 画 が3つ の 因子 にお い て 平 均 値 よ りも 低 い値 を示 す わ け で は な い 。 各 描 画 の パ ター ン別 分 類 を見 る と、 一 般 児 童 に も っ と も多 い 「高 安 定 ・統 合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 に分 類 され た被 虐 待 児 の描 画 は、 全 体 の 約1割 を 占 め て い た 。 本 研 究 にお い て 対 象 とな っ た被 虐 待 児 はす べ て 児 童 養 護 施 設 に 入 所 中 の児 童 で あ るが 、 虐 待 の 程 度 や種 類 、 虐 待 が行 わ れ た 時 期 、 さ らに児 童 の 脆 弱 性 な ど に よ っ て、KFDの 印 象 が異 な る可 能 性 が あ る。 ま た 、 彼 らは 施 設 にお い て プ レ イ セ ラ ピー や グ ル ー プ ワ ー ク な ど の 心 理 的 援 助 を受 け て い るが 、 そ れ らの 治 療 的 介 入 が 描 画 表 現 に何 らか の 影 響 を及 ぼ して い る の か も しれ ない 。   な お 、 描 画1∼6は 各 描 画 パ タ ー ンの 代 表 例 を提 示 した もの で あ る。 こ れ ら の 描 画 を提 示 す る こ とで 、 安 定 感 や 統 一 性 、 活 動 性 や 表 出 性 、 親 密 性 や 親 和 性 な どの 印 象 が 、 実 際 に どの よ う な描 画 に基 づ い て い る の か を確 認 す る こ とが 可 能 とな る。 また 、 そ れ と同 時 に 「高 安 定 ・統 合 性 」 「高 活 動 ・表 出性 」 「高 親 密 性 」 や 「低 安 定 ・統 合 性 」 「低 活 動 ・表 出性 」 「低 親 密 性 」 な ど、3つ の 因 子 の 組 み合 わせ に よ っ て 表 現 され る全 体 的 印 象 を も視 覚 的 に捉 え る こ とが で きる だ ろ う。 3.今 後 の展 望 本 研 究 で は独 自 にKFD印 象 評 定 尺 度 を作 成 し、 被 虐 待 児 の描 画 印象 につ い て

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探 索 的 に検 討 を行 っ た 。 今 後 さ ら に多 くの 描 画 を評 定 す る こ とで、 尺 度 の信 頼 性 を確 認 す る と と もに、KFDの 形 式 ・内容 的特 徴 と 「安 定 ・統 合 性 」 「活 動 ・表 出性 」 「親 密性 」 とい っ た 印象 傾 向 との 関係 につ い て も明 らか にす る こ とが 必 要 で あ る。 さ ら に、 先 述 した よ う に、 対 象 児 の 性 別 や 年 齢 、 虐 待 の 程 度 や 種 類 、 虐 待 が 行 わ れ た 時 期 な ど、 さ ま ざ ま な要 因 に よ っ て描 画 の 印象 が 異 な る可 能 性 が あ る。 した が っ て 、対 象 児 の 個 人 的 要 因 も考 慮 に入 れ た 詳細 な比 較 検 討 が 必 要 とな ろ う。

文 献 】

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参照

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