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近世日本におけるガラス製造法の発展とその限界(二)

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Kobe Shoin Women’s University Repository

Title

近世日本におけるガラス製造法の発展とその限界(二) Development of Methods of Glass-making in Japan from the Mid-17th Century to the Mid-19th Century ( 2)

Author(s) 棚橋 淳二(Junji Tanahashi)

Citation 研究紀要(SHOIN REVIEW),第 9 号:237-304

Issue Date 1968

Resource Type Bulletin Paper / 紀要論文

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(

)

三 、 第 二 期 秘 伝 公 開 の 時 期 の 秘 伝 公 開 の 契 機 ( 1 ) 十 七 世 紀 の わ が 国 に お け る ガ ラ ス 製 造 の 詳 細 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 い 。 し か し な が ら 既 に 述 べ た が 如 く 、 遅 く と も こ の 世 紀 の 後 半 ま で に は 恐 ら く 中 国 或 い は 朝 鮮 よ り ガ ラ ス 素 地 製 造 の 技 法 が わ が 国 に 伝 え ら れ て 、 長 崎 に お い て は ガ ラ ス の ( 2 ) 製 造 が 始 め ら れ て い た と 推 定 せ ら れ る 。 し た が っ て ﹃ 長 崎 夜 話 +早 ﹄ に ﹁ 今 其 傳 流 絶 ず ﹂ と い う 如 く 、 ガ ラ ス 製 造 法 の 伝 来 以 来 そ の 技 法 が 長 崎 に お い て 伝 承 さ れ 、 ﹁ さ ま く の 器 物 ﹂ が 製 作 さ れ て い た こ と は 想 像 に 難 く な い と こ ろ で あ る 。 し か も 十 七 世 紀 も 後 半 と な り 、 世 の 中 が 落 ち 着 き 、 経 済 的 に 安 定 し た 階 級 が 増 加 す る よ う に な る に し た が い 、 眼 鏡 の 他 、 奢 修 品 と し て の ガ ラ ス 製 日 用 什 器 に 対 す る 需 要 が 急 速 に 増 大 し 、 そ れ に 応 じ て 長 崎 に お い て ガ ラ ス 製 造 を 志 す 者 も 次 第 に 増 加 し て い っ た と 考 え て 差 支 え な い で あ ろ う 。 更 に ﹁ 秘 伝 の 成 立 と 継 承 ﹂ に お い て 言 及 し た 如 く 正 徳 ( 一 七 = 1 一 七 一 六 ) 頃 に は 大 坂 、 京 、 江 戸 に お い て も 硝 子 師 が 活 躍 し 、 秘 伝 で あ る ガ ラ ス 製 造 の 技 法 を 知 る 者 の 数 が 増 加 し て い っ た こ と は 注 意 す べ き で あ ろ う 。 即 ち 秘 伝 を 知 る 者 が 多 く な れ ば 、 そ れ だ け 秘 密 漏 洩 の 可 能 性 が 大 き く な る の は 当 然 で あ り ﹁ 萬 金 産 業

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( 3 ) 袋 ﹂ に も 、 ひ 我 ひ と り 秘 し て 是 を 製 作 せ し か 。 い つ と な く し て 他 に も れ し や 。 と 記 さ れ て い る 如 く 、 や が て 識 者 、 学 者 の 知 る と こ ろ と な っ た の で あ ろ う 。 折 し も 農 学 知 識 の 集 大 成 の 書 で あ る 宮 嶋 安 貞 の ﹁ 農 業 全 書 ﹂ ︹ 十 巻 、 元 禄 九 年 ( = ハ 九 六 ) ︺ 、 澁 川 春 海 の ﹃ 天 文 硬 統 ﹂ ︹ 元 禄 十 五 年 ( 一 七 〇 二 ) ︺ 、 千 三 百 六 十 二 ( 4 ) 種 の 動 植 鉱 物 に つ い て の 観 察 を 記 載 し た 貝 原 益 軒 の ﹁ 大 和 本 草 ﹂ ︹ 十 六 巻 、 宝 永 六 年 ( 一 七 〇 九 ) ︺ 始 め 多 く の 学 術 書 、 技 術 書 が 版 行 さ れ 、 文 化 は 隆 盛 に 向 い 、 諸 工 業 も 著 し く 進 展 し 、 産 業 に 対 す る 関 心 も 著 し く 高 ま っ て い た 時 期 で あ っ た 。 秘 伝 を 知 る も の の 急 増 に よ る 秘 密 保 持 の 困 難 さ 、 世 人 の 産 業 に 対 す る 関 心 の 深 ま り 、 ﹃ 一天 工 開 物 ﹂ の 舶 載 に よ り 概 略 な が ら ガ ラ ス 製 造 の 技 法 が 公 表 さ れ た こ と な ど が ガ ラ ス 製 造 に 関 す る 秘 法 公 開 へ の 契 機 と な っ た も の と 推 定 せ ら れ る 。 ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ の 場 合 は 百 科 事 典 と し て の 完 全 性 を 期 す る 必 要 上 、 ま た ﹃ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の 場 合 ば 技 術 書 と し て の 総 合 性 を 満 足 せ し め る 必 要 上 ガ ラ ス の 製 造 法 が 記 載 さ れ た も の で あ ろ う 。 特 に 後 者 に お い て は 些 か 公 表 を 惜 し み な が ら 秘 法 を 記 し て い ( 5 ) ろ 点 、 興 味 深 い 。 即 ち ﹃ 萬 金 産 業 袋 ﹂ に は 次 の 記 事 が み ら れ る 。 け ん ド 秘 事 と い へ と も 。 一 件 く の 末 に 至 り 。 び い ど う の 事 を い ふ へ き の 部 に せ ま り て 。 他 事 な く も 夏 に の す る 物 也 。 更 に ﹁ 秘 事 指 南 車 ﹂ の 場 合 は 、 そ の 後 十 九 世 紀 初 頭 に か け て 版 行 さ れ た 多 数 の 類 書 の 場 合 と 同 様 、 秘 事 、 妙 術 の 集 成 、 公 開 を 目 的 と し て い る だ け に 、 そ の 大 部 分 の 記 載 が 他 書 よ り の 剥 窃 に せ よ 、 耳 学 問 に せ よ そ の 編 者 が 知 り 得 た 限 り の 新 知 識 は 躊 躇 な く 採 録 さ れ た の で あ ろ う 。 註 ( 1 ) 拙 稿 ﹁ 近 世 日 本 に お け る ガ ラ ス 製 造 法 の 発 展 と そ の 限 界 ﹂ ( 一 ) ( ﹃ 研 究 紀 要 ﹂ 第 八 号 、 松 蔭 女 子 学 院 大 学 学 術 研 究 会 、 昭 和 四 十 一

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年 )、 二 五 二 頁 。 な お こ こ で ガ ラ ス 製 造 の 伝 来 、 再 興 に 関 し て 少 し く 補 っ て お き た い 。 長 崎 に お け る ガ ラ ス 関 係 の 文 献 に 詳 し い 越 中 哲 也 氏 は 、 慶 長 、 元 和 年 間 に は ま だ 長 崎 地 方 で 硝 子 を 製 造 し た と い う 記 録 は 未 見 で あ る 。 ⋮ : ( 中 略 ) ・・ ⋮ ・ 長 崎 に 於 て は じ め て 硝 子 が 製 作 さ れ た の は 寛 永 の 後 期 よ り 寛 文 の 初 に か け て で あ っ た と 考 え た い 。 と 述 べ て お ら れ ︹ 越 中 哲 也 ﹁ ガ ラ ス 考 (序 説 ) 1 主 と し て 長 崎 ガ ラ ス よ り ー ﹂ ( ﹁ 長 崎 市 立 博 物 館 々 報 ﹂ 第 5 号 、 長 崎 市 立 博 物 館 、 昭 和 四 十 年 ) 、 七 ー 八 頁 ︺ 、 ま た 、 ビ ー ド ロ が わ が 国 で 作 り 始 め ら れ た 時 期 に つ い て は 、 長 崎 諸 役 人 増 減 帳 に 御 用 玉 細 工 人 、 玉 屋 六 右 衛 門 の 由 緒 書 に 、 ﹁ 延 宝 元 丑 年 よ り 父 六 右 衛 門 相 勤 候 跡 ﹂ を つ い だ と 記 録 さ れ て い る の で 寛 永 の 末 年 頃 (約 三 三 〇 年 前 ) で あ ろ う と 考 え ら れ る 。 し か し 、 色 ガ ラ ス や カ ッ ト グ ラ ス の 製 法 を 修 得 す る に は 、 そ れ よ り さ ら に 一 世 紀 を 下 っ て も ま だ 容 易 で は な か っ た よ う で あ る 。 と 記 し て お ら れ る ︹ 越 中 哲 也 ﹁ 五 色 ビ ー ド ロ 碗 ﹂ ( ヒロ 睾 曾 こ hρ Z 。 °㎝ " 東 洋 経 済 新 報 社 、 昭 和 四 十 二 年 ) 八 五 頁 ︺ 。 玉 屋 六 右 衛 門 は ﹁ 御 用 玉 細 工 人 ﹂ で あ る と い う か ら 水 晶 、 琉 珀 、 瑠 璃 、 ガ ラ ス な ど を 加 工 し て 念 珠 、 緒 鎮 、 仮 玉 な ど を 製 作 し て い た で あ ろ う 。 但 し 六 右 衛 門 (先 代 も 含 め て ) が ガ ラ ス 素 地 の 製 造 ま で 手 懸 け て い た か 否 か に つ い て は な お 検 討 の 余 地 が あ る の で は な い か と 思 わ れ る 。 ( 2 ) 西 川 正 休 ﹃ 長 崎 夜 話 草 ﹂ 享 保 五 年 刊 、 京 都 大 学 附 属 図 書 館 蔵 ︹ ? °。 9 汁 Q。 一 2 。 °ω O O ㎝ ◎。 ︺ 、 五 ﹁ 附 録 ﹂ 、 ニ オ 。 ( 3 ) 三 宅 也 來 ﹃ 世 買 大 成 萬 金 産 業 袋 ﹂ 享 保 十 七 年 刊 、 京 都 大 学 経 済 学 部 蔵 ︹ 区 く 月 く -卜。 、 南 嚇 2 0 昌 日 ゜。 刈 ﹃︺ 、 巻 之 三 、 十 五 オ 。 三 宅 也 來 ﹁萬 金 産 業 袋 ﹂ 巻 三 ( ﹁ 通 俗 経 濟 文 庫 ﹂ 巻 十 二 、 日 本 経 済 叢 書 刊 行 会 、 大 正 六 年 )、 一 = 一頁 参 照 。 ( 4 ) 貝 原 益 軒 ﹃ 大 和 本 草 ﹂ 宝 永 ⊥ハ 年 刊 、 版 本 、 松 蔭 女 子 学 院 図 書 館 蔵 ︹ お O . Φ ざ Z P お 8 。。 よ 悼 O ら 。。 ︺ 目 録 、 十 七 オ 。 ( 5 ) 三 宅 也 來 、 前 掲 書 、 巻 之 三 、 十 五 ウ 。 前 掲 ﹁ 通 俗 経 濟 文 庫 ﹂ 巻 十 二 、 一 = 二 頁 参 照 。

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倒 実 学 書 等 の 刊 行 及 び そ の 内 容 ω ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ に つ い て 十 八 世 紀 の 初 頭 、 寺 島 良 安 は 三 才 即 ち 天 地 人 に 亘 る 知 識 を 集 成 し た 書 ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹄ を 著 わ し た 。 こ の 書 は 百 五 巻 に も ( 1 ) 及 ぶ 大 規 模 な も の で あ り 、 正 徳 三 年 ( 一 七 = 二 ) に 発 免 さ れ た 。 こ の 書 の ﹁ 硝 子 ﹂ の 項 に は ガ ラ ス 素 地 の 製 法 に 関 し て 、 テ ナ ル ヲ ニ テ リ ル ス ヘ ヲ ノ ニ ノ シ シ テ ヲ 其 法 用 二 肌 -濃 白 ー 石 一細 末 生 -盤 -硝 ︹ 割 註 ︺ 微 -火 妙 去 二 臨 -氣 一 ﹂ 居 二 壷 於 竃 内 一 ︹ 割 註 ︺ 唐 -津 焼 之 壷 佳 L 投 二 鉛 於 あ テ ヲ ヲ ワ カ シ ギ ツ イ ス ル ヲ シ テ ヲ ル シ チ ヤ ウ セ ン ノ 壷 ︼ 加 二 硫 黄 一以 二 炭 火 一 鋳 レ 之 而 候 二 鉛 消 -化 一 投 二 石 -末 硝 -末 一 煉 レ之 則 如 二 膠 籠 一 と 記 さ れ て い る 。 即 ち 原 料 と し て は 粉 末 状 の 白 石 即 ち 石 英 、 と ろ 火 で 塩 気 を 妙 り 去 っ た と い う 生 塩 硝 即 ち 硝 石 、 鉛 、 硫 黄 を 用 い る こ と 、 融 解 の 手 順 と し て は 竃 内 に す え た 唐 津 焼 な ど の 壺 に 鉛 と 硫 黄 と を 投 入 し て 炭 火 で 鋳 か し 、 そ の 後 石 英 末 と 硝 石 末 と を 加 え て 混 合 、 融 解 し て 水 飴 の よ う に す べ き こ と が 示 さ れ て い る 。 と こ ろ で 生 塩 硝 に つ い て は 、 ﹁ 微 火 一= ブ 盛 氣 ヲ 妙 リ 去 ル ﹂ と 記 さ れ て い る が 、 少 々 加 熱 し た 程 度 で 不 純 物 の 塩 を 除 去 し 得 る 筈 は な い 。 恐 ら く 、 硝 石 に 含 ま れ る 不 純 物 に は 潮 解 性 を 示 し 、 ま た 結 晶 水 を 有 す る 塩 が 多 い こ と か ら 、 予 め 加 熱 し て 乾 燥 、 脱 水 し 、 爆 ぜ 飛 散 す る の を 防 ぐ こ と を 目 的 と し て い る の で あ ろ う 。 な お 鉛 と 硫 黄 と を 壷 に 投 入 し て ﹁ 之 ヲ 錆 力 ﹂ そ う と す る 場 合 、 鉛 が す べ て 硫 化 鉛 勺 ぴ ω に 変 化 し ( 2 ) ( 3 ) た と す る と 、 そ の 融 点 は 一 、 = ○ 度 で あ る か ら 相 当 強 熱 せ ね ば な ら ぬ で あ ろ う 。 因 に 鉛 の 融 点 は 三 二 七 ・ 四 度 で あ る 。 し か し な が ら 続 け て ﹁ 鉛 消 化 ス ル ( 消 滅 し て 変 化 す る ) ヲ 候 ツ テ ﹂ と あ る こ と よ り 熔 融 状 態 の 鉛 が な く な り 、 同 時 に 塊 状 の 硫 化 鉛 が 生 成 す る と い う 状 態 を 想 定 す る 方 が よ り 妥 当 で あ る よ う に 思 わ れ る 。 こ の 状 態 を 再 現 す る た め に 簡 単 な 実 験 を 行 な っ た 。

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実 験 一 鉛 ( 試 薬 一 級 ) 二 〇 . 七 瓦 硫 黄 ( 化 学 用 ) 三 . 二 瓦 右 記 の 原 料 を 磁 製 ル ツ ボ ( B l 型 -以 下 使 用 の ル ツ ボ に つ い て も 同 様 ) に 移 し 蓋 を し て 加 熱 し た 。 加 熱 時 硫 黄 が ル ツ ボ 壁 及 び 蓋 に 昇 華 し た こ と 、 そ れ ら の 分 も 含 め て 、 か な り の 硫 黄 が 燃 焼 し た こ と の た め 、 冷 却 後 の 観 察 で は 鉛 の 一 部 が 残 存 し て い た が 、 大 部 分 は 鉛 灰 色 海 綿 状 の 硫 化 鉛 に 変 化 し て い た 。 そ れ は 極 め て 脆 く 指 先 で 圧 え て 容 易 に 粉 末 に な し 得 る も の で あ っ た 。 そ の 後 マ ッ フ ル ( 煙 突 ) 内 で プ ロ パ ン ガ ス ・ バ ー ナ ー 二 本 を 使 用 し て 約 一 時 間 灼 熱 し た が 、 生 成 し た 硫 化 鉛 は 遂 に 熔 融 す る に は 至 ら な か っ た 。 以 上 の 結 果 よ り 、 ま た ﹁ 鉛 消 化 ス ル ヲ 候 ツ テ ﹂ と 記 さ れ て い る こ と よ り 恐 ら く 硫 化 鉛 が 熔 融 す る に 至 る ま で 加 熱 す る こ と は な か っ た と 思 わ れ る 。 し か も 一 旦 熔 融 す れ ば 、 硫 化 鉛 は 緻 密 な 塊 状 と な り 、 壁 開 が 完 全 と は い え 粉 砕 す る た め に は 余 計 な 労 力 を 必 要 と す る よ う に な る 。 さ て こ の よ う に し て 得 ら れ た 硫 化 鉛 に 石 英 末 、 硝 石 末 を 加 え 混 合 、 加 熱 す る こ と に よ り 、 果 し て 水 飴 様 の も の 、 即 ち ガ ラ ス を 製 造 し 得 た で あ ろ う か 。 こ れ は 一 応 実 験 的 に 確 か め る 必 要 が あ る と 思 わ れ る 。 ( 4 ) 明 治 維 新 前 後 の ガ ラ ス 製 造 法 に つ い て ﹁ 臼 木 近 世 窯 業 史 ﹂ 第 四 編 ﹁ 硝 子 工 業 ﹂ に は 、 其 法 先 づ 棒 状 鉛 を 鍋 に 入 れ て 熔 か し た る 庭 へ 、 石 粉 即 ち 珪 石 粉 末 を 投 入 し て 鉛 を 吸 取 ら せ 之 を 冷 却 し て 獲 た る 粉 末 に 硝 石 を 混 じ 、 信 樂 増 禍 に 装 入 し て 木 炭 の 火 に て 熔 融 す る も の に て 、 配 合 の 一 例 を 畢 ぐ れ ば 石 粉 十 貫 、 鉛 十 貫 、 硝 石 三 貫 の 如 き も の な り き 。

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と 記 さ れ て い る 。 こ の 調 合 比 が ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ の 場 合 と 同 様 で あ る と は い い 難 い で あ ろ う が 、 一 応 の 目 安 に な る と 思 わ れ る の で 、 こ の 調 合 比 に よ っ て 二 、 三 の 実 験 を 試 み 次 の 如 き 結 果 を 得 た 。 実 験 二 二 酸 化 珪 素 ( 試 薬 特 級 ) 二 〇 ・ ○ 瓦 四 三 酸 化 鉛 ( 試 薬 ↓ 級 ) 二 二 ・ 一 瓦 ( 鉛 二 〇 ・ ○ 瓦 に 相 当 ) 硝  酸 カ リ ウ ム ( 試 薬 ↓ 級 ) 六 ・ ○ ○ 瓦 右 記 の 原 料 を 充 分 均 質 に 混 合 し 磁 製 ル ツ ボ に 移 し 、 マ ッ フ ル 内 で プ ロ パ ン ガ ス ・ バ ー ナ ー 二 本 を 使 用 し て 約 二 時 間 灼 熱 一 ⊥ ー o 、 実 験 Sio2 PbO K20 45.1 48.5 6.3 合 訓g9・9 第 五 表 実 験 二 に よ り生 成 した ガ ラス の成 分(計 算 値) し た ( 以 下 の 灼 熱 に つ い て も 時 間 以 外 は 同 条 件 ) そ の 際 約 一 〇 〇 〇 度 に は 達 し て い た と 推 定 さ れ る が 、 充 分 軟 化 せ ず 、 傾 け て も 容 易 に 流 動 し な か っ た 。 放 冷 後 の 観 察 で は 小 気 泡 が 多 数 含 ま れ て い る た め に 、 一 見 し た だ け で は 白 色 半 透 明 に み え る ガ ラ ス が 生 じ て い た 。 な お こ の ガ ラ ス の 組 成 を 上 記 原 料 よ り 計 算 す れ ば 第 五 表 の 如 く な る 。 二 酸 化 珪 素 ( 試 薬 特 級 ) 二 〇 ・ ○ 瓦 鉛 (試 薬 一 級 ) 二 〇 ・ ○ 瓦 先 ず 粒 状 鉛 を 磁 製 ル ツ ボ 中 で 低 温 に て 熔 融 し 、 右 記 の 二 酸 化 珪 素 を 数 回 に 分 け て 、 そ の 上 に 投 入 し 、 ス テ ン レ ス 薬 匙 に て 撹 伴 し て 二 酸 化 珪 素 に 熔 融 鉛 を 附 着 さ せ 、 後 放 冷 し た 。 こ の 際 混 合 物 は 緑 灰 色 を 呈 し て お り 、 幾 分 粗 粒 の 粉 末 状 で あ っ た 。

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硝 酸 カ リ ウ ム ( 試 薬 工 級 ) ⊥ハ . ○ ○ 瓦 更 に 右 記 の 硝 酸 力 リ ウ ム を 加 え て 充 分 均 質 に 混 合 し 約 三 時 間 灼 熱 し た 。 気 泡 は 次 々 と 浮 上 し て 逸 脱 し た が 、 表 層 に 残 っ た 未 反 応 の 鉛 の 小 粒 は 沈 ま な か っ た 。 放 冷 後 の 観 察 で は 実 験 二 の 結 果 と ほ ぼ 同 様 で あ っ た が 、 四 三 酸 化 鉛 を 使 用 し た も の に 比 し 、 全 般 に 少 し く 黒 み を 帯 び て い た 。 実 験 四 二 酸 化 珪 素 ( 試 薬 特 級 ) 二 〇 . ○ 瓦 硫 化 鉛 ( 市 販 品 、 純 度 九 五 % ) 二 三 ・ 一 瓦 ( 鉛 二 〇 . ○ 瓦 に 相 当 ) 硝 酸 力 リ ウ ム ( 試 薬 一 級 ) 六 . ○ ○ 瓦 右 記 の 原 料 を 充 分 均 質 に 混 合 し 、 磁 製 ル ツ ボ に 移 し 約 五 時 間 灼 熱 し た が 、 遂 に 全 部 は 融 解 し な か っ た 。 放 冷 後 の 観 察 に よ れ ば 上 部 に 黒 色 鉱 津 状 の 固 い 殻 が 生 じ 、 空 洞 部 を 隔 て て 底 に 暗 緑 色 の 透 明 ガ ラ ス ( 比 重 三 . 三 ) が 生 じ て い た 。 実 験 二 は ﹁ 日 本 近 世 窯 業 史 ﹂ に み ら れ る 前 掲 の 調 合 比 に よ る 原 料 で ガ ラ ス 化 す る か 否 か を 確 か め る た め 、 鉛 ガ ラ ス 製 造 の 標 準 的 原 料 で あ る 鉛 丹 ( 四 三 酸 化 鉛 ℃ げ ω O 卜 ) を 使 用 し 、 通 常 の 熔 融 法 に よ っ て 行 な っ た 予 備 実 験 で あ る 。 実 験 三 は ﹃ 日 本 近 世 窯 業 史 ﹂ よ り の 引 例 の 方 法 と 同 方 法 に よ っ て ガ ラ ス を 製 造 し 得 る か 否 か を 確 か め る た め に 行 な っ た も の で あ る 。 実 験 二 、 実 験 三 の 結 果 よ り 前 掲 の 調 合 比 及 び そ れ ぞ れ の 熔 融 法 で ガ ラ ス を 製 造 し 得 る こ と は 明 ら か で あ る が 、 硫 化 鉛 叩 ぴ ω を 使 用 し た 場 合 に 如 何 な る 結 果 に な る か を 知 る た め に 行 な っ た の が 実 験 四 で あ る 。 結 果 は 上 述 の 通 り で あ り 、 実 験 二 、 実 験 三 の 場 合 に 比 し て 僅 か で は あ る が ( い ず れ の 場 合 も 生 じ た ガ ラ ス 、 そ の 他 は 磁 製 ル ツ ボ に 融 着 し て い る た め 秤 量 し 得 な い が 、 体 積 比 よ り 三 分 の 一 乃 至 四 分 の 一 程 度 と 目 さ れ る ) 、 ガ ラ ス が 生 じ た こ と は 確 か め ら れ た 。 硫 化 鉛 を 使 用 し た 場 合 に

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も 究 極 的 に は 鉛 一 原 子 に 対 し て 酸 素 一 原 子 が 存 在 す る 状 態 に な る と す れ ば 、 当 然 酸 素 の 供 給 を 必 要 と す る 。 し か し な が ら 磁 製 ル ツ ボ は 完 全 に プ ロ パ ン ガ ス 炎 に 包 ま れ て い る た め 、 外 部 よ り の 酸 素 の 供 給 は ほ と ん ど 行 な わ れ な い と み て よ い 。 同 じ こ と は 一 酸 化 炭 素 が 盛 ん に 燃 焼 し て い る よ う な 炭 火 の 中 に 埋 め ら れ た 茶 壺 状 増 塙 の 場 合 に も 当 て は ま る で あ ろ う ( 第 十 四 図 参 照 ) 。 し た が っ て 必 要 と す る 酸 素 は 硝 酸 力 リ ウ ム の 分 解 に よ っ て 生 ず る も の に よ ら ざ る を 得 な い 。 硝 酸 力 リ ウ ム は 融 点 三 三 三 度 以 上 に 加 熱 す る と 、 卜。 囚 宏 O °。 1 ← 卜。 囚 賭 O 凶 + O 団 亜 ( 5 ) ( 6 ) な る 分 解 を 起 し 、 酸 素 を 放 出 し 亜 硝 酸 力 リ ウ ム を 生 じ 、 更 に 亜 硝 酸 カ リ ウ ム は 三 五 〇 度 以 上 で 分 解 し て 、 悼 囚 乞 O 凹 i ← 丙 卜。 O 十 2 図 O °。 (也 ( 7 ) と な る 。 な お 三 酸 化 二 窒 素 2 悼 O °。 は 常 温 に お い て さ え 、 2 悼 O °。 1 ← 2 0 + 2 0 凹 ㊥ ( 8 ) と 解 離 し 、 ま た 二 酸 化 窒 素 は 五 〇 〇 度 以 上 で 、 笛 2 0 b・ 1 ← 卜。 乞 O + O 団 二 Φ ) ( 9 ) と 酸 素 を 遊 離 し 、 一 酸 化 窒 素 は 高 温 で 金 属 を 酸 化 し 、 且 つ 一 、 二 〇 〇 度 で は 六 〇 % 分 解 し て 、 悼 2 0 1 ← Z b。 + O 回 (S ( 10 ) の 如 く 酸 素 を 発 生 す る 。 し た が っ て 硝 酸 カ リ ウ ム が 究 極 的 に 、 峰 国 乞 O °。 1 ← 卜。 国 凹 O + 悼 2 卜。 + α 9 (G。 ︺ な る 形 で 分 解 し た と し 、 こ の 際 発 生 す ろ 酸 素 が す べ て 硫 化 鉛 と 反 応 し た と す る と 、

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トニ 団 げ ω 十 ω O b。 I l V トっ 団 ぴ O 十 悼 ω O 爬 と な る か ら 、 結 果 的 に は 、 (⑩ ) O 国 乞 O °。 十 α ℃ ぴ ω 1 ← ω 閑 脾 O + α ℃ σ O + ω 2 さ。 + ㎝ oo O 脾 (邑 な る 反 応 に な る で あ ろ う 。 し た が っ て 五 モ ル の 硫 化 鉛 ( 一 、 一 九 六 ・ 二 五 瓦 ) に 対 し て 六 モ ル の 硝 酸 力 リ ウ ム ( 六 〇 六 ・ 六 六 瓦 ) が 存 在 せ ぬ 限 り 、 硫 化 鉛 は 未 反 応 の ま ま 残 存 す る と 考 え ら れ る ( 勿 論 硝 酸 力 リ ウ ム よ り 発 生 し た 酸 素 が 硫 化 鉛 に 有 効 に 作 用 せ ぬ 場 合 が あ り 、 ま た 硫 化 鉛 が 空 気 中 の 酸 素 と 化 合 す る 場 合 も あ り 計 算 通 り に ば い か な い ) 。 そ れ 故 実 験 四 の 場 合 は 六 ・ O O 瓦 の 硝 酸 カ リ ウ ム に 対 応 す る 一 一 ・ 八 三 瓦 の 硫 化 鉛 が ガ ラ ス 化 し 、 残 り は 硫 化 鉛 の 状 態 の ま ま 、 二 酸 化 珪 素 ( ? ) 、 生 成 し た ガ ラ ス と 焼 結 ゜・ 言 器 二 口 αq し た も の と 思 わ れ る ( 尤 も 生 成 し た ガ ラ ス は 計 算 値 よ り 二 酸 化 珪 素 、 酸 化 カ リ ウ ム に 冨 む よ う で あ る ) 。 以 上 の 実 験 及 び 考 察 に よ り 、 た と い 鉛 が す べ て 硫 化 鉛 の 状 態 で あ っ た と し て も ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ の 記 述 通 り 、 効 率 は 悪 い に し て も 兎 も 角 ガ ラ ス を 製 造 し 得 た で あ ろ う 。 鉛 に 硫 黄 を 加 え る と い う こ の 書 の 技 法 に つ い て 考 え ら れ 得 る 唯 一 の 利 点 は 、 鉛 よ り も 硫 化 鉛 の 方 が 比 較 に な ら ぬ 程 粉 末 に し 易 く 、 し た が っ て 石 英 末 、 硝 石 末 と 均 質 に 混 合 し 得 る と い う こ と で あ ろ う 。 な お ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ に お い て は 百 科 事 典 と し て 記 載 を 簡 略 に す る 必 要 上 か ら か 、 原 料 混 和 の 量 比 な ど に つ い て は 全 く 関 説 さ れ て い な い 。 ( 11 ) さ て 次 に 成 形 法 、 着 色 法 、 製 品 な ど に つ い て 少 し く 検 討 し て お き た い 。 前 掲 引 用 文 に 続 い て 、 ノ キ ヲ ツ ケ テ ハ シ ニ メ テ テ ヲ ス ヲ マ ル ク イ ヒ ヘ ツ ヒ ラ タ ク ヒ ヨ ウ タ ン ノ ブ ノ ノ ビ チ こ く ノ レ ン 以 三 一 -尺 許 細 銅 , 筒 一 粘 二 其 描 一梢 ト 温 吹 レ 之 成 レ 形 圓 團 扁 瓠 之 諸 品 皆 随 二 氣 -息 延 -縮 工 -人 之 練

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-第 八 図 オ ラ ン ダ よ り舶 載 さ れ た 布 羅 須 古 。 向 っ て 左 は 高 さ30.8cm, 右 は 高 さ27.4cm。 暦 一一也 白 -色 ニ シ . 而加 計 藥 末 ↓ 成 コ 酒 -色 紫葱 目総 ぱ 色 ↓ 但 ナ ル ハ セ ノミ ハ テ ニ レ ハ ヲ 正 -赤 者 不 レ 能 耳 ︹ 割 註︺ 朱 丹 入レ 火 憂 レ 色 也 ﹂ ク ル ヲ シ メ ニ ル ノ ニ リ 多 作 二 念 -珠 及 緒 鎭 以 備 二 水 -精 號 -拍 瑠 -璃 玉 一作 ニ ト ヶリ チヨク タ ナリ ラク ハ そ ロ ク レ キ ナリ 缶 霊 皿等 H甚 美 唯 惧 脆 破 -易 也 爲 二 眼 ー ト ラ ク ルナ リ ヲ 鏡 一 不 レ 劣 二 於 水 ー 精 一 又 能 取 二 陽 -火 一 な る 記 載 が あ る 。 こ れ よ り 吹 竿 と し て 二 尺 許 の細 い 銅 筒 を 使 用 す る こ と 、 諸 々 の 器 は 宙 吹 き 法 に て 製 作 す る こ と 、 白 色 ( 無 色 ) の素 地 に ﹁ 藥 末 ﹂ を 加 え て 酒 色 ( 號 珀 色 か ) 、 紫 、 碧 網 色 ( 帯 黄 緑 色 ) の色 ガ ラ ス を 製 造 す ( 12 ) る こ と 、 朱 丹 は 加 熱 の際 変 色 す る か ら 、 赤 い 色 ガ ラ ス は 作 れ ぬ こ と 、 水 晶 、 號 珀 、 瑠 璃 ( こ の 場 合 瑠 璃 は ガ ラ ス で は な く て ラ ピ ス ・ ラ ズ リ bp 嘗 ω 討 国 巳 凶 の こ と ( 13) で あ ろ う ) な ど の 代 用 品 と し て ガ ラ ス で 数 珠 、 緒 締 め を 作 る こ と 、 徳 利 、 猪 口 、 皿 、 本 玉 ( 水 晶 玉 ) に 劣 ら ( 14 ) ( 15 ) ぬ 眼 鏡 、 火 珠 ( ひ と り た ま ) を 作 り 得 る こ と 、 但 し 、 リ ル ノ ト クリ テ 布 羅 須 古 自 二 阿 蘭 陀 一 來 碧 -瑠 -璃 色 方 -缶 也 盛 レ ヲ ヤ カ ハラ テ ヲ モラ 酒 久 不 二 味 愛 一盛 レ 油 久 不 二 脱 -漏 一 ︹ 割 註 ︺ 布 -羅

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ナ ル トク サ ト ル ァ ラ ギ ノ ヲ ヶ ノ キ ハ ニ ク セ ヲ 須 -古 者 缶 之 螢 -語   ﹂ 本 盛 二 阿 -刺 -吉 珍 -太 等 酒 一 之 缶 也 如 レ 此 厚 者 倭 未 レ 能 レ 之 ( 16) と 記 さ れ て い る こ と よ り 、 オ ラ ンダ よ り ア ラ キ 母 爵 、 チ ン タ く 庁 ゴ o -江巨 o な ど の 酒 を い れ て 舶 載 さ れ た 布 羅 須 古 中 器 8 ( 17 ) ( 18 ) 即 ち碧 瑠 璃 色 の方 缶 (角 瓶 、第 八図 参 照 ) の 如 き 厚 手 の ガ ラ ス 器 物 は 、 当 時 わ が 国 で は ま だ作 り 得 な か っ た こと な ど が知 ら れ る 。 但 し 色 ガ ラ スを 製造 す ろ た め の ﹁ 藥 末 ﹂ の内 容 に つ い て は何 ら触 れら れ て いな い。 ま た ﹁ 此 ノ如 ク 厚 キ者 ハ 倭 二 未 夕之 ヲ能 セズ ﹂ と い う記 述通 り に、 例 え ば 長 崎 に お いて も 厚 手 の器 物を 製作 し得 な か っ た と は 必ず しも 考 え 難 い。 良 安 は ( 19) ﹁ 近 頃振 州 大坂 ニモ 亦 多 ク之 ヲ作 ル﹂ と 記 し て お り 、 恐 ら く大 阪 出 来 の薄 手 の器 物 を みて ﹁ 倭 二 未 タ 之 ヲ能 セズ ﹂ と述 べ た ので は な いか と 思わ れ る 。 さ て ﹁ 和 漢 三才 圖 會 ﹂ の ﹁ 硝 子 ﹂ の項 に は 方 缶 ( 角瓶 ) の図 ( 第 九図 参 照 ) が みら れ る が、 舶 載 さ れ た も のか 、 わ が 国 で 製造 さ れ たも の か 明 ら か で は な い 。第 十 図 に示 す 角 徳 利 ( 大 阪 喫 茶 美 術 館 ナ ンバ 一 番蔵 ) は 完 全 な 無色 では な く 、 わ ず か に ( 20 ) 草 色 を 帯 び た鉛 ガ ラ スで 作 ら れ た 、 ご く薄 手 ( 厚 さ ○ ・ 七1 0 ・ 八 粍 ) のも ので 、 わ が 国 十 八 世 紀末 頃 の 作 と推 定 さ れ る 第九図 方缶 「和漢三才圖會』 よ り(京都大学附属図書館蔵) ( なお 高 さ 一 六 ・ ○ 糎 、 口径 二 ・ 八 糎 ) 恐ら く こ のよ う な 方 缶 な ら ば十 八世 紀 初 期 にも 製 作 さ れ て い た こ と であ ろ う 。 と ころ で 当時 わ が国 ( 恐 ら く 長 崎 を除 い て) で厚 手 のガ ラ ス器 物 を 製作 し得 な か ったと いわ れ る のは、 ガ ラ ス成 形 後 に 除 冷す る こと の 必 要 性 が充 分 に知 ら れ て い な か った た ( 21 ) め で は な か ろう か と思 わ れ る 。 そ の理 由 と し て襲 にも 触 れ

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( 22) た如 く十 入世 紀 にわ が国 で公 開 さ れ た ガ ラ ス製造 法 に つい て の記 述 に除 冷 に 関 す るも の がな い こと 、 時 と し て見 受 け る厚 手 の 器 物 には 往 々僻 割 が は い っ て いる こと が挙 げ ら れ る 。勿 論 当初 多 く の 硝 子 師 は 厚 手 の器 物 の製作 をも 試 み た であ ろ う が 、冷 却 に 伴 っ て畔 割 が は いり 製品 化 す る こと が でき ず 、 結 局 薄 手 の 器 物 の製 作 に 専 念 す る よ う にな っ たも のと 考 え ら れ る 。尤 も 長崎 の 硝 子 師 のな か には 十 八 世紀 中 、 遂 に公 表 ( 23 ) さ れ る こと のな か っ た何 ら か の秘 法 に よ っ て除 歪 を行 な い、 厚 手 の器物 を 製作 し た者 も 恐 ら く いた ので は な い か と思 わ れ る ので あ る 。 . 噛 な お ﹁ 硝 子 ﹂ 、 ﹁ 数 珠 ﹂、 ﹁ 眼 鏡 ﹂ 、 ﹁ 火珠 ﹂ の 各 項 に掲 載 さ れ た 図 よ り 当時 わ が国 で 製 作 さ れ た ガ ラ ス 器 物 の 形 の 一 端 を 知 る こと が で き る。 こ の 点 に 関 し ては 後 述 す る 。 ② ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ に つい て

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ω ガ ラ ス 素 地 の 製 造 ガ ラ ス 製 造 法 に 関 す る 具 体 的 記 述 に お い て ﹃ 世 賓 大 成 萬 金 産 業 袋 ﹂ に 比 肩 し 得 る 版 本 は 、 十 八 世 紀 の わ が 国 に お い て 恐 ら く 他 に 多 く は 類 例 が な い で あ ろ う 。 こ の 書 は 三 宅 也 來 の 著 述 に か か る 技 術 書 で 、 そ の 記 述 は 具 体 的 、 且 つ 懇 切 で あ る 。 そ の 点 ﹁ 天 工 開 物 ﹂ と は 著 し く 対 瞭 的 で あ る 。 こ の 書 は 享 保 十 七 年 ( ↓ 七 三 二 ) に 発 免 さ れ 、 筆 者 の 知 る 限 り に お い て も 寛 ( 24 ) ( 25 ) ( 26 ) 政 十 二 年 ( 一 八 〇 〇 ) 、 天 保 四 年 ( 一 八 三 三 ) と 再 三 版 を 重 ね て い る 。 同 書 、 巻 之 三 ﹁ 硝 子 細 工 ﹂ の 項 に は 、 し ア き う す か ね き ね き の ぶ る ひ ぱ く ゆ き 白 石 脂 唐 物 也 よ く 透 と を り て 。 水 晶 の こ と く 成 を ゑ ら み 。 石 の 臼 に 入 . 鉄 の 杵 に て い か に も 細 末 し 。 羅 合 に か け て 。 扱 唐 な ま り り ゃ う 鉛 の 至 極 よ き を 火 に か け と き て 。 そ の 中 へ 右 の 白 石 脂 の 粉 を は 少 し つ ・ い る ・ 。 此 分 量 極 て 極 め か た し 。 鉛 の ね ば り つ あ は を も な ま り よ き と よ は き と 。 石 の 性 の 淡 き と 重 き と に て 。 時 く の 相 違 あ れ は 。 と か く そ の 湯 に 成 た る 鉛 の 中 へ 。 白 石 の 粉 を い れ 。 鉄 の へ ら を い れ て み て 。 ひ め の り の 少 シ 堅 き ほ と に し て 。 鍋 の 下 に 炭 火 を 。 い か に も ほ そ く し て へ ら に 力 を い れ ね る ひ ね も ゲ と た ん 事 也 。 煉 ノ \ て 終 日 に 及 ふ 時 。 半 切 に 水 を い れ 。 右 の に え た る 白 石 。 鉛 を 打 あ く る に 。 韮 鉛 の こ と く 成 ル 。 そ れ を ま た 。 う す レ ね を ね あ へ ん ぜ う ま ぜ な べ 右 の 臼 に 入 . 鉄 の 杵 に て 。 さ い ぜ ん の こ と く 細 末 し て 。 焔 硝 の 塩 を 取 り 末 し 。 右 の 粉 に 和 て 。 鍋 に 入 . 。 す み 火 に て そ ろ こ げ わ か ノ \ と 。 三 日 三 夜 計 た く 。 湯 に わ き て 焦 つ く へ き 程 に み ゆ る 時 は 。 塩 氣 の な き 釜 に て 湯 を 沸 し 置 。 半 時 一 時 の ほ と に 一 レ や く 杓 づ ・ い る へ し 。 湯 は 何 ほ と い れ て も 。 右 藥 味 と は 分 に 成 て 。 鍋 に 残 る 。 扱 此 ゑ ん し や う の 塩 の 取 や う 口 傳 有 。 た と へ は 。 ゑ ん し や う 一 斤 の 塩 を と ら ん と せ は 。 鍋 に 水 三 升 計 に 右 一 斤 の ゑ ん し や う を い れ て た く 。 是 に さ び け の な き 。 銅 さ く ず も た に い く の 切 屑 を 。 目 拾 匁 計 い れ て 。 よ く 蓋 を し て 煮 た つ へ し 。 一 ふ き に え て 後 。 そ の 鍋 と も に お ろ し さ ま し 置 。 よ く さ め ム た か け て 蓋 を 取 。 上 水 を し た み 。 ゑ ん し や う を 陰 ほ し に す 。 此 中 へ 入 た る 銅 の 切 屑 青 く さ び る 也 。 も し さ び ざ る 時 は 。 塩 の い ご あ し ま た と れ ざ る な れ は 。 又 右 の こ と く し て た く べ し 。 い く 度 に て も た き 。 銅 に さ び の 付 、. を 期 と す 。 此 製 法 も し 仕 か け 悪 け

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れ は 。 ゑ ん し や う に 火 の 入 ル 事 有 。 い か に も 心 を 付 へ し 。 と 記 さ れ て お り 、 ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ 所 載 の 製 法 に お い て は 硫 黄 が 用 い ら れ て い た の に 対 し 、 こ の 書 の 法 で は 何 ら 硫 黄 に つ い て 関 説 さ れ て お ら ず 、 そ れ ぞ れ の 伝 流 の 相 違 を 示 す も の と し て 注 目 に 価 す る 。 以 下 少 し く 詳 細 に ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の ガ ラ ス 素 地 製 造 法 に つ い て 検 討 す る こ と と す る 。 先 ず こ の 記 述 よ り 原 料 に つ い て 充 分 な 吟 味 が な さ れ て い た こ と を 察 知 し 得 る ( 27 ) で あ ろ う 。 即 ち 珪 酸 原 料 と し て は 水 晶 の よ う に 透 明 な 唐 物 の 白 石 脂 即 ち 非 常 に 純 度 の 高 い 白 色 蝋 石 が 供 さ れ 、 こ れ を 細 末 に し た 後 、 更 に 羅 合 に か け て 粗 粒 の 白 石 脂 を 除 去 し 、 こ れ が 未 反 応 の ま ま 透 明 ガ ラ ス 内 に 白 い 不 透 明 爽 雑 物 と な っ て 残 存 す る の を 予 め 防 ぐ 配 慮 が な さ れ て い る 。 鉛 に つ い て も 唐 物 の 極 上 品 を 用 い 、 焔 硝 に つ い て も 口 伝 に 従 っ て 、 即 ち 熱 水 に 焔 硝 を 溶 か し た 後 冷 却 し て こ れ を 析 出 さ せ ( 再 結 晶 法 H 。 。 娼 ゜。 富 ≡ N o 二 〇 昌 ) 、 塩 の 溶 出 し た 上 水 を 潜 み ( 傾 潟 法 畠 。 $ 韓 彗 団o 口 ) こ れ ら の 操 作 を 繰 り 返 し て 精 製 し た も の を 用 い て い る 。 極 秘 で あ る べ き 口 伝 を 詳 説 し て い る 点 、 特 に 注 目 す べ き で あ る 。 な お こ の 口 伝 の 内 容 に つ い て は 後 に 検 討 す る 。 次 に 鉛 と 白 石 脂 と の 混 合 比 に つ い て 簡 単 に 触 れ て お き た い 。 ﹁ 鉛 の ね ば り つ よ き と よ は き と 。 石 の 性 の 淡 き と 重 き と に て 。 時 く の 相 違 あ れ は ﹂ 一 律 に 重 量 比 、 或 い は 容 量 比 で 両 者 を 混 合 す る こ と は 、 か え っ て ガ ラ ス の 組 成 に 大 き な 変 動 を 来 す こ と に な っ た の で あ ろ う 。 し た が っ て ﹁ 極 て 極 め か た ﹂ き 量 比 は 、 ﹁ と も か く そ の 湯 に 成 た る 鉛 の 中 へ 。 白 石 の 粉 を い れ 。 鉄 の へ ら を い れ て み て 。 ひ め の り の 少 シ 堅 き ほ と に ﹂ な る よ う 調 整 す る の で あ る が 、 こ れ は 原 料 が 不 純 で あ る 場 合 に は 有 効 な 方 法 と い え る で あ ろ う 。 し か し ﹁ ひ め の り の 少 シ 堅 き ほ と ﹂ と い う そ の 程 あ い は 、 温 度 と の 関 係 も あ り 当 然 永 年 に 亘 る 熟 練 と 勘 と を 要 す る こ と で あ り 、 そ こ へ 到 る 道 は 厳 し い も の に 相 違 な い 。 な お 硝 石 の 混 合 比 に つ い て は 何 等 関 説 さ れ て い な い 。 尤 も 白 石 脂 、 鉛 、 硝 石 の 凡 そ の 量 目 を さ え 記 し て い な い の は 、 ﹁ 此 分 量 極 め て 極 め か た し ﹂ と 称 し て 混 合

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( 28 ) 比 を 公 に す る の を 避 け た と も と れ る の で あ る 。 同 書 、 ﹁ 硝 子 細 工 ﹂ の 末 部 に は 次 の 記 事 が み ら れ る 。 ず も セ う な ま り ま つ 愛 に い ふ 一 通 リ の 製 作 。 よ く 試 て 記 す 物 也 。 然 り と は い へ と も 火 の 加 減 。 白 石 脂 の 品 の 善 悪 。 唐 鉛 等 の よ く 和 し 。 じ 9 く え き 舜 つ つ く し β ﹂ ん 調 合 の 熟 せ る 時 を 得 さ れ は 。 器 物 の 製 作 心 に 任 せ か た し 。 三 度 も 五 度 も 。 そ の 調 和 に 心 を 尽 し 。 仕 損 ず る 事 度 く の 上 し ゴ ㌧ な り ど ち う と や み ぜ に て 。 自 然 と そ の 妙 を 昼 て よ く 出 來 る も の 也 。 一 度 や 二 度 計 。 そ の 術 を 試 て 。 心 に 任 せ ず と て 中 途 に 止 て は 。 そ の 是 を 能 ク 知 す る 事 か た し 。 と こ ろ で 近 代 の 製 造 技 術 が 過 去 に 比 し て 熟 練 と 勘 と を 必 要 と し な く な っ た の は 計 測 器 具 の 発 達 と 並 ん で 、 原 料 の 純 度 の 斉 一 性 に 負 う と こ ろ が 多 い こ と を 、 こ の 薬 味 製 造 の 記 述 は よ く 例 示 し て い る と い え よ う 。 ( 29 ) 次 に 鉛 と 白 石 脂 と の 混 合 法 に つ い て の 考 察 及 び 検 討 を 試 み る に 先 だ ち 、 嚢 に も い さ さ か 言 及 し た が 、 近 世 に お け る わ が 国 の ガ ラ ス 原 料 及 び 混 合 法 の 特 殊 性 に つ い て 述 べ て お き た い 。 ﹁ 和 漢 三 才 圖 會 ﹂ の ﹁ 硝 子 ﹂ の 項 の 記 述 に し て も 、 ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の ﹁ 硝 子 細 工 ﹂ の 項 の 記 載 に し て も す べ て 鉛 ガ ラ ス の 製 造 法 に 関 す る も の で あ っ て 、 ア ル カ リ ・ ガ ラ ス 、 ア ル カ リ 石 灰 ガ ラ ス の 製 造 法 に つ い て は 何 ら 関 説 さ れ て い な い 。 ﹁ 天 工 開 物 ﹂ に つ い て も 同 様 の こ と が い え る 。 更 に 注 意 す べ き は 、 わ が 国 の 古 法 及 び 恐 ら く 中 国 の 古 法 の 場 合 、 並 び に 西 欧 に お け る 鉛 ガ ラ ス 製 造 の 場 合 、 鉛 成 分 の 原 料 と し て 一 般 に 密 ( 30 ) 陀 僧 口 島 碧 σq ρ ℃ ぴ O 或 い は 鉛 丹 ( 光 明 丹 ) 尾 言 ぎ 目 " 唱 げ ゜。 O 卜 ( 市 販 品 は 約 二 五 % 程 度 の 密 陀 僧 を 含 有 し て い ろ と い う ) が 用 い ら れ て き た の に 対 し て 、 遅 く と も 享 保 十 七 年 ( 一 七 三 二 ) 以 降 の わ が 国 並 び に 十 一 世 紀 以 降 の 中 国 に お け る 鉛 ガ ラ ス 製 造 法 の 場 合 、 金 属 状 態 の 鉛 が た だ 熔 融 さ れ る だ け で そ の ま ま 使 用 さ れ て き た こ と で あ ろ 。 鉛 丹 を 使 用 す る わ が 国 の 古 法 に ( 31 ) ( 32 ) つ い て は 既 に 述 べ た の で 、 以 下 西 欧 の 場 合 に つ い て 数 例 を 引 く 。 チ ャ ー ル ス ト ン 幻 ゜ H ° O 冨 二 窃 呂 口 に よ れ ば 、 ヘ ヘ へ = ハ 七 五 年 レ ー ヴ ェ ン ス ク ロ フ ト ( O o o 薦 Φ 国 的 く ① 塁 自 o 津 ー 棚 橋 註 ) は 酸 化 鉛 (傍 点 ー 棚 橋 ) を つ か い は じ あ た ら し く 、 こ

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れ に よ っ て 塩 の 比 率 を 下 げ て ガ ラ ス を 安 定 化 し た 。 こ の 世 紀 の 終 り ご ろ に は 、 こ の 方 法 は ノ ・ ン グ ラ ン ド の ガ ラ ス 製 造 家 の 共 通 財 産 と な り 、 一 七 〇 〇 年 ま で に 調 合 原 料 の 鉛 ( 正 確 に は 酸 化 鉛 と い う べ き で あ ろ う 1 棚 橋 註 ) は し だ い に 増 加 し て ゆ き 、 そ の 結 果 ﹁ 油 の よ う ﹂ に 暗 い 光 沢 を も っ た ひ じ ょ う に 重 い 素 地 ガ ラ ス が で き た 。 と い う こ と で あ り 、 ま た ド ッ シ ー 幻 ゜ O o ㎝ 巴 。 は ﹃ 技 芸 の 侍 女 ﹂ .、 弓 7 。 口 巾 民 日 巴 山 言 爵 。 ﹀ 穽 ゜・ °. . H 胡 G。 ° の な か で 次 の よ ( 33 ) う に 述 べ て い る と い う 。 ヘ ヘ ガ ラ ス の 融 剤 成 分 と し て 用 い ら れ る 物 質 は 、 鉛 丹 ( 傍 点 -棚 橋 ) 、 真 珠 灰 、 硝 石 、 海 塩 、 瑚 砂 、 砒 素 、 ふ つ う 〃 ク リ ン カ ー 〃 と 称 せ ら れ る 鍛 冶 場 の 〃 ス コ リ ァ " 、 焙 焼 土 と 浸 出 塩 と を ふ く む 木 灰 な ど で あ ろ 。 ま た 江 戸 時 代 後 期 に 翻 訳 、 紹 介 さ れ た 西 欧 の ガ ラ ス 製 造 法 の 記 事 中 に も 鉛 丹 使 用 の 例 が 散 見 せ ら れ る 。 即 ち 馬 場 貞 由 の ≦ メ ル ( 34 ) ﹃ 硝 子 製 法 集 説 ﹂ 巻 之 下 、 縮 墨 爾 課 説 の 部 の ﹁ 製 水 晶 硝 子 法 ﹂ に は 、 第 五 法 又 鉛 丹 ヲ 加 フ ル 一 法 ア リ 鉛 丹 二 百 五 十 勧 砂 石 百 働 磐 石 三 触 右 三 味 ヲ 交 和 シ テ 鋳 化 ス ( 35 ) と あ り 、 ク リ ス タ ル ・ ガ ラ ス の 製 造 に 鉛 丹 が 使 用 さ れ て お り 、 宇 田 川 椿 苓 の ﹁ 舎 密 開 宗 ﹂ に は 、 フ リ ン ト ○ 其 四 ハ水 精 破 潔 ト 云 珪 土 。 精 製 亜 爾 加 里 。 鉛 丹 ヲ 燦 化 ス ○ 其 五 、 弗 舞 多 破 喫 ト 云 前 種 ノ 如 シ 但 重 サ 異 ナ リ ︹ 割 註 ︺ 備 要 ニ キ リ ス ク ル カ ラ ス 云 弗 益 多 破 黎 ハ 常 . 破 膿 二 鉛 丹 ヲ 和 シ テ 再 ビ 礫 ス 者 ナ リ 望 遠 鏡 ノ 受 -像 ﹂珠 二 用 テ 善 ク 光 区 ヲ 折 ル ○ 此 二 種 共 二 鉛 波 膿 と 稻 サ キ タ マ ス 本 邦 ノ 製 此 二 近 シ と 記 さ れ 、 ク リ ス タ ル ・ ガ ラ ス 及 び フ リ ン ト . ガ ラ ス の 製 造 に 鉛 丹 が 用 い ら れ て い る 。 ﹁ 本 邦 ノ 製 此 二 同 ジ ﹂ と は 記 さ れ ず ﹁ 本 邦 ノ 製 此 二 近 シ ﹂ と 記 さ れ て い る こ と は 、 同 じ く 鉛 ガ ラ ス で あ っ て も わ が 国 の 場 合 、 金 属 鉛 を 使 用 す る 法 が と ら れ て い た た め で あ ろ う . な お プ リ 柔 ・ ガ ラ ス に つ い て の 割 註 で 述 ぺ ら れ て い る と こ ろ よ り ・ 備 琵 ち ﹁ , ( 36 舎 密 備 要 ﹂ ) ( 麓

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キ 吉 述 、 一 八 〇 三 年 刻 ) に お い て も 、 鉛 丹 を 使 用 す る よ う 指 示 さ れ て い る こ と が 知 ら れ る 。 な お 上 野 彦 馬 の ﹁ 舎 密 局 必 携 ﹂ ン リ シ = ノ 3 卜 κ ラ ス ( 37 ) の ﹁ 悉 里 隻 母 第 二 十 五 章 ﹂ の 内 ﹁ 弗 舞 多 破 璃 ﹂ の 項 に は 、 一弗 渕 豹 現 璃 水 精 破 璃 二 酸 化 鉛 ︹ 割 註 ︺ 鉛 丹 ﹂ ヲ 和 シ 、 再 ビ 櫟 化 シ タ ル 者 と あ り 、 ﹃ 舎 密 備 要 ﹂ と ほ ぼ 同 様 の 記 述 が み ら れ る 。 以 上 の 諸 例 に み ら れ る 如 く 、 西 欧 に お い て は 一 般 に 鉛 成 分 の 原 料 と し て 鉛 丹 を 使 用 し た が 、 他 に 鉛 粉 を 使 用 す る こ と も マ ニ ヒ ル ( 38 ) あ っ た よ う で あ る 。 例 え ば ﹁ 舎 密 開 宗 ﹂ の 巻 九 末 尾 の ﹁ 破 理 品 類 ﹂ に は 焉 尼 振 爾 鮮 披 嘆 に つ い て 次 の 処 方 が 掲 げ ら れ て い る 。 ヘ へ 石 英 細 末 。 精 製 亜 爾 加 里 。 各 三 分 右 燦 化 シ 還 タ 持 末 シ 水 洗 シ 乾 シ 枯 蓬 砂 一 分 。 鉛 粉 (傍 点 -棚 橋 ) 一 分 半 ヲ 加 テ 再 . 燦 シ 持 末 シ 水 洗 シ 消 酸 加 里 十 二 分 , 一 ヲ 加 テ 燦 化 ス こ 霧 合 鉛 成 分 の 原 料 と し て 鉛 粉 が 使 用 さ れ て 窺 差 ﹁ 舎 密 局 必 携 ﹂ の 書 引 用 し た ﹁第 二 + 五 章 ﹂ の 内 耐 鍵 劃 ( 39 ) の 項 に は 、 キ リ ス タ ル ガ ラ ス O 芒 硝 ト 珪 土 ノ 和 物 二 、 少 許 ノ 酸 化 鉛 ︹ 割 註 ︺ ﹁ ロ ー ド ク リ ッ ト ﹂ 鉛 丹 或 ハ 鉛 粉 ヲ 用 ユ ﹂ ヲ 加 ル 時 ハ 、 所 レ 謂 水 精 破 璃 ト ナ ル 、 且 ツ 酸 化 鉛 ノ 多 キ ニ 随 ヒ 、 熔 化 流 動 ヲ 促 ス 事 随 テ 速 カ ナ リ と あ り 、 こ の 場 合 鉛 成 分 の 原 料 と し て 鉛 丹 或 い は 鉛 粉 を 用 い る こ と が 指 示 さ れ て い る 。 な お 鉛 粉 と は 鉛 の 粉 末 の こ と で は ( 40 ) な く 、 鉛 白 ミ 圧 鼠 一。 註 ℃ 卜。 ℃ ぴ O O °。 ・ 勺 げ ( O 団 ) 図 の こ と で あ り 、 ﹁ 舎 密 開 宗 ﹂ の 如 き 化 学 書 に お い て も 同 様 の 意 味 に 使 用 さ ( 41 ) れ て い る 。 即 ち 同 書 で は 鉛 粉 の 同 義 語 と し て ﹁ ロ ー ド ・ ウ イ ツ ト ﹂ な る 語 を 挙 げ て い る が 、 こ れ は オ ラ ン ダ 語 一〇 〇 匹 芝 # で 鉛 白 を 意 味 す る も の で あ る 。 一 方 近 世 の わ が 国 に お け る 鉛 ガ ラ ス 製 造 の 場 合 、 ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ 及 び ﹁ 日 本 近 世 窯 業 史 ﹂ よ り の 上 記 引 例 に み ら れ る 如

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く 、 鉛 丹 で は な く 熔 融 状 態 の 金 属 鉛 を 使 用 し て い た 。 な お こ こ で 宋 代 中 国 に お け る 鉛 ガ ラ ス 製 造 の 場 合 、 及 び そ れ と 関 連 ( 42 ) し て 平 安 末 期 の わ が 国 の 場 合 に つ い て 簡 単 に 触 れ て お き た い 。 蘇 輯 の ﹁ 蘇 東 披 詩 集 ﹂ 巻 三 十 四 ﹁ 古 今 艦 詩 六 + 七 首 ﹂ の 内 に 、 ﹁ 蜀 酌 試 二 藥 玉 滑 蓋 一、 有 レ 懐 二 諸 君 子 一、 明 日 望 夜 、 月 庭 佳 景 不 レ 可 レ 失 、 作 レ 詩 招 レ 之 ﹂ と 題 し て 、 鋸 レ 鉛 煮 二 自 石 一 。 荷 心 錐 三 淺 狭 ↓ 。 曹 侯 天 下 平 。 風 流 越 王 孫 。 請 君 詰 二 臥 陳   。 作 L 玉 眞 自 欺 。 鏡 面 良 秒 禰 。 定 國 堂 其 師 。 詩 酒 屡 出 レ 奇 。 問 レ 疾 來 何 逞 。 ( 43 ) 琢 削 爲 二酒 杯 一。 持 レ 此 壽 二 佳 ・客 一 。 一 飲 至 二 数 石 一 。 喜 量 我 有 二 此 客 一 。 呼 レ 見 掃 二 月 樹 一 。 な る 古 体 の 詩 が 記 さ れ て い る 。 こ の 詩 は 元 祐 六 年 十 月 十 四 日 、 頴 州 在 任 中 の 作 で あ り し ん ヨ つ か あ ぎ ロゴ た く さ く き も て い し ゆ う し て 眞 に 自 ら 欺 く 。 琢 削 し て 酒 杯 と 爲 し 、 規 墓 す 定 州 の 甕 ﹂ と い う 数 句 よ り 、 で は な く 熔 融 状 態 の 金 属 鉛 を 利 用 す る 技 術 が 中 国 に お い て 行 な わ れ て い た こ と が 推 知 さ れ る の で あ る 。 加 え ら れ た か 否 か に つ い て は 、 こ の 詩 よ り 明 ら か に な し 得 な い が 、 (京 都 市 嵯 峨 清 涼 寺 釈 迦 堂 本 尊 胎 内 の 舎 利 瓶 破 片 ) に 主 成 分 の 二 酸 化 珪 素 、 ( 47 ) れ て い る こ と よ り 推 し て 、 転 の 詩 に 記 さ れ た ガ ラ ス 製 造 の 場 合 に も 硝 石 が 加 え ら れ て い た 可 能 性 は 大 き い と 思 わ れ る 。 ( 48 ) て 宋 の 人 、 杜 紹 の ﹁ 雲 林 石 譜 ﹂ の ﹁ 洛 河 石 ﹂ の 項 に は 、 西 河 京 洛 河 水 中 出 碑 石 頗 多 青 白 間 有 五 色 斑 欄 採 其 嵌 白 者 入 鉛 和 諸 藥 可 焼 愛 假 玉 或 琉 璃 用 之 ぢ い ど う い し と 記 さ れ て い る 。 木 内 石 亭 は ﹃ 諸 国 石 話 雲 根 志 ﹂ の ﹁ 硝 子 石 三 + こ の 項 に お い て 、 こ の 洛 河 石 に つ い て の 記 事 を 引 用 し て い 規 墓 定 州 甕 。 到 レ 手 不 レ 容 レ 餅 。 温 克 頗 似 レ 之 。 玉 杯 不 二 徒 施 一 。 扶 レ 病 良 及 レ 時 。 ( 44 ) な ま り と か は く せ き に ぎ よ く な 、 ﹁ 鉛 を 鋸 し 、 白 石 を 煮 、 玉 と 作 し ( 45 ) 遅 く と も 元 祐 六 年 ( 一 〇 九 一 ) ま で に は 鉛 丹 但 し そ の 際 硝 石 が ( 46 ) 雍 熈 二 年 ( 九 八 五 ) 頃 、 宋 に お い て 製 作 さ れ た 瑠 璃 瓶 一 酸 化 鉛 の 他 に 二 ・ 二 % の 酸 化 カ リ ウ ム が 含 有 さ さ

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( 49 ) ( 50 ) る の で 、 洛 河 石 と い う の は 硝 子 石 の こ と で あ ろ う 。 石 亭 は 硝 子 石 に つ い て 左 の 如 く 記 し て い る 。 い ほ く ひ ぜ ん へ が さ き い ゐ か う ら お よ り や う し よ と う め い び せ き あ つ さ な が は く ん き ん ヨ う ち く じ の 筑 後 國 柳 川 君 山 坊 の 日 肥 前 長 崎 飯 香 の 浦 及 び 茂 の 浦 而 所 に 硝 子 石 と い ふ も の あ り 色 白 く 透 明 な る 美 石 な り 此 石 を 集 め さ い ま つ せ い つ く げ . 'レ 杣 ん な 層、 ま つ ふ ぢ か ど し う さ い ほ ん ご く か つ し か の し も こ 犠 り ど ち う 下 郡 穴 串 大 坂 と い ふ 所 の 土 中 よ り 硝 子 石 と い 細 末 と し て 製 し て 硝 子 を 作 る と 叉 先 年 大 和 國 並 松 藤 門 周 齊 い ふ 本 國 葛 ユ リ い だ か に ち ひ と あ を あ ろ ひ れ い ろ う か た と う た ち ま ち と け ぴ い ど う ふ も の を 堀 出 せ り と 形 等 し か ら ず 色 青 く 或 は 白 し 玲 瀧 と し て 硬 き 石 な り 此 石 を 火 に 投 ず る に 忽 解 て 硝 子 と な る と こ の 石 亭 の 記 述 に も 拘 わ ら ず 洛 河 石 、 硝 子 石 に つ い て は 不 明 な 点 が 多 い が 、 洛 河 石 は チ ャ ー ト O ゴ 。 ユ の 如 き も の で は な い か と 思 わ れ る 。 さ て ﹁ 雲 林 石 譜 ﹂ の 記 事 か ら は 洛 河 石 と 鉛 と の 混 合 法 を 知 る こ と は で き ぬ が 、 恐 ら く 転 の 詩 に 記 さ れ た 方 法 と 同 様 で あ ろ う 。 な お こ こ で 注 意 す べ き 点 は ガ ラ ス 製 造 に 際 し 洛 河 石 、 鉛 に 諸 薬 が 加 え ら れ る こ と が 結 に よ っ て 記 さ れ て い る 点 で あ ろ う 。 こ の 諸 薬 が 如 何 な る も の で あ る か は 明 ら か に な し 得 な い が 、 恐 ら く 硝 石 な ど の ア ル カ リ 原 料 、 着 色 剤 ( 51 ) な ど で あ ろ う と 推 量 さ れ る の で あ る 。 な お ﹁ 雲 林 石 譜 ﹂ の 序 の 末 昆 に は 、 讃 是 譜 者 知 居 士 之 好 古 博 雅 古 紹 於 鯨 風 不 忘 於 著 録 云 時 宋 紹 興 癸 丑 夏 五 月 望 日 閾 里 孔 傳 題 と あ る の で 、 こ の 石 譜 は 遅 く と も 紹 興 二 年 ( 一 = 二 三 ) 以 前 に 、 結 ( 雲 林 居 士 ) に よ っ て 著 わ さ れ た も の で あ ろ う 。 し た が っ て 以 上 略 説 し て き た 拭 の 詩 に 記 さ れ て い る 白 石 を 鉛 と 融 和 す る 法 、 宋 の 瑠 璃 瓶 に 含 有 さ れ る 酸 化 カ リ ウ ム の 量 、 ﹁ 雲 林 石 譜 ﹂ に 洛 河 石 、 鉛 と は 別 に 記 さ れ て い る 諸 薬 に つ い て 総 合 的 に 勘 案 す れ ば 賦 在 世 の 頃 に 、 ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ に 記 さ れ て い る の と ほ ぼ 同 様 な 技 法 が 既 に 確 立 さ れ て い た も の と 推 測 さ れ る の で あ る 。 な お 保 元 二 年 ( 一 一 五 七 ) 頃 の 作 と 推 定 さ れ る 中 尊 寺 金 色 堂 基 衡 棺 中 の ガ ラ ス 玉 類 の 素 地 が 、 わ が 国 に お い て 製 造 さ れ ( 52 ) た も の と す ろ な ら ば 、 こ の ガ ラ ス が 七 ・ 八 九 -一 〇 ・ 二 六 % の 酸 化 カ リ ウ ム を 含 有 す る こ と よ り 推 し て 恐 ら く 鉛 丹 の 代 り に 熔 融 状 態 の 金 属 鉛 と 硝 石 と を 使 用 し た と 思 わ れ る 宋 の 技 法 が そ の 頃 わ が 国 に 新 た に 導 入 さ れ た と も 推 測 さ れ る の で 、

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﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ に 記 さ れ て い る 中 国 特 有 な 製 法 の 伝 来 は 早 け れ ば 十 一 世 紀 中 葉 に ま で 遡 り 得 る 可 能 性 を 有 す る こ と と な る で あ ろ う 。 こ の 点 に 関 し て は 今 後 の 研 究 に 期 し た い と 思 う 。 ( 53 ) ま た ﹁ ﹁ 天 工 開 物 ﹂ の 内 容 及 び そ の 影 響 ﹂ に お い て 言 及 し た 如 く 、 ﹁ 天 工 開 物 ﹂ の 場 合 も ガ ラ ス 原 料 と し て 金 属 鉛 が 用 い ら れ て い た (同 書 に い う 黒 鉛 が 石 墨 Ω 昆 O 庄 器 の こ と で は な く 、 金 属 鉛 の こ と で あ る こ と は 前 後 の 文 意 よ り 明 ら か で あ ( 54 ) ろ う 。 な お 正 倉 院 文 書 の ガ ラ ス 処 方 の 場 合 に も 黒 鉛 は 金 属 鉛 を 意 味 し て い る ) 。 さ て 鉛 成 分 の 原 料 と し て 鉛 丹 、 鉛 粉 を 使 用 す る 場 合 は 、 最 初 か ら こ れ を 他 の 原 料 と 充 分 均 質 に 混 合 し た 後 、 融 解 す る と い う 手 順 を と り 得 る で あ ろ う 。 と こ ろ が ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の 製 法 で は 鉛 成 分 の 原 料 と し て 金 属 鉛 を 使 用 す る 関 係 上 、 鉛 を 一 旦 粉 末 に せ ぬ 限 り 、 最 初 か ら 他 の 原 料 と 混 合 し て 融 解 す る こ と は で き ず 、 二 段 階 に わ け て 混 合 、 融 解 が 行 な わ れ る 。 即 ち 第 一 段 階 に お い て 、 先 ず 鉛 を 熔 融 し こ れ に 粉 末 状 の 白 石 脂 を 加 え 、 加 熱 し な が ら 充 分 混 和 し た 後 水 中 に 投 じ て 急 冷 し 、 且 つ 粉 砕 す る こ と に よ り 鉛 と 珪 酸 原 料 と を 融 和 し 、 第 二 段 階 に お い て 、 こ の よ う に し て 得 ら れ る 粉 末 と 硝 石 ( ア ル カ リ 原 料 ) と を 混 合 し 、 加 熱 融 解 す る と い う 手 順 が と ら れ る 。 と こ ろ で 今 仮 に 鉛 を 粉 末 と し て 使 用 す る 場 合 に つ い て 考 え れ ば 、 鉛 丹 、 鉛 粉 な ど の 場 合 と 同 様 に 、 最 初 か ら こ れ を 他 の 原 料 と 混 合 し た 後 融 解 す る と い う 手 順 を と り 得 る で あ ろ う 。 し か し な が ら 展 性 日 ρ = 8 げ 罠 昌 の 大 き い 鉛 を 粉 末 に す る こ と ( 55 ) は 手 間 を 要 す る こ と で あ り 、 た と い 鉛 を 粉 末 に し た と し て も 、 鉛 の 比 重 が 特 に 大 き い た め 他 の 原 料 と 充 分 均 質 に 混 合 し 難 い 欠 点 が あ る 。 と こ ろ が ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の 製 法 に よ れ ば 展 性 の 大 き い 鉛 を 粉 末 に す る 困 難 を 敢 て せ ず 、 鉛 を 粉 末 状 の 珪 酸 原 料 と 融 和 す る こ と に よ っ て 、 鉱 物 学 で い う 柔 。・ Φ 。 巳 Φ 或 い は 脆 弱 ぴ ユ 酔 二 。 な る 状 態 に し て 粉 砕 す る の で あ っ て 、 こ の 点 合 理 的 で あ る と い え よ う 。 更 に ま た こ の 製 法 に よ れ ば 鉛 の 粉 末 と 他 の 原 料 と を 機 械 的 に 混 合 す る 場 合 と は 異 な り 、 鉛 と 白

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( 56 ) 石 脂 と の 著 し い 比 重 差 に も 拘 わ ら ず 、 両 者 を 充 分 均 質 に 混 合 し 得 る の で あ っ て 、 こ の 点 優 れ て い る と い え よ う 。 し か し な が ら 襲 に ﹁ 日 本 近 世 窯 業 史 ﹂ よ り 引 用 し た 明 治 維 新 前 後 の ガ ラ ス 製 造 法 と 比 較 す れ ば 、 ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ に み ら れ る よ う な 長 時 間 に 亘 る 強 熱 、 急 冷 、 粉 砕 は 無 駄 な 操 作 と い え る で あ ろ う 。 そ れ に し て も ﹁ 唐 鉛 の 至 極 よ き を 火 に か け と き て 。 そ の 中 へ 右 の 白 石 脂 の 粉 を は 少 し つ ・ い ﹂ れ 、 ﹁ 鉄 の へ ら を い れ て ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ ヘ へ み て 。 ひ め の り の 少 シ 堅 き ほ と に し て 。 鍋 の 下 に 炭 火 を 。 い か に も ほ そ く し て (傍 点 -棚 橋 ) へ ら に 力 を い れ ね ﹂ り 、 ﹁ 煉 く て 終 日 に 及 ふ 時 。 半 切 に 水 を い れ 。 右 の に え た る 白 石 。 鉛 を 打 あ ﹂ け る 時 、 果 し て ﹁ 亜 鉛 の こ と く 成 ル ﹂ か 否 か に つ い て ( 57 ) は 一 応 確 か め て お く 必 要 が あ ろ う 。 先 ず 比 重 並 び に 表 面 張 力 の 共 に 大 き い 熔 融 状 態 の 鉛 の 上 へ 白 石 脂 の 粉 末 を い れ 撹 伴 し て も 、 熔 融 し た 鉛 の 内 部 へ 白 石 脂 が 入 り 込 ん で い く よ う な 形 式 で 、 両 者 が 混 合 す る と は 考 え 難 い こ と で あ る 。 事 実 、 実 験 三 に お い て 白 石 脂 末 の 代 り に 二 酸 化 珪 素 末 を 用 い て 実 験 し た 際 に も 、 そ の よ う な こ と は 起 ら な か っ た 。 そ の 折 の 観 察 で は 、 熔 融 鉛 の 上 に 少 量 宛 二 酸 化 珪 素 を 加 え て 撹 伴 す る と 、 そ の 都 度 二 酸 化 珪 素 が 触 れ た 鉛 の 表 面 の 部 分 の 温 度 が 融 点 以 下 に 下 が り 、 鉛 が 二 酸 化 珪 素 の 粒 子 に 凝 固 し て 附 着 す る の が 認 め ら れ た 。 こ の よ う に し て す べ て の 熔 融 鉛 が 二 酸 化 珪 素 に 附 着 し た と き 、 一 応 鉛 と 二 酸 化 珪 素 と は 混 合 さ れ て 粉 末 状 態 と な り 、 し か も 二 酸 化 珪 素 末 の み の 場 合 よ り も 撹 拝 に 際 し て 確 か に 重 く 感 ぜ ら れ た 。 し か し こ の 重 く 感 ぜ ら れ る 状 態 を も っ て ﹁ ひ め の り の 少 シ 堅 き ほ と ﹂ と い う の で な い こ と は 、 そ の 一 部 を 水 中 に 投 入 し た 時 ﹁ 亜 鉛 の こ と く ﹂ な ら ず 、 水 全 体 が 緑 灰 色 細 粒 の 懸 濁 液 に な っ た こ と に よ っ て も 明 ら か で あ る 。 ま た こ の こ と よ り ﹁ 萬 金 産 業 袋 ﹂ の ガ ラ ス 製 造 法 が 、 ﹃、 日 本 近 世 窯 業 史 ﹂ に 記 載 さ れ て い る 明 治 維 新 前 後 の ガ ラ ス 製 造 法 と 異 な る 点 も 明 白 と な っ た で あ ろ う 。 そ れ で は コ 禺 金 産 業 袋 ﹂ に い う ﹁ ひ め の り の 少 . 堅 き ほ と ﹂ と は 、 ま た ﹁ 亜 鉛 の こ と く 成 ル ﹂ と は 如 何 な る 場 合 の 状 態 に つ い て い う の で あ ろ う か 。 便 宜 上 自 石 脂 の 代 り に 二 酸 化 珪 素 を 使 用 し て ﹁ 萬 金 産 業

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袋 ﹂ に拠 る ガ ラ ス の 製 造 を 試 み た。 実 験 五 二 酸 化 珪 素 ( 試 薬 特 級 ) 二〇 ・ ○ 瓦 鉛 ( 試 薬 一 級 ) 二〇 . ○ 瓦 右記 の 原 料 に つ き 実 験 三 の 場 合 と 同 様 の操 作 を行 な い 、同 様 の緑 灰 色 粉 末 状 混 合 物 を 得 た 。 後 磁 製 ル ツボ にて 約 五時 間 灼熱 し た。 灼 熱 開 始 後 二時 間 の時 に は表 層 の 一 部 が融 解 し ただ け で 第十 一 図 鉛 と二 酸 化珪 素 を融 解 した 後,急 冷 し 「亜 鉛 (と たん)の 如 く成」 っ た もの。鉛 の 小 球(白 く光 っ てい る部 分)が 多数 散 在 してい る。 放 冷 後 更 に充 分 に 混 合 し た 、 他 は 極 め て粘 性 度 の大 き い粒 状 集 合 体 を な し て いた 。灼 熱 開 始 後 五時 間 の時 に は ほ と んど 融 解 し たよ う に みえ 、 ス テ ンレ ス 薬 匙 に て撹 拝 し た と ころ ﹁ ひめ の り の少 . 堅 き ほ と﹂ と 思 わ れ る粘 性 度 と な っ て いた 。 但 し やは り ガ ラ ス 化 し た のは 表 層 だ け で 、他 の 部 分 は 例 え ば 揚 き 足 ら ぬ た め 肌 理荒 く 粘 り 気 の少 な い餅 の如 き 状態 であ っ た 。 これ を水 中 に 投 入 し急 冷 し たが 砕 け ず 不 規 則 な塊 状 と なり 丁 度 ﹁ 亜 鉛 の ことく 成 ﹂ っ た 。全 体 に 灰 色 で、 加 熱 時 表 層 にあ っ たと ころ は 滑 ら か な ガ ラ ス状 と な ってお り 、 他 の部 分 は 比較 的 粗 粒 な 粒 子 が 互 に 融着 し た如 き 状 態 を呈 し て い た。 更 に 空 気 の供給 が充 分 に 行 な わ れ な か っ た 内 部 の鉛 は最 後 ま で ガ ラ ス化 さ れ ず 、多 数 の 鉛 の小 球 と し て 、 急 冷 し た こ の試料 中 に散 在 して いた (第 十 一 図参 照 ) 。

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以 上 の 結 果 より ﹁ 鍋 の下 に炭 火 を。 い か にも ほ そく し て へ ら に 力 を いれ ね る 事 な り﹂ と い う表 現 に も 拘 ら ず 、 そ の 時 の 温 度 は約 一 、 O OO 度 と 考 え ざ る を得 ず、 し たが って そ の 際 混 和 物 は 全 体 と し て 半熔 融 状 態 であ り 、 ま た ﹁ ひめ のり の 少 シ 堅 き ほ と ﹂ と いう のは そ の 融 体 の粘 性 度 を 形 容 し たも のであ り 、 ﹁ 亜 鉛 のこ とく 成 ル ﹂ とは そ の 融 体 を 急 冷 し た時 の灰 色 塊状 の 状 態 を表 現 し たも の で あ る こと が明 ら か であ ろ う 。 と ころ で こ の急 冷 し た融 体 を ﹁ 右 の臼 に 入. 鉄 の 杵 に て 。 さ い ぜ ん の こと く 細 末 し﹂ た場 合 ︹ 筆 者 は ダ イ ヤ モ ンド ・ 0 第 十 二 図 切 子 鉢 。鉛 の小 球(図 中 の黒 い 部 分)が 点 在 してい る 外 径14.lcm' モ ル タ ル ( 砕 鉱 臼 ) を使 用 し た︺ 、 大 部 分 は 容 易 に 灰 白 色 の粉 末 に な っ た が、 小 球 状 の鉛 は そ の大 き い展 性 のた め 扁 平 に な る だ け で粉 砕 さ れ な か っ た 。 し た が っ ても し これ を ﹁ 羅合 ﹂ に か けな けれ ば 扁 平 と な っ た 鉛 は 再 び小 球 と な っ て ガ ラ ス 中 に 混 入 し、 一 方 ガ ラ ス の 方 は 幾分 鉛 成 分 の少 な いも のとな る であ ろ う 。 第 十 二図 に 示 し た切 ( 58) 子鉢 (筆 者 蔵 ) は 鉛 の小 球 が 混 入 し て い る ガ ラ スの例 で あ る 。 な お こ の切 子 鉢 は 完 全 な無 色 で は な く、 不 化 物 の た め黄 色 が か った草 色 を 帯 び た鉛 ガ ラ スであ り 、 充 分 に 除 冷 され な か っ た ため か 底 部 に ほ ぼ 同 心円 状 の罐 割 が 幾 重 にも みら れ る 。 ま た も し 扁平 と な った鉛 を 除 去 す る た め に これ を ﹁ 羅 合 ﹂ に か け る とす れば 最 初 の調 合 比 よ り

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も か な り 鉛 成 分 の 少 な い ガ ラ ス が 最 終 的 に で き る で あ ろ う 。 と こ ろ で ﹁ 湯 に わ き て 焦 つ く へ き 程 に み ゆ る 時 は 。 塩 氣 の な き 釜 に て 湯 を 沸 し 置 。 半 時 一 時 ほ と に 一 杓 づ ・ い る へ し 。 湯 は 何 ほ と い れ て も 。 右 藥 味 と は 分 に 成 て 。 鍋 に 残 る ﹂ と は 一 体 ど の よ う な こ と で あ ろ う 。 型 吹 き 成 形 の 際 に 木 型 を 使 用 ( 59 ) す る 場 合 、 予 め 木 型 を 水 に 浸 す が 、 鍋 の 中 の 熔 融 ガ ラ ス の 上 へ 水 を 注 ぎ 、 し か も そ の 水 が 鍋 に 残 る と い う こ と は 考 え ら れ ぬ こ と で あ る 。 何 か の 誤 り で あ ろ う 。 回 口 伝 ﹁ ゑ ん し や う の 塩 の 取 や う ﹂ 次 に ﹁ ゑ ん し や う の 塩 の 取 や う ﹂ に 関 す る 口 伝 の 内 容 に つ い て 検 討 を 加 え た い 。 こ の 口 伝 の 主 眼 で あ る 再 結 品 法 に よ る ( 60 ) 硝 酸 力 リ ウ ム の 精 製 は 、 そ れ 自 体 合 理 的 な も の で は あ る が " 口 伝 の 細 部 に つ い て は 理 解 に 苦 し む と こ ろ が あ る 。 例 え ば 焔 硝 内 に 入 れ た 銅 の 切 屑 に 青 い 錆 が 生 ず る よ う に な る ま で 精 製 す る と は 、 ど う い う こ と で あ ろ う か 。 ﹁ ゑ ん し や う 一 斤 ﹂ は 舶 来 品 扱 い と す れ ば 一 二 〇 匁 即 ち 四 五 〇 瓦 、 ﹁ 水 三 升 ﹂ は 五 、 四 = 一蝿 、 ﹁ 銅 さ い く の 切 屑 ⋮ ⋮ 目 拾 匁 ﹂ は 三 七 ・ 五 瓦 で あ る 。 水 三 升 の 代 り に 水 一 〇 〇 耗 を 使 用 し 、 他 の も の も 同 じ 比 率 で 換 算 し 、 次 の 如 き 簡 単 な 実 験 を 行 な っ た 。 実 験 六 硝 酸 力 リ ウ ム ( 試 薬 一 級 ) 八 ・ 三 瓦 銅 線 ( 直 径 一 ・ 五 粍 、 表 面 を よ く 研 磨 し た も の ) ○ ・ 七 瓦 右 記 の 原 料 を ビ ー カ ー に 移 し 、 蒸 留 水 一 〇 〇 蛇 を 加 え ウ ォ ー タ ー ・ バ ス 上 で 加 熱 し た 。 液 量 が 約 五 耗 程 度 に な っ た と き 、 飽 和 状 態 と な り 硝 酸 力 リ ウ ム が 析 出 し 始 め た 。 直 ち に 冷 却 し た と こ ろ 、 溶 解 し て い た 硝 酸 カ リ ウ ム が 多 量 に 析 出 し 、

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丁 度 ﹁ 上 水 を し た ﹂ ん だ 状 態 と な っ た 。 十 週 間 に 亘 り 観 察 し た が 銅 線 の 表 面 に 酸 化 第 一 銅 O 言 O の 赤 い 皮 膜 が 生 じ た の み で あ っ た 。 以 上 の 結 果 よ り 明 ら か な 如 く 銅 の 切 屑 が 硝 酸 力 リ ウ ム 中 で ︼-青 く さ び る ﹂ と い う こ と は 何 か 他 の 原 因 に よ る の で な け れ ば 誤 り で あ ろ う 。 イ オ ン 化 傾 向 よ り 考 え て 硝 酸 力 リ ウ ム の 中 で 銅 が 硝 酸 第 二 銅 O 口 (乞 ○ °。 ) 団 ・ ① = 国 ρ O 仁 (Z O °。 ) 図 . ω 口 胆 O ( そ れ ぞ れ 青 色 、 深 青 色 ) に な る 筈 は な い し 、 ﹁ 青 く ﹂ と は こ の 場 合 ﹁ ブ ル ー に ﹂ で は な く て 、 ﹁ グ リ ー ン に ﹂ と 考 え ら れ る か ら 、 硝 酸 第 二 銅 や 硫 酸 第 二 銅 O 口 ω O 卜 ・ ㎝ 缶 団 O ( 青 色 ) の 如 き も の で は な く 、 む し ろ 緑 色 の 塩 基 性 炭 酸 第 二 銅 ( 緑 青 く ① ﹁ 臼 oq ユ ω ) O ロ O O °。 ・ O ロ ( O = ) 囮 の 如 き も の が 偶 然 生 じ た の で は な い か と 思 わ れ る 。 さ て 硝 酸 力 リ ウ ム の 水 に 対 す る 溶 解 度 は 、 第

13.3 20.9 31、6 45.8 63,9 85,5 110,0 138 169 202 246 105.5** 108** 110,5** 113.7** 116.9** 121.2** 126.8** 133.1** 139,8** 147.5皆* 155,7** 102,0**** 115,3**** 129.3**** 152,6**** 195,9**孝* 237.5*** 281.5*** 358.7 363.6 0℃ 10 20 30 40 〃 50 60 70 80 90 100 第 六 表 水1009に 溶 け る 無 水物 の9数 。**, *** ,****は それぞれ飽和溶液 と平衡状態にあ る固 相 が二 水 化 物,三 水 化物,四 水 化 物 で あ る こ とを示 す 〔 「実 験化 学 便 覧 」(註61)に よ る〕。 ⊥ハ 表 に み ら れ る 如 く ○ 度 の と き 一 三 ・ 三 、 一 〇 〇 度 の と き 二 四 六 で 、 仮 に ﹁ ゑ ん し や う 一 斤 ﹂ を 普 通 品 扱 い の 一 六 〇 匁 ( 六 〇 〇 瓦 ) と し て も 水 三 升 に 入 れ た 場 合 は 、 水 一 〇 〇 瓦 当 り 一 一 ・ ﹁ 瓦 と な り ○ 度 に お い て さ え 完 全 に 溶 解 す る で あ ろ う 。 し た が っ て ﹁ よ く 蓋 を し て 煮 た ﹂ て 、 ﹁ 一 ふ き に え て 後 。 そ の 鍋 と も に お ろ し さ ま し 置 ﹂ く と い う 程 度 で は 硝 酸 力 リ ウ ム は ほ と ん ど 析 出 せ ず 、 上 水 の 中 に 溶 解 し た ま ま 流 出 し て し

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ま う 。 そ れ 故 少 く と も 一 〇 〇 度 に お い て ﹁ ゑ ん し や う 一 斤 ﹂ の 飽 和 溶 液 が で き る 程 度 の 水 (硝 石 一 斤 = ハ ○ 匁 換 算 で 水 一 二 二 五 合 、 一 二 〇 匁 換 算 で 一 ・ 〇 一 合 ) を 残 す ま で 煮 詰 め な け れ ば 、 歩 留 り は 極 め て 悪 く な る で あ ろ う 。 と こ ろ で ﹁ ゑ ん し や う の 塩 ﹂ と は 如 何 な る も の を い う の で あ ろ う か 。 こ の 口 伝 の 内 容 か ら 推 察 し 得 る こ と は 、 こ の 塩 が 再 結 晶 法 に よ り 除 去 し 得 る 物 質 で あ る と い う 程 度 の こ と で あ ろ う 。 さ て 時 代 は 下 る が 櫻 寧 居 士 ( 平 野 元 亮 ) の ﹁ 消 石 製 煉 法 ﹂ ︹ 嘉 永 ⊥ハ 年 ( 一 八 五 三 ) 凡 例 、 文 久 三 年 ( 一 八 六 三 ) 新 錯 ︺ に は 、 硝 石 を 製 造 す る 具 体 的 な 記 述 が み ら れ る 。 そ の ' ブ コト ぐ ` ゴシ プ ル キ ヒ ト ナ ナ レ ソ ノ ハ フ ( 62 ) ﹁ 述 ろ と こ ろ は 。 蚕 く 硝 石 家 の 秘 疽 に し て 。 そ の 故 老 の 練 熟 た る 者 よ り 其 法 を 傳 へ た ﹂ も の で あ る と い う か ら 、 同 書 の 記 載 に っ い て 少 し く 詳 細 に 検 討 す れ ば 、 或 い は ﹁ ゑ ん し や う の 塩 ﹂ が 何 で あ る か を 明 ら か に す る こ と が で き る か も し れ な ( 63 ) い 。 先 ず 硝 石 土 の 選 定 に は 次 の 諸 点 に 注 意 す る よ う 示 指 し て い る 。 土 を 握 に て 擶 σ 乱 の 上 へ の せ て . 配 . お き て . 諜 . る に 。 裾 に 彬 き ア 粥 . を お ぼ ゆ 。 甘 し と い へ ば と て ・ 砺 棚 な ど の 甘 き と は コ ト ナ ニ ア ヂ ハ ヒ フ ン ミ タ ト ヘ チ げ ヘ コ メ ル ヰ ア マ こ 異 に し て 。 た ㌢ 何 と な く 味 な き う ち に 甘 き 味 を 含 た る な り 。 讐 ば 味 は そ れ と も 違 ど 。 梗 米 を 甘 し と い ふ 類 の 甘 味 と 心 ウ シ が ケ ン ホ ナ メ カ ス カ シ ボ ケ シ ル フ デ 得 べ し 。 中 ほ ど に 盛 氣 を お ぼ ゆ 。 こ れ も 璽 を 嘗 た る や う な る を い ふ に は あ ら ず 。 幽 に 塩 氣 の あ る こ と を 知 こ と に て 。 筆 コ ト パ イ ヒ ツ ク ガ ク シ ク ソ ロト ホ リ サ ス ア ジ ハ ヒ カ ラ シ サ ン セ ウ シ ヤ ウ ガ カ ラ に も 譜 に も 言 蓋 し 難 し 。 や が て 舌 に 滲 透 て 蟄 や う に お ぽ ゆ る 。 こ の 味 を 辛 と は い へ ど 。 山 椒 生 豊 な ど の 辛 き や う な シ タ シ コ ト ヂ リ サ ス カ ラ シ コ ノ キ ミ シ ラ タ シ カ る と は ち が ひ て 。 た ㌢ 舌 に 滲 透 て 整 や う な る 味 を 辛 と い ふ ま で の こ と に て 。 此 氣 味 が は つ き り と 知 る ・ を 。 硝 石 の 確 に サ ダ あ る と こ ろ の 土 と 定 む 。 こ こ に ﹁ 硝 石 の 確 に あ る と こ ろ の 土 ﹂ と い う の は 実 は 硝 石 (硝 酸 カ リ ウ ム ) が 含 ま れ て い る 土 で は な く て 、 そ の 原 料 と な る 硝 酸 カ ル シ ウ ム O o ( Z O °。 ) b。 ・ 癖 出 団 O が 含 ま れ て い る 土 の こ と で あ ろ う 。 さ て こ の よ う な 硝 石 土 よ り 硝 石 を 得 る 法 の ( 64 ) 概 略 を 示 せ ば 凡 そ 次 の 如 く な る 。

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