• 検索結果がありません。

著者 阪上 裕介

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "著者 阪上 裕介"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

高効率な三重項?三重項消滅アップコンバージョン 発光を示す結晶性固体の作成方法の開発とその発光 特性

著者 阪上 裕介

URL http://hdl.handle.net/10236/00026473

(2)

2016 年度 修士論文要旨 

高効率な三重項̶三重項消滅アップコンバージョン発光を示す  結晶性固体の作成方法の開発とその発光特性 

関西学院大学大学院理工学研究科  化学専攻 玉井(鎌田)研究室 阪上裕介 

【序論】アップコンバージョン(UC)は複数の低エネルギーの光 子を一個の高エネルギーの光子へ変換する過程である。特に三 重項-三重項消滅(TTA)を用いたUCは,太陽光レベルの光強 度 (<100  mW/cm2) でも高効率に変換でき,近年盛んに研究が 進められている。デバイスへの応用には固体系が望ましく,中 でも結晶はその規則性と高密度に基づいた高速な励起子拡散に より,低励起光強度で高効率な固体系TTA-UCを実現する可能 性がある  (図1)。しかし,TTA-UCは増感剤と発光体

の2種の分子を必要とし,それらの分子が結晶化時 に分相するために三重項エネルギー移動  (TET)  が阻 害されて低励起光強度でのTTA-UC発光が得られてい なかった1)。 

 これに対し,卒業研究では発光体飽和濃度の混合 溶液をキャストすることで分相を防止し,UC発光を

示す結晶が得られることを,Pt-オクタエチルポルフィリン(PtOEP,増感剤)  と9,10-ジフェニル アントラセン (DPA,発光体)の系で示した2) (図2)。しかし,これらの結晶性固体はµmサイズの 微結晶であり,UC発光しない結晶粒が混在していた。そこで本研究ではこの微結晶一粒ごとの UC特性を明らかにするべく,光学顕微鏡を用いて専用の光学系を構築し,一粒ごとの結晶にお けるUC発光量子収率(ΦUC)と励起光強度依存性の特徴を表すしきい値強度(Ith)の測定を行った。

さらにDPAのフェニル基の間を環状にアルコキシ鎖で接続した誘導体であるC7-sDPA3)につい ても発光体分子としてキャスト法での結晶作成を検討したところ,より強いUCを示す結晶性固 体を得る事ができたため,それについてもΦUCIthの測定を行った。 

【実験】PtOEPとDPAの混合溶液(143 µM : 143 mM,モル比 1:1000)を滴下乾燥し,結晶 性固体を作成した。PtOEPとC7-sDPAの混合溶液からも同様に結晶を作製した(母液濃度21  µ M : 21 mM)。種々の検討の結果,溶媒にはテトラヒドロフラン(THF)を用いた。単一粒子測定 のための光学系は,光学顕微鏡にファイバー型分光器を接続し,532 nmの連続波(CW)レーザー を導入して構築した。電動NDフィルターにより顕微鏡下の励起光強度を4  Wcm-2以下で可変で きるようにした。また,量子収率の測定に必要な真の発光スペクトルを得るために顕微鏡光学 系を含めてスペクトル補正を行った。ΦUCの測定は相対法を採用し,参照物質に100 µMのロー

1. 結晶上の励起子拡散     で駆動するTTA-UC

O O

O O

N

N N

N Pt

DPA C7-sDPA

PtOEP

2. 用いた代表的な化合物の構造

(3)

ダミン101のエチレングリコール溶液を使用した。この溶液の蛍光量子収率は94%である事を 相対法と絶対法の両方で確認した。また,ΦUCの測定条件は空気雰囲気下,Ar雰囲気下,屈折 率整合オイル充填下で行い,Ar封入のためのスライドガラス試料の封止技術を開発した。 

【結果と考察】構築した顕微光学系を用いて微結晶一粒一粒 のΦUCとIthの測定を行った。各条件で得られたΦUCの分布を 図3に示す。得られたΦUCの値は粒ごとにかなりの個体差が あるが,DPAを用いた場合にAr中が他よりもやや高い傾向 にあることを除けば1~2%程度であり,一方C7-sDPAを用い た場合では環境に依らず15%以上を示すものがあった。C7- sDPAで得られた20%近いΦUCは固体系TTA-UC中では最も 高い部類であると言える4)。またIthについても個体毎のばら つきがあるが,DPAを用いた場合0.2~7 Wcm-2程度,C7- sDPAを用いた場合5~20  mWcm-2(データの記載なし)と,

DPAに比べてC7-sDPAは2桁程度低強度での光励起を可能に する。 

 このようなC7-sDPAを用いたUC結晶の高いΦUCと低いIthを 理解するために,PtOEPのQバンドの吸収ピークに着目した。

DPAを用いたキャスト結晶粒のPtOEPのQバンドは,アセト ン溶液中のものに比べて長波長シフトするとともにブロード 化しており,再沈法で作製したPtOEPのナノ結晶のものとほ ぼ一致した(図4)。これに対しC7-sDPA結晶内のPtOEPは溶 液中の吸収スペクトルに酷似していた。これは,DPAを用い たUC結晶では凝集しているPtOEPの割合が多く,これに対 しC7-sDPAを用いたUC結晶ではマトリクス中に良好に分子 分散したPtOEPの割合が多いことを示唆している。以上の結 果よりC7-sDPAを用いたUC結晶は,マトリクス中に良く分 散したPtOEPによる効率的なTETで,高いΦUCと低いIthを達 成したと考えられる。 

1) H. Goudarzi and P. E. Keivanidis, J. Phys. Chem. C, 2014, 118, 14256 2) 阪上裕介, 2014年度 卒業研究報告会, 2014, 25.

3) Y. Fujiwara, R. Ozawa, D. Onuma, K. Suzuki, K. Yoza, K. Kobayashi, J. Org. Chem., 2013, 78, 2206.

4) K. Kamada, Y. Sakagami, T. Mizokuro, Y. Fujiwara, K. Kobayashi, K. Narushima, S. Hirata, M. Vacha, Mater. Horiz., 2017, 4, 83.

PtOEP:DPA PtOEP:C7-sDPA

4 3 2 1 0

0.001 2 4 6 80.01 2 4 6 80.1 2 4 6 81

ΦUC

4 3 2 1 0

Occurrence

4 3 2 1 0

air

Ar

immersion oil

3. 結晶粒毎のUC量子収率の分布

4. 外部環境に対するPtOEPの        吸収の変化

Normalized Absorbance

600 550

500

450 Wavelength (nm)

DPA中 ナノ分散液

C7-sDPA中 アセトン溶液

参照

関連したドキュメント

参与観察調査では、研究者が同席することで女性が精神的な負担を感じる可

以上まとめると, VP 内部主語仮説のもとでは,主語が PRO の不定詞補

且つ格付与されるので,(1 2b )によって,[ anaphor

 第 3

以上を要するに,本研究では非病原性 Xanthomonas

参与観察調査では、研究者が同席することで女性が精神的な負担を感じる可

たそれと対比されているCreditsystemのほうも,すぐ次に,「スコットラ

この第1364号からの引用は-MEGAでは異文目録を見ないとわからな