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著者 永井 裕史

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Academic year: 2022

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非病原性Xanthomonas属細菌による同属細菌由来病 害の抑制に関する研究

著者 永井 裕史

発行年 2017‑12

出版者 静岡大学

URL http://doi.org/10.14945/00025253

(2)

(課程博士・様式7)(Doctoral qualification by coursework,Form 7)

学 位 論 文 要 旨

Abstract of Doctoral Thesis

専 攻:バイオサイエンス 氏 名:永井裕史

論文題目:非病原性Xanthomonas属細菌による同属細菌由来病害の抑制に関する研究

論文要旨:

植物の病害防除において,近年の殺菌剤耐性菌の発達による総合防除の必要性の高まりや,消費者 の食品への安全志向から,化学農薬偏重を避けてより安全な手法である生物農薬を取り入れる手法が 望まれている.本論文では,生物農薬開発の一環として非病原性 Xanthomonas 属細菌 11-100-01 株

(npX)の有効な利用法とそのメカニズムについて研究を行った.

各種作物の重要病害であるXanthomonas属細菌によって引き起こされる細菌病害を,npX を用いて 防除するために,まず,ブロッコリー黒腐病をモデルとして防除の有効性を調査した.2 年間で 4 回 の圃場試験を実施し,その結果をメタアナリシスで統合解析したところ,有意に発病抑制効果が認め られたが,その効果は化学農薬である塩基性硫酸銅水和剤(Zボルドー,以下銅水和剤と略す)には やや劣った.しかし,npX は銅水和剤のような薬害を生じなかった.また,使用する作型による効果 の変動もみられ,秋冬の作型で効果が高く春夏の作型で劣る傾向があり,使用時期を適切化する必要 があることを明らかにした.一方,レタス斑点細菌病を対象に防除効果を 3 年間で 3 回の圃場試験に より調査した結果,銅水和剤と同等の高い発病抑制効果が認められ,薬害も無かった.このことから,

npX は当初の開発目標とされていたブロッコリーなどのアブラナ科黒腐病のみならず,他種の

Xanthomonas属細菌性病害に対しても有効であること,作物によって銅水和剤と同等の効果を得られ

ることが初めて示された.

さらに,npX の病害防除効果のメカニズムを明らかにするために,2 つの仮説を考えて検証した.

第 1 の仮説は,病原細菌の感染部位である傷口に npX が先に付着して保護してしまい,後から来る病 原細菌をブロックするという可能性である.これに関しては蛍光遺伝子gfpを導入した npX を供試し 蛍光顕微鏡で観察することにより,npX が傷口に定着していることが確認できたことによって強く支 持された.また,この過程において,葉面全体での npX の定着がブロッコリーよりもレタスの方がよ り多い菌数を維持しており,植物ごとの効果の違いが葉面の定着性に一因があることが明らかとなっ た.また,第 2 の仮説は,npX が病原細菌への拮抗能力がある可能性であり,これに関しても培地上 での病原細菌の阻止円形成から実証することに成功した.このように効果のメカニズムは複合的なも のであることを明らかにした.

npX の効果を高めるため,ブロッコリー黒腐病をモデルに病原細菌を宿主とするバクテリオファー ジ XcpSFC211 (pXS) を npX と混合し,3 年間で 5 回の圃場試験を実施した結果,pXS を加えた場合に は npX 単独よりも有意に防除効果が高まり,銅水和剤と同等の結果が得られ,その結果はメタアナリ シスによる統合解析によっても支持された.このことから,従来ともすれば否定的に考えられてきた ファージを用いた生物防除が,npX と供用することによって可能になることを明らかにした.また,

(3)

電子顕微鏡による観察の結果,pXS は宿主でない npX にも吸着していることを明らかにすることがで き,これによりファージと非宿主細菌を用いた新たな生物農薬の可能性を示すことができた.

以上を要するに,本研究では非病原性Xanthomonas属細菌による生物防除の効果を実証するととも に,そのメカニズムを明らかにし,さらにファージと組み合わせた新たな生物防除法を提案するとい う新規な成果が得られた.

参照

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