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第 2 章 除湿方式に関する検討

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Academic year: 2022

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収式除湿の3方式が挙げられる.本章では,それぞれの除湿方式を採用した除湿 システムの動作原理や特徴などについて,フロー図や空気線図を用いて詳説する.

2.1  冷却式除湿

  圧縮式冷凍機を用いた冷却式除湿は,現在,一般家庭のエアコンやビル空調な どで最も普及している除湿方式である.その除湿原理は,圧縮式冷凍機の蒸発温 度を処理空気の露点温度以下にまで冷却し,伝熱管やフィン表面上に強制的に結 露を生じさせ,その凝縮水を除去することで除湿を行うというものである.Fig.

2.1 に,圧縮式冷凍機のフロー図を示す.一般的な圧縮式冷凍機の構成要素は,

蒸発器(Evaporator),圧縮機(Compressor),凝縮器(Condenser),膨張弁(Expansion

valve)である.冷房運転時には,蒸発器は室内に設置され,その他の要素は室外

に設置されている.通常,蒸発器では,室内の空気を取り込み,冷却して再び室 内に供給し,凝縮器では,外気を取り込んで,冷媒を冷却して凝縮させている.

除湿を行う際には,蒸発器に取り込んだ処理空気を,その露点温度以下にまで冷 却し,結露させている.なお,凝縮水はドレンとして室外に排水される.

  このように,圧縮式冷凍機を用いた冷却式除湿では,処理空気を露点温度以下 にまで冷却する必要があり,これにより除湿は行われるものの,一方で処理空気 を必要以上に冷やしすぎてしまうという問題がある.この問題に対する対策とし て,再熱除湿という手法が提案され,現在,家庭用エアコンの一部の高級機など で採用されている.Fig. 2.2 に,再熱除湿を採用した場合の圧縮式冷凍機のフロ ー図を示す.再熱除湿を行う場合は,圧縮式冷凍機の凝縮器排熱の一部を,処理 空気の再加熱に用いる.そのため,図からも分かるように,凝縮器の一部が再加

熱器(Reheater)として室内側に移動したフローとなっている.これにより,除

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湿を行うために,露点温度以下にまで冷却した処理空気を適温に戻してから室内 に供給することができる.

  Fig. 2.3 に,再熱除湿を行った場合の空気線図上での処理空気の状態変化の軌

跡を示す.まず,処理空気として蒸発器に取り込まれた空気(A)は,蒸発器の 冷却コイルとの接触により冷却が始まる.処理空気の温度が露点温度に達してい ない段階では,結露は発生しないため,絶対湿度に変化はなく,温度のみが低下 していく.次に,処理空気の温度が露点温度,つまり相対湿度 100%のラインに 近づき,その一部が露点に達した段階(B)で結露が発生し始め,徐々に絶対湿 度が低下する.さらに冷却が進むと,処理空気は,ほぼ相対湿度 100%のライン に沿って温度・絶対湿度ともに低下していく.これは,処理空気が蒸発器から排 出される段階(C)まで続く.以上で除湿が完了する.その後,温度が低くなり すぎた処理空気は,再加熱器に入り,適当な温度にまで加熱されて,室内に供給 され(S),全行程が終了する.なお,処理空気を(C)の温度にまで冷却する必 要があるので,圧縮式冷凍機の蒸発温度は(C)よりも低い温度で運転されなく てはならないことが分かる.

  圧縮式冷凍機を用いた冷却式除湿の利点としては,通常の冷房設備をそのまま 用いることができるので,新たに除湿専用の設備を設ける必要がなく,コンパク トであるという点が挙げられる.一方,欠点として,圧縮式冷凍機の蒸発温度を 処理空気の露点温度以下にまで大きく下げる必要があるため,システムの効率が 著しく低下してしまうこと,また,再熱除湿を行わず,露点温度以下にまで冷却 した処理空気を直接室内に供給した場合,室内を冷やしすぎてしまうことなどが 挙げられる,さらに,冷却式除湿では結露を伴うため,蒸発器伝熱管表面や空気 ダクト表面上にカビが発生しやすくなるなど,衛生上の問題点も指摘されている.

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Fig. 2.1 Flow diagram of compression type refrigerator

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Fig. 2.2 Flow diagram of compression type refrigerator with reheater

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Fig. 2.3 Air state change on psychrometric chart (cooling coil dehumidification)

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2.2  吸着式除湿

  吸着式除湿は,現在,家庭用の除湿機などとして急速に普及が進んでいる除湿 方式である.その除湿原理は,シリカゲルやゼオライトなどの吸着剤(乾燥剤)

が空気中の水分を吸着分離する作用を利用したものである.通常は,吸着剤粒子 を充填した充填塔や,吸着剤をフィルター状に成形したデシカントローターなど に処理空気を通風し,吸着剤と処理空気の直接接触によって除湿が行われる.な お,シリカゲルやゼオライトのような固体の乾燥剤はソリッドデシカントと呼ば れている.Fig. 2.4 に,デシカントローターを用いたもっとも単純なデシカント 空調システムのフロー図を示す.システムは,主要要素であるデシカントロータ ー(Desiccant wheel),再生空気加熱器(Heater),処理空気冷却器(Cooler)から 構成される.また,場合によっては,これ以外に,処理空気の予冷や再生空気の 予熱を行う熱交換器が付くこともある. Fig. 2.5に,デシカントローターの外観 写真および拡大写真を示す.デシカントローターは,写真のように,円筒状のフ ィルターとなっており,内部は吸着剤を含んだ吸着剤壁(Desiccant wall)がハニ カム状に成形された構造となっている.また,デシカントローターは,処理側と 再生側に分割されており,処理側には処理空気が通風し,再生側には再生空気が 通風する.さらに,このデシカントローターは,中心軸周りに回転しており,こ れによりローター内部の吸着剤は,処理空気と再生空気に交互に暴露される仕組 みとなっている.処理側で処理空気と直接接触し,空気中の水分を奪い水分含有 量の増加した吸着剤は,ローターの回転に伴い再生側に移動する.再生側では再 生空気と直接接触し,空気中に水分を飛ばし水分含有量を低下させ,吸着剤を再 生する.このように,ローターが回転し続けることで,連続的に処理空気の除湿 を行うことが可能となっている.また,吸着剤を再生するためには吸着剤を高温 に加熱する必要があるが,デシカントローター内部の吸着剤を直接加熱するのは システムの構造上困難であるため,通常は,高温に加熱した再生空気をデシカン トローターに投入することで吸着剤を間接的に加熱して再生を行っている.なお,

再生空気の温度は,一般的な空調用途の場合,80−120℃程度である.

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Fig. 2.4 Simplest desiccant air-conditioning system

Fig. 2.5 photos of desiccant wheel

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  Fig. 2.3 に,上述のデシカント空調システムで除湿を行った場合の空気線図上 での処理空気および再生空気の状態変化の軌跡を示す.まず,処理空気として取 り込まれた空気(A)は,デシカントローターの処理側で,吸着剤との直接接触 により除湿されて,絶対湿度が低下し,同時に,この時発生する吸着熱により温 度が上昇する.デシカントローターから排出された処理空気(B)は,吸着熱に より高温になっているので,処理空気冷却器により適当な温度にまで冷却されて,

室内に供給される(S).一方,再生空気として取り込まれた空気(C)は,再生 空気加熱器にて加熱される(D).高温になった再生空気は,デシカントローター の再生側で,吸着剤に含まれる水分を飛ばして再び吸着可能な状態に再生する.

これにより,再生空気は加湿されて絶対湿度が上昇し,同時に,温度は低下する.

デシカントローターから排出された再生空気は,室外に排気される(E).   吸着式除湿の利点としては,低温熱源による駆動が可能であり,従来様々な場 面で廃棄されていた低温排熱や,太陽熱などの自然エネルギーを積極的に利用す ることができ,省エネルギーに大きく貢献できること,また,圧縮式冷凍機を用 いた冷却式除湿と異なり,除湿時に結露を伴わないためカビなどが発生しにくく 衛生的であり,メンテナンスが容易であること,さらに,除湿行程が冷房行程と 分離されているため,より細かい湿度制御が可能であること,などが挙げられる.

一方,欠点としては,除湿と冷房を一体として行う冷却式除湿に比べて,システ ム全体が大型化してしまうことなどが挙げられる.

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Fig. 2.6 Air state change on psychrometric chart (adsorption dehumidification)

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2.3  吸収式除湿

  吸収式除湿は,現在,国内での運用実績は非常に少ないものの,今後の普及が 期待される次世代の除湿システムである.その除湿原理は,塩化リチウム水溶液 や塩化カルシウム水溶液のような吸収溶液が空気中の水分を吸収分離する作用 を利用したものである.通常は,充填層などに吸収溶液を散布し,そこに処理空 気を通風することで,吸収溶液と処理空気の直接接触によって除湿が行われる.

なお,塩化リチウム水溶液や塩化カルシウム水溶液のような液体の乾燥剤はリキ ッドデシカントと呼ばれている.Fig.2.7にリキッドデシカントシステムのフロー 図を示す.システムは,大きく,処理側(Process side)と再生側(Regeneration side) に分けられる.処理側は,吸収器(Absorber),溶液冷却器(Solution cooler),受

液器(Receiver)から構成される.また,再生側は,再生器(Regenerator),溶液

加熱器(Solution heater),受液器(Receiver)から構成される.なお,処理側と再

生側は溶液熱交換器(Solution heat exchanger)を介して結ばれている.吸収器内 部には充填層が設置されており,充填層上部から,溶液冷却器によって冷却され た処理溶液を散布する.この充填層に,処理空気を通風することで,その内部に て処理空気と処理溶液が直接接触し,除湿が行われる.処理空気中の水分を吸収 して濃度の薄くなった処理溶液は,充填層下部の受液器に溜まる.一方,再生器 内部にも同様の充填層が設置されており,充填層上部から,溶液加熱器によって 加熱された再生溶液を散布する.この充填層に,再生空気を通風することで,そ の内部にて再生空気と再生溶液が直接接触し,溶液の再生が行われる.再生空気 中に水分を飛ばして濃度の薄くなった再生溶液は,充填層下部の受液器に溜まる.

処理側および再生側の受液器内に溜まっている溶液は,溶液熱交換器を介して循 環しており,これによって,処理溶液は濃くなり,再生溶液は薄くなり,連続的 な運転を実現している.なお,溶液冷却器の冷熱源としては冷却塔を,溶液加熱 器の熱源としてはボイラーを用いるのが一般的であるが,一部のシステムでは,

圧縮式冷凍機とハイブリッド化し,蒸発器を冷熱源とし,凝縮器を加熱源とする ものも提案されている.

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Fig. 2.7 Liquid desiccant air-conditioning system

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  Fig. 2.3 に,上述のリキッドデシカントシステムで除湿を行った場合の空気線 図上での処理空気および再生空気の状態変化の軌跡を示す.まず,処理空気とし て取り込まれた空気(A)は,吸収器の充填層内にて吸収溶液と直接接触し,除 湿され,絶対湿度が低下する.このとき,処理溶液は溶液冷却器によって冷却さ れているので,処理空気の温度は低下する.吸収器から排出された処理空気は,

室内に供給される(S).一方,再生空気として取り込まれた空気(B)は,再生 器の充填層内にて再生溶液と直接接触して溶液を再生し.絶対湿度が上昇する.

再生溶液は溶液加熱器によって加熱されているので,再生空気の温度は上昇する.

再生器から排出された再生空気は,室外に排気される(C).

  吸収式除湿の利点としては,低温熱源による駆動が可能であり,従来様々な場 面で廃棄されていた低温排熱や,太陽熱などの自然エネルギーを積極的に利用す ることができ,省エネルギーに大きく貢献できることがまず挙げられる.しかも,

固体デシカントを用いた吸着式除湿の場合と異なり,液体デシカントを用いた吸 収式除湿では,乾燥剤である吸収溶液が液体であるため,ポンプと配管によって 自由に輸送することができ,熱交換器を用いて吸収溶液を直接冷却あるいは加熱 することが可能である.このため,吸着式除湿の場合よりも低温の熱源による駆 動が可能であるとされている.また,吸収溶液の種類によっては,空気の殺菌が でき,このことは,室内空気を衛生的に保つという観点から重要な利点であると いえる.一方,欠点としては,吸収溶液には腐食性があり,装置自体の腐食や,

吸収溶液が室内への飛散する可能性があること,冷却式除湿や吸着式除湿に比べ てシステムが複雑になるので,装置が大型になること,などが挙げられる.

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Fig. 2.8 Air state change on psychrometric chart (absorption dehumidification)

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