Ⅱ 環 境 ・ 設 備 アドバイス 伝熱・結露
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断 熱
断熱とは熱貫流量を少なくすることであり、以下の方法により熱伝達抵抗、熱伝 導抵抗を大きくする必要がある。 ① 壁体、窓に空気層(中空層)を設ける。 空気層の断熱効果は厚さ2∼3㎝程度までは比例して増加する。 二重サッシ・複層ガラスは熱損失を小さくできる。 ② 断熱材を使用する。 断熱材は吸水、吸湿すると性能が低下する。 中空層内にアルミ箔を使用すると伝熱量を低減できる。 ③ 室全体の気密性を高める。4
結 露
結露は壁体各部の表面温度が露点以下になった場合、水滴が付着する現象である。 壁体表面に生じる表面結露と、壁体内部における内部結露がある。結露防止には以 下のような方法がある。 1)壁体各部の温度を上げる方法 ① 壁体の熱貫流抵抗を大きくする。 ② 壁体付近の空気を滞留させない。 ③ 熱橋(ヒートブリッジ)部分の断熱性を高める。 ④ 外断熱とする。 2)湿度を下げ、露点温度を下げる方法 ① 室内の湿度を下げる。 ② 調湿材料を用いる。 ③ 防湿層を断熱材の室内側に設ける。 ④ 二重サッシの室内側サッシの気密性を高くする。 伝熱、結露の文章問題は、正答率が高い。学習効果が出やすい分野なので、 特に力を入れ学習すること。 「熱伝達率が大きい」等の記述は「熱が伝わりやすい」と読み替えて、内容をよ く理解すること。 断熱性と室内の上下温度差の問題、結露の防止の問題も頻度が高い。1
伝 熱
固体壁の両側の流体温度が異なるとき、熱は 「伝達」→「伝導」→「伝達」の過程を経て、高温側 から低温側に流れる。この過程における伝熱の 総称を熱貫流という。2
用 語
① 熱伝達率〔W/(㎡・K)〕 材料の表面を出入りする熱量の割合。この値が大きいほど熱が伝わりやすい。ま た、逆数を熱伝達抵抗という。 壁体の表面にあたる風速が大きいほど熱伝達率は大きくなる。 壁体の表面が粗いほど熱伝達率は大きくなる。 ② 熱伝導率〔W/(m・K)〕 材料内の熱の伝わりやすさを示す割合。この値が大きいほど熱を伝えやすい。逆 数を熱伝導比抵抗という。また、熱伝導率を材料の厚さで割ったものを熱伝導係数 といい、その逆数を熱伝導抵抗(㎡・K/W)という。 同じ材料でも吸水すると熱伝導率は大きくなる。 かさ比重(密度)が大きいほど熱伝導率は大きくなる。 気泡が大きいほど熱伝導率は大きくなる。 ③ 熱貫流率〔W/(㎡・K)〕 壁体内の熱伝導と壁体表面や中空層での熱伝達を含む壁体全体の単位面積当たり の伝熱の割合。この値が大きいほど熱が伝わりやすい。また、この逆数を熱貫流抵 抗という。 壁が湿気を含むと熱貫流率は大きくなる。 外壁の隅角部は他の部分に比べて熱貫流率が大きい。 (平均熱貫流率) 部分的に熱貫流率が異なる壁の平均熱貫流率は、各部分の熱貫流率の面積に応じ た比例配分となる。 K1A1+K2A2 平均熱貫流率= A1+A22.伝熱・結露
2.伝熱・結露
Check Point
Check Point
Ⅱ 環境・設備 ■ 結 露 ■ ○ 問題11 露点温度とは、絶対湿度を一定に保ちながら空気を冷却した場合 に、相対湿度が100%となる温度のことである。 ○ 問題12 外壁の出隅部分は他の部分に比べて熱貫流が大きく、その室内側 は結露しやすい。 ○ 問題13 暖房室につながり、屋外に接した北側の非暖房室は、結露しやすい。 ○ 問題14 繊維系の断熱材を用いた外壁の壁体内の結露を防止するためには、 断熱材の室内側に防湿層を設けるとよい。 × 問題15 二重サッシの間の結露を防止するためには、室内側サッシの気密 性を低くし、屋外側サッシの気密性を高くするとよい。 【関連】 問題8 熱容量 ⇨ 材料全体を1℃(1K)上昇させるのに必要な熱量 で、比熱[J/(㎏・K)]×質量(㎏)で表される。 問題11 相対湿度 ⇨ 飽和水蒸気量に対する湿り空気の水蒸気量の比 (%)。 問題12 熱橋(ヒートブリッジ)⇨ 構造体の一部にある、他の部分よ り極端に熱を伝えやすい(熱伝導率 が大きい)部分。 ■ 伝 熱 ■ ○ 問題1 壁体の熱伝達率は、その表面に当たる風速の影響を受ける。 ○ 問題2 建築材料の熱伝導率は、一般に、かさ比重(みかけの密度)が減少 するほど小さくなる傾向がある。 ○ 問題3 繊維系の断熱材が結露などによって湿気を含むと、その熱伝導抵 抗は小さくなる。 × 問題4 同種の発泡性の断熱材で、空隙率が同じであれば、材料内部の気 泡寸法が大きいものほど、熱伝導率は小さくなる。 ○ 問題5 空気層の熱抵抗は、その厚さが20㎜を超えるとほとんど変化しな い。 ○ 問題6 壁体内の中空層の表面をアルミ箔で覆うことにより、熱抵抗の値 は大きくなる。 ○ 問題7 断熱性能を高めることは、室温と室内表面温度の差を小さくする ことにつながり、室内の上下の温度差も小さくすることができる。 ○ 問題8 建築物の熱容量が大きいと、室温の変動は緩慢になる。 × 問題9 熱容量の大きい材料を室内側に配置する場合に比べて、熱容量の 小さい材料を室内側に配置する場合のほうが、冷暖房を開始してか らその効果が表れるまで時間を要する。 ○ 問題10 構成部材が同じ場合、内断熱構造の外壁と外断熱構造の外壁の熱 貫流率は、等しい。 伝熱・結露に関する次の記述について、適当か、不適当か、判断しなさい。
2
Question
Question
Ⅱ 環境・設備 問題10 正しい 構成部材が同じである、内断熱構造の外壁と外断熱構造の外壁の熱貫流率は、等 しい。 問題11 正しい 露点温度とは、絶対湿度を一定に保ちながら空気を冷却した場合に、相対湿度が 100%となり、空気中の水蒸気が結露し始める温度である。 【関連】 表面結露の発生の有無は、「表面近傍空気の絶対湿度から求まる露点温度」 と「表面温度」との大小によって判定することができる。 問題12 正しい 外壁の出隅部分は、室内側壁面の面積に比し、外気に面する部分の面積が大きい ため、熱貫流率が他の部分より大きくなり、室内側表面温度が低く結露しやすくなる。 問題13 正しい 暖房室で暖められた高湿な空気が、それにつながり屋外に接した北側の非暖房室 に流入して冷たい壁面などに触れると、露点温度以下に冷やされて結露が生じやす くなる。 【関連】気密性が低く、すき間風の多い住宅においては、結露しにくい。 問題14 正しい 断熱材は熱が伝わりにくく、室内側と室外側との温度差が大きい。つまり、冬期 において断熱材の室外側は温度が低いので、ここに室内から高湿の空気が流入する と内部結露が生じやすい。したがって、断熱材に室内の高湿の空気が入り込まない よう、その室内側に防湿層を配置するとよい。特に繊維系の断熱材は、結露により 吸水すると断熱性能が大きく低下するため、結露がさらに進行する。 問題15 誤り 二重サッシは、室内から高湿な空気がサッシの間に流入して結露が生じることが ある。結露を防止するには、室内側サッシの気密性を高くして高湿な空気の流入を 防ぎ、屋外側サッシの気密性を低くして高湿な空気を排出するとよい。 問題1 正しい 壁体の熱伝達率は、壁体表面における熱の授受を示す係数で、表面熱伝達率とも いわれ、壁体表面に当たる風速が大きいほど熱伝達率は大きくなる。 問題2 正しい 建築材料の熱伝導率は、一般に、かさ比重(みかけの密度)が減少するほど(軽い ほど)小さくなる傾向がある。木材:小さい、鉄骨材:大きい。 問題3 正しい 繊維系断熱材(グラスウール等)が湿気を含むと、熱伝導抵抗は小さくなり、熱を 伝えやすくなる。水の断熱性は空気よりわるい。 【関連】グラスウールは、一般に、かさ比重が大きくなるほど熱伝導率は小さくなる。 問題4 誤り 同種の発泡性の断熱材では、材料内部に含まれる空気の割合(空隙率)が同じ場合、 気泡寸法が小さいほど、空気層が細分化され、放射を遮断する回数が増えるため、 熱を伝えにくい(=熱伝導率が小さい)。 問題5 正しい 空気層の熱抵抗は、一般に厚さ20㎜(2㎝)程度までは比例して増大し、これを超 えるとほとんど変化せず、むしろやや低下する。 問題6 正しい 壁体内の中空層の表面をアルミ箔で覆うと、熱放射を反射して伝熱が減少し、熱 抵抗の値は大きくなる。 問題7 正しい 断熱性を高めれば、暖房負荷が減少するだけでなく、室内の上下温度差も小さく なり、また壁の冷却による冷放射も防げるなど温熱環境が改善される。 問題8 正しい 建築物の熱容量が大きいと、暖まりにくく冷えにくくなり、外気温の変化に伴う 室温変動の時間遅れが大きくなり、変動が緩慢になる(抑制される)。 【参考】 暖房停止後の室温降下について、壁体等の熱容量が同じであっても、建築 物の断熱性の良否によって、単位時間当たりの室温変化が異なる。 問題9 誤り 熱容量が大きい部材を室内側に設けた外壁(外断熱構造)は、室温の変動に対して 暖まりにくく、冷めにくい。これは、良い意味では、室温の変動が抑制され、室温 の安定性が高いことを示し、逆に、悪い意味では、冷暖房を開始してからその効果 が表れるまで時間を要することを示す。
解 説
解 説
− 190 − − 191 − Ⅲ 法 規
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道路斜線制限の計算の流れ
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隣地斜線制限の計算の流れ
(法56条1項2号) 《計算手順のチェック》 1.用途地域 道路幅員による容積率の算定 (法52条2項) 原則、住居系4/10:商業・工業系 6/10を乗ずる。 2以上の用途地域 ⇨ 適用距離は、道路に接している 地域 ⇨ 勾配は、それぞれの地域 2.前面道路 2以上の前面道路 (法56条6項,令132条) ⇨ 緩和措置 3.適用距離 基準容積率より求める。 適用距離の範囲外 ⇨ 道路斜線を受けない。 4.後退距離 道路斜線制限からセットバックし て建築する場合 ⇨ 前面道路の反対側の境界線は、 セットバックした分だけ、外側 にあるものとみなす。 (道路斜線の起算点) 《隣地境界線》 1.隣地境界線からの距離(L) 高さが20m(乗ずる数値が2.5である 場合は31m)を超える部分が隣地境 界線より後退している場合。 ⇨ 隣地境界線が後退している分だ け外側にあるものとみなす。 2 .第一種・第二種低層住居専用地 域は、制限を受けない。1
建築物の高さ
(法55・56条) 項目 用途地域 絶対 高さ 北側斜線 道路斜線 隣地斜線 勾 配 (立上り) 勾 配 (適用距離) 勾 配 (立上り) 第1種低層 第2種低層 10又は 12(m) 1.25 (5m) 1.25 (20、25、30、35m) 第1種中高層 第2種中高層 1.25 (10m) 1.25 (1.5)* (20、25、30、35m) 1.25** (20m) 第1種住居 第2種住居 準住居 近隣商業 商 業 1.5 (20、25、30、35、40、 45、50m) 2.5 (31m) 準工業 工 業 工業専用 1.5 (20、25、30、35m) *:前面道路の幅員が12m以上の場合、法56条3項の緩和により、「前面道路の 幅員×1.25」以上の区域内においては、「1.5」の勾配とする。尚、後退距離によ る4項の緩和も受けられる。 **:指定容積率30/10以下の第一種・第二種中高層住居専用地域以外で、特定行 政庁が指定する区域内では、2.5とする。2
敷地が2以上の道路に接した場合の道路斜線
(令132条)8.高 さ 制 限
8.高 さ 制 限
Check Point
Check Point
− 192 − − 193 − Ⅲ 法 規 〈道路斜線制限〉 法56条1項一号、法別表第三。近隣商業地域内の前面道路による高さの斜線制 限は、前面道路の反対側境界線までの水平距離×1.5。 適用距離は、前面道路幅員の最大が8mなので、8× 6− 10= 48−10 したがって、指定容積率
(
−4010)
により、20mとなる。 法56条2項。前面道路の境界線から後退した建築物に対する前面道路の反対側 の境界線は、後退距離に相当する距離だけ外側の線とする。 法56条6項、令132条1項。A点は、東側道路境界線から幅員の2倍(8×2= 16m)以内かつ35m以内にあるので、幅員4mの北側道路は、幅員8mとみなす。 〔北側道路による場合〕 3+8+3+6=20mとなり、適用距離の範囲内にあるので、高さの制限は、 20×1.5=30.0m………① 〔東側道路による場合〕 5+8+5+3=21mとなり、適用距離の範囲外にあるので、道路斜線制 限は適用されない。 〈隣地斜線制限〉 法56条1項二号。近隣商業地域内の隣地境界線までの水平距離による高さの斜 線制限は、 隣地境界線までの水平距離×2.5+31m………② したがって、A点における建築物の高さの最高限度は、①により30mとなる 正答 ⇨ 4解 説
解 説
近隣商業地域内にある図のような敷地に建築物を新築する場合、A 点における建築物の高さの最高限度として、建築基準法上、正しいも のは、次のうちどれか。ただし、敷地、隣地及び道路の相互間に高低 差はなく、また、用途地域以外の地域、地区等及び特定行政庁の指定 等はないものとし、日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空 率に関する規定は考慮しないものとする。なお、建築物は、すべての 部分において、高さの最高限度まで建築されるものとする。 1. 19.5m 2. 24.0m 3. 25.5m 4. 30.0m 高 さ 制 限8
Question
Question
− 246 − − 247 − Ⅳ 構 造 1) C、D点の垂直反力VC、VDを求める(図1)。 VC、VDは、骨組、荷重とも対称であるから、全荷重5Pの1/2となる。 VC=VD= 5P ―― 2 =2.5P(上向き) 2) AB材の軸方向力NABを、切断法により求める(図2)。 NABを引張力に仮定する。 ΣME=0より、 −P×2l−P×l+2.5P×l +NAB×l+NAE×0+NCE×0=0 −2Pl−Pl+2.5Pl+NAB×l=0 −0.5Pl+NAB×l =0 NAB=0.5P(+で求められたので、仮定の矢印が正しい)。 ⇨ NAB=+0.5P
解 説
解 説
正答 3 静定トラスの応力(切断法)1-4
Question
Question
【切断法① ΣM=0を利用した解法】 図のような荷重を受けるトラスにおいて、上弦材ABに生じる軸方 向力として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、 引張力を「+」、圧縮力を「−」とする。 1. 0 2. −2.5P 3. +0.5P 4. +2.5P アドバイス 切断法の手順 ① 反力を求める。 ② 求める部材を含んでトラスを切断する。 ③ つり合い条件を用いて、軸方向力を求める。 ΣX=0 ΣY=0 ΣM=0 ⇨ 求める部材以外の応力の作用線上(2つの作用線が交差する点 上)を回転の中心とする)− 248 − − 249 − Ⅳ 構 造 1) 支点C、Dの鉛直反力VC、VDを求める。図(a)参照。 VC=5P/2(上向き)、VD=7P/2(上向き) 2) 部材ABを含んで、トラスを2つに仮想切断する。切断した左側のトラスのつ り合い条件から、部材ABの軸方向力NABを求める。図(b)参照。 NABを引張力に仮定する。 3) ∑Y=0より、軸方向力NABを求める。図(c)参照。 NABのY方向の分力NABYは、1:1:√2 の三角形の辺の比であることから、 NAB:NABY=√2 :1 ⇨NAB=√2NABY⇨NABY= 1 ―― √2NAB ∑Y=0より、 VC−P−NABY=0 5 P ―― 2 −P− 1 ―― √2NAB=0 ――1 √2NAB= 3P ―― 2 ∴NAB=+3√2 P ――― 2 (引張力に仮定した値がプラスなので、引張力となる)