実 践 紹 介
55 1.はじめに
当該科目の目的は
3
つある。一つ目は様々な事柄,状況などを書いて説明し,さらに話 し言葉で伝えること。二つ目は書き言葉と話し言葉が使い分けられるようになること。三 つ目は初級文法の復習である。中級の学習者が書いたものをチェックすると書き言葉と話 し言葉が混在していることが多々ある。そのため様々な事柄について書き言葉で説明文を 書き,その後クラスメイトに話し言葉で伝えるように授業をデザインした。また説明文を チェックすると基本的な初級文法の誤りが多々見受けられるので,学生の気づきを促すた めの活動を取り入れた。2.授業の概要 2-1.授業の内容
授業は反転授業の形式をとる。事前に活動に必要な語彙や表現を学び,課題を提出す る。教室ではそれを確認してから,そのテーマの活動を行う。時に発展課題を提示するこ ともある。学生は提出したものを授業で発表する。発表はほぼ毎回行う。これは学生が発 表に慣れるためと書き言葉と話し言葉の相違を意識化するためである。また学生が他の学 生の発表を見たり,教師のフィードバックを繰り返し受けることにより,学べる点も多々 ある。授業ではペアワーク,グループワークを取り入れており,さらにゲーム的要素も取 り入れ,学生に発言する機会を与えるようにしている。一方で聞くことも重要であるの で,コメントシートを書かせている。
毎回一つのテーマを取り上げ,完結するようにデザインしている。
2-2.活動のテーマ
本科目で取り上げているテーマは
8
〜10
程度である。表1
はテーマと主な活動である。学期によってテーマは入れかえる時もある。
表
1
で取り上げた活動以外は初級文法の復習で学生がよくする間違いを取り上げて気づ きを促す活動をしている。早稲田日本語教育実践研究 第 9 号
わかりやすく伝える(書く・話す)活動の実践
杉山 ますよ
科目名:人に分かる話し方,書き方を学ぶ
レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4・5 /上級 6・7・8 履修者数:30 ~ 35 名
早稲田日本語教育実践研究 第 9 号/ 2021 / 55―56
56 3.学生の反応
学生に好評な活動は他の授業でも活かせるということで図,表の説明である。町の説明 は故郷の説明をすることでお互いのことを知ることができるということ,故郷や住んでい る街について調べることで,新たな発見があるということである。また健康状態の説明は 実際に必要な内容が含まれ,知りたかったことであるというコメントがある。学生同士で 深いディスカッションが行われるのは商品紹介の活動である。単なる発表ではなく,実際 にそれぞれ役を演じて商品をアピールするので様々な工夫が見られ,楽しんで発表をする 姿が見受けられる。毎回の発表は学生には好評である。グループの活動が多いので話す練 習が多くできてよかったというコメントが多かった。
4.今後の課題
通常履修者は
30
人から35
人なので,学生一人一人の学習状況をケアするのは難しい。今後,対策を考えたい。
(すぎやま ますよ,早稲田大学日本語教育研究センター)
表 1 活動のテーマ
テーマ 主な活動
自己紹介・他者紹介 お互いを知るアクティビティ ペア・グループ内で発表 物の説明(形状,言い換え)1.表現,形式を学ぶ→書く→説明する
2.ペア・グループ活動 ①相手に説明して図形を書く ②相手 に説明して,何かを当てさせる
町の説明 書き言葉と話し言葉 プレゼンテーションについて考える 質問,聞く,相づち 質問ゲーム グループ活動 聞くことについて考える。
図,表の説明 様々な図表の説明の仕方を学習 リサーチ,発表
動き,やり方の説明 動き(運動競技や作業の仕方など)ディスカッション 発表 健康状態の説明 体の表現,病気の表現を学び,説明する→ペアワーク
マンガの説明 様々な状況の説明1.ペアワーク,ピア活動 2.グループ:ディ スカッション
商品の説明 商品の比較 相手に印象づける説明を考え,グループで相談し発表