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(1)

1 厚生労働科学研究費補助金 (成育疾患克服等次世代育成総合研究事業)

総括研究報告書

身体的・精神的・社会的( biopsychosocial )に健やかな子どもの発育を 促すための切れ目のない保健・医療体制提供のための研究

      研究代表者    岡  明    東京大学医学部小児科  

研究要旨

(1)前年度作成したアメリカ小児科学会が作成した小児期思春期のHealth  Supervisionの資料で

あるBright  Futuresをモデルとした日本版Bright  Futuresの指針を、研究班内で検討し、校正編

集作業を行い今年度は本研究班のHPに公開した。(http://todai-bright.hogepiyo.site/guideline)

「乳児から思春期までのヘルススーパービジョンのための指針」としてダウンロードし現場で使 用できる様にした。

(2)我が国における小児期の健康課題を把握するため、レセプト情報・特定健診等情報データベ ース(厚生労働省保険局提供)を利用し、疾病負担(DALY)の推計を試みた。乳幼児期に、傷病 名の出現数や DALY 推計値のピークが来る傷病分類が多いのに対し、「精神及び行動の障害」で は、傷病名の出現数・DALY の推計値ともに、年齢とともに思春期に向けて増加していた。成長 段階に応じて、予防的な視点からの早期支援・早期発見を実施することで、長期的な疾病負担や 予防可能な死因を減らせる可能性があり、今後も継続して、子どものbiopsychosociaな健康課題を 包括的・網羅的に把握し、対策を検討することが重要である。(竹原)

(3)1歳6か月児健診と 3歳児健診につき、「健やか次世代育成総合研究事業  乳幼児健康診査 のスクリーニング対象疾患と診察項目に関する検討」で提案された診察項目に沿って、具体的な 診察の方法や所見とする基準を策定した。診察項目は、全国で地域差なく健康診査が行われるこ とを考慮して必須項目と自治体の事情で加えることができる推奨項目とに分けた。さらに集団健 診において短時間でも記入が可能でかつデータ収集が可能となる工夫として、パーソナルコンピ ュータあるいはタブレット端末で入力が可能なアプリを開発し、実際の健康診査会場にて通信状 態が良好であることを確認した。以上により、身体診察マニュアルの有効性の検証と実行性の検 証を行う準備が整った。また、1歳6か月児健診と3歳児健診の医師向けの研修動画を作製した。

(小枝)。

(4)市町村の乳幼児健康診査(以下、「乳幼児健診」)事業において、発育性股関節脱臼のスクリ ーニングと精度管理を適切に実施するために開発した市町村からの紹介状と医療機関からの回答 書の項目について今年度予備的な検討を行った。2018 年 10 月からモデル市町において、この手 法を用いて前方視的な調査を開始しており、来年度以降、紹介状と回答書の項目の有用性と標準 化についてさらに分析する。(山崎)。

(5)思春期の子どもたちに対してBio-psycho-social(BPS)モデルによる、一次医療機関で実行可 能な対応について検討した。昨年度の検討に基づき問診票を作成し、小児一次医療機関の通常診 療の際に試用し、その後の診察の際に問診に基づく面接を実施した。問診票は100%近い子どもが

(2)

2 記入し、3分以内に記入可能であった。面接は5分以内が約90%であったが、問診票の項目が面 接時に有用で、子どもたちがまた相談しに来てもらえるという回答が高かった。このモデル全体 への印象として、問診票の内容は適切で、思春期の子どもと話すきっかけになるという評価が得 られた。BPS モデルを意識した思春期の子どもたちへの関わりのモデルとして、今回作成した問 診票による面接は実現可能性のあるモデルであることが明らかとなった。(平岩)。

(6)平岩分担研究者の開発した思春期問診票を一部改訂し、各々の問診項目に対する簡易な保健 指導内容を制作した。社会実装化モデル地区として、福岡県久留米医療圏(人口約45万人)を選 定し、各医師会の協力を得て、2020年夏のパイロット健診実施を目指して準備を行った。15項目 の保健指導内容を選択(生活習慣:5項目、家族機能:2項目、身体健康:2項目、学校:2項目、

メディア・事故;:2項目、メンタルヘルス:2項目)し、その項目に対応した子どもの問診票を 作成した。各々に対して健診時の参考資料とする3つの医師向けコメントと2つの子ども向けの コメントを作成し、さらに保健指導内容の解説文として 300字程度の指導内容について文献デー タを元に作成した。久留米医療圏に所属する4つの医師会からパイロット健診実施の承認を得た。

思春期の子ども達は全世代で最も医療受診行動が少ない世代である。パイロット健診は定期予防 接種受診時に実施することを検討している。また主たる予防接種担当医である小児科医・内科医 も思春期世代を診療する機会は少ない。面接や保健指導の仕方について視覚的教材の準備等も検 討する必要がある。(永光、平岩、稲光) 

(7)難聴児の聴取能、言語発達は向上し、補聴援助システム等を併用することで普通学校に通学 する児も近年増加している。聴覚補償でコミュニケーションの問題が完全に解消されているわけ ではないため、本年度思春期から20代のインクルーシブ教育を受けた経験がある両側性、一側性 難聴者の学校生活や友人関係で抱える問題に関してアンケート調査を行った。その結果、多くが 授業での聞き取りの限界、グループ学習や雑音下での聴取、また日常会話、人間関係での困難さ といった多岐にわたる問題を有している.ことが判明し、今後の重要な課題であると考えられた。

(西崎)

(8)日本版Bright Futuresにおいては、性教育(Sex & Sexuality Education)は、小学校、中 学校、高等学校の校種別に記載がなされている。今年度は、校種に共通する性教育の方法につい てガイド(概要)を開発することを目的とした。とくに、性教育実施者を学校外の専門家等と設 定して開発にあたった。その結果、5視点、計25項目の教育方法の骨格が得られた。(松浦)

(9)2019年の調査では、多くの教員が性的マイノリティ(LGBT)の児童生徒と関わったことが

「あると思う」、「実際に知っている」と回答した。しかし2015年の文部科学省からの通知の認知 度は低く、LGBT の児童生徒に対するいじめについてあると思うという教員は少なくないが、児 童生徒に対してLGBTを話題にしたことが「ある」との回答は33.4%にとどまっていた。LGBTの 児童生徒がいた場合の相談相手として、養護教諭と学校カウンセラーが高率であり、支援を期待 する相手も養護教諭が高率であった。学校と医療機関が連携すべきだと思う状態として自殺未遂、

不登校、自殺願望、うつなどが高率であった。学校教員、特に養護教諭に対して、性の多様性、

LGBTに関するさらなる情報提供が必要である。養護教諭の特性を活かして、LGBTの子どもへの ライフプラン教育、性教育なども推進していく必要があり、そのための資料も制作した。(中塚)

(10)乳幼児の視覚は発達途上にあり、視覚刺激の遮断に対する感受性が高い。このため乳幼児 期に起こる眼疾患や斜視の視機能予後は、いかに早期に発見できるで決まる。したがって、乳幼 児健診における有効な視覚スクリーニングの標準化と連携を図ることは、健やかな子どもの発育

(3)

3 を促すための切れ目のない保健・医療体制を提供するために、急務の課題と考えられる。①「乳 幼児健康診査身体診察マニュアル」に準拠した新生時、乳幼児期の視覚異常の診察と判定法につ いて各地で解説し、小児科医や保健センターへ普及につとめ、要精密検査児を受け入れる眼科医 に対するマニュアルも作成し、眼科学会及び各地の眼科医会で解説をして普及につとめた。②新 たな視覚スクリーニング機器 Spot  Vision  Screener の 3 歳児健診における有用性を山形県寒河 江市で検討した。さらに低年齢児における有効性を国立成育医療研究センターで検証し、小児科 と眼科の連携のための運用マニュアルを更新するために、基準値の検討を行った。③乳幼児健診 マニュアルの動画作成にあたり、視覚異常について担当・監修し、普及法を検討した。(仁科) 

(11)青少年世代を中心としたインターネットやゲームの問題(依存的な)使用が問題化してい る。中学 1 年生の調査では、相当多数のインターネットの依存的使用をしている生徒が存在する ことが疑われた。インターネットの依存傾向は就寝時刻の遅さと関連している傾向にあり、生徒 の精神健康状態の維持と関連している可能性がある。中学 2 年生に対し、依存症予防教育とその 前後にインターネットやゲーム等の利用に関する質問紙調査を行った。依存症予防教育の成果は、

インターネットやゲーム、スマートフォンの平均利用時間は延長しており、有効であったとは言 えないが、就寝時刻はほとんど変化がなく、その点では有効であった可能性がある。幼稚園生の メディア・ゲーム利用の実態に関する質問紙調査では、幼少からの縦断的な予防啓発教育や、保 護者に対する教育、全体でのインターネットやゲームの利用規制などの方策が考えられた。(中山) 

(12)「子どものニーズ」を発見し、子どもの心身の健康を身体的・精神的・社会的に支援するた めに、小児医療従事者が認識すべき概念として、健康の社会的決定要因(Social Determinants of

Health、SDH)がある。これは公衆衛生の分野を中心に広く普及している概念であり、米国でもSDH

の概念は臨床現場に積極的に取り入れられており、さまざまなSDHスクリーニングツールが開発 されている。SDHに対する介入の効果を保証する科学的エビデンスは増えつつある。子どもの心 身の健康をより効果的に支援するために、SDHの概念を本邦の小児医療に導入することは必要と 考えられた。簡便かつ迅速に実施可能なツールの開発と、それぞれの医療圏の健康課題に即した 介入プロセスの吟味が重要と考えられた。(阪下)

(13)米国 Bright Futures、フィンランド Neuvora、日本版ネウボラを比較した。妊娠期、出産直 後、子育て期を通じた地域の関係機関の連携による子育て世代包括支援センターの切れ目ない支 援法として、フィンランドの Neuvora をモデルにした日本版ネウボラが各地に広がっているが、

両者とも就学までとなっている、一方 Bright Futuresは 21歳までであることから、日本版Bright

Futuresが日本版ネウボラから引継いで学童・思春期のヘルススーパービジョンを行うことにより、

切れ目ない支援が可能になると考えられた。

米国Bright  Futuresで学童・思春期の心理社会的問題のスクリーニングツールとして実績のあ

るPediatric Symtpton Chacklist 17(PSC17)の自記式日本語版の開発を開始した。PSC35項目版、

保護者記入によるPSC17日本語版を参考に医師、心理士が相談して11歳―15歳の学童・思春期 児が自ら回答する自記式PSC17日本語版を開発した。職業翻訳者によるバックトランスレーショ ンでは原版と整合性ありと評価された。令和 2年度は信頼性、妥当性の検証を行い、実用化を図 る。(石崎)

(4)

4  

A.研究目的 

  我が国では、乳幼児小児期での健康課題は身 体疾患を中心に対応され、医療受診が少ない思 春期では医療保健の支援が十分とはいえず、保 健医療体制の課題となっている。

学童思春期においては、発達障害を含む精神 心理や、家庭環境やいじめなどを含む学校での 問題や社会からの影響など、多面的な要因が相 互に関連して子どもの健康に影響するため

biopsychosocialな多角的な視点を備えた医療保

健体制を確立する必要がある。本研究では成人 期に至る切れ目のない多職種による保健活動 のガイドラインやマニュアルを作成し有効性 を検証する。思春期の Health supervision とし て、生活習慣、睡眠、食事や摂食障害、性教育、

喫煙、薬物、いじめ、暴力、メディア等につい ても医療保健の側から適切な情報と教育を提 供することにより健康課題を未然に予防し、成 人期の健康に寄与する必要がある。これらは、

従来の医療保健の枠組みの中で不十分であっ た領域であり指針等も整備されていない。本研 究では、海外の資料も活用し包括的で切れ目の ない小児思春期の保健・医療体制作りのための 基盤作りと実証を行う。

(1)H30 年度に我が国の小児保健医療の現状 評価・課題抽出するとともに、米国で開発され

た Bright Futures 等を参照し骨子案(日本版

Bright Futures)を作成した。本年度はその内容 の確認と校正等を行い、本研究班のHP等を通 じて公開し広く周知を行う。

(2)乳幼児健診の方法や内容の標準化と関連 する診療科の中での情報共有を目指し、平成 29 年度子ども子育て支援推進調査研究で作成 中の乳幼児健診の診察マニュアル等を基に、乳 幼児健康診査を実施するための方策を検討す る。

(3)切れ目のない子どもの健康を支えるシス テムや体制について協議を行う。特に学童思春 期の健康課題についての、小児医療からの

biopsychosocialモデルによるアプローチ・健診 方法について検討を行う必要がある。

(4)ICT を利用した健康を支援に必要とされ るコンテンツおよび適切な方法を検討し、思春 期の子どもへの情報提供ツールの作成や母子 手帳アプリケーション等の情報共有ツールと の連携を検討する。

 

B.研究方法 

(1)日本版Bright  Futuresの作成:  前年度 アメリカ小児科学会が作成した小児期思春期 の Health  Supervision の基盤となる資料であ

る Bright  Futures をモデルとした指針作りを

行った。具体的にはメディア、いじめ、食事、

睡眠、性教育等を含めた多角的な視点で課題を 抽出し、日本版Bright Futures(指針)を作成し た原稿を校正編集作業を行い公開できる形と する。

(以下、課題分野と担当)

メディア等依存性;中山、摂食障害;永光、石 崎、不登校・いじめ・発達障害;平岩、学習障 害;小枝、睡眠;神山、アレルギー;成田、米 国での取り組み・米国Bright Futuresとの参照;

阪下

(2)我が国の小児保健医療の文献・データ からの現状評価・課題の抽出:  新たに、厚生 労働省保険局が提供を行っている、レセプト情 報・特定健診等情報データベース(NDB)を用 いて、小児期の疾患別受療状況に関する集計を 行った。2016 年の1年間の NDB レセプトデ ータを用いて、患者ID単位で、レセプトに記 載されている傷病名(ICD10中間分類)の出現 数を年齢別に集計した。各疾患における社会生 活上の問題(生活の質)を定量的に評価するこ とを目的として、障害調整生存年(DALY:

Disability-adjusted life year)の推計を試みた。(竹 原)。

(3)乳幼児健康診査の身体診察マニュアルに 準拠した乳幼児健康診査体制:    「健やか次

(5)

5 世代育成総合研究事業  乳幼児健康診査のス

クリーニング対象疾患と診察項目に関する検 討」の担当者と協議をし、疫学データ並びに文 献検索によって、健診項目の意義を確認し必須 項目と推奨項目に分類した。スクリーニングの 実効性有効性を検討し、集団健診方式に耐えう るものであるかを検討した。

  パイロット研究の実施に向けてパーソナル コンピュータあるいはタブレット端末で入力 が可能なアプリを開発し、実際の健康診査会場 の通信等の確認を実施する。

  標準的な健診の実施のためには動画による 研修体制が必要であり、資材を作成した。

  また、日本小児医療保健協議会の健康診査委 員会主催の乳幼児健診研修会にて、身体診察マ ニュアルに沿った研修を行い、評価を受けた。

(小枝)。

(4)乳幼児健康診査における精度管理等デー タに関する研究:  発育性股関節脱臼のスクリ ーニングと精度管理を適切に実施するため、あ いち小児保健医療総合センターが開発した紹 介状・回答書の項目の有用性と標準化について 検討した。

  心音異常について3-4か月健診、1歳6か月 健診、3歳児健診で心疾患が発見される頻度に ついて検討した。(山崎)

(5)Bio-psycho-social(BPS)モデルを用いた 思春期面接の試み:  思春期の子どもに対する 問診票を作成し(表6  近ごろの気分と生活の アンケート)、小児科の一次医療機関で、診察 前に記入し診察時に問診票の内容について面 接を実施した。今回の検討は、協力に同意した 14 名の医師を対象として、診察後に面接後ア ンケートの記入を依頼し、BSPモデルによる問 診と面接の実行性についての調査を行った。

(平岩) 

(6)思春期健診の社会実装化を目指した研究:

  1. 思春期保健指導マニュアルの作成

  (a)問診票項目(保健指導項目)の選定

本研究班で分担研究者の平岩が考案した「近ご

ろの生活と気分に関するアンケート」15 項目 について、以下の点に留意して改訂を行った。

・健診医が話題としてとりあげやすい項目

・健診医が質問をしやすい項目

・健診医がコメントを伝えやすい項目

・子どもにとって重要な保健指導項目

・家族にとっても関心が高い保健指導項目

  (b)保健指導コメントの作成

思春期の子どもの診療に不慣れな健診医が対 応した場合を想定して、各問診票項目に沿った 5項目のコメントを作成した(3つは医師向け の内容で、2つは子ども向けの内容とした)。5 項目のコメントは健診を実施しながらも確認 することができる短いフレーズとした。

  (c)保健指導解説の作成

健診医が健診実施時以外に確認できる保健指 導の解説文を作成した。保健指導内容について は指導内容のエビデンスを明確にするために 文献の照会も実施した。各解説文は300字程度 として、健診医が診療の合間に確認できるボリ ュームにすることを配慮した。

  (d)子ども用保健指導リーフレットの作成

健診医が問診票や健診での面談から抽出した 保健指導内容に沿う子ども向けのリーフレッ トを質問ごとに作成する(作成中)。

2. 思春期健診パイロット研究計画 以下について検討をおこなった。

  (a)モデル地区の選定と実施機関説明

  (b)対象者の選定/啓発ポスター作製

  (c)視覚教材の作成

  (d)アセスメント用紙の作成(永光)

(7)インクルーシブ教育を受ける思春期の難 聴者の抱える問題に関する研究:  新生児聴 覚スクリーニング(newborn hearing

screening、 以下NHS)の導入と人工内耳を

はじめとする先端補聴機器の進歩、さらに補 聴援助システム等を併用することで、支援学 校ではなく地域の学校に通学する児も近年増 加し支援学級も含めると難聴児の60%以上が インクルーシブ教育を受けている。聞き取り

(6)

6 やコミュニケーション、学業において問題を

抱えている児が多数いると考えられるが、学 童期以降の課題は明らかでなく、対策が行き 届いていないのが現状であり、こうした児が 学校生活で抱えている問題を明らかにするこ とは重要である。岡山大大学および岡山かな りや学園を受診した乳幼児期から学童期早期 発症の両側性難聴、一側性難聴者を対象に学 校生活に関するアンケートを実施した。対象 年齢は10歳から25歳で、小学校、中学校、

高等学校で特に特別支援学校以外に現在通学 しているもしくは過去に通学していた児者と 対象とし、学校生活で抱えている問題、医療 と教育の連携の希望等を調査した。(西崎)

(8)日本版Bright Futuresにおける性教育の 方法に関する研究:  日本版 Bright Futures の性教育の記載内容をもとに、研究協力者等の 性教育学専門家と議論する中で、教育方法の概 要を作成した。(松浦)。

(9)LGBT、特に性同一性障害/性別違和の子 どもや関係者への情報提供についての研究: 

教職員や大学生を対象とした実態調査、意識調 査を実施した。また、研究者が過去に行ってき た日本人の性同一性障害当事者を対象とした 心理的、身体的研究の結果、意識調査の結果な どをまとめ、情報提供のための教材を作成した。

その一部を、子ども向けの情報提供の本として 出版し、教職員や医療・保健関係者向けの資料 として提供した。(中塚)。

(10)乳幼児健診における視覚スクリーニング の標準化と連携に関する研究:    

1)乳幼児健診における視覚スクリーニングの 標準化  身体診察マニュアルに準拠した新生 時、乳幼児期の視覚異常の診察と判定法をまと め、情報発信した。精密検査を行う眼科医へマ ニュアルを作成し、情報発信につとめた。 

2)新たな視覚スクリーニング機器Spot Vision Screener(SVS)の検討 

①3 歳児健診における検討 

  山形県寒河江市の 3 歳児健診を受けた 3 歳 6

か月児 298 名に対し、二次検査に SVS による屈 折検査と眼位検査を導入し、有効性を検証した。 

②低年齢児における検討 

国立成育医療研究センター眼科に受診した 生後 6 か月から 3 歳までの小児 473 例に SVS を 試用し、有効性を検討した。屈折異常の基準値 の検討を行った。 

3)乳幼児健診マニュアルの動画作成  3 歳児健診、1 歳 6 か月児健診の動画作成に あたり、視覚異常を担当・監修した。(仁科) 

(11)思春期の薬物メディア依存に関する研 究:     

1)中学校におけるインターネットやゲーム等 の問題(依存的)使用に関する実態調査  2019 年 6 月に神奈川県内の公立中学校 9 校の 中学校 1 年生を対象にネット・ゲームの利用や 依存的使用に関する質問紙調査を行った。概要 はインターネットやゲームの利用時間、就寝時 刻、起床時刻、授業中の眠気、課外活動、習い 事の参加状況、家庭内のインターネット利用に 関するルール、フィルタリングの利用状況、

Diagnostic Questionnaire)等である。 

2)中学生におけるネット・ゲーム等の問題

(依存的)使用に関する予防教育に関する調 査 

  2019年6月に某私立中学校2年生(計192名)

を対象にワークショップ形式の依存症予防教 育を行った。予防教育の前後に2回に渡って質 問紙調査を行った。 

3)幼稚園児におけるインターネットやゲーム 等の使用状況に関する実態調査 

  2020年12月に東京都内の私立幼稚園2園の 幼稚園生全員(計168名)を対象に、その保護 者に対してインターネットやゲーム等の利用 状況に関する質問紙調査を行った。(中山)。 

(12)米国の小児保健体制の応用に関する検 討:  「子どものニーズ」を発見し、子どもの 心身の健康を身体的・精神的・社会的に支援す るために、小児医療従事者が認識すべき概念と し て 、 健 康 の 社 会 的 決 定 要 因 (Social

(7)

7 Determinants of Health、SDH)がある。SDHには、

心身の健康促進につながる「保護因子」と、心 身の健康を損なう「リスク因子」があり、後者 は、人が健康になるための道の途中に「社会的 環境によって置かれた障害」のようなものであ る。アメリカ小児科学会(AAP)のBright Futures ガイドライン第4版を改訂するにあたり、SDH の概念を追加している。SDH に関する先行研 究およびスクリーニング方法に関する文献を 抽出しレビューする。(阪下)

(13)米国Bright Futures、フィンランド Neuvora、日本版ネウボラの比較による日本Bright Futuresの普及法についての考案・

自記式PSC17日本語版の開発:

米国Bright Futures、フィンランド

Neuvora、日本語ネウボラのシステム、実施 主体、実施内容等について、インターネッ ト、書籍・論文、現地視察と現地スタッフの 聞き取り(Espoo市のNeuvoraと三重県名張 市の名張版ネウボラ)から情報を収集し、比較 を行った。Pediatric Symtpton

Chacklist(PSC17)の自記式日本語版を原作者 の許可を得て開発する。(石崎)

(倫理面への配慮)

国立成育医療研究センター、あいち小児保健 医療総合センター、岡山大学医学部、山形大学 医学部、久里浜医療センターでの倫理審査の承 認を受けて実施した。

 

C.研究結果 

(1)日本版Bright  Futuresの作成(表1、資 料1):  研究班内で検討し、表1 の内容で分 担執筆をした。総論と各論に分かれ、各論部分 は年齢層ごとに乳幼児、学童期、思春期の分け 方で記載をした。

  各論の各項目では、その疾患などの健康課題 としての重要性、健診での注意点、フォローア ップ方針、本人と家族に対して今後注意すべき 点などのアドバイス(Anticipatory Guidance)な

どの項目を記載した。校正など編集作業を行い、

本研究班のHPに公開した。校正編集作業を行 い 今 年 度 は 本 研 究 班 の HP に 公 開 し た 。

(http://todai-bright.hogepiyo.site/guideline)

「乳児から思春期までのヘルススーパービジ ョンのための指針」として、目次ごとにPDFを アップロードし、閲覧者がダウンロード可能な 形にした。モデルページとして目次と虐待の項 目を資料1に示した。

(2)我が国の小児保健医療の文献・データか らの現状評価・課題の抽出(表2-4、図1、2)

1)年齢別・傷病分類別の患者数の推計(表2):

多くの傷病分類で、0歳児での出現数が大きな 値を示している一方で、「精神及び行動の障害」

や「神経系の疾患」は、思春期に向けて年齢と ともに増加していた。

2)疾病負担(DALY)の推計(表 3):各傷病

名の出現数に、対応するDisability Weigh (DW)

(障害の重み)をかけて、DALY を推計した。

多くの傷病分類で、0歳児における値が大きな 値を示す一方で、「精神及び行動の障害」では、

年齢とともに値が増加していた。また、「傷病 及び死亡の外因」も10代後半で大幅に増加し ている。

各年齢における ICD10 中間分類でのDALY 推計値の順位(表4)では、10代以降では、「統 合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」

や「良性新生物<腫瘍>」や「故意の自傷及び 自殺」が上位にあがっていた。(竹原)。

(3)乳幼児健康診査の身体診察マニュアルに 準拠した乳幼児健康診査体制:  1歳6か月児 健診と 3 歳児健診につき具体的な診察の方法 や所見とする基準を策定した(資料2−5)(小 枝)。乳児健診では集団健診として行われるこ とが多い3、4か月児健診の診察項目とその所 見の書式を策定した(資料6、7 )

これらの診察項目をパーソナルコンピュー タあるいはタブレット端末で入力が可能なア プリを開発し、実際の健康診査会場にて通信状 態が良好であることを確認した。

(8)

8   標準的な健診の実施のために医師が健診の

標準的手技を研修できる動画を作成した。

  2019年11月23日に大阪市コングレコンベ ンションセンターで「第 2 回乳幼児健診を中 心とする小児科医のための研修会 PartⅣ  〜 乳幼児健診マニュアルに基づく診察と対応〜」

にて、身体診察マニュアルに沿った研修を行い。

参加者から高い評価を得た。(小枝)

(4)乳幼児健康診査における精度管理等デー タに関する研究:  発達性股関節脱臼に関する 紹介状には、健診所見として、①股関節開排制 限、②大腿皮膚溝または鼠径皮膚溝の非対称、

③ 股関節疾患の家族歴 ④ 女児、⑤骨盤位分 娩を選択肢として示し、①陽性または、②から

⑤のうち2つ以上あれば一次健診医の判断と して紹介することとし、その際保護者の精査希 望も配慮することを記述した。医療機関からの 回答には、診断と今後の方針の項目を設定した。 

今回のモデル市町での中間集計から、2018 年10月から2019年9月の12か月間で有所見

率は12.3%と算出された。うち64.1%があいち

小児保健医療総合センターで精密検査を受け、

今回集計で異常あり者数(股関節疾患)は、38 人で発見率は2.3%と算出された。

乳幼児健診を契機として心疾患が発見され たのは、3〜4か月児健診15人(健診受診者の 0.03%)、1歳6か月児健診2人、3歳児健診で は 1 人と特に幼児期の健診ではまれな頻度で あり、発見された疾患についても直ちに治療を 要するものは1歳6か月児健診と3歳児健診 では認められなかった。(山崎)

(5)Bio-psycho-social(BPS)モデルを用いた 思春期面接の試み:  14 の医療機関で、小学 校 5年生から高校3年生までの合計584名の 子どもが今回作成した思春期用の問診票に記 入し、その後診察の際に問診票の記載に関する 面接を行った。ほぼ全員の子どもが問診票に3 分以内に記入してくれており、93.3%で問診票 の記載が面接に有用との回答であり、実用性が あることが示された。多くの医師が、「また来

てくれるかどうか?」の問に前向きな回答であ り、小児科医療機関が今後相談窓口として認識 を広めるために有用な可能性が示唆された。

この問診票を用いた面接については、面接し やすいが10名、問診票の有用性については役 に立ったが7名、どちらともいえないが4名、

面接での話の広がりについては広がった6名、

どちらともいえないが5名であった。

こうした方法による学童思春期の健診は現 在行われていないが、今後クリニックでの健診 が望ましいとする回答は6名であった。

全体として本試行にたいする感想として、思 春期の子どもと話すきっかけになった 8 名で あり好印象との回答が多数あった。(平岩)。

(5)思春期健診の社会実装化を目指した研究:

1. 思春期保健指導マニュアルの作成

(a) 問診票項目(保健指導項目)の選定(資料 8)

以下の15項目を問診票(保健指導項目)の候 補とした。1~5(生活習慣)、6~7(家族機能)、

8~9(身体健康)、10~11(学校)、12~13(メデ

ィア・事故)、14~15(メンタルヘルス)

(b) 保健指導コメントの作成

上記質問15項目に対し医師向けコメント3、

子ども向けコメント2と作成した。

例  「1. 毎朝、朝食を食べていますか?」に 対する保健指導コメント

・医師向けコメント

□  朝食を欠如する子が増えています。(15%

の小学6年生が朝食欠如)

□  朝食を摂る子のほうが、成績がよく、体力 があります。

□  朝食を摂る子のほうが、イライラが少ない 傾向にあります。

・子ども向けコメント

■  毎朝、朝食をためるようにしましょう。

■  家族コミュニケーションの場になるので 家族一緒に朝食しましょう。

(9)

9 (c) 保健指導解説の作成

上記質問15項目に対して約300字程度の保健 指導解説を作成した。

例  「1. 毎朝、朝食を食べていますか?」に 対する保健指導解説

1.毎朝、朝食を食べていますか?       

健やか親子 21(第2次)中間報告では朝食を 欠食する子どもの割合(小学6年生)が15%と 年々増えていることが判明しました。4) 朝食を 欠食すると午前中の体温が上がりにくく、学習 意欲が低下し、疲労感が増すとも言われていま す。朝食を摂らない子の中には自分自身の健康 状態についても「あまりよくない」と思ってい る子が多くいます。夜型生活のための遅い夕食 や、夜の間食は、朝の空腹感が欠如するために 朝食を摂らない原因にもなります。「早寝・早 起き・朝ごはん」は国民運動として推奨されて おり、生活リズムを整え体力・気力・学習意欲 を向上させることが明らかとなっています。ま た、肥満小児はバランスを欠いた朝食を摂って います。 

 

2. 思春期健診パイロット研究計画  (a) モデル地区の選定と実施機関説明

4つの医師会(久留米市医師会、浮羽市医師会、

大川三潴医師会、小郡三井医師会)から研究協 力を得た。人口規模は45万人(福岡県515万 人)。

(b) 対象者の選定/啓発ポスター作製

パイロット研究では対象者を二種混合ワクチ ンで来院する11~12歳の児童とした。研究に書 面でもって賛同の得られた医療機関を対象と する。

(c) 視覚教材の作成

思春期の子どもの診療に不慣れな健診医が対 応した場合を想定して、健診、面接のデモスト レーションを記録した動画視覚教材を作成し、

プロジェクト専用ホームページに掲載する予 定である。

(d) アセスメント用紙の作成

医師用、保護者用のアセスメントシートを作成 した。(資料9)

(7)インクルーシブ教育を受ける思春期の難 聴者の抱える問題に関する研究:  両側性難 聴 67 例、一側性難聴27例のデータを収集し た。

両側難聴例では約80%が学校生活で聞きにく さを感じており、特に高度・重度難聴では全 例何らかの問題を抱えていると回答した。授

業内容も80%以上聞き取れていると回答した

のは約30%に過ぎず、視覚情報を用いた情報

伝達を希望していた。加えて聞きにくさによ る友人関係でのトラブルや悩みを抱えている 者も半数以上に及ぶ。学校での問題は難聴の 程度が強いほど顕著となり、学年が上がるに つれて複雑化していた。一側性難聴者におい ても授業場面での聞き取りに問題がある者は 少数であるが、何らかの問題を自覚している

者は60%以上に及んだ。グループ学習や雑音

下等での聞き取りにくさの訴えが多く、特に 高校生以上で顕著化する傾向があり、友人関 係のストレスをもつ者も増加する傾向がみら れた。(西崎)

(8)日本版Bright Futuresにおける性教育の 方法に関する研究:  教育方法ガイドに盛り込 む視点

学校外の専門家等による性教育授業に関して、

校種に共通する教育方法ガイドに盛り込む視 点は下記の点であった。

(1)学校教育

  1−1.学校教育の潮流   1−2.学力の3要素   1−3.法体系   1−4.教育時間数

  1−5.教育課程(教科等)

  1−6.学習指導要領   1−7.教科書   1−8.発達段階

(10)

10

(2)集団教育   2−1.知識と行動   2−2.知的理解の分散   2−3.スライドの構成   2−4.行動変容への別ルート

(3)到達目標・評価

  3−1.(数値)目標の立て方   3−2.評価の方法

  3−3.評価結果の還元   3−4.教育方法の見直し

(4)単独授業   4−1.時間配分   4−2.保護者

  4−3.学校との事前調整   4−4.情報量

  4−5.理解の段階と確認方法   4−6.グループディスカッション   4−7.ロールプレイ

(5)まとめ

  5−1.課題の把握

  5−2.個別指導と集団教育の関連(松浦)。

(9)LGBT、特に性同一性障害/性別違和の 子どもや関係者への情報提供についての研 究:  2019年8月に、性的マイノリティに関 する研修会に参加した教員を対象として、無 記名の自己記入式質問紙による質問紙調査を 行った。

「性同一性障害」について「学んだことがあ る」74.2%であり、そのうち「教員になってか ら」との回答は63.6%と高率であった。LGBT に関して生徒に説明できる言葉として「性同 一性障害」76.2%、「レズビアン」67.2%、「ゲ イ」67.1%、「同性愛」64.4%と高率であった が、「アライ」との回答は2.7%と低率であっ た。2015年の文部科学省の通知を「知らな い」43.5%、「報道で知った」14.7%、「知り合 いから聞いた」4.7%、「読んだ」32.0%、「そ の他」との回答は2.5%であった。

  教員としてLGBTの児童生徒と関わったこ とが「あると思う」39.4%、「実際に知ってい

る」17.8%であった。「当事者に悩んでいる様 子はあった」は41.0%、「わからない」との回

答は42.5%であった。「周囲の児童生徒とのト

ラブルや悩みはあった」は33.9%であり、こ のうち「どのようなトラブルか」という問い に対して「からかい」が高率であった。「今ま でにLGBTの児童生徒に対するいじめを見た ことがあるか」に対して、「今はないが以前あ った」との回答は10.0%、「今もあるかもしれ ない」との回答は14.7%、「今もある」との回

答は0.3%であった。

  「性の多様性等について、いつから教える べきか」に対して、約5割が「小学校高学 年」と回答した。しかし、児童生徒に対して LGBTを話題にしたことが「ある」との回答

は33.4%にとどまっていた。

  「LGBTの児童生徒がいた場合、誰に相談 するか」という問いに、「養護教諭」は

66.7%、「学校カウンセラー」は63.2%と高率

であった。

  「学校と医療機関が連携すべきだと思う状 態」については、「自殺未遂」80.8%、「不登 校」78.5%、「自殺願望」78.4%、「うつ」

78.3%などが高率であった。

  二次性徴抑制療法を「知っている」との回

答は15.6%であり、養護教諭が校長・教頭に対

して有意に高率であった。二次性徴抑制療法は

「必要である」との回答は88.3%であり、やは り、養護教諭が校長・教頭や一般の教と比較し て有意に高率であった。「学校と医療機関との 連携は困難である」との回答は 22.9%,「少し 困難」との回答は 57.9%であった。(中塚)。 

(10)乳幼児健診における視覚スクリーニング の標準化と連携に関する研究:    

1)乳幼児健診における視覚スクリーニングの 標準化 

身体診察マニュアルに準拠した新生時、乳幼 児期の視覚異常の診察と判定法を図解したレ ジメとスライドを作成し、小児科医のための研 修会、小児科医会、眼科医会の学術講演会にて

(11)

11 解説した。要精密検査となった児に対する眼科

医の対応を含めた眼科健診マニュアルを、日本 眼科医会と連携して作成し、眼科医への情報発 信を行った。 

2)Spot Vision Screener(SVS)の検討 

①3 歳児健診:山形県寒河江市で 3 歳 6 か月児 298 名に対し、二次検査に SVS による屈折検査 と眼位検査を導入し、従来の方法では 83.9%に 対し、SVS 検査では 99.7%と高率で検査可能で あった。SVS によって従来は見逃されていた不 同視弱視や屈折異常が検出された。SVS 検査で 異常判定基準に該当は 8.7%で SVS を加えるこ とで健診精度が向上すると考えられた。 

②低年齢児:国立成育医療研究センター眼科  SVS を施行した生後 6 か月から 3 歳までの小 児 473 例のうち、屈折異常判定の基準値を検討 し、推奨値を用いると感度が低下するが特異度 が上がる。したがって、偽陽性が減り要治療例 を的確に検出することができると考えられた。 

3)乳幼児健診マニュアルの動画作成  3 歳児健診、1 歳 6 か月児健診のマニュアル 動画作成にあたり、視覚異常について以下の検 査法を担当・監修した。(仁科)。 

(11)思春期の薬物メディア依存に関する研 究: 

1)中学校におけるインターネットやゲーム等 の問題(依存的)使用に関する実態調査 9校の公立中学1年生1035名より回答を得た。

就寝時刻が 0:00 過ぎている生徒は、平日で

8.2%、休日で12.9%に該当した。全体の自分専

用のスマートフォン所持率は60.9%、男子では

54.2%、女子では 65.3%であった。平日の平均

インターネット利用時間は103.7分、休日では

169.9 分、平日の平均テレビ利用時間は 101.1

分、休日では157.0分、平日の平均ゲーム利用 時間は 65.4 分、休日では 101.0 分であった。

Diagnostic Questionnaire(診断質問票:以下DQ と略)で問題使用群は16.9%に、依存的使用群

は4.3%に該当した。

平日に 0:00以降に就寝した生徒はDQの通

常使用群5.5%、問題使用群17.0%、依存的使用

群 26.8%に、休日に 0:00 以降に就寝した生徒

では各々9.0%、23.4%、38.1%に該当した。授業 中の眠気を「いつもある」と回答した生徒は、

通常使用群5.5%、問題使用群12.6%、依存的使

用群19.0%に該当した。平日の平均インターネ

ット利用時間は、通常使用群88.5±92.2分、問

題使用群151.5±96.7分、依存的使用群180.9±

121.4分で、休日は、各々143.7±152.6分、245.9

±157.0 分、317.6±240.5 分であった。平日の 平均ゲーム利用時間は、通常使用群57.6±87.2 分、問題使用群 89.0±89.0 分、依存的使用群

116.7±145.7分で、休日の平均ゲーム利用時間

は、各々85.0±128.3分、141.6±147.5分、214.0

±266.0分であった。

2)中学生におけるネット・ゲーム等の問題(依 存的)使用に関する予防教育に関する調査   中学2年生192名を対象に、啓発教育の前後

(6月、10月)に質問紙調査を行った。平日の 就寝時刻が 0:00 過ぎている生徒は、前では

6.9%、後では3.9%に、休日の就寝時刻が0:00

を過ぎている生徒は、前は12.5%に、後は9.7%

に該当した。平日のインターネット平均利用時 間は前は95.5分、後は104.8分(T検定:p=0.084)、

休日は前は153.2 分、後は171.1分(p=0.048)

であった。インターネット依存度テストによる インターネット依存度の比較では、前は平均 33.4点、後は平均34.8点であった(p=0.074)。 3)幼稚園児におけるインターネットやゲーム 等の使用状況に関する実態調査

  東京都の2つの幼稚園に通う保護者に対し てインターネット・ゲーム使用に関する質問紙 調査を行い、166名分の回答を得た。最近1か 月 間 の イ ン タ ー ネ ッ ト 使 用 が あ る 生 徒 は 86.7%に該当し、平日の平均インターネット利 用時間32.6±43.7分、休日は55.2±68.4分であ った。最近1か月間のゲーム使用がある生徒は 45.8%に該当し、平日の平均ゲーム利用時間は 10.9±24.4分、休日は19.5±41.1分、平日の平 均テレビ利用時間は 88.3±69.4 分、休日は

(12)

12 108.2±84.8分であった。(中山) 

(12)米国の小児保健体制の応用に関する検 討:  環境は子どもの心身の健康に大きく影響 する。子どもは成人の庇護なしでは生存・成長 できず、環境が及ぼす影響は成人以上にずっと 大きい。さらに、小児期に養われる身体面・社 会面・情緒面の能力が一生涯の心身の健康の基 盤となることを考慮すると、子どものSDHを 考慮することは非常に重要である。子どもの SDH を評価するために、さまざまなスクリー ニングツールが開発され、またその効果を判定 するための研究も複数行われている。通常の身 体診察・医療面接では触れにくいセンシティブ な話題についても、スクリーニングツールを用 いることで話をするきっかけになる。また、ス クリーニング後に医療者による直接の介入を 行うことで、より効果的な意識・行動変容を促 すことができる可能性がある。

Bright Futures ガイドラインでは、ヘルス・

スーパービジョン診察時にSDH評価を行うこ とを全国的に推奨しており、そのための質問 例や指導例が豊富に掲載されている。各年齢 のヘルス・スーパービジョン診察で評価すべ きSDHを表7に示す。

各々のSDHスクリーニングツールの効果に 関する研究はまだ途上である。SDH の概念は 臨床現場に積極的に取り入れられており、SDH に対する介入の効果を保証する科学的エビデ ンスが増えつつある。スクリーニングそのもの は数分間という短時間で終わるようデザイン されており、タブレット端末でも効果が立証さ れていた。スクリーニングにより判明したリス ク因子に対する介入は①医療者(スクリーニン グを実施した医師)による指導、②地域資源に 関する情報提供(ハンドアウトを渡す、ソーシ ャルワーカーへつなぐ)に大別された。それぞ れの親子・家族の社会的ニーズを解消するため に、親子が医療機関へ訪れる機会を最大限に活 かそうとする試みがなされていた。(阪下)

(13)米国Bright Futures、フィンランド

Neuvora、日本版ネウボラの比較による日本Bright Futuresの普及法についての考案・

自記式PSC17日本語版の開発:

1)米国 Bright Futures は出生前から 21 歳ま で、かかりつけ医が行う心と身体のヘルスチェ ックアップを行う。ネウボラ(Neuvora)は母 親の妊娠期からの相談から子どもの心身の成 長・発達を、母と子のみならず家族全体を支え ながら支援するシステムである。フィンランド ではどの自治体(市)にもあり、費用は無料で、

基本的には妊娠期から子どもの就学まで、同じ 担当者(保健師)が継続的にサポートを行う。そ し て 面 接 記 録 も 含 む 子 ど も の デ ー タ は Personal  Health  Record として保存され、ど こからでもアクセスできる。わが国の子育て世 代包括支援センターは令和2年度末までの全 国展開を目指すことになった。このモデルに Neuvora を取り上げ(日本版ネウボラ)、日本各 地で広がっている。表 8 に Bright  Futures、

日本版ネウボラ、Neuvora の特徴をまとめた。

Bright  Futures と Neuvora は共に医療行為で あり共通する点も多い。日本版ネウボラは原則 医療行為ではなく、継続性に関しては Neuvora と同様に就学までをフォローする。これらを考 え合わせると日本版ネウボラが広まりつつあ る現在、日本版ネウボラの終了する就学以降の 学童を小児科医による日本版 Bright  Futures に移行するのが現実的であると考えられる。 

2)自記式 PSC17 日本語版の開発 

  Pediatric  Symptom  Checklist は 1986 年に 米国マサチューセッツ総合病院児童精神科 Dr. 

Jellinek、Dr.  Murphy により、多忙な小児科 外来で心理社会的問題を持つ児の早期発見を 目的として開発された。35 項目の簡単な質問 文からなり、保護者が回答する。本邦では石﨑 優子が PSC 日本語版を開発した。続いて原作者 らは短縮版である PSC17 を作成し、法橋尚宏ら が PSC17 日本語版を開発した。令和元年度は、

Dr. Murphy らによる自記式 PSC 短縮版 Y‑PSC17 と法橋らによる保護者記入 PSC17 日本語版を

(13)

13 参考に、小児科医と心理士とが協力して 11‑15

歳児が記入する自記式 PSC17 日本語版を作成 した。続いて、職業翻訳者に委託し、作成した 自記式 PSC17 日本語版を英語訳し(バックトラ ンスレーション)、原版と比較した。その結果、

開発した自記式 PSC17 日本語版から訳した英 語はおおよそ原版と整合性があると評価され た。(石崎) 

 

D.考察 

(1)日本版Bright  Futuresの作成:  昨年 度作成した指針について、研究班の中で共有し、

公開することとした。本研究班のHPを立ち上 げ、そこで PDF を書籍の様な形でダウンロー ドできる様にし、現場での使用が可能な形とし た。今後、不足している項目などの追記など、

適宜修正加筆をさらに行う必要がある。

(2)我が国の小児保健医療の文献・データか らの現状評価・課題の抽出:    本研究では、

我が国における小児期の健康課題の特徴・有病 率を示すため、NDB レセプトデータから、小 児期の疾患別受療状況を示し、また障害の重み を加味した疾病負担の推計を検討した。

障害の重みを考慮したDALY推計では、「皮 膚炎及び湿疹」や、「薬用を主としない物質の 毒作用」、10代以降では、「統合失調症、統合失 調症型障害及び妄想性障害」や「故意の自傷及 び自殺」の疾病負担が大きい値を示した。精神 疾患に関しては、他の疾患に比べて数は多くな いが、疾病負担(社会生活上の問題)の大きさ としては看過できない可能性がある。人口動態 調査における各年齢別の死因順位をみると、13 歳から 18 歳までの死因の 1 位は自殺である

(平成29年度 研究報告書)。予防的な視点か らの早期支援・早期発見を実施することで、予 防可能な死因を減らすことができるかもしれ ない。

  従来から日本の学校健診で対象となってき た身体疾患に加え、近年では、うつ病、摂食障 害、自傷行為、睡眠、薬物、ゲーム・メディア

依存、性行動・性別違和、いじめ・虐待などが 社会問題とされている。一方で、患者調査のデ ータを参照すると、10 代の医療機関の受療率

(全傷病分類対象)は、他の年代に比べて非常 に少ない(図1)。また、10代の精神疾患によ る受療率も、他の傷病分類と比較して低い(図 2)。この年代を対象に、問題が小さいうちに、

予防的な視点から介入を行うことで、長期的な 疾病負担の減少につながる可能性もある。子ど

もの biopsychosocial な健康課題を包括的に把

握し、多職種連携のあらたな保健活動を実施す るための体制づくりが急務である。(竹原)。

(3)乳幼児健康診査の身体診察マニュアルに 準拠した乳幼児健康診査体制:  「健やか次世 代育成総合研究事業  乳幼児健康診査のスク リーニング対象疾患と診察項目に関する検討」

で提案された診察項目に沿った診察項目と所 見をまとめることができた。さらに必須項目と 自治体の事情で追加可能な推奨項目に分類し、

一定の研修を受けた医師であれば健康診査を 担当することが可能となった。 

今後は、この診察項目のスクリーニングの有 効性の検証と、集団健診において円滑に効率よ く健康診査が実施できるかという実行性の検 証を行う必要がある。(小枝)。

(4)乳幼児健康診査における精度管理等デ ータに関する研究:  発達性股関節脱臼につい て愛知県が愛知県マニュアルによって、毎年度 集計している中核市と保健所管内市町村のデ ータからは、3〜4 か月健診の股関節開排制限 で「所見あり」と判定される頻度は、県全体の

平均で 2.6%であった。学会が推奨する方法で

乳児股関節異常を見落とさないためには 10%

程度の有所見率が必要とされており、県内市町 村は一部を除いて、ほとんどが極めて低い有所 見率にある。今回モデル市町で今回示したデー タは、有所見率、発見率ともに高い値を示して おり、見逃し例の減少につながる可能性がある と考えられた。今回は、2018年度の途中から集 計であったが、次年度は愛知県マニュアルに基

(14)

14 づいた県内の他市町村の2019年度データが集

計される。モデル市町と他市町村の有所見率等 のデータと比較・分析する予定である。

先天性心疾患のほとんどが3〜4か月児健診 以前に医療機関で診断され、問診で把握されて いる状況であった。また心房中隔欠損症につい ては学校健診での心電図異常で診断をされる など、現在、医師の診察項目となっている心音 異常は、先天性心疾患を発見するスクリーニン グの対象としても適切ではないと考えられた。

(山崎)

(5)Bio-psycho-social(BPS)モデルを用いた 思春期面接の試み:    今回、問診票として下 記の点に留意をして作成した。

・BSPモデルに配慮し、P(心理)とS(社会)

についての質問を含めることとした。学童期以 降の健診は、現在学校健診として集団で実施さ れているが、主に身体面に注力された健診項目 となっており、心理的な課題や社会的な課題に ついてのアプローチが十分ではない。面接を系 統的網羅的に行い、再現性を高めるためにもこ うした問診票が有用であると考えられる。

・問診の回答のしやすさに配慮した。我が国で も過去にこうした問診票が作成され提唱され たことがあるが7、項目数が約50項目であり 記載に10分以上を要し、日常診療の中での使 用が広がらなった。今後の日常診療の中で BSP の観点での診療を広げる上では、問診の しやすさに重点をおいた。

  結果として、短時間で問診票に簡単に記入が 可能で、それを見ながら簡便に問診や面接をす ることができていると考えられ、本問診票とそ の後の診察時にこの問診票を元にした診療を 行う方式については、十分に実現性があると考 えられ、事後のアンケートでも「忙しくなるの でしたくない」という回答はなかった。(平岩)

(6)思春期健診の社会実装化を目指した研究:

思春期健診の社会実装化のためにはいくつ かの課題がある。限られた時間と資源を有効に プロセスするための方策として、10 分以内の

健診と、学童思春期の子どもが予防接種時にプ ライマリ・ケアを受診した時を有効活用するこ とを考えた。さらなる課題としては、小児科医 をはじめとするプライマリ・ケア医にとって学 童思春期の子どもとの診療の機会は少なく、医 療面接に不慣れな点である。これらの問題を解 決するために①子どもへの問診票の導入、②簡 易保健指導マニュアル冊子の制作を検討した。

子どもの問診票は15項目からなり3分以内で 回答できる内容とした。保護者が予防接種問診 票に必要事項を記載している時に、子どもも回 答できる範囲とした。限られた時間内で健診医 が保健指導項目を適切に抽出できるように、保 健指導が必要と思われる回答が右側に揃うよ うに解答欄の配列を調整した。簡易保健指導マ ニュアル冊子は、それら保健指導項目が抽出さ れた際に、話題を掘り下げることのできる知見 や、指導内容を5項目程度、簡易に記した。裏 面には文献紹介も含めて診療の合間や、診療後 に読める範囲(300字程度)のトッピクスも記 載した。さらに、子どもへのメッセージとして の保健指導内容をインフォグラフィックス調 で作成したリーフレット(ポストカードサイズ)

も設問毎に作成して、必要時に手渡すように検 討をしている。もう一つの課題は、医療機関に よる保健指導である思春期健診の費用対効果 をどのように評価するかである。アウトカム評 価が青年期、成人期の遠隔期になることや、疾 病を対象とした症状/心理スケールに比べ、健 康者を対象としたヘルスプロモーションスケ ールは少ないことなどがあげられる。今後、健 診による保健指導の有用性が示された後に、地 方自治体の健康推進事業として制度化される ことが期待される。

(7)インクルーシブ教育を受ける思春期の難 聴者の抱える問題に関する研究:  外来受診時 に学校や家庭での問題を訴える思春期の難聴 者は多くはないが、アンケートにより思春期以 降の難聴児においても学校や人間関係におい て様々な問題や悩みを抱えていることが判明

(15)

15 した。思春期の両側難聴者に対しても、聴覚補

償だけでなく視覚による情報補償を含めた教 育的配慮、心理・社会的支援の充実を図ること は今後の重要な課題である。また一側性難聴者 は、現在福祉的な支援には該当していないが、

福祉や医療の適応の再検討、教育的支援の充実 を図ることは重要な課題と考える。(西崎)

(8)日本版Bright Futuresにおける性教育の 方法に関する研究:  性教育においても、小学 校、中学校、高等学校において、系統性のある 指導が求められる。児童生徒が有する性の課題 は、児童生徒の発達の段階に応じて様々であり、

性教育に求められる観点と現状も校種により 多様である。系統性が課題の先送りにならない よう、多様性が場当たり的にならないようにす るためには、性教育の根幹を明確にすることが 必要であり、校種に共通する性教育の方法につ いてガイド(概要)の開発は重要であると言え よう。校種によらない教育方法の共通ポイント は、5 視点、計 25 項目にまとめられた。 

これまで、学校外の専門家等が教授にあたる 性教育は、教える内容から議論されることが多 かったが、今回は(校種に共通する)方法から 議論するというプロセスをとった。これにより、

外部の専門家等がどの校種にも対応できるよ うな道筋を示すことができると考える。内容か ら始めるのではなく、まずは方法から組み立て ることにより、教育方法の見直しが可能となり、

ひいては同じ内容を扱ったとしても、別の効果

(目標に対応した効果)をあげることができる と考えられた。 

今後は、これら 25 項目の教育方法ポイント を解説することにより、日本版 Bright Futures における性教育の実施に際してのガイドを策 定することができるといえる。(松浦)。

(9)LGBT、特に性同一性障害/性別違和の子 どもや関係者への情報提供についての研究: 

多くの教員が LGBT の児童・生徒の自殺企図や 自殺念慮,うつに関して医療施設と連携すべき であると回答していたが,医療施設との連携に

困難さを感じていた。 

一般教員がこのような問題で,相談相手とし て,また,支援を期待している存在として,養 護教諭の役割は大きいと考えられた。 

学校と医療が連携することで始まる二次性 徴抑制療法は,自殺念慮や自殺未遂,不登校な どの防止することにつながると考えられるが,

教員の中には,知らない者,行ってほしくない と考える者も高率に見られた。医療的な知識を 持って対応する養護教諭が説明できるための 情報提供などが必要である。 

また,さらに視野を広げて, LGBT の子ども へのライフプラン教育,性教育なども養護教諭 が中心になっを推進していく必要がある。また,

そのための資料も制作した。(中塚) 

(10)乳幼児健診における視覚スクリーニン グの標準化と連携に関する研究:   身体診察 マニュアルに準拠した新生時、乳幼児期の視覚 異常の診察と判定法を小児科医、保健センター、

眼科医に普及させることで、重症眼疾患、斜視、

弱視の早期発見と予後の向上に結び付くと考 えられる。マニュアルの動画も作成したため、

さらなる普及の一助となると期待される。 

新たな視覚スクリーニング機器 SVS は、検査 成功率が高く、鋭敏度が高いため、3 歳児眼科 健診の精度向上に大きく寄与すると考えられ る。3 歳以下の低年齢児に対しては、SVS 運用 アニュアルに更新を加え、小児科と眼科が連携 体制をとって、十分な活用を図ることが課題で ある。(仁科)

(11)思春期の薬物メディア依存に関する研 究: 

  中学 1 年生の調査では、インターネット依存 度が高いほどインターネットやゲームの平均 利用時間が長い傾向にあったが、テレビ視聴時 間には大差はなかった。またインターネット依 存度が高いほど就寝時刻が遅くなる生徒の比 率が高い傾向にあった。インターネットやゲー ム等の依存的使用に関する予防教育に睡眠問 題を取り扱うことが望ましいと考えられた。 

(16)

16   中学 2 年生の調査では、6 月(啓発教育前)

と 10 月(後)で比較したところ、インターネ ット依存度はほとんど変化なかったが、インタ ーネット利用時間は延長していた。就寝時刻が 遅い生徒(0:00 以降に就寝)は平日・休日と もにその割合はやや減っていた。インターネッ トに関する教育効果は十分ではなかったが、睡 眠に関し効果が持続していた可能性があった。 

  幼稚園生の調査では、インターネットの利用 率は 86.7%、ゲームの利用率は 45.8%に該当し た。平均利用時間においては、インターネット、

ゲーム、テレビの中でテレビが最も長かった。

幼少期のインターネットの習慣的利用はその 後の依存的使用と関連していることが知られ ており、この世代に対しても依存症に関する予 防教育が行われることが望まれる。(中山) 

(12)米国の小児保健体制の応用に関する検 討: 

1.評価すべきSDHドメイン

・子ども本人の要因

・親・家族の要因

・地域(コミュニティ)の要因

・政策の要因

2.実践上の課題  本邦の臨床現場における SDH スクリーニング実践の可能性を検討する と、次のような検討課題がある。

・スクリーニングを行う場所・所要時間

・スクリーニング後の介入

・医療者のトレーニング

SDH スクリーニングを実践する場合、小児 科の一次医療機関が適し、健診や予防接種の際 に事前問診として、または初回受診時スクリー ニングであれば実現可能ではないだろうか。二 次・三次医療機関においても、緊急入院や紹介 受診の際に実施することは可能であろう。医療 機関受診頻度の低い思春期年齢においては、予 防接種や急性疾患等で医療機関に受診した際 に、標準的な医療ケアの一環としてSDHスク リーニングを実施することが理想である。

スクリーニング後の介入は、医療者の時間的

負担が生じないよう設計する必要がある。「自 分の健康についての、医療者から自分への直接 の助言」という形式となることで、記憶に残り やすく、意識変容・行動変容につながる可能性 が高まる。ハンドアウトを渡すのも実施可能な 選択であり、汎用できる標準化されたハンドア ウトの作成が望まれる。リスク因子の内容に応 じ、フォローアップのための再診を設定するこ とも実施可能な対応である。米国での研究でア ウトカムとして測定されているように、地域の 社会資源へつながることを医療者が促す・勧め ることは、重要な介入である。各地方自治体で 子育て支援事業や発達支援事業が行われてい るが、このような事業の欠点は、支援の情報を 入手する「養育者(親)の動機」が必要で、動 機がない場合には情報収集も難しく、支援サー ビスにつながらないという点である。

スクリーニングツールが簡便に使用でき介 入の道筋が明確に示されていれば、特別な医療 者のトレーニングは不要と考えられた。Bright

Futures ガイドラインには、医療者が容易に使

用できる質問例や指導例が豊富に掲載されて おり、一読すれば要領を得ることができる。

本邦での実践を目指す場合、必要なのは、各 医療圏の医療者が協働してスクリーニングす べき健康課題を抽出しそれらを評価できるス クリーニングツールを作成すること、実践可能 な介入の内容を吟味し介入プロセスを決める こと、医療者の合意をもってスクリーニングお よび介入を実施することであろう。ツールを使 用する医療者が、医療圏全体での健康課題の改 善を共通の目標として掲げることが理想であ る。(阪下)

(13)米国Bright Futures、フィンランド Neuvora、日本版ネウボラの比較による日本Bright Futuresの普及法についての考案・

自記式PSC17日本語版の開発:Bright

FuturesとNeuvoraとは共通する点も多く、

日本版ネウボラが広まりつつあることを踏ま えると、日本版ネウボラの終了する就学以降

参照

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