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島ノ江, 憲剛

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

赤外線検出素子に用いられるHg_<1-x>Cd_xTe半導体 の表面保護に関する研究

島ノ江, 憲剛

https://doi.org/10.11501/3070069

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

..

赤外線検出素子に用いられる

Hg1-xCdxTe半導体の表面保護 に関する研究

平成5年 2月

島/江 憲剛

(4)

-圃・-

第1章

2.

2. 1 2. 2

2. 2. 1 2. 2. 2 2. 2. 3 2. 2. 4 2. 2. 5 2. 2. 6

目次

緒論 1

1 5 5 ナローギャ ップHgぃxCdxTe半導体

半導体表面の不活性化技術 保護膜/半導体の界面

Hg1-xCdxTe半導体の表面保護に関

する研究 5

陽極酸化膜 6

陽極硫化膜 一-一一一--一一---一一--- 7 Z n S膜 ---一一--- 9 S i 0 2膜 --- 9 S i窒化膜 --- 1 0

L a n g m u i r - B 1 0 d g e t t膜 --- 1 1 2. 2. 7 保護膜作製時の前処理 .--- 1 2 3. 本研究の目的ならびに本論文の概要 一一--- 1 3 文 献 --- 1 5

唱i ηG

1i nG 章 1 2 2 2 3 3 3 4 文

っ“第

第 3章

化学エッチング後のHg1-xCdxTe表面の解析 2 0

緒言 2 0

2 0 実験

試料調製 測定方法 結果と考察

2 0 2 1 2 3 化学エッチング後の表面解析 ・ ・・・--- 2 3 陽極酸化膜の解析 …---一一---一一--- 2 8

結論 ・・・…・--- 3 4

3 5

HgトxCdxTe表面の電気化学的還元の研究

(原子レベルの清浄化) ・・・・・・ー・・・・圃・一--- 3 7

、、,J1i ,,‘‘、

(5)

2.

2.

2. 2 3.

3.

3. 2 3. 3 4.

文 献

第4章

2.

2. 1

、.ー-

2. 4. 4 界面準位

金属/LB膜/MCTのM 1 S構造作製と特性測定 結果及び考察

緒言 3 7

3 7

第5章

2.

2. 1 2. 2 2. 3 実験

電気化学的還元と表面解析 3 7

走査型トンネル顕微鏡観察 . .---一一...-..-..-. 3 8 結果と考察 ー・一一一一一一----一一----一一.-..-.-..--.-- 4 0

MCTのカソード還元 ・・一一--.--.-.---.-.--.-.--. 4 0 カソード還元表面の安定性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・一----..-- 4 7

MCTのSTM観察 4 8 2. 4

2. 4. 1 2. 4. 2 2. 4. 3

結論 5 3

5 4

LB膜の作製と特性 6

6 6 6 FU FO -b FU

3.

4.

4.

4. 2 5.

文 献

第6章

2.

3.

4.

文 献

第7章 緒言

実験

LB膜材料と基板

2. 2 L B膜作製法 ---.-.-..--.-.-.--..-- 5 7 2. 2. 1 L B膜作製と光重合 ・・・・・・・・・・・・一一---.--- 5 7 2. 2. 2

1 2 3 4 5 nG

14 ηG η4 nL nA nG のG つU QU QU QU Qu nd ηo

nd

ジアセチレン化合物の二段階重合 .--.---.-.---.-. 5 7 LB膜物性測定 ・・圃 ・・・・・・・・ー---.---.--.--- 5 9

結果と考察 ---一--.---.--- 6 0 ステアリン酸LB膜の特性

ジアセチレンLB膜の特性

6 0 6 3 水面上ジアセチレン単分子膜の徹密性 6 3 一段階重合の特性

二段階重合の原理と特性

6 4 6 7 二段階重合LB膜の安定性 ・・・・…--- 7 0

LB膜中の不純物の影響 ・・・・・・・一一--- 7 1 3. 2. 6 L B膜の加工性 (パターン化) ・・・・・・・・・・・・・・・…--- 7 3 4. 結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 4

文 献

謝 辞 7 5

(2)

LB膜/HgトxC d xT e半導体の電気的特性 7 7

緒言 7 7

理想的なM 1 S構造 M 1 S構造

7 7

7 7 7 9 理想的なM 1 S構造のエネルギーバンド

理想的なM 1 S構造のC-v曲線と界面準位密度

の計算 ・・・・・・・・・・・・・…---.---.-.---.-..-- 8 1 理想的C-v曲線からのズレ 8 4 蓄積バイアス下の容量の周波数分散 8 4

フラットノくンドシフト 8 4

ヒステリシス FD

FD FhU

ハO

QU QU QU

QU

LB膜の比誘電率と周波数分散 LB膜/MCTの界面特性

円。

門i 公U QU

­

結論 9 1

9 2

光伝導型センサへの応用 9 3

緒言 9 3

9 3 実験

結果と考察 9 6

結論 102

102

本研究の要約と結論 1 0 4

108

(3)

(6)

第1章 緒論

1 . ナローギャ ップH g 1ー"C d "T e半導体

Hgを含んだII b-VIb族化合物半導体からなる三元合金(混晶)が、 ナローギャ ップ半導体と考えられ、 その代表的なものにHg1-"Cd"Te(MCT)がある 1)。 結晶構 造は閃亜鉛鉱型で組成xを変えることにより、 ブリルアン帯(k = 0)のr 6とreか らなるエネルギー禁制帯幅(E g)を、 反転ギャ ップのHgTe (-0. 3eV)から、 正ギ ャ ップのCdTe (1. 5eV)まで連続的に変化させることが可能である2 )。 特に、 MCT を用いたデバイスは、 x=0. 3においては波長3--5μm (中赤外線)、 及びx=O. 2では 10μm以上(遠赤外線)に応答する真性光伝導(Photo-Conductive 、 PC)型また は、

光起電力(Photo-Voltaic、 PV)型検出器として君臨している。 MCTの赤外線セン サへの応用は、 1958年、 英国のLawsonら3)によって提案され、 その後、 表面保護

膜4)の開発によって、 PC型素子として米国で実用化された。 図1-1にMCTの赤外線 検出能を他の半導体と共に示す。 現在、 MCTの表面 ・ 界面特性が、 InSb 、 PbTeより

優れていることが明らかになった結果、 ほとんどの赤外線センサはMCTによって作 製されている。

1013

_1012 3:

s

\

N

芋1011

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1010

、‘、‘ eq-

Ma【

一戸 N

-/

n I」1JV 0

pf一L-、

.. ‘‘ JS411 MreL PE ‘、.、i,、、,,\5K

以O

pm ,E、 o nu k叩o=‘ nuav\ qu司ζ、、、、、、、‘、‘、‘、

Ge (300K)

1

5

Wave length

(μm)

Fig. 1-1. Relative sensitivity of differrent detector types.

109 _1

Q2

30

(7)

可-島

0.8 Harmannら5)

1961年から1967年にかけて、

HgTeのバンド構造の理論と実験は、

HgTeにおいて、 伝導帯 のグループとGrovesとPau 16)によって精力的に行われた。

Hg6s2とTep k=Oでは縮退している。

と価電子帯はともにブロ ッホ関数ï 8状態で、

(図卜2 (a) )。

零ギャ ップ半導体になる 状態の波動関数が重なってしまい、

ï 6-ï 8は正である。 さて、

J'E‘、 、、E,,,LU 、‘.,,, では、

CdTeのバンド構造の計算結果 (図卜2 方、

Cd5s2と Hg6s2のイオン化エネルギーの差により CdTeをHgTeに混在させてゆくと、

事4山(図卜3)。

ï 6伝導帯のエネルギーが変化する 混成エネルギーの変化が生じ、

s

道電子 の結合エネルギーが Hgの価電子の高いイオン化エネルギーにより、

た、

-0.4

0

0.1 HgとTeのSp3結合力は、 Hg自身

このため、

Hg原子自身が強く局在化する。

lv 大増

Hg HgTeの反結合状態への電荷移動が起こり、

のポテンシャルによって弱められ、

OK. 5) at

of Hgl-xCdxTe gap variation

Energy 1 -3.

F i g.

このHgの不安 空孔が生じやすくなる7- 1 0 )。

原子が不安定な状態となってしまい、

現在は、 赤外線の 赤外線表面温度パターンセンサが開発され、

1970年代に、

後に述べる結晶成長と表面保護において重要な問題となっている。

定性は、

放射分布を電気信号に変換するPC及びPV型の単素子または一次元アレイ素子が生 4. 2 Kの値が室温の値

通常の半導体と異なって、

X =0. 6より小さいMCTのEgは、

PC型センサの基板としてはバルク材11)またはCdTe基板上にLiqu- 産されている。

Egは経験的に次 この温度特性の原因は明らかにされていないが、

よりも小さい。

12・13)でMCT を成長させたものが用いられている。 無添 Epi taxy (LPE)

Ph ase のように組成と温度の関数として表されている6)。 id

p型を示 Hg空孔濃度を1016.-...1017cm-3含み、

LPEから得られるMCTは、

加のバルク、

= -0. 2 9 5 + 1. 8 7 x-0. 2 8 x2 Eg (x,T)

なぜn型伝導が得られるかについて 未知の 転位密度は105""", 107cm-2 、

また、

Hg蒸気中の処理によりn型に変換するが、

明確な理由は与えられていない14 )。

す。

は、

( 1 -1 ) 10-4T+O. 35x4

1 4 x+3x2) ( 6一

+

5 不純物による汚染の濃度は1014.-...1017cm-3と推定されている8)。 一般に、 伝導度

P 1 4)、 As AUI4)、

Ag 14)、

アクセプターでCu14)、

、nu ?EBE

ドナーでB 1 5 )、

の制御は、

PV型はMCTヘドナーまたはアク n両伝導タイプが得られている。

1 6)を添加してp 、

pn接合により得られている。

セプターを注入し、

PC型の場 図1-4に典型的な構造と光励起過程を示す。

PC型及びPV型について、

RU

電極聞の電 光によって生じた電子正孔対がキャリヤ-増加をもたらすので、

口、

電子正孔対が接合部の空間 PV型の場合、

(電流)変化を信号として取り出す。

圧 (〉

ω)hm』ωC凶 (〉O)

RJV hm』ωE凶

-10 -10 電荷層で生じるため、 その起電力を信号としている。 ここで、 これらセンサの特

6

(a)

包丁e

性上、 最も重要な課題は表面の不活性化と基板の品質である。 表面の不活性化に

保護膜/半導体の界面準位で捕獲 発生したキャリヤーが、

PC型では、

ついては、

K.U X X W L r

k

(2π/ a) Kυx

X W L r k

(2π/a)

p -n接合部と 保護膜 界面準位の他に、

PV型では、

されな いようにする必要があり、

CdTe.5) and

HgTe structures of

Band 1-2.

F i g.

(8)

半導体表面の不活性化技術 2.

-・ー-

保護膜/半導体の界面 2.

いかに実り多い応用をもたら 半導体表面に良質の絶縁膜を形成することが、

すべ すかはシリコンのプレーナ集積化技術の発展の歴史を見れば明らかである。

表面とは結晶の周期性の破れる場所 ての半導体デバイスは構造上表面をもつが、

また、 表面のダ これにより禁制帯内に多数の表面準位が発生し、

に他ならない。

øa勿�

EV ングリングボンドは雰囲気中のイオンや原子を吸着しやすく、 半導体の表面ポテ このように半導体表面は元来活性で不安定と考えら ンシャルが敏感に変化する。

不活性化し安定化するのが これ を物理的かっ化学的に安定な膜で覆い、

れるが、

この目的を最大限に達成しているのがSi-Si02系であり、

表面保護膜の目的である。

デバイスである。 化合 (Metal-Oxide-Semiconductor)

バイポーラデバイス、 MOS

従来多くの研究がなさ このような技術は当然必要であり、

物半導体に対しても、

l onized

donors n-MCT

n O Hue CJ川r

f L"hH免M t・- FE

-nv れているが、 現状ではSi-Si02系に匹敵する優れた表面の電気特性と物理的化学的

Electron-hole

palr 安定性を備えた保護膜を形成する技術が確立されるまでには至っていない。

lo nized acceptors Spac e

cha rge

表面不活性化の目的からすると絶縁膜バルクは物理的化学的に安定であり、

膜の構造 ・ 組成はあまり問題とならない 電気抵抗率 ・ 電界強度が充分であれば、

type Photoc onduc tive Photovoltaic type

界面準位 半導体ー絶縁膜間の界面選移層の構造 ・ 組成は、

しかし、

と考えられる。

principles of Photoexcitation processes and

photon detectors.

1 -4.

Fig.

界面遷移層がいかに このため、

- 界面トラップの 密度や分布に直接影響をもっ。

定量 この界面特性を評価する方法として、

界面の良さの基準となる。

薄いかが、

保護膜 の界面においてトンネル電流が存在しないようにする必要がある。 また、

Metal/lns- 電気特性と十分に対応がなされておらず、

分析が試みられているが、

Hgの不安定性から製膜エネルギーが小さい方が好まし

作製技術の問題としては、 曲

( C-V) 構造の電気的特性(Capacitance-Voltage

ulator/Semiconductor (MIS) 欠陥 ・ 転位 密度の低減であり、

均一性、

組成制御、

基板の品質については、

。、、lv

トラップによる 半導体表面の高抵抗層の形成、

から絶縁膜の誘電分散、

結晶性 線測定) 特にPV型センサとして大面積 ・ 高密度二次元アレイセンサを考えた 場合、

半導体表面のポテンシ イオンドリフト、

界面準位等の界面特性を評価している27-3 t ) 。

Extrinsic p rocess

z��J....

/ / / / / / /L ....

宵ω r=.c

後級協 z

有ω

キャリヤーの注入、

ポテンシャル障壁、

ャjレ、

LPEを含め 高純度低温薄膜作製技術(例 このため、

に要求される条件はきびしい。

t 8. t g) 、 Ep i taxy (MBE)

Molecular Beem

t 7) 、

Vapor Phase Epitaxy (VPE) えば

( MOCVO) CVO

Organic 熱Metal

20) 、 Vapor Oeposition (CVO) レーザーChemical

HgトxCdxTe半導体の表面保護に関する研究 2. 2

バルク材と 研究が行われているが、

が重要視され、

レーザ-MOCV026))

2 t -25) 、

一部実用化されている。

MCTの保護膜として様々なものが提案され、

これまで、

LPEで作製され た赤外線検出素子ほどの高性能な特性をもった デバイスは、 現在ま

現在報告されている各保護膜の作製手法とその特性及び課題を述べる。

これら保護膜作製時のMCT表面の前処理についても示す。

ここでは、

また、

良質の基板が作製さ 薄膜技術の進歩により、

しかし、 今後、

だ出現してい ない。

の表面を乱 薄膜(亘20μm)

良好な界面特性を示す保護膜が早急に望まれている。

問題となるのは表面不活性化技術であり、

れた場合、

さずに、

4 5 -

(9)

2. 2. 1 陽極酸化膜

陽極酸化膜は、 O.lM KOH+90%エチレングリコール溶液中で、 電流密度O.1-­

O. 3mA・cm-2、 電圧7---10Vを印加し、 形成される4・32-44)。 陽極酸化膜の組成は、

50%HgTe03+30%Te02+20%CdTe03 Cx=0.2の場合)であり、 1000C以上の加熱により界 面にHgTeが形成され、 基板の抵抗が低下する44)。 この膜は電気化学的に作製する ので高電場下では絶縁性は高くなく、 そのため膜厚を100nm程度にし、 この膜上に ZnS等を形成し用いられる。 陽極酸化膜の固定電荷密度は、 5x1011 -... 1X1012 cm-2であり、 膜中のトラップは1011cm-2台でヒステリシスを示す。 界面準位密度

はミッドギャ ップで5X1011cm-2eV-1と報告されている35)。 図ト5にp及びn型のC -V特性、 図1-6に界面準位密度を示す。 n型においては、 MCT表面は蓄積状態であり、

p型では反転層を形成している。 これは、 膜中の正の固定電荷によるものであり、

PV型のp-n接合においては、 表面でバンド間遷移によるトンネル電流が生じ、 素子 抵抗を高くできない。 このことから、 陽極酸化膜はn型 MCTのPC型センサに使用さ

れている。

,園、u.

160

120

ω C

"'

5

80

a

"' υ 40

-2D O

u. a 240

";' .80

C υ

"'

.圃.

U 1 20 a

"' u 60

n-type HQo.79CdO.21 Te Nd=3x1015crñ3 T=77K

-1.5 -1.0 -0.5 0 0.5

Gate voltage (V)

HgO.71CdQ29 Te N a = 3.5 x 1 0 16cm-3

Experimental

T= 77K p-type

O� _,

0 1 2

Gate vortage (V)

Fig. 1-5. Theoretical and experimental capacitance-voltage curves for n- and p-MCT passivated with anodic oxide film at 77K.35・36)

- 6 -

.匝ーー

H90.79Cdo.剖Te Nd = 3x10 15cm-3

5トT=77K

,田園、 2

守 ミげ 5

ε u

-:: 2

ω ω

Z 10'2

5

r �v

Ej FB Ec .11 I !___ .� ,.

10・・ ・ v

-8 -6 - 4 -2 0 E (x10-2 eV)

Fig. 1-6. Fast surface state density versus surface potential for n-Hgo. 7gCdo. 21Te at 77K.35)

2. 2. 2 陽極硫化膜

陽極酸化膜がp型に適応できないことから、 p型にも適用でき る膜として陽極 硫化膜が提案された45-48)。 陽極硫化膜は、 1M Na2S ・8H20+エチレングリコール中、

定電流密度60-- 140μA・cm-2で作製するが、 セル電圧が100mV程度からゆっくり増 加 し、 1nm/minで膜が成長する46)。 陽極硫化膜の組成は、 70%CdS+30%HgSであり、

Teは硫化中TeS32ーとして溶解する。 膜の耐熱性は真空中、 950Cまで安定である。 この膜も電気化学的に作製するので高電界下では抵抗は高くなく、 陽極酸化膜と

同じように、 膜厚を100nm程度にし、 その上にZnS等を形成し用いられる。 膜の固 定電荷密度は1x 1011cm-2で負の電荷をもち、 膜中のトラップは1010cm-2台で小さ なヒステリシスを持っている。 界面準位密度は非常に少なく、 最小値で1x 10 9

cm-2eV-1である。 図1-7にp型のC-V特性と界面準位密度を、 図1-8にはp-n接合時の

電圧電流特性と抵抗変化を示す。 C-v特性から表面は僅かに蓄積状態であり、 膜中 の負の固定電荷がこの原因である。 p-n接合においては、 電圧がOVの時に抵抗が低 く、 正電圧で高くなることから、 表面でトンネル電流が生じている可能性がある。

しかし、 陽極酸化膜と比べかなり改善がなされており、 ドーp接合 でゲート電圧コ ントロールを行えば、 PV型センサとして使用できる。 また、 膜が硫化物であるた め、 耐湿性に乏しく、 大気中の保管や結露には注意する必要がある。

- 7 -

(10)

Z n S膜 3

2. 2.

マグネトロンスパッタリングにより形成され49-52)、

真空蒸着法、

ZnS膜は、

一般的にPC及びPV型センサ 界面特性が比較的に良いことから、

製膜の簡易さと、

1. 6 x 101 2 cm -2と高いが、 界面準位 膜の固定電荷密度は、

の保護膜に用いられる。

図ト 陽極酸化膜より低い53)。

密度はミ ッドギャ ップで3x 1011cm-2eV-1であり、

表面は反転状態 トバンドのずれは約1Vで、

9にp型MCTのC-V特性を示す50)。 フラッ

ト電圧がOVでも僅かに電流 この膜を用いたド-p接合ダイオードではゲー

であり、

この膜は800C程 膜中の固定電荷によるものである。 また、

これらは、

が流れる。

一番の問題点はその 更に、

電気絶縁性に劣る。

機械的強度、

度で不安定になり、

界面特性が変化する53)。

結露等の水に対し反応し、

耐水性であり、

HgO.78SCdQ21STe

Na= 2x1016cm-3 T=77K

Theory

12

Capacitance-voltage curve and surface state density of p­

Hgo. 715Cdo. 285Te passivated with anodic sulfide at 77K.46)

o

4

8

E

(x10-2

eV)

4

1011

(Ft〉0・N,

5

1010

ω ω

z HgQ715CdQ285 Te _ Na

=3.6x1

016cm-3

T=77K

u:

126 a o υ

Z伺恒一ω伺

120

ã. 11.4

υ

-2 -1

0

1

2 4

Gate voltage (V) ー3

1-7.

F i g.

-1 0 1 2

Gate voltage

(V)

qu ー2

and theoretical capacitance-voltage curves passivated with ZnS(O. 2μm). 50)

Experimental of p-MCT S i 0 2膜 1- 9.

4 F i g.

2.

2.

守 ,ー、

10 ' 品

。ω 巴伺 ...

106 2

0 ...

40-- N20の分解反応から生じた活性 な酸素とSi H 4の反応により、

Si02膜は、

膜は僅かなH20を含む54・58)。 固定電荷 lO OOCに保った基板上に形成するもので、

105

申dz o ‘ー 嶋田ω

w・

0

104

。3

(《ユ)HCO』

Q2

0

.1

...

ω

3 ω

241

堆積前の表面状態に依存する。 例 密度は+lx 1011---1X 1010cm-2の間で変動し、

+024 +0.12

0

Diode voltage (V)

+0.36

えば、 表面に酸化膜が数層あれば、 堆積後の界面は非常に安定化し、 界面準位も

大気中の水 このSi02膜はポーラスであり、

2x 1010cm-2eV-1になる55)。 しかし、

(5x 10-6K-1) MCT

の熱膨張係数の違いも物性に影響を与える。

(図1-10) 。 また、

c-V特性が変化する をSiOHとして取り込み、

(0. 5x 10-6K-1) とSi02

and small-signal differential resistance of n+-p photodiode passivated with anodic sulfide. 46)

characteristic Current-voltage

1-8.

F i g.

8 9

(11)

-、

a

、-

c 40

....

20

υ

HgO.7Cdo.3 Te

Wet

0�- 1� 0---�

8---�6---�4----�2--�0---� 2---�

4 Gate voltage

(V)

10

Fig. 1-10. Influence of water vapor on capacitance-voltage curve of n­

HgO•7Cdo.3Te passivated with Si02・57)

2. 2. 5 S i窒化膜

S i窒化膜(SiNx)は、 電子サイクロトロン共鳴プラズマCVD(Electron CYC- lotron Resonance Plasma Chemical Vapor Deposition, ECR PCVD)法を用い、 2.

45GHzのマイクロ波によりN2プラズマを発生させSiH4を分解し、 SiNx膜を形成する ものである53. 5 9・60)。 膜の組成は、 Si/N=O.9であり、 Hが5atm児含まれている。 ま た、 膜は非常に鰍密であり水蒸気による影響がほとんどない。 膜の歪は、 膜の堆

積条件であるマイクロ波の出力を変化させることで、 かなり小さくできる。 膜中 のトラップ密度は1.2x101ocm-2とかなり小さく、 界面準位は1x1011-3X1011

cm-2eV-1でZnSより低い。 しかし、 固定電荷密度は1.4x1011cm-2で負の電荷を持 っており、 p型半導体表面は僅かに蓄積状態である。 これは、 膜堆積前に表面に存 在している酸化物のためであり、 SiH4はこの酸化物を還元しSi02として 表面に残 り、 一部02ーとして負の電荷を示すと考えられている。 また、 比誘電率が、 Si02 ( 2. 1)とSiNx(7.1)では、 かなり異なることから、 GaAs半導体の場合6I )と同様

に、 膜の誘電分散が予想される。

-10

2. 2. 6 L a n g m u i r - B 10 d g e t t膜

Langmuir-B lodgett ( LB) 膜は、 気液界面に両親媒性有機分子の単分子膜を作 製し、 基板に累積し た膜であり、 製膜エネルギーが小さいこと、 膜厚が分子オー ダーで制御できること、 分子の配向性が高いこと等の特徴を持っている(図1-11)

62・63)。 このLB膜は、 1970年代にエレクトロニクス分野へ様々な応用が提案され

ているが、 その一つ に半導体の表面保護が挙げられ、 1 n P 6 4・65)、 GaP66・67) InSb68)、 MCT68)、 アモルファ スSi 6 g)について研究が行われている。 MCT(n型、

x=O.53)の保護膜として は、 ジアセチレン化合物を用い、 Br2含有メタノールでエ ッチング後累積し、 紫外線照射してポリジアセチレンとしている。 このMIS構造の C-V特性から、 表面は蓄積状態であり、 フラットバンドシフトより正の固定電荷密 度がI012 cm-2と求められている(図ト12) 。 また、 ヒステリシスは観察 されてい ない。 正確な界面準位密度は求められていないが、 界面準位の特性を示すコンダ クタンスは、 空乏層から反転層になるところで高くなり、 ト ラップ準位が存在す ること示している。 更に、 強い反転状態でコンダクタンスが減少しないのは、 バ ルク中のキャリヤーの発生-再結合によると考察している。 しかし、 MCTのバルク 中のキャリヤーのライフタイムは10μs以下70)であることを考慮すると、 測定周

Number of layers

}、、、

Fig. 1-11. Interference color of LB fi 1m (10,12- heptacosadiynoic acid) on Al electrode.

-11-

(12)

300

nu nu qL

(La)ωυE伺

+J

LL.

40-a

\

3

20 "

ω a

υ

100

-3 -2 -1 0 1 2 3 Gate voltage

(V)

Fig. 1-12. E xperimental capacitance-voltage curves of n-MCT(x=O.53) passivated with LB film of polymerized diacetylene.58)

波数10kHzには充分追従できると考えられ、 このコンダクタンスの減少はバルク中 のキャリヤーの発生ー再結合によるのではなく、 膜の電気抵抗の影響と判断される。

つまり、 LB膜の絶縁性が低いために、 高電場下でコンダクタンスは高い値を示し ている。 また、 MCT表面は化学エッチングのみ行っていることから、 界面特性は後 で述べる変成層を含めた評価と考えられる。 しかし、 LB膜の製膜エネルギーの低 さを考慮すると、 徹密で高抵抗の膜作製技術と基板表面の改質が達成されれば有

効な表面保護手段になると考えられる。

2. 2. 7 保護膜作製時の前処理

保護膜作製時に前処理として、 一般的に化学エッチングが施される。 これは、

研摩で発生する傷を除くことが目的であり、 エッチング溶液としてBr2含有メタノ ール溶液が用いられている。 この化学エッチングにおいて、 表面酸化物の形成や 組成のずれが多くの研究者によって報告されている。 TalasekとSyllaios71)は、

O. lN Br2+メタノール溶液での各元素の溶解速度はCd>Hg>Teであることを見いだ している。 このTeの低い溶解速度は、 エッチング条件に依存したTeリッチ表面を 形成すると考えられる。 また、 X線光電子分光法から、 化学エッチング後に大気中 で形成される酸化物は、 本質的にTe02であることが示されている72-74) 。 また、

- 12 -

エリプソメトリー法75)やElectrolyte Electro-Reflectance (EER)法76)を用い たその場測定から、 化学エッチング中にはアモルファ スTeが表面から0.7--- 60nmの

深さで存在することが報告されている。 更に、 Careyら77)は、 Teリッチになると 同時にHgに対しCdが欠乏することも示している。 以上、 MCTの化学エッチングにつ いて、 反応速度及び表面解析の研究を総合すると、 表面層は、 TeリッチでかつCd が欠乏状態であることが推定される。 しかし、 これはエッチング条件に依存し、

Br2濃度やエッチング時間の影響、 Hg酸化物の有無、 酸化物の組成比とその深さ方 向分析については何も示されていない。

化学エッチング後の表面に保護膜を作製する場合、 酸化物の存在や組成のず れの問題は、 その界面特性に大きな影響を与えると考えられる。 ZnSやSiNx膜は、

製膜プロセスの特徴として表面酸化物を還元するといわれているが、 組成はバル ク値に戻らない。 また、 表面を 改質する試みは気相中において、 例えばAr+プラズ

マでスパッタリングする方法78)が試みられているが、 Hgの不安定性から組成は Hg欠乏状態となっている。 これらから、 酸化物がなく、 組成がバルク値に近い表 面を構築する技術が、 重要かつ必要であり、 更に、 そのような表面に損傷を与え ない保護膜作製技術が望まれていることが理解される。 そして、 その結果として、

n及びp型両方に対応でき、 固定電荷密度と界面準位密度が低い界面が得られると 考えられる。 しかし、 現在まで、 これらの技術はほどんど成されていない。

3. 本研究の目的ならびに本論文の概要

本論文では、 赤外線検出素子に用いられるMCT半導体の表面保護に関すること として、 n及びp型両方に対応でき、 固定電荷密度と界面準位密度が低く、 耐環境 性のある保護膜を得ることを目的とし、 以下に示すことを研究した。

第l章では、 赤外線検出素子に用いられるMCT半導体の表面保護膜について、

優れた界面の必要性とそれに対応すべき研究の現状、 及び問題点を述べた。

第2章では、 一般的に用いられる化学エッチングが、 表面にどのような影響を 与えるかを明らかにするために、 X線光電子スペクトルの角度依存性とX線出力依 存性及び走査型電子顕微鏡を 用いて検討した。 ここでの実験から、 表面の化学量 論比はバルク値から大きくずれていること、 各元素は酸化物または水酸化物を形 成していること、 酸化物組成はエッチング液濃度に依存すること、 表面は粒状物

一13 -

(13)

が存在する荒れた面 であることがはじめて明らか となった。 更に、 HgO (または

Hg(OH)2)がX線の照射により分解し、 真空チャ ンバー内で蒸発し、 最外層に多く 存在する水酸化物は、 X線の照射 で酸化物に変化 することを見いだした。 これらか ら、 保護膜と 半導体 の界面特性には、 この化学エッチングが大きな影響を与える ことを明らかにした。

第3章では、 化学エッチング後の表面を改質 するために、 電気化学的還元手法 を用いて、 その条件と表面状態及び大気中で の安定性を調べ、 更に電気化学的還

元過程下で の走査型トンネル顕微鏡( STM)観察を行い、 原子オーダーで清浄化し た表面を 検討した。 実験結果から、 表面は平坦で酸化物がなく、 組成もバルク値 に近づいた大気中で安定な表面が得られること、 更に、 この電気化学的還元は、

STMの原子像観察から原子レベルで清浄化されていることを見いだした。 そこで、

この優れた表面を壊さない保護膜作製技術として、 製 膜エネルギーが小さいLan­

gmuir.Blodgett (LB) 膜法を提案した。

第4章では、 LB膜の 作製方法と特性について脂肪酸 とジアセチレン化合物を用 いて、 問題点の抽出を行い、 新しいLB膜作製方法としてジアセチレン化合物 の二

段階重合を行い、 その特性を述べた。 実験結果から、 10, 12-heptacosadiynoic acidの二段階重合 膜は、 膜が鰍密で、 電気抵抗が高く、 基板の酸化を抑制でき、

膜の加工性 として、 ネガ ・ ポジ の両タイプのパターン加工が 可能であることを見 いだした。 とれらから、 二段階重合したポリジアセチレンLB膜は、 保護膜として 優れた特性を持つことが明らか となった。

第5章では、 電気化学的還元した n及び p型 MCT表面上に二段階重合したポリジ アセチレンLB膜を形成し、 LB膜及びLB膜/MCT界面 の電気特性を述べた。 この実験 から、 界面に変成層や高抵抗層が存在せず、 nと p型両方の界面 で固定電荷密度、

界面準位、 膜中のトラップ密度は充分に低いことを明らかにした。 これらから、

この技術はPC型とPV型の両方の赤外線センサに適用できることを示した。

第6章では、 LB膜で保護したPC型センサを試作し、 その基本特性を調べ、 また、

センサのアレイ化についても述べた。 その結果、 表面が蓄積状態で少数キャリヤ 一(正孔)がバルク中に拡散しているため、 発生したキャリヤーの表面再結合が 防がれていること、 センサの比検出能 (0つから、 PC型センサとして充分機能す ること、 アレイセンサ素子へのLB膜の適用は、 駆動方式を調整することにより可

- 14-

能であることを明らかにし、 第5章で得られたLB膜と MCTの界面特性がPC型赤外線 センサ特性に反映されていること示した。

以上、 本論文 の著者が行った赤外線検出素子に用いられるHgt-"CdxTe半導体 の表面保護の研究は、 高感度、 高機能の赤外線検出素子創出 のために、 半導体表 面不活性化技術の基礎 的課題について実施したも の である。 半導体プロセスで行 う化学エッチングについては、 組成 の乱れを指摘し、 原子オーダー の表面改質を はじめて確立した。 また、 界面特性が優れた保護膜をLB膜の二段階重合により作 製し、 高感度赤外線検出素子を提案、 及び開発し、 その基礎特性を明らかにした。

第7章では本論文を要約し、 得られた成果を ま とめた。

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- 19ー

(16)

第2章 化学エッチング後の

Hg1-xCdxTe表面の 解析

緒言

半導体/保護膜の界面特性がその素子性能に大きな影響を 及ぼすことを第i章 で述べた。 それは、 陽極酸化膜1)、 陽極硫化膜 2 )、 ZnS膜 3)、 Si02膜4)、 SiNx膜 5 )、

LB膜6 )等の保護膜を形成する場合、 元来表面に存在する酸化物が保護膜中に取り 込まれ、 固定電荷、 界面準位、 膜中のトラップ等の発生原因になる考えられるこ とである。 表面酸化物は前章で述べたように、 化学エッチングによって生じ、 多 くの研究者から酸化物の形成と組成のずれが報告されているが、 エッチング条件、

最表面の組成、 HgOの存在 等明らか でない点が多く、 また、 測定手法の違いによっ ても異なる結果が報告されている7-1 1 )。

そこで、 本章では、 X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy,

XPS)と走査型 電子顕微鏡( Scanning Electron Microscope, SEM)を用い、 エッ チング 条件の違い を評価し、 酸化物の状態を解析した。 また、 陽極酸化膜を化学 エッチング後に生じる酸化膜のモデルとして取扱い、 これまで不明 であったHgOや 水酸化物 等の状態も、 測定条件(XPSのX線出力依存性)を変化させることで明ら かに した。

2. 実験

2.

1

試料調製

実験に用いたMC T基板は、 Hgo・eCdo・2Te組成の結晶から切り出した(111 )平 板面 をもっディスク( n型、 寸法15mmφX O . 5mm、 hリヤー濃度1.3--- 2.4 X 101 4cm-3

(7 7K)、 C ominco electronic materials Ltd.製) である。 MC T基板はアルミナ(粒 径50nm)による研摩を施した後、 O.1あるいは0.5%Br2含有メタノール溶液で化学 エッチングを行った。 この時のエッチング深さは0.5%Br2含有メタノール溶液l分 でO.5μm、 2分でiμm、 0.1 %Br2含有メタノール溶液2分 でO.2μmであった。 これら の基板はクリーンベンチ(クラス500)内 で4時間、 大気に曝してからXPS測定及び SEM観察を行った。

- 20 -

陽極酸化膜は、 0.5先Br2含有メタノール溶液でl分エッチングした基板 を用い、

O. 1M KOH+90%エチレングリコール溶液中で、 Ag/AgCIに対 し1 .5 Vの電位で 30分間酸 化して得た。 酸化膜は0.8V以上の酸化電位で充分に形成 できることが知られてい る12)。 本実験の酸化膜厚さは約5nmであった。 作製した陽極酸化膜は直ちにXPS装

置内に搬送し、 測定した。

2. 2 測定方法

化学エッチング表面のXPS測定では、 Te 3d5/2、 Hg 4 f7/2、 Cd3d5/2、 Cd MNN Auger、 o 1 s 、 C 1 s 、 AI 2 pの光電子を順に20回測定積算(2時間 )した。 この際、

各スペクトルの角度依存性、 つまり図2-1に示すように基板面の 法線と光電子検出 器との間の角度 θを0--750の間で変化させ、 強度変化から深さ方向分析(depth profile)を行った。 測定条件と用いた相対原子感度係数を表2-1 及び2に示す。 深 さ方向分析を行うにあたっては分析深さを知る必要があるが、 これについては Te 3d5/2を基準として、 Seahl3)の式( 3-1 )からまず 電子脱出深さ( À )を求めた。

À =538/E 2+0.41 (a E) 1/2 (3-1) ここに、 a:原子の大き さ( nm)、 E:kinetic energyである。 aは次式によった。

ρNna 3=1024Ao (3-2)

A 0:分子量(Hgo・eCdo・2Te:310.6), n:分子中の原子の数 N : Avogadro 数, ρ:バルク密度(7.6x 103 kg/m3)

こうして得たAを用いて、 次式から分析深さdを算出した。

d= À X cosθ

Photo e lect ron

Fig. 2-1. Schematic illustration of angle-dependent XPS measurement.

- 21 -

(3 - 3 )

(17)

Mg Kα 1253.6eV (nonmonochroma t i zed) A I kα 1486.6eV (monochromatized) 4x 2mm2

13kV 20mA

1 x 10-7Pa

1. OeV (nonmonochroma t i zed) 0.47eV (monochroma t i zed) 38eV

83.93eV at Au 4f7/2

陽極酸化膜のXPSスペクトルは、 白色X線源及びモノクロメーターで単色化し たX線源を用いて測定し、 10回積算 (1時間) した。 その際、 角度依存性と X線出力 依存性を調べた。 角度依存性では、 。を0、 45、 60、 750と変化させ、 またX線出力 依存性では、 X線源のフィラメントの電圧と 電流の積で定義した出力を、 40、 60、

100、 170、 300W と変化させた。 図2-2に予備実験として銀板試料を用いて測定した は3d5/2スペクトル強度の角度依存性とX線出力依存性を示す。 各角度において X 線出力と光電子のカウント数は直線関係にあり、 この出力範囲では、 どの出力で も補正することなし に各元素のスペクトル強度の比較から組成 を算出することが できることがわかる。 なお、 この実験において 40Wが 定量的な直線関係が成立する 最小出力であった。

SEM観察(JEOL JSM-890) は低加速電圧 (1-15kV) にて行い、 電子線によるチ ャージアップやダメージを抑えた。

X-ray source(200C)

Table 2-1. XPS measurement condition (Kratos. XSAM800).

X-ray spot

Filament voltage current Vacuum pressure FWHM�(Ag 3d5/2)

Pass energy

Energy reference

*Ful I width at half-maximum

Te 3d5/2

Table 2-2. Atomic sensitivity factor based on F Is.

Hg 4f7/2 4. 00

Cd 3d5/2 o 1 s

O. 61

3. 80 2. 10

0

0

,圃・、

450

E //己

60

0

「 /rf/ 白750

,....

‘・圃,

.... ω

c

υ

2000

3. 結果と考察

3. 1 化学エッチング後の表面解析

0.5%Br2含有メタノール溶液を用いて、 i及び2分エッチングしたMCTのXPSスペ クトルを図2-3に示す。 Te 3d5/2 のスペクトルの束縛エネルギー ( BE) 値から、 表 面層のTe原子価は主として、 Te2 - ( あるい は Te 0) 及びTe4+であると判断される。

Te2 -と TeoのBE値 には、 差はほとんどなく、 分離できない 。 。の増加に ともなう

Te2-/Te4+の相対強度比の減少は、 Te02が最外層に存在することによる。 例えば、

エッチング時間l分及び2分でθ=0。のと きは1/2であり、 。=750のと きTe2-/Te4+比 は1/5であった。 Cd 3dのXPSスペクトルはCdOまたはCd(OH)2が生成してもケミカル シフトに あらわれないが、 876.5eVと870eVのCd MNN Augerスペクトルは、 ケミカ ルシフトを示すことが知られている14)0 870eVが Te 3pと重な ること を考慮すると、

876.5eVのピークが酸化状態を知るのに有効である。 エッチング後の表面とスバッ タ表面のCd MNN Augerスペクトルを 比較 すると、 前者にCdOまたはCd(OH)2が存在 すること は明らかである。 また、 o 1 sスペクトルはどのOでも強く、 厚い酸化物 層の存在を示唆している。

0.1%Br2含有メタノール溶液で2分間エッチングしたMCTのXPSスペクトルを図 2-4に示す。 Te 3d5/2において 576.5eVに僅かな Te4 +のピークが見られるが、 角度 20

20 100

X-ray power

(W)

1000

Fig. 2-2. Angle dependent intensities of photoelectrons for Ag 3d5/2 of a silver plate as a function of X-ray power (a nonmono- chromatized X-ray source).

円ノむつ臼

(18)

ω制Cコ。υ

Te3dS/2

015

528

energy (eV)

536

Binding

880 870

Binding energy (e V)

578 572

Binding energy (e V)

of n-type MCT after 2 min (a-d) or being and (e); e =450 for Angle-dependent XPS or AES spectra

being etched in O. 1%Br2-methanol for sputtered by Ar+ (e). e =00 for (a) (b); e =600 for (c); e =750 for (d).

2 -4.

F i g.

ω“cコ。υ

AnaJyticaJ depth(nm)

0.4 0.8 1.2 1.6 2.0

(b)

100 0 80

\

0.6 I字 戸60

"01. m

υ1':' :t

0.4 10 � 40 20

Analytical depth(nm)

0.4 0.8 1.2 1.6 2β 、1.0 0.8

(a)

1.0 0

到一0.6

+ 1トニ

B I 0.4 0 .8

0

2

- OH-

I I I Te6+ Te4+Te2-

536 528 0.2

Binding energy ( e V)

880 870

Binding energy ( e V)

578 572

Binding energy (e V)

0.8 1.0 0.4 0.6

COS 9

06 0.2 1.0 0

0.8 0.4 0.6

COS 9

06 0.2

Depth profi les of (a) cation/anion ratio and cationic fraction of Cd (x) and (b) elemental fractions of n-type MCT after being etched under three different conditions:()ム, 1 mi n i n 0.5% Br2-methanol;()L, 2 min in 0.5完Br2-methanol;・Â, 2 min in 0.1% Br2-methanol.

2-5.

F i g.

Angle-dependent XPS or AES spectra of n-type MCT after being etched in 0.5%Br2-methanol for 1 min (a-d) and 2 min (e-h) or being sputtered by Ar+ (i). e =00 for (a),

(e) and (i); θ=450 for (b) and (f); e =600 for (c) and (g); e =750 for (d) and (h).

2- 3.

F i g.

- 25 - - 24

(19)

Table 2-3. Surface composition after chemical etching.

Br2 Analytical Te

concentration depth Cd Hg 。

(部) (nm) Te2- Te4+(oxide)

0.5 0.5 O. 13 O. 68 O. 07 O. 12 1. 21 .

2.0 O. 23 O. 43 0.07 0.27 O. 75

O. 1 0.5 O. 63 O. 07 O. 11 O. 19 O. 25

2. 0 O. 57 O. 11 O. 07 O. 25 O. 21

These values are calculated as Cd+Hg+Te=l.

θに対する依存性は、 強度が弱く定かでない。 Cd MNN Augerスペクトル (876.5

eV付近)にも図2-3と同様にケミカルシフトが観察できる。 更に、 非常に弱いOト ピークも考慮すると、 O.1%Br2含有メタノール溶液でのエッチング表面の酸化の程 度は かなり低い。

図2-5 (a)に cos e及び分析深さdに対し、 カチオン/アニオン比( (Cd+Hg)

/Te)とカチオン中のCd分率(x=Cd/ (Cd+Hg) )をプロ ットした。 カチオン/アニ オン比はd=2.0nmで0.5、 d=O.5nmでO. 2であり、 ともにバルク値1.0より低く、 Teリ ッチ層は2.Onm 以上の深さに まで達している。 X値はバルク値O.2に対して最外層の d=O.5nmでこれより 大きいO.36を示し、 dが 1.0 nm以上ではバルク値に近い値であっ た。 表2-3にd=0. 5及び2.OnmでのTe2-、 Te4+、 Cd、 Hg、 0の組成と深さとの関係を 示した。 また、 図2-5 (b)に は、 Hg、 Cd、 全Teにおいては各エッチング条件によ る大きな違いは見られないが、 Te4+ (Te02)の生成は 0.5%Br2溶液を用いたときに

顕著であることがわかる。

図2-5 (a)に示すx値のずれは 1. Onml以内の表面層で見られるが、 これは図2-

5 (b)からHgが減少するためである。 Hgの減少に対する一つの説明としてHgの選 択的溶解が考えられるが、 これはHgの溶解が、 Cdの溶解より起こり にくいという Talasekら7 )の指摘に反する。 別の説明として、 真空チャンパー内のX線照射によ

って表面からHgが選択的に蒸発した可能性が考えられる。 HgTeの電気化学的反応 の研究I 5 )によれば、 金属HgはTeと容易に合金化反応を起こしHgTeを 生成するので、

このHgの減少はHgOまたはHg(OH)2の蒸発と考えられる。 これまでに、 MCTの陽極酸 化膜について多くのXPS研究が あるが、 表面のHgOの減少は報告されていない。 た

- 26-

Fig. 2-6. SEM photographs of MCT surface etched in 0.5完(a)and 0.1% (b) Br2-methano 1.

Fig. 2-7. SEM photograph of cleaved surface of MCT.

- 27

(20)

Hg4f 7 /2 Cd3d 5/2 Te3d 5/2

組成変動につい 類似の報告がLauら1 6)の角度依存性XPS測定にあるが、

だ、 唯一、

以降の陽極酸化膜の角度依 このHg減少についての詳細は、

ては測られていない。

CdO (ま Te02、

エッチング後の表面には Te、

存性及びX線出力依存性で述べるが、

が含まれることが明らかである。

HgO (またはHg (OH)2) たはCd (OH)2)

0.5%及びO.1先Br2濃度溶液でエッチングしたときの表面のS EM像を図2-6に示す。

この凹凸や粒状 (図2-7) 。

エッチング後の表面はかなりの凹凸があり粒状物も観察できる。

エッチングにより生じている 物はへき開面では見られないので、

陽極酸化膜の解析 3. 2

蒸 真空チャンバー内でX線照射により、

エッチング表面におけるHg酸化物は、

酸化膜のモデルとして 発し減少する可能性があることを前項で述べた。 そこで、

X線照射によりどのような変化が起こるかを調べた。 これまで 陽極酸化膜を用い、

ふ〆 花6+1 ↓ e4+花2-

いくらかの測定

門ヨ ) 、、,,J からほぼ

白U2

の陽極酸化膜の研究にはX線源の出力はあまり記されていないが、

通常300W (15kV x 20mA)

1 7 ) 、 (10kVX 10mA)

1

Õ2

1Õ3 101

(例えば100W

1 _�仇A

Irw�"

1_

Hgu,|l. Qd47 102 98 407 403

Binding energy(eV) Binding energy(eV)

536 528

Binding energy (eV)

880 870

Binding energy (eV)

578 572

Binding energy (自V)

1

Õ4

after Angle-dependent XPS or AES spectra of MCT surface

anodic oxidation in O.lM K OH+90見ethylene glycol (0=00 in (a-e), 0=750 in (a'-e')) or sputtering by Ar+ (0 =00 in (f)). (nonmonochromatized X-ray source) X-Ray power 40W (a) and (a'); 60W (b) and (b'); 100W

(c) and (c'); 170W (d) and (d'); 300W (e) and (e');

260W (f).

2 -9.

F i g.

-‘・ 晶、

0 10 ぜ

、..."トー

ω10'"

‘ー ω -7

Z 10 ・

C. - R

0 10-

m :I:

10

... �9

乙のような高いX線山力は高signal/noise 比をもたらすが、

200 W以上と推定できる。

X線源から MCTの熱伝導率は30 0 KでO. 0 1 3 J / cm s Kと低く、

以下の問題も生じる。

X線窓からの電子の非弾性 単色化されていないX線源からの制動放射、

の熱輯射、

表面温 散乱等の影響によりXPS測定中に試料の表面温度が上昇する可能性がある。

I S

350 400 450 500 Temperature (K)

pressure vs temperature. This ムG=-RTln (P HgO(g)/aHgO(s) ).

550

HgO partial calculated 2- 8.

F i g.

酸 からわかるように 高出力のX線源を用いる場合、

(300Kで 5x 10-10P a) よって、

図2-8のHg0の蒸気圧曲線 HgOの蒸発や水酸化物の脱水を生じる。

度の上昇は、

curve as

- 29 -

口。

参照

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