点
と
質点
及
び
極微
と
微
と を
考
え
る
里見 秀 明
1
点
(point)は直線
、平面
、 三次
元 幾何 学
の 基 本 的 非定 義
要素
であ
っ て位置
があ
る が、0
で ない大 き
さ を持
た ない もの。位 相
空間
(平面 ・空 間等を一般 化 した もの)の要
素
。2
質 点(material particle)静 止質
量を持 ちま た 空聞に お ける観 測位置
を持つ が幾何 学的
広がり
を持たず
一点の み を占める物体
。3
極 微最 も微 細 な もの、 物
質
を最 も微細
な点
まで分析
しつ づけ
た極 限の 、 これ 以上分割
で きない 最 小の実 体。 最 小 極 限の 原子。根
本 的原子、極
限微 粒 子の意。 色 (物質)の極
小 に して分
かつ こ との で き ない もの。4
微
一極微
を 中心に して上下 四方
の 六方
に極微
が集合
した一 団、都合
七極微
か ら な る。 これ を微
塵 という
。 微 ・仏 教で は伝 統 的に み と発音
するが、 紛 ら わ しい の で科学
的側 面 を考 えこ れか ら ビ と発音
する。以 上 辞 書
に書い て あるも
の か ら簡単
に引用
したが、前記
の 点 ・質
点 ・極 微 ・微
につ い て様 々 な視点
か ら詳
しく考察 す
る。点
点
の概念
はエ ジプ トの ナ イル 川の 氾 濫に求 める こ とがで きる。 つ ま り、 ナ イル川 は定期 的に氾 濫 をおこ して して 、耕作
地の境界
が分
か らな くなる。 こ の境
界
を元 どう
り復 元 するた め、 それ を測量 する幾何 学
が発 展 した。 こ の幾何 学
を学
問
としてまとめ たのがユ ー クリッ ドの原論
であ
る。この ユ ー ク リッ ドの幾 何の
点
は次
の とおり
で ある。 点とは音 分を もた ない もの塾
_さ らに長 さをに対 しては次
の様
に規定
さ れ る。 線と は 鬲の ないさで あ る。 かつ
線
の 、 は点
であ
る。 さ らに 直線
と はその上 にある 点につ い て一 ・にた わる
線
で ある、境 界
が はっ きり
してい る耕作
地が水
に流 さ れ、 境 界 が消え
た とする。 そ れ を復
元す
るため に は、 基 準 となる印よ りど れだけ離れ てい た か を計 ればい い こ とに な る。耕作
地は広さを持 っ てい る、 つ ま り面で ある。 面 と はさ と
鬲
の み を持 つ も の で ある。 この 面は円で 囲ま れて い ない 限り
複 数の線
で囲 まれ て い る。 面の 端は (47
)智 山学報 第六十三輯 線である。
つ ま りこ こ で 言 えるこ と はある起 点よ
り
、 もう
一つ の起点
問の距 離が交わ る 地点
は大
きさの ない点
で も構
わない ことに な る。重
要 なの は複数
の起 点
よ りの距 離 であ
る。 そこ に は交点
があ
る。交点
は周 囲 か らの 距 離の 変 化 に よ り、 位置
が変化
す
る。簡単
に図示
してみ る。 起 点 各 大 点 点質 点
物質
の形状
や大 き
さを無視
して一点
で代表
させ 、 これに力 学の 特性で ある質
量 が 全部集
中 したと考
えて、 その位置
や 運動
を論ず
る と き、 物 体 を表す
点 を質点
という
。物体
の重心
は質点
の 一例であ
る 。質点
の 運 動は運 動の法則
に支
配 さ れ る。物体 相
互 の 問に作
用 する力 が 原因
で運動
が起こ る場合
、物体
間の 距離
が、 物 体 自身
大 きさ に比べ て 十分大
き く、 かつ内
部の運 動を無 視 して よけ
れ ば、物体
を近似 的に質 点 と見 なす
こ とが で きる。 逆に原子や分 子の ように大 きさが小 さ く ても
、 相互の 距 離 が 小 さ く、 内部
運 動が無視
で きない 場 合 に は質 点 と見 な すこ と はでき
ない 。 い くつ かの粒 子 か ら成 り立つ 力 学 系や、 広が りを持つ物
体 も、 これ らの質点
の集
まり
。す
なわち質点系
と見 な し、質
点の力学
を も とに して、 その 運動
を論 ず
るこ とがで きる。「広 辞 苑」 に は
質
点 を 次の よう
に書
い てい る。質
量だ けを持つ 点の意、 全質
量 が質量 中心 に集 中 した、 大 きさ、 形の ない仮 想 的
な物体
。 こ の質点
の運 動 に直
線 運動
と回転 運 動がある。 これ らに法 則 を与
えたの が ニ ュ ー トンである。 ニ ュ ー トン の第
一法則力
が作
用 しな け れば、 どの物 体 も静 止 また は等
速直線
運動の状態
にある。 ニ ュ ー トン の第
二法則
力
F
が作
用 し た とき
の物 体の加 速 度 は力の大
きさ に比 例 し、 物 体の質量 m に (48
)点と質点及び 極微と微とを考 える (里見) 反比 例 する。 ニ ュ ー トン の
第
三法
則二
物体
が 互 い に及ぼ し合う
力は、 一直 線上 にあ り 、 大 きさ が等
し く、向
きが反対
であ
る。第
二法
則の 加 速 度 を計 算 する と きに微 分積 分が必 要 に な る。 ニ ュ ー ト ンの偉 大
さ は こ の こ とに よ り星の 運動 を記 述で きたの であ
る。 これ らの こ を踏
ま えて、極 微
・微
を検討す
る。極
微
最
も微
細 な もの 、 原 子 を意 味 する。 物質
を最も微
細 な点
まで分析
しつ づ けた極
限の これ以上分 割
で きない 最 小の 実体。 色 の極
小 に して分
かつ こ との でき
ない もの 。微
につ い て は真
剣に考 察 され な か っ た。微 七 つ の 極 微の 量。 「仏 教 語 大 辞 典」 に よ る と、
極微
の こ と、 間 隔で 捕 らえ られ ない 微妙
なこ とを言う
。 「広辞苑
」 に は(
み)
の項無
し。故
にこ こ で は、 紛 ら わ しくない よう
に ビ と発音
する。さ て この 微 につ て 次の 本か ら引 用 し
考 察す
る。 『仏教は宇宙
をどう
見たか』(ア ビ ダルマ 仏教の 科 学的世界 観)佐
々木 閑著化学
同 人 選 書 「その極 微 の種
類だ が 、大
き く分
けて一次基 本粒 子 と二次
可変粒
子に分
けら れ る。 一次 基本
粒 子 と は 、物質
の 基本単
位を か た ちつ くる 四種
の粒
子で 、い か なる物質
におい て も、 こ の四種
が 必 ずセ ッ トに なっ て現 れ るという点
で基 本 的 なの で ある。 それ は 地 ・水 ・火 ・風の 四種 をいう
。 地 ・水
・火
・風
という種類
の極微
が あっ て、 その 四種
の極微
は決
し て単 独で世 に現れ る こ と は な く、 必ず
四個
ワ ン セ ッ トで しかも
どんな物質
に も必 ず 付 随 して現れ て くる という
のである。 この よう
な一 次基 本 粒 子の こ とを四大種
という
。こ の四
大種
とは別
に二次
可 変 粒 子 というも
のがあ
る。 そ こ には、 眼根や耳
根と い っ た認 識 する方
の物 質
も青
な どの認
識 さ れる物質
も含
ま れ る。 そ れ は 四大種
と 違っ て、 そ れ ぞれの状況
に応 じて現
れる こ ともある し現れ ない こ と もある。 … … 四大種
の 四粒セ ッ トは、物 質世界
のあ
ら ゆ る場 所 に 一様 遍 滿に してい るの に対
し て、 こ の 二次
可 変 粒 子 はい ろい ろな種類
の 極微 がい ろい ろな現れ方
をす
る。 この よう
に二 次 可 変 粒 子が大 き な多
様 性 を もっ て現 れて くるせ い で 、 この 世の 物質
世界
は千 変 万 化の変容
を見
せ るの で ある。 『倶舍 論
』 で は こ の可 変粒 子 を所 造色
と呼
ぶ 。 物質
は、 一次基本粒
子である 四大種
と 、 二次
可変粒
子である所 造色
の複合
(49
)智山学報第六十三輯
体
として存在
してい るの で で ある。〈
おみ こ し理 論〉
で は そ の 四大 種 と所
造 色は どの よう
な関 係が あるの か。 私 は、 そ れ を理解す
るのに便利
な言
い方
として、 お み こ し理 論 という
言 葉 を使
っ てい る。 地 ・水
・火
・風
という
四大種
の極微
が一粒 ずつ 集 まっ て一個の お み こ しを形成
し、 その 上に所 造色
の極 微
が一粒乗
っ てい る という
イ メージ である。 土台
のお み こ し は必ず
地 ・水
・火 ・風
の 四粒
で形成
されるが、 その 上 に乗っ て い る所
造 色はい ろ い ろであ
る。」 下図
に示 す
。 色 「お みこ し」 ユ ニ ッ ト 実際は 各粒子は触れ合 うこと なく、 虚空に浮 い たかたちでユ ニ ッ トを形 成 してい る。 色 (い ろ /か た ち)禽
香禽
味画
触鼻
四つ ワンセ ッ トで現 れる極 微物 質
が こ の世
に現 れる という
こ とは、 必ず
この よう
な お み こ しの セ ッ トと して 現れ る という
こ とで ある。 極 微の一覧 表 極 致の一覧 地 「お み こ し」 の 土台 一次 基 本 粒 子 水 身根 (触)で認識さ れ (四大種) 火 るの で 「触」 に含ま 風 れ る 眼 耳 鼻 認識機能を持つ 二次可変粒子 舌 (所造色) 身 一一一一一一一一一一 一 一一一 一 一一 一一 一一 一一 一一 一 一一一冒一一冒一 一一一一 一一一一一}一曹■一曽一 一一一一一一一一一 一一一一 一 一一 一一 1− ■一 一一 一一 一一一一11 (50
)点 と質点 及 び極 微 と微 とを考 える (里 見) 眼 色
禽
.禽
禽
禽
ξ
鋤
味 触 鼻 色典
1
.禽
猟
磯
3
禽
味 触 身蠡
色1
魚
ξ
購
香(
禽 愈
味 触轟
魑
轟
身根の 出現様式 耳 身鳶
十 い ず れ か の セ ッ ト 触 味 味 触 身根 以外の 感覚器官の出現様式 (51
)智 山 学 報 第 六 十 三 輯
量 子
力学
『シ ュ レーディ ン ガ ー子猫
たち
』実在
の探求
J
・グ リビ ン著櫻
山義夫訳
出版社
・シ ュ プ リン ガ ー ・フ ェ ア ラ ー ク東京
より引
用す
る。「
波
の典型 的
な例
は、小
石を
一つ静 な池
に落
と した とき
に水 面
上 に見
られる現
象で ある。 こ の 波は 一 連の小 さ な うね りを形 成 し、 小 石が落
ちた地点
か ら円形 状 に外
に向
かっ て伝
わ っ て いく
。 この種
の波
が 、 その波
長より
か なり
小さい 二 つ の 孔 を もつ 障壁 に達 す る と、障
壁の向
こう
側 で は 、 こ の 二 つ の孔 を中心 とす
る二組
の半
円状
に広が っ て い く。 … …光
が 、 一枚
の ボ ー ド上 に開 けら れ た二 つ の孔
を通 過 し、 その向
こう
側にある ス ク リ ー ン上 に模 様 を 生成 する ときに も 、 全 く同じ事
が起 こる。 … …二 組の光の波 は二 つ の孔 か ら池の さ ざ波の よう
に広 がっ てい き、 ス ク リー ン に到 着 す る と、 波が加え
合わ さ れ る とこ ろ (構 成 的 干 渉)と相 殺 され る とこ ろ (破 壊 的 干 渉 )に対応
した明暗
の縞模様
(干渉縞)が現れ る。 下 図に示 す。 干渉冒
))
)
))
)
明暗の縞模様 回折波 最初の孔(左端の孔)か ら出た一様な光は、2
番目の ス ク リーン上の そ れ ぞ れの孔 か ら同波長で進行する波を構成 し、これ らの波は干渉 し て観測ス ク リーン上 に独 特な 明暗の縞模様を生 成す る。 光 が 波 として伝 播 す る明 確 な 証 明で ある。 (52
)点と質点及び極微と微と を考える (里見) 電 子 ビーム ー一レ ー 二 つ の孔
ll
l
一A
’B
’ 強度 両方の 孔 を 孔 を 別々 に 開い た 場合の 開いた場合の 模 様 模様 とこ ろが 電 子 も光子 も、 もう1
つ の 孔の 存在を知っ てい るかの ご とく振る舞 う。 両方の孔が 開い て い る ときに見ら れ る模様は、一方の 孔だけが開い て い る場合の 模 様 を足 し合 わ せて得 ら れ るもの と 同 じで はない 。 こ れ は、 電 子が本 当に波動だ とい うことなの だろうカ … … しか し、すで にこ の レベ ル に おい て も微 妙な問題 が 隠れてい る。 ス ク リー ン 上 の縞模様
は、光
を二 つ の 孔の 一方だ け をかわるが わ る に通過
さ せ 、 ス ク リ ー ン 上 でそ れ ぞ れの光
の 明る さを足 し合わ せて得
ら れ る模 様
と同 じで はない 。 … … 一方
の孔
しか開
い て ない と、 ちょう
どその孔 の後方
にあ
た るス ク リ ー ン に到着す
る とス ク リー ン上 の位置
に光
の輝点
が一つ で きるだ けであ り、もう
一方
の孔
だけ
が 開い て い る ときも
、 その孔
の後方
の ス ク リ ー ン上 に光
の輝点
が一つ だ けで きるだけ
である。 こ の 二 つ の効
果 を足 し合
わせ て も、大
きな 一 つ の輝点
に し か な ら ない 。 干 渉 と は光が二 つ の 孔 を 同時に通過 した ときに もっ と複 雑な縞 模様
が で きる こ と であ
る。 … … な る ほ ど 、光は波動 なの だ。 とこ ろが 、 こ の よう
な単
純 な描 像 にお い て も、光
が光
子と呼ば れる粒 子か らで きてい る という
証 拠 も りっ ぱ に存在
して い る。 だが、 我々 の 日常 体 験 か ら考 え
れ ば壁
の二 つ の孔
の 通り
抜 け方
が全
く異 な っ てい る。 … … しか し、 一度に一つ だ けの光
子が二 つ の孔
の実
験 装 置 を通 過 して い くときに何
が起
こ るのか を考察す
る と、 謎は深 まるの であ
る。」「電 子 は 、 大
変重
要 な粒 子
であ
る。 そ れ が粒 子であ
るこ とは、1897
年
、 ケン ブ リッ ジの キ ャベ ン デ ッ シ ュ研 究所
にい たJJ
トム ソ ン に よっ て初めて確 認 され た。 (53
)智 山学報 第六 十三輯 トム ソン は、 電 子 が 原 子か ら放た れ た破 片であるこ と を示 したの で ある。 皮
肉
にも
これが、 電 子 は分割
で きない こ と を示す
き最初
の実験
であ
っ た。す
べ て の電
子 は、 正確
に同
じ質量
、同
じ電荷
を持
っ て い る。電場
と磁場
に よっ て操作
で き、斥
力
や引力
をかけ
るこ と に よっ て速度調整 も
でき
る。 また、 電荷
を帯 び た微
小 な弾
丸
と し て利用
さ れ るこ とも多
い 。ところ が、
電
子の発 見
か ら30
年 後
の1920
年代 後半
に は、 電子
も波動
と して振
る舞う
こ とが明 らか に なっ たの であ る。 … …こ の よう
に電 子の もつ 二重性
、 い わ ゆ る粒
子 と波動
の 二重性
は 、1980
年代
中 頃よ りは る か以 前に確 証 されてい たが、 電 子に よ る二 つ の孔
の実
験が、 日本のチ ーム に よっ て実 際に行 われ たのは 、1987
に なっ てか らの こ とである。 …実験 の結 果 は、 光子 に よ る実験の結
果 と正確
に 一致
し た。量
子
の 世界
で起 こっ て い るこ とにつ い て の標準
的 な解釈
はお もに、 コ ペ ンハ ー ゲンにい た デ ンマ ー クの物
理学者
ニ ール ス ・ボ ー ア に よっ て展 開 され たこ とか ら、 コ ペ ンハ ーゲン解釈
と して知
られて い る。 … … しか しこ の解釈
は、ず
い ぶ ん奇 妙 な概 念 に支 え られて るの である。鍵 となる概 念は、 い わゆ る 『波
束
の収
縮』 であ
る。光
子や電 子の よう
な存 在 が なぜ 波 動 として伝 播
し、粒
子 として到着
する こ とが可 能 なのか を説 明する の に、 ボー ア らは、観
測す
る行為
が波動
を集束
させ粒 子にする の だ と唱 えた。 電 子 に よ る二 つ の孔の実験
を見
れば、 そう
な るこ とが分かる。 つ ま り、 電 子は実 験 装 置 を 波 と して通 過 し、検
出用
のス ク リ ー ン の上の一点
に収
縮 す るの だ。そ れだ けで は ない 。 い かに して単一電 子の
波
は、自
分自身
と干渉
し、 収 縮 して粒
子 として到着
すべ きス ク リー ン の点 を選ぶの だ ろう
か。 コ ペ ンハ ーゲン解釈
に従
え ば、 こ れ は、 実験 装 置 を実 際に通 過す
るの は確
立の波
であ
っ て 、物質
の波で ない こ とに よ る。 量子の波 を記 述 す る方 程 式、 つ ま りオ ース ト リ ア人の エ ルヴィ ン ・シュ レーデ ィ ン カー に よて導 出さ れた波動方程式
は 、水
面の波の よう
な物質
波を記 述 す る の で は な く、 光 子や電子 な ど があ
る決 まっ た場 所で見
つ かる確 率
を 記 述 する。お もにボル ン の研
究
に よる こ の 描 像で は 、観
測さ れ てい ない 電 子は粒 子という
形態
で は存 在
して い ない 。 こ こ で電 子 を見つけ
る確 率
やあ
そ こ で見つ ける確 率が与
え られ、原
理的
に は、宇宙
の どこ で で も見つ かる可能性
はあ
る。あ
る場所
、 例 えば二 つ の孔の 実 験の 明 るい縞
の ような場 所で は見つ か りやす
そう
だ し、暗
い縞
(54
)点と質 点 及 び 極 微 と微 と を考える (里見) の よ
う
な場所
で は ほとん ど見
つ かり
そう
で ない 。 … …まず、 二 つ の 孔の 一 方が閉 じ てい る とき、 (光か電子に よっ て形 成さ れ る)干
渉
し縞
が どうなっ たか 思い 出 して み よう
。 縞は現れ な かっ た。 明 らか に 、孔
が 一つ しか 開い て ない ときは 、 電 子はその 孔だ けを通っ て検
出用 ス ク リ ー ン に 到 達す
る。 し か し、 電 子 を単純
に粒
子だ とする と、 そ れは大 変不 思議 なこ とである。 一つ の 孔 を通る電 子 は、 どの よう
に し て もう
一 つ の孔の開 閉
を[
知
る]
の だろう
か、単純
な 粒 子 な らば、 もう
一 つ の 孔の開閉
を知
る よ しもなく
、 また気
に とめ もしない はず
だ。 しか し、 個 々 の 電 子 が 到 達 す る前に二 つ 目の 孔 を 開 ける、 あるい は閉
じる よう
に実験
をセ ッ ト した としても
、 電 子 は 目標の ス ク リ ー ンに到 達す
る適 当 な道 を [選 択 し]干 渉 縞正 をし く形 成 する。 二 つ 目の孔の 開閉
は セ ッ ト して もよい 。個
々 の 電 子は 、一つ 目の孔を通 過 する とき二 つ 目の孔が [同 時に]開い て い るかどうか に よっ て、 異な る軌 道 を選 択 するのだ。」極 微
の物
理 的意味
量 子
力
学 と極 微
の関連 性 を確 かにする た め、 極 微 につ い て もう
少 し詳 しくみ る。 『パ ー リ ・ア ビ ダンマ 思想
の 研究
』浪花 宣
明平
楽寺書 店
『「極微
の細
か さに粉
砕 して」 という
こ とで、 ある人達 は次の よう
にいう
。 即 ち、 ア ン グラ (指)の八 分の一 が ヤ ブ ァ (麦)であ り、 ヤ ブァ の八分 の一 が ウー カ ー (虱) であ り
、 ウ ー カ ーの八分の 一が リッ カ ー (虱の 卵)で あ り、 ラ タ レ ーヌ (車塵)で あ り、 ラタ レーヌ八 分の一が、 タ ッ ジ ャ ー リー (粉塵)で あ り、 タ ッ ジ ャ ー リーの八 分の 一 が ア ヌ (微)で あ り 、 こ の ように して ア ヌ の 八分の 一が極 微である 、 と 。また
注釈 書
の中
に は次
の よう
に書
か れて い る。す
なわ ち、7
ダ ン ニ ャ マ ーサ (豆)の大 き
さが1
ア ン グラ(指 )であ り
、7
ウ ー カ ー (虱)の大
きさ が1
ダン ニ ャ マ ー サ (豆)であ
り、7
リ ッ カ ー (虱の 卵 )の大 き
さ が1
ウ ー カ ー であ り
、36
ラ タレ ー ヌ (車塵)の大 き
さが1
リッ カーであ り
、36
タッ ジャ ー リレーヌ (粉塵)の大 き
さが 、1
ラ タレー ヌ で あ り、36
ア ヌ (微)で ある、 と。 それ ゆ えア ヌ (微)の36
分の 一 が極
微 という
空 間の一 部で あ り、 それ は肉
眼の対境 出
は な く、 天眼の み の対 境
であ る。』こ こ で考 察 したい こ と は、
極微
の持
っ てい る性質
、前
に述べ たよう
な色 聚 と し て の 、様
々 な現 れ方
を 、8
・9
ペ ー ジ参
照 、 ア ビ ダル マ倶舍
論に と らわれ ず に検
(55
)智山学報第六 十 三 輯
証す
ることで あ る。前
は、大 き
なも
のか ら微細
な ものへ と分析
したが、微
細 な も の か ら大 きな ものへ と考 察
を進め る見方
もある。「またその
う
ちで、36
の極微
が1
ア ヌ の (微 )大
きさ である。36
の アヌ が1
タ ジ ャ ー リー (粉塵)の大 きさ である。36
の タ ジャ ー リーが1
ラ タ レー ヌ (車塵)であ
る。36
の ラ タ レー ヌ が1
ウー カー (虱)で ある。7
ウー カー1
ダンニ ャ マ ー サ (豆)で あ る。7
ダ ン ニ ャ マ ー サ の大
きさが1
ア ン グ ラ (指)で ある。 その ア ング ラに よる12
ア ン グラが ヴ ィダ ッ テ ィ(手 尺)で ある。2
ヴィ ダンテ ィが ラタ ナ (肘)で ある。7
ラ タ ナ が ヤ ッ テ ィ(棒 )である。 そのヤ ッ テ ィに よる20
ヤ ッ テ ィ が ウサバ (牡牛)であ
る。18
ウサバ がガ ーヴ ダ(牛呼)である。4
ガ ー ヴタ が ヨ ー ジ ャ ナであ
る。」こ の よ
う
に極微
が集
まっ て階層
的に、様
々 な物質
の相 を示 す。 一方
、物
理学
で考
え られてい る世界像
は、 これ も階 層 的な もの で ある。 つ ま り、 我 々 の 回 りの等身大
の もの を分 析 する と最 初に現れ るのは、 分 子であ
る。次
に 、原 子である が 、 これ が物質
の 最 小 単位 と考 え られてい た。物
理の研究
が進
むに した が っ て、原 子 も電 子 と原 子 核 か ら成 り立 っ てい る こ とが明らか になっ て きた。 原 子核
も陽子 も 中性 子 とい われる もに分か れ、 集 団で い ろい ろ な元素
が 出来
上 が っ てい る こ とが 明 らかに なっ た。 こ の 元素
は陽子 と 中性
子の数
に より
、様
々 な物 質
があ
る こ と も 明 らかに なっ た。陽子 と中性 子 を くっ つ け る もの と して湯 川
博
士に より
、 中 間 子 という
もの が考
え
出 された。も
ちろ ん、 陽子と電 子 を結
び付
けて い る もの は光
である。光
は電 磁 波で ある。そ
う
するう
ちに、 陽 子 や 中性
子は さ ら に小 さ なもの か ら出来
上 がっ てい るの で は ない か という疑
問が 出て きた。 そ れ が ク ォ ー ク と言
わ れ るもの で ある ことが つき
止め ら れ た。現
在 次
の表
が基 本
的な素粒
子であ
る と考
えられ てい る。 クォ ーク 軽 粒 子 〔上 向 き(u), 下 向 き(d )〕+→ 〔電 子 (e) , 電 子ニ ュ ートリノ(ッ e)〕 〔チャーム(c),横 向 き(s)〕一 〔ミ ュ ー( μ),ミュ ー ・ニ ュ ートリノ(VK)〕 〔トルース(t), ビュ ーティ(b
)〕←→ 〔タ ウ (τ) , タ ウ ・ニ ュ ートリノ(v .)〕 (56
)点と質点及び極微と微 とを考える (里見〉
量 子力
学
を極 微で解 釈11
ペ ー ジの 図を見て その 意 味 を極微
の 立場
で再考
する 。 つ ま り、 光や電 子 は波
の性 質
と粒
子の 性 質 を持っ てい る。 一つ の光
子や 電子が二 つ の孔の どち らか 光 が通過す
る とす
る。 しか し、 どち らの 孔 を通 過 したか は確 定
でき
ない 。 どちらの 孔 を通 過 した と して もス ク リー ン に は波の干 渉縞
が で きる。この
干渉縞
は 、無数
の光
子や電 子に よっ て 出来
上が る。 一 つ 一つ の光
子 や 電 子 が どう
して干渉縞
を作
る の か一神教 的
な思想
で は解決
でき
ない 。極微
の考 え方
を導
入 しなけれ ばな らない 。9
ペ ー ジの 図に示す
よう
に、極微
は様
々 な性 質
を示 す こ とができ
る。 つ ま り、 おみ こ し理 論 的な考
えに立て ば 、 電荷
や磁荷
をのせ る こ と がで きる。 さらに、 粒 子や波の性 質 もの せ るこ とが で きる し 、 レプ トンや ク ォ ー ク や ゲー ジ粒
子、 さ らに 、在
る と した ら質 量に関係 してい る ヒ ッ グス粒
子 も考
え られる。壁に
開
い た二 つ の孔
。量
子力
学で は 同時に二 つ の 孔 を通 れ ない 、 と考
えて い る。 極 微で は、 電磁 波
であ
る光
の粒
子にそ れ ぞ れ電荷
と磁 化 が、 そ れに波 何(そ うゆう 言 葉 が あ れ ば〉と呼
ん でい い ものが 三 つ 一組で構 成 されてい る。8
ペ ー ジ参 照
。 つ まり
、極微
と微
のお み こ しユ ニ ッ トか ら関
連つけ
て考
える と、光子
という も
の は 単独で存 在で きない という
こ とで ある。 光 子は電 磁 波で ある。 さ らに言 えば、 壁 の 孔は粒
子 として考慮
さ れて い ない 。 壁に開い た孔 は孔 以 上の 役割
はない の であ ろう
か。 電荷
と磁荷
との 関 連を否 定 する こ と はで きない 。 そ の 理 由 を次に述べ る。 クォ ークの電 荷ク ォ ー ク に は
分数
の 電荷
があ
る。 つ まり
、 プラ ス 三分の二 の電 荷 とマ イナス 三 分の一 の 電荷
であ
る。 この ク ォ ー ク は 三 世代
に分かれ、 そ れ ぞ れの 世 代 に二種
類 つ つ ある。 前の表
の よう
に で あ る。 『ヒ ッ グス 粒子 と宇宙
創 成』竹
内薫 著
出
版
日経
プレ ミア シ リ ー ズこ の
本
の中か ら、 図表
を借用する。 (57
)智山学報 第六十三輯 物質 を構成 する
12
種類の素 粒子 クォーク ア ッ プクォ ーク チ ャ ーム クォーク トッ プ クォーク ダ ウンクオーク ス トレンジ クォ ーク ボ トム ク ォーク レプ トン 電子 ミュ ーオン タ ウ 電子ニ ュ ー トリノ ミュ ーニ ュ ー ト リ ノ タ ウニ ュ ー トリノ一
ゲー ジ粒 子u
‘
t
アップ クォーク チャーム クt一ク トップクォークd
s
b
ダ ウンクォーク ストレンジクォーク ボトムクォーク一
γ
肝ZZ
ボソンe
骭ey
μ
ミューオンτ
舛 τレ
電 子ニュ ートリノ ミューニュートリノ タウニ ュートリノwW
ボソ ン9
グルーオンH
ヒ ツグス粒 子 前ペ ー ジの表
の よう
に なぜ世 代があるのか 、 その 区別
は何
か、 そ れ はエ ネル ギ ーの大
き さに よる。 下表
の ご と くであ
る。 (58
)点と質点及び極微 と微 と を考える (里見) ゲージ粒子が伝 え る
3
つ の力 電磁力 =エ レク トロマ グ ネティ ッ ク ・フォ ース 光 子 が媒介する 強い 力 =ス トロ ン グ ・フ ォース グルーオンが媒介 する 弱い 力; ウィーク ・フ ォース ウィークボソ ンが媒介するこの よ
う
に物 質は、様
々 な性 質
やエ ネルギ ー レベ ル で 、 あるい は相
互作
用 で存
在
してい る。 これよ り先の考 察
は次
に譲る。3K
輻射
宇宙
の 全 天 か ら弱
い 電 磁波
が降 り注
い で い る。 この 電 磁 波の 正体
は、今
か ら137
億 年前
に起
こっ た とされ る ビッ グバ ン に由
来 する。今
の 宇 宙論
で はこ れ が 当たり
前の よう
に通説
と して確
立 して い るが、 こ れに対 して疑問
を持
っ て る学者
もい る。ビッ グバ ン つ ま り胡 麻 粒の よ
う
な特 異点
か ら、宇宙
は拡 張 し続 けて現在
に至っ て い る。 宇 宙の拡 張と ともに超 高 温の 電磁 波が冷
や され て3K
(正確には2
、7
以 下端 数が続 く)まだ下 が っ た とさ れ る。 しか し、 原 子や素 粒 子の よう
な物 質
は そ の大
き さに変 化 が ない という
こ とであ
る。空
間が 一つ であるな らば、素
人 に も変
であ
る という
こ と はす ぐ気付
。そ して も
う
一つ 不 思議
なのは、 物 質に対 し反 物質
がほ とん ど存在
しない と言 う
こ とであ
る。 なぜ な らこ の宇
宙
はす
べ て対称
であ
る 、 と今
の物
理学
で は考 え
られ て い る。 エ ネルギ ーを十分蓄
え た粒子
が分裂 す
る とき
は必ず
正粒
子 と反粒 子 が 発 生 する。 ま た十分 強い 電磁 波 か ら も、 正 反の 粒子 が生 成 さ れ るこ こ で
考
える こ とがで きる の は、 反 粒 子が この 世界
の に どこか に存在 す
るの か 、何
か の メ カニ ズム で存在
しない のか。存
在 す る と した場 合 どの よう
な姿
が考
えら れ るの か を次
ペ ー ジで図示 する。 (59
)智山学報 第六 十 三 輯 物質宇宙 反物質宇宙 物質 反 物質
上
図
は物 質
世界
と半物
質
世 界 が交
互 に存在
してい る こ と を表
してい る。仮
に ビ ッ グバ ンが あっ た と した ら現在
の世界像
は最 終 的 な もの と は言 えない 。 ビ ッ グバ ンか ら発射
さ れた光
子は最終
的に重力
子の レベ ルへ とエ ネルギ ー レベ ル を落
とす
。 つ まり
超弦
理 論の世 界 に なる。 こ こ で は途中の考
察 を飛 ばし て、 半物 質世 界か ら発 射
さ れた光
は我々 が住 む物質
世 界に届く
と きには 重 力に まで弱 まる。次
の図は重 力が どうなるか と言う
話に な る。 つ ま り重 力 子は物質
と結合
する こ とに よっ て、 他の 重力
子と 一つ の粒子
を共用 す
る。 こ れが 暗 黒 物質
と考 え
られ て い る もの である。粒
子 一つ に一つ の重 力 子 しか結 合で きない だ けで な く、余
分の 重力
子は1
つ の粒 子
を共有
しダー クエ ネルギ ー と して存在す
る。 この存
在 が、 銀 河の 回転の中 心部分
と外
側 との 回転 を同じにする原 因 と考
えるこ とが で きる。一
粒 v 一 子 重力 (60
)点と質 点 及び極 微 と微 とを考え る (里 見) 内も外 も同じ速度で 回転 一 銀河
ヒッ
グ
ス粒 子 につ い てヒ ッ グス粒 子 は
様
々 な粒 子に質
量 を与
える粒 子
と考
え られて い る。 そ れはそ れ でい い の だ が 、 粒 子か ら質
量を奪う
粒 子 も考
え なけ
ればな ら ない 。 こ の よう
に推
測 して解 説 書の 『ヒ ッ グス粒 子 と宇 宙 創 成』呼ん で み る と、 様々 なこ とが解 明 さ れて い ない こと や考 えが ある こ とが分 かる 。 以下同書か ら引用。超 紐理論 「ここ で は粒 子の形が これ まで皆 さん もイメー ジで きた よ うな小 さな ボ ー ル の よ ’ な Z
状
で な く 、 ひも
の よう
な形 を して い るも
のだ と考 え ます。 ひも
の形
は、 両端
のあ
る 一 本の ひも
か、輪
ゴ ム の ル ー プ状 によう
につ な がっ てい るか の どち
ら か で、 そのサ イズ は約
10
のマ イナス33
乗
セ ンチメ ー トル 。 … …そ して 、 こ れ まで何種
類も出
て きた素粒
子 が、 すべ て こ の二種
類の ひも
だけで説 明で きる という
ものなの です。 こう
した ひも
が、真空
中にみち満 ちて い る という考
え方
で す。 な ぜ何種
類 もの素粒 子が こ の二種
類の ひ もに統 一 で きるか とい うと、 こ の ひ もはい ろい ろ な形
に振動
でき
るの で すね。 こ の振動
の パ タ ー ン に よ っ て、 さま ざ まな素粒
子のふ る まい が説
明でき
る という
もの です。」M
理 論 「万 物 を作 っ て い る物質
の最 小 単 位 は超ひ もで な く膜 (メ ン ブ レーン)だ と考
え ます
。 そ して、世
界は10
の空 間次
元 と 一つ の時
間次
元の 、計
11
の次
元で成 り
立っ てい る という考
え方
をします
。」質量
の起源
「ヒ ッ グス粒
子の発 見
は、あ く
まで もヒ ッ グス場
に お い て どの よう
に素粒
子 が質
量 を得
るか、 正 し くは、質
量 を得
た よう
な状態
に な る か、 という
こ と を解
明 するも
の です
。 です
か ら、 原 子核
な どの素粒子
以外
の粒子
が質
量 を得
る メ カニ ズ ム と は別 物です 。 物質
という
の は、 エ ネル ギ ー がして い る状 態とい うこ とです か ら、 ビ ッ グス場 と は別の形 態でエ ネル ギ ーが
集
中 すれ ば 、別の質
量 (61
)智山学報 第六 十 三輯 が生 ま れ る とい