博 士 ( 医 学 ) ニ ヤ ム バ ヤ ル ダ シ ツ オ ー ドル
学 位 論 文 題 名
胸 腺内 にお ける NKT 前 駆細 胞か ら NKT 細 胞へ の成 熟経 路の 研究
学位論文内容の要旨
I●背景
invariant NKl' (iNKr)細胞は,糖脂質抗原をCDld拘束性に認識げるTリンパ球である.感染・
アレルギー・自己免疫・癌などで重要な制御機能を発揮することが明らかにされつっあるが,その分 化 に関し ては不明 な点が少 なくな い.iNKl'細胞は ,これらの発現するinvariantT細胞受容体 GTCR: マウス ではVa14Ja18)を,a‑galactosylceramide負荷CDld多量体(a‑GC CDld‑tetramer,
‑dimerで検出す ることで 追跡出 来る.ま た,そ の僻GCCDld司imerの分画を,a)44とNK1.1発 現 パター ンによっ て,aX4細NK1.1.&age1),aM4岫Ma.1一&a髀2),aX4岫Ma.1゛Qa舮3) の3分化段階Qage1う3)に分類可能である.
め朋め印紅むマウス(以下めマウス)は,Np|刪nふ1曲】g妊la闘mIめ遺伝子変異により,全身 のりンパ節とバイエル板を欠損し,胸腺・脾臓の構築異常や,免疫不全を呈するユニークなマウスで ある.申請者のグループでは,めマウスのNKT細胞mK111゛T(ニRp+)分化障害を見出し,その原因 が胸腺環境に存在することを示した.゛ただし,ロヶマウスにおけるボKT細胞分化の障害,さらにこれ ら の 障 害 が ど の ス テ ッ プ に 存 在 す る か な ど 、 詳 細 な 解 听 は 行 わ れ て い な か っ た .
II.目的
ロケマウスにおけるNKl'細胞分化障害の時期を明らかにし、NKl'細髄扮イ匕メカニズムを解明する.
m.材料と期去
A´Y/N虻Jdセ幼缸ケGり,ロリ十,野生型くニ57BL侮CB6;以下nリ十とともに単に対照群と記す),
B6. m聊 愉 086.PImy川 の 各 マ ウ ス は 購 ス 後 , ゴ ヒ 刈 転 刊 制 鰤 耽 所 疾 患 モ デ1勧 ― 設にて,叩瑚cpam0.g閲‐neくSPF)環境で維持・飼育し,駐12週齢にて解听を行った.骨髄キメラ は,ロケあるいはB6.PI′.1hy1.1マウス骨髄より得た05_1x107個のT細胞除去骨髄細胞を,致死線量
(9Gy)X線照射し楚レシピェントマウス(ゆあるいはB6.PI´ny1.1マウス)に静注し,作製した.
レシピエントとしては,釟10週令のマウスを用いた.簡便のため,B6.PImy111ドナー,ロヶレシピ エントのキメラを[B6.PLうロMゆ】のように表し,再建後8週,d眸析に供した.全ての動物実験は,
北海道大学動物実験委員会の承認を受けた.フ口ーサイトメトリーによる烈Kr細胞分化の解析には,
汀.(Rに結合した甜Gaぬr負荷リコンピナント可溶性マウスCDld:培融合蛋白(a・GCCDld述mcr) を,phycocD曲 血 標 識抗マ ウス培G1nlAbで検出 する組み 合せを用 いた. その他にnu帥esc血l isD甑弧y孤a忙標識抗マウスa)44,au9ph)ばqm血標識抗マウスNKユ.1,死細胞をゲートアウトする
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ための ヨウ化 プ口ピジ ウムを 用いた .また ,週齢 ・性別 を合わ せた対 照群,および めマウス胸腺か ら全RNAを 抽 出し ,cDNAを 合 成 ,リ ア ル タ イム 定 量PCR反応行 い,汀 .(Rの 発現量 を比較し た.相 対的 定 量 は ,そ れ ぞ れ のQ値(mresholdヴdc恥mber)を用 いて,以 下の公 式で導 出し, 比較し た:
RepH讎on鮒ex=2や崎 叩O闖) )
IV.結果 ´
iNKl'細胞 の割合 ・実数 ,汀. (弧を 構成す るVa14Ja18メッセージ量は,対照群と較ベ,ロケマウス で有 意に減 少して いた. しかしaケ胸腺 細胞に も,一定 のVa14ぬ18転写産 物が認 められ たので ,陷く 遺伝子 再構成 自体で はなく ,転写後の過程に障害が存在すると考えられた.次に, ゆマウスの僻(℃
CDld司imオ 細 胞 の 成 熟 段 階 をQ)44とNK1.1発 現 に よ っ て 解 析 し た . 僻GCCDlddimオ 細胞 の 大 部分は,対照群ではsl二a舮3に認められたが,ロケマウスではsta髀1の領域に認められた.したがって,
ロケマウス胸腺のボKr細胞の分イ幽淫駱は,sl二a髀1からSI二a夢2への段階でプロックされていると推測さ れ た. 一 方 , 対照 群 の 烈KT細 胞 は ,主 にCD4十 かCD4℃D8. 価N)で あったが ロんマ ウスで は僻( ℃ CDld司imer細 胞中 のCDゲお よ びDN分l面 . | カ 轍に 減 少 し ,CDゲCD8十Q)P)分画 の害恰 が,有意 に 増 加 し て い た , こ れ ら の 結 果 は , ロ ケ マ ウ ス の 烈KT細 胞 は ,DP細 胞 からa)心 あ る い はDNへ 分化出 来ない ことを 示唆す る.同 様の結 果は、1週齢の若齢ロケマウス, めマウスがホストの凹.PL うロ助 め′] ,賦竹 ゆうめ 伽胡キメラにおいても認められた.一方,ドナーの系統に関わらず ホスト がNIK健 常のB6.PLマウス である [B6うB6亅 q,お よび[ Mめ′うB6.PL]キメラでは,烈KT細胞分 化障害は認められなかった.
V.考察
本研究によって,ロケマウス胸腺におけるiNKI'細胞分化障害は,CD44" NKl.1' (stage1)からCD44msh NKl.1' (stage2)の移行段階にあることカ畔ij明した.この分化障害は,[B6.PLうaly/aly]キメラにおい て も 認め られ,NIIくの突 然変異 の影響 はNKl'前駆 細胞自 体では なく, 胸腺の 放射線 抵抗性基 質細胞 を 介 する ことが 示され た.ま たaly胸腺 におい ては, 未熟なDP iNKl'集団が 多数認 められ た.こ れら の 知 見は ,iNKl'細 胞 がDPか らCD4+あ る いはDNス テー ジ ヘと 進行す るとい う報告に 適合し ており , CD44とNKl.1発現で 見られ たと同様 、iNKl'細 胞カ馮 !も未 熟な段 階で分化 停止し ていることを支持す る.a0マウス と同様,iNKI'細胞分化障害に胸腺の構築異常を伴うマウスとして,lymphotox:in (LT)a゜ I´TB,Remな ど の ノッ ク ア ウ トマウ スカ洳 られてbゝる. これら の遺伝 子産物 は,NIKと ともに 烈KT 細 胞 生成 に 必 須 なL1b1陀 シ グ ナル 経路を 構成し ている .すな わち, ボKT細胞 分化に は,くI那→upR
→NK→KK→RelB冫 シ グ ナ ル伝 達 経 路 が重 要 な 役 割を 果 た し てい る と 考 えら れ る .MKはp5孤渤Bヘ テ 口 ダイ マーを 活性化 し,胸 腺髄質ヒ 皮細胞 などの 放射線 抵抗性 の胸腺 ストロ ーマに 未知の因 子Xの 発 現 を誘 導 し , この 未 知 の スト ロー マ因子Xが 1 ̄CRを介 してDP胸 腺細胞 上のCDld分 子によ って 正 の 選択 を 受 け たボKT細胞 の ,sta踟1からsta舮2へ の移行 の駆動カ として 機能す るので はない かと 考え ている .ただし 本研究 におい て,ごく一部ではあるが ゆマウス胸腺にsta舮3の細胞が出現した.
恐 ら く ,I那R以 外 の 経 路 で 微 量 生 成 したp5加kmが 機 能 する か ,MAPK系 な どの 別 の シ グナ ル 伝 達 系 カ 乍用 す る と 考え て い る .今 後. 刑KT細胞 の分イb趨熱に 必須の,I那剛NI尉RelB系依 存性の 因子 Xの探索と,その作用メカニズムの解明が必要である.
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学位論文審査の要旨 主査 教授 小野江和則 副査 教 授 上出 利光 副査 教 授 西村 孝司
学 位 論 文 題 名
胸 腺内 に おけ る NKT 前駆細胞 から NKT 細 胞 への 成 熟経 路の研 究
invariant NKl' QNKr冫 細胞 は , 感 染・ ア レ ル ギー ・自己 免疫・ 癌など で重要 な制御 機能を 発揮 す る こと が 明 ら かに さ れ つっ あるが ,分化 に関し ては不 明な点が 少ぬく ない. 一方,ALY/Nsc Jcl‑
alylalyマ ウ ス( 以 下a0マ ウ ス ) は,NFlKB血1ducingk血a闘ぶI均遺 伝 子 変 異により ,全身 のりン パ 節 とパ イ エ ル 板を 欠 損 し ,胸 腺 ・ 脾 臓の 構 築 異 常を 呈 す る マウ ス で あ る. 申請者 のグル ープで は ,aケ マウ ス のNKT細 胞mK1.11℃RB十 )分 化 障 害 を見 出 し た .た だ し ,aケマ ウスに おける ボKr 細胞 の分化 障害が どのス テップに 存在す るかな ど、詳 細な解 析は行 われて いなかった.そこで,ロケ マ ウ ス に お け る ボKT細 胞 分 化 障 害 の 時 期 、 分 化 メ カ ニ ズ ム を 解 明 す る こ と を 目 的 と し た ・ ボr細 胞 は , こ れ ら の 発 現 す るinv証antT細 胞 受 容体 ( 1℃R: マ ウ スで はVd14Jd8) を ,a‐ gmadosylcer. 捌dc負 荷CDld多 量 体. 缸 ‐GCCDld一teぬ …, ‐d畑 ) で 検出 し た.こ の甜GCCDld. dimcr十の分画を,CD44ゆNK1.1.(stagc1),CD44坤出NK1.1.くsセlgc2),aD44h蚰NK111゛(stagc3)の 3分化 段階細gc1・冫3) に分類 し、ロ ヶ,ロM十,野 生型く ニ57BL悟くB6;以下 ロ馴十とともに単に対 照群 と記す ),B6.Pし1hy111(B6.PL)の 各マウ ス(8〜12週齢) の胸腺 内各ポピュレーションを比 較 ・解析 した. 対照群 マウス の甜( ℃CDld一dぬ び胸腺 細胞の 大部分 はstagc3に 認められ たが, ロケ マ ウ スで はstagc1に認 め ら れ た. し た が って , ロ ヶ マウ ス 胸 腺 のlNKT細胞 の 分化経路 は,stagc1 か ら 囀e2へ の 段 階 で プ ロ ッ ク さ れ て い ると 推 測 さ れた . ま た 対照 群 の ボKT細 胞 は ,主 にCDザか CD4.CD8.(DN)であ ったが ,ロケ マウス ではCD4゛ およびDN分画カ ミ減少 し,CD4゛CD8゛(DP)未 熟 分 画 の 割 合 が 有 意 に 増 加 し てい た . っ まり , ロ ケ マウ ス の ボKT細 胞 は ,DP細 胞 からaX゛ ,あ る い はDNへ 分 化 出 来 な い こ と が 判 明 し た. こ れ ら の結 果 は , いず れ も ロ ヶマ ウ ス の ボKr細 胞 が 初期段階で分化停止することを示す.
次に ,ロケ あるい は´・6.PLマウ スのT細 脆蝋法 骨髄細 胞を, 致死線 量(9(お)X線照射したレシ ピ ェント マウス ( ケ あるい はB6.PI凧y1.1マ ウス)に 静注し ,骨髄 キメラ を作製 した(B6.PLド ナ ー ,ロ ヶ レ シ ピェ ン ト の キメ ラ を [B6PLう ロ胡 の よ う に表 す ) . 再建 後8〜12週 の[B6JLう ロM 胸 腺 に お い て ,a.GCCDld.dぬ ォ 細 胞 のstagc1か らstage2へ ,DPか らaM゛ ま た はDN分 画 へ の分化にプ口ックが認められた.−・カ,ホストがNIK健常のB6.PLマウスの、[B6.P′・冫B6.PL],
お よ び [ ロ ケ うB6. PL] キ メ ラ で は , fM汀 細 胞 の 分 化 障 害 は 認 め ら れ な か っ た . こ れ ら の 研 究 か ら , ボKT細 胞 分 化 には , くI那 →LTBR→MK→IKK→RelB〉シ グ ナ ル 伝達 経 路 が −505―
重 要で,NIKはp52/ReBヘテロ ダイマ ーを活性 化し, 胸腺上皮細胞に未知の因子Xの発現を生ず る こと,こ の未知 因子Xがs蛾gc1か らstage2への刑KT細胞分化を誘導すること,そしてロケマ ウスではNK変異のため因子Xが産生されないと考えられた.
口頭発表後、副査の上出利光教授より、胸腺上皮細胞により提供される成熟シグナルの候補と なる分子とその研究法について、次いで副査の西村孝司教授より、aケマウスにおけるCDld発現 量について、前駆細胞の各ステージにおける機能差について質問があったシ最後に,主査の小野 江 教授より 米国の 研究室からのaケマウスsta踟3M汀細胞の報告と、本研究の結果との乖離の理 由について質問があった。いずれの質問に対しても申請者は、現在進行している実験の予備的な 結果や、他の研究者からの報告を引用し、適切に回答した.
この論文は、ロケマウスにおけるポKr細胞分化異常を明らかにしただけではなく、stagclM汀 前駆細胞に胸腺上皮細胞由来の成熟シグナルが作用してsta.gc2へ分化するという新規のメカニズ ムを提示したことで高く評価され、今後このシステムを用いたNKT細胞成熟シグナルの全容解明 が期待される・
審 査員一同 は、こ れらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位なども併せ、
申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た .
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