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学位論文題名プリン受容体の作用とその薬理学的分類

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Academic year: 2021

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博 士 ( 獣 医 学 ) 乙 黒 兼 一

     学位論文題名

プリン受容体の作用とその薬理学的分類

―モルモット副腎髄質細胞とラット胃輪走筋を用いた研究―

学位論文内容の要旨

  モ ル モ ッ ト 分 離 副 腎 髄 質 細 胞 で はATPの 電 位 依 存 性Ca2゛ チ ャ ネ ルに 与 え る 影 響 に つ い て , ま た ラ ッ ト 胃 輪 走 筋 で はATPが 平 滑 筋 の 機 械 的 反 応 に与 え る 影 響 と そ の 受 容 体 の 薬 理 学 的 分 類 に つ い て 検 討 し , そ れ ぞ れ 以 下 の 成 績 を 得 た ・

1. モ ル モ ッ ト 副 腎 髄 質 を 用 い た 実 験 に お い て , 膜 電 位 固定(‑70 mV)し た 細 胞 で ,ATP (500yM)は 内 向 き 電 流 反 応(IATP), 細 胞 内Ca2゛ 濃 度 の 上 昇 及 び 電 位 依存性Ca2゛電流(たョ)の抑制を引き起こした.

2. 0.1又 はlmM EGTAを 含 む 細胞 内 液 を 用 い る と ,ATPはIATPの 大 き さ に 相 関 し てちュを抑制したが.  10 mM EGTAを用いると,ムェ,の大きさに関わらずほぼ一定 の割合でIcヨを抑制した.

3. ATP(100メM)は電 位依 存性Ba2゛電 流( ちュ) を抑 制し ,この 抑制 効果 は細胞 内 へ のGTPyS(100 ptM)又 はGDP[3S(1mM)の 適 用 , あ る い は 直 前 に+100 mV への強い脱分極パルスを与えることによって減少した.、

4・ ちョに 対す る抑帝IJ効果はADP,AMP,adenosineでも見られ,adenosineカミ最も 強 しゝ 力価 を示 した.またadenosineとAMPは,nicotine (50 ptM)によるadrenaline 分泌を抑制した.

5. ラ ッ ト 胃 輪 走 筋 を 用 い た実 験 に お い て ,acetylcholine(1IiM)で収 縮さ せた 標 本 で ,ATP,2・methylthioATP (2MeATP),Q,f3‑methyleneATP(Q,f3meATP) 及 びadenosineは 濃 度 依 存 性に 弛 緩 反 応 を 引 き 起 こ し ,Q,[ meATPが最 も強 いカ 価を示した.UTPは小さな弛緩反応しか生じなかった.

6. 8‑Phenyltheophylline (3UM)はadenosineの 弛緩 反応を 抑制 した カミ、ATPと

‑ 912 ‑

(2)

Q , 3meATP の弛緩反応は抑制しなかった。 Reactive blue2(RB2:1 及び 3 メM) と suramln (10‑100 メM )はATP とQ , li meATP の弛緩反応を抑制した.PPADS.

(3 ,30 yM) とDIDS (10 。100 ルM )はATP の弛緩反応に影響を与えず、a ,pmeATP の弛緩反応を抑制した。

7 .  ATP と Q , f meATP の 弛緩 反 応 は apamin (0.3 piM) で抑 制 さ れ た . 8 .静止張カの標本で,ATP 及び関連物質は, 2MeATP 〉〉 ATP ≧UDP ‑ UTP ≧ ATPyS 〉〉 Q , f3meATP 〉 adenosine のカ価 順で収 縮反 応を引き起こした.

9 .  RB2 ( 1 ゛及 び 3 メ M )及び suramln ( 10‑100 yM) は ATP と UTP の収縮反応 を抑制した.   PPADS (30 pM) はATP ¢醺商は抑制せず,UTP 収縮を抑制した.

10. ATP 収 縮は 2MeATP 又 は ATPyS に よる脱 感作 で強く 抑制さ れたが , UTP による脱感作ではわずかな抑制しか見られなかった.一方,UTP 収縮はATP , 2MeATP 又 は ATPyS の 脱 感 作 に よ っ て 全 く 抑 制 を さ れ な か っ た . 11‑ ATP と UTP の収縮反応は外液 Ca2 ゛除去,又は nifedipine (1 ルM) によっ て抑制された.

   以上の結果よルモルモット副腎髄質細胞では,ATP はCa2 ゛による電位依存性 Ca2 ゛チャネルの不活化と,GTP 結合蛋白質を介するCa2 ゛チャネルの抑制を引き 起こすことが示唆された.また,モルモット副腎髄質細胞には,P ユとP :受容体 が混在していると考えられる.ラット胃輪走筋では,ATP とQ ,[ meATP はそれ ぞれ異なる P2 受容体を介して弛緩反応を起こし,この反応にはapamin 感受性 K ゛チャネルが関与していることが示唆された。またATP はP2Y 受容体,UTP は ピリミジン受容体を介して収縮を生じ,この収縮反応は電位依存性Ca2 ゛チャネ ル を 介 す る Ca2 ゛ 流 入 に よ っ て 生 じ て い る こ と が 示 唆 さ れ た ,    副腎髄質細胞及び胃平滑筋細胞にはプリン及びピリミジン受容体が複数存在 し,ATP や関連物質が伝達物質としての機能を果たしていると考えられる.

‑ 913―

(3)

学位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

中 里 幸 和 葉 原 芳 昭 岩 永 敏 彦 伊 藤 茂 男

    学位論文題名

  プリン受容体の作用とその薬理学的分類

―モルモット副腎髄質細胞とラット胃輪走筋を用いた研究一

  1.′モルモット分離副腎髄質細胞とラット胃輪走筋を用い,それぞれATPの電位依存 性Ca2十チャネルに対する作用,及びATPによる機械的反応と受容体の薬理学的分類につ いて検討し,以下の成績を得た.

  2.膜電位固定(―70mV)したモルモット副腎髄質細胞で,ATP(500ルM)は内向 き電流反応(エ蝦P),細胞内Ca2十濃度の上昇及び電位依存性Ca2十電流(b)の抑制を 引き起こした,細胞内にO.1又は1mMEGTAを適用すると,ATPはら汀Pの大きさに相関 してbを抑制したが,10mMEGI、Aを用いると,らLTPの大きさに関わらず一定の割合で bを抑制した.ATP(100メM)は電位依存性Ba2十電流(矼)を抑制し,この抑制効果 は 細 胞 内へ のGTRS(100ルM) 又 はGDP晦 (1mM) の適 用, 又は 十100mVへの脱 分 極パルスを与えることで減少した.

  3.Acetylchonne(1メM) で収 縮さ せた胃 輪走 筋標 本で ,ATP,2ーmethylthio ATP(2MeATP),Q,p―methyleneATP(Q,pmeATP)は濃度依存性の弛緩反応を生 じ ,Q,pmeATPが 最も 強いカ 価を 示し た.ReaCtiveblue2(RB2,1及び3メM) と suramin(10ー100ルM) はATPとa,pmeATPの弛緩を抑制した.PPADS(3―30メM) とDIDS(10一100〆M)はATPの弛緩に影響を与えず、a,pmeATPの弛緩を抑制した.

  4.静止張カの胃輪走筋標本では,2MeATP冫冫ATP≧UTP≧ATPYS冫冫Q,pmeA.TP のカ価順で収縮反応が生じた.RB2(1及び3ルM)及びsuramin(10−100メM)はATP とUTPの 収縮 を抑 制した .PR。DS(30メM)はATP収縮は抑制せず,UTP収縮を抑制 した .ATP収 縮は2MeATP又はATPYSに よる 脱感 作で強 く抑 制さ れたが,UTPによる 脱感 作で はわず かな 抑制 しか 見られ なか った .UTP収 縮はATP,2MeATP又はATPYS の脱感作によって全く抑制をされなかった.

  以上本論文では,副腎髄質細胞と胃輪走筋で,それぞれATPはCa2十による不活化と,

GTP結 合 蛋 白 を 介 す る 電 位 依 存 性Ca2十 チ ャ ネ ル の抑 制 を 起 こ す こ と ,ATPと

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Q,[3meATPはそれぞれ異なるP2受容体を介して弛緩を,P2Y受容体およびUTPはピリミ ジン受容体を介して収縮を生じることが初めて示された.よって審査委員一同は、乙黒 兼一氏は、博士(獣医学)の学位を受けるのに十分の資格を有するものと認めた.

参照

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