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大学キャンパスの浸透性に寄与するオープンスペースの評価指標に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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1. はじめに 1-1 研究の背景  大学は、教育と研究が行われる場であるとともに、こ れに関わる人々が日常的に生活をする環境である。近年、 大学キャンパス空間の質や豊かさが重要視されている。  キャンパス空間の豊かさに寄与する要素として、オー プンスペース(以下 OS注 1) )を挙げることが出来る。大 学キャンパスにおける OS の役割には、憩い、交流、学習 など学生や教職員をはじめキャンパスを利用するコミュ ニティの様々なアクティビティを生み出し支える機能、 建物の配置を制御する外部空間としての機能、景観の継 承と形成、緑地環境の保全機能などがある。個々の OS が 有機的に連続しキャンパス空間の骨格を形成し、周辺市 街地を含めた広域的なネットワークをつくり多様な活動 を生み出す魅力的な環境をつくり出している大学は多い。  日本におけるこれまでのキャンパス計画では、建物 個々の建設に主眼を置き、OS の対処療法的な整備によっ て、キャンパスにおける OS に高い価値が見出されず重 要視されてこなかったことをふまえ、近年その空間の質 の向上に向けた調査・研究が重ねられている。  また、空間の魅力に寄与する要素の一つに、浸透性 (Permeability: パーミアビリティ)という概念がある。 歩行者の浸透性が高いまちや空間は、人々が隅々まで行 き渡り、コミュニティの活性化、防犯性能向上などの点 でメリットがあるとされる。浸透性の高い都市は、その 都市空間の魅力が高いと言われており、これは都市だけ でなくキャンパス環境においても同様である。 1-2 研究の目的  本研究は、浸透性という観点から大学キャンパスの OS の空間構成に着目し、世界の大学キャンパスを対象 として、浸透性の高い魅力的なキャンパス環境に寄与す る OS の構成とその評価手法を明らかにすることを目的 とする。 1-3 既往研究  OS の評価手法に関する研究には、石田らの、屋外空 間評価のための壁面延長線を用いた単位空間設定と「開 放感 - 閉鎖感」に関わる指標を構築した研究3) などが ある。また、浸透性に関する研究には、松永らの街区の 規模と街路の階層性からパーミアビリティ(浸透性)を 検討した研究5) などがあるが、キャンパス空間を浸透 性の視点から評価分析を行った研究は見られない。 2. 研究の方法 2-1 研究のフロー(図 1)  本研究では、研究対象となる大学を抽出し、地図資料 等を収集したのち、土地利用による分析を行い、クラス ター分析を用いて対象大学をいくつかのパターンに分類 する(3 章)。次に、それぞれのパターンの代表校を抽 出し、キャンパス内の OS の構成について詳しく分析を 行い(4 章)、考察を行う(5 章)。 2-2 用語の定義:浸透性(Permeability)  パーミアビリティとは、浸透性や透過性という意味の 言葉で、Ian Bentley により " 行きやすさ " という空間 特性として記述されている4) 。パーミアビリティの特徴 的な概念として「歩行者にとってわかりやすく明確な空 間構成、経路選択性が高い、街路密度が高い」などがあ り、都市空間において人々がまちの隅々まで行き渡りや すい所を浸透性が高い所として定義している。  本研究では、このパーミアビリティの概念をキャンパ ス空間に適用し、キャンパス空間における人々の行き渡 り易さ(浸透性)を評価する。 2-3 研究の対象  対象大学の選出にあたり、世界の大学ランキングを実 施している著名な 3 つの機関によるそれぞれのランキン グの上位 100 位に入っている 146 校を抽出した。このう

大学キャンパスの浸透性に寄与するオープンスペースの評価指標に関する研究

吉田 健志 15-1 ◊✲ࡢ⫼ᬒ ◊✲ࡢ┠ⓗ  ❶ࠉᅵᆅ฼⏝࡟ࡼࡿࣃࢱ࣮ࣥศ㢮ࠉ  ❶ࠉ26 ࡢ✵㛫ᵓᡂ࡟ࡼࡿヲ⣽ศᯒ  ❶ࠉࡲ࡜ࡵ࡜⪃ᐹ ࣭࢟ࣕࣥࣃࢫ✵㛫࡟࠾ࡅࡿ 26 ࡢ㔜せᛶ ࣭ࡇࢀࡲ࡛ࡢ᪥ᮏࡢ࢟ࣕࣥࣃࢫィ⏬࡟࠾ࡅࡿၥ㢟Ⅼ ࣭✵㛫ࡢ㨩ຊ࡟ᐤ୚ࡍࡿᾐ㏱ᛶ࡜࠸࠺✵㛫≉ᛶ ࣭࢟ࣕࣥࣃࢫ⎔ቃࡢᾐ㏱ᛶ࡟࠾ࡅࡿ 26 ࡢ✵㛫ᵓᡂࢆ᫂ࡽ࠿࡟ࡍࡿ ࣭26 ࢆศᯒࡍࡿⅭࡢ᭷⏝࡞ᣦᶆࡢ⪃᱌ ࣭ࣛࣥ࢟ࣥࢢࢆ⏝࠸ࡓ◊✲ᑐ㇟኱Ꮫࡢᢳฟ㸦 ᰯ㸧 ࣭ᆅᅗ㈨ᩱࡢ཰㞟㸦࢟ࣕࣥࣃࢫ࣐ࢵࣉࠊ*RRJOH0DS͐㸧 ࣭P ࣓ࢵࢩࣗࢆ⏝࠸ࡓ✵㛫ᵓᡂࡢศᯒ ࣭ࢡࣛࢫࢱ࣮ศᯒ࡟ࡼࡿࣃࢱ࣮ࣥศ㢮 ࣭ྛࣃࢱ࣮ࣥࡢ௦⾲ᰯ࡜᪥ᮏࡢ኱Ꮫࡢヲ⣽ศᯒ ࣭P ࣓ࢵࢩࣗ࡟ࡼࡿྍ౵ 26 ࡢ༨᭷⋡ ࣭ྍ౵㡿ᇦࣂࢵࣇ࢓ࢆ⏝࠸ࡓ 26 ࡢつᶍ࡜㐃⥆ᛶ 図 1 研究のフロー

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ち、3 つのランキングすべてに含まれている大学 54 校、 いずれか 2 つに含まれている大学 47 校に、参考のため に九州大学箱崎地区及び伊都地区を対象として追加し た、計 103 校を対象として分析を行う(表 1)。  これらの対象大学について、Googlemap 等の WEB 上で 入手できる地図及び航空写真、各大学のキャンパスマッ プを地図資料として用いる。地図の対象範囲は、大学所 在地を中央として 400m 四方の範囲を抽出してサンプル エリアとして、OS の空間構成を分析する注 2) 。 3. 土地利用によるパターン分類  3 章では、全 103 校の大学を対象に、サンプル内の土 地利用を集計し、その数値に基づきクラスター分析を用 いてパターンに分類を行う。 3-1 地図資料の分析 ( 図 2、表 2)  収集した各大学の地図資料に 40m メッシュ注 3) をかけ、 それぞれのメッシュにおける①建物、②緑地・広場、③ 道路・駐車場、④水面のうち最も高い割合を占める要素 を計測する(土地利用メッシュ集計)。次に、地図資料 から建物をトレースし、建物と OS のピクセル数の割合 を算定する(図と地の単純集計)。 3-2 クラスター分析によるパターン分類  次にクラスター分析(ウォード法)を用いて土地利用メッ シュ集計によって得られた数値を使い、103 校分のサンプ ルを土地利用をもとに 5 つのグループに分類した(表 3)。 ①道路・駐車場の割合が比較的高いグループ (32 校)  ex) ハーバード大学 ( 米 )、京都大学(日)、等 ②建物割合が高く緑地・広場割合が低いグループ(15 校)  ex) ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン ( 英 )、等 ③各要素が均衡するグループ (20 校)  ex)UCLA(米)、東京大学 ( 日 )、等 ④緑地・広場の割合が高いグループ(27 校)  ex) オックスフォード大学 ( 英 )、トロント大学 ( 加 )、等 ⑤エリア内に比較的多くの水面を有するグループ(9 校)  ex) ボストン大学 ( 米 )、ケンブリッジ大学 ( 英 )、等  各グループの所在国・地域別内訳をみると、グループ ②の 87%(15 校中 13 校)は欧州の大学となっており、 都市内大学や建物密度が高い大学が多い。グループ④に 分類された大学はサンプルエリア内にまとまった大きな OS を持っており、整備された緑地や、ランドスケープ としての敷地周辺の自然環境等が影響している。また、 東京大学を除く日本の大学(京都大学、大阪大学、九州 大学箱崎・伊都)はグループ①に分類されている。 4. オープンスペースの空間構成による分析  3 章で分類した各グループから、それぞれの特徴を表 している代表校を抽出し、OS の浸透性に関する分析を 行う。また、日本の大学との空間構成の比較を行うため に、東京大学 ( グループ③ )、京都大学 ( グループ① )、 九州大学箱崎地区 ( グループ① ) の 3 校を加え、計 8 校 分のサンプルエリアの詳細分析を行った ( 表 4)。 4-1 詳細分析の着眼点と分析項目 ( 評価指標 )  浸透性に寄与する OS の特性として、歩行者が立ち入 れる空間(可侵領域注 4) )が多いことや、空間が明確で わかりやすいことなどが挙げられるが4) 、これをもとに、 (1) 可侵 OS の占有率、(2)OS の規模とまとまり、(3)OS の連続性を指標として、浸透性の視点から考察する。 (1)可侵 OS 占有率  [ 単位面積注 5)あたりの可侵領域の面積の比率(%)] 15-2 ໭⡿ 㻠㻢㻑䠄㻠㻣ᰯ䠅 Ḣᕞ 㻟㻠㻑䠄㻟㻠ᰯ䠅 䡭䡸䢚䡭䡡䡱䡺䡭䢂䡭 㻞㻜㻑䠄㻞㻜ᰯ䠅 ໭⡿ 㻡㻢㻑䠄㻡㻢ᰯ䠅 Ḣᕞ 㻟㻟㻑䠄㻟㻟ᰯ䠅 䡭䡸䢚䡭䡡䡱䡺䡭䢂䡭 㻝㻝㻑䠄㻝㻝ᰯ䠅 ィ㻝㻜㻜ᰯ ໭⡿ 㻡㻝㻑䠄㻡㻞ᰯ䠅 Ḣᕞ 㻟㻞㻑䠄㻟㻞ᰯ䠅 䡭䡸䢚䡭䡡䡱䡺䡭䢂䡭 㻝㻣㻑䠄㻝㻣ᰯ䠅 ィ㻝㻜㻝ᰯ ໭⡿ 㻟㻠㻑䠄㻟㻠ᰯ䠅 Ḣᕞ 㻟㻥㻑䠄㻟㻥ᰯ䠅 䡭䡸䢚䡭䡡䡱䡺䡭䢂䡭 㻞㻣㻑䠄㻞㻣ᰯ䠅 ィ㻝㻜㻜ᰯ 䜲䜼䝸䝇䠖኱Ꮫホ౯ᶵ㛵䠖䜽䜰䜽䜰䝺䝸䞉䝅䝰䞁䝈♫㻔㻞㻜㻝㻞㻕 䐡㻽㻿ୡ⏺኱Ꮫ䝷䞁䜻䞁䜾䚷㼀㼔㼑㻌㼀㼕㼙㼑㼟㻌㻴㼕㼐㼔㼑㼞㻌㻱㼐㼡㼏㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻙㻌㻽㼡㼍㼏㼝㼡㼍㼞㼑㼘㼘㼕㻌㻿㼥㼙㼛㼚㼐㼟㻌㻦㻌㼀㻴㻱㻙㻽㻿 䐠㼀㻴㻱㻌ୡ⏺኱Ꮫ䝷䞁䜻䞁䜾䚷㼀㼔㼑㻌㼀㼕㼙㼑㼟㻌㻴㼕㼓㼔㼑㼞㻌㻱㼐㼡㼏㼍㼠㼕㼛㼚㻌㻙㻌㼀㼔㼛㼙㼟㼛㼚㻌㻾㼑㼡㼠㼑㼞㼟㻌㻦㻌㼀㻴㻱㻙㼀㻾 䐟ୡ⏺኱ᏛᏛ⾡䝷䞁䜻䞁䜾䚷㻭㼏㼍㼐㼑㼙㼕㼏㻌㻾㼍㼚㼗㼕㼚㼓㻌㼛㼒㻌㼃㼛㼞㼘㼐㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼕㼑㼟㻌㻦㻌㻭㻾㼃㼁 ୰ᅜ䠖ୖᾏ஺㏻኱Ꮫ䠖㧗➼ᩍ⫱◊✲ᡤ䞉ୡ⏺୍ὶ኱Ꮫ◊✲䝉䞁䝍䞊㻔㻞㻜㻝㻟㻕 䜲䜼䝸䝇䠖㧗➼ᩍ⫱ᑓ㛛㐌หㄅ䛂䝍䜲䝮䝈䞉䝝䜲䜰䞊䞉䜶䝕䝳䜿䞊䝅䝵䞁䛃㻔㻞㻜㻝㻞㻙㻞㻜㻝㻟㻕 䚷䚷䊻◊✲ᑐ㇟኱Ꮫ㻔㻝㻜㻝ᰯ㻕䛾ᡤᅾᅜෆヂ䠄㔜」䜢⪃៖䠅 ィ㻝㻜㻝ᰯ 表 1 大学ランキング一覧 (100 位までの内訳 ) 䐟ᆅᅗ㈨ᩱཬ䜃⯟✵෗┿䜢཰㞟䛩䜛䚹䈜ᚲせ䛻ᛂ䛨䛶ྛ኱Ꮫ䛾䜻䝱䞁䝟䝇䝬䝑䝥䜢ཧ↷ 䐡ᘓ≀䜢䝖䝺䞊䝇䛧䚸 ᅗ䛸ᆅ䛾⏬ീ䜢సᡂ䚹 䊻ᅗ䛸ᆅ䛾༢⣧㞟ィ 㻔 䝢䜽䝉䝹ᩘ䜢ィ  㻕 䐠㻠㻜㼙䢎䡫䡸䡩䜢䛛䛡䚸 䛭䜜䛮䜜䛾䢎䡫䡸䡩ෆ䛷 ᭱䜒ከ䛔せ⣲䜢ᢳฟ䛧䛶㞟ィ䛩䜛䚹 䊻ᅵᆅ฼⏝䝯䝑䝅䝳㞟ィ 図 2 40m メッシュによる計測 表 2 土地利用メッシュ集計及び図と地の単純集計結果 (ID1 ~ 5) と対象大学すべての平均・最大値・最小値 (103 校 ) 㻝㻴㼍㼞㼢㼍㼞㼐㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥 㻞㻤 㻠㻢 㻞㻢 㻜 㻞㻤 㻣㻞 㻞㻤 㻣㻞 㻞㻿㼠㼍㼚㼒㼛㼞㼐㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥 㻟㻣 㻠㻣 㻝㻢 㻜 㻟㻣 㻢㻟 㻟㻡 㻢㻡 㻟㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥㻌㼛㼒㻌㻯㼍㼘㼕㼒㼛㼞㼚㼕㼍㻘㻌㻮㼑㼞㼗㼑㼘㼑㼥 㻣 㻤㻞 㻝㻝 㻜 㻣 㻥㻟 㻣 㻥㻟 㻠㻹㼍㼟㼟㼍㼏㼔㼡㼟㼑㼠㼠㼟㻌㻵㼚㼟㼠㼕㼠㼡㼠㼑㻌㼛㼒㻌㼀㼑㼏㼔㼚㼛㼘㼛㼓㼥㻌㻔㻹㻵㼀㻕 㻠㻣 㻝㻤 㻟㻡 㻜 㻠㻣 㻡㻟 㻠㻜 㻢㻜 㻡㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥㻌㼛㼒㻌㻯㼍㼙㼎㼞㼕㼐㼓㼑 㻠㻜 㻠㻜 㻝㻝 㻥 㻠㻜 㻢㻜 㻟㻥 㻢㻝 䈈 䈈 䈈 䈈 䛩䜉䛶䠄㻝㻜㻟ᰯ䠅䛾ᖹᆒ್㻞㻥㻚㻡 㻠㻤㻚㻟 㻞㻜㻚㻢 㻝㻚㻢 㻞㻥㻚㻡 㻣㻜㻚㻡 㻟㻜 㻣㻜 䛩䜉䛶䛾᭱኱್ 㻣㻠 㻤㻞 㻠㻠 㻞㻞 㻣㻠 㻥㻤 㻢㻡 㻥㻠 䛩䜉䛶䛾᭱ᑠ್ 㻞 㻝㻝 㻟 㻜 㻞 㻞㻢 㻢 㻟㻡 㻻㻿㻑 㻔ᆅ㻕 䐠ᅗ䛸ᆅ䛾༢⣧㞟ィ 㻮㻸㻰㻑 㻻㻿㻑 䐟ᅵᆅ฼⏝䝯䝑䝅䝳㞟ィ䠄䝯䝑䝅䝳ᩘ䠅 㻵㻰 ኱Ꮫྡ ᘓ≀㻑 㻔ᅗ㻕 ⥳ᆅ ᗈሙ 㐨㊰ 㥔㌴ Ỉ㠃 ᘓ≀ ᘓ≀ ⥳ᆅ䞉ᗈሙ 㐨㊰䞉㥔㌴ሙ Ỉ㠃 䜾䝹䞊䝥䐟 㻞㻢㻚㻡㻥 㻠㻞㻚㻥㻠 㻟㻜㻚㻟㻝 㻜㻚㻝㻢 䜾䝹䞊䝥䐠 㻡㻟㻚㻟㻟 㻞㻞㻚㻞㻜 㻞㻟㻚㻜㻜 㻝㻚㻠㻣 䜾䝹䞊䝥䐡 㻟㻠㻚㻝㻡 㻡㻜㻚㻤㻜 㻝㻠㻚㻥㻡 㻜㻚㻝㻜 䜾䝹䞊䝥䐢 㻝㻣㻚㻥㻢 㻢㻤㻚㻢㻣 㻝㻟㻚㻟㻟 㻜㻚㻜㻠 䜾䝹䞊䝥䐣 㻞㻠㻚㻤㻥 㻠㻠㻚㻞㻞 㻝㻡㻚㻤㻥 㻝㻡㻚㻜㻜 ᖹᆒ 㻞㻥㻚㻡㻠 㻠㻤㻚㻟㻜 㻞㻜㻚㻡㻡 㻝㻚㻢㻜 表 3 各クラスターの平均値

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対象空間において人々が行き交うことが出来る領域がど れくらいあるのかを表す指標。 (2)OS の規模とまとまり  20m グリッドの交点から可侵領域に発生させたバッ ファ注 6)の面積別比率及びその個数。 (3)OS の連続性  バッファのかたまり(バッファクラスタ)毎のそれぞ れの面積に対するバッファに含有されるグリッド交点の 数。さらに、OS 同士のつながり、動線や周辺市街地と の関係をみながら、OS の連続性に関する考察を行う。 4-2 20m メッシュによる可侵 OS 占有率 ( 図 4、図 6)  図 4:【① 1】【④ 27】のサンプルエリアには他と比べ ると OS 占有率の高いメッシュが多く、まとまった OS を 有していることがわかる。【② 36】【① 147】【① 25】は 80% 以上の割合が少ない。 4-3 可侵領域バッファを用いた OS の規模と連続性 ( 図 7)  重なり合うバッファ同士を統合する前の単独バッファ の面積別比率をみると ( 表 5)、【① 1】【④ 27】は 3000 ㎡以上のバッファを複数有しており、大規模な OS を有 していることがわかる。【③ 6】【③ 20】は中規模のバッ ファが比較的多い。一方、【② 36】【① 147】は 0-499 ㎡ の小規模なバッファが多く、OS の規模が全体的に小さ い傾向がある。  統合前後のバッファの総数の関係をみると ( 表 6)、【① 1】【④ 27】は統合前のバッファ総数が多く、【② 36】【① 147】【① 25】は統合後のバッファ総数が多い。これは、 後者は OS のまとまりを形成しにくいということを表し ている。  統合後のバッファクラスタの面積 - 含有交点数をみる と ( 図 5)、【① 1】【④ 27】【③ 6】【③ 20】は大~中規 模の OS のまとまりを複数個有していることが特徴とし て挙げられる。【② 36】【① 147】は、大規模な OS をも たず、小規模なバッファクラスタを多く有している。 4-4 OS の分類  8 校の評価結果をみると、その傾向からサンプルを 3 つの型に分類することが出来る ( 表 7)。 A:中庭型【① 1】【④ 27】 →中~大規模の広場的な OS のまとまりを繋ぐように小 規模な OS によって OS のネットワークを形成しているグ ループ。建物はこの OS を囲むように配置され、建物の 前面と背面がわかりやすく大規模な OS が公共性の高い 共用空間となっている。キャンパスの核となる明確な空 間構成を持ち、浸透性は比較的高いと言える。 B:軸線型【③ 6】【③ 20】【⑤ 52】 →線状に連続する広場等の中規模な OS のまとまりを骨 格として、OS のネットワークを形成しているグループ。 骨 格 を 成 す OS を も と に 周 辺 の OS とのネットワークを形成している。 キャンパス内に人々が行き渡りやす く、歩行者の浸透性は高いと考えら れる。 C: 分散型【② 36】【① 147】【① 25】 →核や骨格となる程の OS のまとまり を持たず、小規模な OS が比較的多く、 15-3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 ձ մ 66261 175 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 ճ ճ 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 ղ ձ ࣂࢵࣇ࢓ࢡࣛࢫࢱࡢ㠃✚ ੍ ྵ᭷஺Ⅼᩘ ಶ 図 5 バッファクラスタ 面積 - 含有交点数 ձ մ ղ ձ ձ ճ ճ յ                                 ϨࠉϩࠉϪࠉϫ Ϩ㸸ࣂࢵࣇ࢓⥲ᩘ ϩ㸸ࣂࢵࣇ࢓ࢡࣛࢫࢱ⥲ᩘ Ϫ㸸⤫ྜᚋࣂࢵࣇ࢓ᩘ ϫ㸸㠃✚  ੍௨ୖ 㻜㻙 㻣㻝 㻡㻝 㻤㻤 㻤㻜 㻤㻢 㻢㻥 㻣㻡 㻣㻞 㻡㻜㻜㻙 㻝㻞 㻝㻠 㻡 㻝㻜 㻡 㻞㻜 㻝㻡 㻝㻡 㻝㻜㻜㻜㻙 㻥 㻝㻝 㻢 㻢 㻢 㻝㻜 㻢 㻝㻜 㻞㻜㻜㻜㻙 㻟 㻤 㻝 㻟 㻝 㻝 㻠 㻞 㻟㻜㻜㻜㻙 㻠 㻡 㻜 㻝 㻜 㻜 㻜 㻝 㻠㻜㻜㻜㻙 㻝 㻞 㻜 㻜 㻝 㻜 㻜 㻜 㻡㻜㻜㻜㻙 㻜 㻥 㻜 㻜 㻝 㻜 㻜 㻜 ձ  մ ղ ձ ձ ճ ճ յ 㠃✚ ੍ 0% 20 40 60 80 100 䐟1 䐢27 䐠36 䐟147 䐟25 䐡6 䐡20 䐣52 80%- 60%- 40%- 2 0%-ᖹᆒ 図 4 可侵 OS 占有率 表 5 単独バッファの面積別比率 (%) 表 6 バッファの統計 ᘓ≀ ⥳ᆅᗈሙ 㥔㌴ሙ㐨㊰ Ỉ㠃 ᅵᆅ฼⏝䝯䝑䝅䝳㞟ィ䠄䝯䝑䝅䝳ᩘ䠅 䜽䝷䝇䝍 ศ㢮 㻟❶ 㻵㻰 ኱Ꮫྡ ᡤᅾᅜ タ⨨ බ⚾ ࢥ࣮ࢻ 䐟 㻝 㻴㼍㼞㼢㼍㼞㼐㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥 䜰䝯䝸䜹 㻝㻢㻟㻢 ⚾ 㻞㻤 㻠㻢 㻞㻢 㻜 䐟 㻞㻡 ி㒔኱Ꮫ ᪥ᮏ 㻝㻤㻥㻣 බ 㻟㻢 㻞㻡 㻟㻥 㻜 䐟 㻝㻠㻣 ஑ᕞ኱Ꮫ㻔⟽ᓮᆅ༊㻕 ᪥ᮏ 㻝㻥㻝㻝 බ 㻞㻡 㻟㻥 㻟㻢 㻜 䛆䐟㻝䛇 䛆䐟㻝㻠㻣䛇 䛆䐟㻞㻡䛇 䐠 㻟㻢 㼀㼔㼑㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥㻌㼛㼒㻌㻱㼐㼕㼚㼎㼡㼞㼓㼔 䜲䜼䝸䝇 㻝㻡㻤㻟 බ 㻡㻞 㻝㻝 㻟㻣 㻜 䐡 㻢 㻯㼍㼘㼕㼒㼛㼞㼚㼕㼍㻌㻵㼚㼟㼠㼕㼠㼡㼠㼑㻌㼛㼒㻌㼀㼑㼏㼔㼚㼛㼘㼛㼓㼥 䜰䝯䝸䜹 㻝㻤㻥㻝 ⚾ 㻟㻠 㻠㻤 㻝㻤 㻜 䐡 㻞㻜 ᮾி኱Ꮫ ᪥ᮏ 㻝㻤㻣㻣 බ 㻠㻝 㻡㻜 㻣 㻞 䛆䐡㻢䛇 䛆䐠㻟㻢䛇 䛆䐡㻞㻜䛇 䐢 㻞㻣 㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥㻌㼛㼒㻌㼀㼛㼞㼛㼚㼠㼛 䜹䝘䝎 㻝㻤㻡㻜 බ 㻞㻝 㻡㻣 㻞㻞 㻜 䐣 㻡㻞 㻮㼛㼟㼠㼛㼚㻌㼁㼚㼕㼢㼑㼞㼟㼕㼠㼥 䜰䝯䝸䜹 㻝㻤㻟㻥 ⚾ 㻞㻝 㻞㻟 㻟㻡 㻞㻝 䛆䐢㻞㻣䛇 䛆䐣㻡㻞䛇 表 4 詳細分析対象校一覧    P ᘓ≀ ሟ࣭ᰙ ᩜᆅෆື⥺ ᩜᆅእື⥺ ྍ౵㡿ᇦ㺨㺼㺍㺪㺅  ੍௨ୖ ྠ  ੍ᮍ‶ Ỉᇦ 㕲㐨     P 図 3 バッファを用いた分析の例 ( ハーバード大学 )

(4)

建物間の道路や比較的小規模な広場によって OS の連続性 が保たれているグループ。核や骨格にあたる空間を有し ているとは言えず、A、B に比べると空間のわかりやすさ は弱く、浸透性は低い。欧州の都市内の大学や建物密度 の高い大学、日本の大学(九州大学箱崎地区、京都大学) はこのグループに分類される。 5. まとめと考察  本研究では、103 校の大学のサンプルエリアを対象と して、浸透性という観点から OS による空間構成のパター ンを明らかにするために、OS 占有率、OS の規模、OS の 連続性という 3 つの指標を用いて、浸透性に寄与する OS の構成に関する評価分析を行った。  (1)40m メッシュを用いた土地利用分析によって 103 校 の対象大学を 5 つのグループに分類した。さらに、より 詳細な OS の分析を行うために、20m メッシュ及び可侵領 域バッファを用いて、サンプルの空間構成のパターンを その特徴から 3 つの型に分類した。  (2) 中庭型・軸線型の大学は、OS の連続性を重視した 計画であり、歩行者の浸透性が高く、一方、分散型は緑 地・広場などの OS による明確な空間構成がされていな いことから、浸透性は低い等の特徴を明らかにした。魅 力的なキャンパス環境を実現するためには、核や骨格を 成すような OS の効果的な配置が必要である。  (3) 九州大学箱崎地区、京都大学などの日本の大学は、 OS の構成を見ると分散型に分類され、ある程度の規模の まとまった OS( 緑地・広場等 ) が少ない点や、建物間の 道路的空間が主な OS となっている点などで、エディンバ ラ大学等の都市内大学の空間構成と共通する。  本研究では、構築した評価指標を用いて、大学キャン パスの浸透性に寄与する OS の空間構成のパターンを明ら かにすることが出来た。今後の展望として、より詳細に 浸透性を評価分析するための、ヒューマンスケールに基 づいた評価指標の構築が必要である。 15-4 【注】 注 1)…OS の定義:一般に OS は「都市や敷地内で、建物の建っていない土地。空地。」と されるが、本研究における OS も同様に、建物・施設が建っていない空間を OS として扱う。 注 2)…サンプルエリアの中央基準:原則、大学 HP に記載されている所在地の住所を範囲 の中央とし、この手順でピンが学外になった場合、大学名を入力し、ピンが落ちた点を 中央としている。周囲 400m 四方を抽出し、サンプルエリアとして分析に用いた。 注 3)…40m メッシュの根拠:同じ敷地の地図を用いて 20m、40m、80m の 3 種類のメッシ ュで分析を行い、20m での分析結果に対する 40m、80m の誤差を算出した。40m メッシュ の誤差は少なく、20m メッシュの分析結果とほぼ同内容の数値を得ることが出来たため、 本研究では 40m メッシュを用いて分析を行っている。 注 4)…可侵領域:歩行者が行き渡ることが出来る空間。本研究では、OS から水域を除い た空間のことを可侵領域としている。 注 5)…詳細分析 (4 章 ) では、より詳しく実態を捉えるために 20m メッシュによって OS の占有率を算出している。400 ㎡。 注 6)…可侵領域に発生させたバッファ:グリッドの交点を中心として円を描き、その円 の半径を徐々に拡大させながら、円が建物 ( または塀、柵、水域 ) に接したところで止 めた時の円。 【参考文献】 1) 小篠隆生:「オープンスペースを媒介とした大学キャンパスの計画システムに関する 研究」:1999,12. 2) 日本建築学会:「いまからのキャンパスづくり - 大学の将来戦略のためのキャンパス 計画とマネジメント -」:丸善出版株式会社:2011,11. 3) 石田陽子 , 萩島哲 , 坂井猛 , 有馬隆文 , 日高圭一郎:「屋外空間評価のための単位空 間設定と指標の構築~大学キャンパス等を実例として~」:日本建築学会大会学術講演 梗概集:2004,8.

4) 佐藤圭二:訳 Ian Bentley:著:「感応する環境 (RESPONSIVE ENVIRONMENTS)」:鹿 島出版社:2011,6. 5) 有野鉄平 , 山本聡 , 松永安光:「空間特性としてのパーミアビリティの視点から見た コンパクトシティの研究 その 2:パーミアビリティによる空間分析の有用性について」 日本建築学会大会学術講演梗概集 ,2005,919-920,2005,07. 6) 吉田健志 , 有馬隆文 , 鶴崎直樹 , 坂井猛:「都市の公的領域における浸透性に関する 研究」:日本建築学会大会学術講演梗概集 ,2012,9     P ձ㺨㺎㺨㺼㺎㺢㺼኱Ꮫ մ㺢㺹㺻㺢኱Ꮫ ճ㺔㺶㺪㺉㺷㺤㺏ᕤ⛉኱Ꮫ ճ ᮾி኱Ꮫ ղ㺒㺡㺼㺆㺻㺨㺼㺵኱Ꮫ ձ ஑ᕞ኱Ꮫ ࠙ࠚP㺰㺍㺚㺋࡟ࡼࡿྍ౵ 26 ༨᭷⋡ ༨᭷⋡ࡢ್࡟ࡼࡗ࡚  ẁ㝵ࡢ⃰ῐ࡛⾲⌧ࡋࡓࡶࡢࠋ ྍ౵ 26 ༨᭷⋡ ༢఩㺰㺍㺚㺋࠶ࡓࡾࡢྍ౵ 26 ࡢ㠃✚๭ྜ          P ࠙ࠚྍ౵㡿ᇦ㺨㺼㺍㺪㺅ࢆ⏝࠸ࡓ 26 ࡢつᶍ࡜㐃⥆ᛶศᯒ ྍ౵㡿ᇦ࡟㺨㺼㺍㺪㺅ࢆⓎ⏕ࡉࡏࠊ㔜࡞ࡾྜ࠺ࡶࡢྠኈࢆ⼥ྜࡋࡓᚋࠊ 㠃✚ࡀ  ੍௨ୖࡢࡶࡢࢆ⃰ࡃࡋ࡚࠸ࡿࠋ ձ㺨㺎㺨㺼㺎㺢㺼኱Ꮫ մ㺢㺹㺻㺢኱Ꮫ ճ㺔㺶㺪㺉㺷㺤㺏ᕤ⛉኱Ꮫ ճ ᮾி኱Ꮫ ղ㺒㺡㺼㺆㺻㺨㺼㺵኱Ꮫ ձ ஑ᕞ኱Ꮫ 㺨㺼㺍㺪㺅Ӎ ੍ 㺨㺼㺍㺪㺅㸺 ੍ ୰ᗞᆺ ㍈⥺ᆺ ศᩓᆺ 図 6 4-2 可侵 OS 占有率の分析 図 7 4-3 可侵領域バッファを用いた分析 ࠙ձࠚ࠙մࠚ࠙ղࠚ࠙ձࠚ࠙ձࠚ࠙ճࠚ࠙ճࠚ࠙յࠚ ྍ౵ 26 ༨᭷⋡ 26 ༨᭷⋡ᖹᆒ ྍ౵ 㡿ᇦ 㺨㺼㺍㺪㺅 つᶍ࡜ࡲ࡜ࡲࡾ 㐃⥆ᛶ ⤫ྜ๓ࡢ 㺨㺼㺍㺪㺅ࡢつᶍ 㺨㺼㺍㺪㺅㺖㺵㺛㺞ࡢ ᙧᡂࡢࡋࡸࡍࡉ 㺨㺼㺍㺪㺅㺖㺵㺛㺞ࡢ つᶍ࡜ࡘ࡞ࡀࡾ 㸣 㸣 ୰㹼኱ ᑠ ᑠ㹼୰ ࡋࡸࡍ࠸ ࡋ࡟ࡃ࠸ ࡋࡸࡍ࠸ ᑠ ୰㹼኱ ᑠࡢࡳ ୰㹼኱ᑠ $ ୰ᗞᆺ & ศᩓᆺ % ㍈⥺ᆺ ᆺ 㸣๓ᚋ 表 7 評価指標による分類

参照

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