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中国の大学生の就業地域選択に関する研究 -意思決定理論による分析- [ PDF

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中国の大学生の就業地域選択に関する研究

ーー意思決定理論による分析ーー

キーワード:就業地域選択、大学生進路決定、意思決定、就業政策、AHP 階層分析法 教育システム専攻 李 博 1.目次 第 1 章 研究目的 第1節 研究目的と論文の構成 第2節 中国大学生就業地域選択を巡る問題の所在 第 2 章 中国の大学生の就業問題 第1節 中国の大学生の就業問題の根源 第2節 中国の大学生の就業政策の変遷 第3節 中国大学生における就業地域の不均衡流動 第4節 まとめ 第 3 章 先行研究の位置づけ 第1節 就業政策の有効性に関する先行研究と課題 第2節 就業地域選択においての大学生の進路決定 に関する先行研究と残した問い 第3節 まとめと本研究の研究課題 第 4 章 研究の方法 第1節 分析枠組み:意図的社会変動理論 第2節 意思決定理論による分析の妥当性 第3節 AHP 階層分析法 第4節 大学生の就業地域選択に関する AHP 数理的 モデルの構築 第5節 課題の分析方法と調査の概要 第 5 章 就業地域選択における大学生意思決定メ カニズムの解明 第 6 章 大学生の行為選択に影響を与える諸要因 の分析 第 7 章 総括 2.概要 第 1 章 研究目的 本研究は、中国の大学生の就業地域選択に対して就業 政策の有効性を、大学生の目線から検証するに当たり、 意図的社会変動の理論を分析の枠組みとして、意思決定 理論による分析手法で、就業地域選択における大学生の 意思決定のメカムズムを明らかにするとともに、大学生 の行為選択に影響を与える諸要因の関連性を明らかに することを研究の目的とする。 第 2 章 中国の大学生の就業問題 本章では、中国の大学生の就業問題を詳細に掘り出す。 今現在中国大学生の就職問題、特に就業地域選択上にお ける問題の実態はどうなっているのか、そもそも中国大 学の就業地域選択の問題はなぜ発生したのか、その由来 は何のきっかけであったか、このような問題は今日の中 国に何を意味しているのか、この一連的な発問は歴史的 な軸から遡って探求し、また公的なデータから現状の本 質を迫っていく。 第 1 節では、歴史的な視点から中国の大学生の就業問 題の根源を探り出した。改革開放以来、高等教育改革は 中国の教育体制改革の重要内容である。高等教育改革の 初期に、高等教育機関における学生募集規模が年次的に 増加し、1999 年に中国政府は「高等教育機関における 学生募集規模を拡大しよう」という政策を打ち出し、そ れ以来、中国高等教育の規模拡大は、入学者数からみて も、高等教育機関数からみても空前的であった。このよ うな高等教育の大躍進は、高等教育を受ける機会を増や してく同時に、我が国の大卒者の就業困難の問題も生じ てきた。 このような就業困難の局面に対し、中国政府が沢山の 就業政策を打ち出した。第 2 節では、大学生における就 業政策の変遷を振り返ってみた。そして第 3 節で、中国 の大学生の就業問題における最大な課題である就業地 域流動の不均衡現象を述べた。中国大学生における就業 地域不均衡流動について、孫祥ら(2012)は次に指摘さ れている。中国では長期にわたり大学生の就業地域は北 京・上海・広州などの一線城市に集中する傾向にある。 就職見習制度が実施された 2006 年の教育部による大学 生の就業意向調査では、66.7%が経済発展の著しい沿岸 地域での就職を希望しており、省の首府希望は約 6.4%、 中小城市を希望するものは僅か 2.6%に過ぎない。 このような不均衡状態を抑えるため、中国政府は『国 家中長期人材発展企画綱要』を公布し、さらに具体的な 措置として、2006 年「就職見習制度」、2009 年「3 年百 万人計画」を実施した。これらの政策の実施により、上 述のような経済発展地域へ集中する傾向は変容し、二三

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線城市も就職希望地としての人気が上昇している。各地 域の増加就業人数と就業成長速度の年次的推移を見て みると、江蘇、浙江、山東を代表とする東部の沿岸地域 が労働力を吸引する能力がより強い。相対的な成長速度 から見ると、北京は依然として比較的よい就業成長速度 を維持しているものの、その優位は縮小しつつある。上 海は 2010 年でマイナス成長となった。当該二つの一線 城市と比べて、東・中部地域での就業は安定的な成長を 維持している。 このような文脈で、下記の二つの研究が求められると 考えられる。(一)中国政府の就業政策の有効性研究が 求められている。つまりその検証が必要である。有効で あれば、なぜ有効なのか。有効ではないならば、今日の 大学生の二三線城市への就業地域志望の原因はどこに あるか。(二)政府の諸政策に対して、大学生の目線か ら、大学生自身はどう受け止めるか。特に就業地域選択 においての大学生の進路意思決定に関する研究が求め られている。本研究は、上記の二つの研究方向を糸口と して、第 3 章で先行研究の分析を行った。 第 3 章 先行研究の位置づけ 第 2 章の文脈から、まず、就業政策の有効性に関する 研究について、1999 年から 2014 年までの中国文献全文 データベースで検索したところ、この分野の研究は僅か 二つ存在している。これらの研究により、1999 年から 2002 年までの大学生就業支援政策の実施効果が高いこ とと、2003 年以降の大学生就業支援政策の効率が低く、 効果がますます減っていくことが検証された。これらの 研究は、マクロな目線で中国の大学生における就業支援 政策が有効であるかどうかを分析したが、ミクロな目線 での研究が足りないと言っても、2003 年以降の大学生 就業支援政策の効率低下の検証結果において、ミクロな 目線での更なる検証がさらにできればと考えられる。す なわち選職行動の中心である大学生の意思をもっと追 求してほしい。また、これらの研究で取り扱われるのは、 2008 年までのデータなので、2008 年以降、特に大学生 の就業地域の不均衡流動の課題を解決するための「就職 見習制度」「3 年百万人計画」を実施した以降において、 就業政策の有効性に関する研究が求められる。 次に、就業地域選択において大学生の進路決定を巡る 研究について、大学生の選択行為に影響を与える諸要因 の分析研究が多く存在している。しかし、大学生は実際 に進路決定をするにあたり、大学生自身はこれらの各要 因をどう評価しているかはまだわからない。それに、評 価した上での意思決定過程の研究も求められる。 本研究は、中国の大学生の就業地域選択に対し、第 2 章で述べた社会現実と第 3 章で述べた先行研究の分析 をしっかり踏まえて、以下の研究課題を設定する。 大学生の就業地域選択に対し、大学生の目線から中国 政府の就業政策が有効であるかどうかを検証すべきで ある。検証するにあたり、(1)大学生は就業地域選択に おいて、自身の選択行為に影響を与える各要因をどう評 価するかを明らかにする。ここで各要因の関連性を分析 すべきであり、特に就業政策という要因は大学生の意思 決定の過程において、どのぐらいの重みを占め、どのよ うな位置付けをしているかを明らかにする。(2)各要因 を評価した結果、大学生は行為選択までの意思決定メカ ニズムを明らかにする。 第 4 章 研究の方法 本章は、まず本研究の理論根拠の提供と研究課題の解 明に役たつ意図的社会変動の理論を第 1 節で説明した 上で、なぜ意思決定理論による分析は本研究にとって妥 当であるかを第 2 節で徹底的に説明した。 そして、意思決定理論において、その意思決定手法— 定量的分析ツールである AHP 階層法という数理的モデ ルの説明を第 3 節で行った上で、第 4 節で中国の大学生 の就業地域選択に関する AHP 数理的モデルの構築に取 り組む。そのうえで、課題の分析方法と調査の概要を第 5 節で示していく。 本研究で構築した中国の大学生の就業地域選択 に関する AHP 数理的モデルは下記の図を参照して ください。 まず課題(2)就業地域選択において大学生意思 決定メカニズムの解明には、上記の図で示した大学生 の就業地域選択に関する AHP 数理的モデルに従い、AHP の規定された分析手順で、数理的に解明していく。 次に課題(1)の分析方法について:就業地域の不 均衡流動を解決するため、下記のような就業流動パター ンが望まれていると考えられる。 ○一線城市に所在する大学の大学生: ・出身地は一線城市で、二三線城市への就業移動 ・出身は二三線城市で、二三線城市への就業移動 ○二三線城市に所在する大学の大学生: ・出身地は一線城市で、引き続き二三線城市での就 業(or 移動) ・出身地は二三線城市で、引き続き二三線城市での

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就業(or 移動) それゆえ、本研究は大学生の就業地域選択を検討する にあたり、大学生を上記の四つのカテゴリーに分類し分 析する。なお、一線城市は北京を、二三線城市を青島に 選定して調査を行う。調査対象は下記の通りである。 ・「W 北京 U 北京」のカテゴリー:20 人 出身地—北京 出身大学—北京に所在する大学 ・「W 北京 U 青島」のカテゴリー:20 人 出身地—北京 出身大学—青島に所在する大学 ・「W 青島 U 青島」のカテゴリー:20 人 出身地—青島 出身大学—青島に所在する大学 ・「W 青島 U 北京」のカテゴリー:20 人 出身地—青島 出身大学—北京に所在する大学 なお、本研究は就業政策の有効性を検討するにあたり、 大学生と就業政策の実施に緊密に関わっている担当部 署は、大学生就業地域選択に影響を与えている各要素へ 評価上のズレがないかを見ていくため、北京と青島に所 在する「人力資源と社会保障部門」と「大学の就職指導 センター」の担当員、それぞれ 1 人にも調査を実施した。 第 5 章 就業地域選択における大学生意思決定メ カニズムの解明 本章は、前章で構築した大学生就業地域選択 AHP 数理 的モデルに従い、AHP に規定された分析手順で、数理的 に解明した。ここで強調したいことは、調査対象それぞ れ違う評価の数値を示しているのだが、意思決定までの メカニズムは決して異なるものではなく、同様なもので ある。それゆえ、調査対象の大学生の中に一人を選定し て数理的作業をすることが本章の中心となる。ここで選 定したのは「W 青島 U 北京」のカテゴリーの大学生の一 人である。この大学生の意思決定メカニズムの数理的展 開過程を本章で詳細に解明した。 第 6 章 大学生の行為選択に影響を与える諸要因 の分析 第 1 節では、「就業地域の選定」に対する要因:「企業」 「城市条件」「親と友の意見」「国家・地方の就業政策」 「移住コスト」の重要度データを分析した。「企業」と 「城市条件」の要因は、どのカテゴリーにおいても 1 位 2 位の高い割合を示している。「国家・地方の就業政 策」の要因について、すべてのカテゴリーにおいて 3 位以下という低い割合を占めている。ここから見て、ど のカテゴリーの大学生も、「国家・地方の就業政策」の 要因を重視しているとは言えないだろう。一方、出身地 が一線城市であるほど大学生は、「国家・地方の就業政 策」の要因をより重視している傾向が見えてくる。(「W 北京 U 北京」>「W 北京 U 青島」>「W 青島 U 北京」> 「W 青島 U 青島」)。 また、「移住コスト」について、唯一に高い重要度数 を表しているのは、「W 青島 U 青島」のカテゴリーであ る。全要因の中、2 位の強さを示している。即ち二三線 城市の出身でありながら出身大学も二三線城市の大学 生は、他のカテゴリーより「移住コスト」をより重視て いることが分かった。このような分析結果から、一線城 市と二三線城市との間の地域流動から考えて、上記のよ うな傾向を換言すれば、出身地であれ出身大学であれ、 一線城市である北京から供給した大学生、二三線城市へ 就業しようと考える際に「移住コスト」の要因をあまり 考慮していないのだが、それに対して、出身地も出身大 学も両方とも二三線城市である大学生は、「移住コスト」 の要素を非常に気になっていて、移住コストの原因で一 線城市での就業希望をやめることもありうる。 第 2 節では、「城市条件」に対する諸要因の重要度デ ータを分析した。まず、「住宅圧力」について、二三線 城市の出身地である「W 青島 U 青島」「W 青島 U 北京」の カテゴリーにおいて、「住宅圧力」の要因が第 1 位とな り、彼らにとって巨大な負担であることが分かった。就 413 413 2 413 413 ! ! ! 413 ! ! P ! ! 5 ! ! ! ! ! 4 1 3 ! ! ! ! ! ! ! ! 5 T ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! !

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業地域流動の観点から言って、彼らが一線城市に就職し ようと考えている時、住宅圧力の関係でその考えを放棄 する可能性が高いと考えられる。それに、「W 北京 U 青 島」のカテゴリーについて、青島に残して就業する可能 性がないかを検討する場合、重要度分布から見てその可 能性が見えない。次に、「空気環境」について、「住宅圧 力」の要因と同じく「W 青島 U 青島」「W 青島 U 北京」の カテゴリーが高い重要度数(上から第 2 位)を示してい る。要するに、住宅圧力と空気環境が、一線城市である 北京の就業魅力がますます低下していくだろう。 第 3 節では、「国家・地方の就業政策」の下位要因「就 職見習制度」「大学生創業支援政策」「戸籍政策」の重要 度データを分析した。「就職見習制度」について、「W 青 島 U 北京」のカテゴリーがこの制度の実施対象であるが、 重み度数を見て最低位わずかの 0.062、全体の 7%ぐら いの重みしか占めていない。ここから見て、就職見習制 度、またこの制度に従い具体的な行動方針である「3 年 百万人計画」も、一線城市の大学の二三線城市出身の大 学生に対し、就業地域不均衡流動の解決に無能であると 言えるだろう。逆に「戸籍政策」は、「W 青島 U 北京」 のカテゴリーに対して、相当高い重要度数を表している。 おそらく、「就職見習制度」が発揮していない作用は、 「戸籍政策」のほうが結構機能していることが考えられ る。一線城市に就職しようとしている「W 青島 U 北京」 のカテゴリーの学生は、「戸籍政策」の要因の関係でや める可能性が高いと考えられる。 第 4 節では、移住コストに関する重要度データを分析 した結果、どのカテゴリーでも移住心理コストが移住貨 幣コストより遥かに重要視されていることがわかった。 第 5 節では、代替案に対する評価値の分析を行った。 検討に値するのは、「就職見習制度」の項目である。今 大学が所在する北京での就業見習制度の有用性が低い。 また、前節の重要度分析では、「W 青島 U 北京」のカテ ゴリーの大学生はこれら 3 つの政策の中、就職見習制度 が僅か 0.062 の重視度を示していることから、供給需求 マッチング政策は北京ではあまり効かない証拠である。 逆に、「戸籍政策の厳しさ」の項目について、「W 青島 U 北京」のカテゴリーは前節で「戸籍政策」を一番重視し ていること、さらに北京の戸籍政策が一番厳しいと思っ ている。ここから見れば、「W 青島 U 北京」の大学生は、 二三線城市への就業志望の傾向がわかるようになった。 また、大学就職指導センターと人力資源社会保障部門へ の調査結果との比較分析から、就職見習制度は北京より 青島のほうが有用であるということがわかった。二三線 城市の支援政策の優遇などのアピールについて、一線城 市に向けてもっと宣言したほうがよいと求められてい る。 第 7 章 総括 本研究の研究意義と課題を示していく。まず、研究意 義として、①本研究は意思決定理論による分析手法で大 学生の就業地域選択問題における AHP 数理的モデルの 構築が学術的意義を有していると考えられる。②分析結 果により現在実施している就業政策に対して提言がで きるため、今後の中国政府の大学生就業支援政策に一定 の示唆を与えうることで、本研究は社会的意義を有して いると考えられる。③本研究は意図的社会変動の理論を 分析の枠組みとして分析に取り組んでいた。本研究の分 析から明らかにしていた通り、大学生の二三線城市への 就業者数の増加は、就業政策の効果と言うより、住宅圧 力、空気環境、移住心理コストなどの要因が実に作用し ていることがわかった。つまり、一見成功だと見えるよ うな社会計画は、意図された結果が生じたのだが、しか し、その中に作用しているのは計画そのものではないこ とである。このような社会現象の説明は、佐藤の取り扱 われる意図的社会変動の理論ではまだ追究されていな い。上記のような説明から、意図的社会変動の理論にお ける更なる検討の必要性が十分ありうると考えられる。 課題として示すべきなのは:①本研究に相応しく、個 人の意思決定から n 人の意思決定までの数理的モデル の構築が必要である。②本研究の分析結果について、逆 にマクロ目線に立つ実証研究のさらなる検証が必要に なると考えられる。③時代の発展や現実の需要に従い、 本研究で構築された大学生の就業地域選択における AHP 数理的モデルを進化させなければならない。 主要参考文献 ・木下栄蔵(1996)、『意思決定論入門 基礎からファジ 理論まで』、近代科学社 ・佐藤嘉倫(1998)、『意図的社会変動の理論 合理的選 択理論による分析』、東京大学出版会 ・飯田耕司(2006)、『不確実性への挑戦 意思決定分析 の理論』、三恵社 ・趙建國・么小敏(2013)、「大学生就業支援政策の有効 性分析及び課題 DEA 分析法による実証研究」、『数学の 実践と認識』、pp1-11 ・蘇麗峰・孟大虎(2011)、「募集拡大以来我国大学卒業 生の供給と配置状況報告————統計年鑑による分析」、 『中国高教研究』、pp69-74

参照

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