1
中国の対北朝鮮インフラ協力、依存と開放のジレンマ
ウ ォ ン ・ ド ン ウ ク
(東亜(トンア)大国際学部中国学専攻 )
Ⅰ. はじ め に 国 連 の 対 北 朝 鮮 制 裁 決 議 案(1874号 な ど )に も か か わ ら ず 、 北 中 修 交 60周 年 お よ び 北 中 友 好 の 年(2009)に と も な う 中 国 温 家 宝 総 理 の 北 朝 鮮 訪 問 (10.4~ 6)に よ り 、 北 中 間 の 経 済 協 力 は 持 続 し 前 よ り 一 層 活 発 に な る と 展 望 さ れ て い る 。 温 家 宝 総 理 は 北 朝 鮮 を 訪 問 中 、 「 経 済 援 助 に 関 す る 交 換 文 書 」 「 条 約 整 理 議 定 書 」 「 経 済 技 術 協 力 協 定 」 「 教 育 機 関 間 交 流 協 力 合 意 書 」 「 ソ フ ト ウ ェ ア 産 業 分 野 交 流 協 力 了 解 文 」 「 中 国 観 光 団 体 の 朝 鮮 観 光 実 現 に 関 す る 了 解 文 」 等 に 一 挙 に 調 印 す る こ と に よ り 、 中 国 と 北 朝 鮮 の 協 力 関 係 が 健 在 で あ る 事 を 誇 示 し 、 国 際 社 会 で の 制 裁 局 面 に お い て 、 北 朝 鮮 に 救 い の 手 を 差 し 伸 べ る 形 と な っ た 。 特 に 今 回 の 訪 朝 中 、 北 中 両 国 の 総 理 が 調 印 し た 「 経 済 技 術 協 力 協 定 」 に は 、 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) 道 路 大 橋 の 新 設 な ど が 含 ま れ て お り 、 同 時 に 中 国 が 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港1号 埠 頭 の 運 営 権 を す で に 獲 得 し た と 報 道 さ れ る な ど 、 特 に 北 中 間 の イ ン フ ラ 関 係 の 連 携 に 拍 車 が か か っ た 。 今 回 合 意 し た 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) 道 路 大 橋 は 、2000年 代 初 頭 か ら す で に 中 国 遼 寧 省 政 府 の 主 導 の 下 何 度 も 交 渉 を 通 じ て 提 案 さ れ て き た 。 ま た 、2007年 の 武 大 偉 中 国 外 交 部 副 部 長 に よ る 北 朝 鮮 訪 問 時 に は 、 建 設 費 用 を 中 国 が 全 額 負 担 す る 条 件 で 建 設 を 提 案 す る な ど 中 国 が 積 極 的 に 提 案 し て き た が 、 北 朝 鮮 の 煮 え 切 ら な い 態 度 で 実 現 さ れ ず に い た 。 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港 開 発 関 連 議 論 も ま た 、2005年 か ら 推 進 さ れ て き た こ と だ が 、 北 朝 鮮 は 中 国 に 対 し て は 再 び 「 ク ォ ン ハ ‐ 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港 」 建 設 を 代 価 に 、 一 方 ロ シ ア に 対 し て は 鉄 道 「 下 山 ‐ 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港 」 建 設 を 代 価 に 、 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港3、 4号 埠 頭 運 営 権 お よ び 開 発 権 を 渡 す 、 と い う ダ ブ ル ゲ ー ム を 進 行 し た こ と が あ る 。 結 局 、 北 朝 鮮 は 当 時 の 戦 略 的 考 慮 に よ り ロ2 シ ア に 羅 津 ( ナ ジ ン ) 港 開 発 の 利 権 を 提 供 し た 。 北 朝 鮮 の こ の よ う な 中 途 半 端 な 態 度 で 実 現 さ れ る こ と の な か っ た 北 中 両 国 間 に よ る イ ン フ ラ 協 力 が 、 温 家 宝 総 理 の 北 朝 鮮 訪 問 を 前 後 に し て 、 再 び 活 発 に な り は じ め た こ と は 、 両 国 間 が 長 い 間 進 行 し て き た 議 論 と 交 渉 の 結 果 で も あ る が 、 何 よ り も 米 国 を 中 心 と す る 国 際 社 会 の 対 北 朝 鮮 制 裁 が 強 化 さ れ て い る 近 年 の 状 況 に お い て 、 北 中 間 の 戦 略 的 需 要 が 合 致 し た か ら だ と 考 え ら れ る 。 す な わ ち 、 中 国 は 優 先 的 に 北 中 境 界 地 域 の 物 資 と 人 員 の 輸 送 力 を 増 強 す る と い う こ と と 同 時 に 、 イ ン フ ラ 連 係 開 発 を 通 じ て 北 朝 鮮 に 対 す る 影 響 力 を よ り 一 層 強 化 さ せ る こ と が で き る と 判 断 し て い る よ う だ 。 ま た 、 新 し い 成 長 拠 点 で あ る 東 北 地 域 の 新 し い 復 興(「 東 北 振 興 計 画 」)を 推 進 し て い る 中 国 側 に は 、 東 海 ( 日 本 海 ) 地 域 で の 新 し い 進 出 路 を 確 保 す る こ と に よ り 東 北 地 域 の 対 外 的 開 放 を 拡 大 さ せ 、 合 わ せ て 東 北 ア ジ ア 経 済 圏 形 成 の 主 導 権 を 確 保 し よ う と す る 狙 い が あ る と 推 測 さ れ る 。 一 方 北 朝 鮮 に は 、 国 際 社 会 に よ る 経 済 制 裁 の 局 面 に お い て 、 中 国 と の 協 力 開 発 お よ び 援 助 を 確 保 す る こ と に よ っ て 、 さ ら な る 経 済 復 興 の 機 会 を 捉 え 、 同 時 に 米 国 を 中 心 と す る 国 際 社 会 に よ る 制 裁 の 局 面 を 打 破 し よ う と す る 戦 略 的 な 意 図 が あ る と 推 測 さ れ る 。 つ ま り 、 北 ・ 中 間 に お け る 新 し い イ ン フ ラ 協 力 の 動 き は 、 両 国 の 戦 略 的 利 害 関 係 が 合 致 し た か ら だ と 考 え ら れ る 。 こ こ で 中 国 の 対 北 朝 鮮 イ ン フ ラ 協 力 が 、 「 第2次 北 核 危 機 」 以降 国 際 社 会 に よ る 北 朝 鮮 へ の 制 裁 局 面 と 南 北 関 係 の 悪 化 の 中 で 進 行 し て い る こ と に 注 目 す る 必 要 が あ る 。 中 国 は 北 朝 鮮 に 対 す る 持 続 的 な 経 済 援 助 と 協 力 と い う テ コ を 通 じ て 北 朝 鮮 の 六 者 会 談 へ の 復 帰 と 「 開 放 」 を 誘 導 す る 基 本 的 戦 略 を 維 持 し て い る も の と 把 握 さ れ る 。 こ れ は 国 際 社 会 に よ る 対 北 朝 鮮 へ の 制 裁 と 圧 迫 へ の 参 加 を 願 う 米 国 お よ び 韓 国 の 期 待 と か け 離 れ た こ と で 、 中 国 の 独 自 的 な 対 北 朝 鮮 接 近 法 に 基 づ い た こ と だ と み え る 。 こ の よ う な 中 で 進 行 し て い る 中 国 の 対 北 朝 鮮 経 済 お よ び イ ン フ ラ 協 力 は 、 一 方 で 北 朝 鮮 を 「 開 放 」 に 誘 導 す る 肯 定 的 効 果 を 期 待 で き る が 、 そ の 一 方 、 韓 国 が 排 除 さ れ た 中 で 進 行 さ れ る こ と に よ っ て 、 中 国 に 対 す る 北 朝 鮮 の 「 依 存 」 を よ り 一 層 強 化 さ せ る 可 能 性 が あ る 。 本 論 文 で は 近 年 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) お よ び 豆 満 江 ( ト ゥ マ ン ガ ン ) 流 域 を 中 心 に 展 開 し て い る 中 国 の 対 北 朝 鮮 イ ン フ ラ 連 係 協 力 の 現 況 と 意 味 に つ い て 分 析
3 し よ う と 思 う 。 こ の よ う な 中 国 に よ る 対 北 朝 鮮 イ ン フ ラ 協 力 を 、 単 な る 局 外 者 の 立 場 に い て 傍 観 し て い る 韓 国 政 府 の 問 題 点 を 明 ら か に し 、 さ ら に は 韓 半 島 と 中 国 東 北 三 省 を 連 係 す る 北 中 間 両 者 協 力 構 図 を 越 え て 南 北 中 三 者 間 、 加 え て 南 北 中 ロ 四 者 間 国 際 協 力 開 発 の 共 助 方 案 を 提 示 す る の に 本 論 文 の 目 的 が あ る と 言 え よ う 。 Ⅱ. 近年 中 国 によ る 対北 朝 鮮 イ ンフ ラ 協力現 況 と そ の意 味 : 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) 道 路 大 橋 と ナ ジ ン 港1号埠 頭 建設 に 関連 し て 近 年 、 東 北 三 省 の 各 地 方 政 府 は 、 中 国 中 央 政 府 の 「 東 北 地 域 振 興 計 画 」 に 合 わ せ て 、 「5点 1線 沿 海 経 済 ベ ル ト 」 の 構 築 や 「 長 ‐ 吉 ‐ 豆 ( 長 春 ‐ 吉 林 ‐ 豆 満 江 流 域 ) 開 発 開 放 先 導 区 」 ・ 「 綏 芬 河 総 合 保 税 区 域 計 画 」 ・ 「 哈 ‐ 大 ‐ 齊 ( 哈 尔滨 ‐ 大 慶 ‐ 齊 齊 哈 爾 ) 工 業 回 廊 」 な ど の 振 興 計 画 を 推 進 し て い る 。 こ の 計 画 で は 、 東 北 三 省 だ け で な く 、 北 朝 鮮 ・ ロ シ ア ・ 韓 国 ・ 日 本 と い っ た 周 辺 国 と の 、 経 済 貿 易 ・ 科 学 技 術 や 資 源 な ど の 協 力 お よ び 交 流 の 拡 大 も 強 調 し て お り 、 こ の 基 盤 と な る 交 通 物 流 イ ン フ ラ の 連 携 構 築 が 重 要 な 内 容 と な っ て い る 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 近 年 北 中 国 境 地 域 で 協 力 が 推 進 さ れ て い る 「 鴨 緑 江 道 路 大 橋 」 と 「 ナ ジ ン 港1 号 埠 頭 建 設 」 の 背 景 と な る 中 国 遼 寧 省 の 「 5点 1線 沿 海 経 済 ベ ル ト 」 構 築 計 画 と 「 長 ‐ 吉 ‐ 豆 開 発 開 放 先 導 区 」 計 画 の 基 本 概 要 と 関 連 性 に つ い て 調 べ た 。 さ ら に 、 対 北 朝 鮮 「 陸 路·港湾·区域の 一体 化」 プロ ジェク トの 延長 とし て、こ の計 画か ら判 断 で き る 中 国 と 北 朝 鮮 の 意 図 に 関 し て も 具 体 的 に 分 析 し た い 。 1. 遼 寧 省 の 「 5点 1線 沿 海 経 済 ベ ル ト 」 構 築 計 画 と 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) 道 路 大 橋 の 新 設 遼 寧 省 の 「5点 1線 」 計 画 は 、 2005年 に 初 め て 提 案 さ れ 、 遼 寧 省 の 沿 海 地 域 の 5 つ の 工 業 地 域 を 連 携 、 大 連 ・ 丹 東 ・ 錦 州 ・ 營 口 ・ 盤 錦 ・ 葫 蘆 島 な ど6つ の 都 市 を つ
4 な げ る 海 岸 道 路 の 構 築 に よ っ て 、 こ の 都 市 を 東 北 ア ジ ア 経 済 ハ ブ と し て 育 成 す る と い う 計 画 で あ る 。 正 式 名 称 は 「 遼 寧 沿 海 経 済 ベ ル ト 発 展 計 画(遼 寧 沿 海 經 濟 帶 發 展 規 劃)」 で 、 2010年 7月 に 国 務 院 常 務 会 議 を 通 過 し 、 現 在 は 国 務 院 の 承 認 を 待 っ て い る 状 況 で あ る 。 「 図4」 の よ う に 、 5つ の 工 業 地 域 で あ る ① 大 連 長 興 島 臨 港 工 業 区 ② 營 口 沿 海 産 業 基 地 ③ 錦 州 灣 沿 海 経 済 区 ④ 丹 東 産 業 地 区 ⑤ 大 連 庄 河 花 園 口 工 業 地 区 を 中 心 と し て 、 対 外 開 放 拡 大 と 積 極 的 な 投 資 誘 致 、 沿 海 道 路 及 び 港 湾 な ど 交 通 イ ン フ ラ の 改 善 な ど に よ り 、 沿 海 地 域 を 前 進 基 地 と し て 、 遼 寧 省 内 陸 域 に 及 ん で 段 階 的 に 発 展 を 推 進 さ せ よ う と す る 計 画 で あ る 。 「5点 1線 」 計 画 の 中 で も 特 に 核 心 的 な 内 容 で あ る 交 通 イ ン フ ラ 構 築 計 画 に お い て 、 こ れ ら の 地 域 を 貫 通 し て い る 遼 寧 省 沿 海 道 路 ( 遼 寧 環 黃 渤 海 瀕 海 公 路 ) が 201 0年 9月 に 開 通 し た 。 こ の 道 路 は 総 延 長 1,443kmに 及 ぶ 中 国 最 長 の 沿 海 道 路 で 、 建 設 に は 総 額133億 元 ( 約 2兆 億 円 ) が 投 資 さ れ た 。 遼 寧 省 の 主 要 沿 海 都 市 を Z字 型 に 連 結 し 、 総25件 の 港 湾 ・ 228か 所 の 工 業 団 地 ・ 133ヶ 所 の 観 光 地 を 一 つ の 道 路 で つ な げ る こ と に よ っ て 遼 寧 省 沿 海 経 済 ベ ル ト 形 成 に 重 要 な 交 通 上 の 軸 を 構 成 し て い る 。 こ の よ う に 中 国 は 、 東 北 振 興 計 画 の 一 環 と し て 遼 寧 省 の 「5点 1線 」 計 画 を 推 進 、 丹 東 市 は こ の よ う な 「 遼 寧 沿 海 発 展 計 画 」 の 主 要 拠 点 の 一 つ で あ り 、 沿 海 都 市 と 産 業 団 地 を 連 携 す る 「5点 1線 」 計 画 の ス タ ー ト ラ イ ン と し て 、 大 蓮 港 と と も に 東 北 地 域 の 主 要 出 海 通 路 の 役 割 を 果 た し て い る 。 中 国 遼 寧 省 政 府 は 対 北 物 動 量 の 拡 大 に 備 え 、 新 義 州 の 隣 に 位 置 す る 丹 東 市 を 中 心 と し て 、 内 部 的 交 通 物 流 イ ン フ ラ に 対 す る 大 幅 な 改 善 と と も に 、 新 義 州 と の 連 携 交 通 網 拡 充 を 展 開 し て き た 。 ま た 丹 東 市 も 鉄 道 ・ 道 路 ・ 港 湾 な ど に 集 中 的 な 投 資 を 行 い 、 交 通 物 流 シ ス テ ム を 完 備 、 こ れ を 北 朝 鮮 交 通 イ ン フ ラ と 連 携 さ せ る 「 丹 東 物 流 運 送 中 心 都 市 」 計 画 を 推 進 し て き た 。 現 在 、 丹 東 市 政 府 は 北 朝 鮮 の 新 義 州 と 近 い 地 域 に 、 韓 国 だ け で は な く 香 港 ・ ア メ リ カ ・ ロ シ ア な ど か ら の 投 資 誘 致 を 通 じ て 産 業 団 地 を 建 設 し て お り 、 特 に 鴨 緑 江 ( ア ム ノ ッ カ ン ) 道 路 大 橋 の 新 設 と 丹 東 ‐ 新 義 州 互 市 貿 易 区 の 設 置 を 推 進 す る と 同 時 に 丹 東 ‐ 新 義 州 の 連 携 開 発 を 図 っ て い る 。 現 在 、 丹 東 市 を 中 心 に し て 北 朝 鮮 の 民 経 連 ( 北 朝 鮮 民 族 経 済 協 力 連 合 会 ) と 貿 易 商 事 丹 東 代 表 先 ( 約200社) が活
5 発 に 活 動 し 、 中 国 の300社 以 上 の 貿 易 会 社 と 、 1万 人 以 上 の 対 北 貿 易 関 係 者 が 北 朝 鮮 進 出 に 非 常 に 興 味 を 持 っ て い る と 考 え ら れ る 。 さ ら に 、 韓 国 と の 交 易 が 以 前 よ り 減 尐 し 、 国 際 社 会 の 対 北 朝 鮮 制 裁 が 強 化 さ れ て い る に も か か わ ら ず 、 丹 東 地 域 に お い て は 対 北 朝 鮮 支 援 と 交 易 が 以 前 よ り 活 性 化 さ れ て き て い る 状 況 に あ る 。 丹 東 ‐ 新 義 州 地 域 は 、 今 ま で 北 中 交 易 の70%以 上 を 占 め て い る が 、 そ の 多 く を 老 朽 し た 鴨 緑 江 鉄 橋 に 依 存 し て き た 。 近 年 、 増 加 し て い る 北 中 交 易 と 観 光 需 要 に 対 し 、 既 存 す る 鉄 橋 の 運 送 の 限 界 と 安 全 性 に つ い て 等 、 解 決 す べ き 問 題 が 散 在 し 、 こ れ を 解 決 す る 方 法 と し て 中 国 主 道 路 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 新 設 が 推 進 さ れ て き た 。2 001年 遼 寧 省 第 9次 人 民 代 表 大 会 4次 会 議 に お い て 、 初 め て 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 新 設 に 関 連 し て 提 案 さ れ て 以 後 、 そ の 妥 当 性 に つ い て 、 ま た 建 設 候 補 地 な ど に 関 し て の 研 究 が 行 わ れ て き た 。2007年 武 大 偉 中 国 外 交 部 副 部 長 の 訪 朝 の 際 、 建 設 費 用 10 億 元 を 全 額 負 担 す る と 明 ら か に す る な ど し て 公 式 的 に 北 朝 鮮 に 提 案 、2009年 10月 に は 温 総 理 の 訪 朝 を き っ か け と し て 鴨 緑 江 道 路 大 橋 新 設 を 含 む 「 経 済 技 術 協 力 協 定 」 が 締 結 さ れ た 。 こ の よ う な 北 中 間 の 連 携 イ ン フ ラ 整 備 と 互 市 貿 易 区 設 置 な ど 、 経 済 協 力 の 加 速 化 に よ り 、 鴨 緑 江 と 接 し て い る 北 朝 鮮 の 新 義 州 地 域 の 開 放 も 可 視 化 さ れ る と 考 え ら れ る 。 以 前 北 朝 鮮 は2002年 、 新 義 州 に 香 港 式 の 「 一 国 両 制 」 を 標 榜 し た 特 別 行 政 区 を 設 置 し よ う と し た が 、 特 区 長 官 ヤ ン ビ ン の 拘 束 な ど 、 中 国 側 の け ん 制 で 失 敗 し た こ と が あ る 。 し た が っ て 今 度 の 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 建 設 に よ っ て 、 北 中 間 の 互 市 貿 易 区 の 活 性 化 ・ 北 朝 鮮 の 新 義 州 特 別 行 政 区 設 置 の へ の 再 検 討 が 行 わ れ る 可 能 性 が 出 て き た 。 新 義 州 ‐ 丹 東 地 域 は 、 北 中 間 の 接 境 地 域 の 中 で も 対 北 朝 鮮 の 支 援 物 資 と 加 工 物 動 量 規 模 が 最 も 大 き い 地 域 で 、 今 後 両 者 間 の 交 易 だ け で は な く 、 韓 国 を 含 む 三 角 貿 易 の 中 心 地 と な る 可 能 性 が 強 い 地 域 で あ る 。 中 国 は 、 中 央 と 地 方 政 府 次 元 か ら 、 丹 東 市 を 対 北 朝 鮮 物 流 お よ び 流 通 の 拠 点 都 市 と し て 育 成 す る た め に 、 鉄 道 ・ 道 路 ・ 水 路 ・ 港 湾 拡 大 な ど へ の 大 規 模 な 投 資 計 画 を 推 進 し て い る 。 し た が っ て 今 度 の 鴨 緑 江 道 路 大 橋 新 設 に よ る 北 中 間 交 通 物 流 シ ス テ ム の 連 携 強 化 は 、 対 北 朝 鮮 「 陸 路 ・ 港 湾 ・ 区 域 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト の 一 環 と し て 、 遼 寧 省 の 成 長 軸 を 辺 境 地 域 に ま で 拡 大 す る こ と に よ り 、 北 朝 鮮 を 改 革 開 放 へ 向 か わ せ る の に 相 当 な 役
6 割 を 果 た せ る と 判 断 さ れ る 。 つ ま り 、 丹 東 ‐ 新 義 州 に つ な が る 道 路 イ ン フ ラ の 拡 充 に よ り 丹 東 ‐ 新 義 州 の 連 携 開 発 が 本 格 化 さ れ 、 北 朝 鮮 に 対 す る 中 国 の 交 易 と 投 資 が さ ら に 増 加 す る と 予 想 さ れ る 。 ま た 、 中 長 期 的 に は 北 朝 鮮 の 主 要 幹 線 ( 新 義 州 ‐ ピ ョ ン ヤ ン ‐ ケ ソ ン ) の 確 保 に よ り 北 朝 鮮 に 対 す る 中 国 の 政 治 ・ 経 済 的 影 響 力 は ま す ま す 拡 大 さ れ る と 考 え ら れ る 。 2. 吉 林 省「 長 ‐ 吉‐豆 ( 長 春 ‐吉 林 ‐豆満 江 ( ト ゥマ ン ガン) ) 開 発 開放 先 導 区 」 計 画 と ナ ジ ン 港1号 埠頭 建 設 吉 林 省 「 長 ‐ 吉 ‐ 豆 開 発 開 放 先 導 区 プ ロ ジ ェ ク ト 」 は 、 吉 林 省 の 中 心 都 市 で あ る 長 春 と 吉 林 、 そ の 接 境 地 域 で あ る 「 延 吉 ‐ 龍 井 ‐ 圖 們 」 延 邊 朝 鮮 族 自 治 州 と 、 国 家 的 対 外 開 放 都 市 「 琿 春 」 と を 連 携 ・ 開 発 す る 計 画 で あ る 。 こ の プ ロ ジ ェ ク ト の 公 式 名 称 は 「 圖 們 を 開 発 開 放 先 導 区 と す る 中 国 豆 満 江 地 域 協 力 開 発 計 画 綱 要 ( 以 長 吉 圖 爲 開 發 開 放 先 導 區 的 中 國 圖 們 江 區 域 合 作 開 發 規 劃 綱 要 ) 」 で あ る 。 こ の 「 計 画 綱 要 」 に よ る と 、 「 圖 們 の 開 発 開 放 先 導 区 」 と は 、 長 春 ・ 吉 林 と 豆 満 江 一 帯 を 中 心 と し て 中 国 ‐ モ ン ゴ ル の 大 通 路 を 貫 通 、 東 北 地 域 と 対 豆 満 江 経 済 圏 、 さ ら に は 東 北 ア ジ ア 経 済 圏 を 形 成 す る 意 味 で 、 中 国 は も ち ろ ん 東 北 ア ジ ア 地 域 の 新 し い 経 済 成 長 拠 点 を 目 標 と し て い る 。 中 国 は1990年 代 初 め か ら UNDPが 主 導 す る 豆 満 江 流 域 開 発 プ ロ グ ラ ム (TRADP) に 参 加 し て き た 。 当 初 は 辺 境 都 市 で あ る 琿 春 だ け だ っ た が 、 以 降 、 延 邊 朝 鮮 族 自 治 州 ま で 事 業 の 空 間 的 範 囲 が 拡 大 さ れ た 。 し か し 、 当 時 の 経 済 と 人 口 規 模 の 状 況 、 加 え て 運 送 道 路 の 確 保 が で き て い な い と い っ た 、 辺 境 地 域 で あ る と い う 限 界 性 の た め 、 中 国 は 国 際 的 な 開 発 協 力 に お い て 根 本 的 な 問 題 に 直 面 し た の は 事 実 で あ る 。 だ が 、 前 述 し た よ う に 東 北 振 興 計 画 が 本 格 的 に 推 進 さ れ る よ う に な っ た2005年 に 入 り 、 中 国 は 「 東 北 の 老 朽 し た 工 業 基 地 の 対 外 開 放 拡 大 実 施 に 関 す る 意 見 (36号 文 献 ) 」 に よ っ て 辺 境 の 経 済 貿 易 協 力 を 強 調 し な が ら 、 対 豆 満 江 開 発 計 画 (GT I) へ の 転 換 に よ り 、 豆 満 江 流 域 開 発 の た め の 国 際 協 力 を 本 格 的 に 推 進 す る こ と に な っ た 。
7 特 に 、 こ の 時 期 に 注 目 す べ き な の は 、 対 北 朝 鮮 「 陸 路 ‐ 港 湾 ‐ 区 域 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト で 、 具 体 的 に は 中 国 の 琿 春 か ら 北 朝 鮮 の ク ォ ン ハ ・ ウ ォ ン ジ ョ ン ・ ナ ジ ン 港 ま で を 走 る 道 路 の 近 代 化 を 推 進 す る と 同 時 に 、 さ ら に は ユ ー ラ シ ア 大 陸 の 拠 点 港 湾 で あ る ナ ジ ン 港3・ 4号 埠 頭 の 使 用 権 と 開 発 権 を 確 保 、 港 湾 背 後 地 を 開 発 す る と い う 計 画 で あ る 。 こ の プ ロ ジ ェ ク ト は 、 東 北 三 省 の 東 部 地 域 か ら 海 に 出 ら れ る 通 路 が 無 か っ た こ と に 起 因 す る 物 流 の 渋 滞 現 象 を 解 消 、 さ ら に は 東 北 の 老 朽 し た 工 業 地 域 の 振 興 の 資 源 確 保 の た め に 推 進 さ れ た 。 特 に ナ ジ ン は 中 国 の 琿 春 市 と 豆 満 江 を 境 界 と し て 接 境 し て い る 地 域 で 、 天 恵 と い わ れ る 港 湾 条 件 で あ り 、 中 国 東 北 三 省 東 部 地 域 の 専 用 港 湾 と し て 開 発 価 値 が 非 常 に 高 か っ た 。2005年 9月 、 中 国 は 民 間 企 業 と 組 ん で ナ ジ ン 市 人 民 委 員 会 北 朝 鮮 ウ ォ ン ジ ョ ン 里 か ら ナ ジ ン 港 ま で の 道 路67kmを 建 設す る 代わ り にナ ジ ン港 3号埠 頭 と今 後 建 設さ れ る4号 埠頭 の 運 営 権 を50年 間 保 障 す る こ と に 合 意 し 、 北 朝 鮮 と 「 サ ソ ン 物 流 合 営 会 社 」 を 設 立 し た 。 し か し2006年 10月 、 北 朝 鮮 の 核 危 機 に よ り 、 こ の プ ロ ジ ェ ク ト は 中 国 側 の 民 間 企 業 の 投 資 導 入 失 敗 、 港 湾 経 営 権 に 対 す る 北 朝 鮮 中 央 政 府 の 拒 否 な ど に よ っ て な か な か 進 ま な い 状 況 と な っ た 。 一 方 、 ロ シ ア は ユ ー ラ シ ア を つ な ぐ 橋 梁 的 役 割 と し て シ ベ リ ア 横 断 鉄 道 (TS R) の独 占的 地位 を維 持しな がら 、 北 朝鮮 に対す る中 国の 影響 力をけ ん制 する と同 時 に 、 飽 和 状 態 の 極 東 港 湾 を 代 替 で き る 新 し い 港 湾 の 必 要 性 に よ り 、 北 朝 鮮 と 共 に ナ ジ ン 港 開 発 を 推 進 し た 。 ロ シ ア は 、 北 朝 鮮 と2000年 か ら 本 格 的 な 鉄 道 協 力 に 着 手 、 2006年 以 降 ナ ジ ン ‐ ハ サ ン 鉄 道 連 携 事 業 を 積 極 的 に 推 進 し 、 同 年 3月 に は 、 韓 国 ・ 北 朝 鮮 ・ ロ シ ア 三 者 鉄 道 運 営 者 会 議 を 開 催 、 議 長 声 明 に 調 印 し た 。2007年 6月 に は 韓 国 と ロ シ アの 鉄 道 運 営 者 会 議 を開 催 、 「 ナ ジ ン ‐ ハサ ン プ ロ ジ ェ ク ト 推 進 諒 解 文 書 」 を 締 結 し 、 ロ シ ア 鉄 道 公 社 と 「 韓 国 ‐ ロ シ ア 合 作 物 流 会 社 の 設 立 の た め の 諒 解 文 書 」 を 締 結 し た 。 以 降 、2008年 4月 ロ シ ア 鉄 道 公 社 と 北 朝 鮮 の 鉄 道 省 間 に 「 ナ ジ ン ‐ ハ サ ン プ ロ ジ ェ ク ト 推 進 協 力 合 意 書 」 を 締 結 、 同 年10月 着 工 式 が 行 わ れ 、 ナ ジ ン 港3・4号埠 頭の利 権は ロ シアの手 に入 るよう になった 。 こ れ に よ り 、 中 国 の 対 北 朝 鮮 「 陸 路 ・ 港 湾 の 区 域 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 失 敗 し た よ う に み え た 。 さ ら に 、 主 体 思 想 が 中 心 と な っ て い る 北 朝 鮮 の 立 場 か ら 中 国 が 提 示 し た 「 一 体 化 」 概 念 は 受 け 止 め に く い と 判 断 さ れ る 。 し か し 、 中 国 の 中
8 央 政 府 と 吉 林 省 地 方 政 府 は 、 新 し く 変 わ っ た 状 況 で の 東 海 ( 日 本 海 ) へ の 出 海 路 確 保 の た め さ ま ざ ま な 方 法 を 考 え る こ と に な る 。 対 北 朝 鮮 「 陸 路 ・ 港 湾 の 区 域 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト が 進 ま な い 状 況 で 、 以 前 は な か な か 事 業 の 前 面 に は 出 な か っ た 中 国 中 央 政 府 が よ り 積 極 的 な 介 入 に 出 始 め た 。 近 年 、 温 総 理 の 訪 朝 直 後 に 公 開 さ れ た 中 国 の ナ ジ ン 港1号埠 頭 運営 権 の確 保は 、実 は 、中 国 が3・4号埠 頭 の利 権を 喪 失 し た 後 も 持 続 的 に ナ ジ ン 港 運 営 権 と 関 連 し て 北 朝 鮮 と の 協 議 を 進 行 し て き た こ と を 意 味 す る 。 実 際 、 中 国 は2008年 6月 、 国 家 開 発 改 革 委 員 会 で 、 主 道 路 に 関 す る 内 容 の 中 、1999年 に 編 制 さ れ た 「 中 国 豆 満 江 地 域 開 発 計 画 ( 中 國 圖 們 江 地 區 開 發 規 劃)) の 修 正 作 業 を 進 行 、 そ の 結 果 2009年 8月 30日 に 国 務 院 の 批 准 を 通 過 し た 「 圖 們 を 開 発 開 放 先 導 区 と す る 中 国 豆 満 江 地 域 の 協 力 開 発 計 画 綱 要 ( 以 長 吉 圖 爲 開 發 開 放 先 導 區 的 中 國 圖 們 江 區 域 合 作 開 發 規 劃 綱 要 ) 」 が 完 成 さ れ た 。 「 圖 們 開 発 開 放 先 導 区 」 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 対 北 朝 鮮 「 陸 路 ・ 港 湾 ・ 区 域 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト の 新 し い バ ー ジ ョ ン の 意 味 で の 中 国 の 豆 満 江 地 域 国 際 協 力 開 発 の 先 導 区 域 と し て 、 ま た 長 春 ‐ 吉 林 ‐ 豆 満 江 流 域 を 成 長 軸 と し て 東 海 ( 日 本 海 ) へ の 出 海 路 の 確 保 と 中 国 ‐ モ ン ゴ ル 大 通 路 の 開 設 が 核 心 的 な 内 容 に な っ て い る 。2009年 上 半 期 に は す で に ナ ジ ン 港1号 埠 頭 の 開 発 が琿 春 海 運 物 流 有 限 公社 に よ っ て 進 行 、 同 年10月 ご ろ に は ク ォ ン ハ ‐ ウ ォ ン ジ ョ ン 間 の 橋 の 改 修 ・ 補 修 作 業 が 行 わ れ た 。 そ し て 現 在 も 、 北 朝 鮮 の ウ ォ ン ジ ョ ン ‐ ナ ジ ン 港 間 の 道 路 建 設 の た め の 北 中 間 の 協 議 が 続 い て い る と 判 断 さ れ る 。 ま た 最 近 、 中 国 吉 林 省 の 琿 春 市 の 関 係 者 に よ る と 、 す で に 第 一 期 投 資 に2000万 元 が 投 資 さ れ 1号 埠 頭 ・ 1号 泊 地 の 整 備 事 業 が 終 わ っ た 段 階 で 、 貯 蔵 容 量4万 ト ン 、 年 間 貨 物 処 理 量 150万 ト ン の 石 炭 の 荷 役 が 可 能 に な っ た 。 そ し て 、 今 後 進 行 さ れ る1号 埠 頭 の 2、 3号 泊 地 の 拡 張 と 整 備 に よ り 30万 ト ン の コ ン テ ナ ー 荷 役 と100万ト ン の食 糧 ・肥 料な どの 荷 役が さ ら に可 能と な ると 考え ら れ る 。 こ の よ う に 中 国 は ナ ジ ン 港 を 利 用 し た 東 海 ( 日 本 海 ) へ の 進 出 を 加 速 化 、 琿 春 を 前 進 基 地 と す る 豆 満 江 流 域 が 中 国 の 核 心 物 流 拠 点 に な る 機 会 を つ か ん だ 。 2008年 9月 、 吉 林 ‐ 延 吉 間 の 高 速 道 路 の 完 成 で 、 圖 們 高 速 道 路 の 全 区 間 が 開 通 、 2010年 に は 長 春 ‐ 吉 林 間 の 鉄 道 工 事 が 着 工 さ れ る 予 定 で あ る 。 ま た 中 国 は 以 前 か ら 、2016年 ま で に 琿 春 に 100億 元 を 投 入 、 大 規 模 な 東 北 ア ジ ア 辺 境 貿 易 セ ン タ ー を 建 設 す る 一 方 、 韓 国 と 日 本 ・ 香 港 な ど の 外 国 人 専 用 産 業 団 地 の 建 設 を 計 画 、
9 「 豆 満 江 の 東 海 ( 日 本 海 ) 時 代 」 に 準 備 し て き た 。 こ れ で 、 長 春 ‐ 吉 林 ‐ 豆 満 江 流 域 一 帯 を 連 携 ・ 開 発 、 東 北 ア ジ ア 物 流 拠 点 と す る 「 圖 們 開 発 開 放 先 導 区 」 計 画 も 一 気 に 進 め る と 考 え ら れ る 。 さ ら に 、 中 国 の ナ ジ ン 港1号 埠頭 の 開 発 ・ 利 用 権 を 確 保 す る と 同 時 に 、 近 年 グ ロ ‐ バ ル 金 融 危 機 か ら 厳 し い 経 済 的 状 況 に 置 か れ て い る ロ シ ア を 相 手 に 、 中 国 が 東 北 地 域 と ロ シ ア の 極 東 ・ シ ベ リ ア 地 域 の 協 力 開 発 を 推 進 す る こ と に よ っ て 、 豆 満 江 流 域 の 開 発 主 導 権 が 中 国 の 手 に 入 る こ と に な る と い う こ と は 重 要 な ポ イ ン ト で あ ろ う 。 北 朝 鮮 ・ 中 国 ・ ロ シ ア の 接 境 地 域 で も あ る 豆 満 江 地 域 に 、 中 国 が 主 導 す る 自 由 貿 易 地 帯 が 形 成 さ れ る 場 合 、1990年 代 初 から TRADPによ っ て 、韓 国と 北 朝鮮 ・中 国 ・ ロ シ ア ・ 日 本 そ し て モ ン ゴ ル な ど を 含 む 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 、 さ ら に は 東 北 ア ジ ア 地 域 の 経 済 協 力 の 構 造 が 、 以 後 中 国 が 主 導 権 を 持 つ よ う に な る 可 能 性 が 高 く な る 。 特 に 中 国 が 、 国 家 次 元 か ら 豆 満 江 地 域 を 中 心 と し て 展 開 し て い る 「 圖 們 開 発 開 放 先 導 区 」 計 画 は 、 政 治 ・ 経 済 的 に も 該 当 地 域 だ け で は な く 、 東 北 ア ジ ア 地 域 全 体 に 重 要 な 波 及 効 果 を 及 ぼ す よ う に な る と 判 断 さ れ る 。 つ ま り 、 経 済 的 な 側 面 か ら み る と 、 中 国 は 豆 満 江 地 域 交 通 物 流 の イ ン フ ラ 拡 充 に よ り 、 東 北 地 域 の 重 工 業 製 品 ・ 食 糧 そ し て 資 源 な ど を 、 主 要 消 費 地 で あ る 中 国 の 東 南 沿 海 地 域 で は な く 、 韓 国 ・ 日 本 そ し て 欧 米 地 域 に ま で 運 送 で き る 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 対 外 貿 易 の 海 上 通 路 を 開 拓 す る こ と に な る 。 こ れ に よ っ て 中 国 は 、 東 北 振 興 意 図 を 推 進 す る た め の 基 礎 的 な 物 的 土 台 を 確 保 す る と 同 時 に 、 対 外 開 放 の 促 進 に よ る 莫 大 な 社 会 的 ・ 経 済 的 利 益 を 期 待 で き る よ う に な っ た 。 さ ら に 、 中 国 は 北 朝 鮮 ・ ロ シ ア と と も に 豆 満 江 地 域 の 共 同 開 発 か ら 独 自 的 な 東 北 ア ジ ア 経 済 統 合 を 推 進 す る こ と に よ っ て 対 外 開 放 の 相 互 拡 大 に よ る 地 域 の 統 合 発 展 を 図 る こ と も 考 え ら れ る よ う に な っ た 。 一 方 、 北 朝 鮮 と し て は 経 済 的 制 裁 か ら 韓 国 や 欧 米 な ど の 経 済 的 援 助 が 無 く て も 、 中 国 と の 共 同 開 発 事 業 に よ り 、 今 ま で の 経 済 的 な 問 題 ・ 厳 し い 貿 易 環 境 ・ イ ン フ ラ 構 築 の 不 足 な ど が 原 因 で 進 め る 事 が で き な か っ た 北 朝 鮮 と 中 国 間 の 経 済 貿 易 を 発 展 さ せ る 効 果 も 期 待 で き る よ う に な っ た 。 し か し 、 こ の よ う な 経 済 的 な 側 面 以 上 に 注 目 し な け れ ば な ら な い の は 、 豆 満 江 地 域 の 国 際 協 力 開 発 事 業 に 対 す る 中 国 の 意 図 的 戦 略 で あ る 。 地 理 学 か ら み る と 、
10 豆 満 江 地 域 の 国 際 協 力 開 発 事 業 に つ い て 中 国 が 主 導 的 役 割 を 果 た し 、 今 後 北 朝 鮮 か ら 東 海 ( 日 本 海 ) へ 進 出 す る 海 上 通 路 が 確 保 で き る と い う こ と は 、 中 国 に と っ て は 単 な る 経 済 的 期 待 効 果 以 上 の 意 味 が あ る と 考 え ら れ る 。 つ ま り 、 北 朝 鮮 ・ 中 国 ・ ロ シ ア の 三 国 国 境 地 域 の 統 合 経 済 圏 の 出 現 と 、 中 国 の 東 海 ( 日 本 海 ) へ の 進 出 権 確 保 は 、 中 国 の 地 理 学 的 な 利 益 と 国 家 安 保 に 非 常 に 有 利 な 方 向 に 作 用 す る こ と で あ り 、 既 存 の 日 米 中 心 の 東 北 ア ジ ア 政 治 ・ 経 済 構 造 に 対 応 で き る 中 国 中 心 の 国 際 政 治 経 済 の 構 造 が 発 生 す る 可 能 性 も あ る 。 特 に 、 軍 事 的 側 面 か ら 、 中 国 の 海 軍 力 が 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 地 域 に 進 出 で き る き っ か け を 提 供 す る こ と に よ り 、 こ の 地 域 の 軍 事 ・ 安 保 状 況 を さ ら に 複 雑 に な る 可 能 性 も あ る 。 こ の 事 は 結 果 的 に 、 経 済 的 な 側 面 と と も に 北 朝 鮮 の 中 国 へ の 依 存 度 を 深 化 さ せ る 結 果 と な り 、 韓 半 島 ( 朝 鮮 半 島 ) 問 題 に 対 す る 中 国 の 影 響 力 拡 大 に ま で つ な が る 可 能 性 も あ る 。 Ⅲ. 結論 : 依 存と 開 放の ジ レ ン マを 超 えて 前 述 し た よ う に 、 中 国 東 北 地 域 は モ ン ゴ ル ・ ロ シ ア ・ 北 朝 鮮 に 直 接 的 に 接 境 し て お り 、 さ ら に 韓 国 ・ 日 本 と は 海 上 を 通 じ て 連 携 で き る 東 北 ア ジ ア の 要 衝 だ と 言 え る 。 し か し 、 こ の よ う な 地 理 学 的 優 位 性 に も か か わ ら ず 、 従 来 の 東 北 地 域 は 長 期 間 に お い て 発 展 停 滞 状 態 に あ り 、 対 外 開 放 に よ る 近 接 国 と の 円 滑 な 相 互 交 流 が 行 わ れ て こ な か っ た 。 だ が 近 年 、 中 国 の 中 央 政 府 次 元 は 「 東 北 振 興 計 画 」 を 本 格 的 に 推 進 、 中 国 国 内 で は 産 業 ・ 企 業 構 造 の 再 編 が 行 わ れ 、 新 し い 成 長 動 力 を 確 保 し 、 体 外 的 に も 開 放 の 内 容 を 拡 大 す る こ と に よ っ て 東 北 ア ジ ア 経 済 圏 形 成 に お い て 主 導 的 な 位 置 を 占 め る よ う に な っ た 。 特 に 近 年 、 東 北 振 興 計 画 に よ る 東 北 三 省 の 経 済 的 発 展 と 対 外 協 力 の 強 化 は 、 近 接 し た 北 朝 鮮 と の 交 易 及 び 投 資 拡 大 、 さ ら に は 北 朝 鮮 に 対 す る 中 国 の 影 響 力 拡 大 に ま で つ な が っ て い る 。 そ の 中 で も 特 に 中 国 の 主 導 で 行 わ れ て い る 鴨 緑 江 道 路 大 橋 と ナ ジ ン 港1号 埠 頭 の建 設 に つ い て は 、 こ の よ う な 影 響 力 が 拡 大 し た 証 拠 と も 考 え ら れ る 。 中 国 は 、 現 在 ま で 重 視 さ れ て い な か っ た 東 北 地 域 の 開 発 を 、 国 家 的 中 心 事 業 と し て 確 定 し 、 鴨 緑 江 と 豆 満 江 流 域 な ど 、 北 朝 鮮 と の 接 境 地 域 を 中 心 と し て 大 規 模
11 な イ ン フ ラ 投 資 を 進 行 し て き た 。 つ ま り 、 東 北 振 興 計 画 に 基 づ い た 対 外 開 放 の 拡 大 で 、 こ の 辺 境 地 域 に 対 す る 政 策 的 意 味 が 重 視 さ れ 、 辺 境 地 域 の 輸 送 路 構 築 プ ロ ジ ェ ク ト が 「 第11次 5年 計画 」 に 加え ら れ 推 進さ れ て きた 。 特 に 、対 北 朝 鮮「 陸路 ‐ 港 湾 ‐ 区 域 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト に よ り 、 北 朝 鮮 と 中 国 の 中 間 辺 境 地 域 で あ る 鴨 緑 江 周 辺 に は 丹 東 ‐ 新 義 州 に つ な が る 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 新 設 が 推 進 、 豆 満 江 河 口 で は 北 朝 鮮 と 中 国 間 の 琿 春 ‐ ナ ジ ン 道 路 の 近 代 化 と ナ ジ ン 港 の 改 良 ・ 建 設 が 行 わ れ て い る 。 さ ら に 、 対 ロ シ ア 「 陸 路 ・ 港 湾 ・ 税 関 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト に よ っ て 琿 春 ‐ ザ ル ビ ノ 港 鉄 道 開 通 と ザ ル ビ ノ 港 改 造 プ ロ ジ ェ ク ト が 進 行 、 モ ン ゴ ル 東 部 地 域 と 中 国 東 北 地 域 を 結 ぶ 国 際 鉄 道 輸 送 路 建 設 プ ロ ジ ェ ク ト も 進 行 さ れ て い る 。 こ の よ う な 中 国 の 国 際 輸 送 路 プ ロ ジ ェ ク ト は 、 東 北 振 興 計 画 と 密 接 に 関 連 、 中 国 は こ の 接 境 地 域 に 対 す る 投 資 を 拡 大 す る こ と に よ っ て 東 北 地 域 開 発 に 必 要 な 資 源 と 市 場 の 確 保 は も ち ろ ん 、 こ の 地 域 に 対 す る 影 響 力 も 強 化 で き る 「 二 兎 を 追 う 」 効 果 を 図 っ て い る 。 近 年 、 北 朝 鮮 の 核 実 験 と ミ サ イ ル 発 射 な ど の 政 治 的 な 動 き に よ る 東 北 ア ジ ア の 不 安 定 な 国 際 関 係 が 続 き 、 中 国 の 北 朝 鮮 と の 協 力 関 係 も 新 し い 局 面 に 入 っ た 。 し た が っ て 、 中 国 の 対 北 朝 鮮 計 画 に も 可 変 性 が 高 く な り 、 北 朝 鮮 と の イ ン フ ラ 連 携 プ ロ ジ ェ ク ト の 場 合 、 そ の 政 策 的 優 先 順 位 と 実 現 可 能 性 が 低 く な る の で は な い か と い う 判 断 が 圧 倒 的 だ っ た 。 つ ま り 、 中 国 は 公 式 的 に はUN安保 理 の 常 任 理 事 国 と し て 安 保 理 決 意 に 対 す る 施 行 義 務 が あ る た め 、 北 朝 鮮 と の 協 力 も 限 界 が あ る と 予 想 さ れ た 。 実 際 、 中 国 に 対 す る 北 朝 鮮 の 依 存 度 が 増 加 し て い く 状 況 で 、 中 国 が 行 う 対 北 朝 鮮 制 裁 は 最 も 大 き い 効 果 が 発 揮 で き る と 考 え ら れ た た め 、 対 北 朝 鮮 制 裁 を め ぐ っ た 国 際 社 会 の 中 国 へ の 要 求 も 一 層 強 化 し て い く 状 況 で あ っ た 。 結 局 、 中 国 は 「 責 任 感 あ る 強 大 国 」 と し て 北 朝 鮮 に 圧 力 を か け 、 地 域 平 和 と 安 保 を 維 持 す る と 同 時 に 、 北 朝 鮮 の 政 治 的 破 局 状 況 を 防 止 し な が ら 、 段 階 的 な 改 革 ・ 開 放 の 方 向 に 牽 引 す る た め の 新 し い 政 策 的 代 案 を 要 求 さ れ て き た と 思 わ れ る 。 し か し 最 近 、 中 国 の 対 北 朝 鮮 経 済 協 力 の 強 化 と 連 携 イ ン フ ラ 協 力 開 発 事 業 が 示 唆 す る こ と は 、 非 常 に 政 治 的 で あ り 意 図 的 な 行 動 で あ る と い う こ と を 認 識 す る 必 要 が あ る 。 ま た 北 朝 鮮 に 対 す る 過 度 な 制 裁 は 、 結 局 は 北 朝 鮮 を 危 機 的 状 態 に 攻 め 立 て る こ と と な り 、 中 国 の 東 北 振 興 計 画 の 推 進 と と も に 、 東 北 ア ジ ア 国 際 情 勢 上
12 で の 有 利 な 位 置 を 確 保 す る の に 否 定 的 な 要 因 と し て 作 用 す る 可 能 性 が あ る と い う の が 中 国 の 判 断 だ と 考 え ら れ る 。 ま た ア メ リ カ ・ 日 本 な ど の 海 洋 勢 力 と の 対 決 構 造 で 、 一 定 の 緩 衝 地 帯 の 役 割 を 果 た せ る 北 朝 鮮 の イ メ ー ジ に 対 す る 意 図 的 考 慮 と と も に 、 こ れ を き っ か け と し て 北 朝 鮮 に 対 す る 中 国 の 影 響 力 を 一 層 拡 大 さ せ よ う と す る 意 図 を 感 じ さ せ る 。 北 朝 鮮 の 核 問 題 で 、 韓 半 島 ( 朝 鮮 半 島 ) の 状 況 は 相 変 わ ら ず 不 安 定 で あ り 、 ア メ リ カ を 中 心 と す る 国 際 社 会 の 対 北 朝 鮮 制 裁 が ま だ 有 効 な 状 況 に も か か わ ら ず 、 中 国 は む し ろ 北 朝 鮮 と の 交 易 と 投 資 を 拡 大 、 さ ら に イ ン フ ラ 連 携 協 力 を 強 化 し て い る こ と は 、 中 国 の こ れ ら の 意 図 が 明 ら か に な っ た 証 拠 で あ る と 言 え よ う 。 む ろ ん 、 中 国 が 主 導 的 に 、 対 北 朝 鮮 「 陸 路 、 港 湾 、 区 域 の 一 体 化 」 プ ロ ジ ェ ク ト を 提 示 す る こ と に よ り 、 北 朝 鮮 の 経 済 回 復 や 対 外 開 放 が 促 進 さ れ 、 韓 国 の 対 北 朝 鮮 支 援 の 負 担 を 軽 く す る 側 面 も あ る 。 つ ま り 、 今 回 の 鴨 緑 江 道 路 大 橋 新 設 に よ る 中 国 の 対 北 朝 鮮 イ ン フ ラ 協 力 の 連 携 強 化 は 、 北 朝 鮮 の 交 通 物 流 シ ス テ ム の 改 善 と と も に 経 済 的 に も 改 革 ・ 開 放 の 道 に 誘 導 す る こ と に 一 定 の 役 割 を 果 た せ る と も 期 待 さ れ る 。 さ ら に 、 東 北 ア ジ ア の 主 要 物 流 拠 点 と も 言 え る ナ ジ ン 港 開 発 が 停 滞 さ れ て い る 状 況 で 、 中 国 の 主 導 的 介 入 と 参 加 に よ り 、 豆 満 江 地 域 の 国 際 輸 送 路 の 近 代 化 と 関 連 国 と の 相 互 連 携 が よ り 活 発 と な り 、 さ ら に は 東 北 ア ジ ア 経 済 圏 の 形 成 に 寄 与 で き る こ と も あ る と 考 え ら れ る 。 し か し 、 中 国 と ロ シ ア な ど 、 第 三 国 に よ る 北 朝 鮮 の 主 要 幹 線 と 拠 点 の 先 取 り は 、 中 長 期 的 に は 京 義 線 ( ソ ウ ル ‐ 新 義 州 ) を 利 用 し た ユ ー ラ シ ア 大 陸 と の 連 携 、 ナ ジ ン 港 を 拠 点 と す る 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 と ユ ー ラ シ ア 大 陸 圏 を 連 携 し よ う と し て い る 韓 国 の 東 北 ア ジ ア 経 済 共 同 体 構 想 に 否 定 的 な 影 響 を 及 ぼ す か も し れ な い 。 つ ま り 、 韓 国 が 排 除 さ れ た 状 態 で 、 中 国 が 主 導 的 に 推 進 す る 丹 東 ‐ 新 義 州 間 の 連 携 開 発 と こ れ に よ る 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 新 設 は 、 韓 国 政 府 の 新 京 義 線 道 路 建 設 と い う 計 画 と 相 反 す る も の と な り 、 さ ら に は ナ ジ ン 港 に 対 す る 中 国 と ロ シ ア の 支 配 は 、 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 の 重 要 物 流 拠 点 を 失 う の と 同 時 に 、 さ ら に は ( 韓 国 と 北 朝 鮮 の ) 統 一 後 の 北 朝 鮮 港 湾 管 理 の 一 元 化 を 推 進 す る と い う 側 面 か ら も 否 定 的 な 影 響 を 及 ぼ す 。 ま た 、 ケ ソ ン と ク ム カ ン サ ン ( 金 剛 山 ) は 韓 国 が 、 鴨 緑 江 と 豆 満 江 地 域 の 開 発 は 中 国 が 担 当 す る 「 南 韓 北 中 」 の 分 割 構 造 が 形 成 さ れ る こ と に よ っ て 、
13 韓 半 島 ( 朝 鮮 半 島 ) 統 一 経 済 構 築 と 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 経 済 協 力 の シ ナ ジ ー 効 果 が 妨 害 さ れ 、 今 後 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 統 合 の 妨 害 要 因 に な る 可 能 性 も あ る 。 結 局 、 北 中(ロシ ア)接 境地域 で展 開さ れて いる中 国の 対北 朝鮮 インフ ラ協 力は 、 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 の 関 係 が 未 だ こ う 着 状 態 に あ り 、 韓 国 が 排 除 さ れ て い る 状 況 に お い て 北 朝 鮮 の 対 中 依 存 度 が 進 化 し て し ま う と い う 予 想 は 、 今 ま で も 対 中 国 依 存 度 が 高 い 北 朝 鮮 の 経 済 が 、 さ ら に 中 国 に 従 属 す る も の と な る 結 果 と な る 可 能 性 も 尐 な く な い 。 も し 、 こ の よ う に 政 治 お よ び 経 済 的 側 面 か ら 、 中 国 が 北 朝 鮮 に 対 す る 影 響 力 を よ り 拡 大 し よ う と す る と 、 北 朝 鮮 に 対 す る 韓 国 の 立 場 が 弱 く な る と い う 結 果 を 招 く 可 能 性 が 高 い 。 し た が っ て 、 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 経 済 共 同 体 、 そ し て 統 一 韓 半 島 ( 朝 鮮 半 島 ) に つ い て 考 え れ ば 、 中 国 東 北 三 省 と ロ シ ア 極 東 地 域 、 さ ら に は ユ ー ラ シ ア 大 陸 と の 輸 送 連 携 で 非 常 に 重 要 な 拠 点 と な る 新 義 州 ・ ナ ジ ン 港 な ど 北 中 ( ロ シ ア ) 接 境 地 域 に 対 す る 韓 国 政 府 の 積 極 的 な 介 入 と 参 加 が 強 く 求 め ら れ る 。 結 論 的 に 、 中 国 の 対 北 朝 鮮 イ ン フ ラ 協 力 に よ る 危 険 要 因 を 回 避 し つ つ 、 中 国 東 北 地 域 の 本 格 的 な 開 発 に よ る 肯 定 的 効 果 が 期 待 で き る と い う 側 面 か ら 、 北 中(ロ シ ア)接 境 地 域 の 軸 と 言 え る 新 義 州 ‐ 丹 東 お よ び ナ ジ ン ‐ 琿 春 (ナ ジ ン ‐ ハ サ ン )を 中 心 に し た 関 連 国 間 の 国 際 協 力 開 発 の た め の 共 助 シ ス テ ム の 構 築 が 必 要 と な る で あ ろ う 。 相 互 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と 交 流 に よ る 共 生 と 共 栄 の 媒 体 と も 言 え る イ ン フ ラ 開 発 の 特 徴 か ら 考 え る と 、 あ る 国 が 関 連 国 を 排 除 し た ま ま 一 方 的 に 建 設 を 推 進 す る こ と は 、 そ の 意 味 と 効 果 側 面 か ら 制 限 さ れ て し ま う の は 当 然 の こ と で あ る 。 し た が っ て 、 鴨 緑 江 道 路 大 橋 の 新 設 と 関 連 し て は 、 大 陸 と の 連 携 の た め の 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 間 の 京 義 線 、 ピ ョ ン ヤ ン ‐ 新 義 州 間 の 道 路 な ど 交 通 網 の 構 築 と 新 義 州 港 、 鴨 緑 江 鉄 橋 の 整 備 な ど の 協 力 問 題 と 関 連 す る 韓 北 中 三 者 間 協 力 の ア ウ ト ラ イ ン を 構 築 す る 必 要 性 が あ る 。 ま た 、 新 義 州 一 帯 の 経 済 特 区 と 自 由 貿 易 地 帯 建 設 に 備 え 、 建 設 事 業 と 技 術 協 力 な ど 中 国 と の 共 同 投 資 方 案 が 必 要 と な る 。 ナ ジ ン 港 開 発 と 関 連 し て は 中 国 東 北 地 域 の 開 発 と ロ シ ア の 極 東 地 域 開 発 を 連 携 し て 推 進 す る と い う こ と か ら 考 え て も 、 環 東 海 ( 日 本 海 ) 圏 の 国 際 協 力 開 発 の た め の 韓 北 中 ロ な ど の 多 者 間 協 力 の 基 盤 が 必 要 と な り 、 ナ ジ ン ‐ ウ ォ ン ジ ョ ン 間 の 道 路 ( 中 国 ) 、 ナ ジ ン ‐ ハ サ ン 間 の 鉄 道 ( ロ シ ア ) 、 ナ ジ ン 港1号 埠 頭 ( 中 国 ) 、 ナ ジ ン 港 3号 埠 頭 ( ロ シ ア ) 以 外 に も ナ ジ ン 港 の 背 後 地 建 設 と 物 流 事 業 な ど に 韓 国 を 含 む 総 合 的 コ
14 ン ソ ー シ ア ム を 構 築 す る 必 要 性 も あ る 。 こ の よ う な 国 際 協 力 に よ る 北 中 ( ロ シ ア ) 接 境 地 域 の イ ン フ ラ 開 発 は 、 一 つ 目 に は ま ず 、 韓 国 と 北 朝 鮮 間 の 協 力 か ら 予 想 さ れ る リ ス ク を 最 小 限 に す る こ と が で き 、 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 間 の 関 係 と 北 米 関 係 の 変 化 に よ っ て 協 力 の 方 向 が 決 ま る と い う 不 安 定 な 協 力 構 造 を 回 避 す る こ と が で き る 。 二 つ 目 に は 、 今 後 、 東 北 ア ジ ア 経 済 共 同 体 に な る 師 範 プ ロ ジ ェ ク ト 的 な 意 味 で の 韓 国 ・ 北 朝 鮮 ・ 中 国 ・ ロ シ ア ・ モ ン ゴ ル ( 日 本 ) な ど の 多 様 な 経 済 協 力 モ デ ル を 創 出 す る き っ か け に な る 。 三 つ 目 に は 、 交 通 物 流 協 力 に よ る 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 間 の 相 互 信 頼 構 築 と 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 経 済 協 力 の 基 盤 は も ち ろ ん 、 東 北 ア ジ ア 国 間 の 交 易 活 性 化 に よ る 平 和 シ ス テ ム 構 築 に も 役 立 つ と 言 え る 。 最 後 に 、 交 通 物 流 イ ン フ ラ の 改 善 に よ る 北 朝 鮮 の 対 外 開 放 を 促 進 、 対 外 開 放 の 学 習 効 果 を 増 進 さ せ る こ と に よ っ て 他 の 領 域 へ の 協 力 拡 大 が 期 待 で き る 。 こ の た め に 韓 国 政 府 は 、 多 者 間 の 国 際 協 力 だ け で は な く 柔 軟 な 対 北 朝 鮮 ア プ ロ ー チ で 、 中 国 の 対 北 朝 鮮 交 易 と 投 資 の 拡 大 、 そ し て 北 中 間 の 交 通 イ ン フ ラ 協 力 に よ る 否 定 的 な 波 及 効 果 に 対 応 で き る 最 小 限 の 韓 国 ‐ 北 朝 鮮 間 の 交 流 と 協 力 の 基 盤 を 考 え る 必 要 が あ る 。 つ ま り 、 現 在 の 北 米 ・ 韓 国 ・ 北 朝 鮮 間 の 和 解 局 面 を 最 大 限 に 活 用 し 、 韓 国 と 北 朝 鮮 の 関 係 を よ り 改 善 す る こ と に よ っ て 、 北 朝 鮮 の 経 済 開 放 を 支 援 す る と と も に 、 韓 国 と 北 朝 鮮 間 の 交 易 と 投 資 活 性 化 に よ る 北 朝 鮮 の 対 中 依 存 度 の 深 化 、 そ し て 北 朝 鮮 に 対 す る 中 国 の 先 占 に も 対 応 し な け れ ば な ら な い 。