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佛教大學研究紀要 68号(19840314) 087宮脇陽三「フランス中等教育における文学教育の発達過程についての一考察」

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Academic year: 2021

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内 容 員 次 は じ め に 一 中 世 ・ 近 世 か ら 一 九 世 紀 前 半 期 ま で の 文 学 教 育 発 達 前 史 二 一 九 世 紀 後 半 期 か ら 二 〇 世 紀 前 半 期 ま で の 優 等 生 対 象 の 文 学 教 育 確 立 期 三 第 ご 次 世 界 大 戦 後 か ら 現 時 期 に お け る 大 衆 生 徒 対 象 の 文 学 教 育 模 索 期 お わ り に は じ め に フ ラ ン ス に お け る 一 九 七 〇 年 度 以 降 の 大 学 入 学 資 格 試 験 で は 、 高 等 学 校 ( リ セ ) 第 二 学 年 末 に 受 験 す る ﹁ フ ラ ン ス 語 予 測 試 験 ﹂ は 、 A 、 B 、 C 、 D 、 D 、 E 科 と い う 六 種 類 の 専 攻 学 科 の 受 験 生 全 員 に 対 す る 共 通 必 須 の 筆 記 ・ 口 述 試 験 科 目 と な っ て い る 。 高 等 学 校 第 三 学 年 末 に 受 験 す る 大 学 入 学 資 格 試 験 に お け る 文 科 系 専 攻 学 科 の 必 須 筆 記 試 験 科 目 プ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 八 七

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 八 八 と し て の 哲 学 と 、 理 科 系 専 攻 学 科 の 必 須 筆 記 試 験 科 目 と し て の 数 学 と 並 ん で 、 こ の ﹁ フ ラ ソ ス 語 ﹂ 試 験 は 、 正 確 に は ﹁ フ ラ ソ ス 語 文 学 試 験 ﹂ で あ る 。 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 は 、 フ ェ リ 文 相 に よ る 一 八 七 二 年 の 中 等 教 育 の 改 革 に よ っ て 、 ラ テ ン 語 と と も に 知 識 教 養 人 階 級 の 文 化 的 象 徴 と し て の 地 位 を 確 立 し 、 一 九 三 八 年 の ゼ イ 文 相 の 中 等 教 育 の 改 革 の 結 果 、 フ ラ ン ス 中 等 教 育 の 頂 点 に 到 達 し た の で あ る 。 第 二 次 世 界 大 戦 後 の 一 九 七 五 年 の ア ビ 文 相 に よ る 中 等 教 育 の 改 革 に よ っ て 、 一 九 七 七 年 度 以 降 で は 小 学 校 ( 五 年 ) 、 中 学 校 ( コ レ ー ジ ェ ) ( 四 年 ) 、 高 等 学 校 ( リ セ ) ( 三 年 ) の 単 線 型 学 校 制 度 が 実 現 さ れ た の で あ る 。 そ の 結 果 、 今 目 の 中 学 校 ( コ レ ー ジ ュ ) と 高 等 学 校 ( リ セ ) の 就 学 人 口 の 爆 発 時 代 に お い て は 、 と く に 中 学 校 ( コ レ ー ジ ュ ) の 大 衆 生 徒 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 に 対 す る 要 求 や 興 味 や 関 心 と 、 伝 統 的 な フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 と の 間 に は 相 当 な ず れ が 見 ら れ る よ う に な っ た の で あ る 。 一 九 六 三 年 か ら 六 七 年 に か け て の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 の 改 定 も 、 現 代 に 適 応 し な い 内 容 を 一 部 修 正 し た に と ど ま り 、 一 九 七 二 年 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 の 改 定 に よ っ て 、 は じ め て フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 σ 大 幅 な 現 代 化 が 実 現 さ れ る こ と に な っ た の で あ る 。 こ の 小 論 で は 、 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 を 、 主 と し て O 中 世 . 近 世 か ら 一 九 世 紀 エ リ ロ ト 前 半 期 ま で の フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 発 達 前 史 と 、 ⇔ 一 九 世 紀 後 半 期 か ら 二 〇 世 紀 前 半 期 ま で の 少 数 の 優 等 生 を 対 象 と す る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 確 立 期 と 、 ⇔ 第 二 次 世 界 大 戦 後 か ら 現 時 期 に お け る 大 衆 生 徒 を 対 象 と す る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 模 索 期 と い う 三 つ の 時 期 に 区 分 し て 考 察 し よ う と す る も の で あ る 。

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一 中 世 ・ 近 世 か ら 一 九 世 紀 前 半 期 ま で の 文 学 教 育 発 達 前 史 紀 元 後 三 世 紀 以 降 の フ ラ ン ス に お け る 文 学 教 育 史 は 、 上 流 名 士 階 層 の 子 弟 の 運 命 を 配 慮 し た も の で あ っ た 。 上 流 名 士 階 層 の 家 庭 は 古 く か ら の 豊 か な 文 化 的 伝 統 を 承 け 継 い で き て い た か ら 、 そ の 子 弟 は 庶 民 大 衆 階 層 の 子 弟 よ り も 長 期 に わ た る 独 特 の 人 格 教 育 を 受 け た し 、 ま た 独 特 の 上 品 な 優 雅 な 行 動 様 式 を 習 得 し て 、 悠 然 と し た 物 腰 と 調 和 の と れ た 精 神 を 身 に つ け る こ と に な っ て い た の で あ る 。 フ ラ ン ス を は じ め 、 ギ リ シ ャ ・ ラ テ ン 文 明 の 影 響 を 受 け た 西 欧 諸 国 で は 、 中 等 学 校 に お け る 文 学 教 育 は 、 最 近 の 一 〇 年 ほ ど 以 前 に は 伝 統 的 に 古 代 に ま で さ か の ぼ っ て 行 わ れ る こ と が 通 例 で あ っ た 。 と り わ け プ ラ ト / ( P la to n 晋 4 2 7 -3 4 7 ) と イ ソ ク ラ テ ス ( H °。○ ぼ 肄 Φ の 晋 心 ω ① 1 ω ゜。 o。 ) は 古 典 文 学 教 育 の 始 祖 と い わ れ た の で あ る 。 古 代 ギ リ シ ャ の ホ メ ロ ス ( H o m e r o s ) の 叙 事 詩 の 学 習 は ﹁ ギ リ シ ャ 人 の 教 師 ﹂ で あ り 、 青 少 年 の 知 的 、 道 徳 的 陶 冶 の 最 良 の 手 段 で あ る と 考 え ら れ た の で あ る 。 ホ メ ロ ス が 古 代 の 英 雄 た ち の 偉 大 に し て 崇 高 な 行 為 を 讃 え る 文 学 的 技 法 の 学 習 を 通 じ て 、 教 師 は 青 少 年 に 対 し て 文 学 的 な 表 現 や 比 喩 や 文 法 規 則 の 応 用 に つ い て の 天 才 に よ る 模 範 文 の 宝 庫 へ の 手 ほ ど き を し た の で あ る 。 教 師 た ち は た ん に そ れ ら の 文 学 的 技 法 だ け で な く 、 さ ま ざ ま な 人 間 性 の 類 型 を も 適 確 に 表 示 し よ う と し た の で あ る 。 そ の た め に ソ フ ォ ク レ ス ( ω o 冨 o 匹 Φ ゜。 晋 お ① 癲 -蔭 O ① ) 、 エ ウ リ ピ デ ス ( 国 霞 号 貳 ① ω 晋 幽 c。 0 輝 -心 O ① 癌 ) 、 ア リ ス ト フ ァ ネ ス ( ≧ is to p h a n e s 晋 4 4 5 湎 -3 °。 α 癲 ) 、 ヘ ロ ド ト ス ( 国 ㊤ o 餌 0 8 の 轡 蔭 o。 驫 測 ー お α 薀 ) 、 ク セ ノ フ ォ ン ( × Φ 昌 o ︾ げ o 印 晋 蒔 ω O 癲 -ω 罐 癲 ) 、 デ モ ス ih ネ K ( D e m o st h e n e s 晋 3 8 4 -3 2 2 ) な ど 古 代 ギ リ シ ャ の 不 朽 の 古 典 著 作 家 が 文 学 教 授 要 目 に フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 八 九

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 九 〇 採 択 さ れ た の で あ る 。 学 習 方 法 は 所 定 の 手 順 に 従 っ て 、 丹 念 に 練 り 上 げ ら れ て い た 。 例 え ば 、 ホ メ ロ ス の 叙 事 詩 ﹁ イ リ ア ス ﹂ の 各 篇 は 、 明 確 な 筋 道 と 、 詩 の 形 式 を 厳 密 に お さ え た 朗 読 に よ る 総 合 学 習 の 対 象 と な っ た 。 教 材 と し て 採 択 さ れ た 名 文 は つ ね に 同 じ も の で あ っ た が 、 学 習 者 は 原 典 の 名 文 を 忠 実 に 模 倣 し な が ら 、 表 現 力 に 富 ん だ 朗 読 を 行 い 、 ま た 原 典 の 名 文 の 文 学 的 解 釈 を 正 確 に 行 う こ と に よ っ て 、 文 学 的 な 表 現 力 と 解 釈 力 を 習 得 し た の で あ る 。 学 習 者 は 原 典 の 文 章 の 朗 読 が で き る よ う に な れ ば 、 す ぐ に 原 典 解 釈 を 行 う こ と が 課 せ ら れ た の で あ る 。 こ の よ う な 古 典 文 学 学 習 指 導 法 は 今 日 ま で ご く わ ず か な 修 正 を 除 く と 、 数 世 紀 以 上 の 期 間 に わ た っ て 反 復 さ れ て き た の で あ る 。 ロ ー マ 人 は 最 初 は 軍 隊 に よ っ て 、 次 い で 政 治 に よ っ て ギ リ シ ャ の 支 配 者 と な っ た が 、 し か し ギ リ シ ャ 伝 統 の 文 学 学 習 指 導 法 は 、 そ の ほ か の さ ま ざ ま な 文 化 遺 産 と 同 じ く 、 ロ ー マ 文 明 に 取 り 入 れ ら れ 同 化 さ れ た の で あ る 。 し か し ロ ー マ 人 は な る ほ ど ギ リ シ ャ 文 明 に 対 し て 開 放 的 で あ り 従 順 で あ っ た と し て も 、 ロ ー マ 人 自 身 の 文 学 の 巨 匠 た ち 、 テ レ ン テ ィ ゥ ス ( T e r e n t iu s 晋 6 5 ︲ 轡 ゜。 ) ' キ ケ n ( C ic e r o 譽 1 0 6 i お ) な ど も 文 学 教 材 に 堂 々 と 採 択 し 、 文 学 教 育 の 改 革 を 図 っ た の で あ る 。 か く し て ヴ ェ ル ギ リ ウ ス ( V e r g il iu s    J7 0 -g U 1 9 ) は 生 け る 古 典 詩 人 と な り 、 傑 作 ﹁ ア ェ ネ イ ス ﹂ は ラ テ ン 文 学 随 一 の 偉 大 な 国 民 的 叙 事 詩 と な っ た の で あ る 。 キ リ ス ト 教 全 盛 の 中 世 の 時 代 に お い て は 、 門 ギ リ シ ャ ・ ラ テ ン 語 古 典 解 釈 教 授 法 は ア ウ グ ス t}・ M K ( A u g u s ti n u s 3 5 4 -4 3 0 ) の 神 学 の 影 響 に よ っ て 消 滅 し て し ま い 、 専 ら 古 典 語 文 法 学 習 に 集 中 さ れ る こ と に な っ た の で あ る 。 一 六 世 紀 に な る と 、 古 代 文 学 原 典 が 発 掘 さ れ る と 同 時 に 、 ギ リ シ ャ ・ ラ テ ン 語 原 典 解 釈 研 究 も 復 興 さ れ た 。 ロ ン サ ー / ( R o n sa rd 1 5 2 4 ︲ °。 α ) と デ ュ ・ "{ a -( D u B e ll a y 1 5 2 2 -6 0 ) は パ リ の コ ク レ 学 院 で 人 文 主 義 者 ド ラ の 指 導 下

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に 古 典 文 学 に 目 ざ め た 。 ま た ラ ブ レ ー ( 影 ぴ Φ 嵐 の 置 逡 輝 l H 呂 ω 懸 ) の 作 品 の 登 場 人 物 は 、 プ ラ ト ン を 模 範 と し て ギ リ シ ャ 語 、 キ ケ ロ を 模 範 と し て ラ テ ン 語 の 文 章 構 成 法 を 学 習 し た の で あ る 。 一 六 世 紀 か ら 革 命 期 ま で の フ ラ ン ス 中 等 教 育 は カ ト リ ッ ク 教 団 イ エ ス 社 の 支 配 下 に 置 か れ た 。 イ エ ス 社 教 団 胸 随 獄 ラ チ オ 一 七 世 紀 以 降 の 文 学 教 授 法 に 独 特 の 色 彩 を 加 味 す る こ と に な っ た 。 イ エ ス 社 教 団 学 則 に ょ れ ば 、 イ エ ス 社 教 団 学 院 で は 、 宗 教 教 育 の ほ か に 古 典 文 学 ( ギ リ シ ャ 語 . ラ テ ン 語 古 典 、 修 辞 学 ) 、 と り わ け 仏 文 ラ テ ン 訳 、 ラ テ ン 語 解 釈 、 ラ テ ン 詩 な ど ラ テ ン 語 優 位 の ﹁ 修 辞 学 ﹂ ( 3 , 3 1 9 ) が 教 授 さ れ た の で あ る 。 イ エ ス 社 教 団 学 院 の 教 育 課 程 で は 、 論 理 学 ( 弁 証 法 ) に 代 っ て ギ リ シ ャ 語 ・ ラ テ ン 語 文 法 が 教 科 の 王 座 を 占 め て い る 。 ギ リ シ ャ 語 . ラ テ ン 語 古 典 は 、 生 徒 に 模 倣 さ せ る 文 体 の 模 範 で し か な か っ た の で あ る 。 教 師 の 側 で も 自 己 の 思 想 や 感 惰 を た だ ラ テ ン 語 に よ っ て 簡 潔 に 表 現 す る だ け で あ っ た 。 文 章 を 書 く 技 術 、 つ ま り 懐 古 的 文 学 趣 味 の 育 成 が 教 育 の 目 的 と な り 、 古 典 学 習 は そ の た め の 手 段 に す ぎ な く な っ た の で あ る 。 し か し 、 教 育 が 文 章 構 成 法 の 育 成 以 外 に な ん ら の 目 的 も 持 た な け れ ば 、 教 育 は そ こ で 停 止 せ ざ る を え な く な る 。 こ れ が イ エ ス 社 教 団 学 院 に お い て 、 修 辞 学 級 が 完 成 教 育 学 級 と な っ た 理 由 で あ る 。 修 辞 学 に 熟 達 し た 生 徒 は 、 い わ ば 修 辞 学 以 上 に 学 習 す べ き 対 象 が な い の で 、 か れ の 知 育 は そ こ で 終 了 し て し ま う の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 当 代 の 中 等 教 育 は 、 今 日 ﹁ 言 葉 に よ る 洗 礼 ﹂ と 呼 ば れ て い る よ う な ギ リ シ ャ 語 ・ ラ テ ン 語 古 典 文 学 学 習 に 偏 向 し て い た と い わ な け れ ば な ら な い 。 ギ リ シ ャ 語 ・ ラ テ ン 語 古 典 文 学 教 授 要 目 に は 、 ラ テ ン 人 、 す な わ ち キ ケ ロ 、 オ ヴ ィ デ ィ ウ ス ( O く 凱 言 ¢ 轡 蔭 ω 1 黙 嵩 懸 ) 、 ヴ ェ ル ギ リ ゥ ス 、 イ ソ ッ プ ( 諺 同ω o b 自 ω) な ど の 原 典 も 復 活 し て い る の で あ る 。 フ ラ ソ ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 九 一

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 九 二 古 典 文 学 の 教 授 法 は 、 古 典 の 模 範 文 、 と り わ け 短 文 の 抄 文 を 注 釈 し た り 、 系 統 的 に 解 釈 し た り す る こ ど で あ っ た 。 こ の よ う な 古 典 文 学 の 講 義 ( P r a e le c tio ) は フ ラ ン ス 中 等 教 育 で は ご く 最 近 ま で 理 想 的 な 教 授 法 と 考 ・兄 ら れ て い た た バ カ ロ レ ア め に 、 教 師 た ち は 大 学 入 学 資 格 試 験 の フ ラ ン ス 語 口 述 試 験 に 備 え て 、 設 題 文 章 の 背 景 を 検 討 さ せ る た め に 、 設 題 文 と そ の 出 典 の 全 文 と を 参 照 さ せ る こ と や 、 ま た 綿 密 な 解 釈 を 行 わ せ る た め に 、 設 題 文 の 全 体 の 趣 旨 と 文 体 を 吟 味 さ せ た り 、 設 題 文 に 関 連 し て 想 起 さ れ た 事 実 を 解 釈 さ せ た り す る こ と に よ っ て 、 文 学 的 、 哲 学 的 な 結 論 を 出 す よ う に 指 導 し た の で あ る 。 中 等 学 校 に お け る 文 学 教 育 に は 過 去 の 文 化 的 伝 統 が 深 く 根 を 張 っ て お り 、 そ の よ う な 伝 統 を 代 々 承 け 継 い で き て い る た め に 、 文 学 教 育 小 史 を 吟 味 し て い る の で あ る が 、 も ち ろ ん こ こ で は た ん な る 文 学 教 育 史 を 素 描 す る だ け で な く 、 各 時 期 に お け る 文 学 教 育 実 践 を 正 し く 評 価 す る こ と が 必 要 で あ る 。 イ エ ス 社 教 団 学 院 に お け る 文 学 教 育 の 評 価 に は 、 二 つ の 立 場 が あ る 。 ペ ギ  ̄ C P e g u Y ) は イ エ ス 社 教 団 学 院 で の 文 学 教 育 は 当 代 に お け る 社 会 の 実 情 に 完 全 に 適 応 し て い た も の で あ る と 高 く 評 価 し て い る 。 そ れ に 対 し て ス ニ デ ル ( S n y d er s ) は 、 イ エ ス 社 教 団 学 院 の 文 学 教 育 の な か ば 儀 式 化 さ れ た 文 化 の な か に は 、 集 団 麻 酔 状 態 が み ら れ る と い う の で あ る 。 つ ま り 、 そ の よ う な 文 学 教 育 は 青 少 年 を 現 実 の 世 界 に お け る さ ま ざ ま な 社 会 的 、 政 治 的 な 矛 盾 や 葛 藤 か ら 故 意 に 眼 を そ ら せ 、 隔 離 す る こ と に よ っ て 、 社 会 的 無 秩 序 に 対 し て 麻 痺 さ せ る 働 き を し た の で あ る と い う の で あ る 。 も っ と も い ず れ の 立 場 か ら 文 学 教 育 実 践 を 評 価 す る に せ よ 、 O 文 学 教 育 実 践 に つ い て 固 有 な 意 味 で の 教 育 学 的 分 析 を 行 う こ と と 、 ⇔ 文 学 教 育 実 践 が 社 会 的 に 発 展 さ せ 、 合 理 化 し て い っ た も の が 何 で あ っ た か を 発 見 す る こ と は 大 切 で あ る と 考 え ら れ る の で あ る 。

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実 際 、 事 象 を 客 観 的 に 考 え た 場 合 、 文 学 教 育 の あ り 方 を 思 索 す る こ と は 聖 職 者 の 管 轄 領 域 で も な く 、 軍 人 の 管 轄 領 域 で も な い 。 一教 育 は さ ま ざ ま な 他 の 職 業 の な か の 一 つ の 職 業 で あ り 、 そ の 唯 一 つ の 威 信 は 教 育 の 質 か ら 由 来 す る の で あ る 。 教 育 は 物 質 ま た は 金 銭 の た め に 行 わ れ る の で は な く 、 人 間 の 人 格 と 精 神 の た め に 行 わ れ る の で あ る 。 教 師 ( p r o fe s se u r ) は 神 秘 主 義 者 で も な け れ ば 芸 術 家 ( 鋤 鼠 ω 8 ) で も な い 。 教 師 と は 自 己 の 仕 事 を で き る だ け 誠 実 か つ 効 果 的 に 、 毎 日 所 定 の 手 順 に し た が っ て 、 所 定 の 範 囲 内 で 行 う 職 人 ( a r ti s a n ) で あ る 。 そ れ ゆ え 、 教 育 の 価 値 は あ ら ゆ る 人 び と の 行 為 と 同 じ 尺 度 で 測 定 す る こ と が で き る の で あ る 。 モ リ ス ・ プ ロ / it ル ( B lo n d e l, M .) ( 5 , 3 0 5 ) に よ れ ば 、 あ る 行 為 に 着 手 し た 者 は だ れ で あ っ て も 、 意 識 す る と し な い と に か か わ ら ず 、 あ る 目 的 達 成 の た め に 短 期 ま た は 長 期 に わ た っ て 志 向 す る と い わ れ て い る 。 か れ は そ う す る こ と に よ っ て 、 い く つ か の 価 値 を 選 択 す る の で あ る 。 そ の う え 、 か れ は そ の 計 画 を 実 行 す る や い な や 、 目 的 達 成 の た め に 特 定 の 方 法 、 す な わ ち 物 質 的 な 手 段 か 、 ま た は 人 間 的 な 手 段 か の い ず れ か を 選 択 す る こ と に な る の で あ る 。 文 学 教 育 の 指 導 に あ た っ て 、 教 師 は 一 般 に は O 教 育 目 的 中 心 の 立 場 か 、 ⇔ 教 育 方 法 中 心 の 立 場 か 、 ⇔ 教 育 目 的 と 教 育 方 法 の 両 者 に 等 距 離 的 な 立 場 か の い ず れ か 一 つ を 取 る と い わ れ て い る 。 e 教 育 目 的 中 心 の 立 場 で は 、 長 期 的 な 教 育 目 的 達 成 へ 志 向 さ れ る の で あ る 。 特 定 の 型 の 人 間 の 発 達 を 促 進 し て い く の で あ る が 、 そ れ は ま た あ る 社 会 の 選 択 し た 人 間 の 型 を 顕 在 的 に か 潜 在 的 に か い ず れ に せ よ 示 し て い る の で あ る 。 ⇔ 教 育 方 法 中 心 の 立 場 で は 、 具 体 的 、 実 際 的 な 教 育 方 法 へ 志 向 さ れ る の で あ る 。 所 定 の 手 順 に よ る 方 法 、 さ ま ざ ま な 文 章 の 型 式 の 練 習 、 学 習 主 題 、 練 習 課 題 、 講 義 と い う 方 式 が 適 宜 に 交 代 し て 取 り 上 げ ら れ る の で あ る 。 ⇔ 教 育 目 的 と 教 育 方 法 の 両 者 に 等 距 離 的 な 態 度 を 取 る 立 場 で は 、 教 育 目 的 と 教 育 方 法 に 同 じ よ う な 重 み を か け て 志 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 九 三

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 ' . 九 四 向 さ れ る の で あ る 。 こ れ ら の 三 つ の 立 場 の い ず れ か を 取 る こ と に よ っ て 、 さ ま ざ ま な 教 育 実 践 を 行 う 学 校 が 出 現 し て く る と と も に 、 教 育 学 の 側 で も 、 制 度 的 教 育 学 と 非 管 理 主 義 的 教 育 学 ( フ レ ネ 式 教 授 法 な ど ) と に 分 化 す る の で あ る 。 人 間 の 行 動 は そ れ 自 身 ま と ま っ て い れ ば い る ほ ど 効 果 的 で あ る 。 行 動 の 目 的 と 方 法 の 間 に は 本 来 な ん ら の 矛 盾 も 存 在 し な い は ず で あ る 。 教 育 哲 学 は 何 の た め に 教 育 す る の か と い う 問 題 を つ ね に 思 索 す る の で あ る 。 そ れ ゆ え 教 育 哲 学 は 教 育 方 法 や 教 育 実 践 活 動 を 鼓 舞 激 励 す る の で あ る 。 確 か に 、 一 七 世 紀 以 後 の フ ラ ン ス に お け る 文 学 教 育 史 は 、 ど の よ う に 教 育 哲 学 を 教 育 方 法 ( 教 育 実 践 ) に 結 び つ け る か と い う こ と を 追 求 し て き た の で あ る 。 キ ケ ロ に よ れ ば 、 ﹁ 古 典 人 文 学 ﹂ ( h  u m a n i  e s) と は ﹁ 人 間 性 研 究 ﹂ ( °。言 岳 9 ゲ 環 ヨ 鋤 ぼ け幾 ω ) を 意 味 し て い る が 、 そ れ こ そ は 文 学 教 育 活 動 の 究 極 的 な 目 的 そ の も の な の で あ る 。 ス イ ス の 教 育 学 者 メ イ ラ ン ( M e y la n , L °) は 第 二 次 世 界 大 戦 の 直 前 に 、 次 の よ う に 述 べ て い る 。 ﹁ 青 少 年 を あ ら ゆ る 時 代 の 人 間 性 の 共 同 社 会 の な か へ 案 内 し て い く こ と に よ っ て 、 人 間 へ の 仲 間 入 り を さ せ る こ と で あ る 。 ﹂ ( 9 ω O ① ) そ れ は 青 少 年 を 不 毛 な 模 倣 の な か に 閉 じ こ め て し ま う こ と で は な い 。 ﹁ 一 人 ひ と り の 生 徒 を 小 キ ケ ロ 、 小 ニ ュ ー ト ン 、 小 フ ラ ン ソ ワ ・ ダ シ ス に す る こ と で は な く て 、 生 徒 自 身 の 天 性 に し た が っ て 発 達 さ せ て い く こ と で あ る 。 ﹂ ( 9 ω O ① ) こ の よ う な 人 間 性 尊 重 主 義 者 に よ る 教 育 観 は 、 一 七 世 紀 の 教 育 学 者 に よ っ て も 十 分 に 配 慮 さ れ て い た の で あ る 。 イ エ ス 社 教 団 学 院 に お け る 教 育 に つ い て の 研 究 者 メ ・{, / . ( M e s n a r d , P .) は 、 ﹁ 偉 大 な 時 代 ﹂ と い わ れ る 一 七 世 紀 コ レ ノ ジ ユ の 教 育 目 的 を 、 次 の よ う に 述 べ て い る 。 ﹁ 目 的 は 学 院 の 卒 業 時 に 、 世 界 に お い て 輝 や か し い 討 論 を す る こ と が で き る よ う に 陶 冶 さ れ た 、 人 間 の 条 件 に 関 す る す べ て の 主 題 を 十 分 に 理 解 し て い る 青 少 年 を 送 り 出 す こ と で あ る 。 こ れ は 社

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会 生 活 の 利 益 と キ リ ス ト 教 の 擁 護 と 栄 光 の た め で あ る 。 ﹂ ( 9 ω O ① ) も ち ろ ん 、 そ れ ゆ え 、 教 育 の 究 極 的 な 目 的 は 人 間 性 尊 重 主 義 者 の 形 成 で あ る 。 人 間 の 理 想 的 価 値 に つ い て 異 論 が な い と す れ ば 、 教 育 目 的 は 人 間 性 尊 重 主 義 者 の 形 成 に な ら ざ る を え な い の で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 イ エ ス 社 教 団 学 院 の 教 育 計 画 に お い て は 、 一 方 で 是 認 さ れ た 目 的 と 、 他 方 で そ こ へ 到 達 す る た め に 利 用 さ れ た 方 法 、 つ ま り 古 代 語 シ ア ソ ス ト さ ら ぬ あ と 古 代 文 学 に つ い て の 精 深 な 学 習 と 、 母 国 語 な ら び に 誕 生 し た ば か り の 科 学 に 対 す る 完 全 な 無 視 と の 間 に は 根 本 的 な 断 絶 が あ っ た と い わ な け れ ば な ら な い の で あ る 。 社 会 に お い て 相 当 な 地 位 を 占 め る こ と を 予 定 さ れ て い る 未 来 の ﹁ 紳 士 ﹂ ( h o n n e te h o m m e ) を 養 成 す る 方 法 は 、 過 去 の 時 代 に お け る ラ テ ン 語 古 典 の 系 統 的 学 習 に 閉 じ こ め て し ま う こ と で は な い は ず で あ る 。 ス ニ デ ル が 指 摘 し て い る よ う に 、 こ の 矛 盾 は 教 育 学 的 配 慮 の 不 足 か ら 生 じ た の で は な く 、 十 分 な 熟 慮 を 経 た 意 志 の 所 産 で あ っ た の で あ る 。 ア ソ シ ヤ ン   レ ジ じ ム 一 国 の 政 治 的 統 合 が 伝 統 の 尊 重 に よ っ て し か 維 持 さ れ な い 旧 制 度 的 な 変 動 の な い 社 会 に お い て は 、 社 会 自 体 の 生 存 の た め に は 、 教 育 学 は 伝 統 主 義 的 教 育 学 以 外 の も の で は あ り え な か っ た の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 イ エ ス 社 教 団 学 院 の 教 師 や 、 ジ ャ ン セ ニ ウ ス 派 お よ び オ ラ ト リ ア ン 派 の 学 校 の 教 師 は 、 意 図 的 に 青 少 年 を 現 実 の 社 会 と の 接 触 を 回 避 さ せ よ う と し た の で あ り 、 生 徒 の 身 辺 に は 日 常 の 世 界 と は 根 本 的 に 異 な る 世 界 に 対 す る 擁 護 と 純 愛 を 拡 げ て い こ う と し た の で あ る 。 そ こ で は 、 教 師 は 生 徒 に 対 し て 意 図 的 に 、 生 徒 自 身 の 衝 動 や 興 味 や 関 心 に 専 念 さ せ る の で は な く て 、 た え ず 既 成 の 模 範 に し た が っ て 自 己 を 改 造 し た り 規 制 し た り す る こ と を 理 想 と し て 掲 げ た の で あ る 。 ア ソ シ ヤ ソ コ レ ジ コ ム し か し な が ら 、 驚 く べ き こ と に は 、 そ の よ う な 文 学 教 授 法 が 一 世 紀 以 上 に も わ た っ て 、 そ れ が 奉 仕 し た 旧 制 度 的 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 九 五

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 九 六 な 社 会 制 度 や 政 治 制 度 よ り も 生 き 延 び た と い う こ と で あ る 。 ア ソ シ ク ロ ペ デ イ ス ト エ コ ニ ル の サ ソ ト ラ ル ポ ジ テ イ ヴ イ ズ ム 一 八 世 紀 に お け る 啓 蒙 思 想 運 動 に 活 動 し た 百 科 辞 典 主 義 者 お よ び 大 革 命 の 産 み 落 し た 中 央 学 校 な ど の 実 証 主 義 へ の 努 力 に も か か わ ら ず 、 旧 制 度 的 な 、 ま た 古 代 的 な 文 学 教 授 法 の 伝 統 は 、 一 九 世 紀 後 半 ま で も 生 き 延 び た の で あ る 。 ル ナ ン ( R e n a n ) は 保 守 的 な 旧 態 依 然 た る 文 学 教 育 の 実 情 を 、 次 の よ う に 述 べ て い る 。 ﹁ わ た く し が 受 け た 教 育 は 宗 教 的 社 会 に お い て こ 百 年 以 前 か ら 行 わ れ て い た も の だ っ た ﹂ 。 ( 5 , 3 0 7) ま た 歴 史 学 者 ラ ヴ ィ ス ( ピ 9 乱 。。 ω ρ 国 し も ル ナ ン よ り も 一 〇 歳 ほ ど 年 少 で あ っ た が 、 文 学 教 育 に お け る 懐 古 趣 味 的 な 面 に つ い て 苦 情 を 述 べ て い る 。 ﹁ わ た く し は 貴 族 主 義 的 な 、 異 国 趣 味 的 な 、 遠 方 の 環 境 の な か で 教 育 さ れ た と 痛 感 し て い た 。 わ た く し は ペ リ ク レ ス 時 代 の ア テ ナ イ と か 、 ア ウ グ ス ト ゥ ス 皇 帝 ( 諺 d ︻αq q ω帥 自 oo 晋 ① ω ー 嚇 ド 蔭 ) 時 代 の ロ ー マ と か 、 ル イ 一 四 世 時 代 の ヴ ェ ル サ イ ユ 宮 殿 の な か で 生 き て い た の で あ る ﹂ 。 ( 5 , 3 0 7 ) 一 九 世 紀 の 第 一 帝 国 政 府 か ら 第 二 帝 国 政 府 ま で の 時 期 に お い て は 、 中 等 教 育 は 旧 制 度 時 代 の イ エ ス 社 教 団 学 院 で の ラ テ ン 語 中 心 の 修 辞 学 授 業 の 復 活 だ け で 満 足 し て い た の で あ る 。 ﹁ キ ケ ロ を 読 め ﹂ ( ド } ω H ) と ラ テ ン 語 が 奨 励 さ れ 、 ラ テ ン 語 古 典 文 学 教 育 は 独 占 的 地 位 を 占 め て い た 。 生 徒 は 一 日 と し て ラ テ ン 語 を 使 用 し な い 日 は な く 、 定 型 的 な 閉 鎖 的 な 文 学 授 業 が 行 わ れ て い た の で あ る 。 一 八 〇 九 年 の 文 学 教 授 要 目 に ょ れ ば 、 修 辞 学 の 学 習 指 導 は 、 生 徒 に 対 し て あ ら ゆ る 書 き 方 の 規 則 を 最 も 美 し い 模 範 文 を 見 さ せ た り 、 ま た ラ テ ン 語 と フ ラ ン ス 語 に よ る 作 文 を 練 習 さ せ た り す る こ と に よ っ て 行 わ れ た の で あ る 。 し た が っ て 一 九 世 紀 前 半 期 に お け る ラ テ ン 語 古 典 文 学 学 習 は 、 ﹁ 作 文 の 召 使 い ﹂ と い う 地 位 に 甘 ん じ な け れ ば な ら な い ほ ど 、 古 典 の 全 文 で は な く 、 全 体 の 文 脈 の 趣 旨 か ら も 切 り 離 さ れ た 短 文 の 抄 文 だ け の 学 習 に 限 ら れ る よ う に な っ

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て い た の で あ る 。 こ の よ う な 文 学 教 育 の 実 情 は 、 一 九 世 紀 の 七 〇 年 代 に 入 っ て 、 よ う や く 改 革 さ れ る こ と に な る の で あ る 。 二 、 一 九 世 紀 後 半 期 か ら 二 〇 世 紀 前 半 期 ま で の 優 等 生 対 象 の 文 学 教 育 確 立 期 一 八 七 一 年 の 普 仏 戦 争 後 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 は 大 き く 躍 進 す る こ と に な っ た 。 一 八 七 二 年 か ら 一 九 〇 二 年 ま で の 三 〇 年 間 に お い て 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 が ラ テ ン 語 文 学 教 育 と 同 等 の 地 位 を 築 く こ と が で き た の で あ る 。 一 八 七 二 年 の 中 等 教 育 の 改 革 案 の 中 で 、 ジ ュ ー ル ・ シ モ ン 文 相 ( S im o n , J . 1 8 1 4 -9 6 ) は 、 ﹁ 生 活 に つ い て の 教 育 ﹂ を 開 設 す る こ と を 提 案 し た 。 か れ は 生 活 志 向 的 な 教 育 、 と く に 地 理 、 歴 史 、 現 代 外 国 語 教 育 の 必 要 性 を 痛 感 し て い た 。 と く に 現 代 外 国 語 の 授 業 時 間 を 産 み 出 す た め に 、 ラ テ ン 詩 の 廃 止 、 仏 文 ラ テ ン 語 訳 、 ラ テ ン 語 作 文 の 授 業 時 間 を 削 減 し た 。 文 学 教 育 に お い て も 、 短 文 の 抄 文 に よ る 教 育 は お つ ま み 文 学 と し て 排 除 さ れ 、 傑 作 の 全 文 を 学 習 す る こ と が 奨 励 さ れ る こ と に な っ た 。 デ ュ パ ン ル ー プ 1a 教 ( D u p a n lo u p , F . ].8 0 2 -7 8 ) は 、 こ の 改 革 に 対 し て 、 ラ テ ン 語 古 典 文 学 教 育 の 崩 壊 を 招 く も の と し て 反 対 し た 。 か れ は ラ テ ン 語 古 典 文 学 教 育 を 宗 教 の 一 部 で あ る と す ら 考 え て お り 、 ヴ ェ ル ゲ リ ウ ス の 作 品 は 聖 書 と 同 格 の 、 聖 職 者 に と っ て 必 須 の 教 養 で あ る と さ え 考 え て い た の で あ る 。 同 じ 時 期 に プ レ I'. / ( B r e a l, M ° 1 8 3 2 -1 9 1 5 ) は 、 作 品 全 体 に わ た る 訳 読 と 活 動 的 教 授 法 を 支 持 し て い る 。 か れ に ょ れ ば 、 教 育 と は 事 実 を 発 見 し 観 察 す る 技 術 で あ り 、 真 理 を 吟 味 す る 技 術 で な け れ ぽ な ら な か っ た の で あ る 。 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 九 七

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 ` 九 八 第1表 フラソス中等教育における教授要 目指定作家一覧表 羈 4 2 -。 9 n 菊 慧 、 2 8 5 9 肪

騰 3 4 鬢 3・ 別 畔 学 繊 倒 ・ 2 ⑳ 6 7 % 家 作 数 2 1 5 5 0 3     ヨ

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⑩ ω ) に よ っ て 採 択 さ れ る よ う に な っ た の で あ る 。 九 肇 乃 学 資 格 試 験 で の 作 文 が ラ テ ン 語 に よ っ て で は な く て 、 フ ラ ン ス 語 に よ っ て 書 か れ る よ う に な る た め に は 、 一 八 八 〇 年 ま で 待 た な け れ ば な ら な か っ た の で あ る 。 一 八 八 〇 年 に フ ェ リ 文 相 は 、 ラ テ ン 語 教 育 の 開 始 時 期 を 、 第 八 学 級 か ら 第 六 学 級 へ 戻 し 、 ま た ギ リ シ ャ 語 教 育 の 開 始 時 期 を 第 六 学 級 か ら 第 四 学 級 へ 戻 し た の で あ る 。 さ ら に 一 八 三 〇 年 以 来 の 古 典 語 ・ フ ラ ン ス 語 の 年 間 授 業 時 間 の 一 〇 〇 時 間 を

歓皆

巍麟

9

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フ ラ ソ ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 九 九 第2表 フランス語教授要 目におけ る指定作家 の配当学級一覧表 時代 西 暦 年 作 家 ::1 1902 ユ925 ユ937 1963/x; 哩 中 世 中世古典作家選集 2 一5-22 5-3 4 6-5-3 4 6-5-3 Pラ ンの歌 トリ不 タ ン ・イズ ー物 語 ー ジ ョ ワン ヴ ィル お よ び他 の ' 年代記作家 たち 2 2 中 世 詩 人 韻 文 小 説 3 一 六 世 紀 ラ ブ レ ー モ ンテ ー ニユ 「随 想録 」 2 2-1 2-1 1 1 七 詩 聖 の 詩 2` 3-2 2 2 一 七 世 紀 コル ネイ ユ 3-2-1 5-3-2-1 5-4-3-2-1 4-3-2-1 4-3-2-1 1 1 1 1 1 パ ス カル 一 、 フ ・ ロ ン ユ フ コ ー 『 ド ・セ ビネ夫 人 4 3-2-1 3-2-1 3 消'失 ド ・ ラ ・フ ァ イ エ ッ ト夫 人 2-1 5-3-2-1 5-4-3-2-1 6-4-3-2-1 6-5-4-3-2-1 モ リエ ー ル 6-2-1 6-5-4-2-1 6-5-4-3-2-1 6-5-2 6-5-2 ラ ・フ ォ ンT一 ヌ ボ シ ュエ 3-2-1 2-1 2-1 2 2 5-4-3-2-1 5-4-3-2-1 5-4-3-2-1 5-4-3-2-1 3-2-1 ラ シ尸 ヌ ポ ワロ ラ ・ブ ル ユ イ エ ー ル … … … 2-1 2-1 2-1 2 2 5-1 6-5-4-1 6-5-1 6 消 失 フ ェ ヌ ロ ン サ ン ・ シ モ ン 4-2 I I I 一 八 世 紀 マ リボー アベ ・プ レヴ ォー ヴ ォー ヴ ナ ル グ 3 1 1 2 2 モ ン テスs 4-1 4-1 3-2-1 2-1 4-3-2-1 ヴ ォ ルテ ー ル 1 1 1 1 デ ィ ドロ 2-1 2-1 1 J-1 ル ソ ー(J.J.) 3 ボー マ ル シ ェ 5-1 6-5-1 1 ビ ュ ツ ホ ン 1 リヴ ァ ロル 一 九 世 紀 詩人選集 6-5-4 6-5-4-3-1 3-2 2 4 4-3-1 3 3 シ ャ トー ブ リア ン ラ マ ルチ ー ヌ 3-2-1 3-2-1 5 ユ コ"一 3-2-1 3-2-1 5(X) 5-4(X) 1 ミ ュ ッ セ 2-1 ヴ イ ニー メ リメ 4 4 バ ルザ ッ ク (X) 4(X) 4 4(X) サ ン ド ・G ス タ ンダ ー ル (X) (x) 4-2-1 3-1 歴 史家たち ドー デ 5 5 (X) (X) フmベ ル 注1'表 の数字は配当された学級の名称 を示 してい る。 注2※ は第3学 級、第1学 級担当教師が採択可能な作家の小説抄文

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 〇 〇 代 の 流 行 作 家 が 文 学 教 材 に 登 場 す る こ と は ほ と ん ど 見 ら れ ず 、 ほ ぼ 一 〇 〇 年 以 上 の 年 輪 を 経 て 古 典 作 家 と し て の 評 価 が 定 ま っ て か ら で な い と 、 文 学 教 材 と し て 採 択 さ れ な か っ た の で あ る 。 わ ず か に 例 外 と し て 、 第 三 学 級 と 第 二 学 級 に お い て 、 一 九 世 紀 の 作 家 を 採 択 し て も よ い と さ れ て い た に す ぎ な い 。 こ の よ う に 文 学 教 材 の 作 家 の 選 定 に あ た っ て は 、 保 守 主 義 的 な 伝 統 尊 重 の 傾 向 が 濃 厚 に 認 め ら れ る の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 法 で は 、 生 徒 の 記 憶 力 や 判 断 力 や 思 想 表 現 力 の 訓 練 、 生 徒 の 直 接 参 加 、 集 団 課 業 、 文 法 の 定 型 的 練 習 の 軽 減 、 フ ラ ン ス 語 作 文 の 冗 長 化 を 避 け る こ と 、 思 想 の 発 見 能 力 の 訓 練 と 習 慣 化 、 原 典 講 読 な ど が 強 調 さ れ た の で あ る 。 一 八 九 〇 年 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 の 改 定 に お い て 、 中 等 教 育 に お け る 生 徒 の 学 習 の 過 重 負 担 が 軽 減 さ れ る こ と に な り 、 ま た 古 代 文 学 が 復 活 し 、 科 学 ( 理 科 ) が 登 場 す る こ と に な っ た 。 さ ら に 文 学 教 材 の 精 選 と 傑 作 と の 接 触 も 強 調 さ れ て い る 。 生 徒 は 過 去 に お け る 偉 大 な 著 作 家 が 考 え た り 感 じ た り 意 欲 し た こ と を 、 作 品 と の 魂 の 交 流 を 通 じ て 学 習 す る こ と に な っ た の で あ る 。 中 等 教 育 の 本 質 は 偉 大 な 著 作 家 を 模 範 と し て 自 ら 考 え た り 感 じ た り 意 欲 し た り す る 技 術 の 習 得 に あ る と さ れ た の で あ る 。 こ の よ う な 教 育 観 の も と で は 、 中 等 デ イ セ ル タ シ オ シ レ ク テ   ル エ ク ス プ リ カ シ オ シ 教 育 固 有 の 核 心 は 、 論 文 作 成 指 導 で は な く て 、 フ ラ ン ス 語 文 学 古 典 の 講 義 と 講 読 に な っ て し ま っ た の で あ る 。 か く し て ビ ュ ッ フ ォ ン は 第 五 学 級 よ り 消 失 し 、 第 四 学 級 に フ ェ ヌ ロ ン ( F e n e lo n , F ° 1 6 5 1 -1 7 1 5 ) 、 第 三 学 級 で は ホ ラ テ ィ ウ ス よ り も コ 1 ネ ^c -ri ( C o r n e il le , P . 1 6 0 6 -8 4 ) の ﹁ ル ・ シ ヅ ド ﹂ が 奨 励 さ れ ( bO O。 c◎ ① ) 、 第 二 学 級 に は ル ソ -( R o u s se a u , J . J . 1 7 1 2 -7 8 ) が 登 場 し て く る の で あ る 。 し か し 、 一 九 世 紀 の 著 作 家 は だ れ も 指 定 さ れ て い な い 。 中 等 学 校 教 師 団 体 は 、 ラ テ ン 語 古 典 文 法 科 目 の 廃 止 は 生 徒

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の 精 神 を 鍛 練 す る こ と が で き な く な る と 反 対 し 、 ラ テ ン 語 古 典 文 法 は 維 持 さ れ る こ と に な っ た 。 か く し て 、 リ セ ・ ル イ 大 王 校 で は 、 学 校 の 壁 自 身 が ラ テ ン 語 を 話 し て い る と い う 観 を 呈 す る よ う に な っ た の で あ る 。 一 九 〇 二 年 か ら 一 九 三 九 年 ま で は 、 少 数 の 優 等 生 に 対 す る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 確 立 期 と し て 位 置 づ け る こ と が で き る 。 レ イ グ 文 相 ( い Φ 同αq 器 ρ O ° 1 8 5 7 -1 9 3 3 ) に よ る 一 九 〇 二 年 の 改 革 に よ っ て 、 中 等 学 校 に A 科 ( ラ テ ン 語 ・ ギ リ シ ャ 語 ) 、 B 科 ( ラ テ ン 語 ・ 現 代 外 国 語 ) 、 C 科 ( ラ テ ン 語 ・ 科 学 ) 、 D 科 ( 現 代 外 国 ,tiles ・ 科 学 ) の 三 学 科 が 新 設 さ れ 、 旧 近 代 科 目 専 修 中 等 教 育 は 伝 統 主 義 的 な 中 等 教 育 の な か へ 統 合 さ れ る こ と に な っ た の で あ る 。 百 科 辞 典 的 知 育 は も は や 不 可 能 と な り 、 中 等 教 育 は そ の 多 様 化 を 図 っ て い く 以 外 に は 、 中 等 教 育 を 救 済 す る 道 は 残 さ れ て い な か っ た の で あ る 。 中 等 教 育 は ﹁ 現 代 の 事 実 J ( 9 3 0 8 ) に 関 す る 知 識 の 共 通 履 修 に よ っ て 、 そ の 統 一 性 を 保 持 し て い く こ と に な っ た 。 現 実 の 社 会 に 対 し て 閉 鎖 的 な 教 育 は 非 難 さ れ 、 実 学 主 義 が 強 調 さ れ た 。 中 等 教 育 を 国 際 的 経 済 競 争 時 代 に お け る フ ラ ン ス 民 主 主 義 の 社 会 要 請 に 即 応 さ せ る こ と が 課 題 と な っ た の で あ る 。 中 等 学 校 に お け る ﹁ 修 辞 学 ﹂ の 教 科 は 廃 止 さ れ 、 こ れ ま で 中 等 教 育 の 完 成 学 年 を 表 示 し て き た 、 伝 統 的 な ﹁ 修 辞 学 級 ﹂ と い う 名 称 は 、 国 立 中 等 学 校 か ら 姿 を 消 し た の で あ る 。 リ セ 第 一 学 級 は 懐 古 趣 味 的 で も な く 、 ま た あ ま り 定 型 主 義 的 で も な い フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 の 講 読 に よ っ て 、 生 徒 の 文 学 的 な 分 析 力 や 批 判 力 や 思 考 力 や 判 断 力 を 育 成 す る こ と に な っ た の で あ る 。 リ セ 第 一 学 級 で の 文 学 教 育 の 指 導 に あ た っ て は 、 と く に 、 O 精 選 さ れ た 、 し か し 全 文 の 趣 旨 を 損 わ な い 興 味 深 い 原 典 を 選 定 す る こ と 、 ⇔ 全 文 の 趣 旨 に 沿 う た 一 連 の 留 意 点 を 選 定 す る こ と 、 ⇔ 解 決 の 困 難 な 箇 所 も 進 ん で 取 り 上 げ て 討 フ ラ ソ ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 一 〇 一

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 〇 二 議 さ せ る こ と に よ っ て 、 解 決 へ の 筋 道 を 発 見 さ せ る こ と 、 ⑳ 原 典 の 趣 旨 を 見 失 わ せ る よ う な 脱 線 を 避 け る こ と 、 ㈲ 原 典 の 迫 力 を 殺 ぐ よ う な 冗 長 な 説 明 を 避 け る こ と 、 ㈹ 生 き た 魂 の 脈 動 す る 原 典 に 対 す る あ ま り に も 微 に 入 り 細 を う が つ 分 析 に よ っ て 誤 ま っ た 解 釈 に 迷 わ さ な い よ う に す る こ と な ど に 留 意 し な け れ ば な ら な い と さ れ た の で あ る 。 か く し て デ ュ ポ ン ・ フ H リ t{ ( D u p o n t -F e rr ie r ) に よ れ ば 、 中 等 学 校 第 一 学 級 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 は 、 ﹁ 文 学 中 心 と な る た め に 、 弁 論 中 心 で あ る こ と を や め た の で あ る ﹂ 。 ( 5 , 3 0 8 ) 原 典 講 読 に 先 立 つ 文 学 史 授 業 は ﹁ お う む 返 し の 学 校 ﹂ に な る お そ れ が あ る と 警 告 さ れ た 。 し か し 、 こ の こ と は 文 学 史 授 業 に お い て 教 師 が 生 徒 に 対 し て 、 コ ル ネ イ ユ の 文 体 を 示 し た り 、 ま た 古 代 や 近 代 の 著 作 家 な ど か ら の 引 用 文 を 朗 読 し た り 暗 誦 さ せ た り す る こ と を な ん ら 妨 げ る も の で は な か っ た の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 教 授 要 目 に お い て は 、 第 六 、 第 五 、 第 二 学 級 に 中 世 期 の 散 文 家 や 詩 人 、 ま た 第 二 学 級 に 一 六 世 紀 と 一 七 世 紀 の 詩 人 、 第 一 学 級 に デ ィ ド n ( D id e o tr , D . 1 7 1 3 i O。 心 ) 、 第 四 学 級 に シ ャ ト ー ブ リ P・ ン ( C h a te a u b r ia n t, F . 1 7 6 8 1 H ◎。 卜 Q。 ) 、 ミ シ ュ レ ( M ic h e le t , J . 1 7 9 8 -1 8 7 4 ) 、 第 三 学 級 か ら 第 一 学 級 ま で に ラ マ ル チ ー ヌ ( L a m a r ti n e , A . 1 7 9 0 -1 8 6 9 ) と ユ ゴ ー ( H u g o , V . 1 8 0 2 -8 5 ) が 登 場 し て い る 。 と り わ け 文 学 と 科 学 の 統 合 が 重 視 さ れ て い る 。 人 間 の 知 識 の 形 成 過 程 、 各 領 域 に お け る 真 理 の 探 求 過 程 、 い か な る 目 的 や 結 果 の た め に 方 法 が 適 用 さ れ る の か な ど が 真 の 学 習 の 成 果 で あ る と さ れ た の で あ る 。 一 九 世 紀 か ら 二 〇 世 紀 前 エ リ ロ ト 半 期 ま で の フ ラ ン ス に お け る 中 等 教 育 の 目 的 は 、 ﹁ 一 般 教 養 を 与 え 、 民 主 主 義 に 不 可 欠 な 優 秀 者 の 養 成 J ( 3 , 2 5 3 ) に あ っ た の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 レ イ グ 文 相 に よ る 一 九 〇 二 年 の 改 革 は 伝 統 的 な 保 守 主 義 を 脱 却 し て 、 人 間 性 尊 重 主 義 の 理 念 に よ っ て 貫 ぬ か れ て い た が 、 依 然 と し て 少 数 優 秀 者 養 成 教 育 の 性 格 が 濃 厚 で あ っ た の で あ る 。

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ベ ラ ー ti 文 相 ( B e ra rd , L . 1 8 7 6 -1 9 6 0 ) は 、 一 九 二 三 年 一 二 月 三 日 の 布 令 に よ っ て 、 中 等 学 校 前 期 課 程 の 近 代 科 を 廃 止 し 、 す べ て の 生 徒 に ラ テ ン 語 を 四 力 年 、 ギ リ シ ャ 語 を ニ カ 年 は 必 修 と す る 教 育 課 程 を 公 布 し て 、 伝 統 的 な 古 典 科 に 優 越 的 な 地 位 を 与 え た 。 ま た 技 術 教 育 を 高 等 小 学 校 の 教 育 領 域 と し て 配 分 し 、 ギ リ シ ャ 語 ・ ラ テ ン 語 古 典 教 育 を リ セ 中 等 学 校 の 教 育 領 域 と し て 配 分 す る と い う 法 令 を 議 会 で 可 決 さ せ た が 、 完 全 に は 実 施 に 至 ら な か っ た の で あ る 。 ア ル ベ ル 文 相 ( ≧ b e r t, F .) に よ る 一 九 二 五 年 の 改 革 の 目 的 は 、 レ イ グ 文 相 に よ る フ ラ ン ス 語 教 授 要 目 の 維 持 と そ の 一 部 修 正 で あ っ た 。 ア ル ベ ル 文 相 に よ る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 改 革 の 要 旨 は 、 次 に 示 す 通 り で あ る 。 O 物 質 的 な 利 害 関 係 を 離 れ た 教 養 と 実 用 性 と の 間 に は な ん ら の 矛 盾 も 存 在 し な い 。 中 等 教 育 の 目 的 は 生 徒 を 特 定 の 職 業 や 実 際 的 活 動 領 域 へ 準 備 す る こ と で は な い 。 中 等 教 育 は そ れ 以 上 の 事 柄 を 行 う の で あ る 。 中 等 教 育 の 任 務 は 生 徒 を 専 門 的 事 柄 に 準 備 す る こ と で は な く て 、 あ ら ゆ る 事 柄 に 適 応 さ せ る こ と で あ る 。 中 等 教 育 は 生 徒 に 対 し て 、 自 己 の 未 来 を 開 拓 す る た め の 強 力 に し て 、 か つ 精 巧 な 武 器 で あ る 鋭 敏 な 思 考 力 を 身 に つ け さ せ よ う と す る も の で あ る 。 ⇔ そ の た め に 中 等 学 校 に お い て は 、 こ れ ま で の A 科 、 B 科 、 C 科 、 D 科 と い う 各 学 科 選 択 制 を は ず し て 再 編 成 し 、 共 通 教 科 で あ る フ ラ ン ス 語 、 地 理 ・ 歴 史 、 科 学 ( 理 科 ) の 履 修 に よ っ て 統 一 性 を 確 保 す る こ と に す る 。 ⇔ と り わ け ﹁ 科 学 ﹂ ( 理 科 ) の 週 当 り 授 業 時 間 を 五 時 間 か ら 一 二 時 間 三 〇 分 へ 倍 増 さ せ る こ と に す る 。 こ れ は 、 一 七 世 紀 の ﹁ 教 養 あ る 紳 士 ﹂ が ラ テ ン 語 で 陶 冶 さ れ た の に 対 し て 、 二 〇 世 紀 の ﹁ 教 養 人 ﹂ は 科 学 ( 理 科 ) に よ っ て 育 成 さ れ な け れ ば な ら な い と 考 え ら れ た か ら で あ る 。 一 九 二 五 年 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 に お い て は 、 中 世 期 、 一 六 世 紀 、 一 七 世 紀 に は 大 き な 変 化 は 見 ら れ な い が 、 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 一 〇 三

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 〇 四 一 八 世 紀 は 三 六 学 級 、 一 九 世 紀 は 三 〇 学 級 も 指 定 さ れ 、 そ の 地 位 が 著 し く 向 上 し て い る の で あ る 。 さ ら に 現 代 外 国 文 学 も 現 代 外 国 語 の 授 業 時 間 に お い て 第 四 学 級 か ら 第 一 学 級 ま で に お い て 適 宜 に 採 択 で き る よ う に な っ た の で あ る 。 文 学 史 の 指 導 に あ た っ て は 、 文 明 史 の 大 き な 流 れ に 着 眼 さ せ 、 生 徒 の 知 識 が ぼ ら ば ら の 断 片 的 な も の に な ら な い よ う に 留 意 し な け れ ぽ な ら な い と さ れ た 。 一 九 三 七 年 の 中 等 教 育 の 改 革 に よ っ て 、 ゼ イ 文 相 ( Z a y , J . 1 9 0 4 -1 9 4 4 ) ( 6 , 2 2 7 ) は 、 中 等 教 育 の 革 命 と い う よ り は 、 む し ろ そ れ ま で の 課 題 の 完 成 ま た は 仕 上 げ を 行 っ た の で あ る 。 ゼ イ 文 相 は 中 等 教 育 の 目 的 を 確 定 し 、 活 動 的 教 授 法 を 公 認 し た 。 中 等 教 育 の 目 的 は 生 徒 の 精 神 を 陶 冶 し 、 一 般 教 養 を 与 え る こ と に あ る と さ れ た 。 一 般 教 養 は 、 人 間 が 自 己 の 時 代 を 理 解 し 、 自 己 の 職 業 を 超 越 す る こ と が で き る よ う に す る の で あ る 。 真 に 人 間 ら し い 人 間 は 職 業 に よ っ て 自 己 自 身 を 見 失 う よ う な こ と は な い 。 か れ は 、 職 業 を 自 覚 し て 遂 行 し 、 職 業 を 愛 好 す る が ゆ え に 、 職 業 を 超 越 し 支 配 す る こ と が で き る よ う に な る の で あ る 。 当 代 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 目 的 は 、 生 徒 の 精 神 と 人 格 を 形 成 す る 前 に 、 生 徒 が 解 決 す る 必 要 の あ る さ ま ざ ま な 知 的 問 題 に 適 応 で き る よ う に 学 習 さ せ る こ と で あ っ た の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 方 法 に お い て も 、 形 式 主 義 と 権 威 主 義 か ら 脱 却 し な け れ ば な ら な い と さ れ た 。 そ れ は 、 生 徒 の 活 動 と 経 験 か ら 産 み 出 さ れ な け れ ば な ら な い し 、 そ こ か ら 問 題 を 設 定 し た り 、 生 徒 の 経 験 を 拡 大 し 深 化 し て い く も の で な け れ ば な ら な い と さ れ た 。 生 徒 が 自 分 自 身 の 眼 で 観 察 し 、 ま た 自 分 自 身 の 頭 で 考 え る よ う に 習 慣 づ け る こ と に

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な っ た の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 教 材 を 指 定 し て い る 教 授 要 目 に お い て も 、 も は や 教 師 に 対 し て 指 定 著 作 家 を 強 制 す る こ と は な く な っ た の で あ る 。 教 養 あ る フ ラ ン ス 青 年 と し て 、 ど う し て も 知 っ て お く べ き 著 作 家 の 必 読 作 品 を 例 示 し て い る だ け に す ぎ な い と さ れ た 。 そ の ほ か の 教 材 に つ い て も 、 教 師 に よ る 採 択 の 幅 が 拡 張 さ れ た の で あ る 。 指 定 著 作 家 の 選 択 範 囲 は 過 去 の 時 代 の 著 作 家 よ り も 、 で き る だ け 人 間 性 尊 重 主 義 者 を 重 視 し て お り 、 弾 力 的 に 、 ま た 生 徒 の 実 態 に 合 わ せ て 取 り 上 げ る こ と が で き る よ う に さ れ た 。 か く し て 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 目 的 と 方 法 と の 間 の 根 本 的 な 矛 盾 は 除 か れ た の で あ る 。 し か し な が ら 中 等 学 校 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 実 践 は 、 自 主 教 材 の 作 成 と か 総 合 学 習 形 態 を 示 唆 し て い る 省 令 に 対 し て 、 も っ と 慎 重 な 姿 勢 を 示 し た の で あ る 。 教 師 が 採 択 で き る 著 作 家 の 作 品 の 抄 文 の 指 導 に あ た っ て は 、 先 験 的 な 分 析 が し ば し ば 有 効 適 切 で あ る と い う 理 由 か ら 、 例 え ぽ ヴ ォ ル テ ー / ( V o lt a ir e , F . 1 6 9 4 -1 7 7 8 ) の 作 品 の 場 合 に は 五 〇 パ ー セ ン ト の 分 量 の 註 釈 、 ま た .フ ル --K ト ( P ro u st , M ° ド 。。 謡 l H ⑩ 黙。 卜。 ) の 作 品 の 場 合 に は 七 四 パ ー セ ン ト の 分 量 の 註 釈 が 取 り 入 れ ら れ た の で あ る 。 一 九 三 七 年 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 で は 、 一 九 世 紀 文 学 が 躍 進 し て い る 。 過 去 の 時 代 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 で は 、 著 作 家 の 死 後 一 世 紀 問 が 経 過 す る こ と が 古 典 に 昇 格 す る 条 件 と な っ て い た の で あ る が 、 文 学 教 材 の 現 代 化 と い う 社 会 的 要 請 に 応 ず る た め に 、 必 ず し も そ の よ う な 枠 に こ だ わ ら な く て も よ い と さ れ た の で あ る 。 さ ら に 現 代 外 国 文 学 の 学 習 も 、 生 徒 が 人 間 の 要 求 や 思 想 を 多 様 性 の な か で 認 識 す る の に 有 用 で あ る と 考 え ら れ る よ う に な り 、 重 視 さ れ る よ う に な っ た 。 フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 一 〇 五

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 〇 六 な お 一 九 三 九 年 の 中 等 学 校 在 籍 生 徒 数 は 、 当 該 年 齢 層 人 口 の 七 人 の う ち の 一 人 で あ り 、 約 一 五 パ ー セ ン ト 弱 で あ っ た 。 中 等 学 校 教 師 定 員 数 も 一 八 八 七 年 か ら 一 九 二 〇 年 ま で の 期 間 に お い て ほ と ん ど 同 じ で あ っ た 。 同 じ 時 期 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 の 内 容 も 依 然 と し て 閉 鎖 的 で あ り 、 弾 力 的 な 取 り 扱 い も 許 さ れ て い な か っ た の で あ る 。 三 、 第 二 次 世 界 大 戦 後 か ら 現 時 期 に お け る 大 衆 生 徒 対 象 の 文 学 教 育 模 索 期 第 二 次 世 界 大 戦 後 か ら 現 時 期 ま で は 、 中 等 学 校 の 生 徒 急 増 期 に お け る 大 衆 生 徒 に 対 す る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 模 索 期 と し て 位 置 づ け る こ と が で き る の で あ る 。 一 九 四 五 年 以 後 、 フ ラ ン ス は 学 校 爆 発 時 代 と い わ れ る ほ ど 、 中 等 学 校 進 学 者 の 急 増 期 に 突 入 し た 。 一 九 五 九 年 の ベ ル ト ワ ン 改 革 に よ る 中 等 学 校 前 期 課 程 に お け る 観 察 課 程 の 設 置 の 目 的 は 、 こ れ ま で 社 会 的 な 、 ま た は 偶 然 的 な 条 件 に 依 存 し て い た 進 路 指 導 を 、 優 秀 な 知 性 を も っ た 人 材 を 確 保 す る た め に 、 合 理 的 に 組 織 化 す る こ と に あ っ た 。 学 級 担 任 教 師 と 進 路 指 導 委 員 会 は 一 人 ひ と り の 生 徒 の 将 来 性 を 予 測 し 、 選 択 教 科 の 妥 当 性 や 履 修 教 科 の 変 更 を 勧 告 す る の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 能 力 の 観 察 は 、 文 法 分 析 、 文 章 構 成 、 原 典 解 釈 な ど に よ っ て 行 わ れ る こ と に な っ た 。 フ ラ ン ス 語 文 学 能 力 の 観 察 の た め に 、 ﹁ 指 導 付 き 演 習 J ( 1 , 4 0 ) S 時 間 が 設 置 さ れ る こ と に な っ た 。 フ ラ ン ス 語 の 週 当 り 授 業 時 間 は 第 六 、 第 五 学 級 で は 六 時 間 と な り 、 そ の う ち の 四 時 間 は 学 級 全 体 を 対 象 と す る 授 業 、 ま た 二 時 間 は 最 大 限 二 四 人 の 生 徒 を 対 象 と す る 授 業 に 配 当 さ れ る こ と に な っ た 。 フ ラ ン ス 語 演 習 の 指 導 に あ た っ て は 、 ソ ク ラ テ ス 的 問 答 法 を 行 っ た り 、 ま た 沈 思 黙 考 さ せ た り す る こ と が 交 互 に 繰

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り 返 さ れ た の で あ る 。 ま た 平 均 一 五 人 程 度 の 小 集 団 に お け る 発 表 学 習 に よ っ て 、 一 人 ひ と り の 生 徒 に 対 す る 個 別 学 習 の 徹 底 が 図 ら れ る こ と に な っ た 。 教 師 は 、 時 に は 学 級 単 位 で の 生 徒 の 学 習 活 動 の 先 導 者 と な り 、 ま た 時 に は 一 人 ひ と り の 生 徒 の 個 別 指 導 者 と な る こ と に よ っ て 、 つ ね に 偉 大 な フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 と 生 徒 と の 仲 介 者 に な ら な け れ ぽ な ら な い と さ れ た の で あ ゐ 。 な ぜ な ら フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 目 的 は 、 生 徒 が 偉 大 な フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 と 直 接 に 格 闘 す る こ と に よ っ て 、 自 己 の 思 想 を 口 頭 ま た は 筆 記 に よ っ て 、 正 確 か つ 自 由 自 在 に 表 現 で き る よ う に す る こ と に あ っ た か ら で あ る 。 偉 大 な フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 と の 取 り 組 み は 、 生 徒 の 精 神 に 対 し て 、 霊 感 と 創 造 力 を 与 え る こ と に な る か ら で あ る 。 あ ら ゆ る ﹁ 指 導 付 き 演 習 ﹂ は 一 人 ひ と り の 生 徒 の 学 習 経 験 の 総 括 で あ り 、 成 果 で あ る と さ れ た 。 と り わ け 、 フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 講 読 は 、 生 徒 が 自 ら 真 理 の 発 見 に 到 達 す る た め の 指 針 と し て の 役 割 を 果 す こ と に な る の で あ る 。 教 師 自 身 も 、 フ ラ ン ス 語 文 学 原 典 と の 取 り 組 み に お け る 真 理 の 再 発 見 と い う 労 作 の な か で 、 自 分 自 身 に 対 し て 無 関 心 で は 居 ら れ な く な る の で あ る 。 教 師 の 役 割 は 、 た ん に 生 徒 に 知 識 を 伝 達 す る こ と だ け で は な く て 、 同 時 に 自 ら の 人 格 に よ っ て 生 徒 の 精 神 を 薫 陶 す る こ と あ る と さ れ た の で あ る 。 一 九 六 三 年 か ら 六 七 年 に か け て の フ ラ ン ス 語 文 学 數 授 要 目 の 内 容 面 で は 、 時 代 別 の 指 定 著 作 家 の 学 級 配 当 数 に は ほ と ん ど 変 化 は 見 ら れ な い 。 二 〇 世 紀 文 学 は 週 当 り 一 時 澗 の 配 当 で あ り 、 生 徒 の 興 味 と 能 力 に 適 し た 作 品 を 選 択 し て よ い こ と に な っ て い る 。 し か し 、 現 代 に お け る 有 名 な 著 作 家 で あ る ア ラ ン (と 巴 P 国 ゜ 1 8 6 8 -1 9 5 1 ) や カ ミ ユ ( 0 9 白 -u s, A ° 1 9 1 3 -6 0 ) な ど は だ れ も 指 定 さ れ て い な い の で あ る 。 こ の よ う に 内 容 面 に 関 し て の み 見 れ ば 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 で は 、 過 去 の 伝 統 の 重 圧 が 大 き い と い う こ と が で き る フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 申 〇 七

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 〇 八 の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 材 は 現 代 の '小 説 や 演 劇 や 映 画 の 各 界 に 対 し て 、 依 然 と し て 閉 鎖 的 な 世 界 に 閉 じ こ も っ た ま ま な の で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず フ ラ ン ス 語 文 学 教 材 に 指 定 さ れ た 著 作 家 は 、 こ れ ま で の 成 人 中 心 の 基 準 か ら は だ ん だ ん と 拘 束 さ れ な い よ う に な っ て き て い る の で あ る 。 地 球 上 の あ ら ゆ る 社 会 は い ず れ も 特 定 の 文 化 様 式 を 持 っ て い る の で あ る が 、 フ ラ ン ス 社 会 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 材 の な か に 取 り 上 げ ら れ る 文 化 様 式 は 、 あ ま り に も 過 去 の 時 代 の 文 化 様 式 に 偏 向 し て い る 傾 向 が み ら れ る の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 は 一 人 ひ と り の 生 徒 の 現 代 的 な 要 求 や 興 味 や 関 心 に 対 し て 、 も っ と 配 慮 す る こ と が 必 要 で あ る 。 現 代 外 国 語 に よ る 劇 の 演 技 や 、 詩 の 朗 読 な ど に よ る 新 し い 学 習 指 導 法 を も っ と 開 発 す る こ と が 必 要 で あ る 。 現 代 文 学 の 傑 作 の 学 習 か ら 古 典 作 品 の 鑑 賞 学 習 へ の 移 行 と い う 試 み も で き る は ず で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 価 値 を 維 持 し 発 展 さ せ て い く た め に は 、 今 後 さ ら に こ れ ら の 課 題 を 解 決 し て い く こ と が 求 め ら れ て い る の で あ る 。 一 九 七 二 年 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 に お い て 、 鳳 じ め て 中 学 校 ( コ レ ー ジ ュ ) に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 目 的 と 方 法 が 首 尾 一 貫 し た も の と な っ た の で あ る 。 こ の フ ラ ン ス 語 文 学 教 授 要 目 は フ ラ ン ス 語 教 育 改 革 委 員 会 ( い わ ゆ る ピ エ ー ル ・ エ マ ニ ュ エ ル 委 員 会 ) に よ っ て 起 草 さ れ た も の で あ る が 、 フ ラ ン ス 語 文 学 入 門 の 教 師 用 指 導 書 と し て 作 成 さ れ た の で あ る 。 こ の 教 授 要 目 の 一 九 七 七 年 版 と 一 九 七 八 年 版 は ま だ 中 学 校 ( コ レ ー ジ ュ ) に だ け 適 用 さ れ る こ と に な っ て い る の で あ る 。 そ れ に よ れ ぽ 、 今 後 の フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 目 的 は 、 す べ て の 生 徒 に 対 し て 、 O 現 在 使 用 さ れ て い る フ ラ ン ス 語 で

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の 口 頭 と 筆 記 に よ る 表 現 力 を 習 得 さ せ る よ う に す る こ と 、 ⇔ 自 分 の 意 思 を 伝 達 で き る よ う に さ せ る こ と 、 ⇔ 聞 い た り 話 し た り 読 ん だ り 書 い た り す る こ と が 正 確 か つ 効 果 的 に で き る よ う に さ せ る こ と 、 ⑳ 生 徒 が 教 科 書 と 取 り 組 み な が ら 、 批 判 的 思 考 力 を 習 得 で き る よ う に さ せ る た め に 、 教 師 は 文 学 的 作 品 に つ い て の 理 解 力 や 鑑 賞 力 や 想 像 力 や 感 受 性 を 発 達 さ せ る よ う に 指 導 す る こ と な ど 、 要 す る に 一 人 ひ と り の 生 徒 が 現 代 世 界 の な か で ど ん な 位 置 を 占 め て い る か を も っ と 理 解 さ せ な け れ ば な ら な い と さ れ て い る の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 の 内 容 と 方 法 に つ い て も 、 生 徒 の 側 に 大 き な 主 導 権 が 与 え ら れ る よ う に 配 慮 さ れ て い る 。 今 後 は 純 粋 に 文 学 作 品 で な い よ う な も の 、 例 え ぽ 大 衆 小 説 、 探 偵 小 説 、 空 想 科 学 小 説 、 新 聞 の 連 載 漫 画 、 流 行 歌 、 視 聴 覚 作 品 な ど も 大 胆 に 教 材 と し て 取 り 上 げ て い く こ と が 必 要 で あ る と さ れ た の で あ る 。 こ の よ う な フ ラ ン ス 語 文 学 指 導 計 画 は 、 こ れ ま で の 教 授 要 目 と 比 較 し て み る と 、 大 衆 化 し た 中 等 学 校 に お け る 一 人 ひ と り の 生 徒 の 要 求 や 興 味 や 関 心 に 応 じ た 合 理 的 な 教 材 構 成 を 試 み よ う と す る も の で あ る 。 今 日 の 大 衆 化 し た 社 会 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 は 、 こ れ ま で の 伝 統 的 な 既 成 の 文 化 の わ く 組 に と ら わ れ た り 、 ま た 日 ご と に 無 縁 と な っ て い く ラ テ ン 語 な ど の 文 化 的 に 高 尚 な 言 語 に 全 面 的 に 依 存 し た り す る こ と を し な く な れ ば な る ほ ど 、 ま す ま す 一 人 ひ と り の 生 徒 の 人 格 を 自 由 に 発 達 さ せ て い く こ と に な る と 考 え ら れ て い る の で あ る 。 さ ら に フ ラ ン ス 語 文 法 に お け る 日 常 語 の 収 録 は 、 学 校 で の 授 業 用 語 の 民 主 化 を も 認 め る こ と に な る の で あ る 。 そ れ は ま た 、 今 日 の 中 等 学 校 へ 入 学 し て く る 、 あ ら ゆ る 社 会 階 層 出 身 の 生 徒 の 言 語 上 の 不 利 な 条 件 を 克 服 す る こ と に も な る の で あ る 。 今 日 の 中 等 教 育 は も は や 一 部 の 社 会 的 特 権 階 級 の 独 占 物 で あ る こ と を や め る こ と に よ っ て 、 ﹁ 教 養 あ る パ リ 市 富 裕 フ ラ ソ ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ソ ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 一 〇 九

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 ・ 一 一 〇 者 階 級 の 言 語 L を 授 業 用 語 と し て 使 用 し つ づ け る こ と は で き な く な っ た の で あ る 。 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 現 代 化 に ょ っ て 、 フ ラ ン ス 語 の 口 語 体 と 筆 記 体 に よ る 表 現 の 改 善 は 、 た ん に 社 会 体 制 に ょ っ て 他 の 人 び と と も に 意 思 や 思 想 を で き る だ け 明 確 に 伝 達 し あ う こ と が 必 要 と さ れ る よ う に な っ た だ け で な く 、 ま た 一 人 ひ と り の 生 徒 が 相 互 に 自 己 の 悩 み や 不 満 を 話 し 合 う こ と に よ っ て 、 そ こ か ら 解 放 さ れ る と い う 精 神 面 で の 開 放 の 条 件 と し て も 必 要 と な っ て き た の で あ る 。 実 際 に 、 生 徒 の 人 格 は 過 去 の 時 代 に お け る よ う に た ん に 知 性 と 感 受 性 に よ っ て 決 定 さ れ る だ け で は な く て 、 想 像 力 や 創 造 性 や 批 判 的 感 覚 な ど に よ っ て も 決 定 さ れ る と い う こ と が 判 明 し て き た の で あ る 。 同 様 に 、 人 間 は も は や い か に し て 世 界 に 自 己 自 身 を 適 応 さ せ る か と い う こ と で は な く て 、 世 界 の た め に 自 分 は 何 を 為 し う る か と い う よ う に 、 自 己 自 身 を 世 界 の な か に 位 置 つ げ る こ と が 自 覚 さ れ る よ う に な っ た の で あ る 。 お わ り に フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 史 を 一 貫 し て 、 人 間 に と っ て 教 養 と は 何 か と い う 問 題 が 終 始 吟 味 さ れ て き た の で あ る 。 中 等 教 育 の 本 質 的 な 目 的 は 一 般 教 養 の 涵 養 に あ る と い わ れ て い る 。 し か し 、 こ れ ま で の フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 実 績 か ら 見 る な ら ば 、 フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 内 容 と 方 法 は き わ め て 形 式 主 義 的 な も の で あ っ た し 、 教 養 と い わ れ る も の も 、 そ の 実 体 は 知 識 の 総 和 で し か あ り え な か っ た の で あ る 。 そ れ ゆ え 、 中 等 学 校 の 校 門 を 出 る や い な や 、 そ の 卒 業 生 の 多 く の 者 は 邪 魔 な も の に な っ て し ま っ た ﹁ 教 養 の お 荷 物 ﹂ を 急 い で 肩 か ら 下 ろ し て し ま っ た の で あ る 。 そ れ に 反 し て 、 そ う で な い 他 の 人 び と は 教 養 と い う 資 本 に 利 子 を 産

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ま せ よ う と し た り 、 成 り 上 り 者 の ぜ い た く 品 と し て そ の 身 を 飾 り 立 て よ う と し た の で あ る 。 し か る に 最 近 で は 、 中 等 学 校 教 師 は 生 徒 に 対 し て 潜 在 的 な 富 に 目 醒 め さ せ た り 、 そ れ を 貯 蔵 さ せ る こ と し か で き な く な っ て き て い る 。 教 師 は 生 徒 に 教 養 と い う 富 の も た ら す 果 実 の 方 に つ い て は あ ま り 口 に 出 そ う と は し な く な っ て い る の で あ る 。 教 師 は 、 あ た か も 大 地 に 肥 沃 さ を も た ら し は し な い が 、 大 地 を 最 良 の 耕 作 条 件 で 維 持 し て い く だ け で 満 足 し て い る 農 夫 の よ う な 姿 勢 を と る こ と を よ ぎ な く さ れ て い る の で あ る 。 し た が っ て 、 今 日 の 教 師 は 、 生 徒 に 対 し て 、 さ ま ざ ま な 文 学 的 表 現 力 に 熟 達 さ せ る こ と に よ っ て 、 ま た 現 代 の あ ら ゆ る 言 語 形 態 の 作 品 に 対 す る 批 判 的 な 読 解 力 を 育 成 し て い く こ と に よ っ て 、 か れ ら 自 身 と 、 か れ ら を 取 り 巻 く 世 界 を で き る だ け 正 し く 理 解 さ せ た り 、 ま た 心 情 に 満 ち た 表 現 を 効 果 的 に 行 わ さ せ た り す る よ う に 指 導 し な け れ ば な ら な い の で あ る 。 か く し て 今 日 的 意 味 に お け る 教 養 と は 財 産 と し て よ り も 、 人 間 の い っ そ う 幸 福 な 精 神 状 態 で あ る と 見 做 さ れ る よ う に な っ て き て い る の で あ る 。 ( 昭 ・ 五 八 ・ = ・ 一 稿 ) 参 考 文 献 v M a r e u i l, A ., L e s p r o g r a m m e s d e f r a n   a i s d a n s I 'e n s e ig n e m e n t s e c o n d a ir e d e p u is u n s i e c l e , d a p s " R e v u e f r a n   a i s e d e 忌 壁 αq o αq ie , N ° 7 " , 1 9 G 7 . v P io b e t ta , J . B ', L e b a c c a la u r e a t , 1 9 3 7 . v W e il l , G ., H is t o ir e d e I 'e n s e ig n e m e n t s e c o n d a ir e e n F r a n c e , 1 9 2 1 ° ω T h o r a v a l , 7 ・, L e s e p r e u v e s d u b a c c a l a u r e a t : F r a n 3 is 1 9 6 7 , 1 9 6 8 ° B ar l o w , M ., L i tt e r a tu r e , B a n s " H is t o ir e d e la p e d a g o g ie d u 1 7 e s ie c l e a n o s f o u r s , s o u s la d ir e c t io n d e G u y A v a n z in i , P r i v a t , 1 9 8 1 . , フ ラ ン ス 中 等 教 育 に お け る フ ラ ン ス 語 文 学 教 育 の 発 達 過 程 に つ い て の 一 考 察 一 一 一

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佛 教 大 学 研 究 紀 要 通 巻 六 十 八 号 一 = 一 ⑥ P ro st , A ., H is to ir e g e n er a le d e 1'e n se igQ n ern e n t e t d e I' e d u c at io n en F ra n c e , I V , 1 9 8 1 ° ⑦ 拙 著 ﹃ フ ラ ン ス 大 学 入 学 資 格 試 験 制 度 史 ﹄ 風 間 書 房 、 昭 和 五 六 年 ⑧ 拙 稿 ﹁ フ ラ ン ス に お け る 大 学 入 学 資 格 試 験 制 度 の 現 状 に つ い て の 一 考 察 ﹂ ( 佛 教 大 学 学 会 ﹃ 人 文 学 論 集 第 一 七 号 ﹄ 所 収 ) 昭 和 五 八 年 ︻備 考 ︼ 文 中 の ( ) 内 の 数 字 は 文 献 番 号 と 、 文 献 の 引 用 頁 数 を 示 す 。

参照

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