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04山崎初枝 広島の中山間地域における地産地消を通した地域連携の取り組み-ひろしま さとやま未来博2017に参加して-Hijiyama University Institutional Repository

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(1)

Ⅰ.はじめに

広島県の中山間地域は,若年層を中心とした人口の流出を背景に,全国に比べて,集落の小規模化や 高齢化が大きく進んでいる。広島県は将来に向けて持続可能な中山間地域を実現していくため,平成 25 年 10 月に,「広島県中山間地域振興条例」1)を制定した。さらに「広島県中山間地域振興計画」2)

が策定され,地域づくりの担い手の育成やネットワーク構築をめざし,多様な人材の実践活動を更に加 速させるための起爆剤として,平成 29 年 3 月より 11 月末まで中山間地域をフィールドとした県民参加 型人材交流プロジェクト「ひろしま さとやま未来博 20173)」を開催した。このプロジェクトは,《多

様性〜ダイバーシティ》,《創発性〜イノベーション》,《持続性〜サスティナビリティ》の 3 つをキーワ ードに,中山間地域への共感と誘客促進の

ための「シンボルプロジェクト」と,地域 づくりに取り組む皆さんの多様な活動を後 押しする「ココロザシ応援プロジェクト」4)

(以下,プロジェクトという。)を中心に展 開されている。本研究は,「ひろしま芸北 食ツーリズム」としてプロジェクトに採択 された地産地消活動について報告する。今 回,本研究の活動拠点である,北広島町芸 北地域はかつて芸北町と呼ばれ,現在,人 口は毎年減少幅が拡大している5)。(図 1)

Ⅱ.方法

本研究の目的は,山県郡北広島町芸北地域において,地元住民と連携して地産地消を通して,地域活 性化に貢献していくことである。2017 年 4 月から 11 月末まで,芸北地域を拠点として食文化伝承のた めに郷土料理理講習会開催,特産品を使った新地産地消メニューの考案・レシピ集作成,地元のイベン

* 1 総合生活デザイン学科

* 2 広島大学原爆放射線医科学研究所

図 1 町の人口と世帯数の変化

広島の中山間地域における地産地消を

通した地域連携の取り組み

―ひろしま さとやま未来博 2017 に参加して―

(2)

トへの参加,地産地消に関する消費者意識アンケート調査を行った。今回,広島県立加計高等学校芸北 分校ならびに地元の女性料理グループ(以下,メンバーという。)と連携して活動を行った。

Ⅲ.結果

1.郷土料理講習会の開催

平成 29 年 6 月 18 日(土),広島県立加計高等学校芸北分校調理室において郷土料理講習会を開催した。 講師は地元の料理グループのメンバー 4 人に依頼した。参加者の募集は,中国新聞と「ひろしま さと やま未来博 2017 −公式ガイドブック−夏号」6)で行った。参加者は一般参加者 8 人,広島県立加計高

等学校芸北分校 12 人,比治山大学短期大学部 10 人であった。作成した郷土料理は,芸北地域の春から 初夏の食材を使い,ちらし寿司(ふきや山菜を入れた混ぜ寿司),お平ひら(豆腐と野菜を煮込んだ精進料理), ちしゃもみ(ちしゃと焼塩鯖を酢で和えたおひたし),そうめん汁の 4 品を作った。これらの郷土料理 は現在も田植えや仏事の精進料理と

して振舞われている。参加者の年齢 は 15 歳から 82 歳と幅広く,6 グル ープに分かれ料理を行った。グルー プでは,講師から昔の田植えの賄い 料理や家庭料理について話を聞くこ とができ,楽しく多世代間の交流を 図ることができた。

2.芸北地域の特産品を使った新地産 地消メニューの考案・レシピ集作成

「第 23 期 緑のふるさと協力隊」作 成の「芸北料理修行」7)を参考に芸北

地域の特産品を使った新地産地消メニ ュー 10 品を考案し,レシピ集を作成 した。芸北地域の三大特産品としてト マト,ほうれん草,りんごがあげられ ている。今回作成したのは,トマト(ト マトの丸ごと焼き),ほうれん草(ほ うれん草とトマト入りピザ),りんご (りんごの和風ごま団子,芸北豚のソ テーりんごソースかけ),ベーコン(厚 切りベーコン入りシチュー),牛乳(芸 北シチュー・チーズケーキ),こんに ゃく(氷こんにゃくのドライカレー), そうめんうり(そうめんうりのグラタ ン),麹(甘酒で鈴カステラ)である(写

写真 1 作成した郷土料理

写真 3 芸北の特産品を使用した新メニュー 写真 2 会場の風景

氷こんにゃくの ドライカレー

いとうりのグラタン

トマトの

丸ごと焼き 鈴カステラ甘酒 DE チーズケーキ 和風ごま団子りんごの 芸北牛乳入りシチュー 厚切りベーコン入りシチュー

芸北高原豚ソテー

(3)

真 3)。対象は,スキー客などの若者向けのメニューを意識した。芸北シチューは,「乙九日 炎の祭典」 や「クロージングイベント」で提供した。

3.地元のイベントへの参加

(1)「乙九日(おとくんち)炎の祭典」

北広島町荒神原にある亀山八幡神社において毎年 9 月下旬に「乙九日 炎の祭典」が開催され,9 月 23 日(土)に参加した。この祭典は,北広島町雄鹿原地区に古くから伝わる古戦場にちなんだ炎と光 の祭りで,ひろしま県民文化百選にも指定されている。例年,多くの観光客が県内外から訪れ,今年は 約 1,300 人の参加があった。

当日は,「芸北シチュー」 をメンバーと調理し,神社 境 内 の 屋 台 に 出 店 し て 約 150 食を販売した。このイ ベントの PR は「ひろしま さとやま未来博 2017 −公式 ガイドブック−秋号」8)

紹介した。(写真 4. 5)

4.地産地消に関する消費者意識アンケート調査

(1)方法

9 月 23 日(土)亀山八幡神社で開催された「乙九日 炎の祭典」の来場者の中からアンケートへの 協力を得た 79 名のうち欠損値を除く 69 人(男性 40 人,女性 29 人)を本研究の解析対象者とした。 (2)調査内容

アンケートの調査内容は,属性 3 項目(性別,年齢,居住場所),ひろしまさとやま未来博について 1 項目(①名前も意味も知っていた ②名前は知っていたが意味は知らなかった ③知らなかった か ら 1 択),大学と地域との連携について l 項目(①とても良い ②良い ③ふつう ④よくない ⑤と てもよくない から 1 択),シチューの感想 5 項目(①味,②見た目,③かたさ,④口当たり,⑤料理 名について),地産地消について 3 項目(①普段の買い物の際に地産地消を意識しているか:3 択,② 地産地消を意識して購入している商品があるか:14 品目から複数回答可,③農産物を購入する際に重 視するものは何か:11 項目から複数回答可),自由記載 2 項目(①オススメの料理名 ②今回の取り組 みの感想や芸北の魅力について)とした。

(3)集計・解析方法

データの集計は Excel 2013 で行い,解析は SPSS Ver. 23 for Windows を用いて単純集計とクロス集 計を行った。クロス集計の変数は,普段の買い物の際に地産地消を意識しているかという問に関して, かなり意識しているを意識している群とし,時々意識している・全く意識していないを意識していない 群の 2 群に分類して解析した。統計解析としては単純集計,クロス集計にもとづくカイ二乗検定を行っ た。また,統計ソフトウエア R ver 3.4.0 を用いて,地産地消を意識して購入している商品と農産物を 購入する際重視する項目について,ジャッカードの距離にもとづく Ward 法による階層型クラスター分 析と多次元尺度法を適用した。年齢と地産地消を意識している人の割合については,ロジスティック回

(4)

帰分析した回帰係数および肥満確率から,地産地消を意識している人の割合の理論曲線を作成した。有 意確率は 5%未満を採択した。

(4)アンケート結果 ① 回答者の属性

回答対象者 69 人の属性を表 1 に,地産地消を意識している人の割合を表 2 と図 2 に示した。

回答者の性別は男性 58.0%,女性 42.0%であった。年代は,0 〜 20 歳 11.6%,20 〜 40 歳 17.4%,40 〜 60 歳 39.1%,60 〜 80 歳 26.1%,80 歳以上は 5.8%であった。居住地域は,北広島町が 32.8%,北広 島町以外が 67.2%であった。

地産地消について意識しているは,全体で 33.3%,男性は 40%,女性は 24.1%であった。男女別に 表 1 地産地消と属性

(%) 地産地消について

p値 全体 意識している 意識していない

n=69(100)

n(%) n=23(33.3)n(%) n=46(66.7)n(%)

性 別 男性 40(58.0) 16(40.0) 24(60.0) 0.168 女性 29(42.0) 7(24.1) 22(75.9)

年 代 0 〜 20 歳 8(11.6) 1(12.5) 7(87.5) 0.005 20 〜 40 歳 12(17.4) 1 (8.3) 11(91.7)

40 〜 60 歳 27(39.1) 7(25.9) 20(74.1) 60 〜 80 歳 18(26.1) 11(61.1) 7(38.9) 80 〜 100 歳 4 (5.8) 3(75.0) 1(25.0)

居住地域 北広島町 22(32.8) 6(27.3) 16(72.7) 0.616 北広島町以外 45(67.2) 15(33.3) 30(66.7)

横%(全体は縦 %) 注)不明の記載は省略した

表 2 地産地消を意識している人の割合

(%) 年齢 割合 年齢 割合 年齢 割合 年齢 割合 年齢 割合

0 1.7 21 6 42 19.6 63 48.1 84 77.9 1 1.8 22 6.4 43 20.6 64 49.7 85 79 2 1.9 23 6.8 44 21.7 65 51.3 86 80 3 2 24 7.2 45 22.8 66 52.9 87 81 4 2.1 25 7.6 46 23.9 67 54.5 88 82 5 2.3 26 8.1 47 25.1 68 56.1 89 82.9 6 2.4 27 8.6 48 26.3 69 57.6 90 83.8 7 2.6 28 9.1 49 27.6 70 59.2 91 84.6 8 2.7 29 9.6 50 28.9 71 60.7 92 85.5 9 2.9 30 10.2 51 30.2 72 62.2 93 86.2 10 3.1 31 10.8 52 31.6 73 63.7 94 87 11 3.3 32 11.4 53 32.9 74 65.1 95 87.7 12 3.5 33 12.1 54 34.4 75 66.6 96 88.3 13 3.7 34 12.8 55 35.8 76 68 97 89 14 3.9 35 13.5 56 37.3 77 69.3 98 89.6 15 4.2 36 14.3 57 38.8 78 70.7 99 90.2 16 4.5 37 15.1 58 40.3 79 72 100 90.7 17 4.7 38 15.9 59 41.9 80 73.2

(5)

みると,男性に意識している割合が高率であった。年代でみると,0 〜 20 歳 12.5%,20 〜 40 歳 8.3%, 40 〜 60 歳 25.9%,60 〜 80 歳 61.1%,80 歳以上は 75.0%と 20 〜 40 歳が最も低率で,60 歳以降は年代 が上がるほど高率となり有意差が認められた(p < 0.01)(図 2)。また,地産地消を意識している人の 割合と年齢との関連についてロジスティック回帰分析した回帰係数および地産地消を意識している人の 確率から理論曲線を作成した(図 3)。年齢が増加するほど地産地消を意識している人の確率は増加し, 年齢と地産地消を意識するには相関関係がみられた。

② 「ひろしま さとやま未来博 2017」の認知度,大学との地域連携について

「ひろしま さとやま未来博 2017」の認知度,大学との地域連携について表 3 に示した。

「ひろしま さとやま未来博 2017」についての認知度は,全体で名前も意味も知っていた 37.7%,名 前は知っていたが意味は知らなかった 27.5%,知らなかった 34.8%であった。また,地産地消を意識し ている群の認知度は各々 47.8%,30.4%,21.7%で,意識していない群は各々 32.6%,26.1%,41.3%と 地産地消を意識している群の方が認知度が高かった。大学との地域連携については,全体でとても良い 84.1%,良い 14.5%,ふつう 1.4%であった。地産地消を意識している群は各々 91.3%,8.7%,0%,地 産地消を意識していない群は各々 80.4%,17.4%,2.2%で,地産地消を意識している群がとても良い, 良いとの評価が高かった。

表 3 地産地消とさとやま未来博の認知度・大学との地域連携について

(%) 地産地消について

p値 全体 意識している 意識していない

n=69(100)

n(%) n=23(33.3)n(%) n=46(66.7)n(%)

さとやま 未来博の 認知度

名前も意味も知っていた 26(37.7) 11(47.8) 15(32.6) 0.255 名前は知っていたが意味は知らなかった 19(27.5) 7(30.4) 12(26.1)

知らなかった 24(34.8) 5(21.7) 19(41.3)

大学との 地域連携 について

とても良い 58(84.1) 21(91.3) 37(80.4) 0.469 良い 10(14.5) 2( 8.7) 8(17.4)

ふつう 1( 1.4) 0( 0.0) 1( 2.2) 縦 %

図 2 地産地消の年代別意識度

注)「かなり意識している」を「意識している」「時々意識し ていると全く意識していない」を「意識していない」とした

図 3 年齢と地産地消を意識している人の    割合のロジスティクス曲線

(%)

(6)

③ 地産地消を意識して購入している商品について

地産地消を意識して購入している商品について図 4,距離行列を表 4,多次元尺度法による分析を 図 5,階層別クラスター分析を図 6 に示す。

地産地消を意識して購入している商品は多い順に,野菜,米,果実,その他,卵,牛乳及び加工品, きのこ,無,山菜,畜産品,魚及び加工魚,漬物,花木,菓子類であった。次に,地産地消を意識して 購入する商品は,大きく 3 つのクラスターに分類された。第一はきのこと山菜で,これらを購入するも のは魚及び加工品や畜産品も一緒に購入していた。第二は花木と菓子類で,これらを購入する者は漬物 も購入していた。第三は米と野菜で,これらを購入する者は果実や卵や牛乳及び加工品を一緒に購入し ていた。最も多く組み合わせて購入されていた商品は,きのこと山菜で,次に野菜や米であった。

図 4 地産地消を意識して購入する商品 図 5 地産地消を意識して購入する商品の    多次元尺度法による関連図

表 4  地産地消を意識して購入する商品の距離行列

(%)

(7)

3.農産物を購入する際に重視する要素について

農産物を購入する際に重視する要素について図 7,距離行列を表 5,多次元尺度法による分析を図 8 及び階層別クラスター分析を図 9 に示す。

農産物を購入する際に重視する要素は,多い順に鮮度,価格,旬や季節感,味,有機あるいは減農薬 かどうか,外観,郷土食・伝統食,無,栄養価,その他であった。次に,地産地消で重視する項目は大 きく 2 つのクラスターに分類された。第一は,価格と鮮度,有機あるいは減農薬かどうかと味,地産地 消と旬や季節感との組み合わせであった。第二は,栄養価,外観,郷土食・伝統食,その他であった。 11 項目の要素の中で最も重視されていたのは,価格と鮮度の組み合わせであった。

図 7 地産地消で重視する要素

図 6 地産地消を意識して購入する商品の階層型クラスター分析

(8)

Ⅳ.考察

本研究では,芸北地域において食を通した地域活性化のための地域連携についての取り組みについて 考察する。

芸北地域では,年少人口比率や生産年齢人口比率が減少し,少子・高齢化が進んでいる。一方で,広 島都市圏に接していることや交通条件,そして地域資源の活用などによって,観光・レクリエーション エリアとして,都市部との交流が多い地域でもある。特に,スキー場が集積する日本最南端の地域であ り,中・四国,九州方面からの入込み観光客で賑わっている。県内外や海外からのインバウンド客をタ ーゲットにした地域活性化の新たな取り組みも始まっており,若い世代の協力が求められている5)

本研究では,地元にある広島県立加計高等学校芸北分校生徒と地元の女性料理グループと連携して郷 土料理の伝承や祭りに参加し,芸北の PR や地産地消活動を行った。現在,わが国では,平成 28 年度 から平成 32 年度までの 5 年間を期間とする第 3 次食育推進基本計画10)がスタートしている。食育推

進基本計画は,食育基本法11)に基づき,食育の推進に関する基本的な方針や目標について定められて

いる。5 つの重点課題を柱に,取組と施策を推進していき,そのひとつに,食文化の伝承に向けた食育 表 5 地産地消で重視する要素の距離行列

(%)

価格 鮮度 地産地消 外観 季節感旬や 有機あるいは減農薬か どうか 味

郷土 食 . 伝

統食 栄養価 その他 なし 価格 0 0.552 0.738 0.886 0.8 0.85 0.795 1 0.943 0.971 0.972 鮮度 0.552 0 0.782 0.918 0.746 0.824 0.804 0.939 0.98 1 0.98 地産地消 0.738 0.782 0 0.952 0.735 0.739 0.8 1 0.947 1 0.947 外観 0.886 0.918 0.952 0 1 0.929 0.933 1 1 1 1 旬や季節感 0.8 0.746 0.735 1 0 0.8 0.879 0.88 0.92 1 0.962 有機あるいは減農薬かどうか 0.85 0.824 0.739 0.929 0.8 0 0.722 0.923 0.818 1 1 味 0.795 0.804 0.8 0.933 0.879 0.722 0 1 0.923 1 1 郷土食 . 伝統食 1 0.939 1 1 0.88 0.923 1 0 1 1 1 栄養価 0.943 0.98 0.947 1 0.92 0.818 0.923 1 0 1 1

その他 0.971 1 1 1 1 1 1 1 1 0 1

なし 0.972 0.98 0.947 1 0.962 1 1 1 1 1 0

(9)

の推進を挙げ,郷土料理,伝統食材,食事の作法など,日本の伝統的な食文化への理解を深める食育の 推進を目指している。本プロジェクトにおける郷土料理講習会の開催は,次世代を担う若者を対象にし た郷土料理を伝承する活動といえる。参加した高校生や大学生からは,「実際に料理を作り食べること により印象に残り,継承することができる。」と好評であった。また,一般参加者からは,「若者と時間 を共に過ごすことができて楽しかった。自分達だけがイベントを企画することは難しいが,若者が町内 に来てイベントを企画して欲しい。」と次回の開催やイベントの開催を強く望む声が多く聞かれた。また, 講師からも,地元の郷土料理を次世代に伝えていきたいという強い要望があった。今回は,春から初夏 にかけての郷土料理が中心であったので,次回は,秋から冬にかけての料理の紹介に取り組んでいきたい。

本研究では,芸北地域の特産品の PR を目的に新地産地消メニューの考案・レシピ集作成も行った。 平成 28 年度のわが国のカロリーベース食料自給率は 38%とこれまでの最低となった12)。平成 27 年度

の広島県のカロリーベース食料自給率概算値は 23%13)とさらに低率である。地元で摂れる野菜や肉,

乳製品を使った新地産地消メニューを地元の宿泊施設で提供することにより,宿泊客への知名度やお土 産品としての消費拡大への期待は大きい。今回考案した新地産地消メニューの対象者を,スキー客など の若い世代として献立に工夫した。今後,訪れる観光客の年齢やニーズ,季節に合わせて,郷土料理や 新地産地消メニューを開発提供していくことを期待したい。

さらに,地元のイベントに参加する事で,地元住民との信頼関係や交流がさらに深まり,来場者への PR 効果が大きいことを実感できた。事前に開催された祭りの説明会に参加することにより地元の人達 との交流をさらに深めることができた。イベント当日は,高校生と一緒に調理・販売の行動を共にし, 観光客やスタッフ間のコミュニケーション力の向上に大いに役立った。

アンケート結果から,地産地消を意識している人の割合は年代が上がるにつれて多くみられたが,20− 40 歳までの若い世代は地産地消についての意識が低く,若い世代を対象に地産地消への関心を高める ことが今後の課題と思われる。また,本調査では男性に地産地消を意識している人が多くみられた。そ の要因のひとつとして,アンケートの対象者が,祭りの来場者やイベント関係者が含まれ地産地消にあ る程度関心を持っている人が多いのではないかと推察される。今後も一般の人を対象にした地産地消の アンケートを実施して比較検討をしていきたい。「ひろしま さとやま未来博 2017」の認知度は,全体 で 65.2%であったが地産地消を意識している群の方が認知度は高かった。今後も中山間地域のイベント 情報を広く PR していくことで,多くの観光客の集客につながるのではないかと思われる。大学との地 域連携については,98.6%がとても良い・良いと高評価を得て,今後の活動に向けて力強い後押しとな った。

広島県は県北から島嶼部まで気候の温度差が大きく,特産品の種類も豊富である。広島県の中山間地 を訪れる観光客が,地産地消を意識して購入している商品(14 品目)をクラスター分析し,どのよう な商品が一緒に購入されているかの傾向を分析した。結果,3 つのグループに階層化された。クラスタ ー分析図より,消費者が地産地消を意識して購入する商品として,きのこと山菜,次に米と野菜,次い で,魚及び加工品と畜産品が選ばれる傾向が高かった。本調査の対象地域は中国山地にあり,きのこや 山菜の生産量は多く,購入品目と一致していた。今回の分析結果から,組み合わせて購入する確率の高 い商品がある程度判明でき,今後,道の駅などの特産品の販売所等において,商品の陳列場所の参考と して提言していきたい。さらに、店内で商品を探すための移動ルートや移動時間が短縮され,今後,高 齢の消費者が増えることが予測される中で,サービス向上に繋がるのではないかと期待したい。

(10)

ンショック以降の日本の消費者の実像〜14)によると,消費者が買い物をするときに重視する要素に,「信

頼・安全」が一番にあげられ,「低価格」よりも高率であった。本調査のクラスター分析では,消費者 が地産地消で重視する項目として,「価格と鮮度」が第 1 にあげられ,今回の情報を生産・販売者にも 伝えていきたい。今回の地産地消に関する消費者意識調査の限界は,対象者が県北の特定の地域で,少 人数であることである。調査時期や場所によっても回答内容が変化するものと推察され,今後,異なる 時期や場所で多くの対象者に調査を行い比較検討していきたい。

プロジェクトの活動は約半年間であったが,芸北地域の高校生や地元の人達と食を通した活動を行う ことにより,アクティブ・ラーニングの一環として,自立・創造・共生・創造について学修することが できた。また,今回のメンバーは遠距離に位置するため,円滑に事業を進めるために,日頃から連絡を 密にとるように心がけた。しかし,中山間地域の活性化という大きな課題については,ほんの入り口に しか到達していない。本研究を進めるにあたり,中山間地域の高齢化の現状や若者の地産地消への意識 の低さなどの課題が一部ではあるが見えてきた。今回のプロジェクトを足がかりにして,今後,行政や 地元と連携して,さらに一歩踏み込んだ PR 活動を展開していきたい。今回のプロジェクトは,食を通 した小さな取り組みからスタートしたが,11 月 26 日(日)に開催されたひろしまさとやま未来博 2017 「〈クロージングイベント〉さとやま 3 つ星未来フェスタ」において,ひろしま里山交流プロジェクト実 行委員会から依頼を受け,乙九日 炎の祭典で提供したシチューをアレンジして「さとやま 3 つ星シチ ュー」として約 2,000 食提供した。当日は約 1.2 万人の来場者があり,本プロジェクトの活動や芸北を 広く PR することが出来た。

今後も活動を継続して,広島県の中山間地域の活性化と地産地消の推進活動を行っていきたい。

謝辞

本研究を進めるにあたり,アンケートにご協力いただいた皆様・広島県立加計高等学校芸北分校・芸 北女性料理グループ・芸北お祭り実行委員会・ひろしま里山交流プロジェクト実行委員会の皆様に心よ り感謝申し上げます。

本研究は,『ひろしま さとやま未来博 2017』【ココロザシ応援プロジェクト】の補助金支援を受け た事業である。

Ⅷ.文 献

1)広島県中山間地域振興条例:広島県ホームページ https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/ attachment/109178.pdf,2017.10.15

2)広島県中山間振興計画:広島県ホームページ https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/35/ chusankankeikaku-sakutei.html,2017.10.12

3)ひろしま さとやま未来博 2017 広島県 https://satoyama-mirai2017.jp/,2017.10.12

4)ココロザシ応援プロジェクト:広島県ホームページ https://satoyama-mirai2017.jp/kokorozashi. html,2017.10.11

(11)

pp.13

7)山口美咲ほか 18 名,第 23 期 緑のふるさと協力隊,「芸北料理修行」,2017.1

8)ひろしまさとやま未来博 2017 −公式ガイドブック−秋号,ひろしま里山プロジェクト実行委員会, pp.12,

9)〈 ク ロ ー ジ ン グ イ ベ ン ト 〉 さ と や ま 3 つ 星 未 来 フ ェ ス タ:https://satoyama-mirai2017.jp/ closingevent.html,2017.10.14

10)内閣府:第三次食育推進基本計画(2016)

11)厚生労働省:食育基本法:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou04/ 2017.10.15

12)農林水産省:平成 28 年度食料自給率,http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/170809.html, 2017.10.15

13)農林水産省:平成 27 年度都道府県別食料自給率について http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/ zikyu_ritu/zikyu_10.html,2017.10.13

14)経済産業省:消費者購買動向調査」〜リーマンショック以降の日本の消費者の実像〜(概要), 2010.4,2017.10.11

〈キーワード〉

地産地消 多世代交流 地域連携 郷土料理 中山間地域

(12)

Abstract

Regional Collaboration through Local Production for Local Consumption

in the Hilly and Mountainous Areas of Hiroshima

- Participating in Hiroshima Satoyama Future Expo 2017 -

Hatsue YAMASAKI

*1

, Arisa KAWAI

*1

and Kenichi SATOH

*2

Introduction

In the hilly and mountainous areas of Hiroshima Prefecture, where the outflow of local populations

is occurring mostly among the younger generations, the shrinking size of settlements and the aging of

communities are progressing much faster than for the country as a whole. In order to achieve sustainable

communities in such hilly and mountainous areas in Hiroshima Prefecture into the future, "Hiroshima

Satoyama Future Expo 2017", a project to promote exchange between human resources through

participation by residents of the prefecture, was held in these regions from March until the end of

November 2017.

For this research, the authors participated in this project by collaborating with high school and

cooking groups from the Geihoku Region to organize workshops on local cuisine, and to propose and

develop new menus that use local specialty products. The authors also participated in other events, and

implemented a questionnaire about local production for local consumption.

Through participation in this project, the authors learned about current conditions and concerns in

hilly and mountainous areas, and how to encourage exchange between human resources through

regional collaboration.

Keywords:

Local production for local consumption, Regional collaboration, Local cuisine, Hilly and mountainous

areas, Exchange between human resources

(Received November 17, 2017)

* 1 Department of Comprehensive Human Life Studies

参照

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