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バースセンターにおける分娩の現状 -

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日赤医学 第 66 巻 第 2 号 441-443 2015 441

バースセンターにおける分娩の現状

名古屋第一赤十字病院

真野 真紀子  柴田 幸子

The Current Situation of Delivery in Birth Center Makiko MANO  Sachiko SHIBATA Japanese Red Cross Nagoya Daiichi Hospital

Key Words:バースセンター、院内認定助産師、協働

はじめに

 今、産科医師不足の対策として、助産師の 活用が注目され、院内助産システム(助産外 来・院内助産)が推進されている。施設内助 産師が専門性を発揮して、正常妊娠・分娩に 対して自ら責任を持ち対応することにより、

産科医師は、ハイリスク妊娠・分娩管理への 対応に集中でき、分業と協働によって安心・

安全な分娩が提供できると言える。名古屋第 一赤十字病院(以下、当院と略す)は、平成 17 年、助産師の自立と医師の負担軽減を目的 に助産外来を開設、平成 25 年 4 月構想から 6 年を経て敷地内にバースセンター 15 床を開 設した。そこで、医師との分業と協働により 運営しているバースセンターの現状を報告す る。

1.当院産科の概要(平成 26 年 4 月現在)

 当院の産科は、愛知県の総合周産期母子医 療センターとして、MFICU 9 床、NICU  15 床、産科病棟 36 床を有し、産婦人科医師 19 名、助産師 64 名で年間約 250 件の母体搬 送を受け入れ、約 1400 件の分娩を取り扱っ

ている。バースセンター(院内助産)棟は、

1階助産師外来、2 階お産ルーム 3 床、居室 15 床、助産師 24 名で運営し、分娩件数は年 間 300 件をめざしている。

2.当院のバースセンターとは、

 「安心・安全・自然・快適」をコンセプト として、産科医・小児科医と協働する新たな 助産システムである。

 緊急時の対応ができる総合周産期母子医療 センターに併設され、正常範囲の産科診療を 主に助産師が行い、妊産婦やその家族の意向 を尊重しながら、チームで妊娠中から分娩・

産褥まで継続性のある一貫した助産ケアを提 供するものである。(図1)

当院の産科は、愛知県の総合周産期母子医療センターとして、MFICU 9 床、NICU 15 床、

産科病棟 36 床を有し、産婦人科医師 19 名、助産師 64 名で年間約 250 件の母体搬送を受け

入れ、約 1400 件の分娩を取り扱っている。バースセンター(院内助産)棟は、1階助産師

外来、2階お産ルーム3床、居室 15 床、助産師 24 名で運営し、分娩件数は年間 300 件を

めざしている。

2、当院のバースセンターとは、

「安心・安全・自然・快適」をコンセプトとして、産科医・小児科医と協働する新たな

助産システムである。

緊急時の対応ができる総合周産期母子医療センターに併設され、正常範囲の産科診療を

主に助産師が行い、妊産婦やその家族の意向を尊重しながら、チームで妊娠中から分娩・

産褥まで継続性のある一貫した助産ケアを提供するものである。(図1)

図1 当院の「バースセンター」とは

「安心・安全・自然・快適」をコンセプトとして、 産科医 小児科医と協働する。 新たな助産システムである。

緊急時の対応ができる総合周産期母子医療センターに併設さ れ、正常範囲の産科診療を主に助産師が行い、妊産婦やその家 族の意向を尊重しながら、チームで妊娠中から分娩・産褥まで継 続性のある一貫した助産ケアを提供する。

条件 ・助産師外来を有する

・助産師のみによる分娩完遂能を有する

・自然分娩を原則としている

・医師のバックアップシステムを有する

〈原 著〉  第 50 回 日本赤十字社医学会総会 優秀演題

(2)

バースセンターにおける分娩の現状 442

 妊娠から出産までの流れは、初診から妊娠 20 週までは、医師の外来を受診。それ以後 ローリスクチェックリストに基づいてリスク 判定を行う。ローリスク妊婦の場合は、妊婦 自身で助産外来か医師外来か選択をする。助 産外来を選択された場合でも健診の規定に則 り、バースセンターの外来で妊娠 28 週、34 週に医師の診察を受ける。最終的にバースセ ンターでの分娩の許可は、妊娠 34 週の医師 診察でバースセンターの分娩基準が満たされ れば、バースセンター助産師立ち合い分娩と なる。(図2) 

 バースセンターの運用については、平成 20 年度厚生労働科学特別研究事業の「院内助産 ガイドライン」

2)

、産婦人科診療ガイドライン

-産科編 CQ414《「助産師主導院内助産シス テム」で取り扱い可能な Low risk 分娩とは?》

3)

などに基づき、 「バースセンター利用基準」「医 師への報告基準(分娩期)」などを全て医師 と共に当院の基準を作成した。(図3、図4)

 バースセンターでの分娩介助は、当院のカ リキュラムを修了した院内認定助産師 10 名 であたっている。正常分娩の範囲と考えられ る分娩時の会陰裂傷縫合が実施できるよう教 育・研修を行い、さらに今までの産科医療の 安全性を一歩たりとも後退させることがない ことを前提に院内認定制度を確立し、新生児 蘇生法一次コース修了認定と会陰裂傷縫合の 院内認定、この二つがそろった助産師のみが バースセンターでの分娩介助を実施してい る。(図5)

3.平成 25 年度バースセンターの分娩状況  平成 25 年度バースセンター入院患者数は、

産後入院を含め 318 名でその内、分娩入院者 は 233 名であった。

 分娩状況は、分娩入院者 233 名中、61 名

(26%)が総合周産期母子医療センターに移 行し医師管理になった。移行理由は、胎児心 拍異常・微弱陣痛・前期破水等であった。総 合周産期母子医療センターに移行した 61 名 中 55 名は産後母児共にバースセンターにも どり、6 名は、帝王切開および吸引分娩とな り周産期センター管理となった。助産師のみ で完結しているバースセンターでの分娩者 172 名の分娩時裂傷は、裂傷なし 35 名、裂傷

Ⅰ度 31 名、裂傷Ⅱ度 106 名であり、縫合不 全等は発生しなかった。(図6)

 また、児の状態も出生時の平均体重 3131 g、

妊娠から出産までの流れは、初診から妊娠 20 週までは、医師の外来を受診。それ以後ロ

ーリスクチェックリストに基づいてリスク判定を行う。ローリスク妊婦の場合は、妊婦自

身で助産外来か医師外来か選択をする。助産外来を選択された場合でも健診の規定に則り、

バースセンターの外来で妊娠 28 週、34 週に医師の診察を受ける。最終的にバースセンター

での分娩の許可は、妊娠 34 週の医師診察でバースセンターの分娩基準が満たされれば、バ

ースセンター助産師立ち合い分娩となる。(図2)

初 診 分娩登録 妊娠20週 医師の健診

23番 産婦人科 医師外来 対象

1. 合併症、既往疾患のある妊婦 2. 異常妊娠経過を有する妊婦 3. 医師外来を希望している妊婦

妊娠28週 医師の健診

妊娠34週 医師の健診

バースセンター 助産師立ち会い分娩

バースセンターで分娩許可

総合周産期母子医療センター 医師立ち会い分娩 許可できない場合

バースセンター助産師外来 対象

1. 妊娠が正常に経過している妊婦 2. 単胎で経腟分娩可能と判断された妊婦 3. 助産師外来を希望している妊婦

バースセンターの運用については、平成 20 年度厚生労働科学特別研究事業の「院内助産

ガイドライン」2)、産婦人科診療ガイドライン-産科編 CQ414《「助産師主導院内助産シス

テム」で取り扱い可能な Low risk 分娩とは?》3)などに基づき、「バースセンター利用基

準」「医師への報告基準(分娩期)」などを全て医師と共に当院の基準を作成した。(図

3、図4)

①妊娠経過が正常である

②本人の希望がある

③夫(パートナー)の同意がある

④単胎であり、医師より経腟分娩可能と判断されている

⑤妊娠36週0日~41週6日までの間の分娩である

⑥バースセンターで分娩登録され、

妊娠・分娩中の経過により総合周産期母子医療センターで 医師の立ち合い分娩に移行された方の内

産後経過が正常な母児で入室の希望がある

図4 医師への報告基準

1、異常分娩経過の産婦

・胎児心拍異常(胎児心拍数波形分類レベル3以上)

・異常出血(常位胎盤早期剥離・前置胎盤など)

・高度羊水混濁が認められた場合。 または羊水混濁と感染徴候のある場合

・前期破水後、18 時間を経過しても陣痛が発来しない場合、感染徴候がある場合

・微弱陣痛、 初産(陣発後30時間) 経産 (陣発後15時間)

・胎児娩出後の異常(胎盤娩出困難、癒着胎盤、胎盤遺残、子宮内反)

・分娩時出血多量(500g以上)

・頚管裂傷・会陰裂傷(Ⅲ度からⅣ度裂傷)・会陰血腫

・全身状態の悪化とバイタルサインズの異常

(高血圧・頻脈・呼吸困難・ショック状態・子癇前症など)

2、新生児の異常が疑われる場合

バースセンターでの分娩介助は、当院のカリキュラムを修了した院内認定助産師 10 名であ

たっている。正常分娩の範囲と考えられる分娩時の会陰裂傷縫合が実施できるよう教育・

研修を行い、さらに今までの産科医療の安全性を一歩たりとも後退させることがないこと

を前提に院内認定制度を確立し、新生児蘇生法一次コース修了認定と会陰裂傷縫合の院内

①妊娠経過が正常である

②本人の希望がある

③夫(パートナー)の同意がある

④単胎であり、医師より経腟分娩可能と判断されている

⑤妊娠36週0日~41週6日までの間の分娩である

⑥バースセンターで分娩登録され、

妊娠・分娩中の経過により総合周産期母子医療センターで 医師の立ち合い分娩に移行された方の内

産後経過が正常な母児で入室の希望がある

図4 医師への報告基準

1、異常分娩経過の産婦

・胎児心拍異常(胎児心拍数波形分類レベル3以上)

・異常出血(常位胎盤早期剥離・前置胎盤など)

・高度羊水混濁が認められた場合。 または羊水混濁と感染徴候のある場合

・前期破水後、18 時間を経過しても陣痛が発来しない場合、感染徴候がある場合

・微弱陣痛、 初産(陣発後30時間) 経産 (陣発後15時間)

・胎児娩出後の異常(胎盤娩出困難、癒着胎盤、胎盤遺残、子宮内反)

・分娩時出血多量(500g以上)

・頚管裂傷・会陰裂傷(Ⅲ度からⅣ度裂傷)・会陰血腫

・全身状態の悪化とバイタルサインズの異常

(高血圧・頻脈・呼吸困難・ショック状態・子癇前症など)

2、新生児の異常が疑われる場合

バースセンターでの分娩介助は、当院のカリキュラムを修了した院内認定助産師 10 名であ

たっている。正常分娩の範囲と考えられる分娩時の会陰裂傷縫合が実施できるよう教育・

研修を行い、さらに今までの産科医療の安全性を一歩たりとも後退させることがないこと

を前提に院内認定制度を確立し、新生児蘇生法一次コース修了認定と会陰裂傷縫合の院内

認定、この二つがそろった助産師のみがバースセンターでの分娩介助を実施している。(図

5)

図5 バースセンターでの分娩介助

下記の院内認定助産師が行います

* 助産師経験5年目以上・ 分娩介助件数100例以上の者 で、会陰裂傷縫合教育の講義・演習修了し、

医師立会いのもと会陰裂傷縫合を5例実施。

産婦人科部長の判断により安全性が認められた者 に対し院内認定を行う

* 新生児蘇生法「一次」コース終了認定者

安心 安全

3、平成 25 年度バースセンターの分娩状況

平成 25 年度バースセンター入院患者数は、産後入院を含め 318 名でその内、分娩入院者

は 233 名であった。

分娩状況は、分娩入院者 233 名中、61 名(26%)が総合周産期母子医療センターに移行

し医師管理になった。移行理由は、胎児心拍異常・微弱陣痛・前期破水等であった。総合

周産期母子医療センターに移行した 61 名中 55 名は産後母児共にバースセンターにもどり、

6 名は、帝王切開および吸引分娩となり周産期センター管理となった。助産師のみで完結し

ているバースセンターでの分娩者 172 名の分娩時裂傷は、裂傷なし 35 名、裂傷Ⅰ度 31 名、

裂傷Ⅱ度 106 名であり、縫合不全等は発生しなかった。(図6)

図6 バースセンター入院者数 318 名

(平成25年4月~平成26年3月)

FHRの異常23 微弱陣痛18 前期破水16 バイタル異常3 第2期遷延 1

ナートなし35名 ナートあり1度31名

2度106名 バース分娩

BC帰室:55 172 周産期:6

産後

85 233

周産期移行:61

また、児の状態も出生時の平均体重 3131g、臍帯血ガス分析の PH 値は、平均値 7.31±0.08

であり良好であった。(図7)

図7 分娩状況(n= 172 )

平均分娩所要時間 9時間

平均分娩第1期所要時間 7時間36分 平均分娩第2期所要時間 1時間01分

出生時の平均体重 3131g

アプガール1分値 9点

アプガール5分値 10点

臍帯血PH平均 7.31±0.08

(3)

真野 真紀子・柴田 幸子 443

臍帯血ガス分析の PH 値は、平均値 7.31 ± 0.08 であり良好であった。(図7)

 バースセンターでは、陣痛促進剤の投与な ど医療行為が必要になった場合は、当院総合 周産期母子医療センターで対応できる体制で ある。実際、リスクが低いと見られていた分 娩の約 1/4 が医師の介入が必要になっている。

基準を逸脱した場合のスムーズな医師管理へ の移行が安全に繋がっている。また、バース センターにおける分娩時裂傷は、ゆっくり時 間をかけ会陰の伸展をもたらしているため、

正常分娩の範囲と考えられる範疇であり安全 が確保できたと言える。

4.まとめ

 バースセンター利用基準及び医師報告基準 を厳守したことで、バースセンターでの分娩

の安全性が守られたと言える。基準を逸脱し た場合に、円滑な総合周産期母子医療セン ターの医師や助産師との連携がこの結果につ ながっている。今後もこの基準を守り「安心・

安全」を確保しつつ、その中でより「自然・

快適」な分娩の向上に努めていきたい。

文  献

1.日本看護協会.院内助産システムの推進につい て.2009;2

2.中林正雄.「院内助産ガイドライン 医師と助産 師の役割分担と協働」厚生労働科学研究.平成 20 年度総括・分担研究報告書,2009;7 - 18 3.産婦人科診療ガイドライン-産科編 2011 作成

委員会.CQ414「助産師主導院内助産システム」

で取り扱い可能な Low risk 妊娠・分娩とは.

日本産婦人科学会雑誌,62(10);2015 - 2022.

2010

4.鈴記洋子.「院内助産システムを開設して」助産 師.2011;16 - 20

5.平田修司.「当院で行っている助産師教育ならび に資格認定と今後の展望」母性衛生.2011;44

- 49        図6 バースセンター入院者数 318 名

(平成254月~平成263月)

FHRの異常23 微弱陣痛 18 前期破水 16 バイタル異常3 第2期遷延 1

ナートなし35名 ナートあり1度31名

2度106名 バース分娩

BC帰室:55 172 周産期:6

産後

85 233

周産期移行:61

また、児の状態も出生時の平均体重 3131g、臍帯血ガス分析の PH 値は、平均値 7.31±0.08

であり良好であった。(図7)

図7 分娩状況(n= 172 )

平均分娩所要時間 9時間

平均分娩第1期所要時間 7時間36分 平均分娩第2期所要時間 1時間01分

出生時の平均体重 3131g

アプガール1分値 9点

アプガール5分値 10点

臍帯血PH平均 7.31±0.08

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