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動態機能測定用テルル化カ ドミウム
(CdTe)検出器システムとその臨床応用
鈴 木 豊
1. はじめに
プローブ型検 出器 は,核医学の初期 の時代 には, 主流の座 を占めていたが,現在 においては,その座 をシンチカメラに譲 って,その使用頻度 はきわめて 低い。 しか し,プローブ型検出器 には,機構の簡便 さ故 に小型,軽量の測定器 を容易 に作れるという特 長がある。特 に,近年開発 された常温で使用可能 な 半導体検出器 と発展普及の著 しいマイクロコンピュ ータ とを組み合わせ ることで,新 しい利用方法が開 発 されつつある1 ) 2 ) 3 ) 4 ) 。 コンピュータ化 された半導 体検出器 を用いることで,今 まで不可能であった 日 常生活中の各種臓器の動態機能 を連続的に観測す る ことが実現するのではないか と大 きな期待が寄せ ら れている。われわれの施設で も,過去数年来, シン グルプローブシステムの臨床応用 に取組 んで きた が5 ) 6 ) ,その応用範 囲 をさらに拡大す るた めに新 た にテルル化カ ドミウム
(CdTe)検出器 を用いた シ ステムを開発 しつつある。そこで, この機会 にわれ われの開発中のシステムの概要 とその臨床応用の一 端 を紹介することにす る。
2.
ガンマ線検出器 としての
CdTeの特性
臨床 で使 用す る場合 の
CdTeの最大 の長所 は, 常温で使用できることである。 これは,バ ン ドギャ
ップエネルギーが
1.45eVと十分大 きなためで あ り
,30oCまでは温度 によって特性が変化 しない と報 告 されている7 ) 。次 に,ガ ンマ線検出器 として考 え た場合
,CdTeの長所 は,他の半導体素子 と比較 し て原子番号が
50と高 く,その減弱係数が大 きい こ とである。 これは,小型で検出効率のよい検出器の
作成 にあたって考慮すべ き重要な条件である。
3.
システムの構成
われわれの施設で現在使用中の装置のブロックダ イアグラムを
Fig.1に示す。使用 した
CdTe検出 器 は
,RMD社製
A‑116型で,直径
16mm,厚 さ
2 mmで金属内に封入 されてお り,全重量
17gであ
る。 これに装着するためのコリメータ として,内径
16mmで,高 さがそれぞれ
5mm,16mmのス トレ ー ト型二重類 を作成 した。 コリメータ と検出器 はプ ラスチ ックの筒の 中 に格納 され て い る
(Fig.2)0
CdTe検 出器 よ り得 られ た信 号 は,前 置増 幅器
(Fig.2)およびバ ッファーアンプで増幅 され携帯型 データ収集装置に入力 され る
(Fig.1)。携帯型 デー タ収集装置は,マイクロプロセ ッサー,波高分析装 置, ランダムアクセスメモ リーな どを内蔵 し,重 さ 約
800gである。波高分析器 により
40KeV未満の 信号 は除去 され
,0.05秒 ご との デー タが,マイ ク ロコンピュータ
(LSト11/23)に転送 され, フロ ッ ピーディスクに記録 される。本 システムの特性 につ いては,既 に報告
8)したので詳細 について割愛す る が,計数率特性 としては
,40KeV以上の積分計数 モー ドの計測で
,100Kcpsで約
20%の数え落 とし であった。感度 については,絶対値 は求められてい ないが,われわれの施設 にある焦点型 コリメータを 装着 した直径
2インチの
NaI検 出器 のそれ と比較 す ると,高 さ
5mm,16mmのコリメータを使用 し た場合,それぞれ,約
1/2,1/5とい う値が得 られ ている。
Adynamicmonitoringsystemwithcadmiumtelluride(CdTe)detectorsanditsclinicalapplication YutakaSuzuki
DepartmentofRadiology,TheSchoolofMedicine,TokaiUniversity
,
東海大学医学部放射線医学教室 〒 259‑11神奈川県伊勢原市望星台核 医学画像診 断
Vol.2No.21987.7PORTABLE DATA ACQ UNIT
Fig.1 Schematicdiagram ofthesystem.PREAMP:preamplifier,AMP:amplifier, PAH:pulseheightanalyser,RAM :random accessmemory,MPU:mainprocess・ ingunit,I/0:in‑putandout‑putdevice,ROM :readonlymemory,LC.D.:liquid
crystalarisplay, Fig.
2
Detectormoduleandpreamplifier. A:collimat
or,B:CdTedetector,C:
plastichouslng,D:preamplifie
r .
4.臨 ‑ 47‑床応用
臨床応用 として これ までに,脳脊髄液
( CSF)短絡流量の測定,各種負荷時の左室 ポンプ
機能の測定 を試みてきたので, これ らの一端 を紹介す
る。
1)
CSF短絡流CSF短絡流量の測定量
(F)は,短絡装置の リザーバー内に
RIを注入後,同部 の
時 間放射能 曲線 を求 め る と, リザーバー内容量
(Ⅴ)
と時間放射能 曲線の半 減時間 ( Tl / 2) よ り,理論的 には次式
で算 出 され る。即 ち
,F‑0.698V/Tl/
2
, しか し,現 実 に は, リザーバー内の
CSFと
RIが完全 に混和 しないた
め, この関係式が成立 しない こ
48
O O L
O90 9 等
ON0
(%)^ヒ^LIL
U
V05
1 0 1 5
20 25 30 35 40 45DEGREES
Fig・3Changesinatime‑activ itycurveobtainedduringheadbeingcontinuouslyraised.At25degreeh eadraisedposition,CSFhassuddenlystartedtoflow.寸Z.NL寸ト.LL寸N.寸ト.OL寸Z.OL寸ト.0(××d X 山 ) (9 0
.i)^1J≧トO
V0
246810
121 4161820TIME︻MIN
Fig.4 Flowratechangesbypat
】
ientposi‑ tion.0.36ml/minflow rateinrecum‑bentbecomesnearly ze
ro in sitting positionbutrestoredits
rateof0.38 ml/mininuprightposition
.
読み出 した時間放射能曲線 について,任意の関心
時 間区域 を指定す る と,その間の
Tl/2
が求 め られ,
それにもとづいて流量が自動的に算出され
核 医学画像診 断
Vol.2No.21987・7・ ‑ 49‑0.00 0.01 0.82 0.eO O.也‑ 0.06 0.e6 0.07 0.09
●.1○○.ll
TI‑ (AIrl)
Fig.6 Smoothedbeat‑by‑beatleftventricularcurvean
d estimatedLVEF.
Fig.5 Amodelpersonputo
naspecially designedvesta
ndprobesattachedto it:oneovertheleftven
tricleandthe otherintherigh
tupperlung.
vivo標識 した後,患者
に専用のベス トを着用 させ, シンチカメラ下で,左室お よ
びバ ックグラウン ド領 域 として右上肺野 にそれぞれ
16mm
長 の コ リメー タを装着 した
CdTe検 出器 を固
定す る
(Fig.5)。サ ンプ リング間隔
0.05秒で任意の
時間 ( 最長
3時間) データを収集す る。得 られたデータは,以下 類の解析法 によって処理 され る。 i)1ブロ の三種
ック分 のデー タ
(6.4秒 間,1
28デー タポイ ン ト)につ
い てその平均値 と標 準偏差 よ り左室駆 出率
(LVEF)Count̀(Ⅹ〉
を求 め, トレン ドグラム として表示する。バ ックグ ラウン ドは,
右上肺の時間放射能 曲線の同一 ブロッ ク内の平均 カウン トとす る。
物理学的減衰 は,ブロ ック単位 に補正す る
。 ii)任意 の 1ブロックに
つい
て
,3点 スムー ジ ング を
10回施行 し,カー ブ上 の
山 とそ
:, ,
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〇・n〉〇8Fig.8 Changesofleftventricular and background curves
,
and left ventricularparameterse,stimateddur‑
ingandafterexercise.
ム とし
て も表示す る
10)0種々の心疾患 を有す る患者
33
例 で,本 システム で測定 した
LVEFおよびそ
の他の指標 とシンチカ メラ ・コンピュータシステムで測定 し
た値 とを比較 した結果, よい相関関係が得 られてい
る
11)
12 ) 。本 シ ステムの臨床的意義 は,各種
負荷時の左室機能の変 化 を,負荷前,中,後 と連続的に観
測で きる点にあ る
。Fig.8は,エルゴメータによる運動負荷時の左 室ポンプ機能 をモニター した も
のであるOポンプ機 能の各種指標の経時的変化 を
容易 に観察することが で きる。 また,興味のある時
相のデータを詳細 に分 析することも可能である。運
動負荷 に伴なうこのよ うな左室ポンプ機能の急激な変化 を,カメラ
・コン ピュータシステムで連続的に観測することは
不可能 と思われる。 われわれは,現在主 として
,薬剤負荷時,運動負 荷時の左室機能の変化 を観測
することを目的 として 研究 を進めているが,次の課
題 としては,左室機能 の長時間モニターがある. こ
のためにわれわれ は, 新 に携帯型 データ収集装置
か らマイクロコンピュー タへ信号 を無線 で転送す る
システム を開発 中で あ る。 このシステムを完成すれば,検査のフレキシビ リティーはさらに増 し,長時間モニター も容易 にな
るもの と考 えている。 以上の他,臨床応用 として
,種々の条件下での肺 血液量の変化,肝動脈血流量の変化などの測定 を試 みているが, それ らについては, ま
たの機会 に紹介 することにする。
5.おわ りに
われわれの開発 した
CdTe検 出器 システム とそ
の臨床応用 の一端 を紹介 し
た。 この システム に よ り,従来のカメラ ・コンピュ
ータシステムでは,不 可能であった種々の状況下で
の動態機能の観測が可 能 になった。 この ことは,核医学 に新 しい分野
を持 た らす ものであると考 える。 1
)HofferPB,Berge文 献
rHJ,Steidley∫,etal:Aminia‑
turecadmium
telluridedetectormoduleforcon‑
tinuousmonitoringofleftventricularfunctio n.
Radiolgy138:477‑481,198
1.
2)OwenJE,Wal
kerRG,WillemsD,etal:Cadmium telluridede
tectorsinexternalmeasurementof glomerular
filtrationrateusingTc‑99m DTPA (Sn):com
parisonwithCr‑51EDTAandTc‑99m DTPA (S
phrology18:200‑203,1982.
3)WilsonRA,SullivanPJ,MooreRH,etal:An ambulatoryventricularfunctionmonitor:valida‑
tionandpreliminaryclinicalresults.Am ∫Car‑ dio152:60ト606,1983.
4)LahiriA,Crawley JCW,JonesRI,etal:A noninvasivetechniqueforcontinuousmonitoring ofleftventricularfunctionusinganewsolidstate mercuriciodideradiationdetector.ClinScience 66:551‑556,1984.
5)
鈴木 豊,小野容明,木下栄治ほか :シングルプロ ーブ装置 による左室駆出率測定法の基礎的研究.核 医学
21:353‑360,1984.6)
井出 満,兼本成武,五島雄一郎,鈴木 豊 :オム ニスコープ.呼 と循
32:1039‑1044,1984. 7)Palms JM :Newer developments in detectordesignandmaterials.In:HofferPB,BeckRN
,
GttschalkAeds.Semiconductordetectorsinthe futureofnuclearmedicine.NewYork,Societyof核医学画像診断
Vol.2No.21987.7. ‑ 51‑NuclearMedicine1971:p57‑78.
8)村上
剛,福田利雄,梅本亨他 :テルル化 カ ドミウ ム検出器 を用いた動態機能検査装置
Radioisotope 35:20‑23,1986.9)SuzukiY,MatsumaeM,MurakamiT,etal:
Assessmentofcerebrospinalfluid shuntflow ratesby computerized semiconductordetector system.∫NucIMed27:1025,1986.
10)SuzukiY,IdeM,MurakamiT,etal:Radionu‑
Clidecardiacmonitoringsystem usingdualcad‑
mium telluride (CdTe)detectors:specification andsomeclinicalapplications.NucIMedCom一 munications:inpress.
ll)IdeM,KanemotoN,GotoU,SuzukiY:Evaluza‑
tionofleftventricularfunctionuslngaCadmium tellurideprobe.Nu