光ファイバーを用いた歯肉縁下歯石検出装置の開発
と臨床応用への可能性
著者
加藤 翼
学位授与機関
Tohoku University
学位授与番号
11301甲第19169号
URL
http://hdl.handle.net/10097/00128725
論
文 内 容 要 旨
学籍番号
B4DD5010 氏 名 加藤 翼
【緒言】 歯肉縁下歯石の正確な探知は歯周基本治療および Supportive Periodontal Therapy の治療結果に直 結するが,手用器具を用いた方法は熟練を要するため、術者間で検出率に差が生じやすい。そこで我々は半導体 レーザーと光ファイバーを用いて歯石を検出する装置を開発した。本研究では臨床を想定して本装置の歯石検出 能を検証した。 【材料および方法】 当装置の歯石検出特性を、ピンホールを形成したステンレススチール箔と抜去歯を使用し て評価した。また、光ファイバーの先端を加工して 5 種の異なる先端形状とし、それぞれの光ファイバーの抜去 歯上の歯石検出効率を評価し、歯石検出効率が最も良好となる光ファイバーの先端形状について探索した。さら に歯石のついた抜去歯を使用した歯列模型を歯石検出装置にて探索し、通常の歯周プローブを使用した場合と比 較して歯石検出率を評価するとともに、感度と特異度についても考察した。 【結果と考察】 ピンホールを形成したステンレススチール箔を使用した実験の結果、本装置では 100µm 離れた 距離から直径 300µm の大きさの歯石を検出することが可能であった。また、光ファイバーの先端形状の変化は歯 石の検出効率に影響を及ぼし、ファイバー先端を光軸に対して 45°の角度で切断すると、ファイバーを出たレ ーザー光が方向づけられることにより、局所的に強い光強度を得ることが可能となり、ファイバー先端側面にお いて良好な歯石検出効率を得られることが判明した。歯石のついた抜去歯を使用して製作した歯列模型に対して プロービングを実施した結果、術者間で差はあるものの、全体として当装置を使用することにより、通常の歯周 プローブを使用した場合と比較して、歯石検出率の向上がみられた。その傾向は特に歯石の探知が困難となりや すい根尖側 1/3 に存在する歯石について強くみられた。さらに、当装置の感度および特異度については特に特異 度、すなわち歯石の存在しない部位を正確に同定することに威力を発揮する傾向がみられた。 【結論】 以上より、我々が開発中の歯石検出装置は歯肉縁下歯石、特に検出が困難となりやすい根尖部付近に 存在する歯肉縁下歯石の検出率向上に寄与すること示唆された。また特異度が高いことから、当装置を使用する ことによってスケーリング後に歯石が除去できた部位や、もともと歯石が存在しない部位をより正確に同定する ことが可能となり、不要なスケーリングの実施を回避することが可能となることによって、歯周組織の負担軽減 に寄与することが期待できる。 さらに実用化することにより、我が国で臨床現場において使用できる歯石検出装置の選択肢を増やすことにつ ながることが示唆された。