博士学位論文審査の要旨
【学位論文審査の要旨】
本学位論文は、独居の高齢 2 型糖尿病患者の糖尿病自己管理の実際と支援ニーズについ て、独居者と同居者という家族形態に着目し、それらの比較から高齢 2 型糖尿病患者への 看護支援を考察した研究である。
本研究は、質的研究デザインであった。研究対象は、38 名(独居者 16 名、家族と同居者 22 名)であり、半構造化面接にてローデータを得たのち、データ分析方法として Miles, Huberman, & Saldana(2014)の質的分析方法(Conceptually Clustered Matrix)を用い、
複雑な概念間の関係、関係要因を記述している。質的データについて本分析方法を用いて、
自己管理の程度と血糖コントロールの状態を比較分析し、結果を導いた点は新奇性がある といえる。加えて、食事療法、運動療法、薬物療法、低血糖時の自己管理についても丁寧 に分析結果を論述し、2 型糖尿病患者の自己管理の実際を論述したことは評価できる。
審査会では、「自己管理の概念」について、分析方法の利点と注意点、データ分析の視点、
考察の視点、さらに、今後の研究の方向性等について問われた。申請者からは、独居高齢 2 型糖尿病患者と家族と同居する高齢 2 型糖尿病患者の自己管理の実際を比較し、共通点と 相違点を記述したことが述べられた。
加えて、高齢者が糖尿病と共に生きる上で重要な要因(孤独感、ソーシャルサポートな ど)を示したこと、高齢 2 型糖尿病患者に特徴的な自己管理のパターンを示したことなど、
それぞれの質問に対して論理的で概ね妥当な回答が得られた。
さらに、誤字、文献リストの表記について学位申請者と共に確認し、妥当な回答が得ら れ、今後の課題も含め真摯に受け止めることができた。
公聴会では、2 型糖尿病患者の自己管理のとらえ方、得られた特徴的な知見と解釈、研究 プロセス、結果の提示、今後の高齢社会への提言などについて質疑があり、学位申請者は、
いずれの質問に対しても概ね適切に回答しており、今後の申請者自身の課題についても述 べられていた。
以上のことから、本研究は、博士論文として妥当な水準に至っており、最終試験および 公聴会での議論も含め、博士(看護学)の学位に相当するものと判断した。