奈良教育大学学術リポジトリNEAR
学級における社会的受容に関する発達心理学的研究
(V) ― 友人の理想像にみられる発達傾向 ―
著者 上田 敏見
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 5
ページ 53‑61
発行年 1969‑02‑28
URL http://hdl.handle.net/10105/6153
学級における社会的受容に関する発達心理学的研究け)
←友人の理想像にみられる発達傾向
心理学教室上田敏見
I 聞 題
Precker,J・A・{1952減、男女共学の皿1〕脱ユArt日Conθgθの学生240名拾よび職員41名 について、(1、学生は自分たちの活動の重要領域にお・いて類似の価値体系をもつ仲間(a880ciatθ日)
をえらぷ傾向があるだろう、 (2i学生は自分たちの価値観と類似する価値観をもつアドバイザー
{adVi日θr)をえらぷ傾向があるだろう、という仮説の検証を試みたO研究手続きは次のようであったO 先ず評価の規準として重要と考えられる特徴を学生に記述させ、このようにして収集された1325の 規準を39カテゴリーに分類レ学生に、規準としての重要さに従ってこの39規準のラシクづけを させ走Oさらに、次のよう左二下一ソシオメトリック.テヌトの回答を求めたOω 大学卒業後、3 人の学生だけ接触をもちつづけるとしたら、あなたぱどの3人をえらび重すか(21今学期ここで教 えている先生の中からアドバイザーを1人えらぶとしたら・あなたは誰をえらぴますか。このような 研究の結果、学生は自分に似た価値をもつ仲間や指導者をえらぶ傾向があること、この過程は相互選 択に拾いて最も著しいこと、しかし、大学1回生と4回生の間に傾向の差異がないこと、などが明ら かになった。又、仮説21も支持され、発達的にも4回生の方が1回生よりも実際のアドバイザーによ りよく類似している傾向が認められ島Prθok目rの解釈てば、この発達傾向は、自分走ちが好きでえ らんだかどうかとは関係なく・4回生が1回生よバ、実際のアドバイザーの価値によりよく似てい る教育的価値をいだく傾向がある、ということを意味している。このようにして、類似の価値は、自 己の防衛を支持することによって社会的なきずなを強化するばかりでなく、いっそう効果的なコミュ ニケーションや行為を生ずることが示されたが、選択数の制限、多数の規準が反応者にとってそれぞ れ適切さを欠いたこと、順位相関の比較に用いる統計的方法の欠除など、若干の限界を免れない。
Rθi■ユy,胴ηSt・A・,U㎜in日・W・D・・&Stθfic・E・C・11960)ぱ・女子大生1平均平台19 才11ヵ月)の相互選択をしている友人結合50村と、ランダムに組み合わせた非友人結合50対について EPPS拾よびA■ユ四rt−VθrnOn S加蚊。f Vaユ鵬8を用いて、(1洞性間の友人の欲求パター1ノは 相補的であろう、121友人のパーヌナリテイ欲求は相互に充足的であろう、13〕友人問てば価値が似てい
るであろう、という仮説の検討を行なった。その結果によると、仮説1〕,(21はいずれも支持されず、
友人間に一貫した欲求の相補関係を見出すことができ在かった。 Winch,R・F.,Kt舳n.s,工.,&
Kt蜘es,Virginia(1955〕の配偶者選択における欲求の相補性を認めた結果とのくいちがいについ てぱ、夫婦(異性〕間関係の本質的特徴は相補的に在るうが、同性の友人問のそれは本来相補的では 左いようである、と示唆している。仮説(31については、友人結合のペア間の相関は.O1〜.15の範囲 で低いが正の相関が得られ、かれらが価値観に持いてやや類似している傾向が見出された。な拾この 相関値が低いのは、サンプルが等質であったためであろうと解釈されている。
その他、人は自らの最も好き在友人を、きらいな人よりも、いっそう自分に似ていると知覚し、自 分の理想的自己にも似ていると知覚する傾向があることを見出したFied]e・,W肛ringtOn,&B瓦i昨
aθu{1952)の結果、相互作用を通じて拒互いについての情報をより多く獲得するように在ると、近 接要因よりはむしろ、相互の関心執〔ついての態度の一致の要因がP08itiVθatt皿Ot工Onのより強い 要因と在るというN舳Omb,T・M・(1956)の結果などもあ人さらに、選択者のあげる主観的選択 理由に拾いでは外面的近接性要因は学年上昇につれて減退するが、類同要因は増加し・相互選択対のあ げる主観的理由の一致傾向は小学2年生から同4年生へ、さらに4年生から中学2年生へかけて有意
の増大を示すことが確かめられている(上田11969)o
以上の諸結果からすれば、理想的な友人の条件の発達にともなう変動傾向として、類同性要因の増 大、外面的近接性要因の減退が予想され、さらに、最も強固な結合関係を示す相互選択対においては 理想の友人の条件の一致率が高学年ほど増大するものと予測されるのである。そこで本研究は、熟知
期間少なくとも1Oカ月以上の小.中学生について、次の仮説を検証しよう一とするものである。
(リ 小・中学生のあげる理想の友人の条件は学年上昇につれて変動レ高学年ほど類同性要因は増 火し、外面的近接性要因は減少する傾向が認められるであろう。
② 相互選択対問には理想の友人の条件の一致傾向がみられ、しかもこの傾向は学年上昇につれて 増大するであろうO
皿 方 法
新学級編成後約10ヵ月を経過した1965年2月下句、男女ほぼ同数より成り立つ小学校2年生6クラ ヌ(男女計226名)、同4年生6クラヌ(男女計220名)、同6年生6クラヌ(男女計226名)、中 学校2年生7クラヌ(男女計313名)の被験者合計985名1男子511名、女子474名〕に、次のよう な質問紙を配布して反応を求めた。
拾ともだちしらべ
( )僻校{)幣(〕馴)緊 触え〔 〕餅芽な
りそう ひと
あなた剛いちばんすばらしいとおもうようなおともだち(理想の拾ともだち)ぱ、どん在人で つぎ 肋1 おも
すか。次にいろいろかいてあるものの中から、だいじだと思うもの、3つだけえらんで、そのぱ んごうをOでかこんでください。また、その3つの中で、いちぱんだいじなもののばんごうに◎
をつけてください。
1鶴犠総ならんでいる 1。し錯き
。う盗鹸う批 1。こ畜ったとき着凱てくれる
。みんなの剛をよく勢る 1。㍗線も駕粋である
。紫が凱 1。ほがらか
じぷんいサん さき た
5 やさしい 2u どしどし自分の意見をのべ、先に立
。筆臥いつしよにかよう つて慶をすすめる
。協鎌よくできる 。1凱りがせいけつでさちんとしている
。灘紹牝よい 。。実き蟻の享
しんせっどうじようしん
9 きまえがよく、こせこせしない 23 親切で同情心があつい
1。徽じがよい 。。機が言純にている
一54一
11 拾もしろい、じょうだんをいう 12 からだが大きい
13 あた重カ三よレ、
、。差があう、うまがあう
1。学校のものやひとのもの〜鶏徒する
25 いろいろ左あそびがうまい 26 袷となしい
こんき
27 根気づよく、さいごまでやりぬく せわ
28 ひとの世話をよくする
。。ひとにたよらず、旨勢でやりとげようと がんばる
きもら
30 気持ちがゆったりとおちついている
な拾、中学生用の質問紙のみは、最初の部分が次のように在っていた。「あなたの理想の知友だち はどんを人です加次に書いてある、いろいろな条件の中、だいじだと思うもの、3つだけえらんで その番号を○でかこんでください。一また、その3つの中で、いちぱんだいじなものの番号に◎をつけ てください。」 この30項目は、従来の研究にみられる対人選択の理由、小・中学生の性格や行動の 記録に用いられるのぞ ましい特性などを中心として、小学校拾よび中学校の学級担任教諭各2名(い ずれも大学時代に心理学を専攻し先もの〕と筆者が協議選定したものである。
仮説②の検証には、前述の被験者の中、1965年2月上句に全員に実施した3人制限のソシオメトリ ック・テヌト(規準:好きな友だち〕において第1選択順位同志でえらび合った相互選択対、小学2 年生24対、同4年生31対、同6年生42対、中学2年生独対、合計I41対を用いた。これらの相互 選択対は、例外なくすべて同性問の対結合であった。
皿 詰 果
(1〕仮説①について
被験者は、与えられたリヌトの中から、理想の友人の条件として最も大切だと考える3条件をえら んでOをつけ、さらに、その中の最重要なものには◎をつけるよう求められた。しかレ◎印の脱落 がかなり多数にのぼったため、今回の整理の対象から◎を除外することとした。したがって、被験者 数×3の条件が集計され、各学年別・項目別に出現率が算出された。第1表は、各学年に拾いて出現 頻度の上位にあるもの1O項目を示したものである。
第1表 理想の友人の条件
頻度順位 小 2 小 4
I ⑧みんなのき帥をよく守る (1412〕砺 ⑰困ったときに舳でく泌 (82%
皿 ⑯学校のも卿人のものを大切にする(8.6〕 ⑦勉強がよくできる 1舳〕
㎜ ⑦勉強がよくできる (M〕 ⑤やさしい 15,9)
㎜ (荻圓ったときに助ヒトでくナしる (7−2〕 ⑯正直 15.5〕
V ⑱正直 (5.9) ⑳親切で同情心があっい {5−2〕
Ψ ⑱何事にも熱心である 15.9〕 ⑪挑レ3(じょうだ破いう 15.O)
w ⑤やさしい (4.7〕 ⑳拾と圧しい 一 (5.O)
w
⑳畿摺警驚へ先(・・) ⑧責任感がつよい (4.7)x ⑳知と存しへ (ω ⑭気があう・うまがあう 14,6)
X ⑳根気づよく、さいごまで的ぬく (4.1〕 ④家が近い (4.2)
頻度順位 小 6 中 2
I ⑱気があう、うまがあう l1O.8)% ⑭気があう、うまがあう (11.5)%
皿 ⑫困ったときに肋でく枇 19.6〕 ⑫困ったときに助けてくれる l11.2)
㎜ ⑳親切で同情心があつい 18.I〕 ⑧責任感がつよい (9.4)
㎜ ⑪桃螂へじようだ倣いう (62) ⑲ほがらか 16,7)
V (蔓1憤任感がつよい 15.5) ⑳性格が自分と似ている (6.6〕
w ⑲ほがらか (5.3) ⑳親切で同情心があつい 15.8)
w
⑳根気づよく、さいごまて榊ぬく 15.2) ⑪納庇じよう肋いう (5.5)w ③棚のき劫をよく守る (5.O) ⑯正直 (5.O)
x ⑯学校のψ仲人のものを大切にする 14.4〕 ⑱何事にも熱心である (3,7〕
X (9やさしい 14.3) ⑳痔主機機自分でやりと㈱
㊧ ()内ば出現率; ○内の数字は項目番号
これによると、各学年を通じて上位を占めているものとして⑫「困ったときに助けてくれる」,比 較的低学年に拾いて上位を占めているものとして⑦「勉強がよくできる」・⑯「正直」・⑤rやさし
い」,比較的高学年に釦いて上位を占めるものとして⑭r気があう・うまがあう」・⑧r責任感がつ よい」・⑳r親切で同情心があつい」・⑪rおもしろい、じょうだんをいう」・⑲rほがらか」が目 をひく。この表には出ていないか、小学6年生てば⑦が1.5%,⑯が4.O%,中学2年生てば⑦が
3.1%,⑤が2.6%と如、小学2・4年生よりいずれも減少傾向を示している。これに対して⑭ぱ 小学2年生ではわずかに1.O%にすぎず、1司4年生では4.6%となって9位を占め、同6年生に拾い て急増し首位に躍進、中学2年生でも首位を維持している。⑧も大体同様な上昇カープを示レ小学 2年生では4.O%にすぎ古い。な為参考までに話しておくと、小学2年生てば⑳が2.4%,⑩がI.3 幼,⑲が112%・1司4年生てば⑲が4.1%であって・これらがいずれも高学年児に拾いて増加する傾 向にあることを示唆している。
次に従来の諸家の研究を参考にして、条件を外面的近接性1項目1・4・6),優越性12・7・
12,13,25),類同性114,24),道徳的。社会的特性(3・15・16・17・18・23・28)
情緒安定性19・19・30),自主性(8・20・27・29),全体的印象性(5・1O・11・26)
その他(21・22〕の8カテゴリーに分類レ学年との交互作用の有無を検定にかけた。第2表は被験 者が1人当り3件ずつあげた理想の友人の条件を学年別・カテゴリー別に整理して表示したものであ るが、検定の結果、学年とカテゴリーの間には有意の交互作用が認められた(X2=329.5,af;21 P<・O1)o
そこでわれわれが仮説としてとり上げた類同性口4…気があう・うまがあう;24…性格が自分 とにている)について、発達にともなう変動傾向の分析を行なったところ、X2二122−04,a f=3
=P<・O1となり、類同性の出現比率は学年によって異なることが明らかとなった。しかも、各学年間 の差の有意性を検定した結果、有意差が認められたのは小学2年生と1司4年生の間1×2;23.64 df=1・P<・O1)・同4単生と同6年生の間(X2=13場2・af=1・1P<・O1)・同6年生 と中学2年生の問1×2=6.8I,a f=1,P<.O1〕などであった。すなわち、この類同性要因 は小学2年・4年・6年・中学2年と学年が上昇するにつれて、きわめて有意、かつ着実在増大傾向
をたどることが見出されたのである。
第2表 理想の友人の条件 (カテゴリー別)
小 2 小 4 小 6 中 2 計
カテゴリー
実数1% 実数1% 実数1 % 実数1% 実数
外面的近接性 291428 5518脳 281 4.丑3 201 2J3 132
優 越 性 9211356 113117J1 361 5.30 401 4〃 281
類 同 性 1211用 481728 901 1328 170118JO 320
道徳的・社会的特性 321147舶 19212908 2451 36J4 288130.66 1046
情緒安定性 231329 4717.12 571 840 108111伽 235
自 主 性 nO 11623 8311湖 1151 16−9? 1?111821 479
全体的印象 性 77111−36 114117−28 961 14.15 119112,67 側6 そ の 他 141206
81121
111 1.63 231舳 56計 6781100㎜ 660110㎝O 6781100ωO 939110000 2955
外面的近接性u…学校で座席がをらんでいる;4…家が近い;6…学校へいっしょにかよう)に ついても同様な検定がなされた狐 この近接性要因の出現率は学年によって異なることが先ず明らか に売った(X2=35.46・df=3・P<・O1〕o学年間では、小学2年生と同4年生の問(X2=
9,35,af宮1,Pく一〇1).同4年生と同6年生の間1×2=1O.16,af=1,二P<一〇1),同 6年生と中学2年生の間(X2=5.4一ア,df=1,P<・05〕,同4年生と中学2年生の間1×2ヨ 33.36・af=1・P<・O1)・小学2年生と中学2年生の間1×2昌6ユ8・af=1・P<・05〕
に・それぞれ有意差が認められた。このようにして、近接性という条件は小学4年生においてピーク に到達し、それ以上の高学年児に拾いでは学年上昇につれて次第に有意の減退を示すことが見出され
たつ
その他のカテゴリーの発達にともなう変動傾向は仮説外のことであり、われわれの主たる関心事で はないが、比較的明白な傾向を示した2カテゴリーについてのみ、若千言及して拾きたい。その1は 優越性で、その出現率は学年によって有意に異なりl X2=1O1−36,af=3,P<一〇I〕、小学2 年生拾よび同4年生と小学6年生存らびに中学2年生のそれぞれの間に1%水準の有意挙が認められ た。このことは、優越性という条件が小学6年生・中学2年生ではノ」噂校低・中学年より有意に減少 することを示している。その2は情緒安定性である。このカテゴリーに属する条件の出現率も学年に
よって有意に異底りl X2;3605・af;3・Pく・O1)・小学2年生と同4年生の間、同4年生 と中学2年生の間にそれぞれ1%水準の有意差が見出された。すなわち、情緒安定性は小学2年生か ら同4年生へかけて有意に増加し、さらに、同4年生から同6年生へかけては必ずしも有意の上昇を 示さ底い狐中学2年生へかけての増大は有意であることが明らかになった。
12〕仮説②について
2月上句、つまり理想の友人の条件調査の約2週間ばかり前に、ソシオメトリック・テストが実施
さ払最も親密な結合関係と考えられる第1選択同志の相互選択対がえらぴ出された。それはすぺて 同性問の対結合であった。かれら対結合者の氏名が同一カードに記入され、そのそれぞれの氏名の右 に設けられた欄に、後日実施された前記の調査においてえらんだ条件の項目番号が3つずつ書き入れ
られた。そして、各被験者のあげ定理想の友人の条件の一致.不一致を分析したところ、3つの条件 が完全に合致した相互選択対は、中学2年生に2対と小学2年生に1対みられ、このいずれもが女子 同志の対結合であった。第3表は、相互選択対問の理想の友人の条件の一致度を学年別に示したもの である。但レここで一致というのは、1個以」二の条件が合致している場合を指す。検定にかけてみ ると、一致率は学年によって有意に変動することが確かめられたl X2=16.67,af=3.P〈
一〇1)oすなわち、一致傾向は学年の上昇につれて大体増大していくようである。しかし、一致率が
第3表相互選択対に呑ける理想の友人の条件の一致
小2 小4
小 6中2
計実数1 % 実数1% 実数1 % 実数1% 実数 一致
1O1
41.7 17154.8 32176−2 37184.1 96不一致
141
58.3141452 10123£ 7115−9 45
計 2ぺ1OO.O i 421100−O 441100刀
141
有意の差を示したのは、小学2年生と同6年生の問(X2=7.87,af=1,P<.OI〕、拾よび小 学4年生と中学2年生の固(X2=7.72,af=1,P〈.O1)のみで、小学4年生と1司6年生の間 の差も有意に近かったが・わずかに有意水準を逸した(X・:3.69・a f=1)oこのようにして・
相互選択対(ここでは第1選択尚のものに限定)間にみられる理想の友人の条件の一致傾向は、高学 年において増大することがほぼ確認された。なお付記して紅くならば、2個以上の条件が合致した相 互選択対数広小学2年生で4,同4年生で6,同6年生で8,中学2年生てば5であった。そして 2個以上一致するもの・1個だけ一致するもの・不一致のものに分けX2テヌトにかけてみた場合に も、その出現頻度の学年による変動は有意と認められたlK2=21.26,df=6,P<.01)o
w 考 蒙
本研究に持いて得られた結果について以下若千の考察を加えて拾こう。最初に仮説①、す在わち、
小・中学生のあげる理想の友人の条件は学年上昇につれて変動し、高学年ほど類同性要因は増大し、
外面的近接性要因は減少する傾向が認められるであろう、という仮説は、類同性に関する部分は完全 に、近接性に関しては小学校4年以上に拾いて完全に、支持されたといえる。ここで用いた理想の友 人の条件の30項目は、われわれが以前の研究に拾いて用いた主観的選択理由のリヌトの項目と全く同 一ではないので、本結果をその結果と全面的に直接比較することは妥当てば広いであろう。しか
しながら、類同性と外面的近接性の2カテゴリーに関する限り、その包含している内容は同1二とみな される。このように考えてみると、当初予測されたように、現実の友人選択の場面においても、又、
理想の友人の条件をえらぶ場面においても、前記2要因が全く1同様在発達にとも左う変動傾向を示し た、と考えることができる。外面的近接性が小学4年生でピークを示し以後減退するという微妙な点 一58一
も全く同傾向で、ギャング時代初期にこの要因が重視されるのは、地理的.物理的接近在との外面的 近接性が子どもたち相互の接触や活動の共通性をもたらし、グループ形成一友人集団への所属が円 滑に進行するためであろうと思われる。
本結果は従来諸家のなして来た研究とは異なる側面へのアプローチを試みた成果の一端であるが、
それだけに今後な拾精密な検討が必要である。たとえば、理想の友人の意味が小学校低学年児に、高 学年同様のものとして理解されたかどうか、30項目の条件を予備調査によって子ども自身の中からえ らぴ出すべきでぱ左かったかさらに、小学2年生の一部には30項目から3項目をえらび出すことが きわめて困難ではなかった加をどである。な呑・同一被験者群に・同一のリヌトを用いて理想の友 人の条件を最初にチェックさせ、次いで現実の友人の条件を同様にチェックさせ、両者間のずれを性 別・発達的祝点から分析することが興味ある研究課題となるであろう。
仮説②、ずなわち、相互選択対間には理想の友人の条件の一致傾向がみられ、しかもこの傾向は学 年上昇につれて増大するであろう、という仮説は、ほほ支持された。一致率は小学2年生で約42%、
中学2年生で約84%と小学2年当時の2倍に達し、この間学年上昇につれて一致率は高まる傾向が示 された。勿論厳密な意味てば、小学2年生から同4年生への」二男、同4年生から同6年生への上昇、
同6年生から中学2年生への上昇は、方向は予測通りであるけれども、有意とは認められ左かったの である〕しかし、全体としてみるならぱ、仮説通りの増大傾向が強力に示唆されて拾り、30項目の考 えられたリヌト中からわずか3項目だけをえらぴ出すという本研究の方法にもかかわらず、これほど の一致傾向が見出されたことは、むしろ注目に値するといっても過言てば左かろうOこのようにして 1側ユ上の条件の合致をここでぱ一致として扱ったことも、決して甘すぎる規準とはいえ在いであろ う。又、第1選択のみより成る相互選択対に限定して被験者をとったことが、発達傾向の有意性を 低下させてしまったかも知れ在い。今後は第2、第3選択を含む相互選択対のより欠きた被験者群に ついて、この傾向の存否を確かめていくことが必要であろう。さらに、青年期以後は相補的結合の増 加も考えられる1徳田,1955〕ので、高校生以上のサ1・プルについても本結果のような発達傾向がみ られるかどうかこの点の究明も今後の課題である。いずれにせよ、本研究で得た結果は、小・中学 生の相互選択対においても理想とするところがきわめてよく似ているという事実を示すものと考えら れ、この点、Preckθr(1952)やRθiユ取,O血,&Stgfic U960)を始めとする類似説支 持者たちが主に大学生などについて得た成果を、低年令の被験者について裏付けたものと考えられる。
しかし、従来なされて来た研究とは異なって、本研究の主たる関心は理想条件の一致が発達にとも在 ってどのように変動するかにあり、しいてコントロール・グループを設け左かったのもこの故である。
最後に、異なる対人関係の役割を遂行する同性拾よび異性のペアの成立には、異なるプロセヌが含 まれているlBan也&Heth∂ri㎎toユ.,1963)と考えられるので、いろいろ異在る役割関係を設定
し、そのそれぞれに拾ける理想と力価値観の類似あるいは欲求の相補性を発達的にきめこ書かに分析 していくことが必要であり、殊に縦断的を手法によるこのようた研究成果の累積こそ教育実践の場に 存けるのそましい対人関係の育成・指導に貢献しうるであろう。
V 総 括
本研究の目的は、ω小・中学生のあげる理想の友人の条件は学年上昇につれて変動レ高学年ほど 類同性は増大し、外面的近接性は減少する傾向が認められるであろう・121相互選択対間には理想の友 人の条件の一致傾向がみられ、しかもこの傾向は学年上昇につれて増大するであろう、とし(う2仮説 を検証することであった。
このため、新学級編成後約10ヵ月を経過した1965年2月上句,男女ほぼ同数より成り立つ小学校2 年生・4年生・6年生各6クラヌ、中学校2年生7クラヌの被験者に、好きな友だちという規準によ
る3人制限のソシオメトリック・テヌトを実施し、さらに同月下句、この全被験者に対し質問紙法に よる理想の友人の条件の調査が在された。前述のソシオメトリック・テヌトに拾いて第1選択順位同 志でえらび合った相互選択対、小学2単生24対、同4年生31対、同6年生42対、中学2年生44対が 仮説21の検証にのみ用いられ、かれらの指摘した理想の友人の条件の一致.不一致の程度が分析され
た。
本研究で得られた結果を要約すると・拾よそ次の通りである。
ω小・中学生のあげる理想の友人の条件は学年とともに有意庄変動を示し、その中、類同性は小 学2年・4隼・6年・中学2年と学年が上昇するにつれて、きわめて着実かつ有意な増大を示し たO外面的近接性は小学4年に拾いてビークに達し、それより高学年に進むにつれて着実有意在 減少を示した〔このようにして、仮謝1)ぱ支持されたO
(2〕相互選択関係にあるもののあげる理想の友人の条件の一致率は学年によって有意の変動を示し た。小学2年と同6年の間、右よび小学4年と中学2年の間の差はいずれも有意とな久小学4 年と同6年の髪もきわめて有意に近く、予測された方向への増大傾向が見出された。このように して、仮説21も支持された。
(3〕な拾、これら諸結果について従来の諸研究成果との比較考察がなされ、今後の研究の発展に関 する若千の示唆が述べられた。
参 考 文 献
Ban1=a,T・J・,& Hθthθrington,M・1963 Rθユation日 1⊃θtws3n nθsd一日 of friθnd−8 and− fiancθ8. J−a1⊃nor皿. 80c. P8ycho■一, 66, 401一」404.
Fiθaユsr,F.E。,WarringtOn,W,G., &Bユai8d−8■ユ,F。下一 1952 Unoon−
8CiOuS attitudS自 as oOrreユatθ8 0f 80ciOmθtrio ohOiOθ in a sociaユ group・ J・a1⊃nor皿・ soo・ P8ychoユ・, 47, 790−796・
Nθwco]皿1〕,T^M・ 1956 Thθ prsd−ictio皿 of intθrp自r80naユ a1:1;raction・
A皿θr− Psychoユ。gi日t, 11, 575−586.
Prθck8r,J・A・ 1952 Si皿i■ari1:y of vaユuing8 a8 a faotor in 日θユθctiOn Of p∋sr日 and−near−aαthOritγ figαrgs・ J・a1〕nOr皿・
Soo =P日ycho■., 47, 406−414−
Rθi■■y,M・St・A・, Co二nmin日,W・D・, &Stθfj−c,E・C・ 1960 The oomple一 皿sntaritγ Of pθr日。naユity nθθd−8 in friθna8hip choioθ。
J.a1〕norIエi. 5cc P目yohoユ., 61, 292−294
徳田安俊 1955 青年期交友の相補的結合 福島大学学芸学者輪集,6, 18−22.
上田敏見 1969 学級にお ける社会的受容に関する発達心理学的研究UV〕 奈良教育大学紀要.
17I 1
Winch,R.11.,Kt日anθ8,T.,&Kt昌anθ目,Virginia. 1955 E皿pirioaユ θ■aboration Of thθthθory of cO血p■θ鵬ntary nθθd一昌in皿atθ 冒sユθction. J・ a1っnor皿・昌。c ・ =Psyohoユ・, 51, 508−513・